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Seven Davis Jr

DooWappFunkGospelPopSoul

Seven Davis Jr

S.O.S

Self-released

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小川充   Jun 14,2019 UP

 どちらかと言えばセヴン・デイヴィス・ジュニア(サミュエル・デイヴィス)はハウスの枠で語られることが多く、ムーディーマンのフォロワー的なところもあった。実際のところ2013年頃のデビュー当初はそうした作品が多く、デトロイト・スウィンドルやドック・ダニーカらとのコラボでは四つ打ちのディープ・ハウスに傾倒したものをやってきている。
 しかしながら〈ニンジャ・チューン〉からリリースしたファースト・アルバムの『ユニヴァース』(2015年)では、そうしたムーディーマンやセオ・パリッシュ的な作品がある一方で、プリンス、リック・ジェイムズ、Pファンクなどからアフリカ・バンバータに至る、広義でのブラック・ミュージックを咀嚼した作品をやっていて、むしろソウルやファンク・アーティストとしての側面を感じさせるところもあった。
 彼自身は幅広い音楽を聴いて育ってきたそうで、フランク・シナトラ、ナット・キング・コール、バート・バカラック、プリンス、ステーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、アレサ・フランクリン、ジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、アース・ウィンド&ファイアー、ヒートウェイヴ、ポーティスヘッド、トリッキー、ビョーク、J・ディラ、フージーズなどから影響を受けていると語っている。ハウスやクラブ・サウンド以前にソウル、ゴスペル、ジャズに親しんできたそうで、ゴスペルからの影響がムーディーマンとの共通項と言えるのかもしれない。そうした意味ではPファンクからムーディーマンとも共演してきたシンガー・ソングライターのアンプ・フィドラーあたりと比較してもいいアーティストだ。

 『ユニヴァース』のリリース後は地元のロサンゼルスで〈シークレット・エンジェルズ〉というレーベルを設立し、自身の作品のほかにフリーカゾイズ、ケイヴ・サークルズ、ハニー・ディジョン、オルフェオ、オクノーツといった新人アーティストたちのリリースをサポートするなど、レーベル・プロデューサーとしても活躍している。一方でフライング・ロータスの「3D」ツアーの前座を務めたりと、これまで以上に幅広い活動を展開してきている。アルバムでは『ライヴ・フロム・ジ・アザー・サイド』(2016年)、『クワイア・ボーイ』(2018年)をリリースし、この度リリースした『S.O.S(セルフ・オーヴァー・ストレス)』は通算4枚目のアルバムとなる。
 今回のアルバムは『ユニヴァース』以上に彼のルーツに迫ったアルバムである。ドゥーワップ調のレトロなコーラスを配した“ワン・オブ・アス”に始まり、スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン的な“ルーモアズ”や“ナイス・デュード”、ディープ・ファンク・スタイルの“フォーカスド”や“ヒーロー”と、ハウスやディスコ系の作品は皆無である。“ラヴ・ザイセルフ”と“ベッドタイム”がムーディーマン的ではあるが、これらも単純な四つ打ちというわけではない。“カフェ”はダンサブルなサウンドだが、どちらかと言えばジャズ・ファンク~ブロークンビーツ的だろう。
 音楽性もソウルやファンクだけでなく、オールディーズを咀嚼したような“マッド”や“ディプレッション”から、ニューウェイヴ的な“キラー”や“タイニー・テキーラ”、ボサノヴァのリズムを用いた“エモーションズと非常に幅広い。そして“インヴィジブル”あたりに顕著だが、オルガンとヴォーカル&コーラスのコンビネーションはゴスペルを意識したもので、アルバム全体の音響も教会で録音したかのような雰囲気を感じさせる。“ピース”というタイトルもそうしたゴスペル志向の表われと言えるだろう。“フォーギヴ”はゴスペルとフライング・ロータス的なビート・ミュージックの融合と言えるもので、なかなか興味深い。
 ゴスペルを土台にファンクからロック、ニューウェイヴ、そしてビート・ミュージックと幅広く交信し、その幅広さゆえにときに散漫さを与えるかもしれないが、全体的な雰囲気としてはディアンジェロの『ブラック・メサイア』に近いものを感じさせるアルバムとなっている。

小川充

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