「ele-king」と一致するもの

椅子を持って出かけるだけで、公園や河原、野山や海岸などお気に入りの場所があなただけの酒場やリビングに!
その手軽さと意外な快適さに虜になる人も続出中。インスタでも「#チェアリング」は人気ハッシュタグとなっています。
そんな「チェアリング」の命名者であり提唱者である飲酒ユニット「酒の穴」(パリッコ&スズキナオ)によるチェアリングの手引書が登場!

ライムスター宇多丸、中尊寺まい(ベッド・イン)、和嶋慎治(人間椅子)、コナリミサト(『凪のお暇』)、谷口菜津子(『彼女は宇宙一』)などの豪華ゲストを迎えた実践レポートのほか、おすすめ椅子&アウトドアグッズガイド、チェアリング向きのつまみ徹底検証、100均で揃う便利グッズなど情報充実!


ライムスター宇多丸さん、ラッパーMETEORさんとTBS局内でチェアリング座談会


中尊寺まいさん(ベッド・イン)とお台場チェアリング


和嶋慎治さん(人間椅子)に竹林でチェアリングしながらアウトドア談義


著書のスズキナオ&パリッコ

■著者略歴

スズキナオ
東京生まれのフリーライター。WEBサイト「デイリーポータルZ」「excite bit」「メシ通」などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。パリッコとの共著『酒の穴』(シカク出版)がある。

パリッコ
東京生まれ。酒場ライター、DJ/トラックメイカー、漫画家/イラストレーター、他。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場関連の記事の執筆を始める。雑誌でのコラムや漫画連載、WEBサイトへの寄稿も多数。著書に『酒場っ子』(スタンド・ブックス)、11人の著名人との対談集『晩酌百景』(シンコーミュージック)など。

■目次

まえがき
チェアリングとは
キャプテンスタッグ全面協力! チェアリング向けアウトドアチェアの世界
「ベッド・イン」ちゃんまいさんと、お台場“トレンディ&アーバン”チェアリング
「人間椅子」和嶋慎治さんと、都内で気軽に自然を感じるチェアリング
すてきナイスチェアリスト名鑑
椅子にプラスで快適さワンランクアップ! コールマンの使えるアウトドアギア
コナリミサトさん×谷口菜津子さんの「チェアリング女子会」
ライムスター宇多丸さん、孤高のラッパーMETEORさんと飲む! TBS生放送スタジオ内でチェアリング
チェアリング向きのおつまみ食べ比べ徹底検証!
ベランダチェアリングの気楽な楽しみ
酒の穴対談「チェアリングのこれまでとこれから」
晴れた日曜にふらっと楽しむ大阪城公園チェアリング
安田理央と愉快な仲間たちによるチェアリング初体験ツアー
ほとんどキャンプ! 川の水に足を泳がせながらの武蔵五日市チェアリング
ちょっと遠出してチェアリングしてみる~茨城県・水海道篇~
都市部で気軽に水辺チェアリング「隅田川テラス」
チェアリングが憧れの雑誌に載った日
秋冬におすすめ、バードウォッチング×チェアリング=バードチェアリング
500円あれば手ぶらでOK! 100均チェアリングを試す
あとがき
年表

中原昌也 - ele-king

 先週のDOMMUNEで宇川直宏、『前衛音楽入門』を刊行したばかりの松村正人とともに、目の覚めるようなトーク&ライヴを披露してくれた中原昌也。彼の作家デビュー20周年を記念し、最新の小説が河出書房新社より刊行される。……だけではない。さらになんと、さまざまなアーティストが中原の小説を“リミックス”したというトリビュート作品集までリリース! 朝吹真理子、OMSB、五所純子、柴崎友香、曽我部恵一、高橋源一郎、町田康、三宅唱、やくしまるえつこ、湯浅学と、そうそうたる顔ぶれである。発売は3月26日。詳細は下記を。

日本列島を震撼させた話題作、
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
から20年!!
中原昌也最新作、2冊同時リリース決定!

【最新小説】
『パートタイム・デスライフ』
職場から逃亡した男に次々と襲いかかる正体不明の暴力――。
圧倒的スピード感で押し寄せる悪夢の洪水に、終わりはあるのか?
中原昌也のマスターピース、ついに刊行!

巻末に「中原昌也の世界」を特別収録。青山真治、小山田圭吾、椹木野衣が異才20年の軌跡と奇蹟を描く。

【あらすじ】
MIT仕込みのノウハウによって完璧に管理された職場から逃亡したパートタイムで働く男に次々と襲いかかる正体不明の暴力。NHKのビデオテープ紛失事件、アウトドアショップでの定員の諍い、スクランブル交差点で遭遇したサポーターの狂乱と警官からの痛打……。この悪夢に終わりはあるのか!? 徹底的な絶望を生きる男の悲劇的な人生が怒涛の笑いと爽やかな感動を誘う、中原昌也の最新小説。

【仕様】
タイトル:中原昌也『パートタイム・デスライフ』
解説  :青山真治・小山田圭吾・椹木野衣(巻末別丁「中原昌也の世界」に掲載)
刊行予定:2019年3月26日(予定)
仕様  :168ページ/仮フランス装/定価本体2,200円
AD  :前田晃伸+馬渡亮剛
Art work:中原昌也

【トリビュート作品集】
『虐殺ソングブック remix』
remixed by 朝吹真理子、OMSB、五所純子、柴崎友香、曽我部恵一、高橋源一郎、町田康、三宅唱、やくしまるえつこ、湯浅学

前代未聞!!! 既存のテクストをコラージュし、文学を、世界を震撼させる作家・中原昌也。その破壊的作品群を、各界第一線の才能が大胆不敵にリミックス。いま、中原昌也の新たな衝撃が鳴り響く!

【目次】
Ⅰ remix edition
待望の短篇は忘却の彼方に(町田康 tabure remix)
独り言は、人間をより孤独にするだけだ(OMSB’s “路傍の結石” remix)
子猫が読む乱暴者日記×レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー(柴崎友香 Kittens remix)
天真爛漫な女性(曽我部恵一 “Tell her No” remix)
怪力の文芸編集者×誰も映っていない(朝吹真理子 remix)
『待望の短篇は忘却の彼方に』文庫版あとがき(三宅唱 “小日本” remix)
鳩嫌い(五所純子 tinnitus remix)
子猫が読む乱暴者日記(湯浅学 “博愛断食” mix)
『中原昌也 作業日誌 2004→2007』(やくしまるえつこ “type_ナカハラ_BOT_Log” remix)
『中原昌也 作業日誌 2004→2007』(高橋源一郎 “こんな日もある” remix)
Ⅱ Original version
待望の短篇は忘却の彼方に/独り言は、人間をより孤独にするだけだ/路傍の墓石/子猫が読む乱暴者日記/天真爛漫な女性/怪力の文芸編集者/誰も映っていない/『待望の短篇は忘却の彼方に』文庫版あとがき/鳩嫌い/『中原昌也 作業日誌 2004→2007』(抄)

中原昌也と同じく文学と音楽を横断する町田康やドゥ・マゴ文学賞で『作業日誌』を支持した高橋源一郎を始め、柴崎友香や朝吹真理子など豪華な小説家が結集。音楽シーンからは「すべての若き動物たち HAIR STYLISTICS REMIX」の記憶も新しい曽我部恵一(サニーデイ・サービス)、SIMI LAB で活躍するラッパーOMSB(初小説)、そして相対性理論などを手がけ美術や文筆でも注目を集めるアーティスト・やくしまるえつこが参加。映画『きみの鳥は歌える』の監督・三宅唱(初小説)や文筆家・五所純子(初小説)ら新たな才能に、音楽仲間の湯浅学(音楽評論)も加わった。さらにカバーではコラージュアーティストとして活躍する河村康輔が中原のデビュー作『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』単行本カバーをリミックス。20周年を記念した豪華なグルーヴが響き渡る!!

【仕様】
タイトル:中原昌也ほか『虐殺ソングブック remix』
刊行予定:2019年3月26日(予定)
仕様  :288ページ/並製/定価本体2,400円
AD  :前田晃伸+馬渡亮剛
Art work:河村康輔 (Mari & Fifi's Massacre Songbook Re-ILL-mix)

ビール・ストリートの恋人たち - ele-king

She's just like you and me (彼女はあなたや私と別に変わらない)
But she's homeless, she's homeless (だけど彼女はホームレス、彼女に家はない) ──クリスタル・ウォーターズ『ジプシー・ウーマン』1991

 #OscarsSoWhite(アカデミー賞は白人ばかり)というハッシュタグが出始めてから少なくとも3年は経っていますが、さてそれから今までの間に何があったか。と雑に思い出すとまず『ムーンライト』が2017年2月に米アカデミー賞で作品賞を獲って狼煙が上がり、『ドリーム(原題 “Hidden Figures”)』『ゲット・アウト』『ブラックパンサー』『クリードⅡ』『クレイジー・リッチ!(原題 “Crazy Rich Asians”)』などの「非白人がメイン」である映画がでかいヒットを飛ばしたのち、2019年2月のアカデミー賞はさてどうなったか。

 『ムーンライト』を監督したバリー・ジェンキンスの新作『ビール・ストリートの恋人たち』は今年のアカデミー賞ではレジーナ・キングが助演女優賞を受けたものの、ノミネートは他に作曲部門と脚色部門のみで、混戦と評された賞レースの中では実にひっそりとした佇まいだった。ジェイムズ・ボールドウィンが1974年に発表した同名小説を原作とした映画『ビール・ストリートの恋人たち』の主人公はニューヨーク、ハーレムに暮らす若い男女のカップル、ティッシュ(キキ・レイン)とファニー(ステファン・ジェームス、2016年制作の長編『栄光のランナー』(1936年、ベルリン、原題 “Race”)で主演)。2人はもともと幼馴染で、19歳のティッシュはデパートの香水売り場で店員として働き、22歳のファニーは独学で彫刻を制作している……言ってみればアーティスト志望のプー太郎。ティッシュの家族はファニーとの交際を受け入れているが、ファニーの(父親を除く)家族はそうではない。

 物語内の時間構成はやや変則的で、映画の中の「現在」におけるファニーは既に強姦罪の容疑で逮捕・収監されており、ガラス越しに面会にやってくるティッシュはファニーとの子供を妊娠している。ファニーの冤罪を晴らすべくティッシュと彼女の両親が文字通り駆けずり回るシーンと、2人が交際を始めた時期の情景が交互にスイッチバックするのだが、とりわけ印象的なのが逮捕前に2人で住むための物件がさっぱり見つからなかった諸々のエピソードである。若い黒人女性であるティッシュが一人で白人の家主に会いに行き、家が借りられそうになったところへファニー(黒人男性)が同居人です、と現れた途端にキャンセルされるとか、やっと黒人カップルでも貸すよ、と言ってくれたユダヤ人の青年に出会えたんだけど肝心の物件が住居というよりは廃工場だったり(ティッシュが「でも、一体ここにどうやって住むの?」と困惑するような物件である)で結局、何ひとつうまいこといかない。パートナーの片方が刑務所に入ってしまった「現在」から考えれば過去の家探しの詳細などどうでも良さそうなものではあるが、住む家が容易に見つからない、という現実が執拗に挿入される事により浮かび上がるのは、ある特定の属性を持った人を自由に移動させないことによって押さえつけている社会構造であり、白人の警官に目を付けられて適当な感じで立件されてしまうような行政であり、無罪を証明するために必要な作業を国が何も援助などしてくれない「70年代の黒人庶民が暮らすアメリカの日常」である。

 ファニーは快活で真っ直ぐな眼をしたハンサムな青年として描かれてはいるが、彼の彫刻作品が素晴らしいかどうか、についての評価は劇中でも曖昧にはぐらかされている。それは飛び抜けた才能を持った芸術家であるゆえの特別な受難、といったあざとい底上げを避けた結果でもあるだろうし、もっと言えばそれこそ何処にでも居そうな、ひょっとすると可能性を秘めているかもしれない若者がくだらない理由で簡単に叩き潰されてしまう社会への異議申し立てでもあるだろう。どこから文句を付けたらいいのか判らなくなるほどの理不尽がまかり通る日々を暮らさざるを得ない人々の重く、息継ぎなしのひとつながりの溜息であるかのような諦めを、『ビール・ストリートの恋人たち』は全ての事件が起こってしまった後のささやかな「ドラマ」だけを繊細に縫い合わせることによって描く。2年前、『ムーンライト』を観てその圧倒的な質感に打たれながらも、どこか現在との接続をおっかなびっくりでやっているような気配だったのが、『ビール・ストリートの恋人たち』では舞台を過去に設定することにより、バリー・ジェンキンスはこれ程までに豊穣な――スクリーン上では劇的なことなど大して起こりはしないのに――語りを引き出した。

 『ムーンライト』においてドラッグと暴力はだから何? くらいの日常として出てくる一方で、ゲイのセックスはきわめて観念的な、いわばお伽噺を構成する一要素のように扱われていた。米国のクィア黒人写真家、シキース・キャシー(Shikeith Cathey) の言葉を借りれば「ある意味、単純な映画である。(It was in some ways simple.)」

シキース・キャシーへのインタヴュー記事はこちら

 おそらくその図体がでかすぎるために鈍くて重くならざるを得ないアカデミー賞は『ムーンライト』には早々と作品賞を与えた。が同じ監督の、より軽やかで鋭敏な感覚に満ちた新作『ビール・ストリートの恋人たち』はノミネートすらされず、今年の作品賞は『ムーンライト』よりも単純な、「いろいろあるけど、実際に会ってみたらイイ奴だった(だからずっと友達だよな、俺ら)」てな感動作『グリーンブック』に与えられた。鈍くて野暮ったいものにもそれなりの役割はある。あるがしかし、『ビール・ストリートの恋人たち』の、ストリートを歩くティッシュとファニーの冒頭シーンに始まる、しびれるような映像の繊細さと、それに伴走するニコラス・ブリテル(『ムーンライト』に続きスコア担当)の淡い哀しみを帯びたサウンドトラックに静かに打ちのめされていた観客としては、「アカデミー賞、まだまだじゃね?」くらいの事は言いたくもなるのです。

                                   
『ビール・ストリートの恋人たち』日本版本予告

Holly Herndon - ele-king

 人工知能、ほんとうにブームである。書店へ行けば「シンギュラリティ」という言葉を掲げた本をよく見かけるし、私たちも紙エレ最新号で「なぜ音楽はいま人間以外をテーマにするのか?」という特集を組んだけれど、渡辺信一郎の新作アニメの世界で音楽を作っているのはAIということになっているようだし、今月末にリリースされるカーリーンのデビュー作もAIとのコラボだ。そしてホーリー・ハーンダンもその波に乗ると。なんでも、彼女がニュー・アルバムで共作している相手は「Spawn」という名のAIの“赤子”なんだとか。はてさて、いったいどんなアルバムに仕上がっているのやら。発売は5月10日。

HOLLY HERNDON

海外主要メディア大絶賛! エレクトロニック・ミュージックと知性の融合。
ホーリー・ハーンダン、人工知能と共作した挑戦的な最新アルバム『PROTO』を5月10日に発売へ。

エレクトロニック・ミュージックとアヴァンギャルドなポップ・ミュージックを追求し続け、常識を突き崩す作品を世に出してきたホーリー・ハーンダンが、英名門インディーレーベル〈4AD〉から最新アルバム『PROTO』を5月10日にリリースすると発表した。人工知能(AI)とのコラボレーションによって生み出されたという前代未聞の作品となっている。今回発表に合わせて、新曲“Eternal”が公開された。

Holly Herndon – Eternal
https://www.youtube.com/watch?v=r4sROgbaeOs

ホーリー・ハーンダンは、米南部テネシー州出身。幼い頃は合唱団などに参加していたものの、ダンス・ミュージックやテクノの中心地として知られるベルリンへの交換留学プログラムに参加したことを機にベルリンのクラブで演奏経験を積むなど、クラブ・ミュージックに傾倒していった。米国に帰国してからは、カリフォルニア州のミルズカレッジでエレクトロ・ミュージックとレコーディング・メディアの博士号を取得。また The Elizabeth Mills Crothers Prize の最優秀作曲賞を受賞している。2012年にデビュー・アルバム『Movement』をリリースし、2015年には〈4AD〉から 2nd アルバム『Platform』を発表。米音楽メディア Pitchfork で10点中8.5点を獲得するなど各メディアから賞賛された。現在は米名門スタンフォード大学の博士課程に在籍し、Max/MSP などのプログラムを使用してエクスペリメンタル・ミュージックの可能性をさらなる高みへと突き詰めている。

最新アルバムは、「Spawn」と名付けられたホーリー自身のAIの“赤ちゃん”とのコラボレーションの中で生まれた。しかし、決して今作がAIについてが主要のテーマとなっている訳ではないという。テクノロジーの進歩と音楽を結び付けたスタンフォード大に在籍するホーリーならではの知性あふれるアプローチが取られた傑作となっている。

今回公開された新曲“Eternal”は、人間の精神をコンピューターなどの人工物に転送するという“マインド・アップローディング”を通じて転送された“永遠の愛”にインスピレーションを得ている。同時に解禁されたMVは、人間の顔を分析し探しているというAIの視点から映像を加工して作られたという。

最新アルバム『PROTO』は、5月10日(金)にリリース決定! 国内仕様盤には、歌詞対訳、ライナーノーツが封入される。現在 iTunes Store でアルバムを予約すると、公開されている“Eternal”と先にリリースされた“Godmother”がいち早くダウンロードできる。

Holly Herndon & Jlin (feat. Spawn) - Godmother
https://www.youtube.com/watch?v=sc9OjL6Mjqo

「AIの未来を形作っている」 ──CNN
「野心的」 ──FADER
「ハミングしたり、口ごもったりしているそれには、生々しい、新生の性質があり、それはまるでジリジリと音を立てて女王蜂を探している蜂の群のようだ。」 ──NPR(“Godmother”について)
「人間のインプットを、非人間的なタイミングでアウトプットした、多層からなるグリッチなビートボックス」 ──NY Times(“Godmother”について)

label: BEAT RECORDS / 4AD
artist: Holly Herndon
title: Proto
release date: 2019/05/10 FRI ON SALE
国内仕様盤CD 歌詞対訳/解説書封入
4AD0140CDJP ¥2,000+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10174

TRACKLISTING
01. Birth
02. Alienation
03. Canaan (Live Training)
04. Eternal
05. Crawler
06. Extreme Love (with Lily Anna Haynes and Jenna Sutela)
07. Frontier
08. Fear, Uncertainty, Doubt
09. SWIM
10. Evening Shades (Live Training)
11. Bridge (with Martine Syms)
12. Godmother (with Jlin)
13. Last Gasp

希望の灯り - ele-king

 ベルリンの壁が崩壊した時にはまだ7歳だったというトーマス・ステューバー監督がドイツ統一直後のライプツィヒ(旧東ドイツ)を舞台に描く『希望の灯り』。フランツ・ロゴフスキ演じる主人公のクリスティアンは研修先のスーパーマーケットでタトゥーを客に見せてはいけないと最初に釘を刺される。永遠に繰り返されるかと思うほど反復される開店の準備や毎日の労働の場面で、何度も何度もタトゥーを隠そうと袖を引っ張るクリスティアンの仕草はそれだけで順応の儀式であり、統一後のドイツに組み込まれようとする覚悟として彼の意志を伝えるものになっている。東ドイツ時代に彼はどうやらヤクザまがいの生活をしていたようなのだけれど、それについて多くは語られない。ショーペンハウアー風にいえば、どこから来たのかはわからないけれど、どこに行くかだけはわかっている。統一後のドイツとはつまり資本主義社会ということである。日本ではいま水道事業が民営化されるだけでオタオタしていたりするのに、東ドイツは統一後に国がまるごと民営化したわけで、『社会契約論』が吹き飛び「万人の万人における闘争」状態に引き戻されたような精神状態に陥ったに違いない。クリスティアンはとにかく仕事を覚えなければいけない。『希望の灯り』の前半はただひたすら夜間労働の場面が繰り返されるだけで、それだけで最後まで押し切ってしまうアート作品にならないことを祈るばかりであった。

 クリスティアンは極端に口数が少ない。何を考えているのかわからない。最初は周囲の人たちと心を通い合わせる気配もなく、彼の視点を通して得られる視界の狭さだけが印象付けられる。この映画の原題は『In den Gängen (In the Aisles)=通路にて』で、それは彼の人生がスーパーマーケットの一部に集約されていることを意味している。彼は商品を積み下ろすためにフォークリフトの操作を覚え、乱暴に運転するぐらいしか楽しみを見出せない。倉庫に置かれた水槽から魚が飛び出そうとするけれど、結局、飛び出せないシーンは彼の心象風景そのままであり、映画で使用されている音楽がスーパーマーケットで流されがちなクラシックとシュラッガー、そして労働の象徴としてのブルースだけというのも世界の狭さを畳み掛けてくる。駐車場の向こうにはアウトバーンがちらちらと映り込む。クリスティアンに仕事を教えてくれるブルーノ(ペーター・クルト)は東ドイツ時代にはトラックの運転手をしていたといい、その言い方には東ドイツ時代には移動の自由があったけれど、資本主義になった現在、彼にはそれに類する自由がないと言わんばかりの含みがある。(以下、ネタバレ)そしてクリスティアンに仕事を教え終えたブルーノは自殺してしまう。考えてみればアウトバーンも「通路」である。「通路」というのはどこかに通じているから「通路」なのに、クリスティアンたちは「通路」にいることが仕事であり、一生出られないかもしれない場所なのである。

 商品棚の向こう側には同じ店で働くマリオン(サンドラ・ヒュラー)がいる。単調な労働の日々が続くなか、彼は彼女に興味を持ち始める。「通路」に閉じ込められている同士が、そして「休憩室」で一緒にコーヒーを飲む。それだけが邦題にある「希望の灯り」となる。しかし、既婚者であり、夫から暴力を受けていると聞いたマリオンが続けて休みを取ると、クリスティアンは「通路」を飛び出して彼女の家へ向かう。この映画では唯一に近いといえるほどスーパーマーケット以外の場所がスクリーンに映し出され、ただの住宅地は別世界のように見える。そして、クリスティアンはコントロールを失ってしまうものの、その時だけが生き生きとしていたことも確かである。「東ドイツは確かにシュタージがいましたが、独裁者がいた国ではありません。いいところもあった、むしろ今よりも女性は解放されていました」とステューバー監督は語る(パンフレットより)。いま、この映画をつくる意味はノスタルジーだけではないだろう。資本主義がかつてなく肥大し、クリスティアンたちが働くスーパーマーケットがこの世界をすべて覆ってしまったとしたら、それとは違う社会システムの下で暮らしていた人たちの思い出はそれだけで現代に対する批判の要素を持つ可能性がある。邦訳はされていないようだけれど、『通路にて』を著し、ここでは脚本も手がけているクレメンス・マイヤーには『おれたちが夢見た頃』という長編小説があり、東独版『トレインスポッティング』と評されているらしい。ブレクジットやイエローヴェストで急速に可視化されつつあるヨーロッパの下層階級を小説という形でマイヤーはすでに先取りしていたのだろう。

 グローバリゼイションの時代に移動の自由を享受できない人々はもはや奴隷と変わらない。一か八かに賭ける難民たちはどっちの範疇に収めればいいのかよくわからないけれど、『希望の灯り』で描かれる人物たちはスーパーマーケットの全景さえ映されることなく、常に「通路」とセットでしか表現されない。クリスティアンとマリオンは最後にフォークリフトを操作しながら油圧装置から漏れる空気の音が「波の音」に聴こえるという。自殺したブルーノが教えてくれた秘技である。アウトバーンというのは都会から一瞬にして自然の中に戻れるようにとヒトラーが建設した高速道路であり、ドイツ人にとって本物の自然と触れ合うことは過剰なまでの意味を持っている。しかし、クリスティアンとマリオンは本物の自然ではなく、フォークリフトに海の音を聴くだけである。『希望の灯り』という邦題は少し残酷すぎるのではないだろうか。

映画『希望の灯り』予告編

DJ Marfox - ele-king

 いやー、待ってました。前回2016年の来日公演を泣く泣く逃してしまったので、喜びもひとしおです。リスボンで独特のアフロ・ポルトギース・サウンドを展開し続けるレーベル〈Príncipe〉(昨年おこなわれたショウケースの模様はこちらから)、その親分たるDJマルフォックスが再来日を果たします。迎え撃つのは speedy lee genesis、Mars89、Mitokon と、熱い夜になるのは間違いなし。3月22日は渋谷 WWWβ へゴーです。

Local X1 World DJ Marfox

リスボン・ゲットーから世界へと切り込む現代アフロ・ダンス・ミュージックの先鋭〈Príncipe〉のボス DJ Marfox を迎え、《Local World》が再始動。ローカルからは speedy lee genesis、Mars89 (南蛮渡来)、Mitokon (TYO GQOM) が出演。

多様化が加速する社会を背景に、WWW にて繰り広げられる新しいローカルとワールドのインタラクティブなパーティ《Local World》が第12回目を迎え、2019年最初の開催が決定。ゲストにはリスボンの都市から隔離された移民のゲットー・コミュニティで1980年代のアンゴラに起源を持つクドゥーロを起点にアフリカ各都市の土着のサウンドと交じり合いながら独自のグルーヴを形成、Nervoso をゴッドファーザーとし、DJ Nigga Fox、Nídia、DJ Lilocox、Niagara 等の若手を次々と排出、〈WARP〉からのコンピレーションのリリースでも注目され、アフロ・ポルトギースによるコンテンポラリーなダンス・ミュージックとして世界へ切り込む草分け的レーベル〈Príncipe〉よりシーンの立役者でもある DJ Marfox が登場。ローカルからの文脈というDJのアートフォームを通じフレッシュな様式美を捉える speedy lee genesis、ブリストルの〈Bokeh Versions〉からのEP「End Of The Death」の高評価を皮切りに、中国デビューやパリコレのデビューなど躍進を続ける Mars89、南アフリカを訪れ、そのサウンドとカルチャーを発信し、KΣITOとの新パーティ《TYO GQOM》でも活躍する Mitokon が出演。近年のベース・ミュージックとの融合からカリブを経由しヒップホップやハウスへも浸透、グローバルな展開を見せ、勢い余る新世代アフロの圧倒的なエナジーとグルーヴを体感してほしい。

Local X1 World DJ Marfox
2019/03/22 fri at WWWβ

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

DJ Marfox [Príncipe / Lisbon]
Mars89 [南蛮渡来]
speedy lee genesis
Mitokon [TYO GQOM]

※You must be 20 or over with Photo ID to enter.

詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/010806.php
前売: https://jp.residentadvisor.net/events/1234468

「この街、そしてその郊外、プロジェクト(低所得者用公営団地)、スラム街から発信される100%リアルなコンテンポラリー・ダンス・ミュージックをリリースする」

リスボンのゲットー・サウンド 特集@RA
https://jp.residentadvisor.net/features/2070

Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Howie Lee & Nídia
Local X1 World DJ Marfox

https://twitter.com/wwwb_shibuya
https://www.facebook.com/WWWBShibuya
https://www.instagram.com/wwwb_shibuya

DJ Marfox [Príncipe / Lisbon]

ポルトガルの首都、リスボンを拠点に活動する DJ Marfox は、近年かの地で盛り上がりを見せているアフロ・ポルトギース・ダンス・ミュージック・シーンの中心人物。元々は DJs Do Ghetto というクルーで活動、その後 Pedro Gomes や Nelson Gomes と出会い、彼らと共にレーベル〈Príncipe〉を始動。自身や DJ Nigga Fox、Nidia などの所属アーティストによる、クドゥーロ、バティーダ、キゾンバといったアフリカ諸国の音楽をルーツに持つ作品を発表する。これまでに〈Lit City Trax〉、〈Warp〉からもリリースされ、TUnE-yArDs や Panda Bear などのリミックス手がけ、2017年のEP「Chapa Quente」〈Príncipe〉は FACT Magazine、Mixmagの「Album Of The Month」として賞賛され、ここ数年はヨーロッパとUKで幅広くツアーをしながら、アメリカ、モスクワ、ブラジルを訪問し、日本、韓国、中国といった東アジア・ツアーも行っている。

https://soundcloud.com/dj-marfox
https://djmarfox.bandcamp.com/releases


speedy lee genesis [Neoplasia]

SPEEDY LEE GENESIS はフレッシュな様式美を捉えるDJです。メインパーティーは NEOPLASIA (東京) です。

https://soundcloud.com/slgene/ethmix


Mars89 [南蛮渡来]

Mars89 は現在東京を拠点に活動している DJ / Composer である。 2016 年にEP「East End Chaos」をリリース。 そして、それを足がかりに 2017 年に「Lucid Dream EP」を Bristol を拠点とするレーベル〈Bokeh Versions〉からダブプレートとカセットテープというフォーマットでリリース。 ダブプレートはリリース後即完売。2018 年にはアジア・ツアーや大型フェスへの出演を経て、〈Bokeh Versions〉から 12インチ「End Of The Death」をリリース。Resident Advisor のレビューでは 4.0 を獲得し、あらゆるラジオで繰り返しプレイされた。Tokyo Fashion Week 2017A/W ではキービジュアルとなった映像の音楽を、2018S/S では Growing Pains の Show の楽曲を担当。Bristol の Noods Radio ではレジデントをつとめている。

https://soundcloud.com/mars89


mitokon

2008年に初めて南部アフリカの地を踏みしめて以来どっぷりとアフリカにのめり込み、南アフリカを中心に毎年アフリカへ通うようになる。その間にアフリカの若者たちが作る洗練された音楽に出会い、その面白さに感動。アフリカで次々と生まれる新しい音楽やカルチャー、希望を日々追いかけ、まだ日本ではあまり知られていない現行アフリカ音楽の情報をSNSや音楽誌、ウェブコラムへの寄稿等で発信し続けている。2017年にDJ活動を開始。Gqom やクワイトなど南アフリカのダンス・ミュージックを中心にプレイし、アフリカの強烈なグルーヴに人々を巻き込み、踊らせている。


Taquwami - ele-king

 トーフビーツやセイホーなどからリスペクトを集め、ジェシー・ルインズのリミックス盤にも参加、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルやラパラックスなどの来日公演にも出演してきた日本のプロデューサー、Taquwami が限定盤CDをリリースする。タイトルは『31』で、昨年10月にライアン・ヘムズワースの〈Secret Songs〉から毎日1曲(!!)というペースで発表してきた曲をまとめたもの(新曲も追加収録)。発売日は未定だが、3月21日に決定しているリリース・パーティにて先行発売される。会場は CIRCUS Tokyo で、RLP や荒井優作、新進気鋭のTakao、昨年末に食品まつりによるリミックス入りの7インチを出した NTsKi が出演。春分の日はこれに決まり!

Taquwami “31” Release Party

東京を拠点に活動するプロデューサー /ビートメイカー、Taquwami が昨年10月に Ryan Hemsworth のレーベル〈Secret Songs〉から毎日1曲ずつ、全31曲をリリースするという前代未聞の企画を敢行。
その音源をコンパイルし、未発表の新曲2曲をボーナスに加えた限定盤CDリリースの決定に伴い、リリース・パーティ&CDの会場先行発売が急遽決定。
Taquwami のライヴは2017年の6月以来、実におよそ2年ぶり。是非お観逃しなく。

日程:3/21(木・祝日)
会場:CIRCUS Tokyo
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:ADV ¥2,900 / DOOR ¥3,400(別途1ドリンク代)
TICKET:e+ / RA / Peatix

出演:
Taquwami
RLP
荒井優作
Takao
NTsKi

以下のフォームから前売り受付中↓
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/top/news/taquwami-31/

Artist: Taquwami
Title: 31
Label: PLANCHA / Secret Songs
Cat#: ARTPL-114
Format: 2CD(初回プレス限定盤)
※ボーナス・トラック2曲収録
※各曲のアートワークによる32Pブックレット
※日本のみでCD化

Release Date: TBA ※2019/3/21レコ発にて先行発売
Price (CD): 2,300yen + 税

DISC 1
01. Ag 光
02. Chura
03. YDA
04. 雲凹
05. Ultra Sad
06. Liltra Sad
07. Moon Light, Bamboo
08. White Smoke, Turtle
09. Think
10. Wade
11. Long Kigo I
12. Long Kigo II
13. Long Kigo III
14. Long Kigo IV
15. Long Kigo V
16. Stay

DISC 2
01. 海e6b5b7
02. 空e7a9ba
03. 山e5b1b1
04. 森e6a3ae
05. 風e9a2a8
06. Mikai
07. Unjyo
08. Apple
09. Kyoui
10. Shukufuku
11. Yasuraka
12. Teni Ireru
13. I Can Change / Only In Dreams
14. Happiness / The Bluffer
15. Pierce
16. Drift (Bonus Track)
17. Bye (Bonus Track)


RLP:

東京出身のビートメイカー/DJ。
プロデューサー・コレクティヴ、“COSMOPOLYPHONIC”のCo-founder。


荒井優作 / Yusaku Arai:

1995年生まれ、神奈川県在住。
パキッた自我を解き解すべく活動。


Takao:

92年生まれで東京に住んでいます。主にPCで音楽を製作しています。
楽器を弾くのも好きで、ピアノをときどき弾いています。最近は去年買ったウィンドシンセを弾いたりしています。
作品としては、2018年に初のアルバム『Stealth』を〈EM Records〉からLP / CD / Digital配信 でリリースしました。URL:https://emrecords.bandcamp.com/album/stealth
また、Masahiro Takahashi 主催のコンピレーション・アルバム、『Sound Journal:Do-Nothing』に参加しました。URL:https://soundcloud.com/takaoo/good-timessound-journal-do-nothing
Masahiro Takahashi さんとは今年の1月に Liquid room で行われた蓮沼執太フィル《ニューイヤーコンサート2019》にサポートをお願いして一緒に出演しました。
Taquwami さんの新作『31』のCDリリースおめでとうございます! 二年ぶりとなるライブも非常に楽しみであります。よろしくお願いします!


NTsKi:

京都出身のSSW/プロデューサー。シングル「H S K」「Fig」「真夏のラビリンス」「Tree Song」「1992」をセルフリリース。どこか不気味さの漂うボーカルと多様な音楽性が混在するトラックは唯一無二であり、個人での制作以外にロサンゼルスのレーベル〈TAR〉から食品まつり a.k.a Foodman とのコラボ楽曲を発表した。また blue OG natsuki 名義でラップも行うなど、あらゆる枠を飛び越えシームレスに活動している。


地方に暮らす “おじさん・おばさん” が起こした奇跡のムーヴメント
エスタブリッシュメントへの反撃

いま何が問題なのかを私たちにも教えてくれる
今世紀もっとも重要な社会運動の真相に迫る!

インタヴュー:堀茂樹、松尾匡、國分功一郎

21世紀の階級闘争がはじまった──

トランプ政権やブレグジットに体現されるグローバル資本主義の歪み、
格差が広がる日本もまた無縁ではない、その現実を解きあかす

目次

INTERVIEW
堀茂樹
〈黄色いベスト〉を着てロン・ポワンで会おう!──新自由主義経済下で置き去りにされた「声なき大衆」が求めたもの
松尾匡
もう「ポピュリズム」は罵倒ではない! エスタブリッシュメントに奪われた主権を取り戻せ──反緊縮ムーヴメントとしての〈黄色いベスト〉
國分功一郎
皆で皆を統治するという民主主義の基本を何としてでも死守しなければならない──〈黄色いベスト〉が日本の私たちに教えてくれること

黄色いベスト運動の軌跡(2018年5月~2019年2月)

CRITIQUE
デモの暴力性、その後のマクロン大統領の対応 (山田蓉子)
「周縁」からの声──フランス左派の消滅から〈黄色いベスト〉へ (須納瀬淳)
黄色いベスト運動の行方──フランス社会の〈革命的〉地殻変動 (コリン・コバヤシ)

LE MONDE diplomatique
『ル・モンド・ディプロマティーク』より

【解題】
怒れ!  憤れ!  暴れろ!──蜂起の時がやってきた! (土田修)
【黄色いベスト特集】
なぜ今なのか? (ロラン・ボネリ/土田修訳)
フランスの蜂起──すべてが浮上する時 (セルジュ・アリミ/土田修訳)
今ではこんなに仲間がいる──ロン・ポワンを封鎖する人たち (ピエール・スション/川端聡子訳)
女性労働者たちが秘めてきた力──「第二人民戦線」への夢 (ピエール・ランベール/村上好古訳)
【アルカイーヴ記事】
庶民階層と税の不公平──税に対する怒りの根源 (アレクシス・スピール/生野雄一訳)
労働法を根本から問い直す──その名にふさわしい真の「改革」のために (アラン・シュピオ/村松恭平訳)
庶民階層の変容──統計から見える欧州とフランス (セドリック・ユグレー/エティエンヌ・ペニッサ/アレクシス・スピール/福田正知訳)
ニュイ・ドゥブ──フランスの新しい民主主義の実践 (レア・デュクレ/村松恭平訳)

COLUMN
為政者に丁寧すぎるこの社会で (武田砂鉄)
「暴力的な田舎者」は実在するか? (陣野俊史)
EU離脱直前の英主要メディアはGJをいかに報じたのか (坂本麻里子)
「暴動」と新自由主義的グローバリズムの終焉──排他主義的極右勢力の台頭か、新しいコミュニズムか (毛利嘉孝)
蜂起する田舎/緊急討論・フランス「黄色いベスト」運動はどこに向かうのか? (平井玄/鵜飼哲×セルジュ・カドリュッパニ)
黄色いベストはやさしい──問われているのは資本主義ではなく国家的なものである (栗原康×白石嘉治)

ブックガイド

第二回:俗流アンビエント - ele-king

 さて、第一回でも触れたとおり、そんな風にネット上に新たに生まれてきたコミュニティで出会った人びとからの触発も絡み合いながら、その頃私はブックオフの売り場で、ふとシティ・ポップ以外にも視線を向けてみようかなと考えたのでした。折しも渋谷のブックオフ(CLUB QUATTRO階下の大型店舗。R.I.P.)が閉店に向けて売り場整理をはじめている折で、ちょうどその頃Visible Cloaksの活動や彼らの啓蒙、あるいは様々なレーベルから過去作がリイシューされたりというニューエイジ〜アンビエントの復興に興味をいだいていた私は、「もしかしたらブックオフの捨て売りコーナーにもなにか面白いものがあるのでは?」と思い、ヒーリング/ニューエイジコーナーを探ってみたのです。セール開催中だったこともあって、280円の8割引という暴力的な安値で投げ捨てられていたそれらの中には、エンヤやディープ・フォレスト、エニグマといった大御所(そういうモノに用はないのです……)に混じって、正体不明の(とそのときは思っただけど後に調べていくと界隈では名のある作家だったりする)日本人アーティストや、さらには安眠、リラックス、集中力強化、ダイエットなどの効能を謳ったいわゆる〈実用的〉なヒーリングCDなどが相当数あり、何枚か買ってみたのでした。

 さて、自宅に帰ってそれらのCDをなんとなく再生してみると……まさしく前述のようなVaporwave以降に興ってきたニューエイジ・リヴァイヴァルの心性に驚くべきほどにフィットしたのです。思えばこれは当たり前の話というか、EccojamsやUtopian Virtual 、Mallsoftなどの細分ジャンルに顕著なように、Vaporwaveが胚胎する諧謔性(もっといえば反動性といってもよいかもしれないですが)は、このコラム・シリーズの表題にもなっている所謂〈ミューザック〉や〈BGM〉、〈エレヴェーター・ミュージック〉、〈実用音楽〉、のような、ハードなリスニングをすり抜けるものを価値逆転的に音楽要素として取り込もうとするベクトルを持つものでもあったのですから。だから、2018年に、90年前後に量産された日本ドメスティックのヒーリング音楽を消費するという行為自体、この諧謔性の引力に引き寄せられる他ないし、むしろだからこそ、これまで批評的には無価値とされてきたこれらの音楽が、いってみれば〈価値の向こう側〉から亡霊のように復権してきたというわけなのでしょう。あの時代(主にバブルの時代)に夢見られた、輝かしき社会と〈健全〉な精神、それを磨き上げるための夢想的BGM。かつて抱かれ、いまは朽ち果てた夢からは、不思議と甘い香りがするのです。当初こうした音楽に対して私の中にあった嘲笑はいつからか耽溺にとってかわり、そのバランスの間で微妙な緊張感を保ちながら、どんどんと掘り進んでいくことになります。そのころ私は、そうした背反的な感情を反映する名称として、こうした音楽を〈俗流アンビエント〉と呼びはじめるようになりました。(*)
 
 そうやって暇さえ見つけては未踏のブックオフに向かい、ヒーリング/ニューエイジ・コーナーを突っつく日々を続けながら、ちらほらと漁盤報告をツイッターなどに挙げていると、意外にも少なくない人たちから反応があったりしました。半分くらいは旧来の友人たちからの好奇の目でしたが、ここでもやはり前述の台車さんやタイさんなどのディガーたちからのアクションがあったと記憶しています。そんななか、前述の捨てアカウントさんから一通のDMをもらうことになります。曰く、私のディグ活動に興味を持っていること、〈俗流アンビエント〉という概念へのシンパシー、そして、Local Visionsのミックスシリーズで〈俗流アンビエント〉ミックスをアップしませんか、云々……。
 このミックスシリーズでは、それまでも台車さんによるオブスキュアなシティポップのミックス、そしてモ像さんによるゲーム音楽ミックスがアップされており、Vaporwave以後における音楽ディグの注目すべき流れとしてそれらを愛聴してしていた私は、このオファーを一も二もなく快諾したのでした。
 そういう経緯を経て、〈俗流アンビエント〉ディグのそれまでの成果として、昨年秋にアップされたのが、“Music for the Populace:The World of Commercial Ambient Music in Japan 1985-1995”(邦題:「ストレスを解消し、心にLoveとPowerを… 日本の商業アンビエントの世界 1985-1995」)と題された以下のミックスです。

 一概に〈俗流アンビエント〉といっても、その作風はさまざまで、なかには本当に聴くのがツラくなってくる退屈なものもあるのですが、このミックスは導入編と位置づけ、アンビエント音楽としての完成度とともに、うっすらとでもビートがあるもの、あるいはバレアリックな質感を持つもの、フュージョンに片足を突っ込んだもの、より敷衍的にいえばニューエイジ・リヴァイバル以降の感覚で面白く聴けるであろう楽曲を選んでいます。
 大変ありがたいことに、Local Visionsの発信力もあり、このミックスは思いの外様々な方々に楽しんでもらったようで、末にはロック・バンドBase Ball Bearの小出祐介さんの耳にも達し、11月にはTBSラジオの人気番組『アフター6ジャンクション』で特集されるという予想外の展開に至るのでした……。俗流アンビエントという概念の周辺を紹介するにあたり、Vaporwaveにも触れながらVektroid(a.k.a. Macintosh Plus)の「リサフランク420 現代のコンピュー」をオンエアしたこともあり、そういった界隈でも話題にしていただいたようです。

 いま思い返すに、昨年2018年にかけては、サブスクリプション・サービスの本格的浸透と並行的なものとして、例えば、竹内まりや「プラスティック・ラブ」のYouTubeアルゴリズムによるスタンダード化などがあるとおもうのですが、ある種それらへの反射として、ネットでは聴くことのできないものを執拗に追い求めるという行為、それまで個々人の活動としてディープなレベルに点在していたそういうものが、表層にあらわれてきた期間と捉えることも可能かもしれません。その渦中における静かな熱狂を経た2019年のいま、そのような見取りを冷静に置いてみたい気持ちになっています。
 これまで共有されてきた価値、例えば神話的な作家性であったり、既存システム/産業内でいうところの〈クオリティ〉であったり、唯一的なもの、記名的なものの絶対性、そういうものが揺らぎ出してしまって久しいいま、そういった価値の〈向こう側〉から、未体験のものとして、自分でない誰かがかつて夢見た音楽が、大規模に蘇りつつある。私達がかつて夢見てきた〈未来〉が失われていく、その喪失感を癒やすために、〈かつて観られた夢〉は媚薬として、蠱惑として、我々をうっとりさせるのかもしれません。これは一種の逃避なのでしょうか。オピウムなのでしょうか。それともさまよいゆく現代を有効に診断する検査薬でもありうるのでしょうか。

次回へ続く……


 この時期発掘したCDで、従来の批評的価値の向こう側からやってきた究極の盤は、上述のTBS『アトロク』でも紹介し反響があった、100円ショップダイソーが(おそらく2002年前後)にオリジナルで作成して自社店頭で販売していた〈100円アンビエント〉のCD『アンビエント・リラクゼーション VOL.2』です。当時ダイソーは(今でも一部店舗で展開していますが)、クラシック名曲や落語などを手軽に編んだCDを大量にリリースしていたのですが、その一環として、なんとオリジナルのアンビエント・ミュージックも制作していました。(同シリーズではこのvol.2を含め計2枚リリースされていたよう。好事家によると、vol.1の方はアンビエント的にはたいしたことないらしいけれど…)。
 2002年といえば折しもスピリチュアル・ブーム華やかりし頃、いかにも抹香臭い音楽内容を想像しますが、これがなかなかどうして相当に良質なアンビエントなのです。ブライン・イーノから続くアンビエントの正統を押さえながらも、アンビエント・テクノや同時代のエレクトロニカとも共振するこの音楽を制作した作者は不明(クレジット記載なし)。おそらくギャラ一括払いの〈買い取り仕事〉というやつだと思いますが、少なくとも才能のあるミュージシャンがかなりの力量を注いで作ったものであることは間違いないでしょう。
 ちなみに、私はこのCDを渋谷のレコファンにて108円で入手(中古)しました。新品同様価格です。

Lee "Scratch" Perry - ele-king

 ついに御大が動き出す。まもなくコンピレーション『Pay It All Back Volume 7』を発売する〈ON-U〉から、今度はなんとリー・ペリーがニュー・アルバムをリリースするとの情報が飛び込んできた。エイドリアン・シャーウッドも音の面でがっつり関わっているらしい。タイトルは本名の「Rainford Hugh Perry」からとられていて、どうやら彼のパーソナルな側面も打ち出された作品に仕上がっているようだ。現在、『Pay It All Back Volume 7』にも収録される新曲“African Starship”が公開中。

本名を冠した最新アルバム『RAINFORD』を
〈ON-U SOUND〉から日本先行リリース決定!
新曲&トレーラー映像公開! Tシャツ・セットの発売も決定!

伝説の中の伝説、リー・スクラッチ・ペリーが、盟友エイドリアン・シャーウッドと再びタッグを組み、自らの本名を冠した最新アルバム『Rainford』を4月26日(金)にリリースする。発表とともに、新曲“African Starship”が公開された。本作は、エイドリアン・シャーウッドが操縦桿を握り、ジャマイカ、ブラジル、ロンドンで録音された最新音源が収録される。

Lee “Scratch” Perry - African Starship
https://soundcloud.com/on-u-sound-records/lee-scratch-perry-african-starship/s-q6yZV

トレーラー映像はこちら!
https://youtu.be/QCMLNAUsz0s

これは今までリーが作った中で最も私的なアルバムであると同時に、音楽的発想はすごく新鮮で、こういった作品を完成させられたことを非常に誇りに思っている。 ━━エイドリアン・シャーウッド

レゲエ界のみならず、全音楽史を見渡しても、リー・ペリーが、他に類を見ないほどの偉人であることは、もはや説明不要だろう。巨匠ブライアン・イーノが「録音音楽屈指の天才」と称するグラミー賞プロデューサーであり、キース・リチャーズからデヴィッド・リンチ、ザ・コンゴスからザ・クラッシュ、ジュニア・マーヴィン、ビースティ・ボーイズなど、多くのアーティストのコラボレーターであると同時に、80歳を超えた今もなお、その革新的な姿勢で、多くのファンを魅了する伝説の存在だ。

一方エイドリアン・シャーウッドは、80年代から90年代にかけて確立したそのレフトフィールドなサウンドを通して、UKダブを当時最も先進的なサウンドとして世界に広めると同時に、後の音楽史に多大な影響を及ぼしたプロデューサーとして、40年近く第一線で活躍。ナイン・インチ・ネイルズ、プライマル・スクリーム、ブラー、デペッシュ・モード、ザ・フォール、ルーツ・マヌーヴァといった多様なアーティストたちとコラボレートし、自身の武器であるミキシング・デスクを通して、唯一無二のサウンド・サイエンスを提供してきた。

リーとエイドリアンの友情は1980年代半ばまで遡る。ふたりはアンダーグラウンドのラジオ界における伝説的人物スティーヴ・ベイカーの仲介で出会った。この出会いが、『Time Boom X De Devil Dead』や『From The Secret Laboratory』といった〈On-U〉の傑作や、リーが生き生きとしたヴォーカルをダブ・シンジケートのレコードに吹き込むといったことに繋がる。今回完成した『Rainford』は、2年以上に及ぶ制作の成果で、ふたりが信頼を寄せる一流ミュージシャンたちと共に、三つの国でレコーディングされている。後世に残る作品を作ろうという決意で臨んだ今回、シャーウッドはこの作品をリック・ルービンがジョニー・キャッシュと組んで〈American Recordings〉からリリースした一連の作品になぞらえ、アルバムのタイトルに本名が使われていることからも明らかなように、リーにとって、かつてないほどパーソナルな作品であると共に、間違いなくリーのキャリアの中でも最も力強い作品の一つとなっている。

アルバムの1曲目を飾る“Cxricket On The Moon”の雰囲気あるフィールド・レコーディングとワウペダルを使ったギター、ゴシック調のチェロをあしらった“Let It Rain”、“Makumba Rock”の刻まれ圧縮された管楽セクション、そしてアルバム全般に渡って天のコーラスのように響く、レイヤーが重ねられ注意深くアレンジされたバック・ヴォーカル、本作では、すべてのグルーヴとディテールにふたりの音楽愛が注がれている。アルバムを締めくくる“Autobiography Of The Upsetter”では、1930年代の植民地時代のジャマイカの農園で育った子供時代から世界的スーパースターになるまでの人生のストーリーをリー自身がナレーションで語る。なお、国内盤CDにはナレーション訳が封入される。

リー・スクラッチ・ペリーの最新作『Rainford』は、4月26日(金)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Heaven And Hell”が追加収録され、“Autobiography Of The Upsetter”のナレーション訳を含む解説書が封入される。数量限定でオリジナルTシャツとのセット販売も決定。iTunesでアルバムを予約すると、公開中の“African Starship”がいち早くダウンロードできる。また限定輸入盤LPは、争奪戦必至のゴールド・ヴァイナル仕様となっている。

label: On-U Sound / Beat Records
artist: Lee "Scratch" Perry
title: Rainford
release date: 2019.04.26 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-596 ¥2,400+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-596T ¥5,500+税
限定盤LP(ゴールドディスク)ONULP144X ¥OPEN

TRACKLISTING
01. Cricket On The Moon
02. Run Evil Spirit
03. Let It Rain
04. House Of Angels
05. Makumba Rock
06. African Starship
07. Kill Them Dreams Money Worshippers
08. Children Of The Light
09. Heaven And Hell (Bonus Track for Japan)
10. Autobiography Of The Upsetter

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462