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interview with Kiyoshi Matsutakeya

interview with Kiyoshi Matsutakeya

ジャパニーズ・レゲエの夜明けから

──松竹谷清、松永孝義を語る

野田 努    写真:小原泰広   Jun 18,2014 UP

松永さん。ああ見えていろんな音楽好きなんで。沖縄にしても小笠原にしてもハワイアンにしてもスウィング感、グルーヴがあるんでね。あと、まず松永は音色でグルーヴするっていうのを大事にしてた。

松永さんとの思い出でよく覚えているものがあれば。

松竹谷:松永との思い出はいろいろありすぎるんですけど(笑)。80年代は松永もヒドかったんでね。飲酒運転してたぐらいなんで。ライヴ終わったあとジェームズ・ブラウンかけたら松永もノってきて義足をひきずりながらこう踊ったりしてて(笑)。

こういう言い方は誤解を招きかねないのですが、義足で、あの大きいダブル・ベースをやるっていうのがまたね。しかもダンス・ミュージックをやるわけじゃないですか。音のグル―ヴってものは、身体的なハンディキャップとは関係ないってあらためて思いますね。

松竹谷:いや、ほんと関係ないですよ。ピッキングに心こもってますからね。なんか日本調の言い方なんだけど(笑)。それで松永に車で送ってもらうんだけど、テキーラ飲みながら帰りましたからね。いまだったら恐ろしいよね。

もう交通刑務所に入れられますよ(笑)。

松竹谷:まあくだらない話ですけどね。松永とは、お互いの楽器でグルーヴし合えたっていうのが大きかったんで。まあ(いまも)松永のことがどうしても浮かんできてしまうんでね。どうしても僕の頭のなかではノリがそうなっちゃいますかね。あまりにも綺麗ごとみたいなんだけど、なんとなくあるんでね。悪く言うと意識してるのかね、やっぱり(笑)。ひとりでやっててもいっしょにやってるような感じですね。

今回のライヴ録音なんかもそうなんですけど、ベースが例によって出しゃばることなく、でもしっかり気持ちよく聞こえるんですよね。

松竹谷:やっぱいい音ですからね。

ほんとライヴ盤っていうのを忘れるぐらいな感じですよね。年齢的にはみんな同じぐらいですか?

松竹谷:松永と俺は学年一緒ですね。こだまは2コ上ですね。前田さんは3つ上です。アケミが1コ上かな。オトも1コ上だね。

飲みの席での音楽談義が白熱したりとかは。

松竹谷:俺が一番やってましたね。オトの譜面ビリビリに破いたりとか。こんなもん見てる場合じゃねーだろ、とかって(笑)。やんちゃでしたね。何言ってんだよ、みたいな(笑)。でもケンカするって言うより音楽の情報交換が楽しかったですね、一緒に飲んでて。それはいろんなジャンルにすごく行くんで。なんせ昔は情報が少なかったからね。
 だからたとえばの話、こだまと話してたりすると、昔の日本の歌謡曲いいよねとかさ、それこそ60年代のイタリアやフランスのヒット曲もいいよねとかさ、マイルスいいよねとか。あっちこっちに飛んでて、そういうとこがお互いの感情わかってる感じがあるよね。

僕なんかからすると、当時はみんなオシャレに見えましたね。古着で着飾っている感じが。

松竹谷:それはイギリス意識であったと思いますよ。ファッションと音楽は一緒のほうが楽しいですね。

ハットかぶってる感じとかがね。

松竹谷:対抗してますから、こだまと俺。あいつには負けねえ、みたいな。

(笑)清さんが札幌に戻られたのはいつなんですか?

松竹谷:94年ですね。ちょっと疲れたってほどでもないんですけど、一回地元に戻ってみるかなって感じですかね。実際問題、俺のファンってこっちのほうが多いんで。当時の空気感っていうのは東京にいたひとじゃないとわからないんでね。僕らの音楽の感じっていうのは、地方にはなかなか伝わってないですね。

それこそフィッシュマンズが有名ですけど、リトル・テンポであるとか、まさにチルドレンたちへの影響があって。

松竹谷:そんな偉そうなことは言えないですけど、いいですよね。フィッシュマンズなんて日本の音楽だって感じがして。ああじゃないとダメですよね。

清志郎さんの音楽は好きですか?

松竹谷:いや、もう大好きですよ。尊敬してますよ。素晴らしいですよ、やっぱり。ブロックヘッズともやられてますからね、いち早く。

でも80年代のときは別々ですよね?

松竹谷:(笑)だって向こうは売れてるから。だから清志郎さんのセンスのやり方もあるけど、俺らは俺らのやり方で日本の音やりたいんで。

こだまさんとか清さんみたいな先達が元気でいらっしゃるのは僕なんかからしても嬉しい限りで。またこういうアルバムがきっかけで、80年代の日本の音楽でこういうのがあったんだよってひとりでも多く知ってくれればいいかなって思います。

松竹谷:過去の遺物じゃないようにね。だから偉そうに言うと、ちゃんと俺らは俺らで音楽できてるっていうことが、過去にならないってことになるんで。ほんとに松永と一緒にやれたっていうのが誇りなんでね。正直な話、そのことですごく(いまも)やってられますよ。だから、ガンになったって松永から電話あったときは音楽やめようかなって思ったんですけどね。
 今回のレコードのレーベル名が〈プレシャス・プレシャス(precious precious)〉っていうんだけど、これはオーティス・クレイに“プレシャス・プレシャス”って曲があるんですよ。松永がこの曲が好きで、酔っぱらうと「プレーシャス、プレーシャス」って(笑)。70年代のリズム&ブルースで、これが好きなんだわー。それから取ってるんですよ。

~ 松永孝義 三回忌ライブ ~
松永孝義 The Main Man Special Band
『QUARTER NOTE』CD発売記念ライブ 

7月11日(金)
開場:19:00 / 開演:20:00
西麻布 「新世界」 http://shinsekai9.jp/

出演:松永孝義 The Main Man Special Band:
桜井芳樹(Gt) / 増井朗人(Trb) / 矢口博康(Sax,Cl) / 福島ピート幹夫(Sax) / エマーソン北村(Key, Cho) / 井ノ浦英雄(Drs, Per) / ANNSAN(Per)/ 松永希(宮武希)(Vo, Cho) / ayako_HaLo(Cho)

ゲスト: 松竹谷清(Vo, Gt) 、ピアニカ前田(Pianica)、Lagoon/山内雄喜(Slack-key. Gt)、田村玄一(Steel. Gt)

料金: 前売り予約:¥3,500(ドリンク別)

INFO・チケット予約・お問い合わせ先:
西麻布 「新世界」
http://shinsekai9.jp/2014/07/11/the-main-man-special-band/

TEL: 03-5772-6767 (15:00~19:00)
東京都港区西麻布1-8-4 三保谷硝子 B1F

取材:野田努(2014年6月18日)

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