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interview with Phoenix

interview with Phoenix

──フェニックス、来日記念インタヴュー

久保 憲司    通訳:網田有紀子  写真:KAZUMICHI KOKEI   Jan 31,2014 UP

ヌーヴェルヴァーグも僕たちも、アメリカとコネクトしていたが、距離があった。だから僕たちはアメリカの音楽にファンタジーや妄想を感じながら、大きくなった。リアルよりもね。

■フェニックスというとおしゃれで、時代の空気を読み取って、マーケット戦略もばっちりみたいなバンドだと思っていたのですが、まったくそんな感じじゃないんですね。

ローラン:そうだよ。『ウォルフガング・アマデウス・フェニックス』は成功したアルバムになったけど、完成したとき、すごく変なアルバムを作ったと思った。少しの人にしか気に入られないんじゃないかと思ったよ。だけど、たくさんの人が気に入ってくれた。だからマーケットなんか気にしなくっていいと思って、『バンクラプト!』は『ウォルフガング・アマデウス・フェニックス』と同じアティチュードで作ったんだ。僕らが思うにフェニックスを好きな人は驚かされるのが好きで、ラジオでかからないような曲を聴くのが好きなんだろうな感じる。だから、そういう方法論で作っていくんだ。普通はファンに寄り添っていくとダメになると思うけど、いまのフェニックスとファンの関係はいい関係だね。

■ロック黄金時代のバンドとファンの関係のようですね。

ローラン:僕らがフェニックスをはじめた頃は僕らのような音楽を好きな人たちは少数派だったけど、いまはいい耳を持った人たちが増えているよね。フェニックスをはじめた頃の音楽シーンは酷かったけど、いまはどんどんよくなっていっているよね。

■フェニックスを含むフランスの新しい音楽全般についてうかがったのですが、僕はフランスの音楽はイギリスやアメリカの音楽と比べると、エレガントで、スウィート──というのは偏見のようにとられるかもしれないですが──あたたかさやノスタルジーを感じるんですが、なぜでしょうか?

ローラン、デック:うーん、いい質問だね(難しい質問だね)。

■あっ、すいません、フェニックスは自分たちのことはフランスぽくないと思っているんですか?

ローラン:そんなことないよ。僕たちも君が思うようなことを思っているよ。音楽でこうだというのは難しいね。フランス映画にたとえて話すと、フランス映画もまた音楽のように、アメリカ映画と違うよね。フランス人はいろんな感情をミックスするのがいいと思うのかもしれない。フランス映画はコメディだと思っていると、突然悲しいシーンが出てきたりするよね。フランス映画はそういうことができる。

■ゴダールやトリフォーのように。

ローラン:そう。完全なる自由だよね。

デック:突然、話が脱線したり。

■「これは映画ですよ」と観客に話しかけたり。

ローラン、デック:そう、そう。

■ヌーヴェルヴァーグもアメリカの映画に影響されて、独自な映画になりました。あなたたちの音楽もまさにそのような感じですね。

デック:そのとおり。ヌーヴェルヴァーグも僕たちも、アメリカとコネクトしていたが、距離があった。だから僕たちはアメリカの音楽にファンタジーや妄想を感じながら、大きくなった。リアルよりもね。

■日本人といっしょですね。フェニックスが日本で人気があるのは、同じ感覚を持っているからでしょうね。

ローラン:そしてもう一つ、ヌーヴェルヴァーグと僕たちが似ているところは、ヌーヴェルバーグも僕たちもハリウッドのような機材を持っていないけど、エレガントな姿勢を保っていたことだね。何か違うかなと思ったら、マスター(先人)の作品を見て、作り直せるところ。ヌーヴェルヴァーグと僕たちは似ていると思うけど、僕が好きなのは初期の作品だよ。アヴァンギャルドよりも、クラシックなときのほうがいいと思う。アヴァンギャルドな部分は古くさい感じがするね。

■フランス映画もヌーヴェルヴァーグ以降、落ち込んでいたのが、80年代に『ディーバ』『サブウェイ』『ベティ・ブルー』で盛り返しましたよね。いまのフランスの音楽シーンはそのときと同じような熱気を感じるんですが、どうでしょうか?

ローラン:えーっと、言いにくいんだけど、僕には『ディーバ』や『サヴウェイ』のような映画はヌーヴェルヴァーグの上澄みだけで作ったような映画のような気がするんだよ。音楽で言うとMIDI以降というか。

■あー、すいません。なるほど。でもフェニックスのことがよくわかりました。『サブウェイ』などの映画にはヌーヴェルヴァーグがリスペクトしたアメリカ映画への熱いリスペクトがないですよね。フェニックスはとってもフランスのバンドかもしれないけど、そこにはアメリカ音楽の黄金時代への憧れと尊敬の熱い血が燃えていますよね。

ローラン、デック:そのとおり。

フェニックス / バンクラプト! (ワーナーミュージックジャパン)
Phoenix / Bankrupt!

【最強盤】
2013年4月リリースの同作にボーナス・ディスクを付けた、来日記念盤的作品。
ディスク1にはアルバム『バンクラプト!』全曲を収録。ディスク2は『バンクラプト?』と題し、オリジナル盤収録楽曲のリミックス楽曲やデモ音源、ライヴ・ヴァージョンといった別ヴァージョンをオリジナルの曲順通りに配置。

タワー HMV Review

【通常盤】

タワー HMV

取材:久保憲司(2014年1月31日)

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Phoenix- Bankrupt ワーナーミュージックジャパン

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Profile

久保 憲司久保 憲司 /Kenji Kubo
1981年に単身渡英し、フォトグラファーとしてのキャリアをスタート。『ロッキング・オン』など、国内外の音楽誌を中心にロック・フォトグラファー、ロック・ジャーナリストとして精力的に活動中。また、海外から有名DJを数多く招聘するなど、日本のクラブ・ミュージック・シーンの基礎を築くことにも貢献。著書『ダンス・ドラッグ・ロックンロール ~誰も知らなかった音楽史~』『ダンス・ドラッグ・ロックンロール ~"写真で見る"もうひとつの音楽史』、『ザ・ストーン・ローゼズ ロックを変えた1枚のアルバム』等々。

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