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interview with Little Boots

interview with Little Boots

わたしはわたしを取り戻す

──リトル・ブーツ、インタヴュー

橋元優歩    通訳:大坪純子   May 13,2013 UP

メディアからの注目が高まってくると、レコード会社からの意向でなぜかレディ・ガガのプロデューサーと組むような流れになってしまって、いつのまにかわたし自身によるクリエイティヴ・コントロールを失うことになっていて......。だから、いまは最初に自分が立ってた場所、自分がやりたかったことに戻っているという気がするわ。


Little Boots
Nocturns

Hostess / On Repeat

Amazon iTunes

今作は〈DFA〉のティム・ゴールズワーシーやハーキュリーズ・アンド・ラブ・アフェアのアンディ・バトラーが参加してるということなんですが、彼らっていうのはどちらかというとインディ的なマインド・立ち位置で活躍している存在だと思います。なので、彼らを起用したことには、あなたがやりたいことをより自由にやれるようにという意図や、攻めのアルバムにしたいという気持ちがあったからではないかと感じるのですが、いかがでしょう?

ヴィクトリア:ほんとにそのとおりで、自分のやりたいことをもっと追求したかったし、すごく自由さを求めていたの。だから彼らとやることにした。最初に自分が音楽をやりはじめたときは、ホット・チップのジョー(・ゴッダード)と作ってたんだけど、メディアからの注目が高まってくると、レコード会社からの意向でなぜかレディ・ガガのプロデューサーと組むような流れになってしまって、いつのまにかわたし自身によるクリエイティヴ・コントロールを失うことになっていて......。だから、いまは最初に自分が立ってた場所、自分がやりたかったことに戻っているという気がするわ。

そもそもは、自宅での演奏を、ビデオ・ブログのように動画でアップするところからキャリアがはじまってますよね。いまのあなたもすごく輝いていると思いますが、わたしはその頃の動画もとても素敵だと思います。すごくD.I.Y.な......シンプルなシンセの弾き語りとか、ホット・チップのカヴァーなんかもテノリオンだけを使う、とてもミニマルなスタイルでしたよね。だけど、あなたがとっても表現力豊かなアーティストでありシンガーなんだなということが伝わるんですよ。あの頃というのは、やっぱりあなたにとってもひとつの原点として認識されているのでしょうか?

ヴィクトリア:そう、ほんとに自分のルーツだと思ってる。自分でも大切な場所。だけどいまそこに戻れるかというと、戻れるわけではないわ。失ってしまったものもいろいろとあるから。まさにそのD.I.Yな精神を取り戻すために自分でレーベルを作ったり、いまみたいな活動をしているんだけど、前回のレコード会社に入ったときにはほんとにコマーシャルなキャラクターにさせられてしまって。それに、当時、名もない女の子がパジャマでああいう動画をアップしてたのはおもしろかったかもしれないけど、もう名の知れてしまった自分がまたあれをやっても楽しんでもらえないと思うしね。だから戻れない場所ではあるけど、大事な場所、そんなとこかな。

よくわかる気がします。音楽産業にとってはCDやレコードの販売枚数も大切だと思うんですが、音楽それ自体にとっては、こういうインターネットを舞台にした投稿動画文化が照らし出していく新しいリアリティだったり、うねりだったりというものがとても大きな影響をもたらしていると思います。こうした動きについてお考えがありますか?

ヴィクトリア:いまはイギリスの音楽業界も、自分がデビューしたときと比較しても全然違う世界になっているかな。でも、だからこそ自由度が生まれてきていて、新しいかたちで何かを表現したり届けたりしなければいけないという精神が強くなってきている気もする。自分自身もそんななかで自由にクリエイティヴィティを発揮できるようになったし、どうやったらみんなにおもしろいものが届けられるのかって考えるようになったわ。いろんなかたちで表現できるようになったし、そうした行為に対してもいろんな数字が関係してくるとは思うけど、そういうことを抜きにして人々におもしろいものを届ける、それがすごく重要なことじゃないかなと思ってる。

うーん、なるほど。先ほど、自分がいかにコマーシャルにキャラづけされてしまったかというお話をされてましたが、まさにこれまで流通してきたあなたのヴィジュアル・イメージなどからは、あなたがとてもしっかりと自分のやるべきことについて自覚した、自立したアーティストなのだということが伝わりにくい気がしますね。だから今日はお話がきけてほんとによかったです。

ヴィクトリア:ドウモアリガトウ。そうなの、わたしのイメージということに関してもまったく異論はないわ。

ふふふ。じゃあもうちょっと時間があるのでアルバムの話に戻りたいんですが、たとえば"ビート・ビート"とかはすごくファンキーなソウル・ナンバーで、先ほどおっしゃっていたようにいろんな音楽性が取り込まれている。音楽的な幅も広がっているし、アダルトな、まさにタイトル通りに「夜の」感じがあるんですけれども、音のコンセプトの傍らには、ファッション的なコンセプトもあったりしたんですか?

ヴィクトリア:ファッションと音楽はわたしのなかでは重要な結びつきをしていることは確かね。ただ、どんな場合でも音楽が先。音楽があって、ジャケットのアートワークや、ステージで着るものなんかが決まっていくの。この曲の自分のなかのヴィジュアル・イメージとしては、LAで――昔のね――女の子がローラー・スケートをしている感じだった。

なるほど。イクイップメントについてはどうでしょう? 動画だとお部屋にJUNOとか置かれてるのが映ってますし、先ほどのテノリオンやコルグのモノトロンなど、シンセ好きで新しいインターフェイスにもとても興味を持たれている様子がうかがわれますね。最近気になっているものとか、今回とくにこだわって使用したものなどがあったら教えてください。

ヴィクトリア:日本でいま開発中の「ポコポコ」っていう機材があって、首都大学東京の生徒さんが作ってるんだけど、それがとってもおもしろいの。1年前ぐらいから彼らとやりとりしているんだけど、それをライヴで使えるようにいろいろ試してるところ。昨日も彼らと会っていて。ボタンがいくつかあって、そのボタンが3Dで浮き出てくるんだけど......(携帯で撮った映像を見せてくれる※)、それぞれが光ってね、このボタンで音のプログラミングができるの。見てて楽しい機材ね! ただ、開発段階だからライヴには使えない。ライヴに持っていける日が楽しみだな。日本は機材面ででもつながりが深くて、日本のほうでもわたしがこういうアーティストだということを知っていてくれるから、ほんとに話や雰囲気が合うの。ポコポコを通して、また新しい音を皆さんに届けたいと思っています。

※パッドのついたサンプラーの、パッド部分が3Dで飛び出すようなイメージでした。ごく3秒ほどの記憶ですが......。

では最後に、そんな日本について。ダンス・ミュージックにはとても人気がありますが、日本人は比較的踊らないとか、クラブに行ってもDJばっかり見ているとか言われたりもします。何を隠そうわたし自身がその筆頭かもしれないのですが、クラブで踊るためのアドヴァイスをいただけませんか?

ヴィクトリア:あはは! そうね、クラブに行く前にすっごくきついお酒を飲むこと(笑)。まあそれはジョークだけど、クラブ・カルチャーについて言うと、クラブに行く時間っていうのは、仕事もしていない自分の時間、楽しむべき時間だと思う。その場所と音楽に身をゆだねること。もちろん、そのためにはいい音楽といいDJである必要があるんだけど! 今回のわたしのアルバムは、クラブでかけるだけじゃなくて、パーソナルな時間帯に浸ってもらうこともできる作品になっていると思うからそんなふうにも楽しんでくださいね。

取材:橋元優歩(2013年5月13日)

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