「P」と一致するもの

Saho Terao - ele-king

 寺尾紗穂のニュー・アルバムが6月25日にリリースされる。これまでも『わたしの好きなわらべうた』のように、日々を暮らす人民の歌と向かいあってきた寺尾紗穂。その新作は『わたしの好きな労働歌』と題されている。日本各地の、いまとなってはほぼ忘れられた歌たちに新たな息が吹き込まれているにちがいない。現在、先行シングルとして “エンヤマッカゴエン” の配信が開始している。これは山形は最上の、「寝させ唄」だそうだ。6月21日には草月ホールでライヴもあります。詳しくは下記を。

”歌はいつも仕事の隣にあった” 寺尾紗穂多彩なゲストアーティストを迎えたコンセプトアルバム「わたしの好きな労働歌」発表

寺尾紗穂が『わたしの好きなわらべうた』(2016)、『わたしの好きなわらべうた2』(2020)に続く、新たなるコンセプトアルバム「わたしの好きな労働歌」を6/25に発表する。

今作では、寺尾がライブで全国を訪れる中で見つけた楽曲や、アートプロジェクトのリサーチで出会った楽曲がおさめられており、古くから日々の暮らしの中で育まれ、さまざまな心情を纏って日本中で歌われてきた労働歌を中心に、行事歌や子守唄などを含めて13編を収録。
あだち麗三郎、伊賀航、歌島昌智、小林うてな、近藤達郎、チェ・ジェチョル、やぶくみこ、大熊ワタル、音無史哉、Altangerel Undarmaaといったゲストプレイヤーを迎えて新たなアレンジを吹き込んだ。
岩手の行事歌「あらぐれ」では、折坂悠太とのデュエットも収録される。

5/14には第1弾先行配信シングルとして、山形・最上の船歌から生まれ、寝させ唄として伝わる「エンヤマッカゴエン」を、6/11には第2弾先行配信シングルとして、東京・板橋に伝わる、麦打ちの時に歌われた労働歌「板橋の棒打ち歌」が先行配信リリース。
また、6/21に開催される東京・草月ホールのワンマンライブではアルバムの先行販売も実施。

労働歌を通して過去と現在を繋ぎ、日本の歴史や社会性をも紐解く寺尾紗穂の本質とも云える作品となっている。

寺尾紗穂コメント

月ぬかいしゃなど一部の知られた曲を除き、 収録した歌の多くはすでにその土地でも忘れられています。なんとか歌を残そうとした40~50年前の人たちののこした記録によって、 出会うことができた曲たちです。ふるさとにかつてこんな歌があったのか、 と思いを寄せてもらえたらうれしいです。

アルバムリリース情報

発売日:2025年6月25日(水)
品番:KHGCD-005
定価:¥3,300(本体¥3,000)
発売元:こほろぎ舎
販売元:PCIMUSIC

【収録曲】
01 島根「佐津目銅山鉱夫歌」(出雲市佐田町)
02 山形「エンヤマッカゴエン」(最上郡真室川町安楽城)
03 福岡「ずくぼじょ」(八女市豊福、大牟田市)
04 東京「ひとつとせ」
05 岩手「あらぐれ」(和賀郡和賀町山口)
06 愛媛「浜子歌」(今治市大三島町口総)
07 東京「田うない」(板橋区徳丸)
08 愛知「せっせ」(豊田市稲武)
09 東京「籠の鳥より」
10 兵庫「宍粟の守子歌」(宍粟郡千種町奥西山)
11 高知「宿毛田植え歌」(宿毛市仲市)
12 沖縄「月ぬかいしゃ」(八重山地方)
13 東京「板橋の棒うち歌」(板橋区)

「エンヤマッカゴエン」配信リンク
LinkCoreYoutubebandcamp

公演情報
寺尾紗穂
草月ホール公演(予定販売枚数終了、当日券販売あり)

2025年6月21日(土)
開場17:00 /開演18:00
一般指定席¥7,000/中~大学生指定席¥5,000/子ども指定席¥4,000
※未就学児童は、保護者1名につき、膝上観覧1名まで無料。
赤坂・草月ホール
東京都港区赤坂7丁目2-21

出演:寺尾紗穂、あだち麗三郎、伊賀航、歌島昌智、音無史哉、折坂悠太、小林うてな、近藤達郎、やぶくみこ

お問い合わせ
HOT STUFF PROMOTION
050-5211-6077(平日12:00~18:00)
https://www.red-hot.ne.jp/

Mark Stewart - ele-king

 マーク・スチュワート、2023年に早すぎる旅立ちをしてしまった、音楽家としてもヴォーカリストとしても、あるいはアジテーターとしても稀代のアーティスト。シーンの土台作りにも尽力を尽くしたブリストルの英雄が生前録音し、急逝する直前に完成していたアルバムがあったと。それが8作目のソロ・アルバム『The Fateful Symmetry』となる。

 最近リリースされたシングル「Neon Girl」には、元ザ・レインコーツのジーナ・バーチがバック・ヴォーカルとして参加、プロデュースはYouth。アルバム『The Fateful Symmetry』は2025年7月11日にリリースされる。

マーク・スチュワートは自らのヴォイスを純然たる主観的内面性の表現としてではなく実験用動物の咆哮、怒りに満ちた金切り声、非個人的な熾烈さの連なりとして扱う。その声は切り刻まれ、ノイズ‐ハイパーダブな音の景観に改めて配布し直され、デュシャン的なファウンド・サウンドやかつて楽器だったものを凶悪にねじ曲げることで作り出されたノイズと混ぜ合わされる。
——マーク・フィッシャー『K-パンク 自分の武器を選べ』(坂本麻里子訳)より

 The Pop Group、Mark Stewart & Maffia、そしてソロアーティストとして、スチュワートはDIY精神、急進的な政治思想、プロテスト運動、哲学、テクノロジー、アート、詩といった要素に根ざした先駆的な作品群を世に送り出してきました。『The Fateful Symmetry』は、ガーディアン紙が評した通り「崇敬されるカウンターカルチャーの音楽家」としての彼の存在を証明し、最良の時代と同様に大胆かつ先見的なサウンドを展開しています。
 本作は、スチュワートの尽きることのない創造性と、内省的かつ力強いアーティストとしての一面を強く打ち出す作品でもあります。極めて表現力に富んだ革新的なアルバムであり、より良い世界を願う、激しくも美しいマニフェストです。
 唯一無二で、常に常識の枠を越え続けたアーティスト、マーク・スチュワート──その魂は今も響き続けます。
 なお、日本盤には、日本をこよなく愛してきたマークから日本のファンのために、ボーナストラック1曲とオリジナルには収録されていない英語歌詞及び日本語対訳が特別に収録されることが決定しました。

マーク・スチュワート (Mark Stewart)
ザ・フェイトフル・シンメトリー (The Fateful Symmetry)
Mute/Traffic
2025年7月11日(金)発売
解説:小野島 大
日本盤のみオリジナル英語歌詞及び日本語対訳(オリジナル盤には歌詞無し)の掲載と
ボーナストラック1曲収録が決定!

Tracklist
1. Memory Of You (先行シングル)
2. Neon Girl (第二弾シングル)
3. This Is The Rain
4. Everybody’s Got To Learn Sometime (Bébe Durmiendo Cumbia Bootleg)
5. Stable Song
6. Twilight’s Child
7. Crypto Religion
8. Blank Town
9. A Long Road
10. Memory No.9 日本盤のみのボーナストラック


■Pre-Order
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Jane Remover - ele-king

 ハイパーポップ/デジコアというムーヴメントを近くで見守ったり、遠目に眺めたりして過ごすうちに、気づけば4、5年ほどの月日が経った。ここ日本でも先日、シーンの渦中で活動するSSW・lilbesh ramko主催の「さようなら、バビフェス。」という、コロナ禍に端を発するハイパー・シーンの躍進を象徴したようなイヴェントが開催され、会場には1300人超のキッズが押しかけるまでに達した。

 ただ、昨年にはPitchforkにて「The Lost Promises of Hyperpoptimism(ハイパーポプティミズムの失われた約束)」というコラムも発表されるなど、国内外において「ハイパー」の終焉が叫ばれはじめて久しい。もはや数年前「ハイパーポップ」と呼ばれていた現象は黎明期をとっくにすぎ、新たな揺籃期を迎えたと言えるだろう。

 そんなハイパー・ムーヴメントの発展と並走するようにして数年間で成長を遂げた「パンデミック世代」のアーティストは枚挙に暇がないが、その代表的存在として挙げられる人物が、ジェーン・リムーヴァーという2003年生まれのアーティストだ。

 ジェーンは、パンデミック中にSoundCloudやDiscordを「Dltzk(デリートズィーク)」名義で行き来し、「デジコア」(*ハイパーポップから派生し、トラップ~クラウド・ラップに接近したマイクロ・ジャンル)シーンにおけるアンセムをいくつもリリースしてきた。
 同シーンの先駆者として世界中のユースの支持を集めてきたジェーンは、(2010年代のヴェイパーウェイヴ・ムーヴメントがそうであったように)サブ・ネームを複数持ち、なかでも「leroy(リロイ)」(c0ncernとも)という名義で発明した「ダリアコア」(大量のサンプル・ソースとクリッピング極まった音像で構成されたコラージュ的サブ・ジャンル)は賛否両論あれ、「ハイパー」を考える上で避けては通れないエポックメイキングな作品群だった。ジェーンが発明した往年のヒット・ソングを大量にマッシュアップするというジョークのような手法が、ほかのアーティストに自身なりの解釈である「◯◯core」を次々と発表させ、いまでは新たな音楽ジャンルとして一定の定着まで見せてしまっているのだから。

 そんなジェーンの新作『Revengeseekerz』は、タイトルを直訳すると「復讐の探求者(たち)」というニュアンスになる。本作に込められた「復讐心」とは、なにに向かうものなのか?

 〈PAPER〉が実施したインタヴューで、ジェーンは本作を「盲目的な怒り」のアルバムであると述べ、かつてのクィア・ポップスター、ジョージ・マイケル(ワム!)の名を挙げつつ深いリスペクトを捧げている。そもそもハイパーポップというムーヴメントの根底には閉塞感を打破しようとする衝動だけでなく、日陰の存在と扱われたクィアが胸を張って生きるための音楽である、という精神性も含まれている。アメリカを中心に多様性が再び否定されゆく時代に陥ったいま、『Revengeseekerz』はそうした圧力に抵抗するためのレベル・ミュージックである、と読み替えられなくもない。

 アルバムを通して聴いていくと、3曲目の “Star people” では中盤2分半あたりで突然スロー・ダウンし、生のベースとギターにトラップのハイハットが混じり合った、インディ・ロックとトラップのキメラのような展開に移行する。ジェーンの固有性はこういったアプローチに宿っている。

 「デジコア」というマイクロ・ジャンルは、ヒップホップに直結させるより、その手法を換骨奪胎した上でメロコアやエモのようになっていった、「オートチューンの効いた新しいインディ・ロック」とでも解釈するほうが正しい、というのが持論だ。そう見ると、デジコア・シーンではそれが当然の流れのように、数多くのアーティストがギター・ロック的な要素を自作に取り入れていった。

 ただ、ハイパーポップから枝分かれしたデジコアはその性質上、インディ/オルタナティヴ・ロックの意匠を参照しつつも、結果的にはトラップやEDMの持つ引力に引っ張られていることが珍しくない。そんななか、ジェーンはインディ・ロックに漸近していくようなアプローチをここ数年続けており、見事に新しい折衷感覚を提示してみせた。これは明確にジェーンのメロディラインや編曲のセンスが開花した結果といえるだろう(ジェーンはインディ・ロックに真正面から挑戦する「venturing」という架空のバンド・プロジェクトも手掛けており、アルバム『Ghostholding』を本作と同時制作していた。ジェーンの多面性はこうしたアプローチにも感じられる)。

 後半にかけての展開は本作の白眉だろう。デジコア世代の新たなクラブ・バンガーである “Dancing with your eyes closed” やシューゲイザー的解釈のバッドトリップ・ソングの “Dark night castle” も素晴らしいけれど、とくにラスト・ナンバーの “JRJRJR” はインディ・ロックの意匠とデジコアの方法論を折衷しつつ、まったく新たなものとして提示して見せた出色の出来といえる。

 リリックで「I might ball out on a new face, change my name, then my city(新しい顔を見つけて、名を変えて、住む街を変える)」とも言っているように、ヴェイパーウェイヴの始祖のひとり・ヴェクトロイドのスタイルに影響を受けたジェーンは、かつてたくさんの顔を持っていた。「So should I change my name again?(また名を変えるべきかな?)」と不安げにこぼしたそばから「JR, JR, JR」と自身の名を何度も叫ぶ。匿名性を破棄して、ジェーン・リムーヴァーとして前に進むという決意表明のようにも伝わってくるメッセージだ。それもまた、なにかに対する復讐なのだろう。

 そういえば、以前ele-king編集長・野田さんに「いまって、フロアでかかると沸くようなアンセムはないの?」と訊かれ、答えに窮したことがある。自分が間近で観測しているクラブ・シーンは一枚岩ではないから、確たるアンセムというのが思いつかなかった。

 いまでは、「ポスト・ハイパー」的な場におけるアンセムなら、自信をもって1曲挙げることができる。それは本作に収録された “Dancing with your eyes closed” にほかならない。この曲のMVで描かれたようなフロアが今日も世界中のどこかに現れ、陰のある若者たちを夢中にさせている。

*6/17追記:内容に一部誤りがありましたので訂正しました。

MAJOR FORCE - ele-king

 1988年に高木完、藤原ヒロシ、屋敷豪太、工藤昌之、中西俊夫によって設立された日本初のクラブ・ミュージック専門レーベル〈MAJOR FORCE〉。その黎明期を彩ったフライヤーを中心に展示する“RETURN OF THE ORIGINAL ART-FORM featuring MAJOR FORCE~’80s-‘90s TOKYO FLYERS EXHIBITION”が神泉のギャラリー〈JULY TREE〉にて開催される。
 これは〈MAJOR FORCE〉の日= 5月4日(“May the 4th”)にて、再始動第1弾シングル『MURDER FORCE 2025 REMIX feat. LEO今井』配信にともなう企画で、ほかにもいろいろ東京クラブ・カルチャーのフライヤーが展示される模様。しかも、『DUB入門』のなかでも野田が〈MAJOR FORCE〉クラシックの1枚に挙げている『GRASS ROOTS DUB』、SKATE THINGグラフィックによる同作ジャケをモチーフにしたコラボTも限定発売される。行きましょう!



『RETURN OF THE ORIGINAL ART-FORM featuring
MAJOR FORCE~’80s-‘90s TOKYO FLYERS EXHIBITION』

会期:2025年5月17日(土)~5月31日(土)
会場:JULY TREE(ジュライ・トゥリー)
企画協力:MAJOR FORCE PRODUCTIONS 、FILE RECORDS、SSAA(somewhere sound art association), KxLx5 Personal Collection

■MAJOR FORCE (メジャーフォース)
MAJOR FORCEは、1988年にMELONのメンバー中西俊夫、K.U.D.O、屋敷豪太と、Tiny Punxの高木完、藤原ヒロシの5人によって設立された東京を拠点とするプロダクション&レーベルカンパニーである。
Wild BunchのDJ Miloと制作した「Return of Original Art Form」や、Tiny Punxの「Last Orgy」など、世界的に話題を呼び、高橋盾やNIGO®など、後の原宿シーンにも大きな影響を与えました。
1990年代には、中西とK.U.D.Oはロンドンに拠点を置き、Major Force Westを設立し、Mo Waxから重要な作品をリリース。その後レーベルは一時休止状態でしたが2018年に30周年を迎え、復活。現在はK.U.D.Oと高木の2人を軸に活動をしている。

『RETURN OF THE ORIGINAL ART-FORM featuring MAJOR FORCE~’80s-‘90s TOKYO FLYERS EXHIBITION』
会期:2025年5月17日(土)~5月31日(土)
※詳しい営業日等お問い合わせについてはJULY TREE 公式Instagramにてお願いいたします!
会場:JULY TREE(ジュライ・トゥリー)
入場料:500円(税込)
企画協力:MAJOR FORCE PRODUCTIONS 、FILE RECORDS、SSAA(somewhere sound art association)、KxLx5 Personal Collection

タイトル:MURDER FORCE 2025 REMIX feat. LEO今井
リリース日:2025年5月4日(“May the 4th”)
レーベル:MAJOR FORCE
配信:Spotify / Apple Music 他 各種ストリーミングサービスにて順次開始
• ヴォーカル:LEO今井
• ギター:立花ハジメ
• ビート原案:中西俊夫(ブレイクビーツ)
• グラフィック:浅野忠信による原画を2025年仕様でリミックス
・配信リンク:https://big-up.style/D91RIArAh8

JULY TREE(ジュライ・トゥリー)
住所:153-0042
東京都目黒区青葉台4-7-27 ロイヤルステージ01-1A
・HP: www.julytree.tokyo
・Instagram:@july_tree_tokyo
・Twitter: @julytree2023
*営業日時間等お問い合わせについてはJULY TREE 公式Instagramにてお願いいたします。

Joseph Hammer (LAFMS)JAPAN TOUR 2025 - ele-king

 ウエスト・コースト・フリーク・ミュージック・シーンを代表するコレクティヴ=Los Angeles Free Music Society (LAFMS)に在籍し、テープ・マニピュレーションに独自の境地を開拓したJoseph Hammer が 11 年ぶりに来日します。
 自身のソロアクトのみならず、催眠術師でもあるパートナーの Sayo Mitsuishiとのデュオ Swinging Chandeliers としての演奏や、幼馴染のCarl StoneとのユニットLubaoによる公演などを、大阪、東京、神奈川で開催します。

2025年
5月18日(日)
「LAFMS と遊ぶ」
大阪・複眼ギャラリーhttp://fukugan.net/
13:00-16:00
Swinging Chandeliers (Joseph Hammer+Sayo Mitsuishi)
DESTROMO(大野雅彦)

6月3日(火)
東京・代々木上原hako galleryhttp://hakogallery.jp
Joseph Hammer
Lubao (Joseph Hammer+Carl Stone)
T.Mikawa(Incapacitants)+A VIRGIN

6月4日(水)
中原昌也誕生会 -おめでとう55歳-
神奈川・日ノ出町シャノアールhttps://www.instagram.com/chatnoir_hinodecho
Open 18:00/Start 19:00
【TALK】
中原昌也×三田格×TAXIM
【LIVE】
Swinging Chandeliers (Joseph Hammer+Sayo Mitsuishi)
2MUCH CREW
QUEER NATIONS+more
【DJ】
PatchADAMS
HappySet(カントリー田村+テンテンコ)
山辺圭司(LOS APSON?)

※詳細はこちらのXアカウントの今後をご確認ください @savemasaya1

⚫︎Joseph Hammerとは
文・坂口卓也(NEUREC主催)

Joseph Hammerは1959年に米国カリフォルニア州のハリウッドで生まれた。今年66歳の筈だが、Los Angeles Free Music Society(LAFMS)の実働体としては最も若い。彼は1980年からLAFMS 外のユニットであるPoints of Frictionのメンバーとして音楽活動を始めた。当初彼はオプティガンやギズモトロンを演奏していたが、サウンドエンジニアとしての才能に秀でていたので、楽器は演奏せず音の調整に専念することでユニットに寄与することも少なくなかったようだ。

そして彼は1982年にRick PottsとのデュオであるDinosaurs with Hornsとして活動を始めた。この時、彼がLAFMSに参加したと見做すことができる。このDinosaurs with HornsにWorld Imitation Productionという秘密結社めいた団体で活動していたSteve Thomsenが参加し、1992年にSolid Eyeが始動した。やはりJosephはサウンドエンジニアリングの才能によってこのユニットに寄与していたのだが、1998年にハワイに居た時、オープンリール・テープ・デッキを使って音楽をミックスする全く新しい方法を発見する。

彼はオープンリール・テープ・デッキのマニアで、スリフト・ストアで4ドル程度のデッキを見つけては購入していた。磁気テープを切り出し、その両端を繋げたループをデッキで再生して遊んでいたが、その時に並行して録音と消去を行う演奏法を発見する。録音はデッキに外部から入力を送りこむことによって行った。

通常、最初ループに録音されている音は新たな録音によって消え去るが、Josephは手作業で録音ヘッドと磁気テープの間に隙間を作り出す。そうすると、元々テープに録音されていた音の一部が残存し、外部から導入した音の一部がそこに被さるのだ。つまり、究極的にアナログな音のミックスが成立する。彼は消去ヘッドに対しても同様の手作業を行い、音の一部を残し一部を抹消する作業を行った。この作業によって、一本のテープ・ループをデッキで回し続けて行けば最初の音はどんどん変異して行く訳だ。

以降JosephはDinosaurs with Horns、Solid Eyeでの活動と並行してソロ演奏家として活躍する。2003年のファースト・ソロ “Dynasty Suites” を皮切りに6つのアルバムを発表しているが、日本のArt into Life から2014年に発表した“Roadless Travel” は彼の代表作だと言って良い。

さて、このようにしてソロ演奏者としての活動を始めたJosephは新しいユニット活動にも意欲的だ。サンフランシスコ在住のTomas DimuzioとのDimmerは2007年の “The Shining Path” 以降4つのアルバムを発表している。今秋にはHammer、DimuzioとScot Jenerikが日本ツアーを行うことが決まっているが、その時にDimmerの片鱗を聴くことができるかも知れない。

それに先行する今年5月には、Josephがパートナーであり催眠術師でもありアーティストSayoと結成したSwinging Chandeliersの演奏が日本で披露される。Sayoは透明シートに両手で同時に絵を描き、オーバーヘッドプロジェクターでそれを投影。Josephはこれに呼応する形の演奏を行う。

同じハリウッド出身の著名な電子音楽家Carl StoneとはLubaoを結成しているが、JosephとCarlの家はすぐ傍で、幼い頃から一緒に育ったらしい。

今年は春にSwinging Chandeliers、Lubao、そしてJosephのソロ演奏が日本で展開される。秋にはTomas Dimuzio、そしてScot Jenerikとのパッケージ・ツアーで来日するJosephの様々な活動を是非ご覧頂きたい。

Hüma Utku - ele-king

 本作『Dracones』は、イスタンブール出身で現在はベルリンを拠点に活動するサウンドアーティスト、フーマ・ウツクによる最新アルバムであり、先鋭的な電子音楽レーベル〈Editions Mego〉からのリリースとなる。シネマティックなアンビエントからノイジーな電子音までが横溢し、スケールの大きな音響世界が広がる、意欲的かつ完成度の高い電子音楽/電子音響作品だ。

 ウツクのデビュー作は、2019年にベルリンのレーベル〈Karlrecords〉から発表された『Gnosis』である。ちなみに〈Karlrecords〉は、現代音楽および電子音楽の巨星イアニス・クセナキスの電子作品の再発も手がけており、実験音楽における重要な拠点のひとつだ。2022年には、すでに〈Editions Mego〉から『The Psychologist』を発表しており、彼女の音楽は着実に深化と進化を続けてきた。
 これまでのウツク作品には一貫して、幽玄さとダイナミズムが交錯する、見事に構築された音響的美が存在していた。そして、この新作『Dracones』もまた、その流れを継承しつつ、さらに深い感情の領域へと踏み込んでいる。切迫感や危機感を孕んだ音響は、一見瞑想的であるが、同時に暴力や脅威から身を守ろうとするような防衛本能や恐怖をも喚起する。言い換えれば、本作は「瞑想」と「恐怖」という相反する感情が絶妙に同居した音楽であり、「緊張」「不穏」「解放」といった情緒が複雑に折り重なっている。こうしたムードは、この種のシンセティックな電子音楽の中でもきわめて異色の存在感を放っている。

 本作『Dracones』は、ウツクが新しい命を授かった経験を出発点として生まれた作品だという。彼女自身の言葉を借りれば、「感情的、肉体的、精神的、霊的」な体験のすべてが、この音楽に折り込まれている。親になることへの根源的な不安。そうしたきわめて個人的かつ実存的な体験が、音へと昇華されているのだ。前作『The Psychologist』がカール・ユングの心理学的理論にインスピレーションを得ていたのに対し、本作はより深い個人史の内奥から出てきた音楽である。しかし、それは決して独白にとどまらず、聴き手を包み込むような普遍的な美しさと緊張感をたたえている。
 このような表現が可能になったのは、何よりもウツクの電子音に対する比類なき構成力によるものである。たとえば1曲目“A World Between Worlds”は、低音のドローンに始まり、持続するオルガンのような響き、声と電子音のあわいをゆく音、ノイジーなテクスチャが重なり合い、濃密かつドラマチックな音響空間を築いていく。2曲目“Comfort Of The Shadows”では、機械的なリズムに細やかなノイズが刻まれ、不安定なパルスが空間を切り裂く。3曲目“A Familial Curse”では、針のように鋭い電子音とアルペジオが緊張感を生み、そこに鼓動のようなキックが加わることで、インダストリアルな世界が立ち上がる。4曲目“Here Be Dragons”は、ノイジーなドローンの中から、やがて「声」のような響きが現れ、混沌の中に人間的な感触をもたらす。
 以降もアルバムは、「安定と不安定」「構築と崩壊」のはざまを往復しながら進行する。5曲目“Care In Consume”では、静かなノイズが少しずつ厚みを増し、緊張感が積み重ねられていく。6曲目“A House Within A House”では、内省的な導入から一転し、強烈なビートが炸裂して、まるで祝祭のようなインダストリアルサウンドへと変貌。ラストの7曲目“Ayaz’a”では、霞んだ音と緊張を湛えたドローンが持続し、電子音の叫びが折り重なることで幕を閉じる――それはまるで、雨の止まぬ世界に捧げられた静かなレクイエムのようである。全7曲、どれもが濃密で繊細、そしてドラマチックな電子音楽であり、聴き手の内面を静かにゆさぶる。

 アルバム・タイトルの『Dracones』は、「Hic sunt dracones(ここにはドラゴンがいる)」という中世ラテン語に由来し、未知の危険領域を示す言葉だ。その語源が示唆するように、このアルバム全体に通底するのは「恐怖」の感情である。ウツク自身の抱く実存的な不安、「家族の呪い」や「親になることの恐れ」が、低く長く、作品全体のトーンを決定づけている。そして私は、その音から、「世界への警告」とも感じられる静かなメッセージを受け取った。

 2010年にワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの傑作『Returnal』を世に送り出した〈Editions Mego〉が、15年を経て本作『Dracones』をリリースしたことの意味は小さくない。『Returnal』が2020年代におけるネット以降の電子音楽の地平を予言していたとすれば、『Dracones』が照らし出すのは、さらにその先にある、感情と音響の新たな結びつきではないか。今すぐにその答えを知ることはできないかもしれない。しかし確かなのは、このアルバムが、恐怖や不安といった陰の感情を基盤としながらも、どこかに微かな「希望」や「光」を内包しているということだ。ウツクの電子音には、どこかで確かに光が差している。不穏と光——私が本作を何度も繰り返し聴いてしまう理由は、その「二つ」が常に音の奥に脈打っているからにほかならない。

Mark Turner - ele-king

 アンビエントとジャズが相互に侵食し合い、時に融解を起こしているような音楽に惹かれる機会が増えた——こう書きだすと意外に思われるかもしれない。なんせ、アンビエントは聴きこむことも聞き流すこともできる窓外の雨滴のような音楽であり、一方、ジャズはプレイヤーのクレジットを伏せて誰が演奏しているかを当てる遊び(いわゆるブラインドフォールドテスト)や、小うるさいジャズ喫茶のオヤジの講釈が幅を利かせた(る?)世界である。噛み合うことのない真逆のジャンルだと思われても仕方ないだろう。
 だが、昨年のアルバムが話題をさらったナラ・シネフロ、折坂悠太や細野晴臣との共演歴もあるサム・ゲンデル、新作で新境地を示したイーライ・ケスラー、韓国のサックス奏者キム・オキなどは、このジャンルを新たな視座で切り拓きつつある。剋目すべき潮流である。ただし、ジャズとアンビエントの邂逅は今に始まったことではない。先人たちはいた。しかも、戦前から。この両者の蜜月の萌芽、その開拓者たちの記録を詳らかに物語るなら、1941年にまで遡らねばならない。
 例えば、1940~50年代にかけて活躍したクロード・ソーンヒル楽団がこの年に録音した“Snowfall”のエーテル状のサウンドはのちに細野晴臣をはじめとするアンビエント作品に影響を及ぼした。また、ブライアン・イーノは、『Ambient 4:On Land』(82年)のセルフ・ライナーノートで、アンビエント・シリーズの参照点として、マイルス・デイヴィスの未発表セッションを集めた『Get Up With It』(74年)収録の“He Loved Him Madly”に言及している。そして、ニュー・エイジ的なるものも巻き込みながら、この系譜は現在ひとつの大きなうねりを生んでいるのだ。

 だから、ストレートアヘッドな印象の強かったテナー・サックス奏者、マーク・ターナーの新作『We Raise Them To Lift Their Heads』が、アンビエント・ジャズに漸近していることには、深い感慨を覚えざるを得なかった。ターナーはオハイオ州出身、90年代初頭からNYで活躍し、ジョシュア・レッドマン、カート・ローゼンウィンケルらと共演を重ねた。リーダー作は10枚を超える。
 ターナーの現在のジャズ界における影響力は尋常ならざるものがある。以前、バークリー音楽大学で教鞭も取るピアニストの山中千尋に、「マイルス・デイヴィスを知らずに同大に入学してくる生徒が珍しくない」という話を訊いたことがあるが、そんな彼ら/彼女らの憧れやお手本はほかならぬターナーなのだという。
 それを裏づける逸話は、ネイト・チネン『変わりゆくものを奏でる 21世紀のジャズ』にも記されている。テナー・サックスに関して言うなら、90年代にどの音楽教室を覗いてみても、ふたつのサウンドの模倣が聞こえたという。ひとつはクリス・ポッター、もうひとつはマーク・ターナー。特にターナーの若いプレイヤーからの支持は絶大である。サックス奏者のウォルター・スミス三世はかつてインタビューで「マークっぽいサウンドが聴こえたら、そいつは間違いなく40歳以下のプレイヤーだ」と述べていた。
 ターナーのプレイに、マイケル・ブレッカーやウォーン・マーシュ、ジョー・ヘンダーソンといった先達からの影を見て取ることも可能だろう。その意味で彼は、革新的で画期的な演奏をしているわけではない。おそらくだが、偉人たちの遺産が凝縮された音を鳴らすがゆえに、結果的に元ネタを知らない若者には極めて新鮮に映ってしまう、という皮肉な構図が存在するのではないだろうか。

 そんなターナーの新作はソロ・サックス・アルバム。プロデュースはヤコブ・ブロである。ヤコブは「沈黙の次に美しい音」を看板に掲げるECMを代表するギタリスト。ビョークの『ヴェスパタイン』に参加したトーマス・ナックと共演盤をリリースするなど、狭義のジャズに収まらない音楽性を特徴とする。
 彼のソロ作もまた、アンビエントとジャズの中間に位置するように聞こえる。ギターをソロ楽器というよりも、場の空気(=アトモスフィア)をつくるための装置として考えている、とでも言おうか。音楽的な影響元としてポスト・ロックの先駆者ともされるトーク・トークの中心人物、マーク・ホリスのソロ作を挙げているのも納得である。
 ヤコブがプロデュースした本作は、冒頭に戻って、アンビエント・ジャズの新たな形態として捉えられる意欲作である。ソフトでウォームな音色に徹底してフォーカスしたつくりで、フレーズそのものは至極単純だ。
 その精髄は冒頭の3曲、特に“Red Hook”に顕著で、ふくよかな音色に耳を奪われる。4曲目の“Bella Vista”は、とりたててて複雑なことをやっているわけではない、というかまるで初心者向けの教則本に則っているようでもあるのだが、やはり音色の美しさに息を吞む。そう、本作の主役は美麗なソノリティにあり、その響きはまるでトーン・ポエムとすら言いたくなる。7曲目“Fast”などが象徴的だが、空間的な広がりを感じさせる空間設計も秀逸で、ここら辺はヤコブ・ブロのディレクションも大きいのだろう。
 ターナーのテナーをアルトと勘違いしてしまう、という人は多くいる。それは彼自身がある時期まで、テナーを使ってあえてアルトの音域をカヴァーするようなプレイを専売特許としていたからだ。だが、本作からはそうした定石からはみ出そうとする意志と野心が感じられる。若手のお手本にされるのもいいが、ここら辺でひとつ殻を破りたかったのかもしれない。その意味では、ターナーにとってはチャレンジであり、マイルストーンになるアルバムだろう。
 なお、ターナーとヤコブの馴れ初めについては、『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン』というドキュメンタリー映画に詳しい。こちらも本作のサブ・テキストになるのではないだろうか。

Sharp Pins - ele-king

 なんともなしにスマホを眺める目が情報をとらえる。20年前、30年前のこの日にあったこと、タイムラインの上での今日は誰かの生まれた日であったり、記録的な逆転劇が起きた日、名盤と呼ばれるアルバムが発売された日であったりするらしい。2025年のいまは過去の出来事に触れる機会が昔と比べて格段に増えた。日常に過去が関連付けられ今日の話題が作られる。インターネットの発展がもたらしたもののひとつに過去との距離を近くしたというはやはりあるだろう。部屋のスピーカーからはきらめくようなメロディのギター・ポップが流れてくる。この20歳の若者、シャープ・ピンズの音楽を聞いていると頭の中で過去と未来が混ざっていくような感覚におちいる。彼が生まれるずっと前の60年代の音楽への憧れ、しかしそれとは違ういまの音、ここにあるのは新しい過去なのだ。

 シャープ・ピンズはシカゴの若きカイ・スレーターのプロジェクトで彼はノイ!の曲から名前を取ったハロガロというコミュニティの中心メンバーでもある。ホースガールの話をするときに必ず登場するこのハロガロのシーンは少年期の仲間内のグループ、音楽を聞き、DIY精神で音楽を作る集団から始まった。そうしてパンデミックの中でよりコミュニティ的な側面を持つようになり次第に広がっていったのだ。彼のバンド、ライフガードのメンバー、アイザック・ローウェンスタイン、アッシャー・ケースのふたりにポスト・オフィス・ウィンター、ホースガールにフリコ、シカゴの街の中で感性が磨かれ刺激を受けて音楽とそれにまつわる文化が作られていった。その中でもジンを作ったというのが大きかったのだろう。「YOUTH REVOLUTION NOW」の文字が踊るファンジン「ハロガロ」の活動で彼らはノイ!のミヒャエル・ローターにインタヴューし
ステレオラブに話を聞いた。それと一緒に音楽について、人びとについて、自分たちに直接影響する何かに情熱をかたむける若者たちの文章が載る。憧れの存在にメールを送り、やりとりをし、なぜ自分がこれらの音楽が好きなのかを考え、表明する。何よりも自分たちのために、そしてそれを通して誰かとコミュニケーションを取る。彼が影響を受けたという80年代当時のパンクのジンと同じやり方ではないかもしれないが、しかしそこにはいつの時代でも変わることのない純粋な感情がある。

 そしてそれは彼の音楽活動にしても同じだ。シャープ・ピンズの音楽は愛に溢れている。サイケデリックでポップな60年代の音楽に対する愛、『Radio DDR』の最初の曲 “Every Time I Hear” のギターストロークが鳴った瞬間に我々は60年代の音楽の夢を見るのだ。街を歩く人びとの表情やファッション、匂いや空気、耳を抜けた先にある脳がイメージを立ち上げ世界を作る。このアルバムを聞いた時に僕はカレイドスコープやウエスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンド、ザ・クラブスの音楽を初めて聞いたときの感覚を思い出した。部屋の中に現れる未知なる過去の背景に思いをはせるような感覚、ここにはカイ・スレーターの頭の中の理想の60年代の世界があるのだ(あるいはそこにクリーナーズ・フロム・ヴィーナスが混ざっているかもしれない。それは後の世を知った世界の理想でもある)。万華鏡のように柔らかに広がる “Circle all the Dots” のギター・リフにフックの聞いたロマンティックな歌メロがのる。回りくどい小細工なしにただストレートに愛するものの形を伝える。この手法こそがカイ・スレーターの魅力だ。しかし決してやり過ぎたり、好きを押し付けたりはしない。何を吸収し何を出せばいいのか彼はちゃんと知っているのだ。

 それはまっすぐに若さをぶつけるロック・バンド・ライフガードにしてもそうだ。こうした差し引きのバランスはよくセンスという言葉で形容されるものだが、そのセンスが培われたのはおそらくジンを作ること、ハロガロのコミュニティとしての活動、そうしてインターネットとも無関係ではないだろう。自らの周りの熱を知り、遠くの温度を感じる、それをやったらどうなるのか、混ぜ合わすとなんになるのか? その例をいくつも目にし血肉とする。そうしてそれらの影響に自ら縛りをつけて適切に外に出すのだ。そうやってなんでもありの時代に線を引き形を作る。後戻りのできない、文字を消したり修正することのできないタイプライターでのジンの作成、制限をもうけた音楽制作、それらの縛りはしかし絶対的なものではなく、おそらく次の段階で柔軟に形を変え新たなルールが作られるのだろう。これこそがカイ・スレーターのセンスで強みだ。
 このシャープ・ピンズの音楽は60年代への愛を表明しているが、だが決して60年代の音楽であろうとはしていない。過去の音楽のいまの解釈、並列に存在するいまと昔の音楽は少しだけ未来を感じさせもする。こうした感性はもちろんハロガロの仲間ホースガールもそうだが、NYのカムガール8、日本のDYGLからも感じるものでもある(参照する時代やアウトプットがバラバラなのも興味深い)。2020年代も半ばを過ぎて、巡る時代は過去を片手に未来に進む。20歳の彼はこの後どうなっていくのだろう? 懐古主義ではない、紛うことなきこれは未来の音楽なのだ。

Adrian Sherwood - ele-king

 エイドリアン・シャーウッドがなんと13年ぶりの新作EP『The Grand Designer』を6月13日にリリース。もちろん〈On-U Sound〉より。タイトルにもなっている同名曲“The Grand Desighner”が先行公開中です。

 本作のLP盤は限定10インチ・ヴァイナルとして販売されるとのこと。また、今夏にはニュー・アルバム『The Collapse Of Everything』もリリース予定。ダブの夏、来たる。

Artist : Adrian Sherwood
Title : The Grand Designer
Label : On-U Sound / Beat Records
Release Date : 2024.6.13
Format : LP / Digital
Buy : https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15042
Stream : https://on-u-sound.ffm.to/thegranddesigner

Tracklist:
01. The Grand Desighner
02. Let's Come Together (feat. Lee "Scratch" Perry)
03. Russian Oscillator
04. Cold War Skank

 UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドが、13年ぶりとなるソロ名義での新作『The Grand Designer』を6月13日(金)にリリースすることを発表した。変異し続けるリズムと音響の地層が交錯するこの4曲入りEPは、〈On-U Sound〉が誇るロングラン人気シリーズ「Disco Plate」の最新章として放たれる。

 タイトル曲「The Grand Designer」は、今年の夏にリリース予定のニュー・アルバム『The Collapse Of Everything』の予告編とも言える一曲。シャーウッドのエフェクト群にろ過された様々な楽器音が、抗えないグルーヴと緻密なパーカッションの上で蠢く。

 「Let’s Come Together」では、同じリズムが神秘的なダブへと変貌。盟友にして惜しくもこの世を去った伝説的アーティスト、リー・スクラッチ・ペリーが、常軌を逸したヴォーカルで空間をねじ曲げる。ソロ名義では久々のリリースとなるが、この十数年、シャーウッドはプロデューサーとしてジ・アップセッターズ、ホレス・アンディ、パンダ・ベア&ソニック・ブーム、アフリカン・ヘッド・チャージ、スプーン、クリエイション・レベル、ピンチらとの共作で高い評価を得てきた。

 「Russian Oscillator」では、シャーウッド&ピンチ名義の作品群に最も近い空気感が展開されている。実験的エレクトロニクスと重厚なサウンドシステム感覚、そしてダンスホール的スウィングが絡み合う。

 ラストを飾るのは「Cold War Skank」。灼けた砂漠のブルースにスライドギターの歪んだフレーズが滲み、シネマティックな空間を描く異形のサウンドスケープ。
 本作は、グラミー賞にもノミネートされたマスタリング・スタジオ、フランク・メリットによってマスタリング&カッティングされた限定10インチ・ヴァイナルとしてリリース。〈On-U〉の伝統を受け継ぐディスコ・プレート・スリーブに、Studio Tape-Echoによるコラージュ・アートが彩りを添える。

interview with aya - ele-king

 いろんなものごと、価値観が変わった。生活のいろんな細部に軋みが走り、家族のあり方も解体され、米の値段も高騰し、民主主義を否定する新反動主義がトランプ政権の背後で暗躍するこんにちになっても、喜ばしいことに、英国からはDIY音楽が独自解釈のもと次から次へと生まれている。ぼくたちは、『ツイン・ピークスThe Return』の冒頭で、ファイアマンがデイル・クーパーに放った台詞を思い出す。「音に耳を澄ませよ」

 たとえそれが恐怖と興奮の入り混じった低く唸る不穏なサウンドであったとしても、ぼくの耳は惹きつけられている。アヤの『im hole』(2021)はその決定的な1枚だった。それはUKアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックから生まれた汚さのなかの美しいナラティヴで、今回のアルバム『hexed!』は、その続編でもあり番外編でもある。
 前作同様に、いろんな影響がここにはある。簡潔にいえば、繊細さと強迫性が今作の特徴になるのだろうが、サウンド・デザイナーとしてのアヤは、前作以上にノイズを活かし、激しさを強調している。これは不純物としての魅惑を備えたアルバムで、読者諸氏にも口のなかに入れていただきたい。

ミミズは廃棄物や腐敗した食物を分解し、肥料や堆肥に変えるために必要不可欠な存在だよね。つまり、このアルバム楽曲を書く過程で、自分の脳のなかでミミズになり、クソみたいな酷いものを音楽の肥料に変えてきたんだ。

あなたの『im hole』が大好きで、2021年のベスト・アルバムの1枚に選びました。

aya:ワォ、ありがとう!

UKのベース・ミュージックの新しい局面として、純粋にサウンドのみを楽しみました。ところが今回の『hexed!』は、楽しむというよりはぶっ飛ばされました。デイヴィッド・リンチの映画のように日常と悪夢の境界線から広がる世界というか、インダストリアルな響きへの嗜好というか、かなり激しい。

aya:デイヴィッド・リンチを引き合いに出されたことは、実は過去にもあったよ。先日もDJ中にある人から、「観客に対する軽蔑の度合いがリンチ的な感じがする」って言われたばかりで(苦笑)。

あなたのインタヴューをいくつか読みました。『hexed!』は、あなたの個人的な体験からきていて、ドラッグ中毒とその混乱、人生でもっとも辛い時期と向き合って生まれた作品だと知りました。そしてあなたは避けてきた自分のトラウマに浸った。なぜ、そのようなことになったのでしょうか?

aya:「人生でもっとも辛い時期」というのはかなり昔で、辛さから逃れるために薬物を使っていた過去の話なんだ。あの頃は、薬物との関係がどうにもならないところまでいってしまい、自分の人生や人間関係でさまざまな問題を引き起こしてしまった。摂取量を減らし、自分を厳しく律することで、最終的には完全に断つことができた。内省的な音楽を書くと、新たな景色が見えてくるよね。音楽的インスピレーションは常に水面下にあったし、自分のプシケ(魂)にぶら下がっていた。避け続けてきたものを克服しようとするのは当然のことだけど、これまではなかなかできなかった。(今作の制作にあたり、自分のトラウマに浸ることになったのは)そういった理由から。決断というよりは、どちらかというと、自分が置かれた状況からそうなったんだ。

なぜメタルコアが思春期のあなたに突き刺さったのか? いまなら客観的に対象化して説明できますか?

aya:いい質問だね。ADHDである自分にとっては、メタルコアのようなチョッピーな(途切れ途切れの)サウンドが魅力的だった。非常にエモーショナルで、抑圧されたクィアネスに明確に訴えかけてくるから。当時のUKでは、クイア界におけるポリティックス(政治)が存在したから、エモ系のムーヴメントのお陰で多くの人たちがそういったクィア・コミュニティに参加せずに、自分のクィア性を楽に表現できるようになったと思う。メタルコアは狂乱したエモーショナルな音楽で、当時の僕は狂乱したエモーショナルな人間だったし(苦笑)。

ロンドンに住んでいる友人があなたのライヴを観ているのですが、スケートボーディングがずいぶんうまいと言ってました。あなたはおそらく運動神経が良いと。スポーツはやっていたのですか?

aya:アハハハ(笑)! スケートボードのことをどうして知ってるんだろ(笑)? スケボーは7歳くらいから滑っているけど、それ以外のスポーツは一切無縁だった(苦笑)。

話を音楽に戻しましょう。思春期のあなたがオウテカやエイフェックス・ツインに求めたものはなんだったのでしょうか?

aya:信じられないほど新しい音楽だった。幼い頃からジャングルやドラムンベースを聴いて育ち、その後11歳か12歳のときに父が教えてくれたエイフェックス・ツインの“Come to Daddy”を聴いて、衝撃を受けたんだ。あんな音楽は聴いたことがなかったし、それまで聴いてきた音楽のなかでいちばん怖かったね(苦笑)。
 それ以前も自分で音楽制作に取り組んでいたけど、12歳か13歳あたりから実際に自作曲を書きはじめ、ソフトウェアを駆使するようになった。ああいった難解な音楽は「一体どうやって作っているんだろう?」って分析したりして、どんどんハマっていったんだ。でも、こういった音楽を知っているのはうちの父と、それから高校時代にメディア・スタディーズを担当していた先生くらいだった。そもそも友だちはいなかったけど……うちのクラス内では誰もこういった音楽を聴いていなかったから。

通訳:お父様はミュージシャンですか?

aya:うん。父はミュージシャンで、いろんな楽器を演奏できるんだ。以前は演劇の監督・演出家として長年仕事していた。その他、マルチメディア・デザイナーとしてのキャリアもある。一方、母は舞台女優で、セラピストとしても働いていた。両親からの影響で、最終的に自分が現在アーティストとして活動していることは理にかなっていると思う。

あらゆるドラッグをやったそうですが、あなたがハマったドラッグのひとつ、ケタミンの幻覚は、あなたにどんな作用をもたらしたのでしょうか?

aya:(ケタミンを)摂取すると、脳のさまざまな部分がじょじょに機能しなくなり、大音量と小音量を区別する能力が恐ろしく阻害される。だから、『im hole』の収録曲でも聴こえる微かな触覚的な音には理由があるんだ。自分の髪を耳の後ろにこすりつけるだけで、カサカサという音を出せたし、指をこすり合わせるだけで、即興的に自分の音楽を創り出すこともできた。
 私が表現したもうひとつの方法は……このケタミン摂取のような感覚は、完全な体外離脱の深い幻覚のようなもので、自分自身や環境、アイデンティティから完全に切り離された。リアリティ・シフトが起こり、その後に自分自身を身体のなかで再認識するようなものなんだ。とくに、アルバム『im hole』の収録曲、“If Redacted Thinks He's Having This As A Remix He Can Frankly Do One”では、あるシンセのステムを、時間の経過とともに変化する音の層(レイヤー)の処理を通して見ることができる。大半の場合、MIDIの1チャンネルで、その下にいろいろ敷いてあって、そこではフィルタリングが変化しているだけ。ひとつの物体があり、その物体を自分はどのように見ているのか。そして、それは世界からどのように切り離されているのか? 私との関係によって、どのように再解釈されるのか? つまり、このシンセのステムは、私自身の「アイデンティティ」として捉えることができるかも(笑)。

“peach”や“Time at the Bar”のような曲にみられるパラノイアックな展開は、禁断症状と関係あるのでしょうか?

aya:その2曲はまったく違う内容。“peach”はたしかに薬物使用を歌った楽曲だけど、それだけじゃないんだ。この曲は自分だけでなく、周囲のカップルにも当てはまる内容で、お互いのために最善を尽くそうとするふたりが結局はお互いを傷つけ合ってしまうという、恋愛関係のダイナミズムを描写している。サビの歌詞に「リンゴを半分に切って、交代でかじりながら午後を過ごそう(I could slice up half an apple and we could take turns nibbling the afternoon away)」という歌詞には、「これは君のためにやっているんだ……私は夕食を作っているけど、じっさい今夜ふたりで食べるのはリンゴ半分だけ」という意味が込められている。つまり、ふたりの摂食障害やアルコール依存症というような、クィアな人たちが抱えている問題を扱っているんだよね。
 一方、“Tim at the Bar”では、社会においてもっとも大衆的な「実家を出て大学に進学し、人生を楽しんだ後に家庭を築く」というナラティヴを取り上げている。自分が経験した話じゃないけど、平凡な日常生活だとか、自分が望むような生き方ができないというような、よくある話で……。
 私の場合、自分がクィアだとわかっていながらトランスジェンダーであることをカミングアウトしたのは7、8年前。イメージ的には、出航する船に乾杯するような感じだね。ちなみに、タイトルの “time at the bar”っていうのは、英国のパブやバーで閉店前のラスト・オーダー時にベルを鳴らしてスタッフが店内にいる客に向かって叫ぶセリフ。この曲が「暴力的」だと言う人もいるけど、最後の大きな鐘の音やコードや若干外れた音には、「若干の恐怖心」と「解放感」が感じられると思う。

解放的な「自由」は「恐怖」と背中合わせ。それまで自分のストーリーをすべて手放し、自分を理解するための新しい言語を見つけることは恐ろしいけど、同時に解放的なんだ。

Silvia Federiciの『キャリバンと魔女(Caliban and the Witch)』は、資本主義の成立と発展における女性の身体、労働、そして魔女狩りの役割を深く掘り下げた内容ですが、なぜあなたはこの本にたどり着いたのでしょうか?

aya:友人が薦めてくれた。以前はADHDと薬物、アルコールの問題を抱えていたから落ち着いて本も読めなかったけど、健康的になった現在は、再び読書を楽しむようになった。

日本ではJ.K.ローリングの反トランスジェンダーがとても有名で、いまだに議論になっていることです。しかし音楽の世界ではトランスジェンダーのアーティストがどんどん登場しています。とくにエレクトロニック・ミュージックの世界では、この10年、クィアと女性の進出がめざましいと思いますが、どうしてこのジャンルなんだと思いますか?

aya:社会のあらゆる分野において、以前よりクィア性の可視化が強まっていると思う。認知度が高まるということは、自分自身を理解し、潜在的なクィアネスを認識し、自分に合った新しい定義を見つける機会が増えているということ。私の場合、自分がトランスジェンダーだと気づくまで、長期間に渡り自分自身のクィアネスに対する理解と格闘してきた。エレクトロニック・ミュージックを制作している人たちと出会い、同じ音楽に惹かれ、自分自身のクィア性に関する気づきを得た。エレクトロニック・ミュージックはメタルコアやエモと似ていて、クィアな人たちを魅了していると思う。クィアなエレクトロニック・ミュージックにも解放感があり、複雑かつ重層的な感情を表現しているから。
 前の質問で「解放感」に触れたけど、解放的な「自由」は「恐怖」と背中合わせ。それまで自分のストーリーをすべて手放し、自分を理解するための新しい言語を見つけることは恐ろしいけど、同時に解放的なんだ。理解できなくても、音楽が感情面で私たちに啓示を与えてくれることがあるから。なんだか話がとっ散らかっちゃったけど、クィア性の可視化が強まっていることはいいことだね。

あなたから見て、トランスジェンダーをめぐる状況は少しずつでもよくなっていると思いますか?

aya:もちろん、良くなっていると思う。私は子供の頃から自分がトランスジェンダーだとわかっていたけど、10年前はカミングアウトなんてできない状況だった。状況は間違いなく明るい方向に進んでいると思う。

音楽の話に戻りましょう。あなたが大学時代、ベリアル、ゾンビー、ジェイムズ・ブレイクらに夢中になったことが『im hole』に繋がっていると思います。今作の目玉のひとつ、“off to the EESO”には、テクノからの影響もあると思います。テクノでは、どんなDJやアーティストが好きでしたか?

aya:“off to the EESO”はテクノではなく、最近UKで聴くことができる楽しくて馬鹿げていながら神経質な感じのハードコア系ものを参照した。例えば、(ブリストルの)Rrritalinとか。シェフィールドの〈Off Me Nut〉というレーベルも好き。彼らは主にベースライン系レーベルで、Spongebob Squarewaveみたいな音楽も扱っているんだ。

ダンス・カルチャーの快楽主義についてのあなたの考えを教えてください。じつに刹那的なものだと思いますが、だから良いとも言えるし、だから悪いとも言えますよね。

aya:(ダンス・カルチャーは)両刃の剣のようだよね。多くの人にとっては踊ることで楽しい時間を過ごしたり、健康な「必要な空間」。でも一方では、クラブ・シーンで人生を台無しにするような状況に陥る人もいる。自分を振り返ってみても、音楽を観に行くというよりクラブの奥の部屋に座りっぱなしで、DJプレイに注目していなかったことがあるし。 でも、クラブに行く人の目的は各自違うし、音楽を聴かずに奥の方にいることが悪いことだと決めつけたくはない。人生から解放されたい人もいるだろうし、生きていれば最悪なことだってある。各自に合った手法でそういう感情を処理する必要があると思うから。

“the names of Faggot Chav Boy”をUKガラージ風の曲調にしたのは、あなたのウィットなセンスがあると思います。この曲を説明してもらえますか?

aya:この曲に出てくる話は私が見てきた数々の悪夢をまとめたもの。私は長いあいだ、本当に激しい悪夢に悩まされてきた。本当に長いあいだ、いつも強烈な夢を見てきたんだ。

ミミズを口のなかに入れるというアイデアはどこから来たんですか?

aya:デビュー・アルバム(『im hole』)のジャケ写は公園の地面に落ちていたゴミの束を持つ私の手だった。ベルリンを去る自分のパートナーのために開催したパーティで私はこのゴミを手にして「ねぇ、誰かこのアングルから写真を撮って」ってお願いしたんだ。ちょうどクラブ系のアルバムを解体したようなアートワークだと思ったんだよね(笑)。その後、前作のアルバム制作中に、ジャケ写が必要になり、その写真を引っ張り出してきて、「(このアルバムに)凄くいいジャケ写真!」と思った。暗闇から突き出されたこの手は火傷を負っているのか、何故かわからないけど真っ赤で、持っているのはこのゴミだけ。
 新作『hexed!』は、前作『im hole』の続編ではないけど、ある意味では続いているというか、鏡のようなもの。新作にはヴォーカル曲を多数収録したから「今回は手ではなく、自分の顔の一部をジャケ写にしたい」と考えた。この写真での私は何か恐ろしいものを吐き出していて、そこにはミミズと土の関係性がある。ミミズは廃棄物や腐敗した食物を分解し、肥料や堆肥に変えるために必要不可欠な存在だよね。つまり、このアルバム楽曲を書く過程で、自分の脳のなかでミミズになり、クソみたいな酷いものを音楽の肥料に変えてきたんだ。

『hexed!』が意味することは、“wanting to get over the hex, shake the curse(呪いを解き放ち、振り払いたい)”だと『Wire』の取材で答えていますね。じっさいこのアルバムを作ったことで、あなたはシラフの生活に戻ったわけですが、現在、あなた自身がこのアルバムをひとりで聴きたくなることはあるんですか?

aya:まだそういう気持ちじゃないんだよね……。8〜9カ月前くらいに完成したばかりだし。実は現在ツアー中で、毎週末ギグが入ってるから、ある意味では(新曲を)聴いているけど、最後にアルバムを通して聴いたのは昨年10月かな。このアルバムを書いているときに『im hole』を久しぶりに聴いて、マジ変な作品だと自分でも思ったね(苦笑)。

“droplets”は、歌が際立っているという意味で、ayaのポップ・ソングだと思いました。こうした方向性は今後も追求しますか?

aya:それは、わからないなぁ。次の音楽的方向性はわからない。実現させたいコラボレーションはいくつかあるけど、自分の音楽がどこに向かうかはわからない。

あなたもっとも癒やされる/癒やされた音楽作品をあげてください。

aya:表面的に「癒し」を与えるような音楽にはあまり惹かれないんだ。複雑な感情が根底に流れていないような音楽にはイライラするから、「癒し」よりも「カタルシス」を与えてくれる音楽が好き。熱狂的だけどエモーショナルなメタルコアものとか。2018年に解散したアメリカのスクリーモ・エモ・バイオレンス・バンドのLord Snowが大好きで、彼らのアルバム『Solitude』は昨年、何百万回も聴いたよ。アルバムの尺はたったの30分くらいだけど、ああいった作品は他にないね。よりエレクトロニック寄りなアーティストだとクララ・ルイス(ワイヤーのグレアム・ルイスの娘さん)の『Ingrid』が好きだし、彼女の最新作『Thankful』も大好き。クララ・ルイスが奏でる音色のセンスは実に驚異的で、『Ingrid』は本当にのめり込める音楽。チェロの音色がループし続けるような作品で、尺は30分近くあるけど、何時間でも聴けるんだ。

いつかあなたのギグを日本でも観れることを願ってます。今日はどうもありがとうございました。

aya:こちらこそありがとう。早く日本に行きたい!

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