Home > Interviews > interview with Dub Structure #9 - 壁の越え方
2年前に、「MONK!!!」というイヴェントをはじめたのが大きかったですね。そのときにヒカルさんとか、アルツさんとか、DJをお願いしていたんですけど、その前からDJを聴くようになっていて、それは僕らにとってクラウトロックと同じぐらいに大きかったですね。
■ミナミさんはヴォーカリストですよね。
Minami:歌うことに関しては、まだ自分のなかで消化しきれてないですね。
■好きなヴォーカリストは?
Minami:若い頃は、ボビー・ギレスピーとか。イアン・ブラウンとか。
■すごい真っ当な......。ただし、みんなが高校時代だとしたら、全盛期はとっくに終わっている人たちでしょう。
Minami:そうっすね。
■世代的に言えば、アークティック・モンキーズとかじゃない?
Minami:いや、その頃は、昔のものを掘りはじめてしまって。
Okura:ストロークスが高一ぐらいだよね。ホワイト・ストライプスとか。ホワイト・ストライプスなんか、もう大好きだった。
■いまのバンドの青写真はどうやって出来上がっていったの?
Canno:2年前に、「MONK!!!」というイヴェントをはじめたのが大きかったですね。そのときにヒカルさんとか、アルツさんとか、DJをお願いしていたんですけど、その前からDJを聴くようになっていて、それは僕らにとってクラウトロックと同じぐらいに大きかったですね。で、どんどんテクノのパーティにも行くようになった。
■クラブが大きかったんだ?
Canno:ダブ・ストラクチャーになる前は、ホントに漫画に出てくるようなコテコテのバンドマンの生活というか、けっこうライヴハウス時代があったんですよね。その頃にもライヴハウスのシステムってどうなんだろうってのがあったんですよね。みんな楽しめているのかなっていうか。
Minami:その前に、セオ・パリッシュとムーディーマンを友だちに貸してもらって、そのときに「あ!」っていうか。セオ・パリッシュを聴いたときに、超格好いいって。
Canno:ムーディーマンが来日した頃でね、もう、びっくりしちゃって。
Minami:あ、ロックスターじゃんって。
Canno:DJでは、ストーンズとかもかけていたし。
Minami:あのヌメッとした感じとか、すごいなって。
■ドラマーとしては打ち込みの音楽との出会いはどうだったんですか?
Okura:いや、もう、やっぱ最初は「冗談じゃないよ」って(笑)。でも、『ブラックマホガニー』を聴いているうちに、「格好いいじゃん!」って。
■あれは生も入っているしね。
Okura:生も入っているし、サンプリングもあるし。
Canno:発想の自由さに影響されましたね。バンドって、やっぱマンネリ化してきてしまうから。でも、ムーディーマンやセオ・パリッシュは、音楽の発想がすごく自由なんですよね。
Minami:ブラック・ミュージックというものにも初めて直面したっていうかね。
Okura:ツェッペリンとかも根底にはブルースがあるんで、その共通するところっていうのがよく見えたっていうか。
■「MONK!!!」は、最初から〈イレヴン〉?
Canno:最初はセコバーでやって、2回目が〈イレヴン〉でしたね。最初はセコバーにドラムもシステムも入れてやりましたね。
Minami:DJはヒカルさん、アルツさん、CMTさん、あとクロマニヨン。
■ヒカルさん、アルツさん、CMTさんというのは、どういう経緯で?
Canno:客としてずっと好きだったので。CMTさんは群馬にDJハーヴィーが来たときに行ったらやってて、初めて聴いたんですけど、もうDJとは思えないっていうか、とにかくショックを受けましたね。友だちにトミオってDJがいるんですけど、そいつが詳しくて、そいつにいろんなパーティに連れてってもらいましたね。
■20代前半の子にとってクラブって行きづらい場所だってよく言われるんだけど、入っても年上の連中ばっかりだし。
Minami:たしかに僕が高校生のとき、マッド・プロフェッサー聴きたいからクラブに行こうか迷ったことがあって、でも、そのときはなんか怖いから止めました(笑)。
Canno:うん、その感覚がわかるからこそ、同世代の連中に「MONK!!!」に来て欲しいんです。
Minami:DJの人たちって、ホントにいい人ばっかだし。
Canno:偏見があるんですよね。僕らぐらいの世代から。
■偏見じゃないと思うよ。単純な話、20歳の子がクラブに入ってみて、30代以上の人たちがざーっといたら、ひたすら踊るか、やっぱ居場所ないじゃない(笑)?
Canno:みんな話してますもんね(笑)。俺も、いまでもそうなっちゃうときがあるけど、そうなったら、もう目をつぶって音楽に集中するっていうか(笑)。
■ハハハハ!
Minami:いや、俺はもうずっとフロアにいるよ。
Canno:クラブを好きになったのも、音楽を聴きたいっていうのがあったんで......、でも、いま思うと、我ながらよく行ったなとは思いますね(笑)。
Minami:いや、もう、みんな社交性がないヤツらなんで。
■社交性がないから、音に集中できたんだ(笑)。
一同:ハハハハ!
Canno:まわりでクラブ行ってるヤツってあんまいなかったよね。
Minami:ただ、20歳ぐらいのときに、友だちでDJのほうに進んだヤツがいて、それは大きかった。
Canno:そうっすね。トミオっすね。
■トミオ君、重要だね。なんか、欧米はクラブ・カルチャーが良い意味で世代交代しているし、僕はクラブ・カルチャーの恩恵を受けている人間だけど、やっぱ、その主役は20代だと思うし、しかも20代前半だと思うんだよね。なぜか日本だけが圧倒的に30代以上の、ていうか、40代以上の文化になっているようで。
Minami:やっぱ年上の人たちのDJって、丁寧だし、繊細だし......。
■やっぱ勝てないって?
Minami:年功序列っていうのはあるんですかね(笑)?
■ディスコやハウスの世代にはあったけど、テクノ以降はなかったと思うよ。
Minami:若くて、すげー、格好いいDJもいるもんな-。
■ただし、DJって、たとえばハウスやろうとしたら、知識と経験があるDJを超えるのって、よほど何かないと難しいとは思うよ。
Minami:レコードの量も違うし。
Canno:でも、うちらにも、若者でやろうという気概はあるんですよね。
Minami:うちらの「MONK!!!」も、遊びに来てくれた子たち年齢はけっこう若いと思いますよ。
■それは良いね。
Canno:本当に、みんなからもそこが良いねって言ってもらえた。
■ハハハハ。しかし、みんなから見て、クラブのどこが魅力だったんでしょう? さっきライヴハウスに限界を感じていたって言っていたけど。
Minami:いやもう、単純にノルマ制が。
■ハハハハ。
Canno:それに、クラブって、やっぱ終電を吹っ飛ばして朝まで踊るっていうのがいいじゃないですか。
■うわ、若い!
取材:野田 努(2013年1月10日)