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Home >  Interviews > interview with Dub Structure #9 - 壁の越え方

interview with Dub Structure #9

interview with Dub Structure #9

壁の越え方

──ダブ・ストラクチャー#9、インタヴュー

野田 努    写真:小原泰広   Jan 10,2013 UP

Dub Structure #9
POETICS IN FAST-PULSING ISLAND

dive in! disc

Amazon

 エメラルズからマーク・マッガイアが脱退したそうだが、東京からは昨年の12月ダブ・ストラクチャー#9という4人組のバンドがアルバムを発表、年末はドイツ・リューベックからDJ/プロデューサーのラウル・Kを招いて盛大なパーティを繰り広げている。
 ダブ・ストラクチャー#9という名前のバンドが演奏するのは、いわゆるダブではない。彼らが打ち鳴らすのはモータリック・ビート、いつまでも動き続けるミニマルなグルーヴ、すなわちクラウトロックだ。そのアルバム『POETICS IN FAST-PULSING ISLAND』は、クラウトロックが普及したこの10年における日本からの回答とも呼べる作品だ。
 しかも......アルバムにはリミキサーとして、ラウル・Kのほか、日本のクラブ・シーンのベテランDJ、アルツとCMTも参加している(ふたりのリミックス・ヴァージョンは12インチ・シングルにもなってもいる)。
 結果、彼らのセカンドは、今日の日本ではもはや異端とも呼べるであろう、クラブとライヴハウスの溝を埋めるものともなった。ポーティスヘッドやファクトリーフロアのようなやり方は、果たしてこの国でも通じるのだろうか......昨年末、メンバーのひとりが成田までラウル・Kを迎えに行っているその日に取材した。

クラウトロックは大好きですね。とくにあの曲に関しては、「ノイ!」と呼んでいたくらいなので(笑)。

アルバムを聴いて、まあ、ぶっちゃけ、すげークラウトロックを感じたんですね。とくに1曲目、"NEW FUNCTION"なんか、ここまで見事なノイ!もそうないというか......。

一同:ハハハハ。

こんなバンドが日本にいたのかと思って。クラウス・ディンガー的なグルーヴというかね、日本ではかなり珍しいですよ。びっくりしました。やっぱお好きなんでしょう?

Canno(カンノ):大好きですね。とくにあの曲に関しては、「ノイ!」と呼んでいたくらいなので(笑)。

ハハハハ。

Minami(ミナミ):いや、ホント大好きで。

海外は多いけどね、クラウトロック系は。日本ではほとんどいないんですよ。

Okura(オークラ):たしかにそうかもしれない。

Minami:すっごく仲のいいバンドで、ノーウェアマンというのがいて。

ノーウェア(nowhere)?

Minami:いや、ノーウェア(nowear)、何も着ないっていう。彼らは面白くて、ミニマルな8ビートですけど、ハンマービートって感じじゃない。でも、クラウトロックは大好きですよ。

Canno:そうだね、ノーウェアマンぐらいかな。

ほかにも、"WHEN THE PARTY BEGIN"とか、"POETICS IN FAST-PULSING ISLAND"とか、クラスターの精神とでも言いましょうか......。

Minami:そのへんは好きっすね。

Canno:なんでも好きなんですけどね。ブリティッシュ・ビートみたいなものも、ジャズも、テクノも、いろいろ好きなんですけど、でも、ノイ!とかクラウトロックは自分たちにとって新しい発見でしたね。

Okura:衝撃だったよね。

Canno:これだ! みたいね。音楽って長いこと聴いていると、自分のなかでマンネリ化するものだと思うんですね。それで、新しい発見によって広がるっていうか。そのひとつだと思いましたね。

バンドはどんな風に結成されたの?

Okura:ミナミとカンノは小学校が同じで、一個違いの幼なじみで、小中高と同じ。

東京?

Okura:全員東京です。

Canno:僕らは世田谷、オークラとアライも小学校から一緒で、目黒ですね。

世田谷のどこなんですか?

Canno:僕が下馬で、ミナミが梅ヶ丘。

Minami:(梅ヶ丘は)奇っ怪な街ですね。古いサックスを売っているお店があったり、超小さいギターのお店があったり、変な街ですね。

Canno:高校が、リズム隊が、白金台と麻布十番だったんです。

けっこう、街っ子だね。ていうか、最新の東京っ子だね(笑)。

Canno:そうっすね。うちらは田んぼだったあたりの東京なんですけどね

バンドは?

Canno:僕とオオクラは高校の頃からやってて、けっこう真面目にやってて、ライヴハウスなんかにも出てね。21歳のときに解散するんですけど、解散する頃にミナミが入ってきて。で、この3人で新しいバンドをやることにしたんですよね。最初はベース無しで。で、アライが入ってきて、現在の形になりましたね。

ダブ・ストラクチャー#9というバンド名は?

Canno:言い出したのはミナミなんですけどね。

Minami:その当時、ダブということにすごく興味があって。格好いいな、と(笑)。

Canno:俺も、格好いいなと(笑)。

その名前を聞くと、どうしてもダブをイメージするじゃないですか。「ああ、新しいダブ・バンドなのかな」って。

Minami:ダブってジャンルというよりも手法で。

手法であり、ジャンルでもありますよね。

Minami:音を飛ばすっていう、僕としてはインダストリアルなイメージで付けたんですよね。

ダブはずっと好きだったんですか?

Minami:そんなに詳しくないんですけど、ずっと好きです。キング・タビーのような、ハッピーではなく......哀愁、キング・タビーにもハッピーなのはあるんですけど。

キング・タビーは基本、ダークですよね。

Minami:飛ばす方に耳がいってしまいますね。

Okura:結成当時は、まだクラブに行きはじめって感じでしたよね。20歳過ぎたぐらいで。

Canno:クラブ・ミュージックも、テクノ寄りのものを聴きはじめたり。

Minami:もとはロックですけどね。ツェッペリンとかね。

レッド・ツェッペリン?

Canno:ドアーズとかね。

へー。みんな20代半ば過ぎたぐらいでしょう? 古いのが好きなんだね。僕らの時代にはあり得なかった(笑)。レッド・ツェッペリンなんか......

Canno:だせーって(笑)。

王子様みたいだしって(笑)。でも、いまの若い人は古い音楽に詳しいね。

Minami:僕らもガンズとかは聴けなかったですよ。

Canno:ツェッペリンとかになると一周しちゃってたから、再評価ブームとかもあって。昔のものが整理された感じはありましたね。

Minami:小中学校でギターをはじめようとして、『ギターマガジン』とか見ると、ツェッペリンとかクラプトンとか。

いまでも?

Minami:いまでも。

それはすごい。俺の時代から変わってないんだね。

Canno:ジミー・ペイジとか何回表紙になってるんだっていうね。

Minami:ソニック・ユースといっしょに聴いていたもんね。

その感覚は僕の時代にはなかったな。とにかくロックだったんですね。みんなにとってロックは何だったんでしょう? なんでロックだったの?

Canno:少数派の価値を見いだせるっていうか。

Minami:それはあったね。

でも、みんなの時代にはヒップホップだってR&Bだってあるじゃん。

Canno:世代的にはそうですよね。中学生のときまわりはBボーイだったし。

ヒップホップは好きでしょ?

Minami:はい、ホントにハマったの最近ですけどね。

Canno:いや、でも、ホント、みんなロック少年だったから。夢がありましたけどね。ロックがすべてを変えるみたいな(笑)。

ハハハハ。いまでもロックは力があるの?

Minami:クラブ・ミュージックのなかにもそれはあるじゃないですか。サイケデリックな部分だったり、アシッディな部分だったり。共通するところはあると思いますよ。

取材:野田 努(2013年1月10日)

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