Home > Interviews > interview with Ariel Pink - 完熟サイケデリック!
30代を満喫してる。10代の後、20代を飛ばして30代に入りたかったくらいさ。
Ariel Pink - Pom Pom 4AD / ホステス |
■以前インタヴューで誕生日を数えないとおっしゃっていましたが、あなたの感覚ですと、あなたはいまいくつくらいなのでしょう?
AP:何だって? 年齢は誰にだって言ってるけど(笑)。ネットで見てみなよ。wikipediaとか、そこらじゅうに載ってるから隠せない。マネージャーもいないから、何かを隠して良いイメージを作るとか、そういうことはできないんだよな。もしできるんだったら、もっと前からやってたけど。もしそうしてたら、批判されることなく素晴らしい愉快な人間で通ってただろうね(笑)。
■実年齢関係なく、あなたの感覚では何歳ですか?
AP:無限。不変だよ。
■そうきましたか(笑)。
AP:実際は36だけど(笑)。君は?
■わたしは32です。
AP:日本って独身の女性がたくさんいるだろ? 来日したときに感じたんだ。すっごい変な感じがした。日本って、僕の中ではいちばんおかしな場所なんだ。文化って意味でね。日本の女性って、果たしてパーティーにいったりバーにいったりして男性と知り合ったり惹かれ合ったりすることがあるのかな? って思った。道で女性同士で固まって、高い声でいっしょに笑い合ったりしてるのは見かけたんだけど、一方で男性側は一人でヘッドフォンを付けて一人で歩いてる。どうやって男女出会って結婚するんだろう? って思ったね。結婚が想像できなかったんだ。2005年の話だから、いまはちょっと変わってるかな? みんなデヴィッド・ボウイみたいな派手な格好をしてたのを覚えてるよ。とくに大阪。髪型もいろいろだし、超デヴィッドだった(笑)。クールだったね。
■たしかに、固まって行動することはアメリカより多いかもしれませんね。飲み屋も個室が多いし。
AP:じつは似てる人が多いなと思った。みんな個性的に見えるけど、同時に同じようにも見えるんだ。日本を批判してるわけじゃけっしてないよ。僕だって変だし。でも僕はどんな格好したとしても、人から何を言われるかは気にしない。でも日本では、みんなが人からの判断を恐れているように感じたんだ。クジャクみたいにいろいろな表現はできるけど、何かを気にしてる、みたいな。32歳で日本がそういう状況なら、いまみたいにこうやって電話で話してる相手とデートしてみるのもいいかもね(笑)。空港で待っててくれる? ははは。その前に来日が実現しないとね。日本にはまたぜひ行きたいと思ってるんだ。
日本って独身の女性がたくさんいるだろ? 来日したときに感じたんだ。すっごい変な感じがした。日本って、僕の中ではいちばんおかしな場所なんだ。文化って意味でね。1
■“ピクチャー・ミー・ゴーン”はとても美しい曲ですね。MVも、人生後半の苦さとともに、若さのもつ永遠性を抒情的に表現する素晴らしいものでした。ここで歌われている題材は、年齢など外部的な要素からすれば、いちばんあなたの「等身大」ともいえるものですが、あなたは自分が老い、また死ぬことについてどのようなヴィジョンをもっていますか?
AP:おもしろい意見だね。僕自身は、年を取って、もうすぐ死ぬかもしれない父親のアングルでこの曲を書いたんだ。彼には息子がいて、でも自分が死んでしまうと、息子は彼の背景を知らないままになってしまう。だから、彼がどういうふうな人生を歩んできたのかを息子に伝えるメッセージを残すんだ。ヴィデオやYouTube、iCloudにアクセスしたりダウンロードしてそれを見ることができるって伝えてる。息子が興味を持つ年齢になったら、父親のことを知れるようにね。いまの時代って家族アルバムがないだろ? だから、インターネットやコンピューターにアクセスして、そこで歴史をしるしかないんだ。
■自分自身が老いること、死ぬことに関してはどう思いますか?
AP:ぜんぜん怖くもないし、歳をとることはいいことだと思う。ここ2年の自分を見ても、よりよい選択ができるようになっていると思うし、いま起こっている何かは、その先の何かにつながっていると思うから。次や先の何かの道しるべなんだよ。
■20代に戻りたい、と思うことは?
AP:まったくないね。30代を満喫してる。10代の後、20代を飛ばして30代に入りたかったくらいさ。
■グランジと呼ばれた音楽にはどのような感想がありますか? 詞にカート・コバーンが出てきますね。
AP:どうだろう……いくつか好きなのもある。サウンド・ガーデンの初期の作品とか。あと、メルヴィンズもよかったな。ビッグ・ビジネスも好き。グランジっていうムーヴメント自体には……どうだろう……。
■グランジをわりと聴いたりはします?
AP:聴かないね。てか、僕は音楽を聴かないから。
■カート・コバーンに関しては?
AP:彼は好きじゃなかったけど、亡くなってから好きになった。ひどいと思うかもしれないけど、彼はヘビメタの命を奪ったからね。それにはがっかりだったんだ。僕はヘビメタが大好きだったから。カード・コバーンは長髪の人間全員をズタズタにしたんだよ(笑)。
■では、スパークスは意識しますか?
AP:イエス。彼らの音楽には影響されてるよ。アレンジがララララララ(ドミソドソミドの音程で歌う)みたいな感じで……これ、どう説明していいかわからないけど、とにかく彼らはジャンルとジャンルの間にいるような存在だと思うんだ。パワーポップやサイケでありながら、エクスペリメンタル・バンドでもありコメディ・バンドでもある。そこが好きなんだよね。
■曲作りのときに意識したりは?
AP:いや、それはないね。曲を書くときに他のバンドやアーティストのことを頭に置きながら書くことはまずないから。できてみて、あ、コレ聴いたことあるなっていうパターンはあるけど。
■アニマル・コレクティヴはエイヴィ・テアとパンダ・ベアという色の異なる柱によって成り立っていますが、その両者ではどちらにより音楽的なシンパシーを感じますか?
AP:どちらとも言えない。彼らは彼らで個性的なことをやってるから、つながりを感じることはないね。あるとしても、2人とはそれぞれちがうつながり方をしてるし、どちらがっていうのはないよ。
■そのつながり方とは? それぞれの何に対してつながりを感じますか?
AP:エイヴィは、人にはわからないテリトリーがある。彼にはチャレンジ精神があって、ソングライティングに対してもリスクを取るんだ。未知のテリトリーに入るんだよ。ソングライティングや方向性で、いろいろと挑戦するんだ。パンダ・ベアには彼の特徴的なスタイルがあるし、彼の音楽は感情に訴える。そこかな。
■なるほど! ありがとうございました。
AP:ありがとう! いい一日を!
質問作成・文:橋元優歩(2014年12月11日)
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