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Nosaj Thing

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デンシノオト   Jun 26,2015 UP

 ノサッジ・シング=ジェイソン・チャングは若くして成功を手に入れた。ノサッジはフライング・ロータスを輩出したLAビート・シーンを代表するパーティ〈ロー・エンド・セオリー〉の初期からその才能を発揮していたというし、2009年にリリースされたファーストアルバム『ドリフト』も、2012年の『ホーム』もビートミュージックのフィールドを超えて高い評価を獲得した。トロ・イ・モア、カズ・マキノ、ジェイミーXX、レディオヘッド、チャンス・ザ・ラッパー、ケンドリック・ラマーらと、さまざまなコラボレーションを行い、彼らから強い信頼も得た。みな、ノサッジの才能にほれ込んでいた。まさに順風満帆だ。

 にもかかわらず、彼は泣いている。3年ぶりの新譜には悲しみに満ちた音風景が展開されているのだ。しとしとと降り続ける雨のようなビート。曇り空のようなメランコリックなコード。アルバム名は「運の尽きた」を意味するという。私はこのアルバムから強い喪失の念を感じた。失われていくものへの諦念。

 今作の大きな特徴は「声」を積極的に導入している点だが、サンプリングされた「声」もまた泣いているように聴こえる。なかでもフーアレイを起用した“ドント・マインド・ミー”とチャンス・ザ・ラッパー参加曲“コールド・ステアズ”のブルージーなヴォーカル・トラックが素晴らしい。チャンス・ザ・ラッパーのメランコリックな歌声が染みる。

 同時にワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『アール・プラス・セブン』以降のトレンドでもある「シンセ・ウェイヴ/ミュージックコンレート的」という現代的な要素もある。コーネリアスのファンでもある彼はアメイジングなサウンドも追求しているのだ。

 本作には、ブルーとアメイジングというふたつのエレメントが交錯している。コードに、ビートに、グルーヴに、サウンドに、声にさまざまな感情が息づいている。私には、美しいアンビエンスを響かせるラスト曲“2K”が、ノサッジの慟哭のようにも聴こえた。

デンシノオト

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