「PAN」と一致するもの

KENNY DOPE JAPAN TOUR 2026 - ele-king

 ルイ・ヴェガとケニー・ドープによる、ニューヨークを拠点とする伝説的プロデューサー・デュオ、Masters At Work (MAW)についていまさら説明するのもナンだが、ひと言で表すなら、90年代のハウス・ミュージック黄金期の象徴、その影響はダフト・パンクからマドンナまでとおそろしく幅広い。また、その特徴は、ハウス・ミュージックをベースに、ジャズ、ファンク、ソウル、ラテンを自在にミックスしたこと。ハイブリッドなNYサウンドのひとつの型を創出したことにあります。で、ケニー・ドープ——ビート職人であり、ファンクの探求者として崇められている。当日は、間違いなく、タフなファンクの祭典となるでしょう。

KENNY DOPE (MASTERS AT WORK, KAY-DEE RECORDS, DOPEWAX / Brooklyn, NY)
 グラミー賞に4度ノミネートされたDJ/プロデューサー、KENNY “DOPE” GONZALEZは、ダンスミュージック史において最も影響力のあるアーティストの一人である。ルイ・ヴェガとの伝説的デュオMasters At Workの一員として、ハウス、ヒップホップ、ラテン、ジャズ、ソウルを横断する革新的なサウンドを生み出し、ビョーク、ジャネット・ジャクソン、ダフト・パンク、ルーサー・ヴァンドロスら数多くのアーティストのプロダクションやリミックスを手がけてきた。
 ソロ名義ではThe Bucketheadsとして発表した「The Bomb! (These Sounds Fall Into My Mind)」が世界的ヒットを記録。さらにケブ・ダージと共に設立したKay-Dee Recordsや、自身のレーベルDopewaxを通じてレア・ファンクの再発や新たな音楽の発掘にも尽力している。近年はMasters At Workとしてブライアン・ジャクソンのアルバム『Now More Than Ever』のプロデュースも手がけ、世代を超えたコラボレーションを展開。豊富な音楽知識と卓越したビート感覚を武器に、45sからハウスまで縦横無尽に紡ぐDJプレイは世界中のフロアを魅了し続けている。
IG : https://www.instagram.com/djkennydope

Interview with Tomoro Taguchi - ele-king

『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』 

監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一『ストリート・キングダム』
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
出演:峯田和伸 若葉⻯也
吉岡里帆 仲野太賀 間宮祥太朗 中島セナ
大森南朋 中村獅童

公開日: 3月27日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
クレジット:©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/streetkingdom
公式XInstagram:@streetkingdomjp

 忘れられた歴史に光を当てることは、疑いようもなく素晴らしい。しかしそこには、不可避的に「フェアになれない」という代償がともなう。とりわけ熱狂的なシーンを扱う場合はなおさらだ。およそ2時間という映画の枠組みで、過ぎ去った日々のすべてを網羅することなど、論理的に考えて不可能だからである。
 シーンは一枚岩ではなく、10人いれば10人の解釈があり、当事者の思いも千差万別だ。映画として歴史を編む以上、どこかに焦点を絞らざるを得ず、必然的にこぼれ落ちる場面や、当事者から見て違和感のある解釈も生まれるだろう。そうしたリスクを引き受けてなお、作品を世に問うこと自体に大きな覚悟と意義がある。
 ついでながら、もうひとつ書いておきたいことは、小さいものほど大きいという逆説。そのレトリックはオリジナル・パンクの武器でもあったわけだが(未来はないという未来、面白くないという面白さ、etc)、まあ、それをここでは深追いしない。ただ、言わねばならないのは、演奏技術の高さ、洗練の度合いが音楽作品の強度また魅力を決定するとは限らないということ、近年の日本におけるシティポップおよびYMOのブーム、これら人気の大衆文化と時を同じにする日本のアンダーグラウンドで起きていた、パンク以降の小さなこのシーンが無価値ではなかったんだと、いま、あらためて問うことに意義がないとは思えない、ということなのだ。
 ワイアーという英国のパンク・バンドの1977年の曲にはこんな歌詞がある。「ただ見てるだけじゃダメだ、時間は過ぎていく。飛び込んで、その手で掴み取れ」。そして実のところ、みんなが飛び込んでしまった。レコードの売れた枚数は当時のメジャーと比べたら微々たるものだったろう。だとしても、リスナーを単なる消費者から「未熟であっても自ら表現する参加者」へと変貌させた影響力において、このシーンは圧倒的だった。日本のパンクには英国のような政治性がないと評されることもあるけれど、権威からは望まれていない行動を逆流的に展開すること自体、政治的アクションと言えやしないかと。
 ヴァルター・ベンヤミンは、歴史が常に「勝者の視点」で語られ、敗者の記憶が消し去られることを批判した。商業的な勝敗が、文化的な価値を決めるわけではない。つまり言いたいのは、人生の本質は勝ち負けではない、ということではない。これは勝ち負けで計ろうとする価値観を強制する権威への抵抗であって、すなわち歴史に埋もれた者たちの記憶を救い出すこと。その試みこそが、芸術が少数のエリートから大衆の手へと渡り、切実なメッセージを運ぶ手段へと変容した証左なのである。

 それにしても、本当によくやってくれました。1970年代末から80年代初頭、英米のパンクに触発された日本のシーン。その代表的な断片のひとつである「東京ロッカーズ」を題材にした『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』において、田口トモロヲ監督はこのシーンの魅力をあぶり出すことに成功している。映画に描かれたひとコマひとコマには意味があるし、そこにはメッセージを伝えるナラティヴが宿っている。そしてそれは、いまの音楽文化が失いつつあるものかもしれない。ひとりでも多くの人がこの映画を観て、日本にもこんなシーンがあったのだと知ってほしい。そう願うのは、決してぼくの個人的な時代愛(パトリオティズム)だけが理由ではないのである(と思います)。
 国際舞台では、ことにエレキング周辺のアーティストたちからは、『鉄男』(塚本晋也監督)における驚異的な演技で多くのファンを持つ才人、『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』の監督を務めた田口トモロヲに話を聞いた。

自分だけができるようなテーマの映画を監督したいなと思っていて、「これだ!」と思ったんですね。『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は自分しか撮らないし、撮れないだろうと思いました。

いま(2月25日)、松山晋也さんといっしょに、まさにその時代の日本のパンク/ニューウェイヴの特集号を作っている真っ直中なんです。それは、今回の映画のことを考えずに、数年前からふたりで企画していたものなんですが、嬉しいことに、映画『ストリート・キングダム』の内容とも重なりました。映画に関係しているところで言うと、地引(雄一)さんと小嶋さちほ(チホ)さんにインタヴューしていまして、〈フジヤマ〉の渡辺(正)さんにも取材しました。

田口:渡辺さんたち、よくインタヴューを。

映画のなかで、唯一、唐突に現代になるのが、三茶の〈フジヤマ〉の場面でしたね(笑)。あのシーンも良かったです。ぼくは映画自体、とても楽しく観させていただいたのですが、まずは、今回の企画をやられた契機というか、モチベーションといいますか、お気持ちの部分を聞かせてください。

田口:原作になった地引(雄一)さんの『ストリート・キングダム』を読んだときに、とてもワクワクしたんです。ぼくにとって、あれはジャストなドキュメントだったんです。読み物としてもほんとうに楽しく読めて、「ああもう、この人たちのこと大好きだった」という思いを掘り起こされまして。
それでふと考えると、日本のロック・フェスが盛んになって、いまでは何万人とか集まる状況になっているのに、この人たち(東京ロッカーズの時代のシーン)のことがまったく語られていないと。まさに、若い人たちは知らないんじゃないかと思いまして。フェスであったりとか、ライヴハウスの使い方であったりとか、そういう(現在に通じる)システムの開拓者たちなのに、その人たちの名前がネットを見ても出てくることがないんです。
ちょうど2015年だったと思うんですけれども、前の監督作品(『ピース オブ ケイク』)が終わったあとに、次は、自分にしか撮れない、自分だけができるようなテーマの映画を監督したいなと思っていて、「これだ!」と思ったんです。『ストリート・キングダム』は自分しか撮らないし、撮れないだろうと思いました。それで、地引さんは知り合いだったので直で電話しました。ですから、今年公開で11年目になっちゃうんですけれども、もう10年前ですね。

『ストリート・キングダム』の初版は1986年にミュージック・マガジン社から出たじゃないですか。で、2008年にDVD付きで増補版が出ました。どちらを読まれたんですか?

田口:DVD付きの増補版ですね。

ぼくもそうです。あの時代のあのシーンは、いろんな人たちが関わっていて、東京だけではないし、たとえば関西は関西で素晴らしいシーンがありましたよね。地引さんの『ストリート・キングダム』は、あくまでも地引雄一さんといういち個人のレンズを通してみたシーンなわけで、まあ、地引さんはたいへんフェアな方なので、本のなかではたくさんのバンド、たくさんのアーティスト、レーベルを紹介されているんですけど、やはり、どうしても全体を見せることはできないし、フェアになりきれない部分もあると思います。そのリスクの部分はどういうふうにお考えになりましたか?

田口:最初の構想では、出てくるバンドとか、出演する人物とかももっと多かったんですよ。でもそれだと収集がつかない。だから、作者である地引さん、映画のなかではユーイチという主人公になりますから、ユーイチ目線に絞ることによって見えてくる風景も絞られていく、そういう形にしました。まあ、映画化するにあたっては、絞らざるを得ないっていうのが現実です。
当初の予定では、人物にしてもバンドにしてももっと多かったんですよ。でも、それをテスト的に読んでもらったりしたら、全然わからないっていう意見が多かったんです。登場人物が多すぎるし、どこに焦点を当てて読んだらいいかわからないっていうふうに言われましてね、そこから試行錯誤しながら、泣く泣く、絞っていったっていう経緯がありました。

いや、そこは仕方ないです。ドキュメンタリーではないので、そうせざるを得ないですよね。しかも、こうした熱狂的なシーンを題材にした場合、当事者だった人のなかには、「いや、それは違うんじゃないか」と言う人だっているだろうと、そういうリスクも想定されていたと思うんですよね。だから、勇気も要したプロジェクトだったんじゃないのかなって思うんですけど、いかがでしょうか?

田口:たしかに、ぼくはもう、その人たちの背中を見てバンドをはじめた世代ですから、いわばみんなレジェンドなので、(間違ったことをやってはいけないという)そういう緊張はありました。けれども、このシーンを忘れている人たちに伝える、その媒体としてやっぱり自分ができるのは映画だなと思っていたんです。自分もその人たちのファンだったわけだから、熱烈なファンとして、自分のやり方で発表することに関して迷いはなかったですね。

なるほど。ちなみに、田口さんが日本のなかのこうしたパンク/ニューウェイヴのシーンを最初に知ったのは、だいたいいつぐらいのことで、きっかけは誰だったんですか?

田口:最初は、東京ロッカーズのアルバム(1979年の『東京ROCKERS』)でしょうか。あれが出たとき真っ先に買いました。それ以前にも、『NO NEW YORK』というアルバムが出ていたので、世界同時多発的にそういったパンク/ニューウェーブのオムニバス・アルバムがいろんなところで出るんだ、っていう面白さと衝撃、そこからです。

そのときはおいくつだったんですか? 

田口:まだ学生でした。20歳ぐらい。

ぼくは静岡という地方都市の高校生でした。日本にパンクのシーンがあるということが嬉しくかったし、絶対に聴いてやろうと、で、『東京ROCKERS』の1曲目、フリクションの“せなかのコード”を聴いた瞬間、なんてかっこいいんだろう!って。田口さんは、ライヴハウスには行かれてましたか?

田口:はい、行ってましたね。でも東京ロッカーズは間に合わなかったんですよ。その後の、個別にいろんなバンドのライヴは観ていました。

とくに好きだったバンドはなんでしょう?

田口:いやー、どうでしたかね。いろんなことを好きになっていく過程の時期だったし、シーンひっくるめて好きだったので。古い既成概念を壊して、新しいシーンを作ろうとしているバンド自体が。この映画のなかでいうと、江戸アケミさんですかね。じゃがたらのアケミさんからは圧倒的に影響を受けました。アケミさんの詞が刺さったし、行動も。

ガガーリンやばちかぶりの印象で言わせていただくと、やっぱり、じゃがたらとスターリンっていうのが大きかったんじゃないのかっていうふうに、勝手に想像するんですけど。

田口:スターリンはすでに、ある意味、スターダムに乗ったレジェンドだったので。ただ、じゃがたらの初期であったりとか、あと同世代で言ったら、マスターベーションとか、あぶらだこ、ハナタラシですか。そういう同世代の人たちと、ちょっと大げさに言うと競い合いながら、では自分たちにはどういう表現ができるのかっていうことは意識していました。ただ、(スターリンのような)上の世代には、もう、かなわないっていう風には思ってました。

とはいえ、田口さんには、ステージ上での数々の過激なパフォーマンス、伝説があるじゃないですか。スターリンや江戸アケミさんみたいな方々の、ある一線を越えていいのか悪いのかみたいな、ギリギリのところでやられた表現っていう、ああいったものを真面目に継承していらっしゃったというか、そんな風に思っていたのですが。

田口:そういう大げさな感じではないですけれども、なにか前衛的なことをやってもいいんだっていうのはありました。ただ、彼らの世代はそういうことがシリアスなんですよね。学生運動も通過しているし、政治の季節も経験している。自分は、あそこまでシリアスになれないっていうことで、じゃあ、自分たちにはどういう独自性があるのかって考えたときに、ユーモアという武器をまとって表現しようと、っていうことですかね。
同時期にジョン・ウォーターズの映画『ピンク・フラミンゴ』を字幕抜きで観ているんです。その強烈なブラック・ユーモアとでたらめさ、それにも衝撃を受けました。そういった自分が影響を受けたいろいろなものが渾然一体になって、バンド活動であったりとか、アングラ演劇活動といったものに出していった感じでしたね。

田口トモロヲさんは、上杉清文さんの発見の会みたいな、日本の70年代から連綿と続いているアンダーグラウンド文化も継承されている。ヒカシューの巻上公一さんも寺山修司/東京キッドブラザースから来ていますが、そういう風に、まぶしい文化が見えなくしてしまっている、日本の面白い文化を受け継がれながら、21世紀の現代で、ちゃんとそれをこういう大きな舞台でも表現活動していることが、ほんとうに尊敬するというか、素晴らしいと思います。

田口:ありがとうございます。

田口トモロヲさんという文化のハブからいろんなところに行けますよね。で、なんどもしつこくて申し訳ないのですが、田口さんのなかでスターリン(劇中名、解剖室)とじゃがたら(劇中名、ごくつぶし)をどう捉えているのでしょうか? いや、映画のなかで、リザード(劇中名、TOKAGE)、フリクション(劇中名、軋轢)、ゼルダ(劇中名、ロボットメイア)以外のバンドで、大きな意味を持つのが、このふたつのバンドだったので……。

田口:スターリンのミチロウさんは『宝島』とかでバンバン特集とか組まれていて、当時はもう大スターだったんです。でも、学生時代、北千住にあった甚六屋というライヴハウスに友部正人さんを観に行ったときに、前座でミチロウさんが出ていたんですよ。ひとりで、フォークで、“電動こけし”っていう曲を歌っていたんです。まだパンクになる前です。

それは貴重ですね! 自閉体?

田口:自閉体の前です。フォーク・シンガーだったころの、だから、パンクをやる前です。「電動こけし」っていうワードも強烈でした。友部さんにではなく、どちらかというと三上寛さんに近い、そういうワード・センスがすごく印象に残っていますね。
それから何年か経って、ぼくが官能劇画を生業として描くようになったとき、ある劇画誌にミチロウさんがエッセイを書いていたんです。そこで「いまはパンクだ。自閉体っていうバンドを作った」と言ってるんです。それを読んで、「これってあのときの人じゃない?」と思っていました。パンクという引き金を見つけて、フォークじゃなくバンド、パンクという表現方法に変わっていったんだっていうのを読んで、それはわかるなあって思いました。パンクって……何をやったらいいかわからない人、若い人たちにいろんなヒントと引き金を与えてくれた音楽であり、各自のリアルを考えさせる音でした。

あのシーンを、ありものの映像を編集したドキュメンタリー作品ではなく、俳優たちが演じるひとつの物語(フィクション)として制作されました。たとえばイギリスでは、そういう映画、『シド・アンド・ナンシー』とか『24アワー・パーティ・ピープル』とか、アメリカでも、俳優が演じるボブ・ディランの映画とかドアーズの映画とか、いろいろあるんですけど、なぜか日本にはなかったんですよ。この点でも、『ストリート・キングダム』は風穴をあけるであろう作品になったと思いますけど。

田口:まあ、たいへんでした。そういうの(海外のように実名を使った映画)ができたらいいなっていう希望は持っていましたけれども、ここまでたいへんだとは思わなかった。友人たちが観てくれて、純粋に質問として「なんで実名でできないの?」っていうふうに聞かれますけど、できなかったんだよと(笑)。

なぜ、モモヨではなくモモなのか? と。

田口:海外のそういう音楽映画と制作状況が違う。たとえば『ボヘミアン・ラプソディ』みたいに、映画の内容に対しても、実人物が意見も言えるという契約もあるらしいじゃないですか。(映画を)観てここはダメだとか、脚本にも口を出せるとか、今回は、作っているときに、頭のなかで思い描いていたことが、どんどん変化して。現実問題として、ここはどうすれば成立するのか、というふうに学んでいくプロセスでもありました。

設定が現実とは違うところもあるじゃないですか。例をひとつ挙げれば、小嶋さちほ(チホ)さんのご実家は印刷屋ではない、でも、映画では印刷屋さんになっています。そのあたりは、宮藤官九郎さんの意見もあったりとか、あえて現実に即さなくてもいいのではないか、みたいな感じだったんですか?

田口:できる限りのことは真実の物語として再生はさせましたけれども、物語として、ドラマとして立ち上げないと映画化には難しいところもあって、最終的にああいう形になりました。そこは、地引さんとも話して、いろいろ意見をいただきました。

でも、あの映画で伝えたいことっていうのは、そういうディテールではないわけですから。重要なディテールっていうのは、もちろんあるんですけれども、おっしゃることわかります。

田口:映画作りは、実現するまで制作状況や現実との戦いなんですよね。海外の映画ではできているのに、どうして? みたいに言われたりもしますけれども。これが限界とは言わないまでも、自分がいまできる範囲でのベストな形の作品にはできたと思っています。
いまはクラウドファンディングとかもありますからね。お金を出してくれる人たちが多大にいて作っていくっていうことも、これから先は可能になっていくでしょうね。それはたぶん、どんな仕事をやっていても、日本の環境っていうか、音楽雑誌をやられていても、その大変さを感じると思うんですけど、それが映画制作においてのリアルなんです。

映画はもっと規模が大きいですからね。ここでは言えないような困難もたくさんあったと思います。本当によくあそこまでちゃんとしっかりと完成させていただいて、ぼくが言うのもなんですけど、ありがとうございます!

田口:いやいや、とんでもないです。

もう、何年も前ですが、この企画の話は地引さんから直接聞かされていたんです。で、じゃがたらの関係者だった大平ソーリさん。

田口:はい。

ソーリさんからもこの企画のことを聞かされていて、「アケミが重要なところで出るらしいんだけど、どうなんだろうね?」って。ぼくも「どうなんでしょうね?」って。

田口:不安しかないですよね(笑)。

売れる売れないとかではなくて、自分たち、自分自身を売らないっていうことがまだ通用した時代だと思うんですよね。いまはもう喪失しているかもしれないし、そこのスピリットは確実に描きたいなと思っていました。

で(笑)、試写に行ったんですけど、とても感動しましてね、地引さんに「良かったです」とメールして、大平さんにも、「ぜひ観てください」ってメールしたんです。その感動的な場面のひとつに、じゃがたらの“もうがまんできない”をみんなで歌うシーンがありますよね。あのミュージカル仕立ての場面には、どんな意図があったんですか?

田口:あれは、もう、ぼくのわがままですね。制作が終わりのほうにいくにしたがって、もうひとつ、映画的な表現ができないかなと考えていたんです。そこで、自分が大好きな曲を。“もうがまんできない”は、アケミさん、じゃがたらの曲のなかでも変わった曲なんです。

はい、最高の曲のひとつですよね。

田口:「もうがまんできない」という歌詞はいっさい出てこない、「心の持ちよう」で厳しい世のなかにコミットしていくっていう曲で、これはいまにも通じるなと思いました。だから、後半に主人公たちがあれを歌うことによって、映画全体のメッセージを印象的にして、映画自体を強度にできると思ったんです。

あの場面も良かったんですけど、ぼくがこの映画でいちばん感動したのは、主人公のモモが悩むじゃないですか。売れる音楽を周りからは要求される。でも、売れる音楽を作ることが正しいのかと、彼はつねに反発する。あれは売れる音楽への反発ではなく、売れるか売れないかでしか作品を計ろうとしない考え方に対する反発ですよね。だとしたらモモはまったく正しい。あれは現代への大きなメッセージになっていると思いました。モモが悩み、反発するシーン、あの映画のなかではすごく重要な場面ですよね?

田口:そうですね。目撃者であるユーイチとモモとの対話。ユーイチが気軽に言った言葉すらも、モモにとっては、すごく真剣に、お前までそんなこと言うんだっていう。そこには、それぞれの事情と感情があるわけです。友情で同じ方向を向いているはずなんだけれども、些細なことの価値観が違う。しかも、そのことに関してはお互い譲れないっていう部分を描きたかったんです。そういう人たちだったと思うんですよ。妥協なく理想を追うあの世代の人たちは。

あの場面からもうひとつ引き出せるのは、損得勘定ではない価値観っていうのがあるとうことだと思います。東京ロッカーズの人たちにしても、当時のあのシーンのど真ん中にいたどんなバンドも、10万枚とか20万枚とか、ヒットを飛ばした人なんてほとんどいないわけですよ。だから商業的には失敗だった。でも、まさに、田口さんが言われたような、あそこからはじまったライヴハウスの文化があって、こんなにも状況を変革するような、価値ある革命を起こした。あるいは、楽器を弾けない素人が、好きなように好きな音楽をやっていいんだっていう、生き方の可能性だって切り開いていったわけで、やっぱりすごく大きなことをしたんですよ。だから、最後にリザードの“宣戦布告”のカヴァーが流れたとき、思わず涙腺が緩んでしまって……。

田口:曲名が “宣戦布告” ですから。

峯田和伸のあの清々しい歌い方がまた良いんですよ。もっていかれてしまいましたね、あのエンディングには。

田口:売れる売れないとかではなくて、自分たち、自分自身を売らないっていうことがまだ通用した時代だと思うんですよね。いまはもう喪失しているかもしれないし、そこのスピリットは確実に描きたいなと思っていました。

ぼくが行った試写会は、二回目か三回目でしたが、満席で、その後もずっと試写会が満席だったと聞いています。人気俳優が揃っているというのもあるんでしょうけど、やっぱ、この時代に、多くの人が求めているものあの映画にはあるんじゃないかと思います。すでに多くのリアクションをもらっていると思いますが、いまのところ、いかがですか?

田口:思っていたよりすごく良い反応で、ほっとしています。今回は、地引さんという尊敬する原作者がいますし、ぼくにとってはすごい人たちを、好きな俳優さんたちにやってもらった。そこは全部ぼくが責任を取るからねと、現場でも俳優さんに言いました。まあ、公開されるのはこれからですから。お金を払って観てくださるお客さんがどう感じるかっていうのは楽しみであり、もうドキドキです(笑)。

※映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、3月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。地引雄一『ストリート・キングダム 最終版 東京ロッカーズと80’sインディーズ・シーン』は3月27日、SLOGANから刊行。松山晋也・監修『別冊エレキング:J-PUNK / NEW WAVE——革命の記憶』は3月31日、ele-king booksから刊行。


 以下、蛇足(思い出とおさらい)。
 リザードが静岡にやって来たのは、ぼくが高校二年生のときだった。人生で初めて体験したパンク・バンドのライヴである。会場は「サーカス・タウン」という、山下達郎の作品名から取られたステージもない小さなライヴハウス。(そこは、その3年後、16歳だった石野卓球の「人生」がデビューを飾る場所でもある)
 さて、客はわずか10人ちょっと。その全員が15歳から17歳といったところ。いっしょにその場にいた市原健太(現在は静岡の古書店「水曜文庫」を営んでいる)の記憶によれば、出番前のモモヨは脇に雑誌『ユリイカ』を挟んでいたという。ジョン・サヴェージがとある講演で「ギャラガーよ、パンクは本を読んだのだよ」と語った通りだ。
 50人も入れば満員の空間で繰り広げられた演奏は、荒々しいガレージ・パンクそのものだったと記憶している。作品化されたどの音源よりも、ぼくのなかではあの夜の演奏がベストだ。入場料はたしかドリンク代込みの1200円ほど、いま振り返れば、コーラを飲んで暴れ回る高校生たちを相手に、あんなにも真剣な演奏を届けてくれたことへの感謝しかない。採算など度外視だったに違いないあのステージを、バンドは一切の手抜きなしでやり遂げてくれた。小さなライヴハウスから大きな世界が広がって見えるほどに。
 パティ・スミスが“マイ・ジェネレーション”のカヴァーにおいて、熱狂的に繰り返したフレーズがある。「私たちは若い、とっても若い、若い、若い、若い……とっても若い、若いんだ」。あの場所はまさに、そういう現場だった。パンクにとっての「若さ」とは、大人になるための準備期間を意味しなかった。たとえその帰着が「怪物」であったとしても、「何か別のモノ」になろうとする激しい欲望そのものだった。ディック・ヘブディッジが分析したように、パンクとは「あらゆる異なるユース・カルチャーのスタイルを集め、安全ピンで繋ぎ合わせた生けるコラージュ」だった。(その雑食性こそが、ポスト・パンクへと展開するポテンシャルだった)
 あれは出発の合図だった。セックス・ピストルズはあっという間に終わっていたが、世界は確実に変わりはじめていた。毎月の新譜が楽しみでならず、同級生の家には新しいレコードが増えていった。あいつの家に行けばプラスティックスが聴けたし、あいつの家にはP-MODELがあって、近所の友人宅にはリザードがあった。ぼくはといえば深くのめり込んでしまい、そりゃまあ、いろいろと……
 では、最後に歴史のおさらいを。

「去年のいまごろ、俺は音楽について書くのを完全にやめようと考えていた。すると突然、あらゆる業界誌のジャーナリストから電話がかかってくるようになった。“パンク・ロック”というこの新しい現象について知りたいというんだ。最初、俺は少し混乱した。俺にとってパンク・ロックとは、1966年あたりの薄汚い鼻先を突き出したザ・シーズやカウント・ファイヴのようなグループで、ストゥージズが解散し、ディクテイターズの1stアルバムが惨敗したときに、死んで葬られたものだったからだ。
だったら、いまからわずか1年前の、そこにはたったひとつのものしかなかったことを忘れないでくれよ。ラモーンズのファースト・アルバムのことだ。 あのレコードがこれほどの影響を与えるとは誰が予想できただろうか。それと、セックス・ピストルズの“アナーキー・イン・ザ・ UK”、その獰猛的な鋭さ。それだけで十分だった。突然、水門が解き放たれたかのように、世界中で一千万もの小さなグループが突っ込んできた。彼らはギターで人びとを叩きのめし、すべてに退屈し、うんざりしているという支離滅裂な不満をわめき散らした。
俺もうんざりしていたし、君たちもうんざりしていた。リンダ・ロンシュタットのニヤケた弱々しい泣き言を聴くくらいなら、どれほど惨めな対価を払ってでもスローター・アンド・ザ・ドッグスを聴く方がマシだった。レコードを買うのが再び楽しくなった。その理由のひとつは、これらのグループがすべて、偉大なロックンロールの“知ったことか、ぶちかませ”という精神を体現していたからだ」 ——レスター・バングス(1977)

interview with Flying Lotus - ele-king

 布石はあった。前回のEP「Spirit Box」(2024)の1曲目はハウスだった。さらに同作でフライング・ロータスはみずからのヴォーカルを披露してもいた。これはきっと近年、なにかしら意識の変容があったにちがいない──。先週リリースされたばかりの新作EPは、そんな変わりゆく彼の現在形をみごと映しだしている。「Big Mama」はヒップホップの文脈でもジャズのそれでもなく、一気にエレクトロニック・ミュージックの文脈に振りきれた内容に仕上がっているのだ。

 2枚目『Los Angeles』(2008)で時代の寵児となって以降、エレクトロニカ、ヒップホップ、ジャズ、そのいずれの枠にも収まらないことにより因習を打破してきた彼は、5枚目『You’re Dead!』(2014)まではコンスタントに、2年おきにアルバムを発表してきた。そんな彼が5年もの歳月をかけて送り出したのが6枚目にして現時点での最新オリジナル・アルバム『Flamagra』(2019)だったわけだけれど、フライング・ロータスというプロジェクトの集大成のごとき同作からも、すでに7年近い月日が過ぎ去っている。
 むろん『Flamagra』以後、音楽活動を控えていたわけではない。映画の分野に活路を見いだしたスティーヴン・エリスンは、それと連動するかのように『Yasuke』(2021)、『Ozzy's Dungeon』(2022)、『Ash』(2025)と、いくつものサウンドトラックを手がけている。とはいえやはり、正直に告白するなら、勘ぐらずにはいられなかった。超大御所のハービー・ハンコックや当時すでに「時の人」だったケンドリック・ラマーらを招き、唯一無二のジャズを発明してみせた『You’re Dead!』のあと、なにかしら転機のようなものが訪れていたのではないか、と。たとえば「もうやれることはやりきった」というような──
 そんなこちらの勝手な憶測を覆しにきたのが「Spirit Box」であり、今回の新作EPだ。つぎつぎとめまぐるしく展開していく「Big Mama」は、ジャングルを崩したようなビートの曲でもって幕を開ける。ヒップホップの要素は薄い。ジャズの因子は、消失しているとまではいえない。たとえば “Captain Kernel” の旋律はまるでサンダーキャットが演奏しているかのようで、このフュージョン感は “Brobobasher” や “Pink Dream” でも味わうことができる。
 もっとも注目すべきはチップチューンの導入だろう。“Antelope Onigiri” を筆頭に、 “In The Forest - Day” や “Horse Nuke”、最後の “Pink Dream” まで、ヴィデオ・ゲーム・ミュージックからの影響こそが「Big Mama」に大いなる個性を与えている。もちろん、これまでの作品でもそうした断片が散りばめられることはあった。ただ今回は、あのなつかしい響きがとびきり耳に残るのだ。かくしてレトロの切れはしをまったくレトロではないスタイルでもって有効活用することにより、フライング・ロータスはいま、ひとりのエレクトロニック・ミュージシャンとして自身の殻を破ろうと奮闘している。

いまはあらゆるものがアルゴリズムで動いているような世界だよね。すべてが理屈どおりに整っていて、意味が通るようにつくられている。だからこそ俺は、もっと生き生きとして、カオスで、本物だと感じられるものをつくりたかったんだ。

まずは最近のあなたの動向をおさらいしておきたいです。近年で大きかったのはやはり、2025年に公開された映画『アッシュ ~孤独の惑星~(原題:Ash)』の、監督と音楽を担当したことでしょうか。それはあなたのキャリアにおいて、どのような未知の体験をもたらしましたか?

FL:ほんとうにたくさんのことをもたらしてくれたよ。キャリアという意味だけでなく、人生そのものに、たくさんの未知のことや予想もしなかった出来事をもたらしてくれたんだ。あの映画は、ある意味では自分の存在の進む方向を変えてしまったとも言えるような作品だった。この経験からほんとうに多くのことを学んだし、とても豊かなものを得ることができたんだ。あの映画をつくれたということ自体が夢の実現だったからね。正直なところ、あのレヴェルで作品づくりができるというのは、ほんとうに特別な体験だったよ。あんな経験はほかにはないね。だから、関わってくれたみんなと一緒に仕事ができるということを、心から楽しんだ感じだった。それにそういう経験こそ、ずっと望んできたことだったんだ。子どものころに『ジュラシック・パーク』を観て以来、ずっと映画をつくりたい、SF作品をつくりたいと思っていたから。だから、ほんとうに多くのことを学んだし、自分の能力に対する自信も大きくなった。音楽で培ってきたスキルにも頼らなければならなかったし、映画制作のスキルにも頼る必要があったからね。これまで人生のなかで学んできたすべてを映画制作に応用しなければならなかったんだ。それは、創造的な意味でも本当に大きな報酬をもたらしてくれる、非常に充実した経験だったね。

サウンドトラックといえば、あなたは以前『Yasuke -ヤスケ-』(2021)の音楽を手がけてもいます。『Yasuke』にはヒップホップも含まれていましたが、それと聴き比べると『Ash』のほうは宇宙の無重力状態を想起させるような曲、アンビエント寄りの曲など、これまであまり見せてこなかったスタイルの曲が多いです。そのちがいは、映画の内容のちがいだけに起因していますか?

FL:映画音楽について言えば、映画に対して「音楽はこうあるべきだ」と押しつけてしまうのは間違いだと思うんだ。むしろ大事なのは、その映画がなにを見せようとしているのか、どんな作品なのかをよく「聴く」ことだと思う。それに応えるかたちで音楽をつくる。多くの場合はそうだと思うよ。もちろん、もっと優れた監督なら、物事をよりうまく導くことができるのかもしれない。でも俺の場合、プロセスを信じるようにしているんだ。編集作業がはじまると、いろいろなものが少しずつ姿を現してくる。テンポやリズムも見えてくるし、合うと思っていた音がじつはちがったとか、この音こそがこの映画の音だとか、そういうことがわかってくるんだ。つまりその映画がもっている感覚に対して反応していく、という感じだね。

通訳:『アッシュ ~孤独の惑星~』にかんしては、映画の撮影に入るまえに音楽は書きあげていたんですか?

FL:いい質問だね。じつは撮影をはじめるまえにかなり多くの音楽を録音していたんだ。でも、そのほとんどはうまく機能しなかった。おそらく1曲か、せいぜい2曲くらいは使えたかもしれないけれど、俺がその映画のためにつくった曲の多くは、結局使えなかったんだよね。というのも、最終的に自分がつくった映画は、音の方向性がまったくちがうものになっていたから。だから、ほとんど一からやりなおすような感じになってしまった。でも、それもすごくいい経験だったしとても楽しかった。ああしたことを学べたという意味でも、ほんとうにすばらしい経験だったね。

ひとつ前のEP「Spirit Box」(2025)では “Ajhussi” で大胆にハウスに挑戦しており、驚かされました。同EPではヴォーカルにも挑戦していましたね。当時、なにか心境なり環境なりに変化があったのでしょうか?

FL:パンデミックのあいだに、ハウスっぽい曲やダンス寄りの曲をたくさん書くようになったんだよね。踊りたかったから(笑)。どこにも出かけられなかったし、外に遊びに行くこともできなかった。だから、自分が踊りたいと思える音楽を自分でつくるしかなかったんだ。それが、そういう方向で曲を録音していく流れにつながったんだろうね。とはいえ、じつは昔からそういうサウンドはやっていたし、ハウスっぽい曲やファンクっぽい曲はずっとつくっていて、ストックのなかにしまっていた感じなんだ。それを前面に出すことはあまりしてこなかったけれど。でもあのプロジェクトでは、もっとグルーヴがあって、楽しくて、踊れるものをやりたいと思ってたんだよね。

今回、新作の「BIG MAMA」を〈Warp〉からではなく自身の〈Brainfeeder〉からリリースすることになった経緯を教えてください。

FL:その決断の理由はほんとうにシンプルで、〈Warp〉との契約期間がちょうど終わったことが大きかったんだ。契約を更新して新しい形でつづけることもできたし、あるいは自分の道を進むこともできた。そういうタイミングだったんだ。それに、〈Brainfeeder〉ではとてもいい環境を築いてきていると感じていたから、ここで試してみたいと思った。いまのところはすごく順調だね。もともと、ここにいるみんなとはすでに一緒に仕事をしてきたけれど、いまはより密接に関わりながら進めているよ。これからの時間を最大限に活かそうとしているところだし、将来的にはまた〈Warp〉と一緒に作品をつくれたらいいな、とも思っているんだ。彼らのことはほんとうに大好きだし、一緒に仕事をした経験もすばらしかった。これまでにもいい作品をたくさんつくってきたからね。だから、またいつかなにかいっしょにできたらいいな、と思っているよ。でも、いまはまず〈Brainfeeder〉でやっていきたいという感じだね。

通訳:なぜ〈Warp〉との契約更新ではなく、〈Brainfeeder〉での活動を選んだのでしょう? これまで長いあいだ〈Brainfeeder〉を運営してきたのに、なぜいま〈Brainfeeder〉から作品を出そうと決めたんでしょうか。

FL:そうなんだよね。これは、〈Warp〉との契約上の問題が大きくて。〈Warp〉との契約では、他のレーベルでちがうことをやることができなかったし、再契約することで〈Warp〉では、いままで自分がやってきたようなことができなくなってしまう可能性があったから。

通訳:では、ある意味作品の性質上〈Brainfeeder〉を選んだ、というより、もっとプラクティカルな都合上という感じだったんでしょうか。

FL:そのとおりだよ。音楽性の問題というよりも、契約上の問題にすぎないという感じだよ。

通訳:将来的には〈Brainfeeder〉と〈Warp〉から、ちがったタイプの音楽やプロジェクトをリリースする可能性もありそうですかね?

FL:そうなったらいいと思うけどね。まあ、なりゆき次第かな。

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俺の強みは、一瞬のビートだけではなくて、作品全体の絵をつくることなんだ。

今回、ヒップホップにもわかりやすいジャズにも頼らなかったのはなぜですか?

FL:俺は、この作品にもジャズの要素はあると思っているけれどね。いわゆるトラディショナルなジャズというわけではないけれど、演奏やソロの部分にジャズ的な要素がたくさん入っていると思う。俺にとっては、むしろほかのなによりもジャズに近い感覚だね。というのも、多くのパートがインプロヴィゼイションの精神でつくられていて、あまり考えすぎず、音楽が生き生きとしているように感じられるものにしようと考えていたからなんだ。そういう意味では、これまで以上にジャズ的だと思っているよ。ヒップホップの要素は、たしかに少し控えめかもしれないね。でもそれは単純に、自分にしかつくれないものをつくりたいと思ったからなんだ。このプロジェクトで俺がやったことは、ほかのだれにも真似できないんじゃないかという感覚もあるし、それをとても誇りに思っているよ。すごく独自性の強い作品になったと思う。よくも悪くも、という感じだけれどね(笑)。

今回、全体的にチップチューン的なサウンドが耳に残りました。ひさびさにあなたのヴィデオ・ゲーム・ミュージック愛が濃く出た作品なのではないかと感じましたが、ご自身ではどう思いますか?

FL:ほんとうに? それは嬉しいなぁ。俺の好きなサウンドだから。

通訳:そういうサウンドはあえて入れたのですか?

FL:そうだね。意図的に入れたんだ。俺はヴィデオ・ゲームとゲーム音楽が大好きだから。人生のなかでも大きなインスピレイションになってきたんだ。だから、この作品のなかにもそうした要素は確実に織り込まれているよ。それに加えて、聴いたときにノスタルジーを感じられるようなものにもしたかった。遊んでいたころのことを思いだしたり、子どものころの感覚を思いだしたりするような。そういう気持ちにさせてくれるものにしたかったんだ。だからこの作品は、どこか子どもっぽさがあって、純粋に楽しいと感じられるような音楽にしたいと思っていたんだよ。

あなたは以前、ハービー・ハンコックというレジェンドとコラボレイトしています。また、LAのシーンないし〈Brainfeeder〉周辺では、サンダーキャットやルイス・コールなど一流の技術をもった楽器演奏者が活躍しています。今回、打ち込みにこだわったのは、そうしたプレイヤーたちの活躍を意識して、あえて逆を狙ったのでしょうか?

FL:このEPにも、すばらしいキーボード演奏がたくさん入っているよ。もしかするとわかりにくいかもしれないけれど、ほんとうにすごい演奏がいろいろと使われているんだ。つまり、この作品にもかなりしっかりした楽器演奏が入っているんだよね。ただ、この作品はそれ自体で独自のものをもっている。とてもテクニカルな感触もあるし、同時にすごくジャズ的でもある。演奏のニュアンスというか、音をきちんと聴けば「うわ、すごいな」と感じるようなものなんだ。演奏がわかるひとなら聴いたときに、「なるほど、これはすごい」と思うはずだよ。俺にとっては、この作品はまさに自分が夢中になって楽しめるタイプのものなんだよね。今回のプロジェクト全体が、そういう意味あいをもっていた。自分にとって技術的な挑戦と言えるようなものをつくりたかったし、電子音楽でありながら、生きている感じや即興性を持ったものにしたかったんだ。いまはあらゆるものがアルゴリズムで動いているような世界だよね。すべてが理屈どおりに整っていて、意味が通るようにつくられている。だからこそ俺は、もっと生き生きとして、カオスで、本物だと感じられるものをつくりたかったんだ。

通訳:インプロヴィゼーション・プログラミング・ミュージックとも言える新境地を開拓したという感じですね。

FL:まさにそのとおりだよ。それと、どちらかというと意識の自然な流れをキャプチャしたような感覚だね。

4月には〈Brainfeeder〉からサンダーキャットのひさしぶりのアルバム『Distracted』が出ますね。あなたも参加しています。あなたは長いこと彼を間近で見てきたわけですが、彼の最新アルバムはあなたからするとどのような作品に仕上がっていますか?

FL:いい質問だね。そうだね、なかなか興味深い作品だと思うよ。彼はいま、すごく面白い地点にいると思うんだ。新しいアルバムが出るまでにかなり時間が経っているし、この数年で彼自身もひととして大きく変わってきたから。そうした変化は、きっと音楽にも反映されていると思う。だから、みんながこの作品をどう受けとめるのか、とても楽しみだよ。すごく興味深いアルバムなんだ。きっと、もう少し具体的な話……いわゆるネタバレみたいなことを期待しているのかもしれないけれど、それは言わないでおくよ(笑)。ただ、とても面白い作品だし、これまでの彼の音楽に慣れ親しんでいるひとにとっては、少しちがったものに感じられる、とだけ言っておこうかな(笑)。

『ガーディアン』のインタヴューで「 “ロウファイ・ビーツ” はスターバックスの音楽のようになっている」「以前やっていないことにトライしなければならない」と語っていました。新作の「BIG MAMA」を自分で採点するとしたら、満足度はどれくらいですか?

FL:どう評価するか、ってこと? そうだな……かなりすばらしい作品だと思うな。じつは、今日も聴いてみたんだけど、面白いことに2年前につくった作品なのにまったく飽きないタイプのプロジェクトなんだよね。自分がこの作品でやったことにはとても満足しているし、いま聴いてもまだまだ挑戦的に感じられるんだ。聴きながら、自分はこれをどうやってつくったんだろう? って思ってしまうくらい。どうしてこんなことができたんだ? ってね。そういうふうに感じられることは、とてもいいことだと思うよ。

文章力を高めたいね。もっといい歌詞を書けるようになりたいし、本やいろいろな文章も書けるようになりたいから。そういう部分をもっと伸ばしていきたいね。いずれは回想録を書きたいとも思っているよ。

今回の制作方法は、これまでとどうちがっていたのでしょうか。

FL:だいたい2か月くらいを費やしたね。かなり集中してとりくんだんだ。最初の1か月は、とにかく音を録音することに費やした。すべてのサウンドについて意識的に選びながら、自分で録音した特定の音だけを使うようにしていたね。それから残りの1か月で、そういうものをまとめてかたちにしていった。つまり曲そのものよりも「音」に焦点を当てるプロセスだったんだ。パターンや構成よりも、まずはサウンドに集中するという感じだね。俺にとっては、これまでとは少しちがう制作のやり方だった。特別に大袈裟なことをしたわけではないけれど、アプローチとしてはこれまでとちがっていた、という感じだよ。

「BIG MAMA」は一見、反復するダンス・ビート集のようにも聞こえますが、じつはどの曲もすぐにどんどん展開していきますよね。7曲すべてがつながってもいます。

FL:うーん、その評価はちょっと不公平な気がするね。この作品にはループは使っていないし、おなじことを繰り返している部分もないから。そう聞こえるかもしれないけれど、じっさいには繰り返している部分はないんだ。すべての小節ごとになにか新しい要素が入っていたり、なにかしら変化が起きたりしているんだよね。

通訳:じつはどんどん展開していく、というふうにきちんと理解できていると思います。質問の仕方がよくなかったですね。このEPは7つのトラックに分けて収録されていますが、最後に全体を繋げた1曲にミックスされたものも収録されていて、7曲すべてがつながってもいますよね。

FL:もともとは、すべてをひとつの作品としてつくりたいと思っていたんだ。ひと続きのひとつの曲として成立するようなかたちにしたくてね。でも、いま自分たちが生きている音楽の環境も理解していて。15分もある曲を聴きたいと思うひとは、あまり多くないよね。だから、ストリーミング・サーヴィスのことなんかも考えて、いくつかのトラックに分けるかたちにしたんだ。

通訳:商業的な理由もあったんですね。

FL:そうだね。それに、よく考えてみると両方のいいとこどりをできるかたちでもあるんだよね。トラックごとに分かれているかたちでも聴けるし、ひとつの長い流れとして楽しむこともできる。だから結果的にはみんなにとっていいかたちになっていると思うよ。

通訳:リスナーに選択肢の幅を持たせるのは面白いですね。

もし本EPのリミックス12インチを出すとしたら、だれに頼みたいですか?

FL:いい質問だね。でも、そうだな……ちょっと考えて、あとで答えてもいい?

通訳:OKです。あとでまたお訊きしますね。では、次の質問に進みます。

ふだん日常で聴いている音楽のなかで、仕事とはべつに、いま個人的に夢中になっている音楽はなんですか?

FL:最近はドラムンベースやジャングルをよく聴いているね。シング(Thing)っていう若いアーティストも聴いているし、ブラック・オディシー(BLK Odyssey)もよく聴いているよ。ロッチェル・ジョーダン(Rochelle Jordan)の新しいアルバムも聴いている。それからマシンドラム(Machinedrum)の新しい曲もよく聴いているし、ほんとうにいろいろ聴いている感じだね。あと、長谷川白紙も最近よく聴いているよ。ちょうど〈Brainfeeder〉に新しいアルバムを提供してくれたところだから、それもみんなで聴いているところなんだ。

今年はあなたのファースト・アルバム『1983』の20周年です。この20年で、あなたにとってもっとも大きな転機となった出来事はなんでしたか?

FL:どこが転機だったのかは、自分ではわからないな。というか、いまでもまだ転回しつづけている感じだしね(笑)。うまく言えないけれど……どう答えていいのか正直わからないけど、特定の転機があったという感覚はあまりなくて、ずっと変化しつづけているし、つねに成長しているという感じなんだ。だから、この質問をしたジャーナリストからみて、「ここが転機だったんじゃないか」と思うところをむしろ教えて欲しいかな(笑)。

2023年にはラッパーのスモーク・デザ(Smoke DZA)とEP「Flying Objects」を送りだしていますよね。1枚丸ごとラッパーと組むのは珍しいと思いますが、同作の経験はあなたになにを与えましたか?

FL:じつは、ああいうかたちのプロジェクトをもっとやりたいと思っているんだよね。正直なところ、最終的にはラッパー次第だったりするんだけど。俺はここにいるし、いつでもやる準備はできている。彼がそれを望んだから、今回はそういうかたちになった、という感じだよ。もちろん、そういう仕事は喜んでやるけれど、できればひとつのプロジェクトについて、自分が唯一のプロデューサーとして関わるかたちがいいね。そこが自分の強みだと思っているから。俺の強みは、一瞬のビートだけではなくて、作品全体の絵をつくることなんだ。だから、いつかだれかとそういうかたちでしっかり組んで作品をつくれたらいいな、と思っているよ。きっとすばらしいものになると思う。

好きなハウスのプロデューサーがいたら教えてください。

FL:そうだな……特定の好きなハウス・プロデューサーがいるかと訊かれると、ちょっと難しいな。レオン・ヴァインホール(Leon Vynehall)は好きだね。純粋なハウス・プロデューサーというわけではないけれど、彼の作品はすごく評価しているよ。ただ、いろんなひとがときどきいい曲を出していて、そういうひとたちを聴くことは多いね。でも、「いまいちばん好きなプロデューサーはだれ?」と問われると、あまりはっきりした答えはないかもしれないなぁ……あ、ひとりいた! セヴン・デイヴィス・ジュニア(Seven Davis Jr.)だ。彼はすごくいいね。

通訳:彼に「BIG MAMA」のリミックスをお願いしたかったりしますか?

FL:それだ! 完璧だね(笑)。

かつて〈Brainfeeder〉がフックアップしたイグルーゴースト(Iglooghost)は、いまや新世代のエレクトロニック・ミュージックの代表格ともいえる存在になっています。彼の活躍をどう受けとめていますか?

FL:すごく嬉しいよ。最初から彼がすばらしいアーティストだということはわかっていたからね。これからも彼が自分のやりたいことをつづけていってくれたらいいなと思っているよ。とてもすばらしいことだと思う。

通訳:新世代のエレクトロニック・ミュージックについてはどんな感想を持っていますか?

FL:いいと思うよ。すばらしいことだと思う。みんなにとっていいことだと思うから。正直、あまり難しく考えることはないけれど……ほかになんと言えばいいかな。とにかくすばらしいことだし、このままつづけていってほしいね。みんなが成長しつづけて、挑戦しつづけていければいいと思う。

音楽家としてはもちろん、あなたはすでに映画作家としても道を歩みはじめています。あなたはいろんなことに関心があるのだと思いますが、これまでまだ手をつけていない分野で、将来あなたがやってみたいことはなんですか?

FL:とくに新しい分野に挑戦したいというよりは、まずは「書くこと」をもっと上達させたいと思っているんだ。文学的な意味での文章力を高めたいね。というのも、もっといい歌詞を書けるようになりたいし、本やいろいろな文章も書けるようになりたいから。そういう部分をもっと伸ばしていきたいね。それから、いずれは回想録を書きたいとも思っているよ。自分ひとりでというより、だれかといっしょにとりくめたらいいね。これまでの人生はかなり特別なものだったと思うし、できればなにも忘れることなく残しておきたいんだ。それに加えて、ちょっとしたフィクションの物語もいくつか書いたりしているから、そういうものにもとりくんでいきたいね。

通訳:ご自身が書いたフィクションの作品をベースにした映画の制作なども今後やっていく可能性はありますか?

FL:ぜひやりたいね。じつは、書く力を伸ばしたいと思っている理由のひとつでもあるんだよ。もっといい脚本家になりたいんだ。長編映画や短編映画の脚本を書けるようになりたいと思っているよ。

Jeff Mills with Hiromi Uehara and LEO - ele-king

 ジェフ・ミルズが手塚治虫「火の鳥 未来編」からインスパイアされ、完全オリジナル作品を制作することになった。一夜限りの公演として実現されるその作品では、3D技術を駆使した特別な演出がなされ、ゲストとしてジャズ・ピアニストの上原ひろみ、箏奏者のLEOを迎える。
 公演日は5月17日(日)。会場は、高輪ゲートウェイ駅に新しくできるミュージアム「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」(3月28日開館)内のスペースのひとつ、地下にある「Box1000」。チケットの先行発売は本日3月11日18時より。

ジェフ・ミルズ presents
原作=手塚治虫「火の鳥 未来編」一夜限りの特別公演

3月11日(水)18時よりチケット特別先行販売開始
出演者からのコメントも到着

時空を超えて蘇るサウンドスケープ
火の鳥 ー エレクトロニック・シンフォニカ ー
Special Guests 上原ひろみ and LEO

2026年3月、TAKANAWA GATEWAY CITYに新たに開館する文化の実験的ミュージアム「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」。その開館記念プログラムとして5月17日(日) に開催する『ジェフ・ミルズ presents 火の鳥 ーエレクトロニック・シンフォニカ ーSpecial Guests 上原ひろみ and LEO』のチケットが3月11日(水)18時より特別先行販売されます。
限定枚数の指定席は、本公演書下ろし楽曲収録のピクチャー盤LP【Jeff Mills / Phoenix - Future】がセットになったSチケットと、ピクチャー盤LPと限定Tシャツに加え、公演後のジェフ・ミルズサイン会への参加特典がついたプレミアムチケットとなります。

先行販売リンク:https://w.pia.jp/t/mon-jeffmills/
プレミアムチケット(2階指定席)25,000円 ※ピクチャー盤LP+限定Tシャツ+Jeff Millsサイン会参加券
Sチケット(2階指定席)18,000円 ※ピクチャー盤LP付き
Aチケット(1階スタンディング)10,000円
U25チケット(1階スタンディング)7,000円

本公演は、手塚治虫の代表作「火の鳥 未来編」に着想を得て、ジェフ・ミルズが制作する完全オリジナル作品。「永遠の命」や「輪廻転生」という壮大なテーマを軸に、物語を音楽で紡ぎ出します。
共演には、世界的ピアニスト・上原ひろみと、箏の次世代を担うLEOを迎え、エレクトロニック、ピアノ、伝統楽器が交錯する唯一無二のアンサンブルを披露。原作が持つ普遍的なメッセージを、現代の新たな「音の物語」として描き出します。
壮大な音のコラボレーションとともに公演を盛り上げるのは、この日限りの映像と3D技術を駆使しした特別な演出。売り切れ必須な一夜限りの奇跡のステージを、ぜひ新施設「MoN Takanawa」でご体感ください。

<Jeff Millsコメント> 総合プロデュース、エレクトロニクス、パーカッション
環境の相転移と手塚治虫の、一見遊び心のあるイメージこそが、私たち人間がそれを表現する最良の方法だ。『未来編』の物語のように、そこには希望を指し示す要素が確かに存在する。

<Special Guest 上原ひろみコメント> ピアノ
「火の鳥」の世界観の中、ジェフ・ミルズさんが、私、そして箏のLEOさんと創る宇宙、今からとても楽しみです。新しい美術館の匂いを感じながら、その瞬間にしか生まれないものを掴みに行きたいと思います。

<Special Guest LEOコメント> 箏
ジェフ・ミルズさんが描く壮大なサウンドスケープの中で、箏という楽器の音がどのように響くのかとても楽しみです。上原ひろみさんと同じ舞台で「火の鳥」の物語を音で紡げることを光栄に思います。

イベント詳細:
MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥連携企画
ジェフ・ミルズ presents 火の鳥 ーエレクトロニック・シンフォニカー
Special Guests 上原ひろみ and LEO

手塚治虫「火の鳥 未来編」に着想を得て、ジェフ・ミルズが制作する一夜限りの完全オリジナル公演。永遠の命、輪廻転生をテーマに据え、火の鳥の物語を壮大な音楽で奏でる。

【日程】2026年5月17日(日)
【会場】Box1000
【原作】手塚治虫「火の鳥 未来編」
【主催】MoN Takanawa: The Museum of Narratives、TBS
【企画制作】Axis Records、U/M/A/A Inc.
【企画協力】手塚プロダクション

チケット販売スケジュール詳細:
<抽選販売>
チケットぴあ:ぴあ特別先行販売:3月11日(水)18時00分~3月15日(日)23時59分
チケットぴあ:いち早プレリザーブ:3月18日(水)18時00分~3月22日(日)23時59分
抽選販売リンク:https://w.pia.jp/t/mon-jeffmills/
<先行販売>
【公式】MoN Takanawaチケット(会員限定):3月27日(金)10:00
MoN Takanawa公式プレイガイド ゲスト販売(Fever):3月27日(金)10:00
先行販売リンク:https://montakanawa.jp/programs/jeff_mills/
TBSチケット:3月27日(金)10:00
先行販売リンク:https://tickets.tbs.co.jp/jeff_mills/

チケット価格:
プレミアムチケット(2階指定席)25,000円 ※ピクチャー盤LP+限定Tシャツ+Jeff Millsサイン会参加券付き
Sチケット(2階指定席)18,000円 ※ピクチャー盤LP付き
Aチケット(1階スタンディング)10,000円
U25チケット(1階スタンディング)7,000円

<Jeff Millsプロフィール>

1963年アメリカ、デトロイト市生まれ。
現在のエレクトロニック・ミュージックの原点ともいえるジャンル“デトロイト・テクノ”のパイオニア的存在。
マイアミとパリを拠点に1992年に自ら設立したレコードレーベル<Axis(アクシス)>を中心に数多くの作品を発表。またDJとして年間100回近いイベントを世界中で行っている。
ジェフ・ミルズの代表曲のひとつである「The Bells」は、アナログレコードで発表された作品にも関わらず、これまで世界で50万枚以上のセールスを記録するテクノ・ミュージックの記念碑的作品となっている。

エレクトロニック・ミュージック・シーンのリーダーでありながら、クラシックやジャズなど様々なジャンルの音楽界に革新を起こす存在としても世界の注目を浴びている。2005年初演、ミルズの代表曲をクラシック化したオーケストラ作品Blue Potentialを始め、日本人で初めてスペースシャトルに宇宙飛行士として搭乗した、日本科学未来館元館長の毛利衛氏との対話から生まれた作品「Where Light Ends」や、ミルズがクラシック用に書き下ろした作品「Planets」が日本でも公演されている。音楽のみならず近代アートのコラボレーションも積極的に行っており、パリ、ポンピドゥーセンターやルーブル美術館内でのアートインスタレーション、シネマイベントなど数多く手掛けている。
最近では、アフロビートの先駆者、トニー・アレンとの共演から始まったインプロビゼーションプロジェクトのTomorrow Comes The Harvest はキーボード、タブラ、フルートなど多彩なミュージシャンとともに精力的に全世界をツアー中である。
このような活動が評価され、2017年にはフランス政府よりオフィシエの称号を元フランス文化大臣のジャック・ ラングより授与された。
またコロナ禍中には、若手テクノアーチスト発掘支援のためThe Escape Velocity (エスケープ・ベロシティ)というデジタル配信レーベルを設立。60作品をリリースし、若手アーチストにコミュニケーションと発表の場を与えるのに貢献した。
www.axisrecords.com
https://twitter.com/JeffMillsJapan
https://www.facebook.com/JeffMills
https://www.instagram.com/jeff_mills_official/
https://linktr.ee/jeffmills

<上原ひろみプロフィール>

1979年静岡県浜松市生まれ。16歳の時にチック・コリアと共演。1999年バークリー音楽院に入学し、2003年ジャズの名門テラークより『Another Mind』で世界デビュー。2008年チック・コリアとのアルバム『Duet』を発表。2011年には『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』で第53回グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞。2016年上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト feat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップスとしてのアルバム『SPARK』がアメリカのビルボード・ジャズ総合チャートで1位を記録。2021年「東京2020オリンピック開会式」に出演。2023年映画『BLUE GIANT』では音楽監督を務め、第47回日本アカデミー賞「最優秀音楽賞」を受賞。9月には新プロジェクトHiromi’s Sonicwonderとしてのアルバム『Sonicwonderland』をリリース。アメリカの放送局NPRが企画する人気プログラム「Tiny Desk Concerts」にも出演し話題となった。ニューヨーク・ブルーノートでは日本人アーティストとして唯一20年以上も公演を成功させている。2025年にはHiromi’s Sonicwonderとしての最新作『OUT THERE』をリリース。

<LEOプロフィール>

1998年生まれ。ジャンルを超えたボーダレスな活動で注目を集める箏奏者。
9歳より箏を始め、カーティス・パターソン、沢井一恵の両氏に師事。16 歳でくまもと全国邦楽コンクールにて史上最年少・最優秀賞・文部科学大臣賞受賞、その後東京藝術大学に入学。「情熱大陸」「題名のない音楽会」「徹子の部屋」など多くのメディアに出演。
読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団などオーケストラとの共演も多く、2024年にはヨーロッパに招聘されウィーン・コンツェルトハウス、スロヴァキア・フィルハーモニーで現地楽団と共演し好評を博した。
また、箏奏者として初めてブルーノート東京や、SUMMER SONICにも異例の出演を果たしている。
2025年にリリースされた最新アルバム『microcosm』では、フランチェスコ・トリスターノやU-zhaan、林正樹、LAUSBUB、坂東祐大、網守将平、梅井美咲など国内外の多様な音楽家との共演・共作を行うなど、実験的なコラボレーションに積極的に取り組んでいる。
出光音楽賞、神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞受賞。

<関連公演>

■プログラム概要/チケット情報

MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥
50年前マンガの神様・手塚治虫が、予言し創造した世界「火の鳥 未来編」が2026年、最先端のライブ空間MoN Takanawaで、新たに着彩された原稿、豪華キャストたちとともに、最新のイマーシブ・物語体験として蘇る。

【日程】2026年4月22日(水)~5月16日(土)
【会場】Box1000
【主催】MoN Takanawa: The Museum of Narratives、TBS
【企画制作】MoN Takanawa: The Museum of Narratives、TBS、Bascule Inc.
【原作】手塚治虫「火の鳥 未来編」
【制作協力】手塚プロダクション

Laraaji × Oneohtrix Point Never - ele-king

 4月に大阪と東京での来日公演が決定しているワンオートリックス・ポイント・ネヴァー。そのスペシャル・ゲストとして、なんと、巨匠ララージの出演が決定した。
 ダニエル・ロパティンといえば、彼が音楽を手がけた映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のサウンドトラックが2月27日にリリースされたばかりだけれど、ララージは同サウンドトラックにも参加しており、なんとも絶妙なタイミング、組み合わせと言えそうだ。
 来日公演の詳細は、こちらから

Arthur Nolan (Blue Bendy) - ele-king

 ロンドンのブルー・ベンディは、2024年のファースト・アルバム『So Medieval』が高く評価され、注目を集めたバンドだ(昨年はブラック・カントリー・ニュー・ロードのO2アカデミー・ブリクストン公演でサポート・アクトに抜擢されてもいる)。
 そんなブルー・ベンディの中心人物、アーサー・ノーランによる初の来日公演が開催されることとなった。3月14日(土)@大阪Alffo Records、3月16日(月)@下北沢BASEMENT BARの2都市、前者ではHue’sメンバーによるユニット、龍と旭が、後者では水いらずがサポートとして出演。貴重な機会を逃すなかれ。

BLUE BENDY (ARTHUR SOLO LIVE) - ALONE IN JAPAN -

【大阪公演】
2026年3月14日(土)
at ALFFO RECORDS(大阪府大阪市西区新町1-2-6 3F)
OPEN 18:00

with 龍と旭 (Hue’s)
DJ: SEO | ナカシマセイジ | レオス
TICKET
・DOOR ONLY ¥3000 1Drink込

【東京公演】
2026年3月16日(月)
at 下北沢BASEMENT BAR(東京都世田谷区代沢5-18-1 B1F)
OPEN 18:30

with 水いらず
DJ: 村田タケル | SPOT
TICKET
・RESERVED ¥3500
・DOOR ¥4000
※共に1Drink別

東京公演チケット情報
https://lit.link/bluebendysoloJapan2026

Visible Cloaks - ele-king

 スペンサー・ドーランおよびライアン・カーライルから成るオレゴンはポートランドのデュオ、ヴィジブル・クロークス。彼らがひさびさのオリジナル・アルバムをリリースする。時代の流れを決定づけたともいえる前作『Reassemblage』が2017年だから、およそ9年ぶりのことだ(2019年には尾島由郎&柴野さつきとの共作もあり。彼らは今回の新作にもフィーチャーされている)。現在、モーション・グラフィックスが参加した先行シングルが公開中。アルバムの全貌を楽しみにしておこう。

Visible Cloaksがニュー・アルバム『Paradessence』をRVNG Intl.から5/22にリリース決定。Motion Graphicsをフィーチャーしたファースト・シングル「Disque」を公開。

Spencer DoranとRyan Carlileによるエレクトロニック・デュオ、Visible Cloaksがニュー・アルバム『Paradessence』をRVNG Intl.から5/22にリリースすることが決定。ファースト・シングルとして、Motion Graphicsをフィーチャーした「Disque」をMVと共に公開。

Visible Cloaksの3作目のフルアルバム『Paradessence』は、「出現」と「幻惑」をめぐる作品。全14曲は、うっすらと発光する夜の背景の上で、揺らぎ、うねり、きらめきながら移り変わっていく。そこは、自然界をまばらに、しかし極端にリアルに再現した表象によって形作られた、巨大な洞窟のような空間。アレンジは同時に壮大でありながら脆く、これまでの作品の反転であり総決算でもあり、そして彼らがこれまで作ってきた中でも最も冒険的なもののひとつでもある。

2014年にCloaksからVisible Cloaksへと変化して以来、Spencer DoranとRyan Carlileは、相反する概念の複雑なマトリクスを描き出してきた。オーガニックと人工、偶然と意図、本物と複製。2017年には、高い評価を受け、今やアイコニックとも言える2ndアルバム『Reassemblage』を発表。精緻に作り込まれたテクスチャー、開花し朽ちていくようなアレンジ、そして世界中の楽器が存在する想像上の世界を、豊潤に伝送する作品だった。続いて2019年には、アンビエントの先駆者Yoshio OjimaとSatsuki Shibanoとのコラボレーション・アルバム『serenitatem』をリリース。さらにこの2作の間に、Doranはグラミー賞にノミネートされたコンピレーション『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を編纂し、近年では瞑想的な探索ゲーム『SEASON: A letter to the future』のサウンドトラックも発表している。

新作タイトルは、作家Alex Shakarが「paradoxical(逆説的)」と「essence(本質)」を組み合わせた風刺的な造語から採られたもの。Visible Cloaksが抱え続けてきた相反概念を直接的に映し出している。消費財における「paradessence」とは、その欲望を生み出す「分裂した核(schismatic core)」のこと(Shakarの例では、コーヒーが“同時にリラックスさせ、かつ刺激もする”からこそ欲される、という具合)。『Paradessence』が見せる絶妙な均衡は、21世紀の生活が同じ緊張関係によって組み替えられていく中で、それらの要素をより切迫したものとして提示する。それは、変化し続ける形態によって、現在の「夢の現実」を抽象的に喚起するだけでなく、感情の襞まで繊細に織り込み、ときに恩寵の瞬間へと立ち上がる想像上の空間を築くエレクトロニック・ミュージックでもある。

『Paradessence』からの先行シングル「Disque」(Motion Graphics参加)は、次第に美しさを増していく一連の“吐息”のような作品。音の紡錘が枝分かれするように立ち上がり、広がりながらより多くの表面をつかみ取り、密度をわずかに増していく。上昇していく音やピアノのラインが、縫合の糸のように要所で曲をつなぎ合わせる。アレンジが静けさへと戻るたびに、それが再び立ち上がってくるのかどうかという緊張を感じる。やがて、それは立ち上がらない。残されるのは、長く細いリボンのように引き伸ばされたピアノの残滓だけ。

「Visible Cloaksとしての制作は、常に“トップダウン”よりも“ボトムアップ”だった」とDoranは言う。「完成した曲の明確なビジョンが最初からあって、それをスタジオでできるだけ忠実に実現しようとするのではなく、アイデアが立ち現れるための条件をいくつも設定する、という感じ。『Disque』のような曲は、そうした考え方を念頭に置いて構想する。長年の音楽実践の中で培ってきたさまざまな確率的(stochastic)手法を使い、最初のソースから段階的に抽象が展開していく連なりを作っていくんだ。」

「Disque」のビデオは、英国拠点のフォトグラメトリストGrade Eternaとの共同制作。ロンドンにある名もなき温室の「点群(point cloud)」を進み、歪ませ、ねじ曲げながら描かれる。3Dスキャンのツールで物理環境を空間上の点の地図へと変換し、それを使って空間の仮想モデルを生成。そのモデルをゲームエンジン内で可塑的(自在に変形可能)に扱っている。

今週Visible Cloaksは、「音・光・空間のための没入型キュレーション・プラットフォーム」を掲げるイベントシリーズ「Age of Reflections」の一環として、ポートランドとシアトルで2公演を行う。詳細は「Disque」ビデオのすぐ下に掲載されている。

Visible Cloaks new album “Paradessence” out on May 22, 2026.

Artist: Visible Cloaks
Title: Paradessence

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL-254
Format: CD / Digital
Release Date: 2026.05.22
Price(CD): 2,200 yen + tax

※CDボーナス・トラック1曲収録
※解説付き予定

『Paradessence』において沈黙は重要な登場人物。音を彫刻する行為の中に感じられるだけでなく、あらゆるものに及ぼす圧力、そしてそこから現れるものにおいても感じられる。グループは建築理論家Christopher Alexanderの「ポジティブ・スペース(positive space)」という概念に影響を受けた。物体そのものを構築するのと同じくらいの配慮を、物体の周囲にある“空白(void)”の形にも向けられる、という考え方だ。ここでは、音が自らの沈黙を伴って運ばれていく様子が聴こえる。存在と非存在のあいだを振動し、微生物のようにライフサイクルをたどっていく。

『Paradessence』を下支えする楽器群には共同体性がある。風が葉の群れの上を漂い、動きが消えたことで空気が見えるようになる時のように、それらは群れのように動く。複数の種が同じ曲の中で共存し、数分のあいだに、せり出し、引っ込み、変容していく。「環境として水平に機能する作品を作るのではなく」とDoranは言う。「空間の中で変化していく“生きた素材”として捉え、絶えず流動しているものとして概念化したかった。」曲の形式はアンビエンスから離れ、純粋な抽象へと舵を切る。ユートピアニズムが周縁に漂う。想像上の未来との関係は、ナイーブでも、シニカルでも、ノスタルジックでもない。

Visible Cloaksが時間をかけて築いてきた世界は、しばしばコラボレーターによって物質的なかたちを与えられてきた。『Paradessence』では、その馴染み深い顔ぶれが再び戻ってくる。Motion Graphics(Joe Williams)は「合成木管(synthetic woodwinds)」で登場し、アルバムの共同ミックスも担当。彼特有の艶やかな質感で輪郭を整えている。連結した2曲「Shapes」と「Thinking」は、環境音楽の革新者Yoshio OjimaとSatsuki Shibanoとともに制作された。彼らはデュオが参加した世代横断のFRKWYSコラボ『serenitatem』でも共作した相手だ。後者の「Thinking」では、Ojimaが書いたスポークン・テキストが用いられ、Shibanoが日本語で、そして作曲家で長年の友人でもあるFélicia Atkinsonがフランス語で朗読している。

Doranの「不確定(indeterminate)な室内楽」プロジェクトComponium Ensemble(自動演奏するソフトウェア楽器群)が、「System」の基盤を提供する。それはPessoa的な異名性(heteronymity)の瞬間でもある。さらにアルバムには、ルーマニア出身の作曲家・ヴァイオリニストIoana Șelaruも参加し、「Intarsia」で声と弦の演奏を提供している。Doranはこのコラボを「幻影的な存在感(illusionary presence)の練習」と呼び、「彼女の実際の楽器演奏と仮想楽器を並置し、合成ストリングスと現実に存在するストリングスの境界をぼかす」というアイデアから共同で発展させたと語る。

「Intarsia」におけるȘelaruの緊迫したパフォーマンスは、『Paradessence』のドラマティックな核をはっきりと示す。それは切迫した彫刻的な仕事であり、ひとつの楽器と人間の声が、合成的な成長の海によって変調されていく。Doranは「この現実と仮想のあいだの滑り(slippage)は、まったく別の何か、奇妙で言葉にしがたい何かを捉えている」と説明する。「それは、オンラインでも現実の生活でも、デジタル・モダニティの中で生きることに固有の要素なんだ。」

Track List:

1. Apsis
2. Skylight
3. Disque (ft. Motion Graphics)
4. Balloon
5. Slippage
6. Telescoping
7. Shapes (ft. Yoshio Ojima and Satsuki Shibano)
8. Thinking (ft. Félicia Atkinson, Yoshio Ojima and Satsuki Shibano)
9. Zinna
10. Swirl
11. Steel
12. Intarsia (ft. Ioana Șelaru)
13. Capgras
14. System (ft. Componium Ensemble)
15. Hycean (CD Bonus Track: not Japan-only)

Visible Cloaks are Ryan Carlile and Spencer Doran

Mixed by Joe Williams and Spencer Doran at Gary’s Electric Studio and Dream Box Office​, except “Skylight,” “Shapes,” “Thinking,” and “Intarsia,” mixed by Spencer Doran at Secret Society

Joe Williams – Virtual woodwinds on “Disque”
Oona Doran – Balloon on “Balloon”
Félicia Atkinson – Voice (French) on “Thinking”
Yoshio Ojima – Processing, lyrics and additional arrangements on “Shapes” and “Thinking”
Satisuki Shibano – Piano and voice (Japanese) on “Shapes” and “Thinking”
Ioana Șelaru – Violin and voice on “Intarsia”

Ultrasonic insect sounds on “Telescoping” recorded in Aulus-les-bains, France in 2023

Mastered by Heba Kadry (Brooklyn, NY)
Cut by Josh Bonati for Bonati Mastering (Brooklyn, NY)
Original artwork by David Lisser
Design by WWFG

Visible Cloaks‘s new single “Disque (ft. Motion Graphics)” out now

Artist: Visible Cloaks
Title: Disque (ft. Motion Graphics)
Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Format: Digital Single
Buy / Listen: https://orcd.co/jbgxnr8

Visible Cloaks – Disque (ft. Motion Graphics) (Official Video)
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=mzXMkCXfGoU

Directed by Grade Eterna and Spencer Doran
VFX and 3D Scanning by Grade Eterna

Visible Cloaks:

Visible Cloaksは、Spencer DoranとRyan Carlileによる米国ポートランド拠点のエレクトロニック・デュオ。プロジェクトは2010年にDoranのソロとして始動し、2014年にCarlileが合流してデュオとしてのVisible Cloaksへと発展した。セルフ・タイトルのデビュー作を経て、ニューヨークの名門RVNG Intl.へと契約。代表作『Reassemblage』は2017年2月にリリースされ、DoranとCarlileの共同プロデュースによって、ポストYMO以降の電子音楽的冒険に敬意を払いながらも、その系譜をなぞるのではなく別の方向へと踏み出した作品として位置づけられる。80年代半ばから90年代初頭にかけての日本やイタリアのエレクトロニック・ポップ/アンビエントが切り拓いた道筋から敢えて逸れ、合成的な“種”から育った樹木が深い音の樹冠をつくる森の中に、自分たちの陣地を築いていくような独自の音響世界を確立した。アルバム収録曲「Valve」にはdip in the poolの甲田益也子が参加し、「Terrazzo」にはMotion Graphicsが参加するなど、客演を含めて作品世界を拡張している点も特徴として刻まれている。サウンド面では、Doranが日本のニューエイジ/アンビエントや電子音楽への関心を背景に制作してきたことが各所で言及され、Yellow Magic Orchestraや坂本龍一の名が影響源として挙げられることもある。また制作プロセスについては、Doran本人がAbletonのインタビューで、システム的な発想にもとづくアプローチや音作りの方法論を語っている。2017年後半にはミニアルバム『Lex』を同年12月にリリースし、複数の方言やアクセントを連鎖させて翻訳ソフトに通すことで生成された“異星の言語”を音素材として取り込み、彫刻的なアレンジの網目に、意味へ回収されない静謐な発声を織り込んだコンセプト作品として提示した。ビジュアル面でも作品世界の統一が重視され、『Reassemblage』のアートワークや『Lex』期の短編映像でBrenna Murphyが関与している。さらに2019年には、尾島由郎と柴野さつきとの共作『serenitatem(FRKWYS Vol. 15)』を発表。初の日本ツアー終盤に両者と出会い、ヨーロッパ・ツアー中に録音した加工音のスケッチを尾島へ送り、加筆・編集された音を再び折り込みながらスタジオ・セッションへ持ち込むという往復運動の中で制作が進められた。そこで生まれた作品は、人間と機械の境界が縫い目としてほとんど見えないほど滑らかに結合されつつも、その気配が至るところで示唆される鋭利なレコードとして結実している。Visible Cloaksは、特定地域の音楽史、とりわけ日本の環境音楽/シンセサイザー音楽への参照を、単なる引用ではなく制作手法そのものの設計へと転換し、翻訳・変換・生成といった方法論を軸に、アルバムごとにコンセプトを更新しながら、RVNGを軸に音と視覚、コラボレーションを統合した作品群を展開してきた。

interview with Autechre - ele-king

 真っ暗闇が最高の照明であるという逆説は、何回体験しても心地よいものだ。贅沢な闇に包まれながら、オウテカのマシン・ミュージックにおけるその驚異的な乱雑さ、マキシマリズム的特性には、懐古的な匂いはなく、たしかに現代的かもしれない、と思った。これは孤立したサウンドではないのだ。ソフィーやイグルーゴースト、フットワークやジャージー・クラブといった今世紀のエレクトロニック・ミュージックとどこかで共鳴しているモノを感じたし、その解放感がぼくの考え方を拡張しくれたこともわかっている。長いあいだオウテカのような音楽は、禁欲的で、男性的で、パートナーがいないときに男がひとりで没入する、肉体不在の前衛音楽だと考えられてきたとしたら……しかしながらいまぼくが挙げた例には、多かれ少なかれエロティシズムがある。時代は変わっているのだ。会場には多くの男性以外の姿があった。
 今回の取材、場所はZepp DiverCityの楽屋、ときは2月4日の夕方、ライヴの本番前に時間をもらった。楽屋に入ってお互い挨拶しながら、そして質問に入るわけだが、何度も取材しているので、はっきりと言えることがある。オウテカはつねにリスナーと真摯に向き合っている、ということだ。ショーンとロブから、有名人にありがちな傲慢さを感じたことはいちどもない。
 また、以下の話を読んでいただければわかることだが、彼らの大衆文化を尊重する態度も一貫している。面白いのは、これだけ実験的な音楽をやっていながら、なぜか彼らは、人間的な温かさを高潔な思想ないしは実験性という虚勢や、自分たちは●●とかよりも優れているという盲目的な確信で隠そうとなどは決してしない。抽象的なサウンドかもしれないが、オウテカのどこかにエロティックなファンタジーを感じるとしたら、その音楽の出自には、ボディ・ソニックなダンス・カルチャーがあるからだろう(なにせその出発点はマントロニクスなのだからね!)。
 さて、能書きはここまでにしよう。我らがオウテカ──30年以上もエレクトロニック・ミュージックと向き合ってきた人たちの奥行きのある言葉をお楽しみください。

昨夜は眠れましたか?

ロブ(以下、R):いや、ぼくたち2人とも眠れなかったんだ。

昨日はオフだったんですよね?

R:一応はね。でも身体は休息が取れていない状態だったね。

ショーン(以下、S):その前の日は飛行機で3時間くらい寝て、夜6時間くらい寝られたんだけど、昨夜は全然眠れなくてね。少しはウトウトしたのかもしれないけど、頭が全然休まらなくて。

R:食事も取れないし、体内時計がめちゃくちゃになっちゃって。昨夜は11時頃に遅い食事を取ったんだけど、食欲もあまりないし、食後にベッドに入って休んでみたものの、2時間半くらいで起きちゃって、それからは全然眠れなかった。いまが今日なのか何なのか、ずっとフラストレーションが溜まっている感じだよ。

S:でもまあ、今夜プレイできるくらいには生きているから大丈夫(笑)。

それは良かった。とにかく、久しぶりに会えて嬉しいです。最後に直接会って話したのは、2018年だったかな……。

R:ぼくも会えて嬉しいよ。

ただ、歳を取るとどんどん時間の感覚もわからなくなってきて、5年前っていつだっけとか(笑)。

R:ぼくもつい最近来たような気がしていたよ。時々、続けざまに来ることもあれば、かなり長い期間が空いてから来ることもあるからね。前回の取材は何年だっけ? 

2020年、『Sign』をリリースしたあとぐらいにもやっているんですけど、そのときは坂本麻里子さん通しての取材で(『ele-king vol.26』に掲載)、直接会って話すのは2018年以来ですかね。

R:そうかそうか。

カラオケでは、ぼくは前回モーターヘッド。(ロブ)
ぼくはストーン・ローゼズの“Fools Gold”を歌ったね。(ショーン)

日本に来たときの楽しみってあるんですか?

S:今回は1日オフがあるんだけど。いや、2日か。正確には昨日はオフだったけど、体調を整える日という感じだったからね。このあともう1日オフがあるけど、とくに何も予定はないよ。たぶんショッピングにでも行くかな。つまらない答えだけど、いつもだいたいショッピングして終わる感じだからね。イギリスでは手に入らないものがたくさんあるし、しかも安い。ぼくはパートナーからカメラのレンズを入手するように言われてるから、それを探しに行こうと思って。他にはとくに予定はないかな。

R:ぼくに関して言えば、日本に来たことのある友人や、しばらく滞在したことのある親戚から「これをやるといいよ」っていうおすすめをたくさん聞いて来たよ。どれも面白そうなことばかりで。でも、今回のようなライヴの前後は、何週間も準備期間があって、そのあと移動があって、さらに公演の前後に少しオフがある、みたいな流れになるよね。そういう状況だと、「せっかくだから特別なことをしなくちゃ」と無理に駆け足で何かをやろうとする感じになる。でもそれって、あまり意味がないと思う。むしろ、いつかまた改めて日本に来て、1週間くらいがっつり滞在して、きちんと時間をかけて楽しむ方がいいんじゃないかな。

S:さっきも話してたんだけど、次に来るときは、東京の中心じゃなくて郊外か、いっそ東京の外にホテルを取って、1週間くらい滞在する方がいいんじゃないかと思って。そうすれば、まず時差ボケの問題を解消出来るし、それに普段はあまり見ることのない日本の違った一面も見られるかもしれないしね。もちろん東京にいるとはいえ、渋谷とか、今回のこのエリアにいるだけだと、東京という街の中でも本当にごく一部をかすめているに過ぎないし、ましてや日本全体を象徴するようなエリアでもないと思うから。以前にもう少し遠出をして日本を廻ったこともあるんだけど、少なくともぼくにとっては、東京の外に出た途端にすごく面白くなるんだよね。

R:うん、北海道にも行ってみたいし、南のビーチも見てみたいね。いままでとは全然違うタイプの日本を体験してみたい。でも、そうするにはやっぱり時間がかかるし、本来は面白くて、しかもゆったり出来る旅になるはずなのに、これまで一度もそこまでの時間が取れたことがないんだ。結局いつも、サッと来てサッと何かを済ませるだけ、みたいな感じになってしまって。それだと上手くいかないんだよね。だから、また別の機会を狙うよ。

カラオケとか行ったりしないんですか?

S:今回は行ってないけど、前回来たときに何回か行ったよ。小さなバーが何軒もずらっと並んでいるエリアがあるでしょ。東京のどこだったかな。思い出せないんだけど……とにか、小さなバーがものすごくたくさん並んでる通り。

通訳:新宿のゴールデン街ですかね?

S:いや、渋谷だ。渋谷駅の近くだったよ。小さな通りで、すごくちっちゃなバーが並んでいて。

R:3人か4人入れば満員になってしまうような小さなバーで、カラオケが置いてあって。そこに何度か行ったね。まあ、カラオケを歌うにはめちゃめちゃ酔っ払っている必要があるんだけど(笑)。

何を歌うんですか?

R:ぼくは前回モーターヘッドの“Ace of Spades”を歌ったよ(笑)。

(笑)

R:悪くないでしょ(笑)。

S:ぼくはストーン・ローゼズの“Fools Gold”を歌ったね。

数年前にソニックマニアに出演したんだけど、あれは実質ポップ寄りのフェスだよね? 正直、ちょっと驚きだったよ。出番前は少し緊張してたんだ。自分たちの客層とは違う、いわゆるポップ寄りの観客が多いだろうと思っていたから。

ハハハハ。ところで、いまここに来るとき、すでにお客さんが階段に並んでましたね。チケットもすぐにソールドアウトになったし、相変わらず人気あるなと思いました。これまでにとくに思い出に残っているライヴというと何になりますか。

S:日本でのライヴは、いつでもとても良い体験になっていると思う。曖昧な意味で言っているわけではなくて、本当にそう感じているよ。ぼくはつねに観客の反応を気にかけているけど、日本のオーディエンスは基本的にすごく静かで礼儀正しくて、ぼくたちの音楽に対するリスペクトがある。でも、最後には大きな歓声をくれるし、ちゃんと届いているように感じられるんだ。
数年前にソニックマニアに出演したんだけど、あれは実質ポップ寄りのフェスだよね? 正直、ちょっと驚きだったよ。出番前は少し緊張してたんだ。自分たちの客層とは違う、いわゆるポップ寄りの観客が多いだろうと思っていたから。ぼくたちの後には違うタイプのGrimesも出ていたし、正直このイベントに自分たちが合っているのかな? という感覚もあった。でも、その観客に向けてやってみたいと思って出演したら、結果的にすごく上手い具合にいったんだ。だから、日本の観客に対してがっかりしたことは一度もないよ。もちろん、リキッド・ルームみたいな会場だとやりやすいよね。ある程度、自分たちのことを知っている人たちが足を運んでいることがわかっているから。

R:リキッド・ルームでも何度かやったし、初期の頃はもっと大きなヴェニューでやったりもしたから、いろいろだね。

S:とにかく、カルチャー的にはリキッド・ルームのようなヴェニューはすごく安心するというか。タイコクラブとかエレクトラグライドみたいなフェスだと、観客は基本的にテクノ寄りの人たちが多いんだけど、日本ではそれなりに作品も聴かれていたから、大体どんなことをやるのかわかって来てくれていることが多いんだ。少なくとも何が起こるのかわからない、という感じにはならない。でも、あのソニックマニアは驚きだったし、すごく嬉しい経験でもあったね。いわゆるポップ系の観客と自分たちがちゃんと繋がれた、というのは不思議な感覚だったよ。
どこでもあっても、そういうことが起こると毎回ちょっと信じられない感じはするんだけど。最近だと、ヘルシンキでも同じようなことがあって。フロー・フェスティバルに出演したんだけど、そこもかなりポップ寄りの観客が多かったんだ。出演者の多くはポップ系で、少なくともぼくたちよりずっと知名度のある人たちばかりだったしね。

R:それに、かなり商業的だったよね。

S:そうそう。そういう場でも、ぼくたちはいつも通りのセットをそのままやる。わざわざポップな音楽に寄せて、観客に合わせる必要はないと思っているんだよ。変な風に聞こえないといいんだけど、ここ最近は音楽シーン全体が、少しずつぼくたちに近づいてきている部分もあるんじゃないかと思うんだ。たとえばSOPHIEとかCharli XCXみたいなアーティストが出てきたりしてね。もちろん、ぼくたちの音楽が彼女たちに似ているわけではまったくないんだけど、どこかに影響を感じさせる細い糸のようなものがあって、それを通してぼくたちの音楽と繋がる人がいるのかもしれない。そういう変化みたいなものは、ぼくたちにとってもとても良いことだと思うんだよね。

R:日本は、ぼくたちにとって常にiTunesでの最大市場のひとつなんだ。実際、記憶にある限りずっと、日本はニューヨークやロンドンと並ぶ最強の都市のひとつで、東京はほぼいつもトップクラスに入っている。うん、日本ではよりアンダーグラウンドというか、マニアックなアーティストのほうが、むしろしっかり紹介されているように感じるよね。

S:日本は、海外のものを受け入れる際にとても選別的だ、という感覚がずっとあるよ。というのも、シーン全体がそのまま入ってくるわけではなくて、すべてが紹介されるわけじゃない。でも、たとえばジェフ・ミルズのような存在はちゃんと入ってきているよね。つまり、あらゆるテクノやエレクトロニック・ミュージックが紹介されているわけではないけれど、選ばれているもののセンスがとてもいい。ちゃんと良いものを見極めている感じがするんだ。そういう意味で、ぼくらの感覚や美意識は、日本のオーディエンスの感性とかなり合っていると思う。自惚れに聞こえたら申し訳ないけど(笑)、少なくともある程度は本当だと思っているよ。

R:ひとつ補足しておくと、ぼくがiTunesと言っているのは、実際には彼らが教えてくれる Shazamのヒット数のことなんだ。Shazamは流れている音楽を認識するアプリなんだけど、東京では、そのShazamの数値がいつも非常に高い。ロンドンやニューヨークが1位を争うこともあるけど、東京はほぼ常にトップにいるんだ(笑)。iTunesではアーティストごとの統計データが見られるし、Shazamは東京の状況をすごくわかりやすく示してくれる指標だよ。それで、Shazamのデータを見ると、少なくとも2つ、もしかしたら3つのことがわかる。ひとつは、人びとがサンプリングされたものを耳にして、「これは何だろう?」と調べた結果。もうひとつは、そもそもぼくたちの楽曲がどこかで流れている、という事実だね。お店やラジオ、あるいは街中のどこかで流れていなければ、Shazamされることはない。だから、どういう経路で広がっているのかを正確に把握するのは難しいけれど、確実に起きている、ということだけははっきり見えるんだ。

クラブでもDJがかける曲をShazamでチェックしてる人が多いかもしれない(笑)。

R:街中にもビルボードがたくさんあるから、3〜4曲同時にチェックしてる人もいるかもしれないね(笑)。

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松永コーヘイはすばらしいアーティストだね!

今回の来日でひとつ嬉しかったのは、Kohei Mastunagaをブッキングしてくれたことだったんですね。彼は非常に良いアーティストなんですけど、日本では不当な評価を受けているアーティストのひとりなんです。本当にこのライヴにブッキングしてくれてありがとうと言いたいです。

S:それが今回彼をブッキングした理由なんだけど、もうかれこれ20〜25年くらいになるかな、とにかく長い付き合いなんだ。2000年代初頭のことをいまでもよく覚えているけど、当時から彼の作品が本当に大好きだった。彼はとにかく驚異的なアーティストだと思う。ものすごく多作だし、しかもクオリティがつねに異常なほど高い。とても短いトラックをたくさん作るんだけど、そのひとつひとつに込められているアイデアやグルーヴが、本当に息をのむほど素晴らしいんだ。ぼくにとっては、間違いなく最高峰のアーティストのひとりだし、これまでにも何度か、さまざまな形で一緒にコラボレーションしてきたんだよ。人としてもすごく気が合うし、純粋に彼の音楽が大好きだから、今回のブッキングは僕らにとってはごく自然で、迷いのない選択だった。それに、日本でもっと多くの人に彼の音楽が届くきっかけになれば、それは素晴らしいことだと思っている。日本での彼のオーディエンスがどんな規模なのかは正直わからないけれど、ただ、彼にその機会を提供したかったんだ。もちろん、彼はぼくらの助けなんて本当は必要ないくらいの存在だけどね。それでも、ぼくたちにできることがあるなら、それをやるだけさ。

R:彼は、ぼくらのより広い音楽的嗜好をそのまま体現してくれる存在でもあって、その点でも本当に素晴らしい例だと思う。だから、今回こうして同じ場所で一緒にプレイできるというのは、ぼくらにとってはある種の贅沢なんだ。これまでにも、ベルリンやイギリスで彼のプレイを観てきたけれど、実は最初に一緒に演奏したのは大阪だった。そのときぼくらを引き合わせてくれたのが、Russell Haswellだったんだ。その後、たしか彼はかなり早い段階でドイツに拠点を移して、そこからずっとヨーロッパで活動してきたんだよね。だから今回、ぼくらがこうして来日するタイミングで、また彼と日本で再会できたのは、本当に嬉しいことだよ。

同世代の友人たちは「このハイパーポップってやつ、変だよね」って言う。でも、ぼくたちは「いや、すごく良いからちゃんと聴いてみて」って感じなんだ。

ちょっと話が変わりますが、チャーリーXCXがブリット・アワードを受賞したとき、スピーチで自分の影響源を、ソフィー(SOPHIE) 、エイフェックス・ツイン、オウテカと言っているんですよ。そのことは当然ご存知ですよね?

S:正直に言うと、知らなかったんだ。でも、発言があった直後にすぐ周りから「見た?」ってメールがたくさん来たよ。ぼくらがああいう文脈で名前を挙げられることって、かなり珍しいんだよね。
 ただ、プロデューサーのA.G. Cookについては、彼がぼくらのファンだということはかなり前から知っていた。〈PC Music〉を運営している人物とぼくが知り合いだったという縁もあってね。たしか、彼らの存在を最初に耳にしたのは2014年頃だったと思う。それ以来、AGやソフィーがぼくらの大ファンだということは聞いていたんだ。
 とくにソフィーの作品については、音を聴けばなるほどと思えるような影響が感じられて、ぼくにとってはわりとわかりやすかった。一方で、A.G. Cookの方はもう少し人工的というか、すごくクリーンなポップ・ミュージックの方向性で、影響の出方は少し違うように感じていたよ。ただ、彼の作品のテクスチャーには、個人的にかなり惹かれるものがあるんだ。
 いずれにしても、今回こうして言及してもらえたのは素直に嬉しいし、こちらからもその賛辞を返したい気持ちがあるよ。彼らは本当に優れたポップ・ミュージックを作っていると思うし、正直に言って、ぼくらが彼らに影響を与えていることが一目瞭然だとは思っていない。それでも、彼らのやっていることは本当に良いと思う。何かしら共鳴するものがあるんだよね。ただ、それが具体的に何なのかを言葉で説明するのは少し難しいな。結局のところ、ある種の感覚や好みの問題だと思うから。

R:あの場で彼女がああいう発言をしたのは、本当に大きな驚きだったよ。若い娘がいる友人たちがちょうどブリット・アワードを生で観ていて、いっせいに20件くらいメッセージが届いたんだ。「あれって、パパの友だちなんだよ」って子どもに言ったら、「じゃあ結構いい感じの人たちなんだね」みたいな反応があったみたいで(笑)。それに、家族ぐるみで付き合いのある友人の子どもたちとか、個人的に知り合いの若い世代の人たちからの反応もあった。
 ショーンがA.G. Cookについて解説してくれたけど、背景やソフィーの影響力や活動の規模まで含めて、あそこまで広い文脈で説明する必要は彼女にはなかったかもしれない。それでも、あの場でオウテカの名前を口にしたというのは、彼女にとっても大きな一歩だったのかもしれないね。

S:そもそも、ヴォーカリストがああいった場所で、あのような発言をすること自体がかなり異例なんだよね。とても驚いたよ。

R:本当にそうだよね。

彼女に代表されるハイパーポップと呼ばれる新ジャンルがありますよね。あのスタイルに、オウテカの影響があると感じますか?

S:かなり繊細でかすかな影響は見て取れると思う。それは音の選び方、サウンドの感覚みたいなところに関わっているんじゃないかな。もちろん、音楽の形式としては完全に“ポップ”だと思うし、K-POPや日本のポップ・ミュージックからの影響もとても大きいと思う。コードの感覚や、使われているメロディやハーモニーにも、独特の感触があるよね。一方で、プロダクション自体は少しだけラディカルなんだ。本当にちょうどいいところを突いている感じ。やり過ぎるとポップじゃなくなってしまうからね。
 とくにSOPHIEが素晴らしかったのは、僕たちだけではなく、同世代のいろいろなアーティストから受け取ったサウンドの嗜好性や音のパレットを……かなり大雑把に言えばだけど、理解した上で、それがポップの文脈でも使える、と示した点にあると思う。それは、正直に言ってぼくたちだったら様々な理由から絶対にやらないことだから。でも、彼女たちはそれを本当に見事にやってのけたんだ。気が付いたら、ぼくは完全なファンになっていたよ。
 それってすごく不思議なことでもあるけどね。同世代の友人たちのなかには「このハイパーポップってやつ、変だよね」って言う人もいる。でも、僕たちは「いや、すごく良いからちゃんと聴いてみて」って感じなんだ。単純に、ものすごく美しく作られているからね。
 ぼくは基本的に、ポップとアンダーグラウンド・ミュージックを区別して聴いたりはしない。ただ、良く出来ている音楽が好きなだけで。そういう意味では、彼らは本当に素晴らしいものを作っていたと思う。しかも、それは明確にメインストリーム向けに作られていて、その文脈のなかでしっかり成功も収めている。だから、彼らが成し遂げたことは本当に見事だったと思うんだ。アンダーグラウンドのアーティストが、自分たちの音楽がメインストリームに吸収された、と感じることはよくあるけれど、このケースはそれとは少し違っていたと思う。彼らは、ある意味で“外部の人間”としてポップ・ミュージックを捉えていた。もぼくがポップを創るとしたら、きっと同じ立ち位置を取ると思うけど、ぼく自身は一度もそういうことをやろうとしたことはない。彼らは、それを見事にやり遂げたし、だからこそ、ぼくはおそらく今後もポップを作ることはないだろうね。彼らがそこまでやってしまったから。そういったアイデアをあそこまで押し進めたことに、心から敬意を払っているよ。

R:ぼくたちが子どもの頃からスタジオでトラックを作ってきたなかで、時々すごくポップというか、とてもキャッチーな音が自然に生まれる瞬間があるんだ。短いフレーズやセクションがふっと立ち上がって、そこからいっきに展開していく。理論的には、そういう瞬間を切り取って、それを核にポップ・トラックを組み立てることも十分可能だろうね。実際、そうしたアイデアの断片を組み合わせれば、ポップは作れる。でも、ぼくたちはそれをしない。というのも、ぼくらは変化していくことや、別の場所へと向かう旅の方を選びたいからなんだ。ひとつの要素を何度も反復して強調することには、あまり興味がない。だからこそ、彼らの音楽のなかに、ぼくたちとの繋がりを感じる瞬間があるのも理解できるんだ。そういうリンクみたいなものは、何度も、いろいろな面で垣間見えると思うよ。

S:ある意味で、自由の種類が違うんだろうね。ぼくたちにとっての自由は、ただ自分たちが自分たちであり続ける、という自由なんだ。彼らも、基本的には同じことをしていると思う。ただ、ぼくたちよりずっと若いし、さっき言ったように、K-POPをはじめとする東洋の音楽からの影響も多大に受けているよね。そうした要素をどんどん貼り合わせるように音楽を作っていったんじゃないかな。でも、それはぼくたちが辿ることのない道だし、追いかけようとも思わない旅なんだ。ぼくたちには、ぼくたち自身のアイデアがあるからね。もちろん、制作の途中でこの瞬間を切り取ったら、別の文脈ではすごく良かったかもしれない、と思うことはあるよ。でも、ぼくたちはそこに落ち着こうとはしない。ぼくたちはポップ・ミュージックが好きで育ってきたし、デペッシュ・モードやヒップホップ、ラップも聴いてきた。だから、そういう音楽を作る能力がないわけではないと思う。ただ、それを自分たちの仕事にしたいかと言われると、やっぱり違うんだよね。それはぼくたちの興味の向かう先ではないし、彼らのように上手くやれるとも思ってないから。

R:思っているほど簡単なことじゃないと思うよ。

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『Untilted』は、たくさんのハードウェアを使ってはいるものの意図的にシーケンスされた作品なんだ。96〜97年頃からはじまった、構成をどんどん緻密にしていく長い章の、いわば最後の部分だった。『Quaristice』は、そこから再び自由さへと戻っていく動きを反映した作品だった。それはいまのぼくたちにも繋がっているよ。

昨年、『Untilted』と『Quaristice』というアルバムがリイシューされました。どちらも2000年代の力作なんですけれど、あらためて現在の視点から、これら二作にどういった感想をお持ちでしょうか。

S:かなり違う感じの2枚だよね。『Untilted』を作った頃は、個人的にかなりつらい時期だったんだ。父が亡くなった直後でね。その頃は、ものすごく細部まで作り込むタイプの制作をしていて、ドラムマシンを大量に使っている時期だった。ちょうどElektronのドラムマシンを使いはじめた頃で、そうしたハードウェアをどう使うか、いろいろな方法を探っていた。ぼくは、感情的にかなり厳しい時期にいるときほど、すごくテクニカルな作業に没頭する傾向があって、それが自分にとっては救いになるんだよね。注意を別のところに向けるという、ある種の対処法みたいなものなんじゃないかな。だから、『Untilted』にはそうした要素が詰め込まれていると思う。
 一方で、『Quaristice』は、全然違うレコードになった。あれだけ長い時間を掛けて、ああいった制作をしたことへの反動のような作品だと思うんだ。それに加えて、ぼく自身の生活にもいろいろな変化があった。引っ越しをして、新しい場所でしばらくぶりに一人で暮らすようになって。ちゃんとしたスタジオも持っていなかったから、ライヴ用の機材をそのままテーブルの上に並べて、ライヴでやっているのと同じやり方でトラックを作っていったんだ。実は、そこがいまのぼくたちに繋がる起点になったと思う。その時点で、ぼくたちがライヴでやっていたことが、少なくともレコードとしてリリースしてきた作品と同じくらいには完成度が高い、という点に気付いたんだ。それで、『Quaristice』ではその境界線を意図的に曖昧にしたいと思ったんだよね。2008年にアルバムに合わせて制作したライヴセットをツアーに持ち出したとき、観客から「アルバムよりライヴの方がいいね」と言われてしまって。それが、ぼくたちが自分たちのやり方を少し違った角度から考えはじめるきっかけになった。ある意味で、『Quaristice』は、1990年代前半から1996年くらいまでぼくたちがやっていたことへの回帰でもある。当時は、すべてがライヴで、一発録りだったからね。マシンのなかにパターンを入れて、それをライヴで走らせて、パターンの切り替えもミックスも音の微調整も、すべてリアルタイムでやっていたんだ。これはDAWのようなデジタル・オーディオ・ワークステーションが登場する前の話だね。だから、その場で一発で録音するしかなかった。『Quaristice』は、かなりそのやり方に寄せた作品なんだ。もちろん編集はしているけれど、ライヴ的な作業が非常に多い作品だったよ。


『Untilted』


『Quaristice』

S: それに対して『Untilted』は、たくさんのハードウェアを使ってはいるものの、非常に意図的にシーケンスされた作品なんだ。だから、『Untilted』は、’96〜’97年頃からはじまった、構成をどんどん緻密にしていく長い章の、いわば最後の部分だったと言えるんじゃないかな。『Quaristice』は、そこから再び自由さへと戻っていく動きを反映した作品だった。それは、いまのぼくたちにも繋がっているよ。
 いまでも僕たちは、何がライヴで何がリアルタイムで、何が自発的な即興なのか、その境界が曖昧な領域を探り続けている。現代のテクノロジーによって生まれる、そうした不思議な“どこでもない空間”にとても興味があるよ。作曲と即興が同時に成立するような状態にね。
 最近ようやく理解しはじめたのは、作曲というものには明確な始点があるわけじゃない、ということなんだ。多くの場合、最初は即興的なアイデアからはじまるよね。たとえ紙に音符を書くとしても、そこには必ず即興性が含まれている。それを認識することが、ぼくたちにとっては本当に大きいことだったんだ。以前から薄々はわかっていたけれど、初期の頃は技術的な選択肢がなかったから、敢えて問い直すこともしなかった。でも、いまはDAWが普及して、極端に意図的な制作方法が当たり前になっている。だからこそぼくは、ラフさや即興性、未加工の生々しさにより強く惹かれるようになったんだ。物事があるがままに起こる感じ、そのことにとても興味があるよ。コンピュータというのは、どうしても人を意図的な思考へと導いてしまう。
 ぼくたちが自分たちでソフトウェアを作っている理由もそれだ。DAWをまったく使わないわけではないけれど、ぼくが本当に興味があるのは瞬間を捉えることだから。瞬間というのは、とても貴重なものだ。それが年齢のせいかどうかはわからないけどね。昔の作品を聴き返すと、ああした一回限りの、風変わりな選択の瞬間が聴こえてくる。ほとんど再現不可能な出来事がたまたま起きて、それを記録出来た感じだよ。そのことは、本当に価値のあることだと思っている。『Quaristice』は、そうした瞬間を、技術的な制約にとらわれず、意図的に選んでやった作品なんだ。その後のアルバムほど成功したとは言えないかもしれないけれど、間違いなく正しい方向へ進む第一歩だったと思うね。

R:うんうん。実質的には“ランタイム無制限”みたいなものだよね。面白いのは、タイトルがほとんど同じに見えることなんだ。トラック同士も、ちょっと似たような感じがあるし。だから、誰かがどのヴァージョンの話をしているのか、聞き間違えたり読み間違えたりして、混乱することもあると思う。でも、それで良いというか、むしろそういう状態を楽しんでいるんだよね。たとえば、一箇所を聴いていて、「あれ? こっちは9分あるけど、自分のは4分しかないぞ」って気付いたりする。すると、ところどころは正確にわかるんだけど、「ああ、こう来るのか、なるほど」みたいな。そういう聴き方やその感覚自体を、ぼくたちは面白がっているんだよ。

S:その頃、ぼくはアート・オブ・ノイズのことを考えていたんだ。’80年代にすごく好きだったし、彼らがやっていたこと……とくにトレヴァー・ホーンがグループに関わっていた時期の作品には、かなり影響を受けていると思うんだよね。後期の作品にも言えることだけど、とくにその時期のアート・オブ・ノイズのトラックには、ものすごくたくさんのオーバーラップするヴァージョンがあったんだ。たとえば“Moments in Love“”なんて、合計したら90分くらいの別ヴァージョンがあるんじゃないかな。あまりに数が多いから、いま自分が聴いているのがどのヴァージョンなのか、正確に判断するのが難しいくらい。違いはほんの些細な部分だけ、という場合も多くて。
 でも、ぼくはそういう状況がとても好きなんだ。聴き手が少し混乱する感じ。いまどの地点にいるのか、どの展開に入ったのかがはっきりわからないような感覚。聴き手が次はこう進むはずだ、と思っていた方向とは、ほんの少し違う展開をする。そういうことが起こるのが、ぼくは面白いんじゃないかと思っているんだ。物事が反復的で、しかも決定版が存在しない、という考え方が好きだから。ひとつの正解のヴァージョンがあるわけじゃなくて、ただたくさんの異なるヴァリエーションがある。それは、たとえば同じ出来事を目撃した複数の人が、それぞれ違う証言をすることに少し似ているね。みんなが、自分なりのヴァージョンを持っている、という感じかな。

AIに欠けている要素というのは、思いついたことを試して、すぐに録音することで生まれる生々しさだよ。

AIの問題をどうお考えですか? BandcampがAI作品を排除することを公表しましたが、あなた方は現時点でAIというものをどう考えているのか教えてください。

S:えっと、あとどれくらい時間残ってる(笑)? 

(笑)

S:かなり壮大な話題だからね(笑)。えー、まず、当然だけど、盗用は良くない。テック系の連中が、他人の作品を片っ端から盗用しているようなケースは明らかに問題だし、それについてはわざわざ言うまでもないね。Bandcampがああいう判断を下した理由も、そこにあると思う。ただ、それだけではなくて、もっと深い議題がいくつもあると思うんだ。ぼくにとって、AIに関する最大の問題は、既存の作品を学習データにしているという点だ。つまり、AIは探索的ではなく、参照的なんだよね。それ以上のことはしていない。その意味で、正直あまり面白いものじゃないと思う。
 とはいえ、誤解して欲しくないのは、機械学習(マシーン・ラーニング)やそれに近い技術の使い方には、いまテック野郎たちがやっていることとはまったく異なる、正当で創造的な道筋もあるということだよ。そうした使い方のなかには、将来的に実りのあるものも存在すると思う。実際、ぼくたち自身もこの15年くらい、文脈は違うけれど断続的に機械学習を使ってきた。いま主流になっているTransformerモデルが登場する前から、コンピュータ・ミュージックの世界には、機械学習を使う幾つかの方法が存在していたんだ。でも、いまみたいにどこかにログインして「こんな感じのトラックが欲しい」と入力したら、他人の音楽の寄せ集めみたいなトラックが返ってくる——そういうものには、僕はまったく興味がないね。
 それからもうひとつ重要なのは、AIが多くのアーティストの生計を脅かしているという点だ。これは決して軽い気持ちで言っているわけじゃなくて、非常に大きな問題だと思っているよ。ただ、ぼくたち自身に関して言えば、恐らくそこまで深刻な問題にはならないと思っているんだ。僕たちの仕事は、基本的に探求的で、これまでに聴いたことのないものを試してみて、それを自分たちが好きかどうか判断する、というところにある。その好みや判断の要素が、Transformerモデルには完全に欠けているんだ。だから、ぼくたちは今後も、これまでと同じようにやっていけると思う。但し、影響が出るとすれば、誰かがぼくたちの音楽に辿り着く可能性の方だろうね。とにかく大量の音楽が溢れかえることになるから、それは誰にとっても問題になるだろう。
 皮肉なことに、AIに欠けている要素というのは、まさにこの10年……15年、いや20年くらい、ぼくたちが意識的に取り組んで来たことなんだよね。それは粗さや即興性、思いついたことを試して、すぐに録音することで生まれる生々しさのことだよ。そういう、制作のダイナミクスは、僕たちが自然に辿り着いたものだけれど、結果的にそれは、大規模な言語モデルが音楽を作るやり方とはほぼ真逆に位置している。だから、ある意味では、ぼくたちはかなり運が良い立場にいるとも言えるね。ただ、AIという言葉は、あまりにも広域過ぎる。Transformerモデルの話に限るなら、あれ自体に本当に問題が多いし、ひどく参照的で、聴く気にもならない音楽を大量に生み出すことになる。そういうものがストリーミング・サービスや、ヨガ用のプレイリストなんかを占拠することになるだろう。でも、そこはぼくvの居場所じゃない。そういう世界が存在していることは理解しているけどね。だからまあ、ぼくたちはヨガのプレイリストのリスナーを多少は失うことになるかもしれないけど(笑)、正直、そう言う人たちは音楽そのものを気にしているわけじゃないだろうから。結局のところ、ぼくたちのやっていることにほとんど影響はないだろうね。
 一方で、もっと広い意味では、AIは有用なツールにもなり得ると思っているんだ。特定の用途に於いてはね。データのなかのパターンや類似性を見つけることには向いているし、音のカタログ化や、DJミックスの中で相性の良いトラックを見つける、といった使い方も出来るよね。あるいは、大量の音楽を学習させて、ひとつのトラックのなかからレイヤーを分離するなんていう用途もあって、実際にそうした使い方はすでに増えている。慎重に使えば、機械学習はとても強力なツールになり得るんだ。でも、いまの億万長者のテック連中は、全然慎重な使い方をしていない。考え得る限り、いちばん雑で無責任な使い方をしているよ。結局のところ、問題は技術そのものじゃなくて、それを使っている人間と、その使い方なんだ。

『Confield』は、いまでは発売当時ほど過激な作品ではなくなっているけれど、それでも音楽でここまでやれる、という可能性を垣間見せてくれるアルバムだと思う。


『Confield』

では、最後の質問です。前回インタヴューしたときに、「15歳の若者にオウテカのアルバムをプレゼントするとしたら何にしますか?」という質問をしました。そのときの答えは、ファースト・アルバムの『Incunabula』と当時の最新アルバムの『Sign』でした。いま、同じ質問をしたらどれになりますか?

S:良い質問だね。いまだったら、そうだな……正直、前回とは同じ答えにはならないかもしれないね。う〜ん……『Confield』かな。15歳くらいの若者には、もう少し背伸びしてもらってもいいんじゃないかと思うんだ。『Confield』は、いまではぼくたちにとっての転換点として語られることが多いアルバムだけど、当時の僕たち自身は、そこまで意識して作っていたわけじゃなかった。でも、なぜいまそういう語られ方をしているのかは理解できるよ。いまのメインストリーム文化も、たしかにいろいろな刺激や挑戦を提供してはいるけれど、必ずしも正しい種類の挑戦ばかりではないと思うんだ。だからこそ、『Confield』は、彼らのとっての良い入り口になるかもしれない。発表から十分に時間が経ったいまでは、当時ほど過激な作品ではなくなっているけれど、それでも音楽でここまでやれる、という可能性を垣間見せてくれるアルバムだと思う。25年前に作られた作品だということを考えると、さおさらだね。あのアルバムは本当に、まったく異なる時代の産物だったんだ。

R:うん、それでいいと思う。ぼくもその意見に賛成だね。仮にあのアルバムがひとつの転換点だとするなら、過去を振り返りながら同時に未来を見渡すのに、これ以上相応しい作品はないんじゃないかな。

S:そうそう、ちょうど蝶番みたいなものだね。

R:そう、ちょうどその言葉を使おうと思っていたんだ。でも、当時はそういう瞬間だなんて気付かないものなんだよね。

〜私にとっては、サブスクで日々大量に聴いている音楽が街ですれ違う人々だとしたら、レコードは友人や大切な人のような存在です〜

「VINYLVERSEユーザーのリアルな声を聞きたい」そんな思いからスタートしたこの連載も、第4弾を迎えました。
今回お話を伺ったのは、都内でDJとしても活動している kanako__714 さんこと、KANAKO さんです。
SoulやR&Bを軸に、和モノ、ラヴァーズロック、Houseまでジャンルレスに音楽を掘り下げ、DJとしても独自の選曲で現在急成長中。そんなKANAKOさんのVINYLVERSEギャラリーは、あえて邦楽にフォーカスしたセレクトとなっています(2026年1月現在)。
ギャラリーのジャケットを一覧で眺めていると、今、聴くべき音楽を自然体で選んだようなレコードの並びが印象に残ります。主張しすぎるわけではないのに、なぜか気になるその感覚の奥に見えてくるのは、KANAKOさんならではのパーソナルなセンスかもしれません。

今回のインタビューを通して見えてきたのは、「どんな音に惹かれ、どのようにレコードと付き合ってきたのか」という、多くの音楽ファンに共通する問いでした。
DJとしての視点、そして一人のリスナーとしての視点。その両方から語られるレコードの魅力を紐解いていきます。


---まず、VINYLVERSEをどんなふうに使っていますか?

KANAKO(以下K):今は自分が持っているレコードの中から、和モノに絞って投稿しています。ジャケットを一覧で一気に見られるので、DJの選盤を考えるときにもすごく助かっていますね。

---アプリの使い方はすぐに理解できましたか?

K: 特に迷うことなくできました。

---操作で迷った点、不便に感じた点はありますか?

K: 検索してもなかなか出てこないアーティスト、アルバムなどがあり少し苦戦しました。

---使っていて「これは良いな」と感じた機能はありますか?

K: お気に入り登録や、「欲しいもの」をギャラリーに追加できるところです。今持っているものと、これから欲しいものを同じ感覚で管理できるのがいいなと思いました。

---他のコレクターと交流する機能についてはどうでしょう?

K: コメント機能などはあってもいいかなと思います。ただ、正直SNSがあまり得意ではないので、無理に交流しなくてもいいのかなと思いました(笑)。

---今後欲しい機能はありますか?

K: ギャラリーの順番を自由に動かせたり、Instagramのように気に入っているレコードを一番上にピン留めできるような機能があればいいなと思いました。

---VINYLVERSEの一番の魅力は何だと思いますか?また、どんな人にこのサービスをおすすめしたいですか?

K: 自分の持っているレコードとあらためて向き合い、自分はこういう音楽が好きなのだと再発見することができるアプリだと思いました。また、他の人のレコード棚を覗いているような気持ちになれるのも楽しいです。レコードが好きな方ならみんな楽しめるアプリだと思います。

---そもそもレコードを集め始めたきっかけは? 最初に買った1枚も教えてください。

K: 4年ほど前、渋谷のRECORD SHOP & DJ BAR「BLOW UP」に行ったのがきっかけです。Black Musicやレコードに興味を持って、最初はクラブやミュージックバーでレコードを聴く側でしたが、その後自分でも集めるようになりました。DJを始めた時期とレコード収集を始めた時期がほぼ同じで、最初は一気にたくさん買っていたので少し記憶が曖昧なのですが……たぶん、ミニー・リパートンの『LOVE LIVES FOREVER』が最初に買った1枚です。

---主にどんなジャンルを集めていますか?

K: あえて言うならSoulですが、和モノ、R&B、ラヴァーズロック、Houseなど、ジャンルはさまざまです。

---特に思い入れのある1枚を教えてください。

K: ORCHIDSの『LIFE IS SCIENCE』です。去年の夏、池尻のJuly treeというギャラリーで90年代クラブイベントのフライヤーの展示を見に行ったとき、会場でこの曲がかかっていて。ギャラリーの方に教えていただき、すぐに買いました。そこからMAJOR FORCEの音楽にどっぷりハマって、今も少しずつ集めています。

---今、個人的に一番欲しいレコードは?

K: Sly, Slick & Wickedの『Sho’ Nuff』の7インチです。ずっと欲しいと思いながら高くて手が出せなくて……気づいたらさらに高騰していて、早く買えばよかったと後悔しています。

---あなたにとって「レコードの魅力」とは何でしょう?

K:音質の良さはもちろんですが、それ以上に「音楽が物質としてそこにある」ことに魅力や安心感を感じます。私は根本的にモノが好きな人間で、音楽だけでなく、雑誌や漫画も本当に気に入ったものは物理的に手元に置いておきたい。ライナーノーツやジャケットを眺めて楽しめるのも、レコードならではだと思います。

---レコードで聴く音楽と、他のメディアで聴く音楽の違いについて、どう感じていますか?

K: 音質の違いはもちろんあると思います。特にクラブやミュージックバーでレコードを聴くことは、立体感やひとつひとつの楽器の音をクリアに感じることができる、特別な体験だと思います。ただ、サブスクでたくさんの音楽に出会えることも素敵な体験であることは確かで、サブスクで出会った曲をレコードで購入し、思い入れのある曲になるということも頻繁にあります。私にとっては、サブスクで日々大量に聴いている音楽が街ですれ違う人々だとしたら、レコードは友人や大切な人のような存在です。

---音楽以外で好きなカルチャーはありますか?

K: 90年代のカルチャーが好きです。日本のドラマや映画、古着、雑誌だと『relax』とか。

---VINYLVERSEのギャラリーを「誰かに見せたい」と思うことはありますか?

K: 正直私は自分のことを人に話したりとか、自分のパーソナルなところを人に知られるのがあまり好きではなくて。自分のことを言葉で説明するのがすごく苦手なんです。でも、ギャラリーを一覧で見てもらえたら、「この人、こういう音楽が好きなんだ」って自然に伝わる。それは逆にいいなと思いました。人からDJのスタイルやジャンルについてもよく聞かれるのですが、例えば「和モノ」と言うと、シティポップや歌謡曲を想像されがちで。でも実際は、そのどちらもそこまでレコードを持っているわけではなくて、自分でも「和モノの中のどういう音楽が好きなのか」を言葉で説明するのが難しかったんです。
でも、ギャラリーを見てもらえれば、自分で説明するよりも分かりやすいかもしれないな、と思いました。

---VINYLVERSEギャラリーのセレクトを和モノにフォーカスした理由はどうしてですか?

K: 今、毎月第一金曜日にアマランスラウンジというお店の和モノのイベントでDJをやらせてもらっていて、その流れもあって毎月コンスタントに邦楽レコードを買うようになったんです。そうすると、だんだん自分でも何を持っているのか分からなくなってきて(笑)。
頭の整理という意味でも、一度「自分がどんな和モノを持っているのか」をまとめてみたいと思って、一旦和モノに絞りました。

---邦楽と洋楽の捉え方に違いはありますか?

K: あまりないですね。いわゆる和モノってジャンルというより、その中にSoulっぽかったり、R&Bとかシティポップ、四つ打ちなどがある、という感覚で。私は和モノだから集めているというより、「好きな音」に反応して集めているので邦楽も洋楽も関係なく聴いています。

---家ではどんなふうに音楽を聴いていますか?

K: 家ではレコードも聴くし、ラジオも聴くし、サブスクも使います。常に何かしらの手段で音楽が流れている感じですね。
DJの練習としてかけることもあれば、ただゆっくり聴くこともあります。DJをするようになってからは、「この曲をどう繋ぐか」「次に何をかけるか」を考えながら聴くようになりました。途中でブレイクが入ると使いやすそうだなとか。でも、ただ聴いていて良い音楽と、DJで使いたい曲っていうのはまた違う気もしますね。

---DJでは使わないけど、欲しくて買うレコードもありますか?

K: あります。例えばMitsukiの『Land Is Inhospitable And So Are We』は、私がDJ中にかけることはありませんが、寝る前に聴きたくなるような音楽ですごく好きなので買いました。

---レコードを買う場所についてのこだわりはありますか?

K: ディスクユニオン、BLOW UP、地方のレコードショップのオンラインストアなどで買います。ごくたまにDiscogsも使いますね。メルカリやヤフオクは、基本的にはあまり使いません。もちろんレコードが本当に好きな人が売っている場合もあるとは思うのですが、レコードをよく知らない人や、あまり好きじゃない人が売っていることも多そうで、そういう人からは買いたくないんです。気分が乗らないというか。ただ、単に気持ちの問題だけではなく、盤質の基準も人によってバラバラだし、品質面で不安があるのも理由のひとつです。

---VINYLVERSEも「レコードが好きな人から、レコードが好きな人へ渡る」という感覚を大事にしたく思っています。それがどういうアプリにしたらそうなるのかは今でも試行錯誤中ですが、VINYLVERSEが、そういう人から人へ、レコードを気持ちよくバトンタッチできる場所になったらいいな、と思っています。
ちなみに手に入れたとき一番嬉しかったレコードって何ですか?

K: 一番嬉しかったのはセルジオ・メンデスの『Brasileiro』ですね。とあるDJの方がかけていて知って、それからレコードを探し始めて、1年半くらい探して見つかりました。でも結局買えたのはメルカリなんですが(笑)。一度、ヤフオクで見つけて入札したのですが、4万円以上までいってしまって。途中で無理だなと思って諦めました。その後メルカリに、それよりはだいぶ安く出ていたので買いました。

---DJは主にどのような場所でプレイされているのでしょうか?

K: 主に夜帯の時間で、お酒を飲む場所、BARやクラブが多いです。

---こういうところでDJしたいという場所はありますか?

K: 先日、ラテンミュージックと社交ダンスのイベントがあって行ってきたのですが、DJがラテンミュージックをかけて、間にラテンダンスのパフォーマンスを挟むという感じだったのですが、雰囲気がとてもハッピーで、場所もオープンなスペースだったので通りすがりのお客さんも見ていて。そういうオープンな場所で自分のこと全然知らない人に聴いてもらえる機会があったら、すごく楽しいだろうなと思いました。

---昔から変わらず好きな音楽の傾向って何かありますか?

K: 全体的にアフロっぽいパーカッションが入ってたり、途中で長めのブレイクがある曲はめちゃくちゃ好きです。ファミリー・ツリーの「Family Tree(Norman Cook Disco Edit)」とか、ワンネス・オブ・ジュジュの「African Rhythms」とかですかね。

---とてもヒップホップ的ですね(笑)。ある視点から言えば、ヒップホップって「このブレイクをずっと聴いて踊っていたい」という衝動から生まれたものですからね。DJに向いているのかもしれません。ところで楽器経験はあるのですか?

K: ピアノとトランペットをやっていました。

---それはDJをすることに何か役に立っていますか?

K: 拍とか小節の感覚は役立っていると思いますが、私がやっていた楽器の演奏とDJをすることは全然違いますね。私はジャズをやっていたわけではないので、ピアノは譜面通り、トランペットも先生の指示通り。でもDJの場合、どんな展開にするのか、どこで繋ぐのかはすべて自分次第。そこが一番違うと思います。

---では最後に、これからレコードを買いたい、DJを始めたいというビギナーへアドバイスがあればお願いします。

K: 機材を揃えたり、レコードが増えると場所を取ったりとサブスクに比べて少しハードルが高い部分はあるかもしれませんが、その分音楽との向き合い方は変わるような気がします。まずは好きなアーティストのレコードを手に取ってみていただきたいです。DJに関しては、この曲が流行ってるからとかではなく、自分が本当に好きな曲をみんなに知ってもらう。この曲、本当にいい曲なんだよっていうのが人に伝わるような曲の順番とか、音のバランスやボリュームとかを気にしながら、プレイする。どうすればこの自分の好きな曲が一番いい状態で相手に聞いてもらえるかみたいなことを大事にしたいと思っています。


KANAKOさんのギャラリーはこちら
https://vinylversemusic.io/gallery/kanako___714


VINYLVERSE アプリ

Thundercat - ele-king

 前作『It Is What It Is』からじつに6年ぶり。サンダーキャット5枚目のニュー・アルバム『Distracted』が4月3日に〈Brainfeeder〉よりリリースされる。マック・ミラー、エイサップ・ロッキーなど豪華なゲストが参加している模様。さらに、5月19日から22日にかけ、東名阪をめぐる来日公演も決定している。サンダーキャットの最新型を、その目その耳でたしかめたい。

THUNDERCAT

6年ぶりとなる待望のニュー・アルバム完成!
最新作『DISTRACTED』をひっさげ、
東名阪の来日ツアーが5月に決定!!

マック・ミラー、エイサップ・ロッキー、リル・ヨッティ、
テーム・インパラ、ウィロー、チャネル・トレスら豪華ゲスト参加
新曲「I DID THIS TO MYSELF (FEAT. Lil Yachty)」解禁
ニュー・アルバム『DISTRACTED』は 4月3日リリース
Tシャツ・セットや日本語帯付限定LP、
購入特典 (先着) にアクリル・スタンドも決定!

前作のリリースからちょうど6年。サンダーキャットが、通算5作目となるスタジオ・アルバム『Distracted』を完成させた。4月3日に〈Brainfeeder〉よりリリースされる。

本作には、惜しくも2018年にこの世を去った盟友マック・ミラーとの未発表コラボレーション楽曲をはじめ、エイサップ・ロッキー、リル・ヨッティ、テーム・インパラ、ウィロー、チャネル・トレスといった、時代とジャンルを横断する豪華アーティストが参加している。

アルバム制作の軸となったのは、サンダーキャットにとって新たなクリエイティヴ・パートナーとなる大物プロデューサー、グレッグ・カースティンとの緊密なコラボレーションだ。アデル、ポール・マッカートニー、シーア、ビヨンセ、ベックなど、ポップス史を代表するアーティストたちとの仕事で知られる彼との共同作業によって、本作はこれまで以上に洗練されつつも、サンダーキャットらしい自由さと遊び心を失わない作品へと結実している。

さらに、〈Brainfeeder〉主宰であり親友のフライング・ロータス、昨年ギースの最新作を手がけ話題を呼んだケニー・ビーツことケネス・ブルーム、そして天才ダダリオ兄弟によるザ・レモン・ツイッグスもプロダクションで参加。多彩な才能が集結しながらも、作品全体は明確に“今のサンダーキャット”を映し出している。

アルバム発表と同時に、リル・ヨッティ参加のリード・シングル「I Did This To Myself」が解禁された。本楽曲では、フライング・ロータスが追加プロダクションを担当している。

Thundercat - I Did This To Myself (feat Lil Yachty)
配信: https://thundercat.lnk.to/distracted

「今夜は何してる?」という一言から始まるこのグルーヴィーな楽曲は、あまりにも忙しい“あの子”にはまったく届かない。派手なアクセサリーが好きで、インスタを頻繁に更新する彼女は、サンダーキャットやリル・ヨッティの必死なアプローチにも見向きもしない。ふたりは、状況を変えたいと思いつつも、自分たちがこの状況を招いたことを痛いほど理解している。

こうしたデジタル時代特有の気まずさやすれ違いこそが、『Distracted』の核となっているテーマだ。『Drunk』の混沌とした現代社会への視線と、『It Is What It Is』の深い喪失感。そのあいだに位置する本作は、サンダーキャットが「今という時代における自分の居場所」を見出したアルバムでもある。

現代を断罪するのではなく、「気が散ること (ディストラクション)」が、障害にも癒しにもなり得るものとして捉え直す視点が、本作を貫いている。

過剰な刺激と内省のあいだに生まれる緊張感。テクノロジーの“進歩”が想像力を広げるどころか、むしろ狭めてしまったことへの懐疑。『スター・トレック』や子どもの頃に抱いていた宇宙への夢を冗談交じりに語りつつ、レーザーのないドローン、カメラだけが進化するスマートフォン、監視とアクセスに集約されたイノベーションという現実へと視線を転じる。それはガジェットへの失望というより「約束された未来」と「実際に手にした現実」とのギャップへの違和感なのだ。

ときには、別の形で集中するために、あえて気を散らす必要があるんだ
- Thundercat

本作には、サンダーキャットと同じ感覚、創作志向を共有するのアーティストたちが数多く参加している。ウィローは「ThunderWave」で浮遊感あふれるヴォーカルを重ね、チャネル・トレスは「This Thing We Call Love」で軽快なグルーヴを生み出す。つい先日『サタデー・ナイト・ライブ』での共演も話題になったエイサップ・ロッキーは壮大な「Funny Friends」に参加し、テーム・インパラとのコラボレーション「No More Lies」も収録される。

アルバムのアートワークは、ラナ・デル・レイやテーム・インパラを手がけてきた、グラミー・ノミネート歴を持つフォトグラファー、ニール・クラッグが担当している。

ただ楽しんで、笑って、苦しみは形を変えながら続くものだってことを知ってほしい。それでも前に進み続けるんだ。
- Thundercat

混乱してもいい。疲れてもいい。“Distracted(気が散っている)”状態でも、その中から美しいものは生まれる。常に意見や発言を求められるこの時代に、サンダーキャットが差し出すのは、より静かで、しかし本質的なメッセージだ。

サンダーキャット待望の最新アルバム『Distracted』は、4月3日 (金) にCD、LP、デジタル配信で世界同時リリース。LPは、通常盤 (レッド・ヴァイナル)に加え、日本語帯付き限定盤 (クリア/ブラック・マーブル・スモークエフェクト・ヴァイナル)、限定盤 (クリア/ブラック・マーブル・スモークエフェクト・ヴァイナル)、タワーレコード限定盤 (クリア/ホワイト/ブラック・スプラッター・ヴァイナル)、ディスクユニオン限定盤 (クリア/ターコイズ/ブラック・スプラッター・ヴァイナル)も発売。国内盤CDと日本語帯付き限定盤には歌詞対訳と解説書が封入され、Tシャツ付きセットも発売決定。さらに、アルバム購入者は先着でサンダーキャットのオリジナル・アクリル・スタンドがもらえる。

CD+Tシャツセット / Tシャツデザイン(白)

LP+Tシャツセット / Tシャツデザイン(黒)

先着特典:アクリルスタンド

サンダーキャット、待望のニューアルバムを完成させ、来日ツアー決定!

THUNDERCAT
JAPAN TOUR 2026

TOKYO 2026/5/19 (TUE) TOYOSU PIT
TOKYO 2026/5/20 (WED) TOYOSU PIT
OSAKA 2026/5/21(THU) NAMBA HATCH
NAGOYA 2026/5/22 (FRI) COMTEC PORTBASE

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK [WWW.BEATINK.COM] / E-mail: info@beatink.com

数々のステージを駆け抜け、ジャンルもメディアも軽やかに越境しながら、音楽そのものと生き様で世界中のファンを魅了し続ける唯一無二の存在、サンダーキャット。

世界有数の超絶技巧を誇るベーシストでありながら、メロウでスウィートな歌声と、底抜けに自由なキャラクターで、常にシーンの中心に立ち続けてきた彼が、待望の最新アルバム『Distracted』(4月3日発売)を携え、2026年5月、ふたたび日本へ帰ってくる。

2020年という世界的混乱の年に象徴的なフレーズとも言える『It Is What It Is』は、第63回グラミー賞で【最優秀プログレッシヴR&Bアルバム賞】を受賞。その後も、エイサップ・ロッキー、テーム・インパラ、ゴリラズ、シルク・ソニック、ケイトラナダ、ジャスティスらとのコラボレーションを重ね、俳優としても『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品『ボバ・フェット』に出演し、子供番組『Yo Gabba Gabbaland』にもゲストとして登場している。日本でもNHK Eテレ「シャキーン!」「天才てれびくん」への出演するなど、アニメやゲームを含むカルチャー全体を横断。その音楽、キャラクター、そして生き様そのものが、世代や国境を越えて支持されている理由だ。

2022年、まだ入国やイベント開催に制限が残る中で誰よりも早く実現させた来日ツアーは、熱狂と感動に満ちた“永遠に語り継がれる夜”として今も多くのファンの記憶に刻まれている。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが「地球上で最高のベースプレイヤー」と称賛を送るサンダーキャット、そのライブは、超絶技巧とメロウネス、ユーモアとカオスが完璧なバランスで共存する、まさに異次元の体験だ。

そして2026年5月。その唯一無二のステージが、再び日本を震わせる。

ジャズ、ヒップホップ、ファンク、R&B、AOR、LAビート、あらゆる要素を溶かし込みながら、今この瞬間の音楽として鳴らされるサンダーキャットのステージ。世界を肌で感じるそのライブ・パフォーマンスを、どうかその目と耳で体感してほしい。

【チケット詳細】
TOKYO:前売:9,000円 (税込 / 別途ドリンク代 / オールスタンディング) ※未就学児童入場不可
OSAKA:前売:9,000円 (税込 / 別途ドリンク代 / 1階タンディング、2階指定席) ※未就学児童入場不可
NAGOYA:前売:9,000円(税込 / 別途ドリンク代 / 全席指定) ※未就学児童入場不可

先行発売:
★BEATINK主催者先行:1/30(FRI)18:00
[ https://beatink.zaiko.io/e/thundercat] (※限定枚数・先着、Eチケットのみ)
★イープラス・プレイガイド最速先行受付:1/31(SAT)10:00~2/4(WED)23:59
[ https://eplus.jp/thundercat/](抽選)

[東京]
LAWSONプレリクエスト:2/5(THU)10:00~2/8(SUN)23:59
イープラス・プレオーダー:2/5(THU)10:00~2/8(SUN)23:59

[名古屋]
ジェイルハウスHP先行:2/5(THU)12:00~2/9(MON)23:59
チケットぴあプレリザーブ:2/5(THU)11:00~2/9(MON)11:00
イープラス・プレオーダー:2/5(THU)12:00~2/9(MON)23:59
LAWSONプレリクエスト:2/5(THU)12:00~2/9(MON)23:59

[大阪]
イープラス・プレオーダー:2/5(THU)10:00~2/8(SUN)23:59
チケットぴあプレリザーブ:2/5(THU)11:00~2/9(MON)23:59
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一般発売:2月14日(土)10:00~

label:BEAT RECORDS / Brainfeeder
artist:Thundercat
title:Distracted
release:2026.04.03
商品ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15625
配信:
tracklist:
01. Candlelight
02. No More Lies (feat. Tame Impala)
03. She Knows Too Much (feat. Mac Miller)
04. I Did This To Myself (feat. Lil Yachty)
05. Funny Friends (feat. A$AP Rocky)
06. What Is Left To Say
07. I Wish I Didn’t Waste Your Time
08. Anakin Learns His Fate
09. Walking on the Moon
10. This Thing We Call Love (feat. Channel Tres)
11. ThunderWave (feat. WILLOW)
12. Pozole
13. A.D.D. Through the Roof
14. Great Americans
15. You Left Without Saying Goodbye

CD+Tシャツセット

LP+Tシャツ

CD

限定盤LP
(クリア/ブラック・マーブル・
スモークエフェクト・ヴァイナル)

輸入盤LP
(レッドヴァイナル)

タワーレコード限定盤LP
(クリア/ホワイト/ブラック・
スプラッター・ヴァイナル)

ディスクユニオン限定盤LP
(クリア/ターコイズ/ブラック・
スプラッター・ヴァイナル)

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