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interview with Girls

interview with Girls

これはロックンロールなんかじゃない

――21世紀のロックンロール考(2)、ガールズ登場!

野田 努    通訳:原口美穂   Sep 06,2011 UP

Girls
Father, Son, Holy Ghost

True Panther Sounds/よしもとアール・アンド・シー E王

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 『アルバム』はふざけていた。ヴィンテージ・ポップスの意匠を借りて、女の子といっしょに泣いたり笑ったりしていた。いわばそれは、サンシャイン・ポップスのパロディだった。レトロ折衷主義の現代版だ。が、ローファイ版ビーチ・ボーイズはその1作で終わった。昨年の「ブロークン・ドリームズ・クラブ」はもう違っていた。クリストファー・オウエンスはマジだった。彼は、彼女のひと言ひと言をあまりにも敏感に感じ取ってしまう青年の声で歌った。「君があの音楽を聴いて涙してたときのことなど、彼にはわかりっこない/君があの映画で涙してたときのことなど、彼にはわかりっこない/君が最初から彼に抱いてた想いなど、彼にはわかりっこないだろう」――どこまでも潔癖で、胸いっぱいの声だ。
 斜に構えた『アルバム』以上に、「ブロークン・ドリームズ・クラブ」は真剣に恋するに値するミニ・アルバムだった。ポップスの黄金時代の意匠を借りてはいるが、しかしそれは"レトロ折衷主義"の妙味に満足するようなものではなかった。そしてそれは、クリストファー・オウエンスの魂から生まれるものだった。この度リリースされる『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』は、「ブロークン・ドリーム・クラブ」のあとに続く......ラヴ・ソングこそが音楽(ポップス)においてもっとも忘れてはならない主題であるといわんばかりの、ガールズにとっての待望のセカンド・アルバムである。

ロックンロールの可能性なんてぜんぜん感じていない。マドンナの"アメリカン・パイ"、知ってるよね? あの曲の歌詞に、「Do you believe in Rock'n' Roll」って部分があるんだけど、僕はいつもそこで「ノー」って答えてる。

「ブロークン・ドリーム・クラブ」には"サブスタンス"という曲がありますよね。そのなかであなたは「It doesn't have to be this way/I know something/To take the corners off/And help you rock and roll/Right down the road(こんなんでなくたっていいはずさ/そういうモノがあるってことは知ってるよ/尖った角が取れて、君をロックンロールさせてくれるんだ/この道のすぐ先でね)」と歌っています。何をいまさらと思うかもしれないけど、あなたにはロックンロールというスタイルに特別な気持ちがありますか?

クリストファー:ノー。僕はロックンロールじゃないよ。僕が思うロックンローラーたちとは違う。僕のスタイルは彼らのものとは全然違うんだ。この曲に出て来るロックンロールは......この曲は、ロックンロールのショーをやるためにサブスタンス(薬)を使ってる自分についての歌なんだ。だから、ロックンロールがテーマってわけじゃない。それよりも、僕はカントリーやジャズのほうが自分の好きな音楽って感じがするよ。そういう音楽は大好きさ。あとは日本の音楽。準備はいい?(さくらさくらを歌い出す)ハハハハ。この曲大好きなんだ。ロックより断然好き。っていうか、そっちのほうが自分らしいんだ。ミュージカルのオクラホマのほうが、よっぽど僕っぽいよ。

この取材の主旨のひとつに、「21世紀のロックンロール」というテーマを与えてみようかと思います。インターネット時代の、人が自分の好みを自由に選択できる状況のなかでロックンロールを選ぶというのは、50年代や1976年にそれをやるのとはまた意味が違ってくるんじゃないかと思うんですよね。いかが思いますか?

クリストファー:さっきの質問の答えの通り、僕はロックンロールを選んでるわけじゃないからね。だから、この質問はわからないよ。

でも歌を書くというのがあなたの音楽の前提にあると思いますが、この音楽のスタイルのなかにどのような可能性を感じているんですか?

クリストファー:ロックンロールの可能性なんてぜんぜん感じていない。マドンナの"アメリカン・パイ"、知ってるよね? あの曲の歌詞に、「Do you believe in Rock'n' Roll」って部分があるんだけど、僕はいつもそこで「ノー」って答えてる(笑)。僕が信じてるのはソウルだからね。

わかりました(笑)。さて、それではガールズの作品について訊きますね。昨年発表した、あなたの「ブロークン・ドリームズ・クラブ」がとても感情にひっかかりました。あなたは最初のアルバムでは、カリフォルニア・ポップスというか、女の子についてユーモラスに、そして恋について感傷的に歌いました。しかし、「ブロークン・ドリームズ・クラブ」にはデビュー・アルバムにはない悲しみ、喪失感、失意のようなものを感じます。そして新作『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』は明らかに「ブロークン・ドリームズ・クラブ」からの続きがあるように思います。あのミニ・アルバムはあなたにとってどんな意味があったのでしょうか? 何があなたにあの作品を作らせたのでしょうか?

クリストファー:僕のなかで、作品は全部繋がっているんだ。僕の曲の書き方は、とくに各アルバムとかEPのためって感じじゃないからね。EPのレコーディングで初めてスタジオを使ったんだけど、あのEPで、僕たちはいろいろ実験できたんだ。スタジオもそうだし、他のミュージシャンやエンジニアを使ったり、プロがまわりにいた。あのとき、いろいろ試してみたおかげで、今回のアルバム制作をそういうやり方(EPのやり方)で進めていきたいのかがわかったんだ。今回のアルバムも『アルバム』みたいに部屋じゃなくてスタジオでレコーディングしたいと思ったし。そう、結果的にアルバムの準備ができたんだと思う。いろいろと見極めることができた。そのためにEPを作ったわけではないけど、結果的にそうなったんだ。

"ジ・オー・ソー・プロテクティヴ・ワン"の歌詞も心を打たれましたが、タイトル曲の"ブロークン・ドリームズ・クラブ"にはとくに強いものを感じました。たとえば「So many people live and die/And never even question why/All of their dreams are gone/How do they carry on?(生まれては死んでいく、あまりに大勢の人々/「なぜ?」という問いさえ投げかけることもないままに/消し飛んでいったあらゆる夢 /うすればこれ以上頑張れると?」みたいな言葉はどこはから出てきたんですか?

クリストファー:歌詞が出てくるのは、すべて僕のフィーリング。若いときにはやりたいことがたくさんあるのに、大人になると人はその夢を諦めてしまう。なんでそんなことができるんだ? その心理が理解できないって思う気持ちさ。僕にとっては、夢を持ち続けることが大切だからね。でも、ほとんどの人たちが諦めるだろ? この曲は、僕のそんな気持ちについて歌ったものなんだ。

"ブロークン・ドリームズ・クラブ"という言葉、何のメタファーなんでしょうか? 

クリストファー:ブロークン・ドリームズ・クラブの意味は、僕のまわりの友だちたちのこと。あと、僕自身もちょっと入ってるかな。人からは「バンドが成功しててスゴイね」とか、「人気者になったね」とか言われるけど、僕だって、それと同時に壊れてしまった夢があるから。他の友だちもそう。何かに満足していない、何か叶えたいものがあった人たちのグループって意味なんだ。「本当はもっと......」を求める人たちのグループさ。

質問:野田 努(2011年9月06日)

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