「IO」と一致するもの

TSUBAKI FM - ele-king

 先日お伝えしたように、いよいよ TSUBAKI FM のアニヴァーサリー・ツアーがはじまる。とくにすごいのはツアー・ファイナルにあたる3月7日~8日で、なんと24時間連続のイヴェントとなっている。30組以上が出演、青山蜂~Red Bar~Tunnel~COMMUNE 表参道にて開催。チケットも安いし、これは行くしかないでしょ!

R.I.P. Andrew Weatherall - ele-king

野田努

 1997年初夏、日曜日の晩、場所はロンドンはカムデンタウンのライヴハウス。新代田FEVERぐらいのフロアに客は20人いるかいないか。DJはアンドリュー・ウェザオール。彼は映画音楽や古いラウンジ・ミュージック、そしてダウンテンポのトラックをおよそ1時間以上にわたってプレイしながら、その日の目玉であるレッド・スナッパーのライヴのためのサポートに徹していた。
 「あれだけの大物でありながら、彼は自分の好きなバンドのためなら、こうした小さな場所でも率先してDJをやるんだよ」、イギリスの音楽業界のひとりがぼくにそう自慢げに語った。ライヴが終わると再びウェザオールは彼の信念のこもったDJを再開した。客がいなくなるまで。
 WARPの創業者のひとり、スティーヴ・ベケットはウェザオールのことを「アンダーワールドやケミカル・ブラザース以上にビッグになれたのに、敢えてそれとは逆の方向のマイナーなほうに走った」と説明したことがある。こう付け加えながら。「レーベルとしては残念だったけれど、アーティストとしては尊敬に値する」

 アンドリュー・ウェザオールとはそういう人だった。
 彼の名声は、1990年、プライマル・スクリームのこれ以上ないほど素晴らしい“Loaded”によってたしかなものとなった。負け犬のソウルを歌ったあの魅力たっぷりのオリジナル曲(I'm Losing More Than I'll Ever Have)を、ウェザオールは薄汚れていながらも崇高な高まりへとみごとに変換させた。冒頭の映画『ワイルド・エンジェル』の科白、そして70年代のアメリカのソウル・グループ、ジ・エモーションズの“I Don't Wanna Lose Your Love”のコーラス、こうしたカットアップによる彼のリミックスは、たんなる曲の再構築ではなく、別の意味をはらんだあらたな曲の創造だった。そして言うまでもなく、それはあの時代の最高中の最高のアンセムとなった。

 2月17日、アンドリュー・ウェザオールがロンドンの病院で他界したことが発表された。死因は肺塞栓症。56歳だった。これまた言うまでもないことだが、アンドリュー・ウェザオールは歴史を変えたDJのひとりである。UKダンス・カルチャーを代表するDJであり、挑戦と努力を惜しまないプロデューサーだった。“Loaded”以外でも、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン“Soon”やニュー・オーダー“Regret”、セイント・エチエンヌ“Only Love Can Break Your Heart”やイエロや……挙げたらキリがないが、まだハウスを知らないインディキッズにそれを教えた第一人者でもある。イギリス人から「Andrew Weatherall is my hero」という言葉を、これまで何度聞かされてきたことか……。
 日本においてもその影響は計り知れない。渋谷系からテクノやダブのシーンにいたるまで、インディからクラバーにいたるまで広範囲に及んでいる。とてつもなく重要なDJがこの世界からいなくなってしまった。

 アシッド・ハウスの狂騒のなかから登場したアンドリュー・ウェザオールだが、その延長であるバレアリックのシーンが巷でもてはやされると、ハッピーではなく、軽快でもなく、そしてノリノリでもない、おそらくその当時の誰もがあまり望んでいなかったダークでアブストラクトな方向性=ザ・セイバース・オブ・パラダイスへとシフトした。レイヴの季節が終わり、厳しい時代の到来を予見していたかのように。
 彼はそういうプロデューサーだった。ときのトレンドがどうであれ、まわりにどう思われていようと自分がやりたいことをやる。ダブであれロカビリーであれIDMであれ、そのときの自分が本気で愛情を注げるものしかやらない。ほとんどすべてのDJがスポーティーなクラブ・ファッションで身を包んでいた90年代初頭にただひとりラバーソウルを履いていたように。彼は結局最後まで、ソロ・アルバムとしては最後となってしまった2017年の『Qualia』まで、そのやり方を曲げなかった。

 ぼくがウェザオールのDJを初めて聴いたのは1992年のロンドンの映画館を貸し切って開催された、あの時代特有の狂ったレイヴ・パーティ(High on Hope=希望ある高揚という、いま思えばふざけた名前のパーティ)だった。その後もロンドンのテクノ・イベントや彼自身が主宰していたクラブ(テムズ川を越えたいまは無き、人気などまったくない倉庫街にあった)でのDJなど、さまざまな場所で聴いているけれど、ウェザオールは同じようなセットを二度と繰り返していなかった。
 おそらく94年かそれくらい、当時彼が主宰していたレーベル〈Sabres Of Paradise〉の事務所も忘れがたい。それは再開発されるずっと前のソーホーの、ポルノショップなどが並ぶいかがわしい一角のビルの2階にあった。イビサでDJしたらたった2曲でデッキから降ろされたという経験を持つ彼のセンスは、リゾート地の太陽からは100万光年離れていたし、大勢を喜ばすためにレコードバッグのなかに好きでもないレコードを2~3枚入れることもできない人だった。いまでこそそうした態度を格好いいと言える人も少なくないのだろうが、当時としては極めて異端だった。
 また、90年代前半はエイフェックス・ツインやマイケル・パラディナスのような、クラブで踊っているというよりは自室に籠もって機材をいじくり倒している、いわばオタクなプロデューサーが出てきているが、ウェザオールはこうした新しい才能も積極的に評価した。これもいまとなっては当たり前に思えるだろうが、当時はダンス至上主義がまかり通っていたので、とくにハウス系の玄人連中の一部からは、あの手の踊れないサウンドは低級だと見なされていた、そんな時代のことである。

 ぼくが彼と初めて対面取材したのは90年代末のことで、場所はロンドンのトゥー・ローン・スウォーズメンのスタジオだった。シャイな人柄で、格好付けたところもなく、ひとつひとつの質問に正直に答える人だった。スタジオのなかには大量のレコードとCDが散乱しており、取材が終わると彼はそのとき自分が気に入っているレコードやCDをいくつか教えてくれた。その1枚は60年代の電子音楽の発掘もので、ほかの1枚にはまだ出て来たばかりのキャレクシコのレコードがあった。これまたよく知られていることだが、彼は本当に幅広く、いろんな音楽を愛していた。

 ぼくは彼の音楽をこの30年間ずっと聴いてきている。とくに思い入れのあるウェザオール作品は、トゥー・ローン・スウォーズメンの初期作品だ。『The Fifth Mission』(1996)、「Swimming Not Skimming」(1996)、「The Tenth Mission」(1996)、「Stockwell Steppas」(1997)。
 セイバースのときもそうだったが、『The Fifth Mission』を初めて聴いたときは、どう捉えていいのかよくわからなかった。しかし、時間が経つとその素晴らしさに気が付くのである。自らを孤独な剣士だと名乗ったこの頃の作品は、とことん地味で、そしてとことんメランコリックで圧倒的に美しい。

 「恋に落ち、恋に冷め、誰かを愛し、誰かを愛するのをやめる、誰かに愛されなくなる……人間の人生経験は、芸術経験と同じくらい大切なものだ」、7年前のぼくのインタヴューで彼はこう語っている。
 アンドリュー・ウェザオールは、古き人間だった。そのことは彼自身も自覚していたし、〈Rotters Golf Club〉になってからの彼は19世紀趣味をむしろ強く打ち出していた。インターネットが世界を変えてしまうちょうどその渦中にあって、つねに3種類の書物(小説、歴史、芸術)を身近に置いていた本の虫は、テクノロジーの利便性に何も考えずに身を委ねるような真似はしなかった。19世紀のネオゴシック運動のように、テクノロジーの快適さに対する疑いの目を忘れなかった。それがたとえ怒りであっても感情を持つことを賞揚し、人びとの感情の劣化を案じてもいた。
 「パソコンでアートを作ってもいいと思う。そのアートがパソコン以外の世界でも存在できると感じられることができるならね」、液晶画面を眺めていさえすれば、24時間買い物のできるし、ポルノもニュースも他人がどう思っているかも自分がどう思われているかも見ることができる世界が日常化している現代において、アンドリュー・ウェザオールには明らかにやるべきことがまだまだあった。彼は表現すべきこと、打ち出すべき声明を持っていた。
 「状況が不安定で、世界がダークになってくると、作られるアートはより興味深いものになる。最高のアートは困難との闘いから生まれるものだ」、ブッシュとブレア時代の2002年のインタヴューで彼はこう語っている。「俺たちはいま恐ろしいほど興味深く危険な時代に生きている。俺は世界の状況を心配をしながらも、毎日をすごくエンジョイしているんだ」

 「人生にはいろんな道があるだろ、人はそれを選択するわけだけど、俺が選んだ道はいつも難道だった」、これは2009年のインタヴューで語っていたことだ。刺青を入れたために実家を追い出された彼の若かりし日々は、決して平坦なものではなかっただろう。
 以下、同じインタヴューからの抜粋。「アンダーグランドの音楽的先駆者たちは、厳しい道を突き進んで来た。俺も好きでそれを追いかけてきたけど、それは厳しい道で、必ずしも楽な生活とは言えない。だから、その道にガイドした先駆者たちをたまに恨んだりする(笑)」
 「もっとポップな曲を書いていたら金を儲けていたかもしれないけど、俺はハードワークな状況を楽しめるタイプなんだ。若いときにやった最初のバイトが肉体労働だったから、キツさや困難な状況から得る満足感みたいなものが好きなんだよ」

 “Loaded”があまりにも名曲なのは、あれは人生を表現しているからだろう。「あなたの愛を失いたくない」とジ・エモショーンズは繰り返す。愛の喪失はアンドリュー・ウェザオールが生涯いだき続けたオブセッションのようなものだったのではないだろうか。
 「人生こそ愛と死だね」。2007年のインタヴューで彼はこう言っている。「自分の音楽のテーマには“生と死”がいつもあって、歳を重ねるごとにその“死すべき運命”がさらに現実味をましてくる」

 しかしそれが来るのは早すぎた。2016年のアルバム『コンヴェナンザ』のなかで彼はこう歌っている。「どうかこの手紙を許して欲しい、これが最後だから、友よ/どんな祈りも僕を救えなかった/もう一度亡霊を呼び出そう」

 さようなら、アンドリュー・ウェザオール。そして、あまりにも多くの音楽をありがとう。今夜はきっと世界中で“Loaded”が、そしてあなたの深く美しく素晴らしい音楽が流れているのだろう。

!!! (Chk Chk Chk) - ele-king

 昨年の来日公演でもサイコーのパフォーマンスを披露してくれたチック・チック・チックが、今年も日本へやってくる!!! 今回は5月23日~24日にかけて横浜赤レンガ倉庫野外特設会場で開催される《GREENROOMFESTIVAL ’20》への出演というかたちだ!!! またみんなでダンスに明け暮れようぜ!!!

GREENROOMFESTIVAL ’20に !!! (Chk Chk Chk)が出演決定!!!
最強&狂のライブバンドが赤レンガ倉庫をダンスフロアに変える!
最新作『WALLOP』好評発売中!

毎年国内外から豪華アーティストが集結する「GREENROOM FESTIVAL ’20」の第2弾出演アーティストが発表され、!!! (chk chk chk) の出演が決定! NYの馬鹿げたダンス規制法を痛烈に批判し一躍脚光を浴びた名曲 “Me And Giuliani Down By The School Yard (A True Story)” から16年、突き抜けてエネルギッシュかつ痛快に反体制の姿勢を示し続けているチック・チック・チック。最新作『Wallop』をひっさげ、〈Warp〉30周年の一環として敢行された来日ツアーでも集まったファンを踊り狂わせた最狂のライブバンドが、今度は赤レンガ倉庫をダンスフロアに変える!

GREENROOM FESTIVAL ’20
場所:横浜赤レンガ倉庫野外特設会場
日時:2020年5月23日(土)、24日(日)

第2弾出演アーティスト
Tash Sultana
!!!
Oscar Jerome
ASIAN KUNG-FU GENERATION
Suchmos
EGO-WRAPPIN'
PUFFY
SPECIAL OTHERS
D.A.N.
LUCKY TAPES
TRI4TH
TENDER
showmore
みゆな

5月23日(土)、24日(日)に開催となる GREENROOM FESIVAL に第2弾として新たに14組のアーティストの出演が決定しました! パワフルなラインナップの発表とともに、完売必至のチケットの先行販売も開始! 今後も MUSIC に加え、ART や FILM の発表がありますので、どうぞお見逃しなく。パワーアップし続ける「GREENROOM FESTIVAL ’20」に是⾮ご期待ください!

事務局一般先行チケット販売開始!
[1日券各日] 価格 ¥12,000
[2日通し券] 価格 ¥19,000
https://greenroom.jp/tickets/

Lineup
MGMT / Tash Sultana / !!! / Sigrid / Oscar Jerome
ASIAN KUNG-FU GENERATION / Suchmos / never young beach / EGO-WRAPPIN’
佐野元春 & THE COYOTE BAND / RHYMESTER / PUFFY / 平井大 / SIRUP / LOVE PSYCHEDELICO
GLIM SPANKY / SPECIAL OTHERS / TENDRE / LUCKY TAPES / D.A.N. / TRI4TH / showmore / みゆな and more...

label: WARP RECORDS/BEAT RECORDS
artist: !!!
title: Wallop

国内盤CD BRC-608 ¥2,200+tax
国内盤特典: ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

[ご購入はこちら]

Nightmares On Wax - ele-king

 これはたまらない。昨年はリカルド・ヴィラロボスによるリミックス盤を発表、12月の来日公演も記憶に新しいナイトメアズ・オン・ワックスだけれど、なんと、1995年の名作『Smokers Delight』の25周年記念盤が4月3日にヴァイナルでリリースされることになった。ザ・KLFの『Chill Out』をヒップホップで再現するというコンセプトにもとづいて制作されたこのセカンド・アルバムは、それまでのブリープ~ハウス路線から一気にスモーキーかつソウルフルなダウンテンポへと舵を切った転機作で、現在われわれがよく知るNOWサウンドの原点にあたる。今回の記念盤には、2曲の新曲を含む計4曲がボーナストラックとして収録されるとのことで、そちらのほうも楽しみ。

[3月11日追記]
 発売が近づいてきた『Smokers Delight』の25周年アニヴァーサリー盤より、ボーナストラックとして収録される新曲2曲のうちの1曲 “Aquaself” が公開されました。ん~、気持ちいい~。安心のNOW印、炸裂です。

NIGHTMARES ON WAX
歴史的傑作『SMOKERS DELIGHT』のリリース25周年を記念し、
新曲を追加収録した再発盤のリリースが決定!

マッシヴ・アタック『Blue Lines』、ポーティスヘッド『Dummy』、トリッキー『Maxinquaye』と並び、その時代を象徴する名盤として絶大なる評価を受けているナイトメアズ・オン・ワックスの歴史的名盤『Smokers Delight』。リリースから25周年となる今年、新曲を追加収録した25周年記念盤が、4月3日に発売決定!

英 Fact Magazine が「80年代後半のレイヴ・シーンの黎明期を生んだムーヴメントが、リラックスした部屋の中でも、イビザの夕暮れにも合うようにと、CDウォークマン世代にとってのセカンド・サマー・オブ・ラブを再定義した作品」と称賛した本作『Smokers Delight』は、当時まだ新興レーベルだった〈Warp〉周辺の勢力図を大きく塗り替え、〈Warp〉初期を支えたロングセラー作品であり、UKでシルバーディスクの認定を受けている大名盤であると同時に、デビュー作『A Word of Science』でジャンルを横断した独特なエレクトロニック・サウンドで注目を集めていたナイトメアズ・オン・ワックスが、ソウル、ヒップホップ、ダブからの影響を吸収したチル〜ダウンテンポの巨匠として歩み始めるキャリアの礎となった代表作。

バックボーンは、レゲエ、ソウル、そしてサンプリングとディギングを通したヒップホップだった。だからダブの影響や、ラヴァーズ・ロックのソウルフルな影響が感じられるんだよ。俺を音楽に向かわせたすべてのDNAが詰まってる。当時みんなから、ナイトメアズのサウンドを見つけたな、と言われたけど、「本当? なにそれ?」って感じだった。でも今振り返ると、感覚だったり、スピリチュアルな意味合いで、その意味がわかる気がするよ。そのゾーンに入った瞬間に自分でもわかるんだ。 ──George Evelyn (Nightmares On Wax)

今回25周年記念盤をリリースするにあたって、ジョージは再び「ゾーン」に入り、“Let’s Ascend” と “Aquaself” という2曲の新曲、“Dreddoverboard” のファンク・ヴァージョン、“Nights Introlude” のライヴ・ヴァージョンが追加収録される。赤と緑のカラー盤となる2LP盤は、シルバーのゲートフォールド・ミラーボード・スリーブに収納され、アルバムとボーナストラックがダウンロードできるダウンロード・コード付となっている。

label: WARP RECORDS
artist: Nightmares On Wax
title: Smokers Delight (25th Anniversary Edition)
release date: 2020.04.03 FRI ON SALE

輸入盤2LP WARPLP36RX

BEATINK:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10846

Tracklisting
A1. Nights Introlude
A2. Dreddoverboard
A3. Pipes Honour
B1. Me And You
B2. Stars
B3. Wait A Minute / Praying For A Jeepbeat
B4. Groove St.
C1. Time (To Listen)
C2. (Man) Tha Journey
C3. Bless My Soul
C4. Cruise (Don't Stop)
D1. Mission Venice
D2. What I'm Feelin (Good)
D3. Rise
D4. Rise (Reprise)
D5. Gambia Via Vagator Beach

*Bonus tracks on download card
01. Aquaself
02. Let’s Ascend
03. Dreddoverboard (Funk Mix)
04. Nights Introlude (Live In Chicago)

DJ Marcelle & Kampire (Nyege Nyege) - ele-king

 これまで20回以上開催されてきた WWW のレジデント・パーティ《Local World》ですが、今年もやる気満々です。今回は、これまで都内のクラブで開催されてきた YELLOWUHURU 主宰の《FLATTOP》と Celter 主宰の《Eclipse》との共同パーティで、話題のウガンダのフェス/コレクティヴ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあるアムステルダムの DJ Marcelle を初来日で迎えます(Marcelle は大阪公演も)。これまたすごい一夜になりそうです。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -

新しい伝統と自由への狂騒。アフリカからダンス・ミュージックの未来を切り開くウガンダの新興フェスティバル/コレクティブ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあり、今最も “越境する” 奇矯のアーティストとして話題の DJ Marcelle を初来日で迎え、Local World、FLATTOP、Eclipse によるハイブリッド共同パーティ “Super Freedom” が開催。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -
2019/03/28 sat at WWW / WWWβ
OPEN / START 23:30
Early Bird @RA ¥1,800
ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000

【詳細】https://www-shibuya.jp/schedule/012322.php
【前売】https://www.residentadvisor.net/events/1386693

DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]
Kampire [Nyege Nyege / Uganda]
YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]
Celter [Eclipse]

+ many more

※ You must be 20 or over with Photo ID to enter

【DJ Marcelle 大阪公演】

AltPass feat. DJ MARCELLE
2020.3.27.fri. 22:00-7:00 at Club Daphnia
ADV ¥2,500 | DOOR ¥3,000

GUEST DJ:
DJ MARCELLE / ANOTHER NICE MESS
(JAHMONI) from Nederland

DJ:
Toshio Bing Kajiwara
7e
Gyoku
Gunilla
KA4U

LIVE:
USK

Visual Effect:
catchpulse

and more act.

FOOD: カカト飯店

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Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 - 外伝 -
Local X5 World Tzusing & Nkisi
Local X6 World Lotic - halloween nuts -
Local X7 World Discwoman
Local X8 World Rian Treanor VS TYO GQOM
Local X9 World Hyperdub 15th
Local XX World Neoplasia3 w/ Yves Tumor Local XX1 World AI2X2X w/ ???


■DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]

「異なるカルチャーに対してオープンでありながらも、そこのオーディエンスや自分の期待感に意識を向けすぎないこと。自分の道を進むためにね」@RA https://jp.residentadvisor.net/podcast-episode.aspx?id=679

アムステルダムを拠点にDJ、プロデューサー、ラジオ放送、ミュージシャンと多岐に渡って活動を続けるベテランDJ Marcelle / Another Nice Mess。

サプライズ、アドベンチャー、エンターテイメント、教育:オランダのDJ/プロデューサーの DJ Marcelle / Another Nice Mess を説明するためによく使用される4つのキーワードであり、ライブ(およびスタジオ内)では3つのターンテーブルとレコードを使用して、ミックスの可能性を高みに引き上げる稀有なDJであり、またそれ以上のミュージシャンでもある。 2016年以降、ドイツのレーベル〈Jahmoni〉から「In The Wrong Direction」、「Too」、「Psalm Tree」、「For」(Mark. E. Smith へのオマージュ)の一連のEPリリースを経て、昨年最新LP『One Place For The First Time』をリリース。2008年から2014年の間には、ドイツの〈Klangbad〉から伝説のクラウトロック・バンド Faust の創設メンバーである Hans-Joachim Irmler によってセットアップされた4枚のダブル・バイナルのアルバムをリリースしている。

異なるスタイルの音楽を異なるコンテキストに配置することにより、個々のスタイル変化させ、他に類を見ない音楽スタイルを融合し、3つのターンテーブルと膨大なコレクションであるレコードを使いながらオーディエンスに3つの同時演奏ではなく1つのトラックであると感じさせる。そのスタイルは環境音、アバンギャルド・ノイズ、動物の音、レフトフィールド・テクノ、フリージャズ、奇妙なヒップホップ、最先端のエレクトロニカ、新しいアフリカのダンス・ミュージック、ダブステップ、ダンス・ホールなどと組み合わせれている。

独創的で熟練したミキサーであり、独自のスタイルを持ち、ほとんどのDJのクリシエやこれまでのルールを回避し、フラクサス、ダダなどのアバンギャルドな芸術運動やモンティパイソンの不条理な現実に触発されるように、ダブ、ポスト・パンク、最新のエレクトロニック/ダンス・ミュージックの進化など、常に、非常に、密接に、音楽の発展を追い続け、革新的な “新しい” サウンドに耳を傾けている。創造と発展の芸術性と高まりを強く信じ、約2万枚のレコードと数えきれないほどの膨大なレコード・コレクションは過去と現代のアンダーグラウンド・ミュージックに関する強力な歴史的知識を体現している。

ステージにおいてはマルセルは開放と自由を超越し、しばしば「圧倒的な豊かさ」、「真の耳を開ける人」、「真の開拓者」と表現されている。ヨーロッパ中のクラブ、美術館、ギャラリーを回りながら、ウィーン、ベルリン、ミュンヘン、バーゼル、チューリッヒなど、多くの都市のレジデントDJ、 2015年と2016年には Barcelona circus / performance group のライブDJを務め、ウガンダの Nyege Nyege フェステイバルでは「ライフタイムのレジデントDJ」として任命され、最近では欧州の Dekmantel、Unsound、USの Sustain Release 等のフェステイバルに出演しワールドワイドな活躍を展開。

また Red Light Radio、FSK、DFM など、ヨーロッパのさまざまなラジオ局向けにウィークリーおよびマンスリーのラジオ番組も開催し、インターネット上の John Peel ディスカッション・グループでは「best post-Peel DJ」と評される。マルセルにとって、何らかの緊急性や固定する必要がない限り、音楽形式は意味をなさない。分類が難しいことでブッカー、ジャーナリスト、オーディエンスを最初は混乱させられる。もしマルセルを適切な言葉で説明するのであれば「アバンギャルド・エスノ・ベース」と言えるだろう。

https://soundcloud.com/marcelle


■Kampire [Nyege Nyege / Uganda]

「私が望むのは、ジェンダーや性的指向に関わらず、その人となりの本質をしっかり見極め、誰もが平等にチャンスを得られるようになること」@i-d https://i-d.vice.com/jp/article/kzvn4v/uganda-dj-kampire-interview

東アフリカで最もエキサイティングなDJであり、ウガンダはカンパラの Nyege Nyege コレクティブのコアメンバーであるKampire。活気に満ち溢れたそのサウンドは世界中のクラブやフェスティバルへの出演を呼ぶ。Mixmag 2018年のトップ10のブレイクスルーDJに選出され、Nyege Nyege フェスティバルでの Boiler Room での放送は合法的な「インターネットの瞬間」であり、SNSで何千ものシェアをされ、オンラインで視聴している世界中の電子音楽ファンからフォローされる。

Kampire のDJミックスは Resident Advisor、Dekmantel、Fact Magazine で紹介され、Pitchfork & Fact の年末のリストで2019年のベスト・ミックスにも選出。Rinse FM ラジオのレジデンシーは、Hibotep、Faisal Mostrixx、Catu Diosis など、東アフリカのDJやアーティストにフォーカスしている。

2019年には4大陸でツアーを行い、ヨーロッパ全土のすべての有力フェスティバルに出演、ニューヨークの Redbull Music Festival の Nyege Nyege のショーケースでアメリカでデビューを果たし、Best friend & Nyege Nyege day one Decay と共に2020年の夏には、彼らのショー「Bunu Bop」でヨーロッパのフェスティバル・ステージにウガンダの最高のパーティー・カルチャーをもたらすであろう。

科学、文化、芸術として “黒髪” を探求するアート・インスタレーション「Salooni」の共同設立者であり、その体験プロジェクトは La Ba Arts Festival、ウガンダ、ガーナ、Chale Wote Street Art Festival、East African Soul Train (E.A.S.T) のレジデンシー、ケニア、Africa Utopia、ロンドン、キガリ、ルワンダ、 Women’s day、Burkina Faso and N’GOLÁ Biennial、São Tomé e Príncipe などで展開されている。

https://soundcloud.com/kkaybie


■YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]

棍底にHOUSEを抱えながら電子音と生音を有機的に混ぜる男。

https://soundcloud.com/yellowuhuru


■Celter [Eclipse]

2019年2月より自身の主宰するイベント “Eclipse” をCONTACTにて始動。エクスペリメンタル、アバンギャルドを軸としたプレイを得意とする。

https://soundcloud.com/cel_ter

felicity - ele-king

 日本のインディ・シーンを支えてきた〈felicity〉が、レーベルとしての企画ライヴを3月12日に開催する。ご存じ七尾旅人と、先日EP「ざわめき」をリリースしたばかりの新世代ロック・バンドの羊文学、そしてこちらも昨秋アルバム『けものたちの名前』を発表したばかりの ROTH BART BARON の計3組が出演する。9年ぶりの企画とのことなので、きっと熱気あふれる一夜になるにちがいない。詳しくは下記より。

2002年の発足以来、個性的で良質なアーティストの作品をリリースし続ける音楽レーベル〈felicity〉が9年ぶりとなるレーベル企画ライブを開催!

七尾旅人、羊文学、そして ROTH BART BARON の3組が出演いたします。

[公演概要]

felicity live 2020

2020年3月12日(木) 渋谷WWW X

act:七尾旅人、羊文学、ROTH BART BARON

■OPEN 18:15 / START 19:00
■オールスタンディング ¥4,000(ドリンク別)
■前売りチケット:チケットぴあローソンチケットイープラスにて
 2月1日(土)10:00より一般発売開始
■問い合わせ:WWW X 03-5458-7688

Answer To Remember - ele-king

 何となくチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーを連想させてしまう語呂のアンサー・トゥ・リメンバー。リリース元のレコード会社は「今までに聴いたことがない新しいエクスペリメンタル・ミュージック・プロジェクト」と紹介しているが、これは日本の若手ジャズ・ドラマーの中でもっとも才能溢れるひとりと言われる石若駿によるニュー・プロジェクトである。

 石若駿は日野皓正などに見いだされて本格的なジャズ・ドラマーの道を志し、バークリー音楽院に学んで東京芸大の打楽器専攻科を首席で卒業するなど、音楽家としてのエリート・コースを進んできたと言える。プロ・デビュー後は日野皓正、大西順子、TOKU やジェイソン・モランなど国内外のトップ・ミュージシャンと共演してきたが、その中でもテイラー・マクファーリンカート・ローゼンウィンケルとの共演がいろいろと話題を呼んだ。彼らとの共演を通して日本から登場した世界基準の新世代ジャズ・ドラマーと脚光を集め、また純粋なジャズの枠にとどまらない幅広い音楽の可能性も示唆することになる。自身の活動ではリーダー作の『クリーンアップ』(2015年)や石若駿トリオ名義で作品をリリースするほか、芸大時代の同級生だった常田大希らとジャズ、オルタナ・ロックなどのミクチャー・バンドの King Gnu (キング・ヌー)の前身である Srv.Vinci (サーヴァ・ヴィンチ)を結成し、小西遼や小田朋美らとのポップ・ユニットの CRCK/LCKS (クラック・ラックス)でも演奏する。WONK、MELRAW(安藤康平)、桑原あいなど同世代の若いジャズ・バンドやミュージシャンとのセッションも活発で、くるり、ものんくる、森山直太朗の作品にも参加するなどジャズ界にとどまらない活躍を見せる。『ソングブック』というシリーズ・プロジェクトは、「うた」をテーマに石若駿がさまざまなアーティストたちとコラボレーションを行ったセルフ・プロデュース作品集である。

 2019年もクリーンアップ・カルテットを組んで久しぶりのリーダー・アルバム『CLNUP 4』をリリースしたほか、『ソングブック』の第4集や CRCK/LCKS でのリリースがあり、くるりのツアー・ドラマーにも抜擢され、マーク・ド・クライヴ・ローによるローニン・アーケストラや SOIL & “PIMP” SESSIONS、日野皓正らの新作への参加、〈ブルーノート〉の企画アルバムやサントラへの参加と多方面での活動が続いていたが、そんな多忙な中でアンサー・トゥ・リメンバーをスタートさせた。レコーディングは ATR バンドという石若駿をリーダーとするハウス・バンドが中心となり、ニューヨークで活躍するジャズ・トランペッターの黒田卓也、米津玄師から mabanua らも注目する話題のシンガー・ソングライター/ピアニストの中村佳穂と彼女のバンド、フラッシュバックスのメンバーとしても活動してきたラッパー/トラックメイカーのキッド・フレシノのほか、ermhoi (エルムホイ)、Karai、Jua などのシンガーやラッパーが参加している。

 先行シングルとなった “トーキョー” は ermhoi のフェアリーな歌声がフィーチャーされたプログレとジャズの融合的なナンバーで、まさに新時代のリターン・トゥ・フォーエヴァーとでも言いたくなる趣もあり、現在ならばサンダーキャットスクエアプッシャーあたりの作品にも比類するのだが、中でも立体的で息をつかせないほどに叩きまくる石若駿のドラムが素晴らしい。『ソングブック』ではシンガーの歌声を生かすため、プロデューサー的な立場からシンプルなドラムにしている面も見られるが、ここではとにかく極限まで振り切れたような演奏で、ドラマーとしての可能性を追求している様子が伺える。“スティル・ソー・ワット” はローニン・アーケストラでの演奏に通じるジャズ・ファンク系のインスト曲で、ピアノやホーン・アンサンブルはじめ ATR バンドによる緊密なインタープレイを聴かせる。アグレッシヴなドラムがまわりの楽器を引っ張り、躍動感と高揚感に満ちた演奏を繰り広げるナンバーだ。そうしたダイナミックなジャズ・ロック演奏とキッド・フレシノのクールなラップが結びついたのが “ラン”。ハードバップ調の演奏に Jun のラップを乗せた “410” と共に、日本語ラップとジャズがここまで見事に一体化したナンバーもそうはないだろう。もともとインストのトラックに後からキッド・フレシノがラップを乗せたそうだが、石若駿の手数の多いドラム音とまるで呼吸をするかのようにラップがシンクロしている。中村佳穂バンドと共演した “ライフ・フォー・キッス” は、冒頭にある「今までに聴いたことがない新しいエクスペリメンタル・ミュージック・プロジェクト」を示すような楽曲。ジャズともオルタナ・ロックともインディ・ポップとも何とも形容ができない構成で、どこに向かうのかわからない面白さのある曲だ。比較的オーソドックなジャズ演奏の “GNR” がある一方、こうした実験性に富む “ライフ・フォー・キッス” は石若駿のジャズだけにとどまらないスケールの大きさを再認識させてくれる。

ジョジョ・ラビット - ele-king

 2010年代で最も面白かったコメディ映画はタイカ・ワイティティ監督『シェアハウス・ウイズ・バンパイア』だと思っていた。ワイティティの新作『 ジョジョ・ラビット 』を観るまでは。

『シェアハウス・ウイズ・バンパイア』はバンパイアたちがIT社会に順応しようと四苦八苦し、人類との共存を模索してワヤクチャになっていくシチュエーション・コメディで、これがニュージーランドの片隅で生まれた小品であるにもかかわらず、これを観たマーヴェル・スタジオがワイティティに『マイティ・ソー』の舵取りを決断させたのだから、どれだけハリウッドで成功するポテンシャルを秘めた作品だったかは容易に想像できるでしょう。それどころか結果を出しすぎてワイティティは『マイティ・ソー』の続編も任せられることになり、以前から取り組むと公言していた『AKIRA』はいまだクランク・インにたどり着けなくなっている。

『ジョジョ・ラビット』はそんなワイティティが『AKIRA』よりも優先させたナチス映画。ナチスを題材にしたコメディ映画といえば5年前にデヴィッド・ヴェンド監督『帰ってきたヒトラー』があり、ドイツの現在を鋭く風刺したばかりだけれど、ヒトラーとネオナチの違いを鮮明にするという仕掛けが施されていた同作に対して『ジョジョ・ラビット』はナチス自体をコミカルに描き、親しみを感じさせる要素を入れたことは反発も引き起こしている。自身がユダヤ(とアイルランドとマオリ)の血を引くとはいえ、ワイティティはかなり危ない橋を渡ったことは確か。『シン・ゴジラ』にもオマージュとして取り上げられた岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』をコメディ仕立でリメイクしたとして、それをアジアの人たちに見せる勇気が日本人にあるだろうかというような。

 ローマン・グリフィン・デイビス演じるジョジョはヒトラー・ユーゲントに入りたくてしょうがない10歳の軍国少年。ビートルズ「Komm Gib Mir Deine Hand(I Want To Hold Your Hand)」に煽られてジョジョたちは勢いよく訓練キャンプに参集し、サム・ロックウェル演じるキャプテン・クレンツェンドルフのハードな訓練生活に突入する。前線で負傷した隻眼の指導教官に扮したロックウェルは陽気な暴力性を期待させる上手い配置。マーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード』の暴力巡査や昨年の個人的なベスト5に入れたいアダム・マッケイ監督『バイス』ではウィル・フェレルを押しのけてジョージ・W・ブッシュを怪演するなど、ロックウェルはこのところ一作も見逃せない役者になりつつある。また、ジョジョの母親を演じるのがスカーレット・ジョハンサン(日本ではなぜかヨハンソン)で、美しくて優しく、そしてオシャレなロージーは政治的にも毅然とした姿勢を崩さないレジスタンスの一員という非人間的な造形。これは『アンダー・ザ・スキン』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』、そして何よりもブラック・ウィドウ(『アヴェンジャーズ』)で見せるハードボイルドな役柄に通じるものがあり、こんな人は実在しないよ~とブーたれたいところだけれど、明日はないと覚悟を決めていた戦争末期のドイツ人たちが毎日のようにオシャレをしていたというのは史実に基づくものだという。スカージョのファッションは青のロング・コートやアーミー柄のカーディガン、赤い襟のサマー・セーターなど、どれもナチスの制服姿と際立った対比をなし、自由を手放さない生き方を視覚的にもアピっていく。

訓練中にウサギを殺せと命じられて尻込みをしてしまったジョジョは、2年間音信不通の父親を逃亡兵と決めつけているナチスの党員たちによって「ジョジョ・ラビット」と謗られるようになる。ジョジョにとって父の不在を埋めるものが、そして、想像上の「アドルフ」で、この役は監督自身が演じている(誰も引き受けてくれなかったので自分が演じたそうだけれど、結果的にユダヤ系がヒトラーを演じたことに)。ワイティティ演じる「アドルフ」はいわゆるアグレッシヴなそれではなく、スラップスティックで愛嬌のあるヒトラー。当時の軍国少年にはヒトラーがどのように見えていたかはわからないけれど、戦後と同じようにヒトラーを「怖い」と認識していたとも思えないので、誇張があるとはいえ、軍国少年が指導者を身近に感じていたという感覚を表すものとしてはゼロではないだろう。オウム真理教の信者が麻原彰晃をアニメで描いていたセンスと重なるというか。ちなみにヒトラー・ユーゲントが勢いづくシーンで流れるのはモンキーズ「I’m a Believer」をドイツ語でカヴァーした「Mit All Deiner Liebe」と、これもビートルズ同様、少しブラックな使い方。撮影が実際にナチスの宣伝映画を撮ったプラハのバランドフ・スタジオにセットを組んで行われたというのもなかなかブラックではある。

(以下、ネタバレ)
 ジョジョは、そして、ユダヤ人の娘、エルサ(トーマシン・マッケンジー)が納戸の奥に隠れて暮らしていたのを発見してしまう。母親のロージーが密かに匿っていたのである。エルサはジョジョを脅す。通報すればあなたたち親子も死刑になると。ジョジョはパニックになるも、ユダヤ人の秘密を聞き出してユダヤ人を壊滅させるための本を書こうと考え、エルサの話に耳を傾けていく。この辺りはかなり丁寧な描写が続く。『シェアハウス・ウイズ・バンパイア』の原題は「What We Do in the Shadows」、すなわち「我々は暗闇の中でどうする?」で、陽の光の差し込まないホテルの中で悶々と暮らしていたバンパイアたちが人間たちと友人になり、いわば世界を広げようとする話だったとしたら、『ジョジョ・ラビット』は納戸=暗闇の中に潜んでいるエルサの話を聞き、その過程でナチスによる洗脳がとけていくという展開を指し示す。関心を向けるヴェクトルが逆方向になったのである。バンパイアたちはラストシーンで狼男たちと大乱闘を繰り広げるけれど、狼男は要するにナチスで、暗闇に潜んでいたユダヤ人とナチスが鉢合わせすれば、それは大乱闘にもなるわなと。『シェアハウス・ウイズ・バンパイア』を観て無邪気に笑い転げていた僕は『ジョジョ・ラビット』を観る前にもう一度観ておけばよかったと、いま、痛切な後悔に襲われている。そう、2010年代で最も無責任に楽しめるコメディ映画は『シェアハウス・ウイズ・バンパイア』だと思っていた。『ジョジョ・ラビット』を観るまでは。

『ジョジョ・ラビット』はコメディ映画としては少し弱い。ヘイト・クライムに立ち向かうという社会派的な側面がはみ出し過ぎて、ビルドゥングス・ロマンとしてのファクターも色濃く盛り込んだためコメディの要素はなくてもよかったという気までしてしまう。エンディングでは笑うどころか涙さえ出てしまいそうだった。エルサと別れたくないジョジョは嘘をつき、真実を知ったエルサはジョジョを張り飛ばすも、2人は珍妙なダンスを踊り始め、デヴィッド・ボウイ「ヒーローズ」と共にエンド・ロールへと雪崩れ込む。とても短いシーンだけれど、ローマン・グリフィン・デイビスはほんとに11歳かよと思うほど演技が複雑で素晴らしく、ユーゲント仲間のヨーキーもとてもかわいかった。

三田格
『ジョジョ・ラビット』予告編

Shabaka And The Ancestors - ele-king

 一昨年はサンズ・オブ・ケメットだった。昨年はザ・コメット・イズ・カミングだった。そして今年。ついにシャバカ・アンド・ジ・アンセスターズのセカンド・アルバムがリリースされる。前作『Wisdom Of Elders』以来、3年半ぶりの作品である(レーベルは〈Brownswood〉からコメットとおなじ名門〈Impulse!〉へと移籍)。この「シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ」は、UKジャズ・シーンにおける最重要人物=シャバカ・ハッチングスによる、彼自身の考えがもっとも反映されたプロジェクトで、今回は人類の絶滅(!)がテーマだという。先行公開された “Go My Heart, Go To Heaven” を聴くだけでも、そうとう気合いが入っているのがわかる(MVもすごい)。きっと今作も2020年を代表する1枚になるにちがいない。発売は3月13日。心して待っていよう。

UKジャズの頂点をひた走るカリスマ、シャバカによる新アルバム
〈インパルス〉の記念すべき60周年に発売!

アルバム詳細作品情報

●イギリスの新世代ジャズ・シーンを牽引するカリスマ的テナー・サックス奏者、シャバカ・ハッチングスが中心となって2016年に結成されたシャバカ・アンド・ジ・アンセスターズの2作目となるアルバム。〈インパルス〉からのリリースは本作が初となり、「シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ」としてのメジャー・デビュー作となる。

●現在、シャバカがメインとして活動している3グループの中でも、彼自身のパーソナルな考えを積極的に音楽に反映しているグループ。前作『Wisdom of Elders』はシャバカが尊敬し、称賛していた南アフリカ系のジャズ・ミュージシャン・グループとのセッション・ドキュメントとして、現在のジャズ・シーンに大きな風穴を開け、衝撃をもたらした。今作も前作に引き続き、トゥミ・モゴロシなどのアフリカにルーツを持つアーティスト達が参加しており、彼らのルーツであるアフリカ文化と深く関連するアルバムに仕上がっている。シャバカ本人は本作を現在の世界中を横断する音楽の「グリオ」にしたいと話す。そのため、アルバムを通して、一つのストーリーとなっている構成で、楽曲ごとのタイトルや歌詞など細部まで注目したい一作だ。(グリオ:西アフリカに古くから残る文化で、世襲制のミュージシャンのことを指す。文字を持たない文化の中で神話や歴史を詩や歌にして後世に歌い継いできた人たち。)

●すべての作曲はシャバカ本人が担当した。本作のテーマは、我々人類の行き付く先、つまりは絶滅である。その悲劇的な未来を変えるために社会、そして個人がとるべき行動や考えについて質問を投げかけている。しかし、深いテーマを扱っているにも関わらず、シャバカの力強いテナー・サックスは開放的で、その音色に心打たれるアルバムとなっている。

リリース詳細
SHABAKA AND THE ANCESTORS
シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ
WE ARE SENT HERE BY HISTORY
『ウィー・アー・セント・ヒア・バイ・ヒストリー』
発売日:2020年3月13日(金)
価格:¥2,860(税込み)
UCCI-1047
SHM-CD

収録曲
01. ゼイ・フー・マスト・ダイ / They Who Must Die
02. ユーヴ・ビーン・コールド / You’ve Been Called
03. ゴー・マイ・ハート、ゴー・トゥ・ヘブン / Go My Heart, Go To Heaven
04. ビホールド、ザ・デシーヴァー / Behold, The Deceiver
05. ラン、ザ・ダークネス・ウィル・パス / Run, The Darkness Will Pass
06. ザ・カミング・オブ・ザ・ストレンジ・ワンズ / The Coming Of The Strange Ones
07. ビースト・トゥー・スポーク・オブ・サファリング / Beast Too Spoke Of Suffering
08. ウィー・ウィル・ワーク(オン・リディファイニング・マンフッド) / We Will Work (On Redefining Manhood)
09. ティル・フリーダム・カムズ・ホーム / ’Til The Freedom Comes Home
10. ファイナリー、ザ・マン・クライド / Finally, The Man Cried
11. ティーチ・ミー・ハウ・トゥ・ビー・ヴァルネラブル / Teach Me How To Be Vulnerable

パーソネル
シャバカ・ハッチングス Shabaka Hutchings - Tenor Sax and clarinet
ムトゥンジ・ムヴブ Mthunzi Mvubu - Alto Sax
シヤボンガ・ムテンブ Siyabonga Mthembu - Vocals
アリエル・ザモンスキー Ariel Zamonsky – Double bass
ゴンツェ・マクヘーネ Gontse Makhene - Percussion
トゥミ・モゴロシ Tumi Mogorosi – Drums

アーティスト・バイオ
シャバカ・ハッチングスは1984年、ロンドン生まれ。6歳の時にカリブ海に浮かぶ西インド諸島の国、バルバドスに移り住むが、その後、イギリスに戻り、以来、ロンドンのジャズ・シーンの中心を担っているサックス奏者。1960年代のジョー・ハリオットやエバン・パーカー以来の創造性を持つと言われ、その独特でパワフルなプレイからしばしば「カリスマ」もしくは「サックスのキング」と評される。
現在、コメット・イズ・カミング、サンズ・オブ・ケメット、そして、本作のシャバカ・アンド・ジ・アンセスターズの3つを主要プロジェクトとしており、プロジェクトを跨いで JazzFM や MOBO のジャズ・アクト・オブ・ジ・イヤーなど数々の賞を受賞している。

Moses Boyd - ele-king

 ついにつながった。UKジャズ・シーンにおける最重要ドラマーといっても過言ではないモーゼズ・ボイド──昨年もジョー・アーモン=ジョーンズを筆頭にさまざまな作品に参加──が、2018年の『Displaced Diaspora』以来となるアルバムを2月21日にリリースするのだけれど、なんとそこにクラインが参加しているのである。すなわち、UKジャズとブラック・エクスペリメンタリズムの邂逅である。これは今年の重要な1枚になりそうだ。


新世代UKジャズシーンの真打がついに見渡す新境地。UKのベースミュージック史まで更新する圧巻の演奏。

2020年、グライムとジャズは同じ夜に鳴り響く。

真打がついに動く。
Joe Armon-Jones、Nubya Garcia、Gary Crosby、Obongjayar、Klein ら参加。前作から格段にアップグレードされた1.5TB相当の情報処理能力で最新ビートをジャズ/アフロビートにフォーマットする、いかつすぎる……とにかく、いかつすぎる驚異の若手による 2nd。
Beyonce 監修による『ライオンキング』のサウンドトラック楽曲への参加や、Little Simz や Lonnie Liston Smith らとのコラボを経て、Tony Allen から直々に受け継いだアフロビートが、最新型の異形のジャズへと変換されていく。

Moses Boyd (モーゼズ・ボイド)
Dark Matter (ダーク・マター)
国内盤CD ¥2,300+税 / 帯付き国内流通2LP ¥3,600+税
IPM-8124 / AMIP-0205
2020年2月21日リリース
レーベル:インパートメント

Track listing:
01. Stranger Than Fiction
02. Hard Food (interlude)
03. BTB
04. Y.O.Y.O
05. Shades of You ft Poppy Ajudha
06. Dancing In The Dark ft Obongjayar
07. Only You
08. 2 Far Gone
09. Nommos Descent ft Nonku Phiri & Nubya Garcia
10. What Now ft Gary Crosby

11. Stranger Than Fiction [Instrumental] *
12. 2 Far Gone [Instrumental]*
13. What Now [Instrumental]*
14. Axiom*
*日本盤CDボーナストラック(LP未収録)

◎CD/LP 日本独占流通

https://www.inpartmaint.com/site/28920/

Moses Boyd
モーゼズ・ボイド

新世代UKジャズシーンの立役者のひとりとして、Lonnie Liston Smith、Ed Motta、Little Simz、Four Tet、Floating Points、Sampha、Kelsey Lu、Sons of Kemet、DJ Khalab など挙げていけばきりがないほどに、様々なシーンと絡み、その度に最先端のビート感覚を養ってきた若き天才ドラマー。サックス奏者 Binker Golding との Binker & Moses 名義でも、名高い評価を得ており、2018年発表の 1st ソロ『Displaced Diaspora』はシーンの代表作として位置づけられている。約2年ぶりとなる 2nd ソロは自身によるバンド、そして自主レーベルの〈Exodus〉からリリースされる。Beyonce 監修により大きな話題を呼んだ実写版『ライオンキング』のサウンドトラック楽曲への参加や、2019年にスマッシュヒットした Little Simz の出世作への参加など、英米問わず様々なシーンの最先端に顔を出すその突出したドラムスキルと豊富なリズムへの知識と探究心は、この 2nd アルバムで爆発し、ジャズやアフロビートが、完全にベースミュージックとして機能している喜びと驚きを世界に知らしめることとなる。

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