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小川充   Jul 29,2015 UP

 70年代には日本のウィスキーのCM出演でもお馴染みだった黒人エンターテイナーの草分け、サミー・デイヴィス・ジュニアの名前を捩ったセヴン・デイヴィス・ジュニア(本名はサミュエル・デイヴィス)。ここ1、2年でのさまざまなシングルやEPリリースを通じ、アンダーグラウンドなハウス系クリエイターというイメージが定着したが、そもそもはシンガーとしてキャリアをスタートし、メジャー・デビュー寸前までいった。テキサス州ヒューストン出身で、その後サンフランシスコへ移り住んだ彼は、サミー・デイヴィスJrも属した一家の親分であるフランク・シナトラから、ナット・キング・コール、バート・バカラック、プリンス、ステーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、アレサ・フランクリンといったアーティストの影響を受け、ソウル、ゴスペル、ジャズなどに親しんできた。その後、ハウスやジャングル、ジュークやベース・ミュージックなどクラブ・サウンドに触れてトラック制作も始め、現在はロサンゼルスを拠点にシンガー/プロデューサー/ソングライターとして活動する。

 彼がクラブに通いはじめた頃のサンフランシスコのハウス・シーンでは、マーク・ファリナがヒップホップ、ジャズ、ダウンテンポ、トリップ・ホップなどもいっしょにプレイし、クロスオーヴァーなスタイルが脚光を集めていた。そうした自由な音楽性に感化され、彼もジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、アース・ウィンド&ファイアー、ヒートウェイヴ、ポーティスヘッド、トリッキー、ビヨーク、Jディラ、フュージーズとさまざまなサウンドを聴き、自身の作曲やプロダクションに反映させていった。そして発表した本ファースト・アルバム、たとえば“サンデイ・モーニング(Sunday Morning)”や“ノー・ウォーリーズ(No Worries)”ではムーディーマン、“ウェルカム(Welcome Back)”ではセオ・パリッシュ、“フリーダム(Freedom)”ではフローティング・ポインツとの類似性も見出せる。しかし、ジャイルス・ピーターソンの“ワールドワイド(Worldwide)”出演時のインタヴューによると、本人にはあまりそうした意識はないようで、むしろ前述のシナトラやプリンスからの影響が強いとのこと。本作おいてはそのプリンスはじめ、リック・ジェイムズ、Pファンク、アフリカ・バンバータ、アーサー・ベイカーなどを彼なりに咀嚼・昇華しており、フリオ・バシュモアをフィーチャーした“グッド・ヴァイブス(Good Vibes)”、フラーコをフィーチャーした“ビー・ア・マン(Be A Man)”、“エヴリバディ・トゥー・クール(Everybody Too Cool)”などがその表れだ。また“ファイターズ(Fighters)”には彼の中にあるゴスペル・フィーリングが露わになっており、アンプ・フィドラーやジェシー・ボイキンス3世などのシンガー・ソングライターに通じるところも見出せる。先鋭的なトラックも作り出す一方で、自身の音楽の基盤にある歌も忘れてはいないのがセヴン・デイヴィス・ジュニアなのだ。

小川充