「Low」と一致するもの

interview with Jockstrap - ele-king

 男性用下着を名乗る彼らが最初に注目を集めたのは、2018年のEP「Love Is The Key To The City」だった。ストリングスを効かせたラウンジ・ミュージックとグリッチという、ある意味で対極のものを融合させるアイディアは、現在の彼らの音楽性にも通じている。すなわち、ある既存の音楽をもとの文脈から切り離し、自分たちの感性に引きつけて再構築すること。いわばメタ的なポップ・ミュージックである。それを理屈優先ではなく、自然にやってのけているところがジョックストラップの強みだろう。
 ともにギルドホール音楽演劇学校に通っていたふたり、ヴォーカリストでありヴァイオリニストでもあるジョージア・エラリーと、プログラミング担当のテイラー・スカイから成るロンドンのデュオは、その後〈Warp〉と契約。「Wicked City」など2枚のEPを送り出したのち〈Rough Trade〉へと移籍、このたびめでたくファースト・アルバムのリリースとあいなった。
 初のアルバムではほとんどの曲にヴァイオリン隊がフィーチャーされている一方、多くの曲で電子ノイズやパーカッションなどが単調さを遠くに退けている。先行シングル “Concrete Over Water” に顕著なように、展開の読めなさもまた彼らの武器だろう。
 ときにシュールでときにロマンティックなエラリーの詞にも注目しておきたい。そもそもジョックストラップなるバンド名がそうなわけだが、「自分に触れると/いつだってわかる」(“Glasgow”)のマスターベーションのように、通常「(女性がそれを)公言するのは好ましくない」とされるセクシュアルな表現を遠慮することもない。“Greatest Hits” では「想像して 私はマドンナ」と歌われている。飾らずに官能をさらけだすスタンスも、本作の魅力のひとつだ。
 クラシカル、ジャズ、ハウス、ダブステップなどなどの小さな断片が違和感なく調和した、このみずみずしいエレクトロニック・ポップがどのように生み出されたのか、BCNRの一員として来日していたジョージア・エラリーに話を聞いた。

ダブステップはとてもエモーショナルだし、音の幅を広げるというか、どこまで動物的でモンスターみたいな音にできるか、みたいなおもしろさがあると思います。

今回はジョックストラップの取材ですが、先ほどBCNRのチャーリー・ウェインとメイ・カーショウの取材に立ち会ってきました。フジロックはどうでしたか?

ジョージア・エラリー(Georgia Ellery、以下GE):環境もいいし、お客さんもじっくり聴いてくれたし、ステージのセットアップもよくて最高でした。

日本は初めてですか? どこか行かれましたか?

GE:素晴らしいですね。東京大好きです。こんなに熱帯的でトロピカルとは思っていませんでしたけど、暑いのは好きだから。街も刺戟的で、ファッションもとてもすてき。

いまイングランドも熱波到来でめちゃくちゃ暑いですよね。

GE:湿気は向こうのほうが少ないんですが、暑いといろいろ故障しちゃったりするんです。暑すぎて電車が走らないとか。古い線路だと、一定以上の温度になると危ないみたいで。最近はコーティングをして熱対応にしているみたい。すごく不便ですね。

暑さでライヴに支障が出たりはしないんでしょうか? 曲順がトんだりとか。

GE:(フジの)ステージ上はちょっと暑かったけど、それほど大変ではなくて。ちょうどわたしたちの出番のときに曇ってきたから大丈夫でした。虫が楽器に止まったりして良かったです。

ジョックストラップの結成は2017年です。バンド名が一風変わっていますが、どのようなコンセプトではじまったプロジェクトなのですか?

GE:じつはバンド自体よりも先に、名前が決まっていたんです。ヘヴィ・メタルのバンド名が大好きで、「ジョックストラップ」ってどこかアイアン・メイデンみたいにエロティックな感じもあるし、ハードコアな感じもあるから。もともとわたしが考えていたコンセプトがあって、テイラー(・スカイ)に「こういう名前で考えているんだけど、一緒にやらない?」って聞いたら「いいんじゃない?」ってすぐOKしてくれました。おかしな話だけど(笑)。でも母親は「え!?」って。「なんでそんな名前にしたの」みたいな(笑)。でもスポティファイにもそんな名前のひとはいなかったし、いいかなって。

どういう音楽性のバンドにするかも決まっていたんですか?

GE:初めはどういうサウンドになるかぜんぜんわかりませんでした。わたしがつくったデモをもとに、テイラーがプロダクションを加えるかたちで。彼のプロダクションがどういうものか、フェイスブックにクリップみたいなものを上げていたから、だいたいはわかっていたけど、それらが融合したときにどういうものができるかは、そこまでよくわかっていなかった。

エラリーさんが作詞・作曲、スカイさんがプロデュースの担当ですが、作詞・作曲を済ませたあとは彼に任せる流れですか?

GE:最初は個別でつくるんですが、テイラーのつくってきたプロダクションを聴かせてもらって、ふたりとも気に入ったものがあった場合はそれを追求していく。それからふたりでエディットしながらいいものへと仕上げていくんです。互いが互いの作詞・作曲、プロダクションに興味があるから、ふたりでゴールを定めて共同作業していく感じかな。

先にトラックがあって、それに味つけしていくというパターンもあるのですか?

GE:今回のアルバムではそういう順番でつくったものが何曲かあって、“50/50” って曲なんかはテイラーのトラックの上にわたしが重ねていく、という手法をとりました。

いま話に出た “50/50” は「アー、エー、ウー、イー、アー」と母音で歌い上げるのが印象的です。これにはなにか参照元などがあったのでしょうか?

GE:彼が聴かせてくれたサンプルがあったんですが、それにたいするわたしの解釈が母音みたいだなと思ったから。

リリックはどのようなプロセスで書くのでしょうか?

GE:リリックを書くときはいつも、詩みたいに短い感じで書きます。内容としては、自分が個人的に体験したこと……自伝って言うのかな、そこで生まれた感情を受け入れたいときに、詩的に書く。それがリリックのベースになっていますね。

リリックを書くうえで、小説や詩など文学を参照することはありますか?

GE:シルヴィア・プラスというアメリカの詩人。彼女はシュールなイメージの自伝的なものを書いています。あと、おなじくアメリカの作家の、キャシー・アッカー。スリルのある近代的なライティング・スタイルで、散文やストーリーを書くひとです。

今回リリックでもっとも苦労した曲はどれですか?

GE:“Debra”。これも最初にトラックがあって、それにリリックを載せていきました。ビートがかっこよかったから、その要素に合わせていい歌詞を書きたいと頑張っていたんだけど、すごく難しくて。結局、ゲームの『あつまれ どうぶつの森』の内容についての歌詞になりました(笑)。

わたしたちは1曲1曲がヒット曲みたいなものをつくりたい

『あつ森』はふだんからけっこうプレイしているんですか?

GE:かなりね(笑)。

『あつ森』もその一種に数えられることがありますが、最近はメタヴァースが話題です。そういった仮想空間でアヴァターを介してコミュニケイションをとることについては、どう思っていますか?

GE:わたしはあまりほかのひとと一緒にはやらずに、ひとりでやることが多いんですが、やっぱりその空間は完璧なヴァーチャル・ワールドで、とても心地いい。一種の逃避ですね。インスタグラムのヴァージョンでフォロウするのが楽しくて、よくやっています。

もし『マトリックス』の世界のようにテクノロジーが発展したら、そちら側の世界で暮らしてみたいと思いますか?

GE:バランスが重要ですよね。難しいことにも直面するだろうし。

これはスカイさんに訊くべき質問かもしれませんが、ほとんどの曲に変わった音だったりノイズだったりが入っていますし、展開がまったく読めなかったり、実験的であろうと努めているのがわかります。ただ気持ちのいいポップ・ソングをつくるのではなく、実験的であろうとするのはなぜでしょう?

GE:テイラーはつねに新鮮なサウンドを求めていて、そこに刺激を感じるひとなんです。いままで聴いたことのあるものだとつまらないと感じるタイプだから、いつもじぶんの限界に挑戦して、聴いたことのない音を追求していますね。彼は11歳のころからプロダクションをやっていて、自分のスタイルに磨きをかけているひとだから、非常に独特な方法で(サウンドを)追求しているし、そんな彼を尊敬しています。

彼はどういった音楽から影響を受けたのでしょうか?

GE:確実にダブステップだと思う。わたしもそうなんだけど、そこからいちばん影響を受けているかな。ダブステップはとてもエモーショナルだし、音の幅を広げるというか、どこまで動物的でモンスターみたいな音にできるか、みたいなおもしろさがあると思います。あと、ブロステップやハウスからも影響を受けていますね。

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ダブステップのアーティストだとだれが好きですか?

GE:スクリレックスかな。あとトータリー・イノーマス・エクスティンクト・ダイナソーズ。ハウスにエモいヴォーカルが入っている感じで。ジェイムス・ブレイクが出てきたときも、そのポスト・ダブステップにとても感銘を受けました。彼はソングライティングもすばらしいから、そこからも大きな影響を受けていますね。あとはジェイミー・エックスエックス。エモーショナルかつダンス・ミュージックで、そのふたつの要素の融合に惹かれますね。

では、ダンス・ミュージック以外で影響を受けた音楽はありますか?

GE:70年代のジョニ・ミッチェルとか、80年代のコクトー・ツインズとか。80年代のオルタナティヴなミュージック・ライティングとかが好きですね。

そのあたりはリアルタイムではないと思いますが、どのようにして発見したのでしょう?

GE:ジョニ・ミッチェルやボブ・ディランは両親からの影響で……似たようなテイストがわたしにも引き継がれているのかも(笑)。テイラーの場合は、両親が実験的な音楽が好きだったから、父親がジェイムス・ブレイクのアルバムを聴かせてくれたり、母親がスクリレックスのライヴに連れていってくれたりしたみたい。

バイオグラフィーによると、クラシック音楽を聴いて育ったのですよね? そちらの道に進まなかったのはなぜですか?

GE:テイラーは12歳ぐらいのときにコンピューターを手に入れてから、じぶんで音楽ができることに気づいて、電子音楽のプロダクションにのめりこんだんだと思う。わたしの場合は、そこまでクラシックの演奏が上手じゃなかったし、オーケストラに参加するのもいやで、もっとちがうことがしたいと思ってジャズを専攻することにしました。

ヴァイオリンを習っていたそうですね。じつはわたしもかつて習っていたことがあるのですが、ヴァイオリンをやっていてつまらないと感じたのはどんなときですか?

GE:あなたも! つまらなかったというわけじゃなくて、弾くのは好きでした。オーケストラとかもね。ただちょっと堅いというか、世界が狭いというか。やっぱりわたしはダンス・ミュージックも実験的な音楽も好きだったから、ヴァイオリンだとクラシック向きすぎて、じぶんの作曲には合いませんでした。わたしはもっといろいろな道を探求したいから。あと、わたしってけっこうまじめなほうだと思うんですが、プロだと1日9時間くらい練習するんです。それはちょっと無理かなって。ほかにやりたいことがたくさんあるし。

本作のほとんどの曲にストリングスが入っていますね。やはりヴァイオリンの音を入れたかった?

GE:EPをつくったときに初めてストリングスのオーケストラを導入したんですが、そのときわたしたちの独特なサウンドがまとまった感じがしたから、アルバムをつくるとしたら入れようと思っていて、そうなりました。じぶんたちの持っているスキルの活用ですね。

ジョックストラップの作品に、あなたの出身地であるコーンウォールの要素は入っていると思いますか?

GE:意識的には、ないかな。むしろロンドンという都会の街の要素のほうが強いし、歌詞にもそういった部分は出ていると思います。

ちなみにBCNRとジョックストラップとで、もっとも異なっている点はどこでしょう?

GE:BCNRだと、みんなでリハーサル・ルームに集まって演奏しながら作曲して、ライヴを経て曲が完成していくんですが、ジョックストラップの場合はテイラーのベッドルームで集中的に作業して、曲を完成させてから初めてライヴで披露します。だから作曲のプロセスがいちばんちがう部分かな。

「ハイパーポップ」ということばがあります。ジョックストラップはそれと同時代に属しながら、それが持つある種の過剰さや空虚さとは異なる方位を向いている印象を受けます。

GE:たしかにハイパーポップから影響は受けていると思う。とくにソフィーにはね。彼女はすごく独特なスタイルだし、彼女にしか表現できない音楽のランゲージが存在する。テイラーにもそういう部分があると思うから、ハイパーポップとの共通性はあるかもしれません。とくに前回のEPはハイパーポップに近いものだったかも。

今回は初のアルバムです。流れがあり、それをしっかりと聴かせようという意思を感じました。

GE:アルバムにするってなったとき、曲順を考えなきゃいけないから通して聴いていたんですが、それまではあまり意識していませんでしたね。すべてがそうというわけではないけど、曲は時系列順だったり部類順に並べていて、EPも時系列順に並べています。1曲1曲のサウンドが大きくちがうから、曲順を考えるのはかなり難しかった。ひとによっては “Glasgow” を1曲目に持ってくるべきだって意見もあったんですが、最近つくった曲だから最後のほうに持っていって。そうすることで、わたしたちの進化の過程を表現したかったんです。ほかのアイディアとしては、ダンスっぽいトラックを前半に、アコースティックなものを後半にしようという案もありましたけど、それもなんかちがうなと。

マスタリングしていないヴァージョンをラジオに送って、一度かけてもらったことがあるんですが、それを録音してマスタリングすることで、ラジオの周波数の音が出せました。“Greatest Hits” はラジオのヒット曲についての曲だから

ほかのアーティストの音楽を聴くときは、アルバムを通して聴きますか?

GE:アルバムを通して聴くものもあります。アルバムの曲順によって流れがある作品もすごく好き。でもわたしたちは1曲1曲がヒット曲みたいなものをつくりたいから、そういった曲を並べるという作業がすごく難しくて。カニエ・ウェストもトラックリストを考えるのには苦労しているんじゃないかな(笑)。全曲ノリノリのアッパーチューンだと、べつに流れとかはないと思うから。

三曲目のタイトルはまさに “Greatest Hits” ですが、これがまさにそういった感覚をあらわしているのでしょうか? マドンナのようなヒット・ソングをつくってみたいという曲ですよね。

GE:“Greatest Hits” をアルバム・タイトルにしようというアイディアもあったんです。でも、すべてが “Greatest Hits” にはならなかったから(笑)。この曲はけっこうつくるのが大変で、マドンナっぽいサウンドもあるんですが、やっぱりテイラーはワンアクション加えたかったみたいで。OPN とザ・ウィークエンドのようなテープっぽい音を入れたくて、サンプリングを多用していますね。あとは、マスタリングしていないヴァージョンをラジオに送って、一度かけてもらったことがあるんですが、それを録音してマスタリングすることで、ラジオの周波数の音が出せました。“Greatest Hits” はラジオのヒット曲についての曲だから、そういったプロダクションをしたかったんです。

いまは2032年だと仮定します。10年前にこのデビュー・アルバムが出た意味とは、なんだったと思いますか?

GE:テイラーにとっては、新鮮味のないものかも。古いからもうダメ、みたいな(笑)。でもやっぱりヒット曲というか、バンガーであってほしいですね。名曲は変わらず名曲だから。

JOCKSTRAP x WAVE

いよいよ今週9/9にデビュー作をリリース!
ジョックストラップ 、WAVEとのコラボ・アイテムを同時発売へ!

ロンドンを拠点とする新生オルタナティブ・ポップ・デュオ、ジョックストラップの待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』の世界同時リリースに合わせてWAVEとのコラボレーション・アイテムを発売することが決定した。

今回アルバムに使用されたアートワークを配したロングスリーブTシャツ、Tシャツの2型をリリース。9月9日(金)からWAVEオンラインストアとSOFTHYPHENにて発売する。

WAVE (ウェイヴ) ONLINE STORE www.wavetokyo.com
INSTAGRAM @wave_tokyo

80〜90年代を中心に “音と映像の新しい空間” としてカルチャーの発信基地のように様々な文化を発信する存在だったレコードショップWAVEの新しいプロジェクト。音楽、ファッションだけにとどまらない様々なカルチャーミックスをベースに情報を発信。

LONG SLEEVE TEE ¥8,800 (TAX IN)

TEE ¥7,150 (TAX IN)

名門ギルドホール音楽演劇学校で出会い、ブラック・カントリー・ニュー・ロードのメンバーでもあるジョージア・エラリーとテイラー・スカイが2017年に結成したジョックストラップ。既存のスタイルを解体し、それを巧妙に組み直して全く新たなジャンルを生み出すような時間的そして空間的に激しく混乱した形のポップ・ミュージックを作り出すことで注目を集めている。また、先行シングル「50/50」はシャネルのキャンペーン・ビデオやステラ・マッカートニーのランウェイショーに使用されるなど音楽の領域を超えた話題も提供している。

2022年のカオス、喜び、不確実性、陰謀、痛み、ロマンスを他にはない形で表現しているジョックストラップの待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』は、9/9世界同時発売。本作の日本盤CDには解説および歌詞対訳のDLコードが封入され、ボーナス・トラックを追加収録する。輸入盤は通常LPに加え、数量限定グリーン・ヴァイナルが同時発売される。

label: Rough Trade / Beat Records
artist: Jockstrap
title: I Love You Jennifer B
release: 2022.09.09 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD RT0329CDJP ¥2,200+tax
 解説+歌詞対訳冊子
輸入盤CD RT0329CD
輸入盤1LP (通常ブラック) RT0329LP
輸入盤1LP (グリーン・ヴァイナル) RT0329LPE

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12868

Björk - ele-king

 巡り巡って時代はまたビョーク(https://www.ele-king.net/news/008826/)なのか! 9月30日に世界同時発売が決定した『Fossora(フォソーラ)』から、アルバムの冒頭を飾る“Atopos”のヴィデオが公開されました。まずはこちらをどうぞ。


Björk
Fossora

One Little Independent/ビッグ・ナッシング
9月30日発売

■収録曲目:
1. atopos
2. ovule
3. mycelia
4. sorrowful soil
5. ancestress
6. fagurt er í fjörðum
7. victimhood
8. allow
9. fungal city
10. trölla-gabba
11. freefall
12. fossora
13. her mother’s house

どのアルバムも常にフィーリングから始まり
それを音にしようとする
今回、
そのフィーリングはランディング(着陸)
(前作『Utopia』は雲の中の島で、エレメント・エアでベースが無かった)
地上に降り立ち、地面に足を踏み入れる

それは、私はどのように「今」を経験するか、ということにも織り込まれている
今回は70億人が一緒におこなった
家に巣を作り、隔離され、
一つの場所に長く滞在し、根を下ろした

私の新しいアルバム『fossora』は、このことをテーマとしている
この言葉は私が作ったものだ
fossore(掘る人、掘られる人、掘る人)の女性語だ
つまり、「掘る人」(地中)という意味だ

サウンド的には、低音、ヘヴィーなボトムエンドが重要だ
6本のバス・クラリネットとパンチの効いたサブウーファーを使った

bergur þórisson、heba kadry
side project、el guincho、hamrahlíð choir、soraya nayyar、clarinet sextet murmuri、siggi string quartet ensemble、emilie nicolas、serpentwithfeetに感謝する
そして最後に、sindriとdóa

ビジュアルはviðar logi、james merry、m/m、nick knight、andy huang、edda、isshehungry、tomi、sayaka、sunna、sara、heimirが制作した

そして、私の忠実で素晴らしいチーム、derek、rosamary、catherine、chiara、hilma、móa

>>> https://www.instagram.com/p/Ch60RcftcDD/?utm_source=ig_web_copy_link

■ジャパン・オフィシャル・サイト:https://bignothing.net/björk.html

Wordcolour - ele-king

 ロンドンを拠点に活動を展開するエレクトロニック・ミュージック・プロデューサーのワードカラー(ニコラス・ウォラール)のサウンドには、シンセサイザーの魅惑的な音色、コラージュされる声、細やかなリズムが横溢している。
 特に今年リリースされた彼の最初のアルバム『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』は格別な出来栄えだ。過去2作のEP作品で展開されていたサウンド・コラージュ的な要素とエレガントなエレクトロニック・ミュージックの要素が融合し、エクスペリメンタル・ミュージックの領域へと無理なく拡張したアルバムに仕上がっていたのだ。
 最初にワードカラーのリリース歴をざっと振り返っていくと、まずロンドンのアンダーグラウンド・ミックス音源で知られる〈Blowing Up v The  Workshop〉から『I Want To Tell You Something』という秀逸なミックス音源を2019年にリリースした。翌2020年には、スペインはバルセロナの〈Lapsus Records〉から最初のオリジナル音源であるEP「Tell Me Something」をリリースし、その2021年にはロンドンの名門〈Fabric Records〉傘下のレーベル〈Houndstooth〉からEP「Juno Way EP」を、2021年にはEP「Bluster」を相次いでリリースする。特に「Juno Way EP」におけるサウンド構築の進化が凄まじい。音のコラージュがいっそう研ぎ澄まされていたのだ。
 彼の作り出すサウンドは、さまざまな音源からサンプルングされた声の要素などをコラージュ的に組み合わせていく最新型のエレクトロニック・ミュージックである。シンセサイザーの音色の聴き心地もよく、けっして聴きづらくはないが、実験的な要素もそこかしこにある。その音世界には優雅なムードが流れており、曲の頭からつい引き込まれてしまう。
 そして2022年に〈Houndstooth〉から『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』を送り出す。このアルバムは今年リリースされたエレクトロニック・アルバムのなかでも、注目すべき現代性を宿している逸品といえる。
 シンセサイザーの音色の魅力を存分に展開しつつも、コラージュ的な構成を展開していく楽曲はとにかくモダンだ。機能性が、その機能を逸脱するというよりは、拡張するかのようにエクスペリメンタルなサウンドに隣接するさまを味わうことができるのだ。
 なかでもシンセサイザーのアルペジオとフレージングにドラムンベース的なリズムが断片的にレイヤーされる2曲め “Blossom” に聴きいっていると、数年前の「OPN以降」という言葉を久しぶりに思い出した。あえていえばワードカラーの音は「OPN以降がもはや当たり前のものになった時代」のサウンドではないか。つまり「以降の以降」というフェーズが鳴っているように思えたのだ。洗練と深化の時代とでもいうべきか。
 じじつ、ワードカラーの『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』には、声のコラージュ、柔らかい電子音、シンセサイザーのシルキーな音色とアルペジオなど、いまの電子音楽を考えるにあたって重要な要素がすべて揃っている。そう、『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』は、2022年に聴く「いまの音」であり、2022年以降の新しいモードを模索するためにも重要なアルバムである。
 コラージュとシンセサイザー・電子音楽のいまとその先へ。新しい情報密度を持ったエレガントなエレクトロニック・ミュージックがここにある。例えばカテリーナ・バルビエリの2022年作『Spirit Exit』とともに聴き込みたいアルバムではないかと思う。

interview with Kode9 - ele-king

 まずは2曲め “The Break Up” を聴いてみてほしい。最先端のビートがここにある。
 振り返れば00年代半ば~10年代初頭は、グライムにダブステップにフットワークにと、ダンス・ミュージックが大いなる飛躍を遂げた画期だった。そんな時代とつねに並走しつづけてきたプロデューサー/DJがコード9である。レーベル〈Hyperdub〉のキュレイションを見てもわかるが、その鋭い嗅覚はここ10年でもまったく衰えることを知らない。7年ぶりの新作『Escapology』は、彼のルーツたるジャングルはもちろん、ゴムやアマピアノといった近年のトレンドまでもを独自に咀嚼、じつにカッティング・エッジな電子音楽を打ち鳴らしている。2022年のベスト・アルバムのなかの1枚であることは間違いない。とりわけクラブ・ミュージック好きは絶対にスルーしてはいけない作品だろう。
 他方 『Escapology』 は、深いテーマを持ったアルバムでもある。音楽家として次なるステージへと進んだスティーヴ・グッドマン、新作のコンセプトについて髙橋勇人が話を聞いた。(編集部)


カレドニアの闇の奥、あるいは宇宙への脱出

「年に二、三回、家族に会うためにグラスゴーに帰ってきているんだよね。それで、ここ10年くらいは子どものときには全然知らなかったスコットランドのハイランド地方と恋に落ちてね。だからロンドンから逃亡(escape)するために友だちを連れて、ただドライヴをしているんだ」、と約束時間の朝10時30分きっかりにズームの画面に現れたコード9ことスティーヴ・グッドマンは、サウスロンドンにいる僕に話す。
 彼の7年ぶりのアルバムとなった『Escapology』のライナーノーツを僕が担当したのだが、その執筆のための取材を、両親が暮らすスコットランドのグラスゴーの実家から受けてくれたのだった。グッドマンが生まれ育った街である。
 以前、野田努と自分の対談で話したように、〈Hyperdub〉はアヤロレイン・ジェイムズなど、若手の先鋭的なミュージシャンを紹介し、グッドマンは盟友のスクラッチャDVAやアイコニカとともにゴムやアマピアノといった南アフリカのサウンドシステム・ミュージックを世界のクラブでプレイしてきた。今作はその音のフィードバックが期待されるアルバムでもある。
 また『Escapology』は2022年10月にリリース予定のコード9名義でのオーディオエッセイ/サイエンス・フィクション作品『Astro-Darien』のサウンドトラックという立ち位置である。こちらは日本の文化的文脈でいうならば、ドラマCDのサウンドに特化したもの、と理解できるかもしれない。
 最近、日本でも紹介が進んでいるマーク・フィッシャーやニック・ランドといった哲学者/理論家たちとともに、グッドマンはウォーリック大学の修士と博士課程で学び、哲学の博士号を取得。その研究の成果や音の文化への関心は、武器としての音や彼がDJ/プロデューサーとして発展に貢献したダブステップの重低音に着想を得て執筆した著書『Sonic Warfare: Sound, Affcet, and the Ecology of Fear』(2010年)へと繋がる。グッドマンはフルタイムで音楽活動をはじめる以前、2004年に始動した〈Hyperdub〉と並行しながら、東ロンドン大学でサウンド文化を教えていた。
 グッドマンが哲学にはまったのは、法律を学んでいたエジンバラ大学時代に哲学者ミシェル・フーコーを発見したときで、ウォーリック時代に彼が在籍していた学術グループ、サイバネティクス文化研究ユニット(Cybernetics Culture Research Unit:CCRU)では、ポスト構造主義があまり扱っていなかった唯物論の観点からデジタル/テクノロジー文化やサイエンス・フィクションへと焦点を当てるようになる(この詳しい話はまたの機会に)。このとき、CCRUではフィクションを通して世界を理論的に記述するセオリー・フィクションというスタイルが生まれており、このオーディオエッセイもある意味ではその延長線上にあるともいえる。

こういった未来的なシナリオを描くことによって、僕は神話を作っているという意図もある

 作品の物語を説明しよう。舞台となるのは、歴史と政治的事象を共有した架空の現代のスコットランド。同国に拠点を置くゲーム会社トランセスター・ノースのゲーム・プログラマー、グナ・ヤラは、スコットランドがイギリスの連合から独立できず、さらにブレグジットが決定した政治状況に不満を感じている。パナマとスコットランドの混血であるヤラは、かつてスコットランドが企て、イングランドやスペインの妨害によって頓挫した同国によるパナマのダリエン地方を植民地化するというダリエン計画に注目する。17世紀末に企てられたこの失策は、スコットランドの財政悪化を招いた一因とされ、1707年のスコットランドが現在の形のユナイテッド・キングダム(UK)に統合されるきっかけのひとつだったと考えられている。周知の通り、当時のイングランドは植民地政策と奴隷貿易を行なっていたわけだが、スコットランドも負の歴史へと加担していくことになる。
 ヤラはそのような植民地主義の歴史や、自分のルーツでもあり当時のスコットランドの理想となったダリエンという外部に着想を得る。物語の世界線でも、スコットランドは住民投票でUKからの独立に失敗し、UKはEUから離脱している。そのようなスコットランドが直面する現在の政治的閉塞状況に苛まれるヤラは、宇宙へと「アストロ・ダリエン」という名のスペース・コロニーをスコットランドが打ち上げるというゲームをプログラムする。ここでシミュレートされるのは、政治的/歴史的袋小路からの宇宙への脱出術(Escapology)なのだ。
 この作品を僕は一足先に聴くことができたのだが、そこには直線的なタイムラインはなく、混沌としたサウンドの奥で、断片的に異なるストーリーが「鳴っている」ような作品だった。「彼女が住むスコットランドから、1690年代のダリアン地方へとヤラの思考はフラッシュバックしたりする。だからその物語は時系列に沿ったものではなく、あくまで彼女の思考を追ったものなんだ。まるで密林を、あるいはジョセフ・コンラッドの『闇の奥(Heart of Darkness)』の物語を突き進むようにね。いうなれば『カレドニア*1の闇の奥』さ」

 「作品に取り掛かったのは2019年で、そこから徐々に物語を組みはじめた。アイディアの醸造はもっと前からはじまっていたけどね。2014年のスコットランド独立住民投票、2016年のブレグジットが決定した投票などがあったからさ」とグッドマンは説明する。
 本作はそもそもピエール・シェフールらミュジーク・コンクレートの創始者たちの現代音楽機関、フランス音楽研究グループINA GRMのイベントでのライヴのために製作されたものだった。
 「2020年3月に、GRMのためにパリのラ・メゾン・ドゥ・ラ・ラジオ(La Maison de la Radio)でライヴをする予定だったんだけど、パンデミックでそれが年末に延期になって、それがまた延期になった。最終的にそれが2021年10月、場所はフランソワ・ベイルのアクースモニウムになって、それを念頭に作品を書いていた」
 パンデミックを挟んで製作され、さらに構想が広がった『Astro-Darien』の表現形態は、ライヴだけではなく、オーディオエッセイとしてのリリース、さらには映像を使用した、ロンドンのクラブ、コルシカ・スタジオで開催されたインスタレーションや後続のミュージックビデオ作品としても発展していく。

 『Escapology』のリリースに合わせて発表された、同アルバム収録曲 “Torus” のビデオでは、スペース・コロニーとしてのアストロ・ダリエンの内部が描かれ、そこにはスコットランド北部のハイランド地方の自然が広がっている。ここにはどのような背景があるのだろうか。
 「パンデミックのロックダウン中、小島秀夫のゲーム『Death Stranding』をよくプレイしていて、ゲーム内でヴァーチャルのハイキングをたくさんした。それで『自分の実生活でもハイキングをしないとダメだ!』って思うようになってね。それまでの人生でハイキングなんてしたこともなかったのに、そこからまさか自分が実際にスコットランドでハイキングをするなんて、ほんと典型的なハイパースティション*2だ(笑)。それでちょうどCovidによるロックダウン(都市封鎖)が一時的に解かれた2020年の10月に、友だちとスコットランドのマンロー*3を訪れた。僕たちが行ったのは、ハイランドの最も北に位置するベン・ホープというマンローだった。『Escapology』に入っている “In the Shadow of Ben Hope” はそこに由来している。なんでベン・ホープに行ったのかというと、人工衛星の打ち上げ場の開発現場がその山のすぐ隣にあったから。『Astro-Darien』で使用された映像のいくつかは、ベン・ホープの頂上で撮影されたものだね。アイル・オブ・スカイにも行った。そこには『エイリアン』シリーズの映画『プロメテウス』の撮影にも使われたオールド・マン・オブ・ストー(Old Man of Storr)という垂直に岩がそびえ立つ場所があるんだけど、そこも登った。前にもその場所を見たことはあったんだけど、映画を見て興味を持ったんだ。それが “Torus” のアニメーション内で再現されている」

Kode9 - Torus

画面はゲーム『Astro-Darien』の画面になっており、ミッションやレベル、イングランドの経済的攻撃への対抗措置としてスペース・コロニー内で使用される暗号通貨「Nicol」の所持数などが表示されている。暗号通貨名はスコットランド国民党党首ニコラ・スタージョンに由来。

 このように、『Astro-Darien』におけるスコットランドの自然描写は、同国の地理学的特性の表現と、そこで現在起こっている文化的事象ともリンクしたものになっている。登場人物ヤラが働くトランセスター・ノースにも、現実の文化との関連がある。
 「犯罪シミュレーション・ゲーム『グランド・セフト・オート』の開発元のロックスター・ノースはスコットランドの会社だけど、彼らがアメリカのストリート・ライフをシミュレートする代わりに、スコットランドとそこで起こっていることに関するゲームを作ったらどうなるんだろうと思ったんだよ。それでロックスター・ノースをトランセスター・ノースに変えて、実際には存在しないゲームのありうる姿を想像している」
 またそこには、『Astro-Darien』でのテーマである、スコットランドの政治状況もリンクしている。“The Break Up” のビデオは、グッドマンがハイランド地方のロードトリップ中に撮影したものを編集し、ゲーム内のミッションである宇宙への逃亡のためにスペース・ポートへと可能な限り早く到達する様子を、ゲームのスクリーンを模して表現したものだ。この楽曲タイトルは、あるスコットランドの理論家から採られているとグッドマンは説明する。
 「楽曲タイトルの元にはあるのは、1977年に出た本『The Break-Up of Britain』だね。著者はマルクス主義社会理論家のトム・ネアン(Tom Nairm)で、彼は歴史学者のペリー・アンダーソンとも仕事をしている。その本は、グローバル化、歴史の終わりなどに際して、ナショナリズムに一体何が起こるのかについて書かれている。触れられているのは極右ナショナリズムやスコットランドやカタロニアで見られるような市民的ナショナリズム(Civic Nationalism)*4だね。これは不可避なUKの分裂に関するとても予言的な本なんだよ。
 『Astro-Darien』の物語にも出てくる、伝染性の白い泡(Contagious White Foam)に沈んだブリテン島は、僕が描く分裂するディストピックなUKだ。これはパンデミックとブレグジットの混合物の例えだね。その泡が人びとの間でパラノイド的精神病を引き起こし、「白い泡」というのは白人主義的英国ナショナリズム、という設定だ。スペース・ポートへの逃亡は、UKを支持する統一支持者(Unionist)から高速で逃げるスピード・チェイス、というわけ」

Kode9 - The Break Up

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ジャングルはどんなダンス・ミュージックよりも、ポリリズム的で回転的な力(フォース)がある。

 グッドマンは『Astro-Darien』をフィクションでありドキュメンタリーでもあるような作品だと捉えており、「この現実性の枠組みをゲームとして組み直している感じだ」と説明する。同作内では実際のニュース音声などが、物語のナレーションとともに引用され、展開されていくが、このように現実とフィクションが入り混じり、いま実際に起きていることを浮かび上がらせていく。ここで描かれるのは、リアリティの描写と、そこから派生していく架空現実なのである。
 またゲーム化していくような現実をサイエンス・フィクションから描いた意図も彼は説明する。「2014年の独立投票は失敗し、スコットランド国民党は次の独立投票を2023年に計画している。この期間に僕はこれがゲームみたいなもののようにも感じはじめたんだよね。もしゲームで失敗したら、またそれをプレイするまでで、それが『Astro-Darien』にも通じている。もし結果が気に入らないのであれば、またプレイするまでだ、と」
 ここにおいてフィクションがどのように機能しているのか、グッドマンは加速主義*5を扱った以前のプロジェクトと関連させて説明する。「前のプロジェクト『The Notel*6』は右派と左派の加速主義の対立についてのもので、その両方をおちょくった作品だった。同じように、この『Astro-Darien』は左派加速主義のシナリオを、わずかながらに誇張しつつ想像している。地球を離れるとか、そういう設定でね。技術的に強まった社会主義的な未来は、スコットランド独立が目指すものであるのは間違いない*7。独立派の主な理由は、スコットランドがイングランドよりももっと左派的であるという点にある。だからこういった未来的なシナリオを描くことによって、僕は神話*8を作っているという意図もある」
 グッドマンはここで、黙示録的サイエンス・ファンタジー『ラナーク』で知られる小説家、アラスター・グレイ(Alasdair Gray)が指摘するグラスゴーとパリやロンドンといった大都市の違いに触れている。後者の二都市は、映画などのヴァーチャルな世界で頻繁に描かれることによって、聴衆が都市を訪れる前からその場所性を思い描けるようなフィクショナルな空間である。対して、グラスゴーにはそのようなヴァーチャルな領域が少なく、閉所的な場所になっている。
 こういった地政学が現実を作っている*9。実際にはありえないが、可能性としてはありえる事象を描くことができるフィクションという手法を用いて、スコットランドという文化的空間が持つ可能性を神話化し、現実の一側面を強調する作業をグッドマンは行なっている。
 「(これが)『Astro-Darien』のナレーションが、スコッティッシュのテキストスピーチ音声になっている理由でもあるんだよね。大体のコンピュータ化されたテキストスピーチ音声ってイングランドかアメリカン・アクセントで作られている。だから自分の作品ではこの理由からスコティッシュ・アクセントを使いたくてね。それで数は少ないけど5個くらいの音声を見つけることができた。コンピュータ化されたスコティッシュ・アクセントを通して、つまり、若干ノーマティヴなものから遠ざかることによって、コンピュータ化された音声とはどんなものになりうるのかに気づくことができると思うんだ。

テクノ・ミュージックだけがもう未来を独占しているのではないということ。つまりは4つ打ちのキック、デトロイト由来、ヨーロッパでの突然変異などは、ひとつの音楽的観点から覗く未来でしかない。

 では『Astro-Darien』/『Escapology』のサウンドはどうだろうか。「『Astro-Darien』のサウンドトラックのほとんどはパンデミックの前にはできていたね。ソフトウェア・シンセをかなり奇妙に使っていたよ。レコード・ボタンを押して、鍵盤を嫌っているかのごとく連打してね。とにかくすべてを録音して、とにかくランダムだった。文字通り自分は楽器を演奏するサルみたいなものだったよ(笑)。事故的で、非意図的で、予想もつかないかつ音的にも興味深いものができたと思っている。楽器を演奏しない者は何かをでっち上げなけなきゃいけないから、僕はそういう方法を生み出す必要があった。そうやって生まれたものをジグソーパズルのように組み上げていったんだよ。
プロダクションの過程で使用されたソフトウェア・シンセサイザーのひとつにグッドマンはスケッチシンセ(Sketch Synth)を挙げている。韓国人プログラマー、パク・ジュンホが製作したこのオープンソースのソフトウェアは、ヤニス・クセナキスの電子音響作成コンピューターUPICのように、図形を音へと変換することができ、グッドマンはこのツールを自身のテーマとリンクさせてみせる。
 「GRMのアクースモニウムをどうやって使用するかを考えていたら、向こうがスピーカーの位置を示した会場のマップを送ってくれてね。それでそのマップをスケッチ・シンセに入れたら、不安定で不協和音な、とても居心地の悪い音ができた。それが『Astro-Darien』の物語にピッタリだと思った。スコットランドがイングランドの連合に入った1707年の後、ダリエン計画は明らかに植民地主義として失策だったけれど、イングランドの奴隷制度にスコットランドも加担するようになった。だから『Astro-Darien』で、僕は歴史のナレーターの重要性にも触れている。ゲームのAIシステムは、奴隷制度や植民地主義がスコットランドの資本主義にどれだけ重要かについて話している。当初、スコットランドの産業には多くの奴隷制度からの資本が入ってきていた。だから、それを表現するように、サウンドトラックは可能な限り居心地の悪いものにしなければいけないと思っていたんだよ。そのサウンドデザインにスケッチ・シンセは完璧だった」
 また今作において、とくにヘッドフォンで聴いたときに際立つのは、音が左右をダイナミックに移動するプロダクションだろう。そこにおいても、音の移動にもグッドマンはフィクションとの関連を想定している。
 「ステレオ・パニングによって方向感覚を失わせるようなプロダクションを目指したというのはあるね。ステレオ・イメージのプロダクションはほぼヘッドフォンだけでやった。ステレオを体験するのには最高の「場所」だからね。僕のスタジオは音がヘッドフォン並みに分離するほどスピーカーが離れるくらい大きいわけでもない。
  この物語では回転や、らせん状の運動が起きる。例えば “Lagrange Point” は、重力井戸のラグランジュ点を指しているんだけど、地球と月の間には複数のそういった重力の点が存在していて、それによって重力が安定している。宇宙ステーションやスペース・コロニーについて70年代に書かれたものを読んでみると、それらが位置しているのは、そういった重力の力(force)の間なんだよ。『Astro-Darien』のインスタレーションでは、YouTubeで見つけた動画を使っているんだけど、それは地球と月のお互いが関わり合ったらせん状のシステムについてのものだ。スペース・コロニーとしてのアストロ・ダリエンは回転していて、その中に入ると、回転するトーラス(“Torus”)がある。こういった複数の回転をステレオ・イメージで描いるというわけさ。“Lagrange Point” にはジャングルの要素があるけど、僕が思うに、ジャングルはどんなダンス・ミュージックよりも、ポリリズム的で回転的な力(フォース)がある。いうなれば、異なるループがお互いに関わり合って構成されるブレイクビーツの回転システムだね。

 ここでサウンドトラック『Escapology』収録曲のジャングルのリズムに触れられているが、本編である『Astro-Darien』の楽曲にはビートがない。なぜグッドマンは『Escapology』にビートを加えたのだろうか。
「『Escapology』を作ることは当初考えてはいなかったんだよね。まず『Astro-Darien』を作って、マスタリング音源をもらって、アートワークのためにヴィジュアルを担当したローレンス・レックやデザイナーのオプティグラムと長く作業をしていた。それで、この作品のためのイントロダクションになるような段階が、7年ぶりにアルバムを聴く自分の普段のリスナーたちのために必要だと感じた。奇妙な音で彩られたAIが作るスコットランド・アクセントなんて誰もいきなり聞きたくないはずだ(笑)。僕は『Astro-Darien』 のサウンドデザインが気に入っていたし、正直、この作品のためだけにその音を使うのはもったいないように感じてもいた。自分の頭の中では実験的なクラブ・ミュージックが鳴っているのだって聞こえていたから、その音をまた使いはじめたんだよ」
 今作で流れるビートは、グッドマンの音楽センスを形成したジャングル、それから初期ダブステップ以降の彼のトレードマークにもなっているフットワークや南アフリカが生んだゴムやアマピアノのリズムやベースラインだ。なぜここにはこう言ったリズムがあり、かつて未来の音楽だと言われたテクノはないのだろうか。
  「これは僕の過去20年の指針でもあるんだけど、テクノ・ミュージックだけがもう未来を独占しているのではないということ。つまりは4つ打ちのキック、デトロイト由来、ヨーロッパでの突然変異などは、ひとつの音楽的観点から覗く未来でしかない。だから、自分や友だちのDJたちの視点から異なる未来を描いているんだよ。例えば、過去数年、スクラッチャDVAやクーリー・G、アイコニカやシャネンSPはアマピアノをよくかけているよね。僕はあのベースラインが大好きだ。でも僕の頭はこんがらがっているから、アマピアノのベースがフットワークのリズムで欲しかったりするわけ。サイエンス・フィクションのための異なる音楽の遺伝子組み換えみたいなものだよ。加えて、自分のDJセットの要素もプロダクションに含んでいる。

僕の頭はこんがらがっているから、アマピアノのベースがフットワークのリズムで欲しかったりするわけ。サイエンス・フィクションのための異なる音楽の遺伝子組み換えみたいなものだよ。

 『Escapology』のリズムにシカゴや南アフリカの黒人文化に直結したリズムが選ばれ、また先ほどグッドマンが挙げた〈Hyperdub〉アーティストたちはUKの外側にも人種的ルーツを持っている。以前からグッドマンが公言しているように、レーベルはサウンドシステム由来の「ブリティッシュ・ミュージックと関係する、アフリカン・ダイアスポラ(離散)の音楽的突然変異のプラットフォーム」でありつづけてきた。2020年にふたたび世界規模のムーヴメントとなったブラック・ライヴス・マターへの共感も、当然グッドマンは抱いていおり、その要素も『Astro-Darien』には上記のようにサウンド、そして設定の段階でも関連性があったという。
 「パンデミックがはじまったくらいのときに、僕はスコットランドがどう帝国主義に関わっていたのかについて、かなり多くの本を読んでいた。さっき言った奴隷制度との関係、どうやってスコットランドに奴隷制資本が流れてきたのか、といったことだね。そしてダリエン計画は間違いなく壊滅的な計画だった。もしスコットランドが未来をどうにかしようとするなら、歴史の暗黒面と向き合う必要がある。
 スコットランドは市民的ナショナリズムを持っていると言われるけど、それはつまり国境が開いたナショナリズムを意味している。ブレグジットとは真逆なわけだよ。ブレグジットはイングランドのパラノイド・ナショナリズムだ。比べて、スコットランドには違った可能性があって、もっとオープン・マインドなナショナリズムのモデルを示していると思うんだ。
 でも同時に、帝国主義によって発生した負債をどうにかしない限り、スコットランド独立のサイエンス・フィクションは不可能だと思った。ゲームとしての『Astro-Darien』のゲーム・エンジンはTディヴァインっていうんだけど、それはスコットランドの最も有名な歴史家のひとり、トム・ディヴァイン(Tom Devine)から採られている。彼は『Recovering Scotland’s Slavery Past』という本を編纂している。この設定は、ゲームを駆動するAIは、スコットランドの地政学の歴史全体のシミュレーションである、というアイディアによるものだね。スコットランドは過去の罪をどうにかしなきゃいけない。それが次のレベルへ進むための必要条件なんだ」

 ポストコロニアル的批判的思考回路を自身の表現形態に接続することにより、グッドマンが目指すのは、ドキュメンタリー/フィクションを通した未来の創造と、未来を現在に到来させることだ。それはここで彼が述べるように、市民的ナショナリズムのもと、共同体の構成員の援助と、外部に開かれた新たな国家のあり方を探りつつ行なわれる。その先に広がる未来のために、現代の国家の礎となっている奴隷制度に着目し、歴史的な反省にも向かっている。これが特定の国家の「解放」の未来を描きつつも、それを安易には理想化しない『Astro-Darien』でグッドマンが提示する共同体の理論である。
 国家という共同体の未来像を、フィクションを通して彼は描いているわけだが、ではここにグッドマンの個人史はどのように関係しているのだろうか。「パナマとスコットランドにルーツを持ち、内部にいながらアウトサイダーの視点を持つグナ・ヤラは自分に似ているかもしれない」とグッドマンは答える。コスモポリタニストでノマドであることを肯定する彼の出自にも、ヤラに通じるものがある。「僕はスコットランドに半生以上住んでいなくて、両親はイングランド出身で、さらに彼らはブリティッシュというわけではなく家系の各世代が異なる国の出身。ある種の移民家族みたいなもので、祖父母世代はウクライナ、ポーランド、チェコ出身なんだよね」
 今作は決して自伝的なものではないとした上で、グッドマンはアウトサイダーの視点の重要性について、以下のように説明する。
 「彼女は、エイリアン化をポジティヴなものとして捉えるために、『Astro-Darien』を外部へと開かれた状態でいつづけるようにプログラムしている。つまり、いかなるスコットランド的な観念にもエイリアン的であるようなものに開かれている、あるいは反動的なナショナリズムのカウンターであるとも言える*10
 グッドマンによるプロジェクトは、彼の友人のベリアルがそうであるように、ある種の匿名性に包まれたプロジェクトで、そこからは彼の出自に関する情報は希薄に思われることもあった。しかし『Astro-Darien』/『Escapology』にあるのは、個人と大きな歴史のパラレルを往復してできたサウンドの結晶である。
 「作品を作り終わったあと友人と話していて、『一体全体、自分は何をやっているんだ!』と思ったよ。なぜなら、これは自分が普段やろうとする類のものじゃないからね」とグッドマンは作品を振り返る。奇妙な時代が新たな語り部を必要としている。思惑する芸術家は、自身を貫くカレドニアの闇の奥から、対峙すべき過去と未来を、サウンドとともに描き出したのだ。


(註)
1 スコットランド地域を指す地理用語。
2 ハイパースティション(Hyperstitution):CCRU関連のテキストで用いられる概念で、単なる噂(superstition)がテクノロジーによって強度を上げ、現実になっていくことを指す。
3 マンロー(munro)標高3000フィート以上のスコットランドの山を指す。
4 市民的ナショナリズム(civic nationalism):ナショナリズム(国家主義)の一形態であるが、自民族中心主義的はなく、共同体の構成員である市民の個人権利や平等などを重要視している。
5 加速主義(Accelerationism):資本主義の発展と技術革新を加速させることによって、社会変革を目指す思想。左派加速主義は資本主義システムの崩壊を指向し、右派のそれはその強化へと向かう。CCRU時代のニック・ランドがその根本的な考えを示したとされる。
6 The Notel (2016):シュミレーション・アーティスト、ローレンス・レックとグッドマンによる映像と音楽によるインスタレーション/パフォーマンス作品。未来の人間がいなくなった中国にある、AIによって制御され、ドローンが働く全自動ホテルの内部をシュミレートしている。この作品に関して、筆者は『現代思想 2019年6月号 特集=加速主義──資本主義の疾走、未来への〈脱出〉』で考察を行なっている。
7 現在のスコットランド与党のスコットランド国民党の政策は、スコットランド独立に加え、教育費の公的負担、EU支持、医療制度の充実、貧困層支援、労働賃金の引き上げなど、社会主義的な政策を掲げている。
8 神話(mythology):ある特定の共同体内で共有されている文化規範などを反映した世界の秩序や創生に関する造話。
9 会話でもグッドマンはここで「地政学(Geopolitics )」という言葉を使っている。特定の地域の文化社会的、政治的な事象を、地理学的な特性によって考察する学問分野/手法。
10 進行中の社会情勢に反動する形で右傾化する姿勢が反動主義的ナショナリズムと呼ばれる。例えば、イギリスの80年代のサッチャリズム~90年代トニー・ブレア政権に端を発するニューレイバーの新自由主義政策の行き詰まりから、ブレグジットの実現にいたる過程を例に取ることができる。UK国外にルーツを持つ「アウトサイダー」的視点は、このような自国/白人中心主義的なイギリスの反動主義に対抗するものであるとグッドマンは主張している。「新自由主義が失敗するとき、人びとがする最もたやすいことは、反動主義的ナショナリズムを拠り所にすること。だから、スコットランドで起きていることは、ナショナリズムに興味深いものを見出す、現在進行形の闘争だ」と彼はいう。

Special Interest - ele-king

 先日限定7インチ「(Herman’s) House」を送り出したニューオーリンズのスペシャル・インタレスト。ついにアルバムのリリースがアナウンスされた。現在、ミッキー・ブランコをフィーチャーした先行シングル “Midnight Legend” が公開されている。声明によれば同曲は、朝クラブを出るすべての女の子たちへのラヴ・ソングであり、まわりに愛を抱けない(孤独な)すべての人びとへのラヴ・ソングだという。バンドにとっての3枚めのアルバムとなる新作『Endure』は、11月4日に〈ラフトレード〉より発売。

SPECIAL INTEREST
この社会からログアウトする!

ニューオーリンズ在住の4ピース・バンド、
スペシャル・インタレストが、最新アルバム『Endure』を11月4日に発売!
ミッキー・ブランコを迎えたリード・シングル「Midnight Legend」を公開!

ニューオーリンズのノー・ウェイブ・パンクバンド、スペシャル・インタレストは本日、〈Rough Trade Records〉から初となる、バンドにとっての3rdアルバム『Endure』を2022年11月4日(金)にリリースすることを発表した。この発表は、アイコニックなラッパー、パフォーマンス・アーティスト、詩人、活動家のミッキー・ブランコをフィーチャーしたリード・シングル「Midnight Legend」と、スペシャル・インタレストのボーカリスト、アリ・ログアウトが監督した素晴らしいミュージック・ビデオとともに公開された。最新アルバム『Endure』はセルフ・プロデュースされたアルバムで、エンジニアはジェームス・ウィッテン、ミックスはコリン・デュピュイ(エンジェル・オルセン、イヴ・トゥモア、ラナ・デル・レイ)、マスタリングはロンドンの〈Metropolis〉でマット・コルトンが担当した。

11月4日に発売となる、アルバム『Endure』CD/LPは本日より随時各店にて予約がスタートする。

“Midnight Legend” は、午前6時にクラブを出るすべての女の子へのラブソング、自分の周りで愛情が感じられないすべての人へのラブソング。孤立感や孤独感を感じるゆえに、自分自身を麻痺させたり、危険な行動に走ったりするのは、クラブやさまざまな娯楽施設、そして「パーティー友達」に助長されている部分もあると思う。この曲は、実際には決して聞かれることのない人々の声に耳を傾けている歌。このビデオで描かれている3人のレジェンドたちは、一人の人間でありながら、それぞれ異なる悲しみのプロセスを表現している。一人は、頭がおかしくなりすぎていっちゃってるやつ。もう一人は、体の関係を持つことで自分の心を麻痺させているアバズレ。そして、三人目は、ある瞬間、世界に心を再び開いて、愛情を受け入れられるようになる自分。ビデオの最後で、その三人は一つになり、元の自分自身に戻ることを意味している。──アリ・ログアウト

Special Interest - Midnight Legend ft. Mykki Blanco
https://www.youtube.com/watch?v=jss7mRU67e8

label: Rough Trade / Beat Records
artist: Special Interest
title: Endure
release: 2022.011.4 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD RT0303CDJP(解説付)¥2,200+税
輸入盤CD RT0303CD
通常LP RT0303LP
LP 限定盤 RT0303LPE(Yellow/LTD)
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12984

TRACKLISTING
01. Cherry Blue Intention
02. (Herman’s) House
03. Foul
04. Midnight Legend
05. Love Scene
06. Kurdish Radio
07. My Displeasure
08. Impulse Control
09. Concerning Peace
10. Interlude
11. LA Blues

Vladislav Delay - ele-king


Ripatti Deluxe - Tambourine Love Hat (video by RuffMercy) from Vladislav Delay on Vimeo.

 精力的な活動を続けるフィンランドのプロデューサー、ヴラディスラフ・ディレイ(本名:サス・リパッティ)による新名義、Ripatti Deluxe(リパッティ・デラックス)のアルバム『Speed Demon』が10月28日に 新レーベル〈Rajaton〉からリリースされる。

 「国境という概念を意識しないとき、我々の心はどう動くのだろう?」——これが作品のひとつのモチベーションになっているようだが、もっとも大きなコンセプトは「速度」になる。アルバムには、「時間、時間に対する概念、時間に対する意識、時間に対する隷属、欲望などについて」の考察が反映されており、音楽的には「いままで聴いたことのない初期のレイヴやハッピー・ハードコアなどをランダムに見つけて、今度はそれらを大量のエフェクトを通してループさせたり、ひっくり返したりしたり」したことがヒントになっている。

■新レーベル〈Rajaton〉
〈Rajaton〉は、孤立、所有権、戦争が国境を強化するとき、物理的および精神的な境界の非存在を意味する。〈Rajaton〉の音楽のアウトプットとそれを積極的に聴くことは、私たちを再び無限にし、思考を広げるきっかけとなる。ヒエラルキーとジャッジメントを劣化させ、誠実な解釈と新しい形の完全な理解を得るための、多数の万物の存在。〈Rajaton〉は、Ripattiの前身である〈Huume Recordings〉と〈Ripatti〉に続くレーベルである。

■サス・リパッティ
90年代後半から00年代初頭にかけて、グリッチ、テクノ、アンビエント、フットワークといったエレクトロニック・ミュージック・シーンにおける重要人物。「Entain」、「Multila」、「Anima」といったカルト・クラシックや、Vladislav Delay, Uusitalo, Luomo, Conoco, Sistolとして20以上のアルバムをリリース、マイクロ・ハウスといったジャンルの先駆的な存在である。彼の音楽は〈Planet Mu〉, 〈Raster-Noton〉, 〈Chain Reaction〉, 〈Mille Plateaux〉, 〈Honest Jon's〉 などからリリースされている。また、過去には坂本龍一、シザー・シスターズ、AGF、ブラック・ダイス、マッシヴ・アタック、モーリッツ・フォン・オズワルド、ミカ・ヴァイニオ、クレイグ・アームストロング、ジャマイカの伝説的アーティスト、スライ&ロビー等とコラボレートしている。彼の音楽は、洗練された質感、セミランダムな要素、破砕とシンコペーションのパーカッション、そして脱構築で有名。

Nosaj Thing - ele-king

 活動初期には〈Low End Theory〉にも出演していたLAのプロデューサー、ノサッジ・シングが通算5枚めとなるニュー・アルバム『Continua』を完成させたという。まだ詳細は明かされていないものの、現在新曲 “Blue Hour” が公開されている。ヴォーカルで、ジュリアナ・バーウィックが参加(ノサッジ・シングは以前、バーウィックのアルバム『Healing Is A Miracle』に参加していた)。アルバムの続報を待ちたい。

NOSAJ THING
ノサッジ・シングがNEWアルバム『CONTINUA』の完成を明かし
ジュリアナ・バーウィック参加の新曲 “BLUE HOUR” を解禁

ケンドリック・ラマーやチャンス・ザ・ラッパーのプロデュースで知られ、日本でも真鍋大度とのコラボなどで人気を集める、LAのプロデューサー、ノサッジ・シングが新曲 “Blue Hour” をリリースした。本楽曲には、スフィアン・スティーヴンス主宰レーベルからリリースした『The Magic Place』やシガー・ロスのヨンシーも参加したアルバム『Healing Is A Miracle』でその瞑想的な歌声が賞賛されているジュリアナ・バーウィックがヴォーカルとして参加している。

Nosaj Thing - Blue Hour ft Julianna Barwick
https://youtu.be/IQhwGGarWfI

ノサッジ・シングは5枚目となる最新作『Continua』が完成したことも明かしており、今後詳細が発表される予定という。

ノサッジ・シングは自身の体験を投影した見事なサウンドスケープを創作する。そこからは、LAシーンの歩みを感じ取ることもできる。DIYなライブハウス、The Smellで見たノイズやパンクのライブから、D-Stylesと共演したLow End Theoryでのデビュー・ステージ、The xxやザ・ウィークエンドのオープニングアクト、そして10年に渡って親交のあるオーディオビジュアル・ライブの第一人者、真鍋大度との革新的なヘッドライン・パフォーマンス。それらリアルな体験こそが、彼の音楽に直感的な感情移入をもたらし、それらが特別なムードを生み出し、ノサッジ・シングのサウンドに唯一無二の輝きをもたらしている。


label: LuckyMe
artist: Nosaj Thing
title: Blue Hour ft Julianna Barwick
release: 2022/08/24

TRACKLISTING
1. Blue Hour ft Julianna Barwick

L-KY.ME/NT
https://l-ky.me/NT

The Comet Is Coming - ele-king

 UKジャズ・シーンにおける重要グループのひとつ、ザ・コメット・イズ・カミング。エレクトロニック・ミュージック寄りのデュオ、サッカー96のふたり──シンセ担当のダナログとドラムス担当のベータマックス──に、サックスのシャバカ・ハッチングスを加えたこのトリオの新作が、9月23日に発売される。題して『極超次元拡張ビーム(Hyper-Dimensional Extension Beam)』。録音はピーター・ゲイブリエルのスタジオでおこなわれたそうだ。
 そしてなんと、嬉しいことに来日公演も決定。12月1日から3日にかけ、渋谷と大阪をまわります。前回来日時のフジで素晴らしいパフォーマンスを披露した彼ら、今回の単独公演も必見だ。

ロンドンを拠点にフロアを揺らし続けるコズミック&レイヴなジャズ・トリオ、
名門インパルスから待望のニュー・アルバムをリリース

●シンセサイザーのダナログ(ダン・リーヴァーズ)、サックスのシャバカ(シャバカ・ハッチングス)、ドラムのベータマックス(マックス・ハレット)の3人によるコズミック&レイヴなジャズ・トリオ、ザ・コメット・イズ・カミング。ロンドンを拠点に活動し、マーキュリー賞にノミネートもされている彼らが、待望のニュー・アルバムをリリース

●シンセサイザー、サックス、ドラムという特異な編成でパンクロック、ジャズ、トランス等様々なジャンルを横断しダンスフロアを揺らし続けているザ・コメット・イズ・カミング。本作はイギリスにあるピーター・ガブリエル所有のリアルワールド・スタジオでレコーディングされた。バンドの長年のエンジニアであるクリスチャン・クレイグ・ロビンソンと共に、トリオは4日間のレコーディングを敢行。その後ダナログとベータマックスが録音を入念にサンプリングし、深遠かつ首尾一貫した音楽的メッセージを持つ今回の作品が生み出されたという。

●12月に待望の来日公演も行うことも決定! 2019年以来約3年振り2度目の来日で、12月1日と2日に渋谷WWW、12月3日に大阪の LIVE HOUSE ANIMA での計3公演となっている。


The Comet Is Coming / HYPER DIMENSIONAL EXPANSION BEAM
ザ・コメット・イズ・カミング / ハイパー・ディメンショナル・エクスパンション・ビーム
2022.9.23 リリース Impulse!
配信 / 輸入盤

収録曲
01. CODE
02. TECHNICOLOUR
03. LUCID DREAMER
04. TOKYO NIGHTS
05. PYRAMIDS
06. FREQUENCY OF FEELING EXPANSION
07. ANGEL OF DARKNESS
08. AFTERMATH
09. ATOMIC WAVE DANCE
10. THE HAMMER
11. MYSTIK


ザ・コメット・イズ・カミング プロフィール
2018年、サンズ・オブ・ケメットで米国インパルスからメジャー・デビュー(アルバムは英国マーキュリー・プライズにノミネートされる快挙)を飾った、現行UKジャズの中心人物シャバカ・ハッチングス(キング・シャバカ)率いる大本命ユニット。
サックスのキング・シャバカ、シンセサイザーのダナログ、ドラムのベータマックスによって2013年に結成。2015年末に12インチとデジタ ル配信のみでリリースされたデビューEP『The Prophecy』は英DJ Mag 誌で10点中9.5点の高評価を獲得し、ジェイミー・カラムも自身のラジオ番組で「最高のニューカマー」と絶賛。翌2016年にはデビュー・フル・アルバム『Channel The Spirits』を発表。そして2019年、満を持してメジャー・デビュー作をドロップ。

シャバカ・ハッチングス プロフィール
シャバカ・ハッチングスは1984年、ロンドン生まれ。6歳の時にカリブ海に浮かぶ西インド諸島の国、バルバドスに移り住むが、その後、イギリスに戻り、以来、ロンドンのジャズ・シーンの中心を担っているサックス奏者。1960年代のジョー・ハリオットやエバン・パーカー以来の創造性を持つと言われ、その独特でパワフルなプレイからしばしば「カリスマ」もしくは「サックスのキング」と評される。
現在、コメット・イズ・カミング、サンズ・オブ・ケメット、そして、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズの3つを主要プロジェクトとしており、プロジェクトを跨いで JazzFM や MOBO のジャズ・アクト・オブ・ジ・イヤーなど数々の賞を受賞している。

■来日公演情報
The Comet is Coming Japan Tour 2022
2022年12月1日(木) 渋谷 WWW
2022年12月2日(金) 渋谷 WWW
2022年12月3日(土) 大阪 LIVE HOUSE ANIMA
チケット情報等詳細は後日発表!

■ザ・コメット・イズ・カミング リンク情報
ユニバーサルミュージック https://www.universal-music.co.jp/the-comet-is-coming/
Twitter: https://twitter.com/cometcoming
Facebook: https://www.facebook.com/thecometiscoming
Instagram: https://www.instagram.com/cometcoming/

■シャバカ・ハッチングス リンク情報
本国公式サイト http://www.shabakahutchings.com/
Twitter: https://twitter.com/shabakah
Facebook: https://www.facebook.com/shabakahutchingsmusic/
Instagram: https://www.instagram.com/shabakahutchings/
YouTube: https://www.youtube.com/user/shabakahutchings/featured

Ezra Collective - ele-king

 ドラムとベースのコレオソ兄弟を中心に、ジョー・アーモン・ジョーンズも名を連ねるロンドンの五人組、エズラ・コレクティヴの新作『Where I'm Meant To Be』が11月4日にリリースされる。ファースト『You Can't Steal My Joy』から3年ぶりのアルバムだ。サンパ・ザ・グレイト、コージー・ラディカルといったゲストも参加。楽しみに待っていよう。

ジャズと様々なジャンルをシームレスに融合させたサウンドでシーンをリードするUKのクインテット、エズラ・コレクティヴ。名門パルチザン・レコードより、待望のセカンド・アルバム『ホェア・アイム・メント・トゥ・ビー』をリリース。

●ゲスト:サンパ・ザ・グレイト、コージー・ラディカル、エミリー・サンデー、ネイオ

アルバムより、「Life Goes On (Feat. Sampa the Great)」のビデオを公開。
★Ezra Collective - Life Goes On (Feat. Sampa the Great) (Official Video)
https://youtu.be/9sS-QEyLycs

2022.11.4 ON SALE[世界同時発売]

アーティスト:EZRA COLLECTIVE(エズラ・コレクティヴ)
タイトル:WHERE I'M MEANT TO BE(ホェア・アイム・メント・トゥ・ビー)
品番:PTKF3020-2J[CD/国内流通仕様]
定価:未定
その他:世界同時発売、解説付
発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ

収録曲目:
01. Life Goes On (feat. Sampa the Great)
02. Victory Dance
03. No Confusion (feat. Kojey Radical)
04. Welcome To My World
05. Togetherness
06. Ego Killah
07. Smile
08. Live Strong
09. Siesta (feat. Emeli Sandé)
10. Words by Steve
11. Belonging
12. Never The Same Again
13. Words by TJ
14. Love In Outer Space (feat. Nao)

★Ezra Collective - Victory Dance (Official Video)
https://youtu.be/NiZPsN2pbTM

●Ezra Collectiveは11月4日にPartisan Recordsからニュー・アルバム『Where I'm Meant To Be』をリリースする。『Where I'm Meant To Be』は、Ezra Collectiveのハイブリッド・サウンドと洗練された集団としての個性を昇華させた作品だ。Thelonious Monkの『Underground』をモチーフにしたアルバム・ジャケットをはじめ、楽曲はクールな自信と明るいエネルギーに満ちている。アンサンブル・パート間でのコール・アンド・レスポンスによる会話に満ちたこのアルバムは、長年ステージ上で共にインプロヴィゼーションを行ってきた成果である。Sampa The Great、Kojey Radical、Emile Sande、Nao等も参加したこのアルバムは、汗に満ちたダンス・フロアと夏のディナーのサウンドトラックを等しく明るくする。バンドの2019年デビュー・アルバム『You Can't Steal My Joy』は、ジャズの繊細さとクラシックなサウンドをアフロビート、ヒップホップ、ダンスホールのリズムとシームレスに融合させたサウンドで、イギリスでのジャズ復活の中、彼らを最もエキサイティングなアクトの1つとして確立させた。結果、Rolling Stone、Pigeons & Plane、The New York Times(London)は注目すべき新進バンドのひとつとして、彼らを取り上げた。

●Ezra CollectiveはUKのジャズ・シーンをリードするバンドだ。メンバーはドラムのFemi Koleoso、ベースのTJ Koleoso、キーボードのJoe Armon-Jones、サックスのJames Mollison、トランペットのIfe Ogunjobiの5人。イギリスの音楽教育機関、トゥモローズ・ウォリアーズで出会ったことにより、活動がスタートした。2枚のEPをリリース後、2019年にデビュー・アルバム『You Can't Steal My Joy』をリリース。高い評価を博した。バンドは事実上のスーパーグループで、Ezra Collectiveとしての活動以外でも多忙を極める。ドラマーでバンド・リーダーのFemi Koleosoは今やGorillazのラインナップに欠かせない存在だ。ベースのTJ KoleosoはYazmin Laceyと共演。キーボードのJoe Armon-JonesはMick Jenkinのニュー・アルバムに参加。Nubya Garciaとツアーをおこない、FatimaとのコラボレーションEPをリリースする予定である。サックスのJames MollisonはNala Sinephroのバンドでプレイし、トランペットのIfe OgunjobiはBurna Boyと共に、ソールドアウトのスタジアムでプレイしている。

■More info: https://bignothing.net/ezracollective.html

Waajeed - ele-king

 Waajeed(ワージード)といえば、デトロイト・ヒップホップを代表するプロデューサーのひとりで、J Dillaとともにスラム・ヴィレッジのメンバーであり、PPP(Platinum Pied Pipers)としての作品も知られている。ワージードが、来る11月、ベルリンの〈トレゾア〉からソロ・アルバム『Memoirs of Hi-Tech Jazz』をリリース。まずはアルバムに先駆けて、シングル曲“Motor City Madness”が発表された。ヒップホップとテクノとジャズがブレンドされた素晴らしい曲だ



以下、資料より抜粋。

『Memoirs of Hi-Tech Jazz』は、デトロイトや世界中の黒人居住区における抑圧的なヘゲモニーに対する革命的な取り組みからインスピレーションを得た、レジスタンスを想起させるサウンドスコアである。このアルバムを抗議運動と並行してプレイすることはできるが、音楽は、抑圧の視線の外側に存在する平凡な瞬間により適している。暴力や不正義がまかり通っているが、それは私たちによっての唯一の物語ではない。私たちは、私たちを抑圧するモノどもよりも遙かに多くのものだ。このアルバムは、黒人の余暇と遊びを称えるもので、枯渇する現実にもかかわらず持続する平凡な喜びを表現している。


Waajeed
Memoirs of Hi-Tech Jazz

Tresor


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