「CE」と一致するもの

BS0xtra - ele-king

XtraDub

SILENT POETS - ele-king

 サイレント・ポエッツとは、UKダブやアシッド・ジャズ、初期マッシヴ・アタックへのリアクションとして1992年に登場した下田法晴のプロジェクト。現在で言えば、ボノボやシネマティック・オーケストラにも繫がる折衷的ダウンテンポで、2017年のアルバムも良かったウィーンのトスカらのの欧州トリップホップとも通じている。が、その名の通り無口なこのプロジェクトは、クールなヴィジュアルやリミキサーのセレクト、そして硬派かつスタイリッシュな作風によって独自の世界を切り開き、90年代の日本クラブ・シーンにおいてひときわ輝いていたひとつ……なのである。それが12年ぶりにアルバムを出す。
 参加メンバーが「らしい」。5lackこだま和文ホーリー・クック、櫻木大悟(D.A.N.)などなど。素晴らしいです。
 発売は2月7日でタイトルは『dawn』。うーーーん、これは楽しみ!!
 ※ホーリー・クックをフィーチャーした先行7インチはすでに発売されているようです。
 

SILENT POETS
dawn

ANOTHER TRIP
発売日: 2018年2月7日(水)

収録曲:
東京 feat. 5lack [Extended DUB]
Eternal Life feat. NIPPS
Simple feat. 櫻木大悟 (D.A.N.)
Shine feat. Hollie Cook
Asylums for the feeling feat. Leila Adu
Division of the world feat. Addis Pablo
Non Stoppa feat. Miss Red
Rain feat. こだま和文
Distant Memory etc. (全12曲程度収録予定) 


SILENT POETS プロフィール

東京在住のDJ/プロデューサーである下田法晴のソロユニット。1992年のデビュー以来、長きに渡る活動を通じて、メランコリックでエモーショナルなDUBサウンドを育んできた。これまでにフランスのYellow Productions、ドイツの99 Records、USのAtlanticといったレーベルからアルバムがリリースされ、イビサ・チルアウトの歴史的名作『Cafe del Mar』をはじめ、世界各国の40作品を超えるコンピレーション・アルバムに楽曲が収録された。2013年に自身のレーベル、ANOTHER TRIPを設立。再構築DUBアルバム『Another Trip from the SUN』を発表し、エンジニアの渡辺省二郎とSILENT POETS LIVE DUB SETとしてリキッドルームなどでライヴを行った。ラッパーの5lackをフィーチャーしたNTTドコモ「Style’20」CMソング「東京」が2016 56th ACC CM FESTIVAL(現ACC TOKYO CREATIVE AWARDS) クラフト賞サウンドデザインを受賞。2017年、FUJI ROCK FESTIVAL出演を果たし、7インチシングル「SHINE feat. Hollie Cook」のリリースを皮切りに、デビュー25周年プロジェクトを始動。2018年、12年ぶりとなるオリジナルアルバムのリリースを予定している。

ハテナ・フランセ - ele-king

 みなさんボンジュール。前回のエレクトロニック・ミュージックに続いて、ここ数年フランス音楽市場の最重要ジャンルとなっているフレンチ・ヒップホップについてお話したく。
 日本にはほとんど入ってくることはないが、90年代初頭からラップはフランス音楽市場で重要な位置を占めてきた。第一世代にはポエティックなMCソラー、フランスのもっとも柄の悪い港町マルセイユのIAM(アイアム)、映画「憎しみ」で有名になったパリ郊外のゲットー、サン・ドニのNTM(エヌテーエム)などがいた。フレンチ・ヒップホップのフロウはもちろんフランス語。そしてスラングを多用しているのでフランス語圏から外に出ることは滅多にない。だが、最近ではStromae(ストロマエ)がイギリスやアメリカでも若干話題になり、コーチェラに出演したこともあった。Stromaeは厳密にはベルギー出身なのだが、フロウはフランス語だしフランス人にとってはベルギーはほぼほぼフランス。なのでStromaeはフレンチ・ヒップホップと認識されている。
 そのStromaeに続いて2017年にコーチェラにブッキングされたのがPNL(ペーネヌエル)。兄Ademo(アデモ)、弟N.O.S(ノス)からなるアラブ系の兄弟2人組は、パリ郊外のレ・タルトレというフランス有数のゲットー団地出身。2015年3月にファーストEP ”Que la famille”(ファミリー・オンリーの意)をリリースし、程なくイタリア・マフィア、カモッラの本拠地スカンピアで撮ったクリップ”Le Monde Ou Rien”を公開。
 

「天国へのエレベーターは故障中? じゃ、階段でヤク売るわ」とゲットーでのドラッグ・ディーラー生活を極端なオートチューンに乗せて歌い、タイトル通り「世界制覇かゼロか」と高らかに宣言。その言葉通りフランスはあっという間に制覇した。そしてコーチェラを足がかりにアメリカにも上陸せんと目論んだが、その野望は逮捕歴のある兄Ademoにヴィザが下りなかったことによりあっけなく頓挫した。PNLのトラブルはそれだけではない。2016年6月にはセカンド・アルバムから先行して発表されたトラック”Tchiki Tchiki”のMVが1ヶ月もしないうちにYoutubeから削除されたのだ。坂本龍一の”Merry Christmas Mr. Lawrence"をサンプリングしたこの曲のMVは日本で撮影された。だがサンプリングの権利処理をきちんとしていなかったようで、結局御蔵入りとなってしまった。日本で撮影する手間を惜しまないならクリアランスくらいちゃんとすればいいものを...。これらを不遜ゆえの不手際ととるのか、DIYゆえのリスクと取るのか。どちらにしろPNLへのフランスのオーディエンスによる支持は現時点では揺らいでいない。
 その点フレンチ・ヒップホップ界きっての男前Nekfeu(ネクフュ)は、ストリート感やDIY精神はありながらもチンピラ臭はぐっと低め。2007年ごろからS-crewと1995、そしてその2つが合体した13人の大所帯l'Entourage(ロントゥラージュ)といったヒップホップ・クルーで活動を開始。2014年には早くもl'Entourageでパリの殿堂オランピア劇場をソールド・アウトにする人気を博した。2015年にメジャー・レーベルから満を持してリリースしたソロ・アルバム『Feu』が30万枚のセールスを記録し、その年のフランス版グラミー賞、Victoire de la Musiqueを獲得。メジャーで契約しつつも、活動初期からS-crewの仲間とレーベルSeine Zoo Recordsを立ち上げレコーディングからMVの撮影まで自前でこなしている。Seine Zoo Recordsの仲間と勝手に日本に行ってMVを撮影したり、なぜかクリスタルKと一緒にレコーディングしたりするものだから、状況や背景がよく理解できないメジャー・レーベルの担当者はすっかり振り回されて参っているようだ。

 クリスタルKをフィーチャリングしたこの”Nekketsu(熱血)”はセカンド・アルバム『Cyborg』に収録されている。パパへのリスペクト、ママンへのアムールを歌い、自らをドラゴンボールの悟空にたとえ、神龍を呼び出そうと念じたりしている。そのドラゴンボールを始めとする少年漫画はNekfeuの重要なバックグラウンドといえるようだ。S-crewの”Fausse Note”では「東京喰種トーキョーグール」の金木研に扮して「歪んだ音こそビューティ。俺たちがスタンダードを変えてやる」と息巻いている。

 そんなラッパーらしい俺様アティテュードの一方、フランソワ・リュファンの立ち上げた政治運動「Nuit Debout(夜、立ち上がれ)」でゲリラ・ライヴを敢行するするなど政治的グッド・ボーイな面も持ち合わせている。9月にはフランス映画界の至宝カトリーヌ・ド ヌーヴと共に主演を張った映画「Tout nous sépare」も公開され、オーバーグラウンドでの活躍は増す一方だ。
 ドラゴンボールが歌詞の中に登場するのはNekfeuだけではない。”Makarena”が2017年夏のアンセムの1曲となったDamso(ダムソ)もその一人。

”Makarena”で浮気な彼女への恨みつらみをメロウに(でも下品に)歌っていたのとは一転、”#QuedusaalVie”では自分がいかにヘンタイ(フランス語でエロマンガのこと)でバビディ(ドラゴンボールの悪役)のように悪辣かを、フランス版Fワード゙満載で歌っている。Damsoのような超マッチョ系バッドボーイ(男尊女卑ゲス系とも言う)ラッパーは、男女を問わず中高生を中心としたフランス中のコドモたちに人気だ。12歳の女の子が学校に向かう道すがらDamsoを口ずさんでいるのを同じクラスの子が軽蔑の眼差しで見ていたりする。そんな両極端が共存しているのがフランスのヒップホップを巡る現状だ。
「はーい、今から基本的なこと言うよ。じゃないとお前らクソバカはわからないからね!」と、Damsoとは別のベクトルで振り切ったイントロで度肝を抜くのはOrelsan(オエルサン)。

 OLさんをそのままアルファベットにした奇妙なMCネーム(本人談だが真偽のほどは不明)を持つこのラッパーは、毒舌フロウとポップで先鋭的なビートで日本でいうとDotama的立ち位置というとわかりやすいだろうか。
「よく知らない人と子供作っちゃダメ。政治家が嘘つくのはそうしないとお前らが投票しないから。あ、あとイルカはレイプするからね、見た目に騙されないこと」。
 サード・アルバムの先行シングルとなった「Basique(基本)」は、その他のラッパーとは一線を画したクリエイティヴなMVも相まって大ヒット。新陳代謝の激しいフレンチ・ヒップホップ界において、35歳、6年ぶり、サード・アルバム、と重なるネガティヴ要素を物ともせず、『La fête est finie』はリリース1週間でプラチナ・アルバムに認定された。そんなフレンチ・ヒップホップ界のスター、Orelsanは「ワンパンマン」のサイタマ役声優をしたり、アルバム・ジャケットで忍者の格好をして満員電車に乗ってみたりと日本愛がダダ漏れの様子。彼の日本贔屓への好感度は別にしても、今回紹介した中でもっともフランス語がわからなくても楽しめるサウンドだろう。よければ一度チェックしてみてほしい。

 おかげさまで好評をいただいております、田亀源五郎(著)『ゲイ・カルチャーの未来へ』ですが、その出版を記念したトーク・ショウが大阪にて開催されます。出演は田亀先生ご本人と、『ゲイ・カルチャーの未来へ』の編集を担当したele-kingでもお馴染みの木津毅! 日時は12月10(日)で、会場は難波のロフトプラスワンWESTです。当日は田亀先生によるサイン会も予定されており、嬉しいことに『ゲイ・カルチャーの未来へ』以外の田亀作品の持ち込みも可とのこと。詳細は下記またはこちらより。ぜひ足をお運びください!

Teen Daze - ele-king

 カナダのアンビエント・ポップ詩人ティーン・デイズ(ジェイミソン・アイザックのソロ・プロジェクト)。彼ほど2010年代初頭の空気をまとっている音楽家もいない。チルウェイヴ、そしてドリーム・ポップ。今は消え去ってしまった気高いベッドルーム・ポップの10年代的な結晶。
 そんな彼の音楽を繊細すぎる、と思う人もいるだろう。しかし時が経っても、ジャンルのブームが過ぎ去っても、もしくは彼の音楽が変化を遂げても(バンド編成になったり、ソロになったり)、その音楽の本質は変わらない。
 2010年に発表された初期のデジタル・リリース『My Bedroom Floor』、『Four More Years』(カセット版もあり)、2012年にリリースされたファースト・フル・アルバム『All Of Us, Together』、セカンド・フル『The Inner Mansions』、2013年にリリースされサード・フル『Glacier』まですべて一貫しているのだ。世界の片隅で夢のような音楽を紡ぐこと。めぐる季節のような音楽を生みだすこと。
 そして2017年初頭にリリースされた5作目『Themes For Dying Earth』は、そんなティーン・デイズの現時点での最高傑作といっても過言ではないアルバムだった。ショーン・キャリー(Sean Carey)、ダスティン・ウォング(Dustin Wong)、サウンド・オブ・セレス (Sound Of Ceres)、ナディア・ヒュレット(Nadia Hulett)などの多彩なゲストを招きながら制作された『Themes For Dying Earth』は、やわらかな空気のようなアンビエンスがトラックに横溢しつつも、なによりメロディが際立っていた。バンドからソロに回帰しつつも、よりパーソナルな曲や録音方法で制作されていても、どこか「外」に向かって開かれているような開放感があったのだ。
 そう、ティーン・デイズはトラックメイクが優れているだけではなく、まずもって曲が良い。彼は優れたソングライターなのだ。それが彼の音楽の普遍性の要因に思える。つい口ずさんでしまうような親しみやすさと、しかし通俗に流されない品の良さがある。

 対して、今年2作目(!)となる新作『Themes For A New Earth』は,「『Themes For Dying Earth』と対をなす作品」とアナウンスされているアルバムで、全編インストゥルメンタルだ。『Themes For Dying Earth』制作時のトラックというが、いわゆる「アウトテイク集」といった雰囲気はなく、1曲めから最終曲までの流れもスムーズで、アルバムとして見事に構成されている。彼のアンビエント・アーティストの資質が全面化している作品といえよう。
 とはいえ、冒頭の“Shibuya Again”(なんという曲名!)を経て始まる2曲め“On The Edge Of A New Age”は、アンビエントなサウンドのなか、明確なビートもコード進行もあり、歌声が入ればヴォーカル・トラックになってしまいそうなほど。細やかに色彩豊かに展開するポップ・アンビエント・サウンドは丁寧に仕上げられた工芸品のようだ。

 つづく3曲め“Kilika”も同様にポップなインスト曲で、ギターのミニマルなアルペジオとシンセ・メロディが心地よい。4曲め“River Walk”はビートレスなアンビエント曲。サイケデリックに揺らめくギターの音色が耳にやさしい。同じくアンビエントな5曲め“An Alpine Forest”をはさみ、6曲め“Wandering Through Kunsthal”ではミニマルなビートが鳴る。曲調にはソングライティングの痕跡を感じさせるものの、アンビエントなサウンドからは冬の予感のようなものを感じてしまう。どこかザ・ドゥルッティ・コラムを思わせもした。
 7曲め“Station”、8曲め“Echoes”、9曲め“Prophets”のラスト3曲では、ブライアン・イーノを尊敬しているというティーン・デイズならではのアンビエント・サウンドが展開される。アルバムのアートワークのように冬の海をイメージさせるような清冽な音世界。『Themes For Dying Earth』が春から夏の記憶なら、『Themes For A New Earth』は秋から冬の記憶だろうか。

 それにしても「滅びゆく地球」をテーマにした『Themes For Dying Earth』がポップ・ミュージックのフォームを展開していたのに対して、夢の結晶のように美しいアンビエント音響へと至る『Themes For A New Earth』が「新たな地球」をテーマにしている点が面白い。季節が変わり世界が静寂に満ちるとき惑星が新生する、とでもいうように。
 地球と季節。春から夏。秋から冬へ。季節とは小さな死の連鎖である。惑星は死に、そして再生する。ティーン・デイズの音楽もまた(表現方法が電子音楽であっても、バンド編成であっても)、めぐる季節のようなライフ・ミュージックなのだと思う。

 また、『Themes For Dying Earth』や、本作『Themes For A New Earth』を聴いていると、不意に80年代の〈クレプスキュール(Crépuscule)〉や、ルイ・フィリップ(Louis Philippe)がアルカディアンズ(The Arcadians)でリリースした『Mad Mad World』を思い出した(先に書いたドゥルッティ・コラムも)。やはり小さな絶望と儚い美を感じるからか。そういえばJefre Cantu-LedesmaがAlexis Georgopoulosとコンビを組んだ『Fragments Of A Season』も同じようなムードのアルバムだった。
 ノイズからアコースティックへ? 今はこういったアコースティックとエレクトロニックのあいだにあるようなやわらかい音が求められつつあるのかもしれない。

 ちなみにオリジナル盤のリリースは『Themes For Dying Earth』につづいてティーン・デイズ=Jamison Isaakの自主レーベル〈フローラ(FLORA)〉からだが、CD盤(枚数限定盤)は日本優良のレーベル〈プランチャ(Plancha)〉から、愛情に満ちたデザイン/プロダクトでリリースされたことも付け加えておきたい。

BS0xtra with V.I.V.E.K - ele-king

 急な話ですが、今週の12月13日(水曜日)、ロンドンからダブステップのプロデューサー、V.I.V.E.Kが来日。これは、ブリストルを中心としたサウンド&カルチャーをここ東京に浸透させるべく始動した〈BS0〉の番外編〈BS0xtra〉(CHART参照)のゲストとしての来日になる。
  V.I.V.E.Kは、レーベル〈SYSTEM〉を主宰、サウンドシステム・カルチャーの視点からUKダブ/ダブステップをプレイする、現シーンの重要人物のひとり。いまアツい注目を集めている彼が、CONTACTのシステムをどう震わせるか、迎え撃つレギュラー陣が作り上げる空気とともにお楽しみください。

BS0xtra with V.I.V.E.K
at Contact Tokyo (Shibuya)
Wednesday 13th December 2017
9pm - 4am
¥1,500(w/1drink)

Facebook event page:
https://www.facebook.com/events/1991206010905951/

Guest:
V.I.V.E.K (SYSTEM, UK)
DJs:
DADDY VEDA (Antidote Concilium)
KILLA
Mars89 (Noods Radio Bristol / Radar Radio London)
NullDaSensei (TwinFox / NightVision)
OSAM GREEN GIANT (Soi Productions)


■V.I.V.E.Kプロフィール

 ダブステップ・サウンドにおいて、140bpmで制作された豊かな音楽の遺産に敬意を表しながらジャンルを推進していると賞されるアーティストは数えるほどしかいない。V.I.V.E.Kという別名で知られるヴィヴェク・シャルダは、そんなアーティストの中のひとりである。彼は、ダブステップのテイストメイカーや影響力のある人々の小さなグループの中で揺るぎない存在と言える。
 その音からも分かるように、V.I.V.E.Kは自身のインド人としてのルーツと、ドラム&ベースやダブをプロデュースしていた00年前後の初期の経験を基にした、豊かで多様なバックグラウンドを持つ。07年に〈On The Edge〉からダブステップの作品でデビューして以降、ダブステップのジャンルの中で最も尊敬されるレーベル〈DEEP MEDi〉〈Tectonic〉そして最も最近では〈SYSTEM MUSIC〉を通じ、アンセムを連発してきた。それらのリリースは、自身が受けてきた音楽的影響を組み合わせて、鋭い中域、軽快なスネア、重いローエンドの轟きを特徴とするサウンドを形成する能力を、レーベルがどこであれ示している。本当に美しい、メロディックな存在感は言うまでもなく。
 彼の音楽に加え、ロンドンに拠点を置くこのプロデューサーは、尊敬されるイヴェント・プロモーターとして、ダブとダブステップへの愛をカスタム・ビルドのサウンドシステムで融合させる。ピュアなサウンドと、とてつもない重低音を両立させる明確な努力を積み重ねてきた。英国内外で100%ダブステップのラインナップが消え、“ダブステップ”という用語が商業的な雑音と結びついている昨今において、〈SYSTEM〉はオリジナルのダブステップ・サウンドのファンのためのイヴェントへとステップアップした。 現在、〈SYSTEM〉と〈SYSTEM MUSIC〉はベースミュージック界で最も即座に認識されるブランドとなった。デビュー・リリース以来、V.I.V.E.Kが140bpmの音楽にどれだけの影響を与えたのか、これはその例のほんの2つにすぎない。彼は正にインスピレーショナルな看板役であり、他のプロデューサーがキャリア全体でするようなことを、たった7年で成し遂げている。

https://www.wearesystem.co.uk
https://www.facebook.com/viveksystem

Various Artists - ele-king

 だいぶ前の話になるが、映画『アトミック・ブロンド』を観た。来年公開予定の『デッドプール2』の監督も務めるデヴィッド・リーチが作りあげたこのスパイ映画は、壁が崩壊する前夜のベルリン、年代で言えば1980年代末を舞台にしている。物語は、世界情勢に深く関わる極秘リストを奪還するため、MI6によってベルリンに送り込まれたロレーン(シャーリーズ・セロン)を中心に進んでいく。厳しいトレーニングを積んだうえで臨んだというシャーリーズ・セロンのアクションなど、見どころが多い内容だ。なかでも圧巻だったのは、スパイグラス(エディ・マーサン)を逃がすときにロレーンが披露する体技。ビルの階段を移動しながらおこなわれるそれは7分以上の長回しで撮られており、華麗に立ちまわるロレーンの姿がとても美しかった。
 アクションでよくある、ご都合主義的な綺麗さが見られないことも特筆したい。華麗に敵をなぎ倒していく様は映画的でも、戦うごとに体のアザは増え、それを手当てするシーンも随所で挟まれたりと、生々しい描写が際立つ。そうして傷だらけになるロレーンだが、被虐的な様子はまったく見られない。むしろ、スパイとしての凛々しい姿とプロ意識を観客に見せつける。その姿を観て筆者は、“カッコいい……”という平凡極まりない感想を呟いてしまった。

 『アトミック・ブロンド』は、劇中で流れる音楽も魅力的だ。ニュー・オーダー“Blue Monday 1988”、デペッシュ・モード“Behind The Wheel”、パブリック・エネミー“Fight The Power”といった、80年代を彩ったポップ・ソングが取りあげられている。しかも、ただ流すだけじゃない。MI6のガスコイン(サム・ハーグレイブ)が殺されるシーンでは、イアン・カーティスの死について歌われた“Blue Monday 1988”を流すなど、曲の背景と劇中のシーンを重ねるような使い方なのだ。ここに筆者は、デヴィッド・リーチのこだわりを見た。

 そのこだわりをより深く理解するため、映画のサントラである『Atomic Blonde (Original Motion Picture Soundtrack)』を手にいれた。本作は先に挙げた曲群を収録しておらず、そこは非常に残念だが、それでもデヴィッド・ボウイ“Cat People (Putting out Fire)”、スージー・アンド・ザ・バンシーズ“Cities In Dust”、ネーナ“99 Luftballons”など、劇中で使われた曲はだいたい収められている。
 とりわり目を引くのは、ボウイとの繋がりが強い曲を数多く起用していることだ。ボウイは1976年から1978年まで西ベルリンに住み、そこで得たインスピレーションを元に『Low』『Heroes』『Lodger』というベルリン三部作が作られたのは有名な話だが、このことをふまえて映画ではボウイが象徴的な存在になっている。
 面白いのは、それを少々ひねりが効いた方法で示すところだ。その代表例が、ニュー・ロマンティック期のエレ・ポップど真ん中なサウンドを特徴とする、アフター・ザ・ファイアー“Der Kommissar”。もともとこの曲は、オーストリアのファルコというシンガーソングライターが1981年に発表したシングル。重要なのは、このシングルのB面に収められた曲だ。“Helden Von Heute”というそれは、ボウイの代表曲“Heroes”へ賛辞を送るために作られた曲で、メロディーは“Heroes”をまんま引用している。こういう婉曲的な仕掛けを通して、ボウイの偉大なる影を匂わせるのだ。

 その影は、ピーター・シリング“Major Tom (völlig losgelöst)”でもちらつく。タイトルからもわかるようにこの曲は、ボウイが1969年に発表したアルバム『Space Oddity』へのアンサー・ソングだ。もともとの歌詞はロケット発射の様子を描いたもので、深い意味はない。だが、『アトミック・ブロンド』の中では冷戦時代の一側面を表す曲になっている。1980年代末のベルリンは冷戦まっただ中であり、そんな時代に米ソ間でおこなわれた熾烈な宇宙開発競争を連想させるからだ。こうした既存の曲に新たな意味をあたえるセンスは、退屈な懐古主義に陥らない同時代性を漂わせる。
 この同時代性は、映画のために作られたいくつかのカヴァー曲にも繋がっている。特に秀逸なのは、映画のスコアを担ったタイラー・ベイツがマリリン・マンソンと共作したミニストリー“Stigmata”のカヴァー。殺伐としたドライな音質が耳に残る激しいインダストリアル・ロックで、マリリン・マンソンの金切り声を味わえる。もちろん、このカヴァーも映画と深い繋がりがある。オリジナル版“Stigmata”のMVにはスキンヘッドのネオナチが登場するが、そこに映画の核であるベルリンという要素との共振を見いだすのは容易い。

 そうした綿密な選曲において、ひとつだけ気になる点がある。ザ・クラッシュ“London Calling”を選んでいることだ。この曲は1979年にリリースされたもので、80年代でもなければ現在の曲でもない。しかしそこには、他の曲以上に重要な意味を見いだせる。
 “London Calling”は、ザ・クラッシュから見た当時の社会について歌った曲だ。1981年のブリクストン暴動、セラフィールド、フォークランド紛争といった、80年代のイギリスで起こることを予見するような言葉が歌詞に並んでいる。
 そんな予見的な曲が、映画ではベルリンの壁崩壊後の終盤で流れる。決着を迎えてめでたしのはずが、〈すぐさま戦争が布告され 戦いがやってくる(Now war is declared and battle come down)〉と歌われるのだから、なんとも興味深い。ここまで書いてきた映画と曲の深い繋がりから考えても、かなり意味深だ。ロレーンの次なる戦いが始まるから……とも解釈できるが、過去の要素に同時代性を見いだし表現する『アトミック・ブロンド』の特性をふまえると、この映画はあなたたちの現状であるという暗喩を込めた選曲ではないか。そう考えると、冷戦時代のベルリンが舞台であるにもかかわらず、それにまつわる物語じゃないと否定するグラフィティーが映画の冒頭で挟まれるのも納得だ。“London Calling”が流れた途端、西ドイツと東ドイツの間にあった経済格差や、壁によってもたらされた抑圧といった映画の時代背景には、新冷戦(New Cold War)なる言葉も飛び交うようになった現在を表象する機能が付与される。

 ここまで大胆な音楽の使い方を前にすれば、客寄せパンダ的にヒット・ソングを使ったという揶揄も跪くしかない。

Matthew Herbert Brexit Big Band - ele-king

 先日、ブルーノートで行われたマシュー・ハーバートのライヴに行ってきた。銃弾の音や豚の生活音、コンドームの擦れる音まで、様々な音をサンプリングして楽曲制作することで知られるハーバートだが、今回のテーマは、Mathew Herbert Brexit Bigbandという名前の通り、「ブレグジット」だ。
 “イギリス(Britain)”がEUを“抜ける(Exit)”から“ブレグジット(Brexit)”──EU残留か離脱かを問う国民投票を行うとキャメロン前首相が発表したその数日後、新聞の見出しにあったこの語を見た時は、ずいぶん適当な造語だなと思ったものだが、結局、この語の名指す出来事はイギリスを大きく揺るがすこととなる。国民投票の結果、離脱派が勝利し、ブレグジットは現実のものとなったからである。
 世界中がこの前代未聞の政治的出来事に注目した。ブレグジットに向け、イギリス政府は今も活動中である。そんな政治的出来事をいったいどうやって音楽に落とし込むというのか? 全く予想がつかない。
 初めてブルーノートにコンサートを聴きにいくということで、「ドレスコードはあるのだろうか」とか細かいことばかり気にしながら、一応襟のついたシャツを着て会場に向かう。

 ビッグバンド編成だったが、演劇の舞台を見ているようでもあった。プロットがしっかりあって、曲ごとに登場人物の顔が見える。
 たとえば3曲目。冒頭でメロディを担うサックスやトランペットの奏者が、イギリスのタブロイド紙『デイリー・メール』を破いた。それを破いた音とともにゆったりとスウィングが始まる。
 『デイリー・メール』とはイギリスで発行されている大衆向けの新聞で、エロ情報が必ず載っている(紙面をめくると割と早い段階で薄着のセクシー姉ちゃんが出てくる)。
 EU残留派支持にはミドルクラスの知識層や左派の学者が多く見られたが、彼らはその大半が『デイリー・メール』に書かれていることなど読むに値しないと考えていた(以前、政治討論のテレビ番組で、レフトアクティビストが、的外れな発言をするインタヴュアーに向かって「This is Daily Mail!」と言い放ったのをみたことがある)。
 今回離脱派に入れた人びと、つまり『デイリー・メール』を読んでいるような人びとのことなど気にとめる必要などない……そんなミドルクラスの雰囲気を表現しているかのような曲だった。実際、残留派の人びとは「ブレグジットなど起こるわけがない」と静観していた。彼らはEUに不満を抱く人びとの声に耳を傾けることはなかった。

 4曲目、勢いよくブラス隊がかき鳴らすマーチのリズムに乗って、ボーカルのRahelが「take a step(一歩前へ)」「yes!yes!」と歌う。まるで聞こえのいい言葉でアジテーションしていくポピュリストたちの喚声のようだ。『デイリー・メール』を破いた前の曲が、大衆の声に耳を傾けることなく高みの見物をしていた残留派知識層を象徴していたとすれば、この曲は、日々の生活に不満を抱く人びとに向けられたポピュリスト政党のメッセージをモチーフにしたかのような音楽だ。
 曲を聴きながらある人物を思い出した。離脱派のEU議会議員、UKIP(イギリス独立党)党首のナイジェル・ファラージだ。彼は、EUを出てシングルマーケットになるメリットと、EU向けに使っている予算を国内の福祉に回すことができるということをいい 、離脱支持層を集めた。しかし、国民投票で離脱派勝利の数日後、ファラージはEUに払っていた予算を国内に回す事はできないと述べた。EU議会でファラージは他の議員たちに「You lied(あなたは嘘をついた)」と非難され、EU議員を辞職している。歌詞に出てきた「naughty sounds, naughty sounds」とは彼が言った、人びとに都合のいいような、甘い嘘のことなのかもしれない。

 5曲目で、ハーバートは自分の首にサンプリング機械をあてる。音楽ではリズムの速度を示すBPM(Beat Per Minute)という言葉は、医学では心拍数という意味で使われる。マシューの脈がうつビートと同時に、曲が始まる。彼の心拍数と曲のリズムが交差し、時々ずれながら、ヴォーカルのRahelが歌い上げる

You need to be here
あなたはここにいる必要がある

 ここでいうhereはEUではないだろうか。儚げに歌い上げる声に、まだ投票権を持たず、EUからの離脱に反対するティーンエイジャーの姿を重ねてしまった。EUの特徴に「EU加盟国間では、人、物、サービス、および資本がそれぞれの国内と同様に、国境や障壁にさらされることなく、自由に移動することができます」というものがある。例えば、スーパーでスペイン産の生ハムや、フランス産のパンなど、国内で作ったものと同程度の価格で購入できる。あるいは、イギリス人が就労ビザなしでイタリアやベルギーで働くことができる。
 EU内ではどこにでも行くことができるのだ。将来、子どもたちが享受できたはずの、暮らしたい街や働きたい場所を自由に選ぶ権利は、EU離脱によって狭まれてしまう。ハーバートの心拍の音は、音楽のリズムと時々重なるものの、ずっとズレを伴っている。このズレは、EUに留まりたいと思う子どもたちが、その気持ちを政治的に表現する権利を持たないことのもどかしさを表現しているかのようだった。

 6曲目ではタイプライターを打つ音をサンプリングし、それがすぐにビートに変えられる。ハーバートはドナルド・トランプのお面をかぶる。なぜブレグジットでトランプのお面だったのか。UKIPのナイジェル・ファラージはトランピスト(トランプ支持者)だそうだが、ここでの直接的な関わり方はわからなかった。
 エントランスで「ドナルド・トランプへのメッセージを紙に書いて、それを紙ひこうきにして、ステージに向かって飛ばす準備をしてください」というメッセージと色折り紙をもらった。それをトランプ扮するハーバートに向けて投げる。その紙飛行機は、ほとんどがステージに届かず客席に舞うだけだが、演奏をしながらハーバートは時々それを拾っては投げ返す。ツイッターが現実世界に可視化されるとすればこんな風だろうかと、演奏を聴きながら会場で起こったパフォーマンスに驚いてしまう(ちょうどブルーノートでライヴが行われた日、本物のドナルド・トランプが来日していた日だった)。
 2人目のお面は誰だかわからなかったのだが、3人目のお面はロンドン元市長のボリス・ジョンソンだった。ブレグジットキャンペーンで、ボリス・ジョンソンは離脱派として活動した。離脱派が勝利し、キャメロンは首相を辞任。その後、ボリス・ジョンソンは外務大臣として内閣入りしている。

 終盤、ハーバートは会場にいるオーディエンス全員の声をサンプリングして演奏に使う。曲のなかでは「we want to be human」と歌われる。残留か、離脱か。この選択を迫られたイギリスの人びとは、それぞれが抱える個人の生活、そして自分たちの社会のために、自分がいいと思った選択をしただけだ。離脱派も残留派も“人間らしくありたい”という点では同じである。

 最後の曲になった。曲は“The Audience”。歌詞の一部を引いてみよう。

Though the ending is not here
We are separate we are one
The division has begun
You are my future I am your past
Even music will not last

So move with me
With me removed

You and us together 
Together in this room
You will not remember
This passing moment soon

終わりだがここにはない
僕らは別れていて、僕らはひとつだ
分断が始まっている
君は僕の将来で、僕は君の過去だ
音楽でさえ続かないだろう

だから僕と一緒に行こう
僕抜きで

君と僕らは共に
この部屋に一緒にいる
君はいずれ忘れてしまうだろう
すぐ過ぎ去ってしまうこの出来事を

 このコンサートの2日前、DOMMUNEのインタヴューでハーバートは、シニア世代と若者世代のブレグジットに対するイメージのギャップについて話をしていた。もしかしたらここで出てくる「you(君)」は、EUを出た後のイギリスで、若者たちよりも先にいなくなってしまうシニア世代ことかもしれない。この曲を作った当時、ハーバートはブレグジットのことなどまったく考えていなかったに違いないが。
 離脱派も残留派も、結局はイギリスという同じ部屋にいる。“The Audience”はブレグジットの文脈で聞くととても悲しい曲に聞こえる。
 ブレグジットはおそらく、イギリス史に残る出来事だろう。しかし、歴史という大きな文脈のなかで、その時代を生きる大衆の意見は大きな出来事の影に隠れてしまう。ニュースで流れてくる政治の出来事や事件は、日々の生活に忙殺され、少しずつ忘れられていく。
 DOMMUNEの対談で、BBCの音響技師だった父親について質問を受け、ハーバートは、「ニュースを1枚のレコードにする作業が印象的だった」と答えていた。ハーバートは、ブレグジットを1枚の楽譜(スコア)にした。彼の父親がニュースをレコードにプレスしていたように、彼の楽曲はブレグジットについて皆がそれぞれの立場で語っていたことを記録している。ブレグジットが後に史実として歴史の教科書に登場するときには忘れ去られてしまうであろう人びとの声を忘れないために。

Nicola Cruz - ele-king

 〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉からのリリースで知られるニコラ・クルースが初来日、神戸Troop Cafeと東京・代官山Unitでライヴを行います。ニコラ・クルースは、ニコラス・ジャーのステージでフロント・アクトをつとめたり、彼の主宰レーベル〈クラウン&サンセット〉のコンピにその名を連ねたことをきっかけに注目を集めた南米エクアドルの首都キトを拠点とするエレクトロニック・プロデューサーです。〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉に加え、ニコ・デマスのワンダーホイールやエジプトのマジック・ムーヴメントにも楽曲やリミックスを残し、直近では、現在日本をツアー中のトーマッシュ主宰、ヴードーゥー・ホップのコンピ『Entropia Coletiva』のCD版にも新曲「Elephant」を提供しています。
 東京公演は野外フェスティバルRe:Birth主催のパーティで、ミニローグ、クニユキ・タカハシ、ミックスマスター・モリスも出演します。

■Nicola Cruz Japan Tour in Kobe

2017.11.23 THU

16:00 START - 23:00 CLOSE
Mail Resevation \2000(w/1D)Door \3000(w/1D)Under23 \1500(w/1D)

LINE UP :
Nicola Cruz -Live-
Shhhhh
KND -Live-
halptribe
FUKAMIDORI
職人
TAIPEIROD
KEYWON

SHOP :
DUMBO

FOOD :
tamu tamu cafe
Beinelmilel

COFFEE :
nomadika

https://troopcafe.jp/music-program/1388

■Nicola Cruz Japan Tour in Tokyo
Re:birth feat. El Folclore Paradox supported by Global Chillage

2017.11.24 FRI

OPEN : 23:00
START : 23:00
CHARGE :
ADV 3,000yen
DOOR 3,500yen
You must be 20 and older with photo ID

【UNIT】

LIVE :
Nicola Cruz
Marcus Henriksson aka Minilogue x Kuniyuki

DJ:
Shhhhh (El Folclore Paradox)
Kojiro (Re:birth)

【UNICE】

[new album "KiraKira" release special]
Mixmaster Morris
Peter Power (voodoohop)
Koss aka Kuniyuki
Hiyoshi (Labyrinth/Global Chillage)
7e

DECO:
聖紅 (seiko-nose.com)

LIGHTING:
Yamachang

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2017/11/24/171124_rebirth_featefp.php

【Nicola Cruz ~ニコラ・クルス~】
彼は自分のサウンドを”andez step”と定義するDJ / プロデューサー。南米はエクアドルの都市キト在住。パーカッショニストとしてキャリアをスタートし、次第にそのリズムの感性と興味はエレクトリック・ミュージックにも向かう。同時に自身のルーツである南米大陸の儀式や音楽現象への探求を開始。2015年にデジタル・クンビアのレーベルとして日本でも紹介されたZZK Recordsよりアルバム、"Prender el Alma"をリリース。Nicolas Jaarの前座に指名され、翌年のバルセロナのソナー・フェスティバルを始めとする、欧米から南米のビッグフェスやBoiler Room にも出演。2017年、モントリオールのレーベル、Multi CultiよりEPを数タイトルリリース、他にもsoundcloudやBandcampにて、クオリティの高いトラックをハイペースで発表し続けている。2018年には新アルバムをリリース予定。
2010年代中盤から南米を中心に勃発した、過去と未来、伝統とモダンを行き来する進行系の現象。ナチュラルでオーガニック、世界各地の土着性を吸収した、BPM控えめで、ミニマル、スローハウス、ラテン/クンビアらを通過した酩酊しトランスするダンス・ミュージック・ムーヴメント。その動きの中でも代表的なアーティストである。待望の初来日。

Nils Frahm - ele-king

 モダン・クラシカルを牽引する〈Erased Tapes〉の看板、ニルス・フラームがついに、約4年ぶりとなるスタジオ・レコーディング・アルバムを完成させた。今回のレコーディングはなんと、そもそもスタジオを作る(!)ところから始められたのだという。これまでele-kingでも『Screws』『Solo』といった作品を取り上げてきたけれど、どうやら来るべき新作は、従来のアルバム以上に重要な意味を帯びた作品になっている模様。発売は来年1月26日。詳細は下記をご覧あれ。

ニルス・フラームが約4年振りとなるスタジオ・レコーディング・アルバムをリリース。スタジオを作るところから始めた壮大な計画は、自分の理想の音を自由に追求し続けた初めての作品。シンセサイザー/ハーモニウム/パイプオルガン/ピアノ/ヴォーカルなど多くの楽器が織りなす夢のような新世界。

彼のいままでのアルバムでは物語性を伴うものがいくつかありました。『Felt』(2011年)では、自身の古い寝室内のスタジオで夜遅く録音するとき、隣人への配慮からピアノのハンマーに気を使った事で生まれたに独特のピアノの音、続くアルバム『Screws』(2012年)では、親指を怪我したために残りの9本の指での演奏を強いられた事で生まれた繊細なタッチのサウンド。彼の制作してきた作品は何かに制限を受けてきたものが多く、思いついた多くのアイデアを自由に形にすることは行ってきませんでした。ベルリンに建築された自分の理想的なスタジオが完成した事で本当の意味での自由な音作りをする環境が整い、そして制作されたアルバム『All Melody』。今までの作品がすべてここに繋がっておくための準備期間だったのではと思わせるサウンドは、いままで聴き慣れたピアノからシンセサイザー/ハーモニウム/パイプオルガン/竹製の楽器、そして新たに取り入れたヴォーカル。間違いなく彼の今後の音楽活動の分岐点となる最重要作品の完成と言えるでしょう。

[セルフライナーノーツから一部抜粋]
完成までの過程で、どのようなアルバムにおいても何を作り上げたという事だけでなく、もっと重要なことだと思えるのは何ができなかったかを明らかにすることだ。『All Melody』には時間の経過とともに非常に多くのイメージがあり、以前にもずっと沢山ありましたが、私がそれらを制作しようとした事はこれまでありません。いままで見た事も聴いた事もない、少女や少年たちによる人の声を伴った美しいドラムを聴きたかった。彼らはまさにこの世界で歌を唄い、別の場所から来たかのように聴こえるでしょう。私は『All Melody』を演奏するハーモニウムのような音を奏でるシンセサイザーを聴き、それらはシンセサイザーのようなハーモニウムの音色と共に混ざり合います。私のパイプオルガンはドラムマシーンとなり、私のドラムマシンは、息づかいを感じさせるフルートによるオーケストラのように聴こえるでしょう。ピアノはまさに声へと変わり、声は共鳴するストリングスとなります。私自身の中で聴いている音楽は決してレコードとして完成しないでしょう。それは自分のためにしか演奏することができないと思えるのです。このレコードには私が思いついたものを収録し、私が想像できる最良の方法で導き出した音楽について表現しています。
2017年10月 ニルス・フラーム

アーティスト: Nils Frahm (ニルス・フラーム)
タイトル: All Melody (オール・メロディー)
品番: AMIP-0126
価格: 2,400円+税
発売日: 2018年1月26日 (金)
バーコード: 4532813341262
レーベル: Erased Tapes
※ライナーノーツの日本語訳
※ボーナストラック1曲のDLコード収録

トラックリスト:
01. The Whole Universe Wants To Be Touched
02. Sunson
03. A Place
04. My Friend The Forest
05. Human Range
06. Forever Changeless
07. All Melody
08. #2
09. Momentum
10. Fundamental Values
11. Kaleidoscope
12. Harm Hymn

■プロフィール
ドイツのベルリンで活動する作曲家/ピアニスト。Peter Broderickがプロデュースした『The Bells』、友人へのクリスマス・プレゼントとして制作した『Wintermusik』をリリース。その後Efterklamgのレコーディングやツアーに参加。2011年のアルバム『Felt』で高い評価を受け大きな注目を受ける。『Screws』では負傷した親指を使わずゆっくり大事に演奏した作品はピアノ・ファンの枠を越え多くの人に愛される。彼が最も力を入れているグランドピアノ+ローズ+アナログシンセというセットでのライヴ音源を含む『Spaces』をリリース。2015年にはイギリスのBBC PromsによるRoyal Albert Hallでの圧巻のパフォーマンスを披露。2年の歳月をかけて制作したファンクハウス・スタジオでプロデューサーとしても活動する。

国内盤オフィシャルHP
https://www.inpartmaint.com/site/22483/

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