「Nothing」と一致するもの

loaded 久保憲司写真集 - ele-king

このすべての現場に立ち会った男に猛烈に嫉妬する
――田中宗一郎(CLUB SNOOZER)

ポストパンク、マッドチェスター、アシッド・ハウス、レイヴの狂騒。
ひたすら撮って歩いたあの時代が、いま鮮やかにリヴァイヴァルする――

日本を代表するロック・フォトグラファー、久保憲司がフィルムに収めた膨大な記録。
10代で飛び込んだロンドンの街並み、レイヴやフェスの熱気、一時代を築いたDJたち、ブリットポップやグランジの記憶――約20年間の懐かしくも新しい空気を、240ページ超にわたってヴォリューミーに収めた写真集です。

Psychic TV、The Jesus and Mary Chain、The Stone Roses、Happy Mondays、My Bloody Valentine、Oasis、Aphex Twin、Derrick May、
Andrew Weatherall、Sonic Youth、Nirvana、The Pastels、Radiohead…

★小さくて愛らしい版形の上製本。
★さりげなくガーリーなデザインはクリスマスのギフトにもぴったり。
★撮影メモや萩原麻理によるインタヴューも小気味よく写真を飾ります。
★いままでにない、クボケンのちょっと意外な一面が表れた作品です。

いまファッション誌でもリヴァイヴァルのはじまっている90年代を、貴重なヴィジュアル資料で振り返りましょう。

interview with MARIA - ele-king

 今年、ソロとしては初のアルバムをリリースしたシミラボの紅一点、MARIA。シミラボがいかに稀有で魅力的なヒップ・ホップ・ポッセであるか、ということについてはいまさら論を俟つまでもないが、ではMARIAとはどのようなアーティストなのか。巻紗葉『街のものがたり』以前には、もしかするとあまりシリアスな解釈は存在していなかったかもしれない。そして、女性からみたMARIA像というのもあまり知らない。聞き手が田舎のごく一般的な中流家庭に育った貧相なボディの文科系女子で申し訳ないのだが、たとえばこんなMARIA像、あなたはこの大きな愛と、それが肉と皮膚を離れずに音の実を結んでいることに驚くだろう。



MARIA・ザ・マザー

境遇、について

ヒップホップは近道ではない

欲深くて、愛しい

音楽と、ちょっとセクシーな話

人任せじゃダメなジェネレーション

アンチ・アンチ・エイジング

音楽と、けっこうセクシーな話



MARIA・ザ・マザー

あたしはまあ、「世界がアタシにひれふす」みたいなことをさんざん言ってきたかもしれないけど、みんなのことが好きなのもほんとだよって。うーん……母?

恐縮ながら、わたし自身はふだんコアなヒップホップに触れることが少ないんですが……

MARIA:いやいや、あたしもそうですよ。自分がやっておきながら全然詳しくないですから。

でも、かわいいとかちょっと踊れるとか、そういう性的なアピールとは別のところで、スキルのあるいちラッパーとしての存在感を確立していらっしゃいますよね?

MARIA:どうですかねえ……。でも、自分は女ですけど、自分が女であるというところにはまったく期待してないんですよ。

ええー(笑)? ほんとですか?

MARIA:化粧とかも最大限の身だしなみってノリでやっていて。とくに自分を可愛く見せたいとかってことはないですね。だから逆に、ラップとかも思いっきりやれるのかなって思います。

でも、自分を性的に見せないっていうことと、スキルを磨くとか研鑽を積むっていうこととはイコールではないですよね? やっぱりそこの努力や勉強っていうのはすごくされてるんだと思うんですよ。

MARIA:そうですかねえ。

その動機っていうのは何なんでしょうね?

MARIA:うーん、ぶっちゃけ、スキルうんぬんっていうよりもけっこう感覚でやっちゃうタイプなんですよ。あんまり誰に影響されたとかってこともなくて。まず、ビートが好き。ビートにインスパイアされる。そこではじめて生まれるラップっていう感じなんですね、あたしのは。だからスキルを磨くために何かやるっていうよりも、自分のイメージをふくらませるために、映画とか音楽を観たり聴いたりするっていうくらいかな。


Maria
Detox

SUMMIT

Tower HMV Amazon iTunes

映画についてはよくお話をされてますね。ラップも、トラックからのインスピレーションが先なんですね。――どうしてもMARIAさんっていうと、一面的なイメージとはいえ「強い」「正統派」という印象があるわけなんですが、今作『Detox』は、そんな「強い」MARIAのなかの弱い部分が出ていると言われる作品です。そして、それがはっきりと言葉によってリプリゼントされているとも感じます。だから、わりと日記みたいなものからできていても不思議はないなと思ったんですが、そういうわけではないんですね。

MARIA:今回は全曲トラックが先ですね。でも、言葉は後だけど、このアルバムはあたしひとりのアルバムだから誰の足を引っ張ることもないっていうか。ある意味、自分のことはどう思われてもいいっていう気持ちがあったからこそ、言えた部分があるかもしれない。シミラボ(Simi lab)だったら言えなったかもしれないけど、このアルバムでは、聴いてる人とあたしが1対1だから。
 (「強い」というイメージについても)自分としては、「アタシ世界一だから」っていうよりも、「そんな変わんないよ、うちら」っていうようなノリなんですよ。実際は。

そうなんですね。2曲め(“empire feat. DJ ZAI Produced by MUJO情”)なんかはまさに「世界がひれふすname」――アタシは強いんだぞっていうセルフ・ボーストなのかなと感じられるわけですが、実際よく聴くと「アイ・ラヴ・ユー」的な曲なんですよね。わたし、そこに感激して。その超展開に。

MARIA:なんか……バランス? ヒップホップって自分を主張するものかもしれないけど、英語ならともかく、日本語でグイグイくるのはあまりにストレートで……。そりゃもちろん「アタシ、アタシ」の音楽なんだけど、みんなありきのアタシだよっていう……。

ああー、「みんなありきのアタシ」。日本の風土やメンタリティを前提にしたセルフ・ボーストなんですね。

MARIA:そうそう。ひとりでやってきたわけじゃないしね。

なるほど。本来、ああいうのって、ちょっと笑いが生まれてしまうかもしれないくらい 「スゲーぜ、自分は」ってやるものなわけじゃないですか。だから、ふつうだったらどう「スゲー」のか、どうしてスゲーのかっていうことを説明するロジックがそこできちんと歌われているはずなんですよ。けど、あの2曲めにはそれがない。海とか世界が割れていくイメージとか、「アイ・ラヴ・ユー・オール」みたいなことが突如出てきて、「スゲー」ってことの理由がそれに飲み込まれていくんですよ。それがなんか、象徴的だと思って、素晴らしくて。

MARIA:あの最後んとこでしょ? あたしはまあ、見た目がこわいかもしれないけど、「世界がアタシにひれふす」みたいなことをさんざん言ってきたかもしれないけど、みんなのことが好きなのもほんとだよって。うーん……母?

そう! 母なんですよ。

MARIA:ああ……、マザー感が出ちゃってるんですね。

はは! マザー感(笑)。いや、笑いごとじゃなくて、それいつごろから出てるんですか?

MARIA:いや、どうだろう、高校……?

高校ですかハンパねぇ……。ほんとにね、この「love」、この愛、こんなデカいものがどこから出てくるんだ? ってふつうに驚くんですよ。

MARIA:はははは!



境遇、について

憐れまれるのが好きじゃなくて、お涙頂戴も好きじゃないんですよね。実際、あたしなんかよりもキツい人はいっぱいいるし、しかも日本にいるってこと自体がスーパー恵まれてるって思うから。

いや、ご本人に向かってうまく伝えられないんですけどね。パーソナルな話は恐縮なんですが、巻紗葉さんのインタヴュー本『街のものがたり』に、妹さんとほぼふたりで生きてこられた境遇が語られているじゃないですか。それから妹さんのお友だちも心配だから引き取っていっしょに暮らしている話とか。そういうことも思い出しました。音楽と無関係でないと思うんですね。

MARIA:ああ、いまもいっしょに住んでるし、この先もずっといっしょにいるかもしれないけど。なんか、高校の頃から変わんねーって言われますね、よく。昔からたぶんマザー感はあったんでしょうね(笑)。

あははは。……いえ、訊くのためらっていたんですが思いきって言ってしまうと、けっこう大変な境遇でいらっしゃいますよね。大変言い方は悪いですが、まったくそれがお涙頂戴にならないところというか、それに気づかせないところは、MARIAさんという個人の強さ、奥行きなのだなと思いました。

MARIA:憐れまれるのが好きじゃなくて、お涙頂戴も好きじゃないんですよね。実際、あたしなんかよりもキツい人はいっぱいいるから。だからここで泣いてもなあ……みたいな。しかも日本にいるってこと自体がスーパー恵まれてるって思うから、いろいろあったけど、それは人のいたみを知るのにちょうどよかったんじゃないかっていうところもあるかな。

もちろん、音楽のよさが境遇に寄りかかったものだという言い方をしているんじゃないんですよ。ただ、そういうことを隠しもしないし売りにもしないしっていう潔さみたいなものがMARIAさんの「強い」イメージの一部を作ってもいると思います。湿っぽいものを跳ねのける……。

MARIA:みんなそういうものが好きじゃないですか。そういう一面を見ると、それだけでそのアーティストや俳優を好きになったりってことがあって。でもやっぱり音楽として評価されたいですからね。あたしやっぱり見た目がこんなのだから、パッと見で薄っぺらい人間だと思われるというか、イイ感じのアメリカ人のパパと日本人のマミーがいて、甘い感じに育ってきたんじゃないの? みたいに見られることが多いんですよ。

ええー? でも、病んでるようには見えないですもんね。それが楽天的と解釈されるということですかね?

MARIA:そうそう、こいつほんとにわかってんのかよ? って思う人のほうが多いんじゃないかなあ。もちろんセルフ・ボーストだったり、オラオラな曲もいっぱい書くけど、この『街のものがたり』では実際あたしがどういうことに直面してきたか知ってもらおう、って感じで話しました。

フラットな言葉ですよね。

MARIA:そう、イージーなやつだって思われるかもしれないけど、それなりにあたしはあたしの経験の上で話してるよっていうことを知ってもらいたくて、そんなふうに書いてもらいました。

これまで公開したり話したりしてきたことばかりですか?

MARIA:いえ、こんなに話したのはこの本が初めて。

あえて言わないようにしてきたってところはあります?

MARIA:まあ、お涙頂戴で評価されてもなっていうのがあったからかな。でもそういうふうに感じなければ、自分のこと話したっていいかなと思って。実際いろいろあっても、どういう人生にするかは結局自分次第だよっていうことを伝えたかった。

ああ、なるほど……。そのメッセージはとても伝わりますよ。なんかMARIAさんにお話をきいていると、「物事をゆるす」っていう表現がぴったりくるように感じますね……。「ゆるす」っていうとすごく上からな感じがしますけれども、そうではなくて、あるがままを受け入れるというようなニュアンスでしょうか。世界がそうあるのならそのままそれを認める……ゆるしていく、っていう。

MARIA:でも極端ですよ、あたしの場合。MARIA大好きっていう人と、なにあいつ、っていう人がいるから。ちょっと男尊女卑的な考え方の男の人とかだと、お前女のくせに調子乗んなよ、みたいなノリ出されるし、女の子でもけっこうふたつに分かれるしね。でもあたしのことを知らないわけだからそれは当たり前で。
けど、何かを言われて傷つくことはあるけど、あんまりムカつかないんですよ、あたし。あっちもあたしのことを知らないけど、あたしもあっちを知らないから、ムカつきようがないっていうか。そいつがほんとに最悪なやつだったら嫌いになるかもしれないけど、メディアに出るってことはそういうことだっていうのもわかってるので。だからまあ、自分が何か言われてそれに対してふざけんなよって思うことはそんなにないかもしれない。


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MARIA・ザ・マザー
境遇、について
ヒップホップは近道ではない
欲深くて、愛しい
音楽と、ちょっとセクシーな話
人任せじゃダメなジェネレーション
アンチ・アンチ・エイジング
音楽と、けっこうセクシーな話

ヒップホップは近道ではない


やっぱり、みんながオラオラしてるあたしを期待してるわけじゃないですか。そして実際問題、あたしはそれに応えたくてしかたないんですよね。


そうなんですね。そういった話が引き出されてくるのも、シミラボではなくソロだからこそという感じがします。逆に、せっかくのソロだからということで、意識して取り組んだ部分っていうのはありますか?


Maria
Detox

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MARIA:やっぱり、ビートですね。シミラボで作るってなると、やっぱり男が多いから男のセンス寄りになってると思う。みんなには悪いけどね(笑)。“ローラー・コースター”って曲があって(“Roller Coaster feat. JUMA,OMSB”)、超ノリノリなんだけど、たぶんシミラボでああいう曲をやることはないと思う。どちらかというと、「自分はこうで、お前はこうで、世界はこうなんだぜ」って言い聞かせるのも大事かもしれないけど、それよりもその場の一体感が好きで。みんなで楽しもうよっていう曲を意識したかもしれないです。

ああ、なるほど。わりと後半はアブストラクトな流れになるというか、サイケデリックでぼんやりとした曲調になっていきますよね。それは、より内面に向かっていくっていうようなこととリンクしていたりしますか?

MARIA:そうですね、ビート自体ははじめからこのテーマでいこう、というのがあって。ふだんいろいろと考えることが多くって、自分のアルバムだから自分の価値観で書いたっていうのが、後半は出ているかもしれない。もともとあった気持ちと、入ってきたビートがたまたまぴったり合ったっていうこともあるかも。後半の“ユア・プレイス”っていう曲と、“ディプレス”(“Depress feat. ISSUE”)、このふたつはちょうどぴったりきた感じですね。

後半のほうが、その意味ではストレートというかナイーヴな部分に触れるものなのかもなと思いました。

MARIA:そうですね。“キャスカ”とかは実際強く見られるけど、いまシミラボを何千人もの人が知ってくれるようになって、そのひとりひとりに「ちょっと待って、じつはあたしはこういう人で……」とかって説明できないじゃないですか。だから(自分のことは)言いたいように言ってくれよって思ってるんだけど、実際にラップをやってなかったら、あたしは超ふつうの人なわけだから――いまもふつうの人だけど――奥さんとかになって、彼氏とかに献身的に尽くしてたと思いますね。

うーん、尽くす。でも実際にラップをやってなかったら……って選択肢はあったんでしょうか?

MARIA:いまはほんと、そういうふうには考えられないけど、でもいまだにラップやってることが不思議なことはあるかな。子どもの頃がいちばん弱かった時期だから……。家庭もそうだし、自分が置かれている環境(米軍基地と日本の学校との往復)もそうだし、自分を打ちのめす出来事が多くて。でもそんななかで、ヒップホップの「ワルそう」な感じにはインスパイアされたんですよ。自分をオラオラさせてくれる。

そうか、本当に必要に迫られた、武装の手段でもあったわけですね。

MARIA:そうそう。だからいまでもそうなんですけど、ライヴするたびにすごく緊張するんですよ。やっぱり、みんながオラオラしてるあたしを期待してるわけじゃないですか。そして実際問題、あたしはそれに応えたくてしかたないんですよね。もちろん楽しんでほしいとも思うし、あたしのことを、あたし自身が憧れてきたラッパーたちみたいに思ってくれる子がいたらうれしいし。逆に、ヒップホップは自分にとっては武装だし居場所でもあったから、今度はあたしが逃げ場になってもいいなって思ってるかな。

ああ、すごい。MARIAさんは担いだ神輿に乗ってくれるんですよね。そして、ふだん多くの人が抱えている負の思いを引き受ける存在。まさにスターとかヒーローの役割です。言い方が少し大げさになりますが。



ヒップホップは自分にとっては武装だし居場所でもあったから、今度はあたしが逃げ場になってもいいなって思ってるかな。

MARIA:やっぱり同じ人間だからね。そういうネガティヴなこととか文句とか、同じような気持ちになることは多いと思うんですよ。ヒップホップはそういう方向で発信しやすいというか。

たとえば、細かい事情は抜きにして、わたしだったらMARIAさんのお父さんを許せるだろうか、とか素朴に思うわけです。でもMARIAさんはそういうことをひとつひとつ許していく。そしてその一方で、“ヘルプレス・ホー(Helpless Hoe)”みたいに攻撃もするわけですよね。その攻撃性っていうのはやっぱりヒップホップのひとつのフォームとして演じているものなんでしょうか? それとも分裂しているものなんでしょうか?

MARIA:最近、考えていたんですよ、矛盾について。人間って結局のとこ矛盾してるなって。その意味では演じているというよりは、このアルバム自体が人格で、だから矛盾してるって感じ。あたしってけっこう気分がコロコロ変わるから、いいときには「みんなおいで~」って感じだけど、そうじゃないときは、何か言ってやろうって思うこともあるんですよね。
この“ヘルプレス・ホー”に関しては女性だけじゃなくって、男性についても言えることなんですよ。なんか、自分のゴールに向かって努力するのはいいことだと思うんだけど、その努力の仕方ってものがあるじゃないですか。たとえば女だったら媚を売って、すり寄って、玉の輿を狙って……って、近道しようとする人たちがいるじゃないですか。そういう感じが好きじゃなくて。要は真実じゃない愛とか真実じゃない気持ちっていうのが嫌い。すごく嫌いです。それは男の人にとってもそうで、上っ面しかないものが嫌ですね。

MARIAさんの気高さですね。こうしたリリックのなかに出てくる「あなた」とか「you」っていうのは、特定の対象を指していたりしますか?

MARIA:曲によりますけどね。たとえば、“ユア・プレイス”なんかは完全に過去の男たちですね(笑)。やっぱり、もとからラップをやっている人間って知ってて、そこを認めてもらった上で付き合いはじめる人ばっかりじゃないから。男の人って、女のほうがグイグイ前に出るのは嫌じゃないですか、たぶん。だからプライドの高い人と一緒になると、なんか、終わるっていうかね……。お互い疲れちゃうんですよ。あの曲はやっぱり、そういうときに頭に浮かんでた男性について書きました。

ああー。そういう「you」も、曲になると普遍的なものに聴こえてきますよね。ヒップホップがとくに歌い手と「I」とが一致しやすい表現フォームだということなのかもしれませんが、音楽とか文学とかアートとかって、自分っていうものを切って売っていかなきゃ成立しないものだって思いますか?

MARIA:それは思わないですね。ヒップホップ=ストリートから生まれたもの、リアルなものっていう話になるけど、自分は妄想とか想像力があるんだかなんだか、ひとりで家にいてもマジでファンタジーな感じなんですよ。もちろんリアルな自分の気持ちとか言葉を発信するんだけど、でもやっぱり邪念とかそういうのをなくして、理性とかも捨てて、楽しい気分になりたいときがあるじゃないですか。そういう意味ではけっこうファンタジックで無責任な言葉もあるのかなって思います。

自分の思ったこととか感じたことを書いてるだけなんで、結局スーパー・ストレートなだけなのかもしれない。ただ自分は、自分のスーパー・ストレート自体が他の人とは少し違うのかなって思うところはあります。けっこうマイノリティっていうか、信念とかの話になるとけっこうみんなとズレてるって感じ。大人になると汚れるとは言わないけど、どんどんしゃあない、しゃあないって流していくようになると思うんですよ。でもその「しゃあない」ってなってるときに、気高いほうの自分がそれを見たらめちゃくちゃ食らうっていうか……。どうしてこんなにブレちゃったんだろうって、呆然としたことがあったんですよ、前に。そこから、何が何でもブレないようにって思うようになって。



欲深くて、愛しい

どんなに理性でいまこんな話をしていても、実際に人間でいる上は罪深い、っていうか。人として生きていく限り、絶対最悪な部分を持ってるから。
――でもやっぱり、愛が答え。それしかないって思った。

去年やっていたアニメなんですが、人々の心のなかの負の感情とか暴力衝動みたいなものを数値化できるテクノロジーがあって、その数値に沿って人間を管理することで自治と平和を守っている社会が舞台なんですよ。その数値が一定以上上がると自動的に処罰とか処刑の対象になるっていう……

MARIA:あ、何でしたっけ、それ? 知ってる! 見てないけど、友だちがおもしろいって言ってた。

『サイコパス』ですね。

MARIA:あ、言ってた。それだ。あたし、それらしいよ。

それ……? あ、主人公ですかね! そう、いままさに主人公に似てるって言おうと思ったんですよ。罪を犯しちゃうような心の数値が上昇するはずのところで上昇しない。「くそっ、こいつムカつく、死ねっ」みたいに思っても、そこで殺意とか暴力衝動みたいなものに結びつかない人って設定なんです、主人公は。その子のことを指して、作中に「(世界を)よしとしている」って表現が出てくるんですが、MARIAさんはまさにそれですよ。「よしとしている」。

MARIA:ただね、何でもかんでもよしとしててもアレだから、撃つとこは撃たないと。これとかもそうだけど(“ボン・ヴォヤージュ”)、「欲深い生き物め」ってところの一行めと三行めを男性、二行めと四行めを女性に向けて書いたんだよね。結局、男も女も欲深くて、女は自分の住みかや心が満たされたりするならそれのために何でもするっていうようなところがあるし、男は男で性欲とかを満たすために何でもする人が多い。女の人と男の人で、欲の種類は違うけど、それを満たすために何でもするところは同じ。戦争だってそうだし。だから、そういう意味では人間が大っ嫌いとも言える。

この「欲深い生き物」っていう言い方自体がすでに男とか女とかっていう区別を超えて、人間について言及されたものなんだろうなとは思いました。

MARIA:その欲のせいで力のないものが傷ついている ――動物とか子どもとか――と思うと許せないけど、でもやっぱり、愛が答え。それしかないって思った。結局そこに行きつくしかないって。

みんな強くも完璧でもない。その人間の欠けた部分を埋めるものは愛しかない、というようなことでしょうか? 

MARIA:そう、みんなそうじゃないからこそ、その部分を認めないと。自分にばっかり意識がいきがちだと思う。愛するっていうと大げさに聞こえるかもしれないけど、あたしけっこう何でも愛しいと感じる瞬間が多くて。仲間とか、動物なんてとくにそうですけど、対象物に対する愛しいっていう気持ちを持てるようになったら、みんなハッピーなんじゃないのって思う。まあ、感謝の気持ちを忘れないっていうような、学校の先生みたいな話になっちゃうけど。本当にそう思うんですよ。

すごくよくわかりますね。ただ、音楽がすごく生き生きとしていたり、何かがすごく魅力的だったりするのは、強烈に欠けた部分があるからだっていうふうには思うんですよ。絶対条件というわけではありませんが。

MARIA:それは絶対ある。どんなに理性でいまこんな話をしていても、実際に人間でいる上は罪深い、っていうか。人として生きていく限り、絶対最悪な部分を持ってるから。だから結局、衝動に負けることもあるし、衝動で楽しい方をえらんじゃたりとか。それはわかってるんだけど、でもやっぱりここに行き着くんじゃない? っていうような。


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MARIA・ザ・マザー
境遇、について
ヒップホップは近道ではない
欲深くて、愛しい
音楽と、ちょっとセクシーな話
人任せじゃダメなジェネレーション
アンチ・アンチ・エイジング
音楽と、けっこうセクシーな話

音楽と、ちょっとセクシーな話

セクシーさね。それは超大事。親子の愛はピースだけど、男女の愛はピースじゃない。お互いが夢中になったら最高に気持ちいいわけじゃないですか、それって。


Maria
Detox

SUMMIT

Tower HMV Amazon iTunes

最近、音楽にあまりセクシーさを感じないですよね。いや、セクシーな音楽もあると思うんですが、とくに国内は音楽カルチャー全体がそういうフェイズじゃないっていうか。MARIAさんの音楽には生々しい男女観があったりもして、そこが少し異質でもありますし、音楽のなかに確実にダイナミズムを生んでいるとも感じます。だからMARIAさんに訊きたかったんですが、音楽にとってセクシーさって何だと思います? あと、愛っていろんなニュアンスがありますけど、セクシーさに関係あります?

MARIA:セクシーさね。それは超大事。親子の愛はピースだけど、男女の愛はピースじゃない。お互いが夢中になったら最高に気持ちいいわけじゃないですか、それって。盲目なものだしね。それは人間の欲の部分でもあるし、ピュアな部分でもある。欠点だらけの男女の結びつきが大事だってこの本(『街のものがたり』)のなかで言ったと思うんだけど、それは崇高なものだと思うんだよね。どうでもいい相手なら何も思わないけど、どうでもよくない相手なら苦しい。自分を苦しめる人ほど大事な人だったりする。
 ただ、そこで勘違いしちゃいけないのが、その人だから苦しいのか、故意に苦しめられてるのかっていうことだけどね。でも結局、……あんまり大きい声で言っていいのかわかんないけど、あたしは少なくともセックスが好きなんですよ。

……あ、えっと、かっこいい。それはなんというか……、いいお話ですね。本質的というか。

MARIA:うん、マジで本質ですよ。どうでもいい奴とやったら、それこそ惨めになるだけですけど、べつに、付き合う付き合わないはともかく、大事だと思う人ならばその瞬間に最高に満たされるし、その後もいい思い出として終わるし。そのときだけの関係っていうのもいいと思うよ、とは言ってるんですよ、“ゴッド・イズ・オフ・オン・サンデイ”で。「See ya later 朝までmommy」っていうのは、「mommy」ってセクシーな女の人のことを言ったりするんですけど、「朝までmommy」ってことは、その人に朝まで呼ばれるってことなんですよ。でもそれは「よっぽどいい男んときの話」。

これはたしかにセクシーな曲ですね。

MARIA:そう、でもこの「よっぽどいい男」っていうのは見た目とかの話ではなくて、その人をリスペクトしているか、大事か、後悔しないか、みたいなこと。性的なものとアートはすごく結びついているから。愛情にしても恨みにしても、黒い気持ちってあるじゃないですか。愛とそういう黒い気持ちとは似ていると思うんですよ。ふつふつと沸きあがる感じとか。だから、そういうものと音楽を結びつけたらもう無限なんだろうなって思って作ってる。

なるほど。

MARIA:だから、アーティストはセックスとオナニーをいっぱいしたほうがいいんですよ。

なるほど!

MARIA:ほんとに(笑)。『ブラック・スワン』(ダーレン・アロノフスキー監督/2010年)って観ました? 映画。あれで、先生が「お前の表現力で足りない部分はそこだ」って言うじゃないですか。あたしめっちゃ共感できて。それは人間の本質だから。それを動かすものを知らないと、表現みたいなところでも出せないと思う。

わかります。でも、お訊きしたいんですが、時代はもうずいぶんしばらく「草食系」が引っ張ってきましたよね。音楽だって、ポップ・マーケットに限って言えばボカロ音楽やアニメ音楽がオルタナティヴに機能していて、それはめちゃくちゃざっくり言えば「いい男」ではなくてメガネ男子が象徴する世界なわけです。

MARIA:うんうん。

彼らは性的なものから疎外されているわけではけっしてないですけど、かといって『Detox』に出てくるようなワイルドで生々しいセクシーさに肉迫することもないと思うんです。そういうメガネ男子たちはどんなふうに見えているんですか?

MARIA:そうですねー、どうだろう。草食系の友だちもいるけど、実際、そういうふうに見えるだけで、意外とフタを開けると違ってたりね。それに自分が気づいてない、見えてないだけかもしれない。そういうものを受け止めてくれる人が出てきたときに、はじめて見えてくるものかもしれないし。……でも、正直、やっぱり自分には何も言えないですね、そのへんは。

なるほど、そうですよね。わたしはこんな仕事をしていなかったら、もしかしたらシミラボやMARIAさんを知らないままだったかもしれないトライブの人間なんですが、やっぱりなかなかそのワイルドさセクシーさに距離があって……。聴いて触れればすごくかっこいいのに、触れるまでに超えなきゃいけないものがあってちょっと時間がかかったんです。

MARIA:うーん、そうだよねー。あたしは直接話すしかないと思ってて。2ヶ月に1回シミラボでやっている〈グリンゴ〉っていうイヴェントがあるんだけど、そこではあたし、酒の瓶持って客全員に話しかけますからね。「どう、飲んでる? 楽しんでる~?」って。だから、ラップとかしてる人間ではあるけど、みんなと何にも変わらないよって思ってる。小学校行ったし、中学校行ったし、やなことあったし、みたいな。でもヒップホップはいろんな音楽の要素を入れることができるから、そのよさは壁を越えて伝えたいとは思う。



シミラボの男たちはみんな痛みを知っているし、嘘をつかないし。自分の信念とか自分の意志がちゃんとしてるから、すごい魅力的だと思う。

MARIAさんらしい、って言ってもいいでしょうか。とてもリスペクタブルなことだと思います。ところで、では世の中全般のこととして男子がどうかっていうふうに訊き直したいんですが、いまMARIAさん的に「いい男」っていうのはどんな感じなんですか。

MARIA:ぶっちゃけ少ないね。少ない。でも最近なんかキてるのかもしれないけど、マジやべえって思う男がふたりいた。

へえー。そういう男の特徴って何なんでしょう?

MARIA:なんだろう、やっぱり自分の意見をはっきり言える?

それは一般論として、日本男子には少ないイメージですよね。

MARIA:そうだね。あと、下心があったとしても、ちゃんと自立した男だったら、それがずる賢い感じで伝わってこないの。最近会ったその男たちに関して言えばそうだね。いやらしくないし、ずるくないの。正々堂々としてる。自立心と自分の意見、それが大事かな。

それはそのままMARIAさんの理想の男性像と考えてもいいですか?

MARIA:それももちろん含まれる。あとは人の痛みだよね。そういうことがわかるのが最高に理想。それを知らないで育って人を傷つけてたら意味がない。

シミラボの男性たちはその意味ではかなり理想の方々ではないですか?

MARIA:あ、シミラボのメンバーはね、メンバーだからこそ何もないけど、もう最高だと思いますよ。彼氏探してるいい女の子がいたら全然推す。シミラボやばいよって。シミラボの男たちはみんな痛みを知っているし、嘘をつかないし。もちろん相手との関係によって少し差は出てくるかもしれないけど、自分の信念とか自分の意志がちゃんとしてるから、すごい魅力的だと思う。

よく、こんな人たちが揃うなあって、人間性や個人的な特徴ももちろんだし、音楽のセンスとかスキル、ルーツみたいなことも含めてけっこう奇跡ですよね。

MARIA:たぶんいまのシミラボのなかで「なんかちがくない?」みたいな人がいたら、すぐいなくなると思う。

日本はやっぱり、海に囲まれつつほぼひとつの民族で歴史を紡いできた国なわけですし、みなさんそれぞれの出自というのがさまざまに摩擦を生んできた場面も多いと思います。そういった個人の背景にあるものが、絆を支える上で大きく関係していたりするんでしょうか?

MARIA:同じような環境にいるから、価値観が合うのかな。だから、なんでそんなことができるの? っていうような違和感もないし。みんな優しいんですよ。

その優しさっていうのも、自分に気持ちのよいことをしてくれる、という意味ではなくて、もっと自立した強さのあるものって感じがしますね。

MARIA:うん、愛情深いですよ。それに、あたしはヒップホップについてDJみたいに詳しいわけじゃないし、音楽がよければ聴いてる、みたいな感じだったんだけど、それを誰かと共有するということがいままでなかった。それをはじめて共有できたのがシミラボですね。



人任せじゃダメなジェネレーション

ちょっと遊んだらその月ギリギリみたいな。それでこの国終わってるよねーとかって言ってるくらいなら、あたしはあたしのまわりの少人数を動かすから、お前はお前のまわりの少人数を動かせよ。

OMSB(オムスビーツ)さんとかのインタヴューを読んでいたら、逆にMARIAさんが思ってもみなかったような、自由な発想を持ってきてくれるっていうようなことを言われてましたよ。音楽に凝り固まっていない人だからこそ見えるものっていうことなんでしょうね。

MARIA:そうなんだ(笑)。自由かどうかはわかんないけど、それはあるかも。音楽に入り込みすぎると、自分のなかでやばいと思う方向にしか行かないときがあって、それだとリスナーがついてこれなくなったりするんじゃないかと思う。

そっちの方にもっと突き進んでいくっていう選択肢はないんですか?

MARIA:あたし自身が、どっちかいうと楽しみたい派というか。あんまり深くというよりも、楽しみたいという感じ。内側からぐわーって出てくるものとか、頭が固くならないもののほうが好きかな。だから「あたしはこういうスタイルなんだ」っていうのはあんまりない。

このアルバムのなかにだって、メンツ的に見ればほとんどシミラボだなっていう曲もありますけど、そうじゃなくてMARIAのアルバムなんだっていう部分は、ご自身としてはどんなところだと思いますか?

MARIA:なんだろう……。“ムーヴメント”(“Movement feat. USOWA, OMSB, DIRTY-D”)とか、“ローラー・コースター”。パーティーしようよ、そんな固い話やめようよ、っていう。

MARIAさんだからこそシミラボから引き出せたっていうような部分ですかね。そういうところは他にもありませんか?

MARIA:“ローラー・コースター”に関しては、ファンキー感。みんなファンクが好きなので。シミラボの輩(ヤカラ)感?

あはは、そんな言葉があるんですね。ヤカラ感。なるほど。

MARIA:みんなね、殺してやろうみたいな考えが強いんですよ。「ぶっ殺そうぜ!」「何も言わせねえよ!」みたいな感じだから「えっ」ってなるんだけど、“ローラー・コースター”に関しては「まあ、まあ」みたいな。楽しくやりたくない? って。JUMAはもともと楽しいやつだけど、オムスもまあハッピーなやつなんだけど、よりハッピー感出せたんじゃないかなって思う。結局、シミラボ自体がすごく高い適応能力を持っているから、深く注文とかつけなくてもいいかってなるんですよね。USOWAとかも入っているけど。

せっかく“ムーヴメント”のお話が出たのでお訊きするんですが、「人任せじゃダメなジェネレーション」って詞が出てきますよね。これはMARIAさんの実感ですか?

MARIA:これはあたしが書いたフックなんです。やっぱり、政治とかでもそうですけど、自分が動かないと何もはじまらないじゃないですか。何かしたいと思う気持ちが、「でも自分ひとりが何かしたって(どうにもならない)……」って諦めの気持ちに消されて、ムーヴメントを起こそうとしない人が多いと思うの。自分の意見も言えないし。でも結局そんなんじゃ何にも動かないし。経済的にも、ちょっと遊んだらその月ギリギリみたいな。それでこの国終わってるよねーとかって言ってるくらいなら、あたしはあたしのまわりの少人数を動かすから、お前はお前のまわりの少人数を動かせよ、それではじめてムーヴメントが起こるんじゃないの? って。ちっちゃいところから動かしていけば絶対変わるよ、って気持ちがある。

その「変える」っていうのは、どんなこと、どんなイメージですか?

MARIA:さっき言ってたような人種問題とかがそうですね。ちょっと変わってると目立ちやすいじゃないですか、日本って。でもそれぞれの主張が強くなることで、バラエティのある国になると思う。あと、あたしストレートに言ったり書いたりしたことないんだけど、動物がマジ好きで、殺処分とか、本当に嫌なんですよ。ドイツとかだと保健所もないし、ペットショップもないんです。生体販売を行ってなくて。日本はオリンピック開催が決まったけど、そんな金につながりそうなところばっかり見てて、もっと大事なところを見てない。ペット業界もお金が入るからってことで産ませるし、売れ残ったら殺す。ゴミみたいな扱いだよね。あたしはそういうところでもムーヴメントを起こしたいって思ってるし、署名活動とかもやるし。あとは風営法。クラブなくなっちゃったら、もうヤバイじゃん。脳科学者も言ってるんですよ、ストレスをなくすには歌と踊りがいちばんって。それなのにクラブで踊れないって何だよって、ねえ? でも、その陰にはこっち側のマナー違反だてあるわけだし、人任せじゃなくて自分がしっかりしなきゃ。ちゃんとしてれば楽しいことも制限されないんだし。だから、ちょっとシャキッとしてくれよって思いますね。

なるほど。それぞれが自立しよう、小さいところから動きを起こそう、というのは年齢に関係のない普遍的なメッセージだと思うんですが、それが「人任せじゃダメなジェネレーション」ってふうに世代の問題として書かれてますよね。そこが興味深かったのですが、他じゃなくて、とくに自分たちの世代にそれが必要だって思うんですか?

MARIA:なんか、友だちにこういうこと言っても、「へー、すごいね。そんなこと考えてるんだ。」で終わっちゃう。「すごいねー」じゃない、お前たちのことなんだって思うんだよね。

それはうちらの世代特有、という感じですか?

MARIA:とくに多いんじゃないですか。逆に、自分たちより下の高校生とかのほうがちゃんと考えてるみたいに見えるんですよね。うちらの、いわゆるゆとり世代はちょっとどうかなって思うときはある。

快速東京の哲丸さんも自分たち「ゆとり」について興味深いお話をされていたんですが(『ele-king vol.10』参照)、やっぱりわりと強い横の意識があるんですね。

MARIA:自分と同じくらいの年のほうが意見が聞きやすいってこともありますけどね。

あ、それはそうですね。

MARIA:あと、あたしは一応、社会に出た経験もあるからね。親くらいの世代にもちゃんとしろよって思うことけっこうあった。大人になればほんといろんなことが「しょうがない、しょうがない」ってなっていく。あと、金に換算したりね。これだけ払ってるんだから、これだけのことをやれ、って。人間が、気持ちのあるものがそれをやってくれてるわけなのに、そこを考えないよね。人と人とのつながりが薄くなってきてるって感じる。

大人っていう問題は、他人事ではないですね。人間としてもそうですが、ミュージシャンとしてどう歳をとっていくかっていう問題もあると思います。さっき言っていたかっこいい男子たちやミュージシャンは、かっこよく30代、40代になれるのか。

MARIA:シミラボのみんなはそれなりに……なれるんじゃないですか(笑)。

あ、そうですね。

MARIA:いい味出るんじゃないですかね。少年の心を忘れないと思う。だからずっと若々しくいられると思う。あたしはわかんないな……もともと精神年齢が45(歳)とかって言われてるから。

はははは!

MARIA:自分がどうなるかはわかんないですね。

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MARIA・ザ・マザー
境遇、について
ヒップホップは近道ではない
欲深くて、愛しい
音楽と、ちょっとセクシーな話
人任せじゃダメなジェネレーション
アンチ・アンチ・エイジング
音楽と、けっこうセクシーな話

アンチ・アンチ・エイジング

自分が中学生、高校生だったときに噛みしめていましたから。いまはいましかない。「若くいたい」って思いたくない。

新しいですね、「45歳」って。では、こうなりたいっていうのはありますか?

MARIA:うーん(笑)、あんまり変わりたくはないですね。きっと惑わされるものがたくさんあると思うんですけど。

女性誌とかファッション誌とかって読まれたりします?

MARIA:いやー、読まない。マジで本を読まない。セレブのゴシップ記事とかしか読まない。

ははは、ゴシップ記事限定。

MARIA:リアーナ、へー。みたいな。

服もコスメも髪型とかもとくに何を参照するでもなく?

MARIA:そういうのはネットで見ちゃう。あと、流行りがどうっていうよりも、こういうのしたーい! っていうのを調べるから。

調べていて手本になるというか、ビビっときた人はいますか? アーティストとかでも。

MARIA:アーティストとかもあると思うけど、あたしほど感覚で生きてるやつもそんないないと思うからなあ(笑)。ファッションじゃないけど、ビビっときたのは、セレーナ・ゴメス。最初はガキくさい顔してるから好きじゃないと思ってたんだけど、最近『カム・アンド・ゲット・イット』っていう曲を出して、そのPVを観たら腕と脚が超長いの。それが超セクシーで、人間が平等だって誰が言ったんだよ? ってレベルなの。彼女はいわゆるアイドルって感じに言われやすい人なんだけど、そのわりには実力派だと思う。プロデューサーがいいのかもしれないけど、アルバムもよくて。彼女はすごいいい感じに仕上がってきてると思う。

仕上がる(笑)。

MARIA:リアーナよりセレーナ・ゴメスって感じ。

へえー。リアーナとか超メジャーな存在でも、アメリカで黒人でセクシーでヒップホップでってなると、なかなか具体的にマネしたり目指すべきロールモデルとして考えにくいところがありまして……

MARIA:うーん、そうかもね。でも、“ウィ・ファウンド・ラヴ”って曲だっけな、このPVを見たときに、これはシドとナンシーだろうなって。完璧にコンセプトはコレでしょって感じで、今年はイギリスきてんのかなと思った。でも、女の人で憧れる存在か……、基本、巨乳なんだよね。

おお?

MARIA:巨乳は強いでしょ。

そうですね、「貧乳」「つるぺた」っていう革命的なキーワードもありますが……。

MARIA:そこは強くない。

ははは! 強くはないですねー。

MARIA:この間言ってたの。Eカップが最強だって。それを毎日見た男性は、何かの数値が高くて、長生きするって。

へえー……、ええ!? ぶっとび科学ですね。

MARIA:あ、憧れる女性ひとりいたわ。杉本彩。

それはまたセクシーですね。

MARIA:杉本彩と、マツコ・デラックスと……。

それは巨乳枠なんでしょうか(笑)。

MARIA:はは、あとアンジェリーナ・ジョリー。この3人かな。すごく好き。

みなさん強いですね、たしかに。あんまり日本人らしい日本人のなかにロールモデルはいなさそうですね。

MARIA:日本はないかな、やっぱり。体型が体型だしね。

アイドルとかももちろん……

MARIA:全然興味ないですね。

そうですよね。MARIAさんは黒髪時代も素敵でしたけど、きっと黒髪の意味が違いますもんね。

MARIA:うん。黒のほうが映えるかなってだけ。なんか、こんな適当な人いないよね。

いや、まったく適当ではないですよ。

MARIA:適当、適当。最低限、その人が立ち直れなくなっちゃうようなところまでは言わないようにしてる、ってくらいで、すごい適当だよ。

ははは、今日も話をお訊きしておきながら、なんだか聞いてもらっちゃってるような気持ちがしてきて。初対面なのに。そうか、これがMARIAという人のサイズかあ……って。これがマザーであり、「45」のサイズなんですね。

MARIA:そう、マザー。

みんなアンチ・エイジングなのに。「30代女子は大人ボーイッシュ」とか「かわイイ女」とか。

MARIA:ああ、大っ嫌い。電車とかで中吊り広告あるじゃないですか。もうほんとメンドクセって思いますよ。最近唯一興味持てたのが安達祐実のヌードくらい。

そんなことが……。

MARIA:そのくらいしかないですね(笑)。

そりゃ「カーディガンだけでオシャレ度アップ」とか読みませんよね(笑)。

MARIA:ほんと、どうでもいい。うるせーよ、って。

こういうのは、若返ること、若くいつづけることにコストをかけていく思考じゃないですか。それに対して「45」っていうのは新しいカウンターだと思いますよ(笑)。

MARIA:基本的に、若けりゃいいって考え方を改めたほうがいいと思うんだよね。

では、若さってことに対して特に思い入れたことがあまりないんですかね?

MARIA:自分が中学生、高校生だったときに噛みしめていましたから。いまはいましかない。いまの見た目はいましかない。歳とったひとも、まだ小さい人も、必ず一回通る場所だから、「若くいたい」って思いたくない。



音楽と、けっこうセクシーな話

でもね、結局その領域にまで踏み込まないとダメだって思う。日本はもっとみんなセックスしたほうがいいですよ。

でも、MARIAさんはすごい美貌でもいらっしゃるわけじゃないですか。それをとどめておきたいって気持ちはないのか……、セクシーってこととMARIAさんの容姿とは無関係ではないと思うんですけどね。

MARIA:セクシーではいたいですけどね。やっぱりやりたいから。……男を誘惑できなくなったら嫌じゃないですか。男がやりたいと思わない女になったら終わりだと思うんですよね。はははっ。

あー、なるほど。

MARIA:(笑)

ははっ、いや、流したわけではなくて! 本質的だなって、すごいなって思って。すみません。でも、セクシーさは見た目じゃないってことになりますよね。見た目じゃないセクシーさって何なんでしょう。

MARIA:えっとね、やっぱり、場数ですかね。

(笑)……具体的(笑)。

MARIA:あははは! 場数っていうか、回数っていうか……(笑)。結局イったことあるかどうかだと思いますよ。

おっと! ちょっと今日は、やばいですね!

MARIA:あはは! マジで? あたしなんて初めてイったのは……

いやいやいや、そこまでで(笑)!

MARIA:(笑)でもね、結局その領域にまで踏み込まないとダメだって思う。日本はもっとみんなセックスしたほうがいいですよ。

(一同笑)

なるほど、そうなんだ……

MARIA:そういう意味では、男の人も表現とか苦手だと思うんだけど。でも女性は褒められるとその褒め言葉が栄養になるから、もっと褒めてって言いたいな。

大変深いお話がきけました。じゃ、最後に『Detox』っていうこのアルバム・タイトルについてなんですけど、この「毒(解毒)」っていうのは、もともと身体の内側にあったものというイメージなんでしょうか? それとも外から入ってきたものって感じなんでしょうか?

MARIA:自分のなかにあったものですね。あたしが子どもの頃からコンプレックスを持ってきたもの。その塊。

ああー。世のなかにあるけがれみたいなものではなくて、内側で蓄積されていったもの、というイメージなんですね。

MARIA:でも結局世のなかのけがれについても歌ってるし、あたしのコンプレックスみたいなものについても言ってるし。両方にそんなに変わりはなくて、じゃあみんなでデトックスしようよ、みたいな感じです。CDの裏の方は真っ白なデザインなんですけど、それはデトックスされた、浄化されたというイメージですね。

説教くさくキレイになろうって言ってるんじゃない感じがよかったです。「デトックスしよう」って、ちょっと宗教がかったニュアンスになることもあるじゃないですか。

MARIA:うんうん。説教キライ。

MARIAさんの場合、そうならないところにセクシーさってものが絡んでくるって思います。

MARIA:それは、ラフさとか気軽さを意識したからでもありますね。教祖っぽくなったり説教になったりすると、お前誰だよ? ってことになるじゃないですか。そういうことになると、人は話に入ってこなくなると思うんですよ。なんで、そういうところでは気軽に話しかけてきてよって考えながら、作ってますね。

なるほど。今日はほんとに、話をお訊きしながら、むしろわたしが受け止めてもらったような感じがいたします。ありがとうございました!

- ele-king

“ボクの90年代” - ele-king

 日本を代表するロック・フォトグラファー、ご存知「クボケン」こと久保憲司氏の写真集が今週末ついにリリースとなる。初めて渡英してからの約20年分――80年代をスタートとし、90年代をメインに据えて、久保氏がフィルムに収めた膨大な記録からセレクト/収録。カジュアルながらもかなり厚みのある仕上がりになった。

 「このすべての現場に立ち会った男に猛烈に嫉妬する」

というのは、ぼくらのライヴァル、田中宗一郎さんから本書の帯にいただいたメッセージだ。過不足なく、この写真集がどういうものであるかを伝えてくれる。久保憲司は、とにかく“現場に立ち会った”男である。240ページ超にわたって収められたその点数、そして、ポストパンクからマッドチェスター、ブリット・ポップにアシッドハウス、グランジ、テクノ、ヒップホップ……と、UKを中心としながらもじつに広範なジャンルに及ぶアーティスト群像を眺めれば、必ずや当時の記憶と体験が湧き上がってくるだろう。
世代を異にする人々にとってもそれは同じ。“現場”とはそういうものなのだ。同じ時代に居合わせなくとも、それは生々しくよみがえり繰り返す。80年代回顧はいったんの落ち着きをみせているが、いま90年代がフレッシュに感じられるとすれば、本書はしっくりとその感覚に寄り添うだろう。

タナソウの言葉には、本当はつづきがあった。
「そして、そのすべてをフィルムに収めた偉大な写真家に心から感謝したい。」
レイアウトなどの都合でどうしても入らなかったのだが、嫉妬に感謝を重ねるこの名文句に、時代を超えて残る“現場”の輝き――クボケンがフィルムに収めたものが何だったのかということがありありと浮かび上がってくる。写真の横にはアーティスト名も明記。ちょっとしたエピソードが添えられているものもあり、ときどき笑いもこぼれてしまう。

 けっして敷居の高くない、可愛らしくカジュアルなつくり、お値段。どうぞクリスマス・プレゼントとしてもご検討ください!

久保憲司写真集、『loaded(ローデッド)』発売!

クボケンの“90年代”をエレキングが解体。インディ・ロック、アシッド・ハウス、レイヴの狂騒。
ひたすら撮って歩いたあの時代が、
いま鮮やかにリヴァイヴァルする――

日本を代表するロック・フォトグラファー、久保憲司がフィルムに収めた膨大な記録。
10代で飛び込んだロンドンの街並み、レイヴやフェスの熱気、一時代を築いたDJたち、ブリットポップやグランジの記憶――約20年間の懐かしくも新しい空気を、240ページ超にわたってヴォリューミーに収めた写真集です。

Psychic TV、The Jesus and Mary Chain、The Stone Roses、Happy Mondays、
My Bloody Valentine、Oasis、Aphex Twin、Derrick May、
Andrew Weatherall、Sonic Youth、Nirvana、The Pastels、Radiohead…

★小さくて愛らしい版形の上製本。
★さりげなくガーリーなデザインはクリスマスのギフトにもぴったり。
★撮影メモや萩原麻理によるインタヴューも小気味よく写真を飾ります。
★いままでにない、クボケンのちょっと意外な一面が表れた作品です。

いまファッション誌でもリヴァイヴァルのはじまっている90年代を、貴重なヴィジュアル資料で振り返りましょう。



Burial - ele-king

 僕は、来週発売の紙エレキングで、2103年とは、ダブステップやってりゃ格好良かった時代が本当に過去のものとなって、いまやジュークやってりゃ褒められる時代でもなくなった、という旨のことを書いたのだけれど、ジュークは、2010年に世界がいっせいに聴いたときとは状況が違っていて当たり前で、DJラシャドとPRブーが評価されたのは、前者がUKのジャングルの接合による変化を見せて(あるいはヒップホップ的側面を強調して)、そして後者がドラムマシン使いの達人としての腕前のすごさをみせつけたから、要するに作品が良かったからであって、彼らがただシカゴ出身でジュークをやっているからという単純な理由によるものではない。この1年で、ジュークはその珍しさ、新奇さのみで評価されるものではないほど普及したのだ(食品まつりやペイズリー・パークスが評価されたことも同様、要は作品が良かった)。そしてダブステップときたら……ペヴァラリストは、同じく次号エレキングのYusaku Shigeyasuの取材で、ダブステップがジャンル用語として終わった現状をこう明かしている。「元々イギリスで名付けられて使われていたものなのに。いまでは完全に違うシーンで使われるようになっているし。こうしたことが起こるのは避けられないけどさ。みんなが自分の音楽を言い表すためにダブステップって言葉を使わなくなったのは、一般の人たちを混乱させてしまうことになるからだと思う。だから俺も現在の音楽を言い表すときには、その言葉は使わない」
 マネー・チャネジズ・エヴリシング──三田格によれば、いまでは氷室京介までダブステップをバックに演歌やっているらしいし、ジェイク・バグが「電子音楽に興味はあってもダブステップは絶対にやらないね」と言うわけである。2006年にブリアル(ベリアルと言ったほうが正確な発音に近い)に電話取材したときには、彼は「アンダーグラウンドであり続けて欲しい」「有名にするために頑張らないで欲しい」「大きいクラブ・チューンにはなって欲しくない」と、将来への不安と展望について話してくれたものだが、ものの見事ダンス産業の甘い汁に吸い寄せられ、ジャンル名は別のものを意味するようになった。「ダブステップが変な方向にいってしまったら。もしアンダーグランドさをなくしたら、名前を変えてまた登場するよ。ダブステップって名前は捨ててね」などと、そのときのブリアルは元気に喋っているのだが、そのときが来た、いや、数年前に来ていたのである。

 ブリアルが、プロモーターから金を積まれてもライヴ出演を断ってきた話はよく知られているところだが、彼の音楽にはそうした誘いを易々と引き受けてしまったら失われてしまうであろうものが、まだ保たれている。それを持っているだけでも、彼の音楽は聴く価値があるんじゃないだろうか。現実社会の傾向を言えば、なにはともあれ売れたもの勝ちなわけで、ゆえにブリアルのロマンティシズムはひと際眩しく発光していると言える。
 考えてみれば、2009年にフォー・テットのレーベルから発表した「モス」がハウス調のトラックだったし、昨年の「Kindred EP」ではジャングル/ガラージのリズムを発展させつつ、ゴシックな気配も混ぜ合わせ、雑食的というよりも整合性を欠いた、金にまみれたダブステップの首根っこを握りつぶすような、薄気味悪いサウンドを見せている。しかも3曲のうち10分を越える曲が2曲もある。続く「Truant / Rough Sleeper」でも、収録された2曲とも10分を越えている。「僕はこの先、ウルトラ・ダークサイドのアルバムを作る」と、2007年の『ガーディアン』の取材で答えている彼だが、組曲のように場面が唐突に転換するそれらの曲は、たしかに『アントゥルー』よりもさらにまた暗く、どこに向かっているのかよくわからないというよりも、音の詩的展開で、機能的なクラブ・ミュージックというよりも、クラブ・ミュージックを応用した何かである。
 その感じは今回にも引き継がれている。またしても3曲のうち10分を越える曲が2曲入っている。初期ジャングルのリズムを使った1曲目の“Rival Dealer”は、曲のなかばでクラブの深い時間のドラッギーな音に転調、そして後半はアンビエントへと展開する。“Hiders”では、オルガンの音に導かれながら、1992年頃の安っぽいレイヴ・ソングを披露。曲の終わりはドローンとなる。ゴスペル調の歌が入るダウンテンポ“Comes Down To Us”は、チリノイズとシタール風の音が混ざりながら、神々しいストリングスで盛り上げたかと思えば、スクラッチが入り、低ビット数のリズムが重なる。終わりの3分ぐらいは、例によってアンビエントへと強引に展開するのだが、その後味の悪さたるや、他に類を見ない。先日のエレグラで、僕は不覚にも撃沈したのだが、意識が途絶え、目が覚めたらなんと朝6時、鉛の身体を引きずってフロアに下りてみると、わずかな生存者を相手にセオ・パリッシュはDJをまだやっていたのだが、あのんとも殺伐とした光景と重ならなくもない。朝日は眩しく、フロアの汚れは浮彫となり、無残にも、僕のような行き倒れがここあそこにいる。胃は裏返るように気持ち悪い……。
 しかし、そう、たとえ、帰りの電車が死ぬほどつらく、あやうく寝過ごして高尾山まで行きそうになったとしても、ブリアルはあの時代のアンダーグラウンド・レイヴに立ち返れと訴えているのだ。機能的な音色ではない。映像的な音色で、ブリアルは物語を語っている。雨の音とともに。

Katie Gately - ele-king

 総勢14名から成るフィールド・レコーディング・オーケストラ、シアトル・フォノグラファーズ・ユニオンに途中から参加したらしきケイティ・ゲイトリーによる初ソロ(from LA)。これがフォークにもインダストリアルにも聴こえる不思議な感触を放つサウンドで、OPNが切り開いた地平の深さを見せるというのか、USアンダーグラウンドがまだ未知数にあふれていることを実感させてくれる。どこから聴いても、誰のマネでもなく、戸惑うばかりの新感覚である。

 アコースティック・インダストリアルとでもいうような彼女のサウンドは一体、どこから来たのだろう。ゼロ年代前半に地下で蠢いていたマルシア・バセットのノイズ感覚と、最近だとメデリン・マーキーのような透明度の高いドローン・サウンドが同居しているのも奇跡的に感じられるし、インダストリアル・サウンドに憎悪ではなく、美的センスが感じられるところも素晴らしい。もしかしてアンディ・ストットの影響はあるのかもしれないけれど、それをフェミニンな変奏として示すだけでも充分にチャレンジングだし、そうだとすればそれは本当に成功している(アンディ・ストット・ミーツ・FKA・トゥィッグスというか)。インダストリアル=鉄槌感だという人には申し訳ないけれど、インダストリアルでありながらまったく重さも感じさせない。

 本人の言葉に左右されて音楽を聴くという態度はあまり好きではないんだけど、どうしてもそういうことが気になるという人はインタヴューをどうぞ。「美」に関してはやはり意識的なところがあるようで、音楽に深く入り込むようになったのは去年の夏から。きっかけはドクター・アクタゴンと来た。クール・キースがダン・ジ・オートメイターと組んだサイケデリック・ヒップ・ホップの快作である。もちろん、彼女の作品とは似ても似つかない。最近のお気に入りはマイルズ・ウィットテイカーにデムダイク・ステアー。アンディ・ストットではありませんでした……。

 サウンドクラウドで聴ける音源はこれよりも古いものなのか、時に重く、あるいは痛く、全体に洗練されていないニュアンスが残っている。つまり、はじめから独自のサウンドを有していたわけではなく、試行錯誤の末に現時点へと辿り着いたことが推測できる。あるいは、アルバムを先に聴いてしまったせいか、ここに上がっている曲はまるでデトックスのように感じられる。毒を吐き出して、後に残ったものの、なんと美しかったことというか。

 https://soundcloud.com/katiegately

 つーか、なんでファーマコンの音源がアップされているんだろう??

flau night in tokyo 2013 - ele-king

 2013年は、クーシーイケバナマサヨシ・フジタなどのリリースで、着実にファンを増やしている〈flau〉が、レーベル設立6周年を祝して、レーベル・ショーケース・イベントを開催する。12月22日、場所は原宿VACANT。IDM、アンビエント、ドローンの流れを汲みながら、フォークやドリーム・ポップとも接続するのが〈flau〉で、IDMを通過したチェリー・レッドというか、僕は、このレーベルが今日的なネオアコの新潮流になるんじゃないかと思っている。 まだ暑かった頃、イケバナのライヴを下北の教会で見たのだけれど、立ち見が出るほどの盛況だったなぁ。そのイケバナ、そして今年アルバムを出したクーシーをはじめ、今回の出演者は、以下の通り。

■ flau night in tokyo 2013

2013年12月22日(日)
@VACANT (渋谷区神宮前3-20-13)
open 16:00 / start 16:30
adv. 3,000yen / door 3,500yen
(共にドリンク代別途)

LIVE: IKEBANA, Cuushe, Sparrows, Twigs & Yarn, Black Elk (Danny Norbury+Clem Leek+Ian Hawgood)

PA:福岡功訓 (Fly sound)
SHOP:Linus Records
装飾:kotoriten office
FOOD:川瀬知代(粒粒)

前売りチケットメール予約 event@flau.jp
件名を「flau night in tokyo」とし、
お名前・連絡先・枚数を明記の上、上記のアドレスまでご送信ください。
3日以内にご予約確認の返信メールをさせていただきます。

ご予約のお客様にはスペシャル・プレゼントもご用意していますので、こちらもお楽しみに!

イベント詳細ページ:
https://www.flau.jp/events/flaunight_tokyo2013.html


まだイケるか?まだイケるぜ! - ele-king

 「プライマルは、いま何と闘っているのだろうか。」
――6年ぶりの新作『Proletariat』の背景にあるものを解きほぐすインタヴューを読み返して、この年末、あらためて本作を聴きかえしたくなった。折も折、豪華なゲストを多数迎えてのリリース・パーティの報が舞い込む。見ておくべきステージがまたひとつ増えた。



PRIMAL
プロレタリアート

Pヴァイン

Review Interview iTunes Tower HMV

傑作『Proletariat』を発表したPRIMALのアルバム・リリース・パーティが〈LIQUID ROOM〉にて開催決定! MSCをはじめ、豪華ゲスト陣が出演予定!!

2013年ベスト・アルバムの一枠に喰いこむであろう傑作セカンド・ソロ・アルバム『Proletariat』をリリースしたPRIMALのアルバム・リリース・パーティが恵比寿〈LIQUID
ROOM〉にて開催決定! 自身の所属する伝説的なクルー、MSCをはじめ、同作にも参加していたRUMI、PONY、OMSB(SIMI LAB)、DJ MARTIN、DJ BAKUらの出演がまずは決定しています! シークレット・ゲストもあり!!

■MUJO RECORDS PRESENTS 「零 GRAVITY」
まだイケるか?まだイケるぜ! PRIMAL「PROLETARIAT」RELEASE PARTY

日程:2013年12月27日
会場:恵比寿LIQUID ROOM
OPEN / START18:30 / 19:30
ADV / DOOR¥2,800(税込・ドリンクチャージ別)
LINE UP:PRIMAL / MSC / DJ MARTIN / DJ BAKU / RUMI / PONY / OMSB / and
SECRET GUESTS

TICKET:
チケットぴあ [218-466] / ローソンチケット [74057] / e+ / LIQUIDROOM / DISK UNION(新宿クラブミュージックショップ・渋谷クラブミュージックショップ・下北沢クラブミュージックショップ)、11/30 ON SALE

協賛:P-VINE RECORDS
協力:9sari group, TOKYO UNDERGROUND GEAR, MUSHINTAON, Sanagi
Recordings, 松生プロダクション, BOOT BANG ENTERTAINMENT, BLACK SWAN INC

INFO:LIQUIDROOM 03(5464)0800


大森靖子 - ele-king

 大森靖子が大森靖子をやらずとも、あるいは誰かが大森靖子的な何かをやったかもしれない。実際、女子のシンガー/ソングライターはいま、ちょっとしたブームだ。だが、じゃあ、いったい他に誰がいた? いま、大森靖子ほど、女に生まれたことを呪い、またそれを強く受け止めている歌い手もいない。もっと言えば、いま、女子が女子であることを祝福するには、いちど呪わざるを得ないのだろうかとさえ、彼女の歌を聴いていると思えてくる。大森靖子のセカンド・フルレンス『絶対少女』は、女子への祝福と呪いとの屈辱的なせめぎ合いの果てにやっと吐き出されたジュエリーか汚物のように思える。

 たとえば、『女子とニューヨーク』(メディア総合研究所)等の著作で知られる山崎まどかさんのブログ・エントリ「鏡よ鏡――〈わたしは可愛い? それともブス?〉と問いかける少女たち」で紹介された、YouTubeに自撮り動画をアップし、自分のルックス・レベルを世界に向けて問いかける十代の女の子たちは、自らを呪いにかけているのだろうか? それとも、呪いを解くまじないを唱えているのだろうか? いずれにせよ、自分が何をしていたのかを少女たちが自覚するような歳になったときに、彼女らは何か冷たい壁にぶつかるのだろう。ふと顔を上げ、その壁が自分を映した鏡であることを知ったとき、彼女たちはどんな歌を歌えるのだろうか。
 もちろん、そうしたこじれないしは壁のようなものを、ある年齢の地点においてスルーできるようになることこそが、女子の処世であることはほぼ間違いない。だが、『絶対少女』はそうではない。そんな生き辛さへのアジャストなどまっぴら御免だと言わんばかりだ。だから、僕は彼女の言葉を受け取り、正面から眺め、いちど裏返し、また元に戻し、もう一度裏返してみて、迷いながらもやっと受け取ることになる。なにせ、一曲め“絶対彼女”の最初のラインからして「ディズニーランドに住もうとおもうの」なのだから。椎名林檎のジャケをパロディとして仕込まざるを得なかった前作『魔法が使えないなら死にたい』を聴いた人間であればこそ、こうした何気ないセンテンスの裏に何重もの意味を見てしまうハズ。
 そう、マスメディア・レベルで暴力的に欲望される「こんな風にして世間的に/対男性的に欲望されるべきふつうの女性像」をヒリヒリと内面化し、社会人の彼氏の隣を歩ける服とやらに袖を通し、やっぱり脱いでみたりして、それにウンザリしつつも完全には拒否しきれない自分を何歩も引いた場所から冷めるように自覚し、あるいは端的に美しい女子に女子として萌えながら、かつ、そんな自分のような女子に名前を付けてさらに外側から消費の材料にしようとする市場の要請と、それをさらに外側から表現の前提として踏まえざるを得ないという、自意識の奈落をどこまでも再帰させたがんじがらめの場所で……大森靖子はそれでも何かを歌っている。とても力強い声で。ここでは呪いが祝福され、祝福が呪われていく。僕はこんな歌を他に聴いたことがない。

 アルバムは、結婚・出産という女子の「ふつうの幸せ」とされるものを合わせ鏡の迷宮に陥れるシンセ・ポップ“絶対彼女”で幕を開け、結論を急ぐなら、それをオモテの意味で全肯定するタンポポの“I & YOU & I & YOU & I”を弾き語りカバーして終わる。この、〈ハロー! プロジェクト〉の歴史から言ってもヒット曲/有名曲とは言い難いナンバーがアルバムの象徴として選択されていることからも、これが単なるボーナス・トラック的な位置づけでないことは明白だろう(そもそもこの曲はシングルでさえなく、2002年にリリースされたベスト盤のために用意された新録曲である)。さらに言えば、この曲にバトンを渡す“君と映画”という曲は、タンポポに対する大森靖子からのアンサーのような曲になっている。おまけに、奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)が軽快に鍵盤をさばくロックンロール・アレンジになっているが、これはまるで……70年代のブルース・スプリングスティーンじゃないか(!)。
 音についてもう少し触れておこう。アレンジのヴァリエーションはおそらく前作以上で、前述の“絶対彼女”はディスコ・ポップだし、前作で“新宿”のトラックを担当したカメダタクは、(((さらうんど)))を意識したようなシンセ・ポップ“ミッドナイト清純異性交遊”を提案しており、導入は非常に煌びやか。あるいは、ソフトなフォーク・タッチの“エンドレスダンス”の印象もあってか、一瞬、ポップ・ポテンシャルと引き換えにエッジを失ってしまったアルバムに思えるほどだ。だが、それも“あまい”のイントロが鳴るまで。アコースティック・ギターの凛とした響き、サビで合流するグランジ風ギターのダウンバースト、そこに漂う大森の歌声は聴き手の緊張を強いるとともに、とても澄み切っている。そして、同様のスタイルを引き継ぎながらも大森の絶唱でそこを破っていく“Over The Party”は序盤のハイライトだろう。

 大事なことなので改めて書いておくが、本作のプロデュースはカーネーションの直枝政広が務めている。ゲストも多彩で、たとえば“展覧会の絵”では梅津和時がカオティックなサックスを吹きこんでいる。だが、玄人たちはいずれも裏方に徹している。アルバムを何度も聴いていくなかで立ち上がってくるのは、やはり中盤の弾き語りを軸にした彼女の表情豊かな歌声であり、選び抜かれた言葉だ(「嫌い」を連呼することで「キラキラ」を浮かび上がらせる遊び心なんかもある)。
 もしかしたらどこかに、「ふつうの幸せ」をいちどは選び取り、その自撮りをアップしたSNSの前で更新ボタンをだらだらと押すなかで、思わず鏡に映った自分に何年かぶりに衝突してしまった女子がいるかもしれない。そこに限りなく近いポイントで生み出された“絶対彼女”の両義性と、“I & YOU & I & YOU & I”が象徴するある種のベタさ。『絶対少女』は、この遠く離れた点と点を繋ぐ、あるいは繋ごうとする、呪いと祝福の連なりである。もちろん、その軌跡は他人にとってはなんの補助線にもならないだろう。いま、大森靖子によってたまたまこういう線が引かれた、というだけのことだ。
 しかし、前作までの彼女には、その未知数ぶりと表面的なイメージにより、勝手な役割意識を押し付けられる隙があったと言えばあっただろう。それがここに来て、それらのノイズをはねのける(ねじれつつも)太い芯を持つに至った本作を前に、ある種の失望を露わにする男の子と、勝手に裏切られて傷つけられたような気になる女の子の、そのどちらの姿をも、僕は勝手に想像してしまう。『絶対少女』は、あなたのサプリメントにはおそらくなり得ないし、あなたが期待した役割のいずれをも担っていない。しかし、だからこそ世に問われる価値があるのだろう。蜷川実花のカメラの前で美しく微笑む彼女を見ていると、少なくともそこに後悔らしきものは感じられない。
 大森靖子、26歳、「Born to Hate」から「Born to Love」へとなりふり構わず駆け抜ける、堂々の代表作だ。

Nick Cave - ele-king

 若いみなさんはご存知かわかりませんが、ニック・ケイヴが女性からキャーキャー言われていた時期があるんです。84年から87年くらいまでの間ですかね。エコー・アンド・ザ・バニーメンのイアン・マカロック、ティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープ、ザ・キュアーのロバート・スミス、バウハウスのピーター・マーフィー、ダニエル・アッシュと並んで。

 シスターズ・オブ・マーシーのアンドリュー・エルドリッチはキャー、キャー騒がれていなかったような気がします。でもシスターズ・オブ・マーシーを辞めたウェイン・ハッセイが結成したザ・ミッションの初来日公演の一列めにアンドリュー・エルドリッチの遺影のような写真を持った女性がいて、ウィエン・ハッセイがぶち切れてました。

 恐ろしい時代です。ピーター・マーフィーとダニエル・アッシュがいちゃいちゃしているシーンが漫画に描かれたりしていました。頽廃ですな。そんななかにニック・ケイヴも入っていたんです。いまやミュージシャンズ・ミュージシャンとしても若いアーティストから尊敬されるニック・ケイヴが、80年代の日本の少女漫画でロバート・スミスと化粧しあっているような漫画を見たら、日本は壊れているなと思うでしょうね。

 何を言いたいかというと、いまの洋楽を支える人たちにはここまでのパワーはないですよね。ジェームス・ブレイクとケンドリック・ラマーが裸で抱き合っている漫画とか書かないです。

 なんてことを思い出していたのですが、なんでかというとこのニック・ケイヴ・アンド・ザ・バット・シーズのラジオでの公開ライヴ(カリフォルニアのラジオ局KCRWの名物企画「アポジー・セッションズ」)がヤバすぎるのです。男が男に惚れました。80年代の日本の女性がニック・ケイヴにキャー・キャー言っていたのがよくわかる感じなんです。

 とにかくいまのニック・ケイヴはヤバすぎます。バースティ・パーティーの頃の彼は、ジム・モリソンがパンクやっている感じに僕には見えたんですが、いまのこのクールさって何なんでしょうね。バット・シーズを作ったときは新しいブルースというか、これを狙っていたんですど、もっと、さらに、超越しました。レナード・コーエンの世界ですよ。パンクのなかからレナード・コーエンの領域に達した人がいたというのは本当にうれしいことだと思います。神のようです。ルー・リードもここまでこれなかったと思います。前作『プッシュ・ザ・スカイ・アウェイ』もよかったですけど、僕はこのライヴをまずみなさんに勧めます。聴いてみてください。震えてください。

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