「F」と一致するもの

栗原康 × 大谷能生 - ele-king

 この夏話題の対談本『文明の恐怖に直面したら読む本』を刊行した政治学者の栗原康と、同じく新刊『平岡正明論』を上梓した音楽家/批評家の大谷能生によるトーク・イベントが、11月27日、代官山 蔦屋書店にて開催されます。
 映画『菊とギロチン』のノベライズ(タバブックス)を担当したことでも注目を集めた栗原ですが、彼は熱心な平岡正明のファンでもあります。じっさい、彼が編んだアンソロジー『狂い咲け、フリーダム』(ちくま文庫)には平岡の「あらゆる犯罪は革命的である」が収録されていますが、となれば今年『平岡正明論』という快著を世に問うた大谷と語り合っていただくしかないでしょう! そんなわけで実現した今回のイベント、おそらくは平岡をめぐって熱いトークが繰り広げられるにちがいありません。予約方法などは下記をご参照ください。

代官山 蔦屋書店 イベント・ページ

[11月21日追記]
 昨日刊行されたばかりの栗原康の最新刊『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』(岩波新書)付きチケットでも参加可能となりました。ふるってお申し込みください!

『文明の恐怖に直面したら読む本』(Pヴァイン)刊行記念
栗原康×大谷能生対談「文明社会と平岡正明」

混迷をきわめる政治、やりがいやコミュニケーションを押しつけられる社会、それらはすべて文明によってもたらされたものである。そのような生きづらい秩序から離脱するにはどうしたらいいのか?
ヒントは「民衆」や「遊び」、「歌」にある。
新刊『文明の恐怖に直面したら読む本』を上梓したばかりの政治学者・栗原康が、同じく初夏に『平岡正明論』を刊行した音楽家/批評家の大谷能生とともに語り合う。

2018年11月27日(火)
蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース

【参加条件】 ※11月21日更新
代官山 蔦屋書店にて以下のいずれかをご予約、ご購入の先着70名様にイベント参加券をお渡しいたします。
1. 『文明の恐怖に直面したら読む本』(Pヴァイン/1,944円)付イベント参加券 2,500円(税込)
2. 『平岡正明論』(Pヴァイン/2,592円)付イベント参加券 3,000円(税込)
3. 『アナキズム』(岩波書店/929円)付イベント参加券 2,000円(税込)
4. イベント参加券 1,500円

会期:2018年11月27日(火)
定員:70名
時間:19:00~21:00
場所:蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
主催:代官山 蔦屋書店
共催・協力:Pヴァイン
問い合わせ先:03-3770-2525

【お申込み方法】
以下の方法でお申込みいただけます。
・店頭 (1号館1階 人文フロア)
・お電話 03-3770-2525 (人文フロア)
・オンラインストア

【対象商品】 ※11月21日更新
1. 『文明の恐怖に直面したら読む本』(Pヴァイン/1,944円)付イベント参加券 2,500円(税込)
2. 『平岡正明論』(Pヴァイン/2,592円)付イベント参加券 3,000円(税込)
3. 『アナキズム』(岩波書店/929円)付イベント参加券 2,000円(税込)
4. イベント参加券 1,500円

【ご注意事項】
*参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。
*イベント会場はイベント開始の15分前から入場可能です。
*当日の座席は、先着順でお座りいただきます。
*参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承くださいませ。
*止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。

【プロフィール】
栗原 康 (くりはら やすし)
1979年埼玉県生まれ。現在、東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。著書に、『大杉栄伝:永遠のアナキズム』(夜光社)、『はたらかないで、たらふく食べたい』(タバブックス)、『現代暴力論』(角川新書)、『村に火をつけ、白痴になれ:伊藤野枝伝』(岩波書店)、『死してなお踊れ:一遍上人伝』(河出書房新社)、『菊とギロチン:やるならいましかねぇ、いつだっていましかねぇ』(タバブックス)、『何ものにも縛られないための政治学:権力の脱構成』(KADOKAWA)などがある。ビール、ドラマ、詩吟、長渕剛が好き。

大谷 能生 (おおたに よしお)
1972年生まれ。横浜在住。
音楽(サックス・エレクトロニクス・作編曲・トラックメイキング)/批評(ジャズ史・20世紀音楽史・音楽理論)。96年~02年まで音楽批評誌「Espresso」を編集・執筆。菊地成孔との共著『憂鬱と官能を教えた学校』や、単著『貧しい音楽』『散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む』『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』など著作多数。
音楽家としてはsim、mas、JazzDommunisters、呑むズ、蓮沼執太フィルなど多くのグループやセッションに参加。ソロ・アルバム『「河岸忘日抄」より』、『舞台のための音楽2』をHEADZから、『Jazz Abstractions』をBlackSmokerからリリース。映画『乱暴と待機』の音楽および「相対性理論と大谷能生」名義で主題歌を担当。チェルフィッチュ、東京デスロック、中野茂樹+フランケンズ、岩渕貞太、鈴木ユキオ、大橋可也&ダンサーズ、室伏鴻、イデビアン・クルーなど、これまで50本以上の舞台作品に参加している。
また、吉田アミとの「吉田アミ、か、大谷能生」では、朗読/音楽/文学の越境実験を継続的に展開中。山縣太一作・演出・振付作品『海底で履く靴には紐がない』(2015)、『ドッグマンノーライフ』(2016/第61回岸田戯曲賞最終選考候補)では主演をつとめる。『ホールドミーおよしお』(2017/CoRich舞台芸術まつり!2017春演技賞受賞)。


Kankyō Ongaku - ele-king

 相変わらず再評価が活発ですね。なかでもこれは決定打になりそうな予感がひしひし。シアトルのレーベル〈Light In The Attic〉が、日本産アンビエントをテーマとしたコンピレイション『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』をリリースします。編纂者は、昨今のニューエイジ・リヴァイヴァルとジャポネズリに火を点けたヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーラン。彼は昨年、自身のレーベル〈Empire Of Signs〉から吉村弘の代表作『Music For Nine Post Cards』をリイシューしていますが(『表徴の帝国』をレーベル名にした真意を尋ねたい)、今回のコンピにはその吉村をはじめ、久石譲や土取利行、清水靖晃、イノヤマランド、YMO、細野晴臣、さらにLP盤には高橋鮎生、坂本龍一と、錚々たる面子が居並んでおります。これを聴けば、いまあらためて日本の音楽が評価されているのはいったいどういう観点からなのか、その糸口がつかめるかもしれません(ドーランによるエッセイを含む詳細なライナーノーツも付属とのこと)。発売は来年2月15日。

Various Artists
Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990

Light In The Attic
LITA 167
3LP / 2CD / Digital
Available February 15

https://lightintheattic.net/releases/4088-kankyo-ongaku-japanese-ambient-environmental-new-age-music-1980-1990

[Tracklist]

01. Satoshi Ashikawa / Still Space
02. Yoshio Ojima / Glass Chattering
03. Hideki Matsutake / Nemureru Yoru (Karaoke Version)
04. Joe Hisaishi / Islander
05. Yoshiaki Ochi / Ear Dreamin'
06. Masashi Kitamura + Phonogenix / Variation III
07. Interior / Park
08. Yoichiro Yoshikawa / Nube
09. Yoshio Suzuki / Meet Me In The Sheep Meadow
10. Toshi Tsuchitori / Ishiura (abridged)
11. Shiho Yabuki / Tomoshibi (abridged)
12. Toshifumi Hinata / Chaconne
13. Yasuaki Shimizu / Seiko 3
14. Inoyama Land / Apple Star
15. Hiroshi Yoshimura / Blink
16. Fumio Miyashita / See The Light (abridged)
17. Akira Ito / Praying For Mother / Earth Part 1
18. Jun Fukamachi / Breathing New Life
19. Takashi Toyoda / Snow
20. Yellow Magic Orchestra / Loom
21. Takashi Kokubo / A Dream Sails Out To Sea - Scene 3
22. Masahiro Sugaya / Umi No Sunatsubu
23. Haruomi Hosono / Original BGM
24. Ayuo Takahashi / Nagareru (LP Only)
25. Ryuichi Sakamoto / Dolphins (LP Only)

God Said Give 'Em Drum Machines - ele-king

 これは興味深い。Resident Advisorの伝えるところによれば、デトロイト・テクノにかんする新たなドキュメンタリーの制作が開始されるようなのだけれど、どうもそれが「いかに音楽ビジネスがクリエイターを裏切ってきたか」という切り口のものらしいのである。『God Said Give 'Em Drum Machines: The Story Of Detroit Techno』と題されたそれは、ホアン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソン、デリック・メイのビルヴィレ3を筆頭に、エディ・フォークスやブレイク・バクスター、サントニオ・エコルズらのキャリアを追いながら、ついつい見過ごされがちなダークな側面、巨大産業となったエレクトロニック・ダンス・ミュージックの暗部を探るものになるのだという。現在、制作者のジェニファー・ワシントンとクリスティアン・ヒルがクラウドファンディングを実施している。プロジェクトの詳細と彼らへのサポートは、こちらから。

HP: godsaidgiveemdrummachines.com

Elecktroids - ele-king

 先日素晴らしいドキュメンタリーが公開されたばかりのドレクシアですが、またもや驚きのニュースが舞い込んできました。彼らがエレクトロイズ名義で発表した唯一のアルバム『Elektroworld』が、鬼のようにドレクシア関連音源を発掘しつづけているロッテルダムの〈Clone〉傘下の〈Clone Classic Cuts〉から12月にリイシューされます。また11月には、同じく唯一のシングルである「Kilohertz EP」も再発。こちらは〈Clone Aqualung Series〉から(同レーベルはこの夏、トランスリュージョンの未発表音源集「A Moment Of Insanity」もリリースしています)。いずれも長いあいだ入手困難状態が続いていただけに、朗報です。

Elecktroids
Elektroworld

Clone Classic Cuts
C#CC035LP
December 2018

2LP: disk union
CD: disk union

Elecktroids
Kilohertz EP

Clone Aqualung Series
CAL014
November 2018

12": disk union

Eli Keszler - ele-king

 ニューヨークのドラム奏者/サウンド・アーティストであるイーライ・ケスラーは、2017年にローレル・ヘイローのアルバム『Dust』に全面参加し(実質上のコラボレーターともいえる)、2018年に『Age Of』をリリースしたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのワールド・ツアーにドラマーとして参加したことで、その名を広く知らしめることになった。
 むろんイーライはそれ以前もドラム奏者/サウンド・アーティストとして充実した活動をおこなってきた。2006年以降、自身のレーベル〈R.E.L Records〉から精力的に多くのアルバムをリリースし、2011年にはベルリンの実験音楽レーベルの〈Pan〉から『Cold Pin』を、2012年に『Catching Net』を発表する。両作ともドラム演奏とインスタレーション的なコンセプトを音盤化したエクスペリメンタルな音響作品だ。この2作で彼にとって演奏/インスタレーションという極の融合を示してみせた。そして2016年には香港のフリー・ミュージック/実験音楽レーベル〈Empty Editions〉のリリース第1作として『Last Signs Of Speed』をリリースする。
 ソロ作品のリリースのほかに、コラボレーション作品の発表も盛んにおこなっており、2012年にイタリアはヴェニスのフリー・ジャズ・レーベル〈8mm Records〉からベテラン・サックス奏者のジョー・マクフィーとの『Ithaca』を、同年、アメリカ合衆国はバーリントンを拠点とするエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈NNA Tapes〉から電子音響/音楽家キース・フラートン・ウィットマンとの『Eli Keszler / Keith Fullerton Whitman』を、2014年にロンドンのフリー・ミュージック・レーベル〈Dancing Wayang〉からオーレン・アンバーチとの『Alps』などをリリースしている。私見ではこういったコラボレーションの成果が(あくまで音楽的方法論であって、人脈的なものではない)、ヘイローの傑作『Dust』に結実したのではないかと考えている。
 いずれにせよ、イーライのドラム演奏とサウンド・インスタレーションを融合させていく作品は観客/聴き手/アーティストに大きなインパクトを与えた。じっさい音源リリース以外でも作品展示(自身の演奏も含む)やアート作品の発表なども多くおこなっている。それは彼のサイトでも確認できる。

 本作『Stadium』は『Last Signs Of Speed』以来、2年ぶりとなるイーライのソロ・アルバムである。今回は電子音楽家フェリシア・アトキンソンとアート・ディレクター/デザイナーのバルトロメ・サンソンによって運営される注目のエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル/ブック・レーベル〈Shelter Press〉からのリリースだ。
 このアルバムの制作中にイーライはサウス・ブルックリンからマンハッタンへ拠点を移したようで、それに伴う意識の変化や、近年のツアー生活にともなう風景の変化が、楽曲の隅々にまで影響・反映しているようにも感じられる。トラックは意識の変容にように滑らかに変化し、光景/記憶の再生のように生成していく。私見では現時点におけるイーライの最高傑作ではないかと思う。音響の構成や構築度がこれまでの段違いにオリジナリティを獲得しているからである。

 ドラム、パーカッションのグルーヴのみならず、それらのテクスチャーをも精密に抽出し、細やかにスライスし、細やかな粒子のように電子音などとレイヤーさせる手法と手腕によって、ジャズ的/フリー・ミュージックな演奏イディオムをサウンド・アートやインスタレーション、エレクトロニクス音楽の中に分解していく。いわば音と音の関係性が複雑な音響空間の中で、音、音楽、演奏の関係性が、その都度「結び直されていく」かのごとき独自の音響と聴取感が生まれているわけだ。
 1曲め“Measurement Doesn't Change The System At All”や5曲め“Simple Act Of Inverting The Episode”のグリッチするような細やかでハイブリッドなドラミングと柔らかい電子音/サウンドのレイヤー、2曲め“Lotus Awnings”、4曲め“Flying Floor For U.S. Airways”などのズレとタメが多層的にコンポジションされる非常に現代的なリズム構造など、どの曲もハっとするような聴きどころに満ちており、一瞬たりとも聴き逃せない。
 中でも注目したいのが3曲め“We Live In Pathetic Temporal Urgency”だ。この曲は音響とアンビエンスとリズムの時間軸が伸縮するような構造と構成になっており、どこか意識と身体に浸透するようなサウンドを生成している。意識と風景。サウンドとミュージック。マテリアルとアブストラクト。それらの関係が別の地点から結び直されていくような感覚を覚えた。アルバムを代表する曲ではないかと思う。
 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(ダニエル・ロパティン)はイーライのドラミング/サウンドを「バクテリアのよう」と彼らしい表現で語っているようだが、確かに、サウンドの中に粒子のように浸透する彼のサウンドと演奏は、微生物のような蠢きを持っているように思える。ドラム演奏の粒子化。そこから生まれる伸縮する時間軸を持った音響空間。知覚を拡張するという意味において、彼の音楽と演奏はそれ自体がアートであり、一種のインスタレーションでもある。

 となればフィジカル盤もまたそんな彼による最新のアートフォームといえよう。アートワークはレーベル主宰のひとりでもあるバルトロメ・サンソン。タイポグラフィと写真を効果的に活用したクールな出来栄えである。アナログ盤とCDのデザインを大きく変更している点も興味深い。アナログはタイポグラフィを効果的に使ったミニマルな仕上がりであり、CDはプラスチックケースに特殊印刷でタイポグラフィを印刷、盤面に写真をトリミングして印刷した仕様である。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの『Age Of』のCDデザインと同様に、CDだからこそ可能なアートワークといえよう。

DJ Sotofett - ele-king

 〈Honest Jon's〉からのアルバムで話題を集めたノルウェー出身のDJソトフェット、自身の主宰する〈Sex Tags〉などをとおしてロウファイ・サウンドを盛り上げている彼が来日します(紙エレ20号をお持ちの方は86頁をチェック)。今回は大阪、神奈川、東京、札幌の4都市をツアー。完全に未発表の作品のみをプレイするとのことですので(さらに pool の公演では限定7インチも販売予定とのこと)、お時間ある方はぜひ足を運びましょう。

異端ハウス/テクノ・レーベル〈Sex Tags Mania〉主催の DJ Sotofett が11月に来日ツアーを敢行。ツアー限定のスペシャル7”も同時リリース。

ノルウェーのモス出身で、現在はベルリンを拠点に活動中の〈Sex Tags Mania〉レーベルを DJ Fett Burger と共に主催する DJ Sotofett が、2018年11月に1年ぶりの再来日を果たす。
「Body Meta presents DJ Sotofett Japan Tour 2018」と題された今回のツアーでは、11/16(金)の NOON (大阪)を皮切りに全国4都市で5公演を行うことが決定している。
DJ Sotofett は、強烈にサイケデリックなディープ・ハウスからタフなテクノ・バンガー、はたまた捻れたダンスホール・レゲエや異形のジャングル、手作りエレクトロにヒプノティックなアンビエントまで、〈Sex Tags Mania〉に加え〈WANIA〉や〈Sex Tags Amfibia〉等のオフシュートを含む幾多のレーベルから、巧妙な変名を駆使しつつ多岐に渡るスタイルと一貫したサウンドデザインの元に大量リリースしている。
本年の日本巡業において、DJ Sotofett は自身の未発表作品“のみ”を使用してプレイするという新しい試みを行うこととなっており、全てのギグでこれまで貴方が耳にしたことのない未発表の作品及びリミックスの数々が披露される。
また、ツアーに併せて、DJ Sotofett feat. Osaruxo & Diskomo による限定7吋レコードが発売される予定で、こちらは11月18日のギグの会場である pool のみで販売される模様。
10代の大半をグラフィティ・ライター/B-Boyとして過ごした DJ Sotofett は、屈指のヴァイナル・ディガーとしても知られており、カルトな人気を誇る地下レーベルの首謀者ならではのミステリアスでトリッピーなプレイを堪能してほしい。
いくつかの会場では上記のレコードの他にもスペシャルなグッズ販売も行われる予定なので、ぜひ足を運んでみてほしい。

・レーベルサイト
https://sextags.com/
・RA:特集記事「Label of the month: Sex Tags Mania」
https://jp.residentadvisor.net/features/2599
・Discogs
https://www.discogs.com/artist/1158290-DJ-Sotofett
・Mix音源
https://www.mixcloud.com/CosmopolitanDance/cosmopolitan-dance-dj-sotofett-live-at-unit-20151017-part-1/

【ツアースケジュール】
MOLDIVE “5 Years Anniversary Special” feat. DJ Sotofett at NOON
11/16 (金) - 大阪

22:00 Open / Start
DJs: DJ Sotofett (Sex Tags Mania / WANIA), TAKE (Vibes), KAITO + g'n'b
VJ: HiraLion (BetaLand)
PA: yoko△uchuu
Advance: ¥2,000 | w/Flyer: ¥2,500 | Door: ¥3,000

DJ Sotofett at OPPA-LA - Special Sunset Session -
11/17 (土) - 神奈川

15:00 - 22:30
DJs: DJ Sotofett (Sex Tags Mania / WANIA), EYヨ (BOREDOMS), Changsie
Live: ifax!
Sound System: 松本音響
Door: ¥3,000
Info: 0466-54-5625
https://oppala.exblog.jp

Sex Tags Amfibia presents Sex Tags Set-Up Tokyo at pool
11/18 (金) - 東京

18:00 - 22:00
Live: DJ Sotofett & Osaruxo feat. Diskomo, Aonami
Door: ¥1,000
https://www.facebook.com/events/491861494630043/

Jetstream presents DJ Sotofett At PROVO
11/22 (木/祝前日) - 札幌

22:00 - 6:00
DJs: DJ Sotofett (Sex Tags Mania / WANIA), OCCA (Archiv / Jetstream), UMI (Jetstream)
Door: ¥1,500

Body Meta feat. DJ Sotofett at forestlimit
11/24 (土) - 東京

17:00 - 24:00
DJs:
DJ Sotofett (Sex Tags Mania / WANIA) - Exclusive 6 Hours Set
Akiram En B2B Diskomo - Warm Up DJ × Live Set
Advance: ¥2,000 | w/Flyer: ¥2,000 | Door: ¥2,500

https://www.residentadvisor.net/events/1176635
* Advance ticket available on RA (limited 30)

Body Meta SNS:
twitter: https://twitter.com/bodymetajp
instagram: https://www.instagram.com/bodymetajp/
Facebook: https://www.facebook.com/bodymetajp/
SoundCloud: https://soundcloud.com/bodymetajp

Kode9 & Burial - ele-king

 たぶんその解釈は正しい。スポンサー付きの牙を抜かれたレイヴからは死んでも見えないところ。ぼくは見ている。1992年にその場所にいたから。いまは亡きもの、思い出として。だが、その場にいなかったひとたちも想像して継承する。多少オリジナルとは別モノになろうが、時間を経ている分、文化としての辛酸も舐めている分、より本質を際立たせることができるかもしれない。よりコントラストは上がるだろう。ベリアルがまさにそうだった。その解釈はある意味正しい。Jungle Buddhaによる初期ハードコア・ジャングル、“Drug Me”がドロップされるとき、ぼくはこのミックスCDが意図するところを理解したし、ぼくの記憶も巻き戻しされる。
 たとえばゴールディーの『タイムレス』というアルバムがある。ジャングル(ドラムンベース)の最高潮の瞬間を祝福するものとしてのあまたの賞賛によって見えづらくなっているが、この作品は光よりも影が多いアルバムだ。じつは暗い作品で、ジャングルが初期から抱えている拭いがたい暗さを継承しているアルバムだ。
 1992年〜1993年の時点で、ジャングルのシーンはメディから見下されていた。クラブ系メディアがちやほやしていたのはバレアリック/プログレッシヴ・ハウスのシーンだった。やたらハードで、やたらラガで、しかもダークで、洗練とはほど遠いジャングルはせいぜい警察の天敵になるのが関の山だった。“Drug Me”という曲は、まあ曲名も曲名だが、いわゆるパーティ・ピープルも真っ青な、ジャングルにおけるもっともダークな部分が露呈したトラックだ。そしてこれをいまあらためて聴くとベリアルの原型であることがわかる。

 極論を言えば、クラインもオーケーザープもフットワークも、あるいはなぜか2曲も入っているルーク・スレイターも、このミックスCDにおいてはツマミのようなものだろう。後半には、(三田格が大好きだった)Friends, Lovers & Familyによる“The Lift”というトラックが待っている。まだイリーガルなアンダーグラウンド・レイヴが生きていた時代のテクノ系ブレイクーツのヒット・シングルのB面曲だ。そのトラックの後には、BPMのピッチ合わせなどクソ食らえとでも言わんばかりの強引なぶっ込みでミックスされるAK1200によるラガ・ジャングル、ディジタルのリミックスによる戦闘的なハードコア・ヴァージョンが待っている。
 それでいい。そこはスマートなハウスがかかる小綺麗なクラブなんかじゃない。DJもMCもダンサーもレイヴァーも、そこにいるほぼ全員がすでに時間の感覚を失っているのだ。彼らは週末が待ち遠しいのではなく、週末という概念などなくなってしまえと思っている。
 このCDには、全体的にチリノイズがかかっている。中古レコードの目安で言えば、VGクラスのノイズ。あたかも古く亡霊じみた風景を想起させるかのようだし、これが現在ではないことを強調しているかのようだ。これがかつてあったものであること、これが録音物であること、絶対的に現在ではないということ。その果てしないメランコリー。まさにベリアルの音楽。あるいはまた、ジャック・デリダの『マルクスの亡霊たち』、サイモン・レイノルズの「レトロマニア」、マーク・フィッシャーの「ホーントロジー(憑在論)」……日本盤のライナーは髙橋勇人だし。

 ドクター・フーでも007でもなんでも、トニ・ブレア以降のロンドンの風景、とくにテムズ川沿い、とくにロンドン・ブリッヂのあたりの風景を映画で見る度に、ぼくはいまも悲しみで涙を抑えきれない。90年代初頭、とめどくな広がるレイヴ・カルチャーを鎮圧させるために、ときの政府は軍の力も借りたし、法律さえも改変した。が、レイヴ・カルチャーを本当に終わらせたのは戦車でも法でもなかった。都市の高級化(ジェントリフィケーション)という経済政策によって、都市における社会主義的空間は一掃されたのだった。かつて人気のなかった倉庫街にはイタリアンレストランや洒落たカフェが並んでいる。スクオッターや犬を連れたヒッピー・アナキストの姿は見事に街から消えたし、多くのひとが居場所を失ったことだろう。
 これと同じことが、ぼくが90年代後半に暮らしていた代官山というエリアでも起きている。ある時期までの代官山には、七尾旅人がいうところのおじいちゃんおばあちゃんのコミュニティがあり、銭湯もあった。売れない芸術家や活動家も住んでいた。が、21世紀に入って、東京もロンドンを追いかけるように都市の高級化に向かい、やがてあたりは一変した。住む人も店も街並みもすべてが激しく変えられた。そして途方もなく大きな何かが失われた。メランコリーの根源はこの喪失にある。音楽は予言的であるという、ジャック・アタリの有名な科白にならって言えば、ダークコア・ジャングルほど来るべきメランコリーを激しく直観していた音楽もそうそうない。

 これはリリース前にからニュースになっていたコード9とベリアルのふたりによるミックスCD。Fabricの100番目のリリースを飾るに申し分のない配役であるどころか、いわばメタ・レイヴ・カルチャー・ミュージックという観点からも興味深い1枚である。というか、まさに焦点はそこでしかない。それは、ある時期を境にあまり語られなくなった初期ジャングルのむき出しのダークさにある。ふたりはその亡霊をいまここに展開しているというわけだ。

 モノマネとは契約しない。〈Stones Throw〉で働いていた当時、若きフライング・ロータスはピーナッツ・バター・ウルフからそう告げられたのだという。それが転機となったにちがいない。J・ディラの影響下にあった彼は以降、大胆にノイズを取り入れるなど自らの手でオリジナリティを確立することでビート・ミュージックを刷新、ヒップホップに大いなる変革をもたらしたのだった。衝撃をもって迎え入れられた2作目『Los Angeles』から早10年。今年は彼の設立した〈Brainfeeder〉もまた10周年を迎える。首魁たるフライローの巧みな舵取りのもと、ヒップホップはもちろん、ジャズやテクノなど隣接する諸ジャンルにまで少なからぬ影響を与えた同レーベルは、いまやあのジョージ・クリントンを擁する存在にまで成長を遂げている。

 では、彼と彼らが成し遂げたこととはいったいなんだったのか? 『別冊ele-king』最新号では、フライング・ロータスと〈Brainfeeder〉を大特集、さまざまなコラムやインタヴューをとおしてその功績を振り返っている。ケンドリック・ラマーとのコラボも記憶に新しいフライロー、ジョージ・クリントン、サンダーキャットのビッグ3を筆頭に、ドリアン・コンセプトとジェイムスズーによる対談やジョージア・アン・マルドロウのインタヴューも掲載。また、映画監督としてのフライローにも着目し、渡辺信一郎・佐藤大・山岡晃の3人に『KUSO』の魅力について語りあってもらった。

 さらに同号では、彼と彼らが拠点にするロスアンジェルスという場所にも光を当てている。フライローも〈Brainfeeder〉もけっして突然変異のごとくぽっと湧き出てきたのではない。彼らのまえには〈Stones Throw〉やロウ・エンド・セオリーというムーヴメントが耕した豊饒なる大地が横たわっていたのであり、フライローも〈Brainfeeder〉もそれと並走するかたちで新たな歴史を紡いでいったのだ。いわば「先輩」にあたる彼らについては、じっさいに現地の様子を知る大前至やバルーチャ・ハシム廣太郎が丁寧に解説してくれている。また、TREKKIE TRAX のふたりには、若い世代から見たLAの音楽シーンについて語ってもらった。

 とまあこのように、SONICMANIA でのステージを目の当たりにした直後だったせいか、ずいぶんと熱のこもった特集になっているので、ぜひとも手にとっていただければ幸いである。

【寄稿者】
天野龍太郎、大前至、小川充、小熊俊哉、河村祐介、木津毅、小林拓音、小渕晃、野田努、原雅明、バルーチャ・ハシム廣太郎、三田格、吉田雅史

contents

Flying Lotus

preface ジャズにクソを投げろ!――フライング・ロータスに捧げる (吉田雅史)
interview フライング・ロータス (三田格/染谷和美/小原泰広)
column 音楽の細分化に抗って――フライング・ロータス小史 (原雅明)
Flying Lotus Selected Discography (小林拓音、三田格、吉田雅史)
column ドーナツの輪をめぐる旅――フライング・ロータスとJ・ディラ (吉田雅史/大前至)
column 崩壊したLAの心象風景――フライング・ロータスの映画『KUSO』が描きだすもの (三田格)
interview 渡辺信一郎×佐藤大×山岡晃 健康なクソをめぐる特別座談会 (小林拓音)

Brainfeeder 10th Anniversary

column ブレインフィーダーはどこから来て、どこへと向かうのか――レーベル前史とこれまでの歩み (三田格)
my favorite 私の好きなブレインフィーダー (大前至、小熊俊哉、河村祐介、天野龍太郎、吉田雅史、小川充、木津毅、小林拓音、三田格、野田努)
interview ジョージ・クリントン (野田努/染谷和美/小原泰広)
interview サンダーキャット (小川充/萩原麻里/小原泰広)
column ブレインフィーダーに影響を与えた音楽――ジャズ/フュージョンを中心に (小川充)
interview ドリアン・コンセプト×ジェイムスズー (小林拓音/川原真理子/小原泰広)
interview ジョージア・アン・マルドロウ (吉田雅史/バルーチャ・ハシム廣太郎)
Brainfeeder Selected Discography (小川充、小林拓音、野田努、三田格)

LA Beat

interview TREKKIE TRAX (Masayoshi Iimori & Seimei) (小林拓音/小原泰広)
correlation chart LAビート・シーン人物相関図 (吉田雅史)
column 世界を変えたムーヴメント――ロウ・エンド・セオリー盛衰記 (バルーチャ・ハシム廣太郎)
column LAビート・シーンの立役者――ストーンズ・スロウの物語 (大前至)
Stones Throw Selected Discography (大前至)
column ギャングスタ・ラップからLAが学んだもの――西海岸サウンドの系譜 (小渕晃)
LA Beat Selected Discography (大前至、小林拓音、野田努、三田格、吉田雅史)

冬にわかれて - ele-king

 「シティポップ」のリヴァイヴァルが2012年ころから喧伝され、沢山のミュージシャンがその呼称に含まれることに違和感を表明しながらも、結果として「都市の音楽」としてのシティポップを磨きあっていた頃から、寺尾紗穂はそのような時流などどこ吹く風といった風情で、軽やかにピアノを弾きながら自分の歌を歌っていた。そしてそれは、本来的な意味におけるシティポップの美しさ(都市に生き、考え、人を眼指す音楽の美しさ)が、彼女が血肉としてきた音楽と、今を見つめる視点によって、とてもみずみずしい形で息づいているものでもあった。
 しかし彼女にとって、きっと自分の音楽がどんな呼称で評されるか、そんなことはどうだっていいだろう。私はそれがとても嬉しかった。今、音楽を音楽のままだけにしておけるというのは、とっても稀有な才能だから。
 だから、アルバム『楕円の夢』で寺尾紗穂という稀代のシンガーソングライターとともに仕事をする機会を得た私は、彼女の音楽にある何者にも冒し難い清廉を、いかにしてそれが清廉であるまま人々の耳にとどけるかに努めた。早いもので、それから3年半が経った。『楕円の夢』の日々は、音楽制作者としての私の人生において、最も美しい時間でありつづけている。

 「冬にわかれて」は、寺尾紗穂と、これまでも彼女のソロ活動を支えてきたあだち麗三郎、伊賀航というふたりのミュージシャンによる「バンド」である。
 コミュニティの生まれる最小単位である3人というトライアングル、その形態を慈しむように、彼らはそれをバンドと呼んだ。シンガーソングライターとそのサポート・ミュージシャンというにはあまりに有機的な音楽表現主体になっていたこの3人の関係を素直に発展させたとき、自然とバンドという見えない紐帯が浮かび上がってきたのだろう。

 今作『なんにもいらない』は、そんな3人の間に流れる空気をそのままに閉じ込めたようなデビュー・アルバムだ。
 昨年 7 inch でリリースされたシングル“耳をすまして”を始め、寺尾作の曲では、歌と演奏の相関はより密接となった。あだちのドラムスは、寺尾のピアノにも増して全体を包み込むように駆動していく。ときに響く彼のサックスも、アレンジという枠を超えて、鮮やかな肉感を楽曲に与えていく。盤石であり、ときにトリッキーな伊賀のベース・プレイは、サポート・プレイの際の寺尾に付き従うような奥ゆかしさをかなぐり捨て、バンドとしての「合奏」を大胆に形作る。そして、彼らふたりによって提供された“君の街”と“白い丘”(伊賀作)、“冬にわかれて”(あだち作)では、寺尾紗穂の記名的歌声がこれまでと違った旋律、違ったリズムに乗ることで、バンド作品でしか生まれえない好ましい異化作用とでもいうべきものが引き出されている。特に、伊賀がギター演奏を披露する“白い丘”の新鮮さはどうだろう。ゲスト参加の池田若菜による流麗なフルートを交えた、あのカエターノ・ヴェローゾにも通じるようなエヴァーグリーンな和声感覚を湛えたこの曲は、緊張感あるメロディーを寺尾が切々と歌うことによって、小品ながらまったくもって素晴らしい楽曲となっている。

 そしてもちろん特筆すべきは、寺尾作の各曲の充実ぶりだ。モータウン・ビートを大胆に取り入れた躍動的な“月夜の晩に”は、珍しくコーラスも交え、清涼感溢れるシティ・ソウル。アブストラクトな演奏がかえって詩情を引き寄せる“なんにもいらない”と、暖色のフォーキーとも言うべき“優しさの毛布でわたしは眠る”の豊かさ。「君が誰でもいいんだよ ただ今伝えたいことは プリンの美味しいあの店の場所と それがどれほど美味しいか」というチャーミングな一節が、日常を生きる私とあなたの背中を優しく押してくれるような、終曲“君が誰でも”の零れるようなポップネス。そのどれもが、彼女がかつて私に「普通に生きていると歌が生まれてくるんですよ」と笑いながら語ってくれた通り、生活者としての寺尾紗穂の視線にしっかりと貫かれている。そういった意味で、各曲の詩作は、そのどれもがとても「今」であり、その「今」の匂いが聴くものの胸を温めたり、ときにはハッとさせる。

 音楽が音楽そのままでいるということ。「冬にわかれて」の3人は、そんな、貴くてこわれやすいことを得意とする、不思議な人たちだ。私たちも、届けられた音楽がこわれないように、大切にこの作品を聴き継いでいきたい。
 私たちが耳をすませば、この音楽は、音楽そのままの形のままでずっと、私たちに寄り添ってくれるだろう。

Niagara - ele-king

 ポルトガルの〈プリンシペ〉というレーベルがクゥドロをリリースしはじめたとき、それは本当に斬新でモダンなダンス・ミュージックであった。正直、〈プリンシペ〉よりも10年前にクゥドロを先導していたDJアモリムやDKカドゥはまったく垢抜けず、ワールドワイドに知れ渡ることがなかったのも当たり前だと思えた(筆者は2008年にブラカ・ソム・システマのデビュー・アルバムで初めてクゥドロを知ることになった。だから、それ以前のものは遡って聴いただけ)。旧世代ではDJネルヴォソだけが〈プリンシペ〉にサルヴェージされ、作風もアップデートされたものになっている。〈プリンシペ〉はごく初期にフォトンズというポルトガルでは2006年からレコードをリリースしていた中堅のハウス系プロデューサーをレーベルに迎え入れていたので、クゥドロを土着サウンドとして温存するのではなく、ハウスというフォーマットの中で都会的な洗練を施そうという意志を持っていたことは明らかだったと思う。そして、DJニガ・フォックスやB.N.M、あるいはパリのニディア・ミナージュがそのラインで流れ出していったのである。しかし、その中にレーベル番号で言えば3番という早い時期のリリースにもかかわらず、なかなか意図不明なリリースが含まれていた。ナイアガラである。アルベルト・アルルーダ、アントニオ・アルルーダ、サラ・エッカーソンからなり、ノヴォ・ムンドの名義では普通にハウスもやっている3人組が2013年にリリースした事実上のデビュー・シングル「Ouro Oeste」はクゥドロとはまったくかけ離れ、ハウス・ミュージックとしてもどこかしっくりとこないものであった。僕はしばらくすればナイアガラは〈プリンシペ〉を離れ、同じポルトガルの〈エンチュファーダ〉辺りに移るだろうと思うほど〈プリンシペ〉の路線ではないと思っていたぐらいで、それが〈プリンシペ〉における3枚目のアーティスト・アルバムはDJニガ・フォックスでもなければCDMでもなく、まさかのナイアガラだったのである。そして案の定というか、これがやはりダンス・アルバムではなく、初めて9月に聴いてからすでに1ヶ月、いったいこれはなんだろうと思いながら何度も聴き返してしまうことになった。何度聴いても過去の引き出しのどこにも収まってくれない。もう一度、もう一度……

 ポップでもなければ、実験音楽でもない。最初はスフィアン・スティーヴンスやコス/メスがシリーズ化しているライブラリー・ミュージックを狙ったものかなと考えた。冒頭から変調させた声がミニマルというか、循環コードに絡みつき、アンビエント・ミュージックにしては賑やかな情景描写が展開される。このパターンが何曲か続き、ダンス・ミュージックでないことははっきりしてくる。いわゆるヒプノティックな効果は期待されているようで、メンタルに訴えかけようとはしているものの、トリップ・サウンドの要素はなく、特異な世界観に引きずり込まれることはない。なんというか、抽象的でとても醒めている。調べてみるとアルベルト・アルルーダは〈プリンシペ〉と出会う前にノイズやポスト・ロックのバンドで活動していた過去があり、それがどんな音楽だったのかということまではわからなかったものの、実験音楽やアヴァンギャルドにありがちな理性的で酩酊感のない音楽であろうとする感覚は残っているということなのだろう。ノイズやポスト・ロックにありがちな攻撃的要素をすべてスタティックなパーツに置き換えて全体像を組み立て直したという感じかもしれない。それでいてミュジーク・コンクレートに通じる面はまったくないのだから独創的としか言えない。何度も聴いているうちにどこにもなかった扉が開いて自分の中に新たな引き出しが生まれたような気になってきた。違和感が既視感にすり替わったというか。

 後半になると控えめながら、ほとんど曲でパーカッションがフィーチャーされる。催眠的であることに変わりはなく、ポップでも実験的でもないことは変わらないのに、どことなく理性的ではなくなり、知らず識らずのうちにトリップ・サウンドに紛れ込んでいるような体験になっている。“Damasco”“Siena”、そしてポルトガルなのになぜかイタリア全土を統一に導いた“Via Garibaldi”と続く流れは実に素晴らしく、“Matriz”であっさりとアルバムが閉じられてしまうと、え、ちょっと待ってよ、もう一度という気持ちになってしまう(出来の良くないハウスを追加したボーナス・トラックは興ざめ)。ここでやはり今年前半の白眉だったと言えるドゥ・レオンのミニ・アルバム『De Leon』を思い出すのが順当だろう。ナイアガラに比べてテクノのフォーマットにすんなりと順応しているドゥ・レオンは絶対に正体を明かさないユニットとして登場し、ガムランとカポエラにダブを取り入れたサウンドでテクノとワールド・ミュージックの垣根を完全に取り払ってしまった(“A3 Untitled”は確実にベーシック・チャンネルの先をいっている。1年以内に必ずマーク・エルネスタスがリミックスか何かで関わろうとするだろう)。2本のカセットに続いてリリースされたデビュー・アルバムは〈オネスト・ジョン〉傘下の〈マナ〉からリリースされ、その瞑想的なダンス・サウンドはナイアガラ『Apologia』で「それ以上、先に行ってはいけない」と釘を刺されていた領域にズンズンと突き進んでいく。この2枚を続けて聴くことは、結末を読むのが怖い昔話を読むような体験に似ているような気がする。

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