「Nothing」と一致するもの

intervew with FURUKAWA MIKI - ele-king

青森からやって来て、周囲からも浮いていて、疎外感や孤独感があったんです。交わりたくても交われなかったんです。その感覚がずーっとあるんです。

フルカワミキ / Very
フルカワミキ / Very

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 この取材の興味の矛先はこうだ。電気グルーヴやボアダムス、あるいはロヴォ等々に続くようにして、90年代のレイヴ・カルチャーにインスパイアされたスーパーカーというポップ・ロック・バンドのメンバーだった人物の"現在"について。そんな観点で彼女の3枚目のアルバム『Very』を聴いていると、大雑把に言って、彼女がまだあの場所にいるように思える。ドリーミーでサイケデリックな彼方の、いまだ"ストロボライツ"が発光するあの場所に――。

久しぶりですね。

はい。

最後に会ったのが『ハイヴィジョン』の取材のときじゃないのかな?

へー、そんなになりますか~。

たぶん。

そうですよね。

それで......久しぶりなので、最初に大きな質問させてもらいますけど、このアルバムにとっての成功とはなんでしょう?

んー......、聴いてもらえること、無視されないこと......ですね。

いままでだって無視されてないじゃない(笑)?

いや、でも、ソロになってからは......。フルカワミキがこういうことをやる人なんだっていうことをわかってもらいたいというか。

スーパーカー解散後、ソロになって自分のアイデンティティに関してどう考えました?

考え込むほどじゃなかった。自分の持っている環境や人間関係があったし、それを最大限に活かせればいいと思っていたし。ただ、ポップであることは考えてますけどね。

ポップというのもいま相対化されているフシがありますけどね。インディで30万枚売る人もいれば、メジャーで3千枚も売れない人もいるし。

そうなってますよね。ただ、知らない人に届けたいというのはあるかな。

ポップという言葉をどう定義する?

街を歩いていて耳に入ってくる音楽......。

渋谷を歩いていると、聴きたくいもない音楽がばかでかい音で流れたりして、あれ、うざいって思わない?

思います。ただ、あのなかに自分の好きなモノを混ぜたいとも思うんです。

どのくらいの枚数は売れたいっていうのはある?

んー。

とりあえず10万は超えたいとか(笑)。

いやー(笑)。ここ数年、CDの売り上げが下がっているじゃないですか......、枚数はね......、正直わからない。

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過去の2枚の経験が、今回のアルバムにどのように反映されているんですか?

打ち込みと生音を混ぜて、もっと賑やかにしたかったというか、手法にこだわらないほうが自分には合っているのかなと。

自分の音楽にジャンル名を付けるとしたら何?

ジャンル(笑)! 

Jポップと呼ばれることに違和感はない?

Jポップと呼ばれるとネガティヴなイメージがあるんだけど、もう、そのあたりもどうでもいいのかなって(笑)。

では、レディオヘッドとエグザイルとでは、自分がエグザイルの側でも構わない?

好きなのはレディオヘッド(笑)。だけど、JポップにはJポップの面白さはあると思うし。まあ、例えば戦略とか。

戦略?

プロモーションの仕方とか。

そこは僕が疎いところで、僕にJポップの面白さについて教えてくださいよ。

それは私もね~! まあ、ネットを見たりして知っている程度で、私もあんまりうまくやれているほうでないので。ただJポップって、すでに日本の文化として成立しているんじゃないですか。

要するに「歌謡曲の良さも認めなければならない」と。

まあ(笑)。嫌いな曲もいっぱいあるんですけど、でもまあ、それを受け入れなきゃならないというか。

なるほど~。質問を変えますね。詞と言うよりも音の人ですよね。

そうですね。曲は完全に音から作っている。歌詞はいちばん最後。

新作『Very』を聴いて"ストロボライツ"や『ハイヴィジョン』時代のスーパーカーを思い出したんですけど、意識した?

とくに意識してはいないけど、たぶんあのやり方が身になっているんです。ちゃんと受け継いでいるというか、それが当たり前になっている。ふだん聴いている好きな音楽も空間がある音楽で......、音と言葉のあいだにちゃんと隙間があるというか。

1曲目から3曲目まで、"ストロボライツ"だなーと思うんだよね。

そうですね。

いや、5~6曲あたりもそうだね。"Make Up"から"New Days "、"Come Now "とか。エレクトロニック・ダンス・ミュージックをふくらませたサウンドというか......。

打ち込みという意味では、そうかもしれないですね。

ざっくり言えば、トランシーなテクノって感じでしょ。それってまさに"ストロボライツ"の発展型だと思うし。

たしかに"ストロボライツ"は私を思い出すときの代表的な曲なんだと思います。声の感じとか、イメージとか。それはよく人から言われる。

あー、やっぱ多くの人がフルカワミキといえば"ストロボライツ"である、と言うんだ?

はい。私のリード・ヴォーカルの曲ではあれがもっとも有名な曲なんでしょうね。それはよくわかるんです。それに、打ち込みで私が歌うと、やっぱああなってしまうんでしょうね。キーだったり、歌い方だったり。

ああいう、レイヴ・カルチャーにインスパイアされた曲にいまでも愛着があるということなんですよね?

そうですね。

すごくよく憶えているんだよね。"ストロボライツ"の頃に取材して、ナカコーがレイヴ・カルチャーにものすごく真っ直ぐに入り込んでいて、それがヒシヒシと伝わってくるようなね(笑)。訊いているほうが恐くなるような鬼気迫るインタヴューで(笑)。

ハハハハ。

ただ、スーパーカーがレイヴ・カルチャーにハマっていた頃って、僕はもうあの文化にわりと飽きていた時期でもあったんだよね。

あ、でもね、スーパーカーがもっともレイヴ・カルチャーにハマっていたのは『フューチュラマ』のときで、『ハイヴィジョン』のときはもう飽きていたんですよ。じょじょに行かなくなってきた頃に"ストロボライツ"で、その後に『ハイヴィジョン』なんです。『ハイヴィジョン』はレイヴ・カルチャーというよりも『キッドA』とかプライマル・スクリームとか......。

『キッドA』の作風はずいぶん陰鬱じゃない。

影響受けたのは手法的なところですよね。ロック・バンドがコンピュータを取り入れる手法を用いたというところ。それを自分たちでやったのが『ハイヴィジョン』ですね。

それでいったら『Very』もその延長にありますよね?

私は作曲するとき鍵盤で作るので、あるいは「あ、この音を使いたいな」というところから入っていくので、だから打ち込みのやり方のほうがやりやすいとも言えるんです。

"ストロボライツ"が良い曲か悪い曲か、好きか嫌いか、そういったことは抜きにして、あの曲がものすごーく切実に作られているなと当時僕は思ったんです。「この人たちは本気そういう風に考えているんだ」って。

デビューの頃に青森からやって来て、とても「イエー!」っていう感じじゃなかった。なんか周囲からも浮いていて、すごく疎外感や孤独感があったんです。交わりたくても交われなかったんです。その感覚がずーっとあるんです。寂しがり屋なんですね(笑)。だから音楽でなんとか前向きなものを出すんですけど、家に帰るとまた元に戻っているというか。だからなのか、4つうちの曲で踊って「わーっ」となるのがすごく楽しかったし、踊るのも大好きだし。それを表現したかったというのもあったんですよね。

いまでも踊りに行く?

はい。回数は減ったけど。いまでもクラブに行きますよ。

ファースト・アルバムの頃はムードマンにリミックス頼んでいたもんね。

"コーヒー&シンギン・ガール!!!"ですね。

そうそう、あれはフルカワミキのクラブ・ミュージックへの愛情がとてもよく出ていた曲だったよね。

そうですね。でも、さすがにもう山には行かないですけどね。

山(笑)。ハハハハ、それはもう10年以上前の話でしょ。

はい、18、19、20のあたり。

フルカワミキをサポートしている人っていうのは、ナカコーはもちろんのこと、他には誰がいるの?

ドラマーの沼沢(尚)さんとベースの那須野(満)さん。那須野(満 )さんは灰野(敬二)さんのバックで弾いている人。

すごいメンバーだね!

那須野(満 )さんは1枚目からずっとやってくれています。イタリアン・プログレの話とかされるんですよ(笑)。

ハハハハ。いいな~。レーベル・メイトである電気グルーヴについては?

電気グルーヴの作品をがっつり聴いたってことがないんです。卓球さんのソロであったり、まりんさんのソロであったり......『ラヴビート』がすごく好きだったから。

まりんさんはスーパーカー時代から一緒にやってるものね。でも彼はもう何十年も出してないじゃないですか......いや、何十年ってことはないか(笑)。

こないだ久しぶりにライヴやって、音がすごかったですよ。映像もあって、視覚と聴覚と両方すごかった。

卓球さんのやっていることは?

踊らすなーと(笑)。

ダンス・ミュージックでは好きな人って誰になるの?

ふだんDJやっているときによくかけるのが、マシン・ドント・ケア。

何それ?

知りません? けっこう有名ですよ。DJでかけるとやたら盛りあがりますよ。

へー、DJもやっているんだね。

はい。

ほかにどのあたりをかけるの?

ザ・フィールドとか。

ああ、ザ・フィールドね、それは僕も何枚か持ってる。言われてみれば『Very』の音に近いよね。

それとクラーク、あとはボーイズ・ノイズとか。

幅が広いね~。

「この人悪そうだなー」っていう音が入ってくるのが好きだったんです(笑)。

なるほど(笑)。どういうクラブでまわしているの?

バッファロー・ドーターのイヴェントでまわしたのが最初だったんです。

そういえば、昨年、曽我部恵一のイヴェントにも出ていたよね。

それがぜんぜん受けなくて(笑)。

ハハハハ。

「この人、ホントにDJやるの?」みたいな、珍獣を見るような感じで見られて(笑)。ああいうところでテクノやエレクトロはダメですね。

それはそうだよ(笑)。

クラブでは青山の〈ルバノン〉、渋谷の〈エイジア〉とか、京都の〈ワールド〉とか......。

本格的にやってんだね。

練習しなきゃ(笑)。

いちばん受けたのは?

京都。観察される感じじゃなかったし。あとは〈エイジア〉も良かったな。お立ち台に女の人が上がってきて(笑)。

へー、盛りあがったんだね。DJって前からやりたかったの?

けっこう誘われることが多かったんです。で、2枚目のあとに音楽活動の中断期間があって、音楽の現場と疎遠になるのもイヤだったので、だったらDJをやろうと。音楽をかけることで自分も音楽を体感できるんで。

"ストロボライツ"の頃とは違った意味でダンス・カルチャーと関係しているんだね。

そうですね。

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そうか......、それでも僕がもし今回のアルバムのプロデューサーだったら、1曲目は"Bridge To Heaven"にしたな。

ハハハハ!

いちばんメランコリックな良い曲だよね。で、2曲目は"Amore"。

ハハハハ、それは野田さんの好みでしょ。

でも言いたいことわかるでしょ。ぜんぜん違って聴こえると思わない?

まあ、そうかも。

"Amore"は、ソニック・ユースかと思ったけどね(笑)。

そうですか~?

ソニック・ユースみたいで格好いいじゃん。そういう曲は後半に出てくる。で、しかし、1曲目の"I'm On Earth"から"サイハテ"までは"ストロボライツ"路線なんだよね。

"サイハテ"を作った(小林)オニキス君が"ストロボライツ"を聴いていてくれて......。ボーカロイド使って『ニコニコ動画』ですごく面白いことをやっている人がいて、それでコンタクトを取ったときに、そういう話になって。

どういう方なんですか?

一般の方です。

家で打ち込みをしている方なんですか?

はい。イラストレーターやグラフィックをやっていたらしいんですけど。で、ボーカロイドではなくて自分で"サイハテ"を歌ってみて......。

......なるほど。

ボーカロイドを通じて私を知った人もいるだろうし、ボーカロイドも『ニコニコ動画』も私はひとつの文化だと思っているし、だから"サイハテ"のリミックスをテイ(トウワ)さんに頼んだのも、ボーカロイドしか知らない人でもテイさんだったらどこか引っかかりがあるだろうと。

なるほど。

もともとは一般の人が作った曲なんです。それを私がオケを作り直して、さらにテイさんに手を加えてもらったということです(笑)。

ネットで誰かが作った曲をカヴァーしたってことなんですね。なるほど。ところで、アルバム全体について言うと、ものすごく前向きな印象を持ったんですよ。ふだん僕が聴いている音楽がゼロだとしたら1000ぐらい前向きですよ。

ハハハハ!

「何でこの人はこの人はこんなに前向きなんだろう?」って。僕にはありえないから、それは(笑)。

前向きというよりは賑やかな感じにしたかったんです。皮肉や暗いことは敢えて減らした。

これほど社会と関わりを持たない音楽も珍しいなと思ったんです。

ハハハハ! そうですね!

それは決めてる?

2枚目はけっこう皮肉が入ってるんだけど......。

だって......、2曲目が"金魚"だよ(笑)。

それはもう、歌舞伎町のお姉たちに踊ってもらいたくて(笑)。

そういうことだったのか!

ハハハハ。まあ、暗いことはいま敢えて言わない、それは意識した。

いやもうね、"New Days "とか、「なんでここまで前向きになれんだろう?」って(笑)。羨ましいよ、ホントに。

ハハハハ。まあ、移籍第一弾だし(笑)!

そこは意識する?

する。

僕は最後の"Harmony"ぐらいのダウナーな感じがちょうどいいな。アルバムの前半がアッパーなんだよね。後半はいろんなことやっているし、また違った展開がある。ちなみに『Very』ってタイトルは?

「際だたせる」っていう意味で。「とても」って、良いときも悪いときも、「とても」って言葉があるといいじゃないですか、そう、ただの「thank you」よりも「thank you very much」のほうがいいし、その「very」、つまり「とても」ということを意識しました。

実際のフルカワミキ自身のキャラはどうなんですか?

完全にネクラです(笑)。だからそれを出しても仕方がない(笑)。

写実的というか、リアリティのある表現っていうのはあんま好きじゃないでしょ? ヒップホップとかさ、曽我部恵一とかさ。

いや、好きですよ。ただ、その人がどういう生活をしいているのかってところまで歌で聴きたいとは思わない。やっぱ気になるのは音なんですよ。音から内容に入って来る。

やっぱザ・フィールドみたいなファンタジーのほうがしっくりくる。

はい。

それは『Very』を聴いているとよくわかるよ。ちなみにスーパーカー時代でいちばん好きなアルバムは何ですか?

『ハイヴィジョン』。もう1枚選ぶなら『アンサー』かな。

いちばん売れたのは?

『ハイヴィジョン』......、それか『スリーアウトチェンジ』。

『ジャンプ・アップ』は?

あれはダメだった(笑)。

僕はあれが好きだったけどなー(笑)。

あれはね、自分たちの精神状態も良くなかったんですよ。

『アンサー』が好きな理由は?

もう抜けてるっていうか(笑)。

じゃあ、後期のほうが好きなんだね。

やっぱ初期は恥ずかしい......聴けるんですけど、やっぱ若かったし。

『スリーアウトチェンジ』の頃は何歳だっけ?

18です。

高校生だもんね。

レコーディング中は17歳だったし。

ちなみにフルカワミキのルーツって何ですか?

やることがなかったからバンドやったようなもので......、気の利いたCD屋さんもなかったし、すごく退屈していたし、いまみたいにコミュニケーション・ツールもそんななかったし。楽器屋さんの張り紙で人と知り合うしかなかったんですよ。それでバンドをはじめたようなもので。

ルーツと呼べるほどの音楽体験がなかったんだね。

バンドはじめてから、いろんなものをいっぺんに聴いたから。とくに最初はUSインディをいっぱい聴きましたよ。

バンドのメンバー募集は誰が貼ったの?

私。

ホントにそうなんだね。

「全パート募集」って(笑)。で、足りない楽器を私がやろうと。もう捨て身ですよ。そうしたら彼ら(後のスーパーカーのメンバー)が集まってきた。で、結局私がベースをやることになって......ベースって、太った人がやっているイメージだったんだけど。

ないない、そんなイメージないよ(笑)。

ハハハハ、力強い人がやるんだと(笑)。とにかく通販でベースを買って、練習した。

何歳だったの?

16歳。

音楽の方向性については張り紙に書かなかった?

書かなかった。ヴィジュアル系の人が来ちゃったら止めようと思ってたけど。ただ目立つように絵を描いて......、それと、「急募」と書いた(笑)。

ハハハハ! 素晴らしいね。では......最後にプロモーション・トークをどうぞ(笑)!

とくにないです(笑)! あ、でも、ザ・フィールドの感覚がわかる人にはわかってもらえるかなと思います。

Toro Y Moi - ele-king

 それにしても、パンダ・ベアが07年にリリースした『パーソン・ピッチ』はデカかった。この、ノア・レックスによるベッドルーム・プロジェクトのサード・アルバムは、前作『ヤング・プレイヤー』が密室でブツブツ呟くようなアシッド・フォークだとしたら、思いっきり窓を開け放ち、青空に向かって叫び出したような開放感と多幸感に満ち溢れていて、そんな、リスボンから届いた最高のグッド・トリップは、アメリカのアンダーグラウンドで育ちつつあった新しいサイケデリック・シーンを一気にサマー・オブ・ラヴへと向かわせたのだった。『ピッチフォーク』をはじめとする多くのメディアが09年のベストに挙げた、レックスもメンバーであるアニマル・コレクティヴ『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』は明らかにその延長でつくられたアルバムで、また、ガールズ『アルバム』のスゥイーティネスや、アトラス・サウンド『ロゴス』のドリーミィネスがその影響下にあるのは間違いない。それは、00年代前半の、例えばクラウデッドのファーストに象徴されるグルーミーなムードを一掃し、かといって、デヴェンドラ・バンハートのようなノスタルジーに向かうやり方ではなく、とてつもないポジティヴィティでもってアンダーグラウンドを現実と切り離し、そこに孤高の楽園を築いたのだ。

 そういう意味では、ここに紹介するトロ・イ・モワのファースト・アルバム『コーザーズ・オブ・ディス』も、数多の『パーソン・ピッチ』フォロワーのひとつに過ぎない。ファースト・7インチ・シングル(このアルバムのオリジナル盤と同じく、ビーチ・ハウスのおかげで復調した〈カーパーク〉から昨年にリリースされた)で、本作のオープニングにも据えられている"ブレッサ"の、ザ・ビーチ・ボーイズが60年代の肉体のまま21世紀に蘇ったようなメロディと、昼間からフラッシュ・バックしそうになるドラッギーなエフェクトが耳に入って来た瞬間は、ちょっとあからさま過ぎるんじゃないかと思ったものだ。しかし、アルバムを聴き進めるにつれ、むしろ、注目すべきは同曲の、ジェイ・ディーからの影響を感じさせるビートであり、本作はグリッチ・ホップ――フライング・ロータスの登場で一気に注目されたジャンルだ――としても聴けることがわかってくる。さらに、終盤へと向かう中で曲調がアップ・リフティングされ、ディスコ・クラシックの風格さえある10曲目"ロウ・ショルダーズ"、ニュー・ジャック・スウィングではじまり、フィルター・ハウスにスウィッチする11曲目"コーザーズ・オブ・ディス"、そして、ストレートに80'sなボーナストラック"コールド・シーツ"へという流れに至っては、パンダ・ベアなど、すっかり忘れてしまうほどだ。それでも、ラストの"ウェル・タスクド"で夢から覚めるように、その名前をハッと思い出すのだけれど(ここまでのボーナス・トラック3曲がとても素晴らしいので、購入の際は是非日本盤をチョイスして欲しい)、ひとつだけはっきり言えるのは、トロ・イ・モワの個性は『パーソン・ピッチ』のサイケデリック・ロックと、様々なダンス・ミュージックを接続する点にあるということだ。

 また、メロディの引き出しもザ・ビーチボーイズに留まらず、ホール&オーツからプリンスまでと実に幅広い。バイオグラフィーを辿ってみれば、トロ・イ・モワことチャズ・バンディックは1986年にサウスキャロライナ州コロンビアで生まれ、現在も同地で暮らしている。父親はアフロ・アメリカン、母親はフィリピン系で、ふたりはディスコ全盛期のニューヨークで出会ったという。チャズは高校時代、ロック・バンドを組んでいたが、その活動とは別に、両親の膨大なレコード・コレクションをサンプラーに取り込んでビートをつくり始めたのが、やがて、トロ・イ・モワへと繋がって行く。彼のサウンドの混血的なセンスが自身のバックグラウンドからやって来ているのは間違いないが、それは、決して奇妙なものではなく、至ってナチュラルである。"トロ・イ・モワ"の名が一躍有名になったのは、〈バター×フェイス〉からリリースされたマイケル・ジャクソンのトリビュート・アルバム『チャム・オナー』に提供した「ヒューマン・ネイチャー」のカヴァーが世界中の音楽ブログで取り上げられたからで、MJが実に混血的な、つまりはアメリカ的なセンスを、最もポップに響かせたアーティストだとしたら、チャズはそれを見事、現代にヴァージョン・アップさせることに成功しているのだ(ここで私が言う"混血的"は音楽性の暗喩だが、事実、MJの母親であるキャサリン・ジャクソンがアメリカ先住民の血を引いている事はあまり知られていない)。

 あるいは、コルトレーンの甥であるフライング・ロータスがグリッチ・ホップにおけるレフト・フィールドであるのに対して、トロ・イ・モアはそのポップ的展開と評価出来るかもしれない。そう、『パーソン・ピッチ』の楽園とは真逆に、アメリカにはーークラウデッドの後を継いでーーフライング・ロータスが歪んだ音像、ズレたビート、ヘヴィなベースで描写する、相も変わらぬ鬱屈とした現実があって、チャズ・バンディックはそいつに「まぁ、とりあえず一服して、肩の力を抜きなよ」と楽観的なニュアンスを与えるのだ。

 ちなみに、"ブレッサ"のヴィデオ・クリップは、ガールズ"ヘルホール・ラットレース"と並ぶファックド・アップ系の名作である。それを観る限り、如何にも青春まっただなかなトロ・イ・モワのクリエイティヴィティは本作で枯れるはずもなく、彼は今年中にもう1枚のアルバムを発表するという。

Animal Collective - ele-king

 躍動的な2拍子に、『フィールズ』(2005年)以降のアニマル・コレクティヴの神髄がある――というのは、かなりな大見栄を切った言い方になるだろうか。"グラス""ファイアワークス""ウオーター・カーシズ""サマータイム・クローズ"――2拍子の中に激しい三連拍の連なりを感じさせる、あの独特のリズム。あれが聴こえてくると「おや、これは名曲かな」と期待してしまう。アニマル・コレクティヴは"生"のバンドだ。リズム自体に細胞の一個一個を沸き立たせるようなエネルギーがある。そしてパンダ・ベアの声の強度は、静かに、確信に溢れて、正の方向へ扉を開く。扉の外に渦巻いているのは、新しい想像力だ。

 例えばパンダ・ベア3枚目のソロ・アルバム『パーソン・ピッチ』のジャケット。子どもたちと動物が入り交じって温泉かプールのようなところに浸かっている。一見微笑ましい写真(コラージュ)だが、狭いスペースに、みんな膝を抱えてひしめき合っているのが不思議だ。表情もとくに楽しそうなわけではない。なんだかミーティングの最中ででもあるかのように見えるし、子どもたちはみんな水着か服を着ている。......びりびりっときた。そこが決定的にいい。プールだったら水着を着るのは当たり前かもしれないが、なにかここには非常に複雑な想像力が働いているために水着が着用されている、という感じがするのだ。自分が裸になりたくないから、というより、裸になりたくない人に裸を強要しないために水着を着る。まるでそんなふうに見える。コミュニケーションの範囲が個対世界へとドラスティックに広がってしまった時代に、この発想は必須だ。知らない隣人たちへの複雑な想像力が、彼らを守り、自らを守ることになるだろう。

 この作品はアグネス・モンゴメリーというアーティストによるものだが、私はすでにパンダ・ベアと彼女とを切り離して考えられない。ソロのシングルのジャケットはみな彼女が手がけているし、サイケデリックで無国籍的なイメージを駆使して、祝祭的なムード、横溢する生命感、ここにはすべてがある、といった子どものような全能感を現出させる手法もよく似ている。そして何より、それらのイメージを徹底的に対象化する冷静な知性が、両者のなかで水銀のように光る。

 なんなら『パーソン・ピッチ』のジャケットを開けて、ディスクを取り出してみればよい。その下に隠れているのは、ノア・レノックス(=パンダ・ベア)自室のデスクとおぼしき上に、廟のようにアイ・マックが鎮座している写真。そうなのだ。ここが、彼の"世界"だ。自分としてはそれまでのイメージが一瞬で洗い流されたのだが、なるほど、森や山やヒッピー・カルチャーのなかに彼はいなかったのだ。それはこの白いディスプレイのなかにある。そして彼自身はもっとも激しく情報が摩擦する北半球の心臓、アメリカの、リアルな住まいのリアルな部屋からオンラインで世界を眺めている。そこに流露しているのは、ナチュラルにグローバルな感性だ。森も神秘もナバホ族もワン・クリック。それらが誰かの飼い猫の今日の様子などとフラットに並ぶ世界に対して、彼にはそれを言祝ぐような、融和的で肯定的な気分がある。

 『キャンプファイア・ソングス』が再発された。これはライヴ・アルバム『ホリンドアゲイン』を除けば3作目と見なされる2003年作品だが、録音自体はアニマル・コレクティヴという名義で活動する以前、2001年の11月におこなわれている。メンバーはパンダ・ベア、エイヴィー・テア(デヴィッド・ポーター)、ディーケン(ジョシュ・ディブ)の3人。ディーケンは、バンド結成以前に自身のレーベル〈サッカー・スター〉からパンダ・ベアのソロ作をリリースしている人物。これに次いで『ヒア・カムズ・ザ・インディアン』『サング・トンズ』『フィールズ』と続く。

 この頃の作品は、現在(『フィールズ』以降)とは大きく異なっている。音もそうだが、いちばん大きいのは攻撃性ではないだろうか。最近のエレクトロニックな音使いからは考えられない(むしろ現在の彼らの音が、以前からは考えられない変化を遂げているのだが)、ギターと唄のみのシンプルでローファイな作品。野外での弾き語りをソニー製のMDで一発録りしたというもので、ギターと彼らの声の他には虫や風、雨やせせらぎのようなものが聞こえてくる。シンプルとは言ってもとても口ずさむことのできない祝詞のような旋律で、ビートも小節線もあったものではない。それぞれの方向からとぎれとぎれに紡がれる深更のアシッド・フォーク。まさに揺らめく焚き火の傍らで、声もトレモロも夜闇の奥深くに吸い込まれていってしまうようだ。ここにはおよそ融和的な雰囲気はない。むしろ世界に見切りをつけるかのような、厭世的で排他的なスモール・サークルを思わせる。彼らは静かに、世界に対してクラッキングを仕掛けているかに佇む。

 しかし、それでもノア・レノックスの声というのはすごい。他の声や音を一気に束ねてしまう。初期作で言えば『ダンス・マナティ』などの神経に障るノイズ感はエイヴィ・テアのテイストなのかもしれないが、やはり唄となるとパンダ・ベアの出番だ。だから前2作に比して、唄のアルバムである本作にはパンダ・ベアの本領がより色濃く現れているように感じられる。その声は攻撃性と内向性を凝縮させた固いボールのように、扉をぶち破ってくる。いまではそれが、融和性と外向性となって世界の扉を叩く。ここの変化がアニマル・コレクティヴを当世随一の存在へと押し上げた。根元は同じものだ。冒頭に挙げた2拍子に心の底から踊らされるとき、耳は同時に"Doggy"の風が起こすキャンプファイアの揺らめきや、"Moo Rah Rah Rain"の雨の音を聴き取っている。

Sigh - ele-king

 アジア・南米・中東のメタル・シーンを取材したドキュメンタリー映画『グローバル・メタル』を観た人なら、日本のチャプターに登場する、異彩を放つ日本人を覚えているだろう。サイの川嶋未来とDr.ミカンニバルである。

 「日本のブラック・メタル・バンド」と聞いて、あなたはどんなイメージをもつだろうか? 正直にいうと、私が最初に抱いた印象は、「冗談でしょ」というものだった。そもそもアンチ・キリストとサタニズム、古代宗教を背景にもつ北欧生まれのブラック・メタルが、文化も宗教も異なる日本でできるはずがない。やったとしても、パロディやお遊戯になってしまうのが関の山だろう。

 ところがある日、ふと目についた『Infidel Art』(97年)を聴いて、私はそんな自分の思い込みを大いに恥じることになる。ありていにいえば、度肝を抜かれた。

 サイの音楽性は非常にユニークだ。ものすごく大雑把なくくり、つまり、彼らが敬愛するヴェノムがブラック・メタルの始祖である、という意味合いでいえばブラック・メタルなのだが、クラシックやプログレッシヴ・ロックの影響に加えてジャズや民族音楽の要素もかいま見え、ときには歌謡曲チックなメロディもいとわない。要するに音楽的に非常に豊かなのだが、サイがひときわユニークなのは、ふつうメタルの世界では一定の様式美を完成させるために刈り込んだりフィルタリングしたりする「雑味」の要素を多分に含んでいるところにある。

 デス/ブラックにつきもののダミ声ヴォーカル、ブラスト・ビート、歪んだギター・リフなど、用いられるイディオムはきわめてメタルなのだ。にもかかわらず、聴いた後には、なにかメタルならざる、キマイラのような、鵺(ぬえ)のような、えたいのしれないものに触れてしまった手ざわりが残る。

 日本のメタル・マニアには勤勉な人が多い。ブルータル・デス、メロディック・デス、テクニカル・デス、サタニック・ブラック、シンフォニック・ブラック、デスラッシュといった数々のサブジャンルを、勤勉に几帳面にカテゴライズして消費する。そんな人がサイを聴くと、おさまりの悪い印象を抱くかもしれない。だが、いつまでもそんなに羊のようにお行儀よく隷属していていいのか?

 「信仰する宗教は?」と聞かれると「無宗教です」と答えるが、じつは相互監視と同調圧力を是とするいわゆる「日本教」を無意識に信仰する日本人。クリスマスとバレンタインデーで盛り上がる、おたくとヴィジュアル系の国から生まれた「ブラック・メタル=異教徒の音楽」。さまざまな音楽の要素が渾然一体となったカオスを肯定し、地獄の暗闇と炎を荒々しい雄叫びとともに高らかに賛美するサイは、ほかではありえない、「日本のブラック・メタル・バンド」としての個性を獲得している。

 暗闇の住人、川嶋未来は語りかける。「こっちは相変わらずの地獄絵図だぜ。そっちはどうだい?」

Making Contakt - ele-king

 一昨年の年末近くに幕張メッセでやった、初回の〈Womb Adventure〉に寒いなか行った人なら覚えているだろうけど、あのイヴェントはとにかくオペレーションがひどかった。予想したより客が集まってしまったからか、トイレも屋台も数が足りず、小便に行くと30分は軽く並び、ただ水やビールを買うだけで1時間近く待たされた。トイレに行かないために酒を飲むのを控えたり、床に転がったペットボトル(ある時刻を過ぎると水すら紙コップに移して販売していたのだ!)を拾ってトイレの水道水を汲んで飲んだりというサヴァイヴァルは初めて経験した。

 そんな環境で心からダンスを楽しめるというのは相当の強者だと思うが、このDVDを見ると、クライマックスの東京公演のフィナーレでは、広いメッセの会場を埋めつくしたテクノ・ファン、M_NUSファンの全員が最高にハッピーに見えるから不思議だ。


 本DVDは、デトロイトを皮切りに、バルセロナ、ロンドン、アムステルダム、ローマ、ブエノスアイレス、そして東京を世界をツアーしたCONTAKTの旅と音楽の冒険のドキュメンタリーである。タイトルが示唆するように、映像の主眼はステージそのものより、バックステージとインタヴュー証言にあり、リッチーがCONTAKTというコンセプトで何を表現したかったのかが徐々に明らかにされる。

リッチー以下、マグダ、トロイ・ピアス、マーク・ハウル、ハートスロブ、ガイザーといったM_NUSオールスターズの面々は、各自の記名性や作品性といったものはかなぐり捨ててリンクされたコンピュータ上でバンド・メンバーさながらにパーツ的な音を奏でる。また音同様に信頼のおけるアーティストが帯同したヴィジュアル、ライティング等の視覚表現も含め、ひとつの即興的電子音楽パフォーマンスが繰り広げられる。ミックスされるのはサウンドだけでなく、各人の表情や手元を写す小型カメラの映像や、インターネット経由でのチャットの文字やVJ映像も、すべてがLEDスクリーンに飾られた広大なステージを核に実際のフロアへ、そしてネットを介してその場にいないリスナーにまで届けられる、という意欲的な試みだった。冒頭では図解入りでシステムの解説がなされ、数々のハイテクが入り組んだ大所帯のステージは、想像を遙かに超えた複雑さで設置も運営も大変そうだというのがわかる。リッチーは、「テクノとは前に進む、進化する音楽だ」という大昔からの持論をここでも展開するが、初期のリハーサルでは各人の機材をリンクさせたり、とにかく大人数でひとつの音楽を一緒に演奏するといういちばん最初のステップですでに思うように進まない。

 このDVDに興味を持つようなひとなら「DJなんてただ他人のレコードかけてるだけでしょ?」というような安直な理解はしてないだろうが、それにしてもこんなギリギリまで可能性を追いこみ、会場ごとにまったく異なる設備やスタッフに四苦八苦してDJたちのツアーがおこなわれていたとはと感嘆するだろう。例えば、いろいろな事情で急遽ブッキングされた"聖地"デトロイトでは、準備不足と会場のボロさで最悪のツアー初日になってしまう。観客の視界に訴える重要な要素であるスクリーンは天井にしか設置スペースがなく、老朽化した建物は低音が響くたびにコンクリートの破片をメンバーの機材の上にボロボロと落とす。まるで誰かがドラマを盛り上がるためにシナリオを書いたような悲惨な展開なのだ。

 トラブルの連続を書きつづっただけでかなりおもしろいのだが、あまり細々と内容を書くと興を削ぐと思うからほどほどにする。しかし、ひとつ言えるのは、本来同じタスクを延々繰り返していく巡業というものを通して、比較文化論的なアプローチで各地の模様を切り取っていて、ただ出演者たちに土地土地のツーリスト的な感想を聞くよりよほどリアルな差異があぶりだされているのが、とても興味深い。ロード・ムーヴィーのようにツアーを追いかけたロックなフィルムはこれまでもたくさんあった。スターが泥酔したり暴れたり落ち込んだりといったショットがそれらの醍醐味だとしたら、ここでのアーティストたちは学者かエンジニアのように冷静に問題点を話しあったり、あくまで理知的に最高のショーを実現しようと考える。だからこそ、これだけユニークなドキュメンタリーが仕上がったのだろうし、最終目的地の東京では少し羽目を外して夜の街を楽しむ彼ら(―といっても、プリクラやカラオケだが)が微笑ましい。

 結局のところ、東京の印象は、ヘルメットをかぶって黙々とスケジュール通りに完璧な設営をこなす裏方にスポットを当てて紹介される。どうしたって、ロボット的な印象が強いのだろう。ただ、やはり日本にこれだけ来て、酒蔵に行ったり家族で温泉巡りしたりと本気で日本のカルチャーを愛してくれているリッチーのこと、『ロスト・イン・トランスレーション』的違和感の提示だけでは終わらない。ショーの幕が上がってからのフロアにいるテクノ・フリークたちはなんだかとってもかっこよく見えるし、冒頭で書いたようにすごくハッピーなのだ。

 朝方、リッチー自身の手でカーテンが引かれ、すべてのツアーが終了する。

 「信じられないくらい大変なツアーだった。最後に至ってもまだ理解してない人もたくさんいただろうけど、理解してくれた人たちは僕らの創りだしたたくさんの瞬間はものすごくスペシャルなものだって理解してくれたはず。それを創ったのは、ミュージシャンだけじゃなくてスタッフ全員、それに全世界に散らばるクラウドのみんななんだ。それが重要だった。あたりまえだと思ってるようなことを使って、世界のどこか遠くにいる人や、すぐ隣にいる人を分け隔てなく一体化させるっていうことがさ」と語るリッチーにオーヴァーラップされる、笑顔で感謝の意を体全体で表現して帰っていくひとりの日本人クラバーの映像。これが、とっても泣ける。グッと来るんだ。

 語り主体の作品にもかかわらず、字幕はフランス、イタリア、ドイツ、スペインの欧州主要言語のみ。内容を理解するのは骨かもしれないが、おまけにサントラCDもついてくるようだし、気合い入れて見る価値はあるだろう。まぁどこかで日本版を出してくれたら最高だけどね。

Riva Starr / If Life Gives You Lemons, Make Lemonade - ele-king

 数年前から目につくようになった、MySpaceとかで注目されてヒットに結びついたみたいな新人のエピソードにはいいかげん食傷気味だ。だいたいからしてこれだけネットでいろんなチャンネルができて毎日誰もがネットにつながって何かしらの発信をしたり相当量の情報を得てるんだから、レコード会社がそこから情報を得てないわけもないし、要するにそういう売り文句自体ただちょっと新世代のアーティストっていう箔付をしたいから宣伝に使われてるにすぎないだろ、と突っ込みたくもなる。リヴァ・スターことナポリ出身のステファーノ・ミエーレも、ドアーズの"ジ・エンド"のリミックスだのを勝手に作ってネットで配布し、それがきっかけでノーマン・クック、ジェシー・ローズ、クロード・ヴァンストロークなど売れっ子DJ/レーベル・オーナーたちに注目されて一気にブレークしたと喧伝されている。まぁたしかに、テキトーにブートのリミックスをサイトに置いてそれでおいしい契約が転がり込んできたなんてシンデレラ・ストーリーがホントにあるなら、みんなそうやればいいじゃんという気もするが、彼自身別の名義(本名やMadoxなど)で10年以上の多数のリリース歴があって、まぁいきなりブレイクした新人とは言い難い。世の中そんなに甘くないって!

 ジェシー・ローズのレーベル〈Made To Play〉初のアーティスト・アルバムとしてリリースされた本作は、クラブ・ミュージックの最前線を渡り歩いてきた巧者っぽい仕掛けや音のキレもさることながら、全編に渡って途切れることなく注入され続けるあれやこれやのアイデアが素晴らしい。バルカン音楽に傾注してるというだけあって、シングル曲"I Was Drunk"(ヴォーカルにユニークなデュオ、Nozeを起用)やユーゴスラビア映画『黒猫・白猫』(エミール・クストリッツァ監督/98年)を題材にした"Black Cat, White Cat"あたりはそういったジプシー的陽気さをもった伝統音楽の断片を再構築して、えもいわれぬ雰囲気の曲に仕上げている。一発インパクトのあるネタをもってきて切り刻んでファンキーなリズムに乗せて料理するって言う手法は、もう何年も前から「次はコレ」みたいに言われつづけてるフィジット・ハウスだよということなのかもしれないけど、それで「あぁ~、アホっぽいちゃらいやつね。まだあるんだ?」みたいな受け取られ方で敬遠されるくらいなら、いまいちばん笑えて踊れるハウスとでも言ってしまってもいい。自身、MySpaceのジャンル欄には「コメディー」「ハウス」と書いてるくらいだからな。

 〈Cadenza〉あたりのフォルクローレ的流れと呼応する部分もあるのだろうか、ブルガリアの女性ヴォイスとラッパ、クラップの絡む"Bulgarian Chicks"はいかにも土着的なダンスの悦びを感じさせる曲だし、"Maria"も元ネタはどこの楽曲かわからないがRebootあたりがやった曲と言われても納得しそうだ(こちらは昨年〈Get Physical〉のサブレーベルからでたシングル"War Dance"に収録されていた)。しかし一方で、"China Gum"はブリーピーでブーミーなベースが炸裂するブレイクビーツ曲だし、呪術的ラップがキモチワルカッコイイ"Dance Me"はストレートなアシッド・ハウス、"Riva's Boogaloo"は全盛時のジェフ・ミルズ~パーパス・メーカーを思わせるピアノのループのグルーヴだけで引っぱる曲、そして"Tribute"はその名の通りMr. Fingersの名曲"Can You Feel It"を彼なりに再構築というかカヴァーした曲だ。ヒヨッコにはかもせない風格というか加齢臭というかも、微妙に漂ってくるではないか。リヴァ・スター自身が編集した"Dance Me"のヴィデオ(たぶん無許可)を見ると、ヴァニラ・アイスやMCハマーからリック・アストリー、Mr. T、そしてニュー・オーダーといったまったく節操のないチョイスのダンスの映像がカットアップされていて、間をつなぐのはとにかくぶっといジョイント。年齢もオリジンも音楽背景も「???」となりそうなセンスなのだが、たぶんこの無意味さ無法さこそが彼の本質なのだ。そのくせ、誰でもメロを口ずさめるロシアの軍歌"ポーリュシカ・ポーレ"の切ない主題をなぜかレゲエ調のトラックにのせてしみじみ聞かせる「Once Upon A Time」が、アルバムの山場にポンと置かれる。たぶん、日本のテクノ好きでこういう趣味をガッツリ否定できるひとは少ないはず。ん~すんばらすぃ~。

 ちなみに、日本盤ではジェシー・ローズとオリヴァー$のリミックス2曲が追加収録され、3月3日に発売になるそうだ。楽しみ!

Anthony "Shake" Shakir - ele-king

 かつて彼は自分自身を"テクノの透明人間"と形容している――つまり、いるのかいないのかよーわからんと。まあ、たしかにアンソニー・シェイカーが目立ったことはいちどもないけれど、彼は紛れもなくデトロイト・テクノのヴェテランのひとりである。初期のトラック"シークエンス"は1988年の歴史的コンピレーション『Techno! The New Dance Sound of Detroit』に収録されているばかりか、シェイカーはホアン・アトキンスとヴィジョンズ名義で作品を出したり(89年)、オクタヴ・ワンの"アイ・ビリーヴ"(90年)の共作者でもある。彼は本物のオリジナル世代なのだ。ただ......、アンソニー・シェイカーは他のデトロイトのプロデューサーのように自分自身をアピールすることが得意ではなかったのかもしれない。たしかに彼は自身が自虐的になるほど地味な存在ではあったが、しかし、彼が音楽活動を止めたことはなかった。シェイカーは20年代以上にも渡ってリリースを続けているのだ。

 彼は、90年代は主にシェイクの名義で自身のレーベル〈フリクショナル・レコーディングス〉から10枚以上の12インチを発表している。そして、〈メトロプレックス〉や〈トラック・モード〉、〈パズルボックス〉や〈セヴンス・シティ〉、〈ムーズ&グルーヴス〉や〈インターナショナル・ディージェイ・ジゴロ〉等々からも地道に12インチを切っている。2000年にはフランクフルトの〈クラング・エレクトロニック〉からアブストラクトなアルバム『Mr. Shakir's Beat Store』を発表しているし、2009年にはフランスの〈シンクロフォン〉からまったく素晴らしいシングル「アライズ」をリリースしている。

 『フィクショナリズム 1994-2009』はシェイカーの〈フリクショナル・レコーディングス〉時代のトラックを中心に編集されたベスト盤だ。12インチ・ヴァイナルだと4枚組、CDでは3枚組(全35曲)となる。アンソニー・シェイカーの音楽の特徴を簡潔に言うなら、彼のサイケデリックなセンスにある(なにせホアン・アトキンスとのコラボレーターだ)。そしてB-52'sの熱烈なファンである彼は、自分のトラックのなかにどこか捻れた(アーティな)センスを注入する。わっかりやすいハウスやテクノではないし、機能性を重視したトラックでもない。あくまで音楽的なのだ。

 実際、3時間以上におよぶ彼のこのセットは多様性に富んでいる。ジャジーなダウンテンポ"デトロイト・ステイト・オブ・マインド"、ベースとドラムマシンが見事に絡み合う"ローミング"、これこそデトロイト・テクノだと言わんばかりの"アライズ"......アンビエントもあればアシッディなファンクもある、クラフトワーキッシュなテクノ・ポップもある。『フィクショナリズム』を聴いていると、いままで日の当たらなかったデトロイト・テクノの歴史を思い知るようだ。嬉しい発見が随所にある。デリック・メイが彼の13振りのミックスCDの最初にシェイカーのトラックを選んだのも、なにか含みがあるんじゃないかとさえ思えてくる。

 〈ラッシュ・アワー〉はとても良い企画盤を思いついたものだ。控えめなだが眩しいオールスクールの輝き、自称"テクノの透明人間"に尊敬を込めて――。

CHART by JET SET 2010.02-2 - ele-king

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1

ポチョムキン

ポチョムキン BRAND NEW LOVE »COMMENT GET MUSIC
ポチョムキンが代弁する脱力東京ラヴ・ストーリー!?Zazen Boys向井氏制作のアノ曲が12"に!刺激的な都会暮らしの中にあっても、決して満たされることのない性的衝動。男の悲しい性(さが)を、東京上空から夜の街へと降下するエレクトロ・ファンクに浮かべた逸品"Brand New Love"加えて、B面にはPUNPEE(P.S.G.)、Mountain Mocha Kilimanjaro、Olive Oilという超豪華メンバーが集結!

2

RONI NACHUM

RONI NACHUM GUEST SERVICE SHALOM (MARK E REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Mark Eリミックス収録のグレイト・リリース!!Limited300!!何かと話題作をドロップしてくるUK発"Fine Art Recordings"からマスト・アイテム到着。エルサレムからの新鋭"Roni Nachum"×ご存知"Mark E"。バッチリっす!!

3

ITAMAR SAGI

ITAMAR SAGI COMMON SENSE »COMMENT GET MUSIC
Be As Oneのトップ・イスラエリー・クリエイター、Itamar SagiがDrumcodeから!!これまでにもJosh Wink率いるOvemやKlap KlapそしてSomaなど世界各国の優良レーベルより作品をリリースをしてきた実力派、I.Sagiが奥行きのある覚醒的なドープ・ミニマルをリリース!!

4

SLUGABED

SLUGABED ULTRA HEAT TREATED EP »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆スクウィー x ウォンキーなカラフル特大傑作トラックス!!北欧産エレクトロ・ファンク最前線サウンド=スクウィーへの憧憬を公言するUK鬼才がPlanet Muから放つ特大傑作EPがこちら!!

5

RED RACK'EM

RED RACK'EM THE NIGHTSHIFT »COMMENT GET MUSIC
デトロイト注目レーベルからの見逃せない一枚!!Hot Coins名義でも御馴染み、ニュー・ディスコ~ディープ・ハウスを横断するDaniel BermanによるRed Rack'em名義でのグッド・リリース。

6

COSMETICS

COSMETICS SOFT SKIN »COMMENT GET MUSIC
Glass Candy~Nite Jewel直系のダーク・ウェイヴ・ディスコ・ポップ!!メチャ最高です。こんなのも出しますCaptured Tracks。カナダの男女デュオ、Cosmetics!!レトロ・シンセに気だるい女子ヴォーカル、ロウファイ感も加わった完璧シンセ・ウェイヴ・ディスコ。グレイテスト!!

7

D1

D1 JUS BUSINESS »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆天才ダブステッパーD1がデス・テクノをネタ使いした超話題盤です!!ダブステップ史上初のディープ・ハウス・ネタ名作"I'm Loving"を手掛けた鬼才が、今度はデス・テクノと鍵盤ハウスを下敷きにしたA1をお届け~!!

8

U.S. GIRLS

U.S. GIRLS GO GREY »COMMENT GET MUSIC
US最狂女子、Siltbreezeからの強烈セカンド・アルバム!!かなりスゴイことになってます。ポートランド在住のMegan Remyによるソロ・ユニット、U.S. Girls。この人は本当にヤバい。ロウファイ~ジャンク~ドローン~トライバル全てメチャクチャにかき回す23世紀ポップ!!最高。

9

DJ HELL FEATURING BRYAN FERRY

DJ HELL FEATURING BRYAN FERRY U CAN DANCE 1/3 (CARL CRAIG REMIX V.2) »COMMENT GET MUSIC
Carl CraigによるリミックスVersion 2を収録。アルバム『Teufelswerk』から一挙に3枚同時リリースされたリミックス・シングル3部作のうちの第1弾がこちら!!

10

ARTO MWAMBE

ARTO MWAMBE LOVE LIFT »COMMENT GET MUSIC
ブリージー・エレクトロニックなオールドスクール更新型ハウス大傑作!!エレクトロニカ方面の方にも是非聴いて頂きたい4つ打ちサウンド推薦盤。細身な男性ヴォーカルが際立つ爽やかなアッパー・トラックが憎らしい!!

Alayavijana - ele-king

 どっちが先だったか忘れてしまったけれど、昨年は春先に東京経済大学で粉川哲夫氏の身体パフォーマンス論にオイゴル(LKO+ユザーン)を紹介し、2時間の長丁場を持たせるために彼らがタカシタールを連れてきてライヴをやったことと、『スタジオヴォイス』ではミニマル・ミュージックの特集をやるというので、あれこれと打ち合わせをしているうちにミニマル・ミュージックにはアフリカ起源とインド起源のものがあるだろうということになり、そのせいでシタールやタブラといったインドの楽器がやたらと気になっていた時期があった。そこに『朝日新聞』で洋楽CDのセレクションをやっているからか、デバシシュ・バタチャルヤという、それまで1ミリも聴いたことがないインドのスライド・ギタリストによるサード・アルバム『オー・シャクンタラー!』が送られてきて、ラ・モンテ・ヤング以外のドローン・ラーガを初めて長々と聴くことになった。これが......けっこうよかった(朝日の会議で強く推したけれど、ほかには誰も聴いてなかった)。

 そして、年末から年始にかけて手塚るみ子さんと『手塚治虫 エロス1000ページ』を急ピッチで編集していたら、彼女がやっているレーベルからの新作だといって『アラヤヴィジャナ4』を渡された。『ゲゲゲの娘 レレレの娘 らららの娘』も先行して作業していたんだから、一体、いつの間に......と思ったものも束の間、家に帰って再生してみると、これがまた最初から最後までドローン・ラーガで、えー、なに、手塚るみ子ってテクノしか聴かないのかと思っていたのにアッチョンプブリケで、慌てて調べてみると、これって最初はヨシダダイキチとユザーンがはじめたグループだったりして、ありりー、だけど音楽はただ静かにフワフワと気持ちよいループを繰り返し続け、バタチャルヤに比べると緩急があまりなく、一本調子なためにドラマ性が排除され、いわゆるテクノやハウスで経験してきたトランス状態に近いものになっているのではないかと。これがほんとのゴア・トランスだ......とはいわない方が身のためですが、光を求めて時空を彷徨っているかのようなバタチャルヤとは違い、低音部がしっかりし過ぎているためか(?)飛ぶというよりは地に足をつけたまま揺らめいているというところが日本製だし、奇妙なリアリティを伴って聴けるという感じ。オイゴルにしてもインド音楽をそのままやろうとしているわけではなく、そのことに仮託しながら表現しているのはやはり「いま・ここ」だということが強く伝わっくる。

PS 日本はいま、都会を歩く人びとの足の速さでは一気に16位にまでずり落ちたとか(1位はシンガポール)。そーいやー、繁華街が歩きづらくなったことはたしか。通勤ラッシュのことはよく知らない。

The Album Leaf - ele-king

 ジ・アルバム・リーフは......先日レヴューしたフォー・テット同様、10年前のポスト・ロック/エレクトロニカ時代にそのシーンのひとりとしてデビューしている。西海岸のサンディエゴを拠点とするジ・アルバム・リーフことジミー・ラヴェルは、それ以前はスウィング・キッズなど地元のハードコア・バンドにも参加していて、あの奇妙なコスチュームで知られる英雄的バンド、ザ・ローカストのオリジナル・メンバーだったという経歴まである。もちろんジ・アルバム・リーフの音楽はザ・ローカストとは180度違った種類のもので、それは透明なタッチを特徴とする抒情派IDMといったところだ。シガー・ロスに見出され、アイスランドのシガー・ロスのスタジオで録音して、2004年にシアトルの〈サブ・ポップ〉とベルリンの〈シティ・スラング〉から発売された3枚目のアルバム『イン・ア・セイフ・プレイス(In A Safe Place)』が初期の代表作である。

 ポスト・ロックは、それが注目された頃は毒にも薬にもならない"壁紙音楽(wallpaper music)"などと揶揄されたものだが、しかし90年代の狂騒におけるチルアウトとして機能した......と僕はフォー・テットのレヴューで書いたが、しかしそれがダンス・カルチャーと切り離され、それ自体の独立を求められたときに、ではこれら音楽は何を目的意識とすればいいのかという問題が生じてくる。ボーズ・オブ・カナダはサイケデリックな荒野を選び、そしてジ・アルバム・リーフの辿ってきた道は、その問いに対する典型的な回答のひとつとなった。それはポスト・ロック/エレクトロニカのチルアウト感覚とアーティな香りを残しつつポップになること=俗称ポップトロニカへの道である。

 ジ・アルバム・リーフにIDM的な目新しさ、刺激や奇矯さを見出すのは困難だが、より親しみやすい音楽、より柔らかいチルアウトへと進んでいる。透明なタッチで描かれた風景画のようであり、詩情漂う写真集のようでもある。飛び道具のように電子音を使うことはないが、ここには美しいメロディがあり、エレガントなアンサンブルがある。毒のないボーズ・オブ・カナダ、もしくは抒情派アンビエント・ポップとでも言おうか。

 通算5枚目のアルバムとなる『ア・コーラス・オブ・ストーリーテラーズ』も優秀なポップトロニカだ。ポップといっても、ジ・アルバム・リーフの音楽はメランコリックである。彼の音楽を特徴づける電子ピアノの音色は美しいが、同時に悲しく、淋しく響いている。そして"Summer Fog"、"There is a Wind"、"Falling from the Sun"......こうした曲名から彼が自然をモチーフに好んでいることがわかる。あるいは"Within Dreams"という曲名からも喚起させるように、彼の音楽には良くも悪くもロマン派的なこってりとした抒情が表現されている。変形された電子音によるドラム・ループとシンセサイザーのストリングス、そしてピアノのメロディ、あるいはヴァイオリンが重なっていくその曲は、アルバムのベスト・トラックである。彼のメロディ・センスが光る鮮やかなドリーム・ポップ"Falling from the Sun"も素晴らしい。しかしこの人にしかできないスタイルがあるとしたら、ほとんどヴァイオリンとピアノ、そしてストリングのみで構成される"Summer Fog"のような曲だろう。

 いっそうのこと、ブライアン・イーノの『ディスクリート・ミュージック』もしくは『ミュージック・フォー・エアポート』の領域まで振り切ってしまえばいいのにと思うのだが、しかしこの人はあくまで中道なのだ。この音楽を聴かないなんてもったいない! とは決して言わないけれど、買って聴いても損はない......と思われる。安心して聴けるという意味において。

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