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Fabiano do Nascimento - ele-king

 リオデジャネイロ出身でLAを拠点に活動するファビアーノ・ド・ナシメントが来日する。今年は2枚のアルバム──イーゴン主宰〈Now-Again〉からの『Lendas』と、マシューデイヴィッド主宰〈Leaving〉からの『Das Nuvens』──を発表している彼は、ブラジル音楽の豊穣なる遺産をLAの音楽風土のなかで新たな形へと昇華するギタリストだ。今回は伝統曲のカヴァーや未発表の新曲を演奏する予定だという。10月13日@南青山BAROOM。貴重な機会をぜひ。

JAZZ at BAROOM ー ファビアーノ・ド・ナシメント ー

南青山のBAROOMにて開催される、“ジャズを核としたその周辺のグッドミュージック”を取り上げるライブシリーズ<JAZZ at BAROOM>

7月にスタートしたこのシリーズには、これまでマーク・ド・クライヴ・ロウ × 真鍋大度、笹久保伸、菊地成孔5、BIGYUKI、4Acesなど多彩なミュージシャンたちが出演してきました。

そして今回、ロサンゼルスを活動拠点とするリオデジャネイロ出身のギタリスト、ファビアーノ・ド・ナシメントの5年ぶりの来日ソロコンサートとして、出演が決定しました。

6弦・7弦・10弦・ミニギターなど様々なタイプのギターで、伝統曲のアレンジカバーから未発表の新曲などを演奏予定です。

BAROOMのインティメートな円形空間で、ファビアーノの繊細なサウンドを感じてください。

ファビアーノ・ド・ナシメントのソロ・ギターを聴けるのは、喜び以外の何物でもない。リオデジャネイロでギターを習得し、ロサンゼルスでギタリストとしてデビューした彼は、ブラジル音楽の豊かなレガシーと、LAのシーンのオープンマインドな音楽性を併せ持つ稀有な存在だ。エルメート・パスコアールやイチベレ・ズヴァルギの音楽を愛し、朋友サム・ゲンデルにブラジル音楽を教えて演奏を共にしてきた。そして、近年は瞑想的なサウンドスケープやリズミカルでモダンなグルーヴを生み出してもいる。ギター・ミュージックの可能性を拡げる演奏を堪能できるまたとない機会だ。ぜひ、お見逃しのないように! 原 雅明

■日時 / DATE&TIME
2023.10.13.fri
OPEN 18:00|START 19:30

■料金 / PRICE
HALL TICKET(自由席) ¥5,000 *ワンドリンク別
・受付にてワンドリンク代を別途お支払いいただきます。

チケットは下記サイトにて発売中
https://jab231013.peatix.com/

■出演 / CAST
Fabiano do Nascimento(ファビアーノ・ド・ナシメント)
リオデジャネイロ出身|ギタリスト、作曲家、プロデューサー。
音楽一家に生まれ、幼少期からピアノ、音楽理論などの教育を受け、10歳でギターを手にする。
ブラジルの豊かな音楽環境によって育まれた卓越した演奏技術をベースに、サンバやショーロといったブラジルの伝統と、ジャズ、実験音楽、エレクトロニカなどの要素を取り入れた、独自の清らかで繊細な音楽を常に開拓し続けている。
https://fabianomusic.com/

■会場 / VENUE
BAROOM
東京都港区南青山6-10-12 1F
Tokyo, Minato City, Minamiaoyama, 6-10-12 1F
https://baroom.tokyo/

六本木通り南青山七丁目交差点角
・「表参道」B1,B3出口より 徒歩約10分
・「渋谷」東口/都バス01系統「新橋」行き青山学院中等部前バス停下車 徒歩約3分

K-PUNK 夢想のメソッド──本・映画・ドラマ - ele-king

マーク・フィッシャー評論選集
文学/映画/ドラマ編

 私たちの生をむしばむ、政治的、心理的、対外的、対内的な抑圧に立ち向かい、聡明で、常に燃え続け、獰猛な激しさをもって今日における「失われた未来」を調査し、知性を磨く努力を怠らなかった思想家、マーク・フィッシャー。21世紀でもっとも重要な政治的テクストであり、すべての人にとっての必読書『資本主義リアリズム』を上梓し、1979年以降の資本主義が独自の「リアリズム」様式を押しつけ、それが左派リベラルにおいても内面化されていることを暴きながらも、社会主義という、いまとなっては「リアリズム」を喪失した大義を捨てずに思考し続けた批評家。スラヴォイ・ジジェク、ラッセル・ブランド、オーウェン・ジョーンズらが絶賛し、マーク・スチュアートベリアルをはじめ多くのミュージシャンに刺激を与えた思想家。
 ポスト左翼がブレグジットに直面した際に、旧来の左翼の惰性を非難し「右傾化」することが「大人」だとされたときも、マーク・フィッシャーはその惰性をどうしたら脱却できるのかと向き合い、安易な「右傾化」に同調することもなかった。
 アカデミックになることなく、つねにポピュラー・ミュージックや映画、大衆文学を出発点としながら大衆迎合主義に陥ることも回避しつづけてきた知性の、彼の人気を決定づけた原点にしてすべて──それが彼の伝説のブログ『K-PUNK』だった。
 その『K-PUNK』から精選されたコレクションが全三冊に分けられ、ついに翻訳刊行される。まずはその第一弾は「文学/映画/ドラマ編」。序文はサイモン・レイノルズ。
 幸いなことに、こうして私たちは彼の文章に立ち返ることができるし、その文章のなかには、情熱的で、たとえどんなに悲観的になろうとも、未来を諦めてはいないマーク・フィッシャーがつねにいるのだ。

本書に登場する作家や作品など:
カフカ、W・S・バロウズ、J・G・バラード、スティーヴン・キング、マーガレット・アトウッド、パトリシア・ハイスミス、デイヴィッド・ピース、トニ・モリスン、カズオ・イシグロ、リチャード・マシスン、クリストファー・ノーラン、デヴィッド・クローネンバーグ、『スター・ウォーズ』、『シャイニング』、『ブレイキング・バッド』、『トイ・ストーリー』、『ウォーリー』、『バットマン』、『ターミネーター』、『アバター』、『ハンガー・ゲーム』、ブライアン・フェリー、ジョイ・ディヴィジョン、ほか多数

マーク・フィッシャーの『K-PUNK』ブログは一世代の必読書だった。 ──『ガーディアン』
誰にとっても理にかなった新しい世界を発明するための不可欠なガイドブックである。 ──ホリー・ハーンドン(電子音楽家)
フィッシャーは、この時代のもっとも信頼できるナヴィゲーターである。 ──デイヴィッド・ピース
今世紀、これほど興味深い英国人作家は現れていない。 ──『アイリッシュ・タイムズ』
21世紀の文化批評の書き方の入門書。 ──『LA レビュー・オブ・ブックス』
当代の文化は、公衆的なるものの概念および知識人の姿、その双方を排除してしまった。かつて──物理的/文化的の両面で──公共の場だったものは、いまや遺棄されたか、広告の植民地と化している。阿呆な反知性主義が支配し、それに声援を送る多国籍企業に雇われた私立高学歴の売文家は、退屈した読者に対し、あなたがたはわざわざ相互受動的な朦朧状態から目覚める必要はありません、と安心させる。後期資本主義の文化労働者によって内面化され、広められた非公式の検閲は、スターリン主義のプロパガンダ長官すら人々に強制できたらどんなに素晴らしいだろうと夢見るほかない、陳腐な順応主義を生み出す。(本書より)

序文 (サイモン・レイノルズ)
編者からのはしがき (ダレン・アンブローズ)
なぜKか?

第一部
夢を見るためのメソッド:本

本のミーム
空間、時間、光、必要なもののすべて──『J・G・バラード特集』(BBC4)についての考察
私はなぜロナルド・レーガンをファックしたいのか
移動遊園地の色鮮やかなスウィング・ボート
退屈の政治学とは?(バラードのリミックス2003)
あなたのファンタジーになりたい
ファンタジーの道具一式:スティーヴン・マイゼルの「非常事態」
J・G・バラードの暗殺
不安と恐怖の世界
リプリーのグラム
夢を見るためのメソッド
アトウッドの反資本主義
トイ・ストーリーズ:あやつり人形、人形、ホラー・ストーリー
ゼロ・ブックスの声明

第二部
スクリーン、夢、幽霊:映画とテレビ

ひとさじの砂糖
あの人は僕の母さんじゃない
ナイジェル・バートン、起立しなさい
ポートメイリオン:理想の生き方
ゴルゴタの丘の唯物主義
この映画じゃ僕は感動しない
第三帝国ロックンロールの恐怖とみじめさ
我々はすべて欲しい
ゴシックなオイディプス王:クリストファー・ノーランの『バットマン ビギンズ』における主体性と資本主義
夢を見るとき、我々は自分たちをジョーイだと夢見るのか?
クローネンバーグの『イグジステンズ』の覚書
撮影したから自分で思い出す必要はない
マルケルの幽霊と第三の道のリアリティ
反アイデンティティ政治
「あなたは昔からずっとここの管理人です」:オーバールック・ホテルの幽霊的空間
カフェ・チェーンと捕虜収容所
理由なき反抗
廃墟のなかの歴史家ロボット
『マイク・タイソン THE MOVIE』評
「彼らは彼らの母親を殺した」:イデオロギーの症状としての『アバター』
雇用不安と父権温情主義
贈り物を返品すること:リチャード・ケリーの『運命のボタン』
社会への貢献
「とにかく気楽に構えてエンジョイしましょう」:BBCに登場した被投性
『スター・ウォーズ』は最初から魂を売り飛ばしていた
ジリアン・ウェアリングの『Self Made』評
バットマンの政治的な右派転向
敵は誰かを思い出せ
善悪の彼岸:『ブレイキング・バッド』
階級の消えたテレビ放送:『Benefits Street』
味方してしまう敵:『ジ・アメリカンズ 極秘潜入スパイ』
手放す方法:『LEFTOVERS/残された世界』、『ブロードチャーチ 〜殺意の町〜』、『ザ・ミッシング 〜消えた少年〜』
英国風刺の奇妙な死
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』評
名声が建てた家:『セレブリティ・ビッグ・ブラザー』
アンドロイドを憐れんで:『ウエストワールド』のねじれた道徳観

索引

[著者プロフィール]
マーク・フィッシャー(Mark Fisher)
1968年生まれ。ハル大学で哲学の修士課程、ウォーリック大学で博士課程修了。ゴールドスミス大学で教鞭をとりながら自身のブログ「K-PUNK」で音楽論、文化論、社会批評を展開する。『ガーディアン』や『ワイアー』に寄稿しながら、2009年に『資本主義リアリズム』を発表。2014年に『わが人生の幽霊たち』を、2016年に『奇妙なものとぞっとするもの』を上梓。2017年1月、48歳のときに自殺。邦訳にはほかに講義録『ポスト資本主義の欲望』がある。

[訳者プロフィール]
坂本麻里子(さかもと・まりこ)
1970年東京生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。ライター/通訳/翻訳者として活動。訳書に『バンドやめようぜ!』『アート セックス ミュージック』『エイフェックス・ツイン、自分だけのチルアウト・ルーム』『この灼けるほどの光、この太陽、そしてそれ以外の何もかも』『レイヴ・カルチャー』『ザ・レインコーツ』『ヴァイナルの時代』『自転車と女たちの世紀』ほか。ロンドン在住。

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山上徹也への応答を起点に「弱者男性」論を問い直す
「弱者男性」論の第一人者による名著、渾身の書き下ろしを加えて復刊!

恋愛/性体験、収入の格差や労働のつらさ、社会的地位の低さ、強要される「男らしさ」といった、現代男性をめぐる生きづらさについて真摯に考察し、2016年に刊行され大きな話題を呼んだ『非モテの品格』(集英社新書)。

この名著がオリジナルの10万字に9万字の大幅増補を加えて復刊!
山上徹也容疑者への応答を起点として「弱者男性」論をあらためて考え直す集大成!

目次

増補改訂版・まえがき

第一章 男にとって弱さとは何か?
自分の弱さを認められない、という〈弱さ〉/男たちの自己嫌悪──フェミニストたちの死角/男性は女性よりも自殺しやすいのか?/「男性特権」を自己批判する、その先へ/男性たちは自分の性愛を語ってこなかった/「男の子」に産んで申し訳ない、という気持ち/メンズリブを再起動する/男であることのアポリア

第二章 男のルサンチマンについて──非モテの品格?
雇用・労働問題とジェンダー構造/男性たちのアイデンティティ・クライシス/マジョリティ男性たちのねじれた被害者意識/男性たちの非正規雇用問題/正規vs.非正規という「にせの対立」/「非モテ」とは何か?/「誰からも愛されない」ということ/非モテの三類型/性的承認とアディクション/男の厄介なルサンチマン問題/ニーチェとルサンチマン/つらいものはつらい。淋しいものは淋しい。/ルサンチマンをさらに掘り進める/男の自己批判(私語り)の危うさ/開かれた問い直しへ/「草食系男子」への大いなる誤解/承認欲求・自己肯定・自己尊重/

補論① 認められず、愛されずとも、優しく、幸福な君へ

第三章 男にとってケアとは何か──クィア・障害・自然的欲望
ケアワーカーたちがケアを必要とする/「依存」は例外ではない/子育ての不思議さ/「一緒に頑張ろう」/ALSの青年のケア経験/ケアが社会化されていく/日常的な風景を「見る」ということ/内なる弱さに向きあう、という怖さ/歪んだ支配欲を見つめる/子どもの看病の経験から──弱いのはどちらか/ある自閉症の青年とそのお母さん/障害者支援の歴史から学んだこと/生きること、遊ぶこと、働くこと/ただの〈男親〉になるということ/自分の欲望を学び直す─脳と神経/寄り添われて眠るという経験/産む行為の重層性/「植物人間」とは誰のことか?

補論② 弱く、小さき者から

集英社新書版・あとがき

第四章 弱者男性たちは自分を愛せるか──インセル論のために
「弱者男性」をあらためて問い直す/インセルのグローバルな氾濫/叛乱?/覚醒するインセルたち?/インセルにとって自己愛とは何か/残余/残りものとしての弱者男性たち/欲望をめぐる政治というラディカルなセルフラブ/「巨大なブルシット」としてのニヒリズム/インセルライト/インセルレフト/インセルラディカル/男性内格差の問題/ポスト男性学的なジレンマをめぐって/ラディカルな無能さのリブに向けて/男たちも自分を愛して良い!

第五章 男性たちは無能化できるか──水子弁証法のために
承認/再分配/政治/差別論と能力主義のジレンマ/現代のプレカリアートたちの交差的な階級政治/ポスト資本主義的な欲望/メンズリブ的なメランコリーと向き合う/ギレルモ・デル・トロの「怪物」たち/男性たちの「ぬかるみ」/メリトクラシーと男性の無能性/ハイパーメリトクラシー/男性たちの無能弁証法/無能な者たちのストラグル──『火ノ丸相撲』/水子弁証法とは何か

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Locate S,1 - ele-king

 ジョージア州アセンズ出身でニューヨークを拠点に活動しているロケイト・S,1ことクリスティーナ・シュナイダーの魅力はなんといってもポップなメロディにあるだろう。空間に溶けていくかのような柔らかく陽光なヴォーカル・メロディ、〈Caputured Tracks〉からの最初のリリースとなった前作は共同プロデュースを務めたのがケヴィン・バーンズということもあってオブ・モントリオール色の強いアルバムだったが、セルフ・プロデュースとなる今作はそれ以前の活動でもあるCE・シューナイダー・トピカル時代の雰囲気がある。ブランシュ・ブランシュ・ブランシュのザック・フィリップスと組んで活動していた時期のCE・シュナイダー・トピカルは夢見心地に儚く漂うヴォーカルとDIYのセンスあふれるアレンジ(彼女は日本のマヘル・シャラル・ハシュ・バズが好きだと言っていたが、確かに影響があるように思える)が特徴だったが、この2ndアルバムではその影を残したまま、時代がかったインディ・ポップと呼べるような雰囲気を基調にゆるやかにジャンルを横断する。

 カントリー風のオープニング・トラック “You Were Right About One Thing”、リラックスしたボサノヴァ風味の “Go Back To Disnee”、70年代のソフト・ロックを思わせる “Pieta”、ザック・フィリップスと共作したという “Daffodil” はやはり一番CE・シューナイダー・トピカルに時代に近い曲で、ラフでねじれた桃源郷を演出する。そうして60年代のフィル・スペクターの黄金ポップスのようなタイトル・トラック “Wicked Jaw” で締めるのだ。バラバラのジャンルの曲がひとつのアルバムとして成立しているのはやはり彼女のヴォーカルの力が大きいのだろう。変化するジャンルのサウンドの上に、柔らかくわずかに憂いを帯びた彼女の声が最後まで続くひとつの道を作り上げている。大げさでわざとらしくなるような一歩、あるいはニ歩手前で。そうしてその陽光のメロディの中に社会を見つめる目線と小さな悲しみを混ぜ込むのだ。

 ノスタルジックでありながら、そこに留まることを良しとしない “Go Back To Disnee” のライン。「私たちは本当のアメリカに暮らしていなかった/ディズニーに戻ろう、宮殿の階段に/存在しなかった隠された場所に戻ろう」。リラックスしたとろけるようなボサノヴァ調の曲の中でクリスティーナ・シュナイダーは作られた幻想を否定するようなニュアンスをそっと忍び込ませる。スペルの違う、ズレた世界のディズニー・ノスタルジア、甘さの中の苦味、それが楽曲をより魅力的なものにする。
 あるいは “You Were Right About One Thing” のビデオで見せるような人間の側面を演じる極端なペルソナがギャップを生み出し表現に違ったニュアンスを与える。このビデオにはマリリン・モンロー風のクラシック・スタイルの女性にマフィアの男、70年代のクライム・サスペンス風の装いの女が登場するが、その全てを同じ人物(クリスティーナ・シュナイダー)が演じそしてそれが同時に存在する。それはあたかもひとりの人間、あるいはひとつの出来事が抱える複雑性を表現しているかのように思える。

 シュナイダーは曲作りについて「美しさは闇と痛みを浮き彫りにして、それをよりはっきりと見えるようにする」と語っているがこのアルバムはまさにそうしたコンセプトが遺憾なく発揮されたアルバムだろう。幼少期のトラウマ、パンデミックで混迷するアメリカ、それらの暗い影がとろけるような陽光のメロディの中で語られて、その表現の中で一面的ではない他の側面をにじませるのだ。明るいインディ・ポップの楽曲はひそやかにねじられて、さりげなく積まれたらレイヤーがふとした瞬間に重なり透ける。30分強のボリュームの聞きやすさの中にニュアンスが溶けるこのアルバムはその時々で様々な顔を見せてくれる。心地よく、少しだけ居心地が悪い、なんとも不思議な感覚だ。

Cecil McBee - ele-king

BLACK RENAISSANCE - ele-king

Nihiloxica / Asynchrone - ele-king

 憶えているだろうか、2020年のすばらしいアルバム『Kaloli』を。〈ネゲネゲ〉からのリリースを経て、ブリュッセルの老舗〈Crammed Discs〉から送り出されたウガンダのナイヒロクシカによるファースト・アルバムは、われわれも年間ベスト・アルバム30の1枚に選出した好盤だった。それから3年。ついにセカンド・アルバムが投下される。テーマとして悪質な移民政策や移動の自由の制限などが扱われているらしく、入管法の問題を抱える日本のひとびとにとっても興味深い作品になっている模様。

artist: Nihiloxica(ナイヒロクシカ)
title: Source Of Denial(否定の出処)
label: Crammed Discs / WINDBELL
release: 2023年9月29日
tracklist:

01. Kudistro
02. Exhaust / Outsourced
03. Olutobazzi
04. Asidi
05. Interrogartion / Welcome
06. Source Of Denial
07. Preloya
08. Postloya
09. Trip Chug
10. Baganga
11. Tuuka / Bulungi

https://windbelljournal2.blogspot.com/2023/08/nihiloxica-source-of-denial.html

 もうひとつ面白そうなリリースがこちら。パリの6人組ジャズ・バンド、その名も『async』からインスパイアされたとおぼしきアシンクロヌ(で発音はいいのだろうか?)による、坂本龍一トリビュート・アルバムだ。すべて坂本の曲で構成されている。現在 “Behind The Mask” や “Riot in Lagos” など4曲が試聴可能だが、どれも大胆なアレンジのカヴァーで(後者にはさりげなく “東風” がしのばされていたり)、まったく新しい音楽として坂本の魅力に出会いなおすことができそうな予感がひしひし。注目しましょう。

artist: Asynchrone
title: Plastic Bamboo
label: Nø Førmat! / WINDBELL
release: 2023年9月29日
tracklist:

01. Plastic Bamboo
02. Expecting Rivers
03. Neue Tanz
04. Thatness and Thereness
05. Differencia
06. Behind the Mask
07. Boku No Kakera
08. Once in a Lifetime
09. Ubi
10. Riot in Lagos
11. Merry Christmas Mr. Lawrence

https://windbelljournal2.blogspot.com/2023/08/asynchrone-plastic-bamboo.html

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