ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns エイフェックス・ツイン『セレクテッド・アンビエント・ワークス・ヴォリューム2』をめぐる往復書簡 杉田元一 × 野田努
  2. Columns Squarepusher 蘇る00年代スクエアプッシャーの代表作、その魅力とは | ──『ウルトラヴィジター』をめぐる対話
  3. Columns Squarepusher 蘇る00年代スクエアプッシャーの代表作、その魅力とは──『ウルトラヴィジター』をめぐる対話 渡辺健吾×小林拓音 | ──『ウルトラヴィジター』をめぐる対話
  4. 音楽学のホットな異論 [特別編] アメリカの政治:2024年に「善人」はいない
  5. Tomoyoshi Date - Piano Triology | 伊達伯欣
  6. Jabu - A Soft and Gatherable Star | ジャブー
  7. 寺尾紗穂、マヒトゥ・ザ・ピーポー、七尾旅人 ──「WWW presents “Heritage 3000” Farewell series」の追加公演が決定
  8. People Like Us - Copia | ピープル・ライク・アス、ヴィッキー・ベネット
  9. 野田 努
  10. VMO a.k.a Violent Magic Orchestra ──ブラック・メタル、ガバ、ノイズが融合する8年ぶりのアルバム、リリース・ライヴも決定
  11. Columns 11月のジャズ Jazz in November 2024
  12. talking about Aphex Twin エイフェックス・ツイン対談 vol.2
  13. エイフェックス・ツイン、自分だけのチルアウト・ルーム──セレクテッド・アンビエント・ワークス・ヴォリューム2
  14. Fishmans ——フィッシュマンズの未発表音源を収録した豪華ボックスセット登場
  15. Alessandro Cortini - Nati Infiniti | アレッサンドロ・コルティーニ
  16. Columns 10月のジャズ Jazz in October 2024
  17. interview with Kelly Lee Owens ケリー・リー・オーウェンスがダンスフロアの多幸感を追求する理由
  18. Wool & The Pants ——新作を出したウール&ザ・パンツが、年明けの2月には初のワンマン・ライヴを新代田FEVERにて開催
  19. JULY TREE ——映像監督でもあるラッパー、Ole/Takeru Shibuyaによる展覧会
  20. Columns 攻めの姿勢を見せるスクエアプッシャー ──4年ぶりの新作『Dostrotime』を聴いて | Squarepusher

Home >  Interviews > interview with Kenichi Hasegawa - 極北の歌のなかの光景

interview with Kenichi Hasegawa

interview with Kenichi Hasegawa

極北の歌のなかの光景

――長谷川健一、インタヴュー

松村正人    写真:三田村陽   Mar 05,2013 UP

呼吸ってひとそれぞれだと思うんですよ。自分のものは自分のもので、換えられないじゃないですか。ブラック・ミュージックをそのままやったって、それはつくったものだし、借りてきたスタイルだし。自分なりのテンポだったり訛りだったり呼吸でしかできないことはありますよね。


長谷川健一
423

Pヴァイン

Amazon

立ち入った質問になりますが、『423』に“子供の国”という曲があります。お子さんはいらっしゃいますか?

長谷川:(しばし沈黙し)はい。(子どもが)いるといないとでは視点がちがうと思うんです。自分と世界があるという関係から、さらにもうひとつちがう視点が生まれて、そこから見ると、この広い世界を僕を通じて見ているように感じるんですよ。それは自分の世界が広がることだと思うんですよね。そうすると言葉もやっぱり変わってきますし、震災以降、現実的な問題として、食べ物ひとつとってもどうしたらいいんだろうということがありますし、それをそのまま歌ってもしょうがないので、自分なりにそれまでやってきたスタイルでなにかできないかな、と思って、いちばん出ているのがそれだと思います。

まだできたばかりで恐縮ですが、今度こういうものをつくっていきたいというのはありますか?

長谷川:これ以降も曲は書いているんですけど、次は自分でもアレンジをやってみたいと思います。ジムさんにお願いして、アレンジしてこんなに曲が変わるんだ、奥行きやふくらみがあるんだということがすごく勉強になったので、自分でもやってみたいなと思います。歌は大きくは変わらないと思いますけどね。

それは楽しみですね。

長谷川:失敗するかもしれませんけど(笑)。

フリージャズとフォークを合体させて、三上寛+山下洋輔みたいになったりしませんかね(笑)?

長谷川:(笑)そのへん、浅川マキさんなんかすごく上手にやっていたと思いますけどね。フリージャズと歌謡曲というか歌唱というか。

浅川マキさんはそうなんですよね。浅川マキさんは情念深いイメージですがーー

長谷川:そこをみんな好きで聴いていると思うんですよ。

でもすごく洒脱なんですよね。本多俊之さんとかとやっていたときとか。

長谷川:船戸さんとやったときも、そういうのは頭にあったんですよ。歌とジャズでかっこいい音楽として。

わかります(笑)。ちなみに、いまは弾き語りをやっているミュージシャンは多いですが、ハセケンさんがそのなかで共感をもてるひとは誰かいますか?

長谷川:大阪にASAYAKE 01というひとがいて、このひとは弾き語りでブラック・ミュージック的な音楽をやるんですけど、オリジナリティがあって、すごいと思います。歌もすごい上手だしブレないし、ヒップホップみたいなものをギターで演奏して歌も歌うんですが、キワモノで終わっていなくて、うたものとしてものすごくいいんですよ。メロディもいいし。でも全然評価されていなくて、もったないと思いました。

ハセケンさんのギターのスタイルの影響はーー

長谷川:それもジェフ・バックリィが大きいですね。チューニングだったり、カポの位置とか。でも弾き方は我流なんですよ。わりと3、4弦が鳴らないような弾き方をすることが多いんです。歌と即興をやっていたときは、ギターの弦を5、6弦だけにして、演奏していたことが一時期あったんです。ギターの2弦とヴォーカルがあるので、いちおう三和音ができますよね。メジャーもマイナーもできる。それで聴くに堪える曲を書けているだろうか、と自分を試すつもりだったんですけど、あまりにストイックすぎておもしろくなくなってきて(笑)、結局また弦を6本張ったんですけど、その経験から必要な音、そうじゃない音がわかるようになったんです。ベースがこれだからこれを鳴らしてとか。ギターの弦が6本あるから、つねにそれを全部鳴らさないといけないわけでもない。弾き語りってムダな音が意外と多いと思うんです。ジャガジャガやっているだけといいますか。そこから必要な音だけ鳴らせばいいというので、なんとなく、1、2、5、6弦を弾くスタイルができたんです。むかしの古いブルースで同じ弾き方をしているものがありました。あとポール・マッカートニーと同じ弾き方だといわれたことがありました。

ティムよりジェフ・バックリィなんですね。

長谷川:僕はわりとそうですね。わかりやすさではジェフのほうが上だと思いますね。お父さんのほうは新しいサウンドをめざしたひとなんじゃないかな、と思います。息子は完全にギター一本で歌ってどうだ、というわかりやすさが魅力ですね。

ご自分のなかでは新しいサウンドより、自分の歌を追求していきたい?

長谷川:そうですね。いい曲を書きたい欲求のほうが高いです。

いい曲とはどういう曲ですか?

長谷川:ひとそれぞれだと思うんですが、自分がいちばん好きで美しいと思っている曲で、ライヴをやるので、何度歌っても飽きない歌ですね。

われわれはアルバムの取材だと、よくコンセプトといいますが、ハセケンさんの場合、それよりも1曲1曲を大切にしていきたいということですね?

長谷川:そうですね。自分がいいと思った曲をまとめて出したい、聴いてほしい、という感じです。

★本作発売を記念したリリースツアースケジュールも一挙発表!
チケット詳細や各出演者情報等、随時更新予定!是非チェック!

423 Release Tour
3.10(日) 京都 UrBANGUILD
3.23(土) 京都 タワーレコード京都店(インストアライブ)
3.24(日) 豊橋 grand space quark
3.30(土) 東京 タワーレコード新宿店(インストアライブ)
4.7(日) 名古屋 K.D ハポン
4.13(土) 広島 眠り猫
4.19(金) 富山  nowhere
4.20(土) 福井 gecko cafe
4.21(日) 松本 瓦レコード
5.2(木) 東京 青山CAY
5.11(土) 山形
5.12(日) 青森
and more...

取材:松村正人(2013年3月05日)

1234

INTERVIEWS