「F」と一致するもの

interview with Photodisco - ele-king


Photodisco
言葉の泡

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(フォトディスコとは誰なのかというと、普通の青年である。それはウォッシュト・アウトが普通の青年であるということと変わらない......)。
ついにフォトディスコの公式版デビュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『言葉の泡』。年初にいち部の専門店で委託販売され、まったくの無名ながら短期間に異例の枚数を売り切った自主盤『フォトディスコ』から5曲を再ミックスして残し、新録5曲を加えた内容だが、結果的に自主盤からは大きく表情を変えることとなった。筆者は以前「チルウェイヴ」としてフォトディスコを紹介し、レヴューや今作ライナーノーツでも彼らが携える時代的な意味や成果についてマクロな考察を加えている。だが今作後半の数曲は、より狭義のチルウェイヴ――要はウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワやネオン・インディアンらが体現する音だ――を意識していることがはっきりとうかがわれるだろう。"ミッドナイト"、"アイ"、"サケ"、"イエス"などローファイでリヴァービーなシンセ・ウェイヴの一連は、トレンドとしてのチルウェイヴと向き合ったトラック群だ。そしてフォトディスコ一流の叙情性が、このムーヴメントの勢いに埋没しない、とてもオリジナルなテクスチャーを生み出している。広義にチルウェイヴであった彼が狭義のチルウェイヴを目指したのはなぜか。インタヴュー中、フォトディスコは「気持ちいい」ということに繰り返し言及している。それはディスコ的な「快楽」ではなく「快適」のニュアンスに近い。「快適さ」を目標に設定する彼が、その最適解としてチルウェイヴを選んだことはおもしろい。時代のなせる業とも言えるだろう。インターネットによってベッドルームが世界に直結するこの時代、多くのベッドルーム・ポッパーたちが自らの部屋と世界との臨界点に、その摩擦を軽減し、快適さを保つため、緩衝材のようにめぐらせた音がまさにチルウェイヴであるから......。

ではフォトディスコの応答に耳をかたむけてみよう。言葉では多くを語らない人柄であるが、以下には飾らず涼やかな、そしてどこか頑固なアーティスト像がたちあがっている。今作について付言すれば、表題曲や"盆踊り"といったエレクトロ・アコースティックな曲が、一般に単調になりがちなチルウェイヴ作品に物語と陰影を与えていることに気づく。地域性の揚棄がチルウェイヴの特徴ではあるが、フォトディスコの音楽に非常に日本的な展開が示されていることも重要だ。ぜひともこの風土に眠る才能たち、そして日本の多くのベッドルームを揺さぶる存在になってもらいたい。

僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

自主盤の方が完全に廃盤になったということで、どうですか。

フォトディスコ:本当にうれしい限りです。廃盤になるって、まったく思いませんでしたから。400枚作ったので、それを買ってくれた400名の方々と、僕の音楽をプッシュして下さった販売店の方々に感謝しております。

公式1STとともに自主盤を生かしておく選択肢もあったと思うんですが?

フォトディスコ:いえ、まったく考えなかったですね。

ははは。どうしてですか?

フォトディスコ:ええと......出していただけるレーベルが決まったときにはもうどんどん新しい曲ができあがってたんです。それで、CD-R(自主盤)の方を買ってくれた人に、その新しい曲を聴いてほしいなって思って。せっかく全国流通になるから、CD-Rのなかからさらにいいものを選んで、新しいものも加えたいなと思いました。

では、自主盤の方にとくにアルバムとしての崩したくないコンセプトがあったというわけではないんですね。

フォトディスコ:そうですね。CDRの容量700MB、限界まで曲を詰め込んだアルバムです。曲順は、全体通しで聴いて気持ちのよい曲順に心掛けました。

自主盤から外したものに基準はありますか?

フォトディスコ:僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

そうなんですよねー。

フォトディスコ:それで、なんとなくわかったので、じゃあ僕のこの自主盤の中でいちばんチルウェイヴなものはなんだろうって考えて5曲選びました。

私の個人的な感覚だと、よりアコースティックで、よりJポップ的な情緒のあるものが選ばれてるのかなと思ったんですが。でも、わりとはっきりチルウェイヴということを意識したと。

フォトディスコ:意識しましたね。

やっぱりいま意識せざるを得ないところではありますよね。何から聴きました?

フォトディスコ:トロ・イ・モワです。

ああそうなんですか。ウォッシュト・アウトからじゃないんですね。トロ・イ・モワの何ですか?

フォトディスコ:ファーストですね。緑のやつです。

聴いてどうでした?

フォトディスコ:聴いたことのない音楽だなって思いました。

はは! シンプルな感想ですね。チルウェイヴって、認識としては「シンセ・ポップのリヴァイヴァルの一形態だ」というのが一般的かなと思いますが......新しかったですか。

フォトディスコ:新しかったです。

はは! 私もそう思います。

フォトディスコ:でも、コンプレッサーをいじればできるな、と思いました。

自分にもできるな、ってですか(笑)。

フォトディスコ:はい。

テクニカルな話だと、要はどういうことになるんですか、チルウェイヴって。私いろんなこと書いてますけど、技術的にどうだっていうことは作る側の人間ではないので詳しくわからないんです。こうしたらチルウェイヴになるぜっていう調理法があるわけですか?

フォトディスコ:あります。

企業秘密ですか?

フォトディスコ:いや、秘密じゃなくてみんな知ってると思います。ちょっと宅録とかやる人でしたら。

ははあ。

フォトディスコ:僕は感覚でコンプレッサーかけてるんで、あまり専門的なことは言えないのですが、要は、音を押しつぶせばいいんですよ。過剰に。そしたら、音圧出ますが、不自然な感じになります。

タームが出てくるとなんとなくしか理解できないんですが、素朴に音のことだけを考えると、わりと誰にでも作れるものだってことですね。

フォトディスコ:はい。そう思います。

もちろん、いま現在はチルウェイヴといってもすごく裾野が広がっていて、スタイルも方法も様々ではあるんですが、ローファイで、もこもこして、リヴァービーで......っていうあたりは基本要素かなとは思います。

フォトディスコ:そうですね。僕は一夜漬けで勉強しました。

あはは、末恐ろしい。機材的にはどうなんですか?このトピックで引っぱって恐縮なんですが、やっぱりチルウェイヴってことで、そんなにスゴイものは使ってないってシナリオにしたいんですが(笑)。

フォトディスコ:それはもうほんとに、大したことないですね。『サンレコ』(『サウンド&レコーディング・マガジン』)とかだと、ミュージシャンの人がほんとにいい機材ばっか使ってるじゃないですか。ヴィンテージの。こんな機材......いいなあ! って思うんですけど、やっぱり自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

やっぱりそうなんですか。お金があったら増強したい設備って何系のものです?

フォトディスコ:ヴィンテージのコンプレッサーとか......

野田:ははは! やっぱりそこ行くかっていう。でも、最先端の音楽を開拓してる子たちの多くは持たざる者だからね。グライムなんてサンプリング・ソースがユーチューブだったり、プレステだからね!

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自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

ユーチューブって持たざる極みですね。では、フォトディスコはガレバンの魔術師、ということで! フォトディスコとしての活動についてお訊きしますが、ほんとにいち度もライヴをすることもなく......

フォトディスコ:はい。

露出というか、楽曲を発表する場はマイスペのみということになりますか?

フォトディスコ:はい。

とくに日本だとライヴの有無がそのアーティストの知名度に決定的に関わるように見えるんですが、日本のシーンはわりとどうでもよくて、はじめから世界が視野に入っていたとか......?

フォトディスコ:まったくそれはないですね。

野田:ははは!

(笑)愚問でしたか。いや、世界のほうが日本より上、という意味ではなくて、日本の主たる音楽シーン――それはメジャー/インディを問わずですけど――に対して疎外感があるのかなと。

フォトディスコ:うーん......

野田:ははは!

すみません。ちょっと私すべってますね。ええと、あんまりそんなことには頓着していないんですね。

フォトディスコ:僕は......とにかく休みのたびにどんどん音ができるんで、それをどんどんマイスペにアップしていたというだけです。

とくに多くの人に聴いてもらいたいというようなつもりもなく?

フォトディスコ:そうですね。とりあえず(作った音源が)たまってたまって。

じゃあマイスペがなかったら、ただ作ってるだけの人ですね。

フォトディスコ:(笑)そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。

でも、その休みのたびに曲を作ってたっていうモチベーションはなんなんでしょう。いつか何かになるという確信みたいなものがあったとかですか?

フォトディスコ:うーん......作るのが大好きで。

何曲ぐらいになってるんですか?

フォトディスコ:ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。

音楽はいつぐらいから作りはじめたんでしょう?

フォトディスコ:それはもう高校時代ですね。友だちとバンドみたいなことをやってて......思い出作りにMTRを買って。ヤマハのMT400っていう、いちばん安いやつなんですけど。

どんなバンドですか? そのころはどんなアーティストが好きだったんですか?

フォトディスコ:スーパーカーとか。90年代というのが僕にとってすごく素晴らしい音楽の時代だったので......かっこいいバンドは全部コピーしました。

そのかっこよさというのは何ですか?

フォトディスコ:飾り気のなさというか、媚ない感じですかね。あと、アルバムごとに違う表情をみせるふところの広さですかね。

スーパーカーが好きなのは何でですか?

フォトディスコ:僕はデビュー作から聴いてるんですけど、高校の頃、実家がスペース・シャワーTV入ってたんで、それで......"クリーム・ソーダ"が流れた瞬間、「うわ、すげえ、なんだこれ」って。こんなバンドが日本にいて、メジャーでデビューできるんだって思いました。

デビュー曲ですね。

フォトディスコ:はい、デビュー曲で。あとは"プラネット"とかオアシスみたいだなって。日本とか関係ない感じでかっこよかった。高校くらいから20代前半は僕がいちばん音楽を聴いてたときです。ペイヴメントとかいわゆるUSインディからエモとかもすごく好きだったし、洋楽とか邦楽とかなくて、僕だけじゃなくみんな全部並列で聴けてたときだと思います。

ああ、本当に音楽が輝かしい時代だったんだというイメージがあります。

フォトディスコ:HMVのホームページははやくから「これを買った人はこれも買っています」というやつがあって、しらみつぶしに見てました。

では、ウォッシュト・アウトとかとやっぱり似ていますね。彼もヨ・ラ・テンゴとかが好きで、とくにテクノやエレクトロニック・ミュージックとか、ダンス音楽で育った人ではない。インプットがUSインディとかハード・ロックとかふつうのチャート音楽で、それがベッドルームを通って、アウトプットがシンセ・ポップとかエレクトロニックになるんです。

フォトディスコ:まあ、僕も就職失敗してるんで。

ははは。たしかにそこもウォッシュト・アウトと同じかもしれないですけど、なんでシンセとかになっちゃうんですかね?

フォトディスコ:うーん、なんでですかね。実際はギターの音を加工してる部分も多いんですけどね。

野田:90年代までラップトップ・ミュージックを率先してやってきた人たちっていうのは、クラブ・カルチャー寄りの人たちだったんですよね。それがこの10年で、インディ・ロックをやってた人たちにまで波及したんだなと実感しますね。

それは本当にそう思いますね。時代が時代ならずっとバンド組んでやってただろう人が、環境が整ってラップトップの方に流れ込んだ......。いまのフォトディスコのひな形になるような音はいつ生まれたんですか?

フォトディスコ:高校の後、映像系の学校に入ったので、そこで、何か映像と合う音が作れないかなと思ったときですかね。

映像というのは大きいコンセプトだったんですね。フォトディスコってそういうことですか?

フォトディスコ:いや、雰囲気です。単語を足していったら、響きがいいな~と思って。

映像の道には進まなかったんですね。

フォトディスコ:就職失敗して、田舎に帰って(笑)。

野田:田舎帰ったんだ(笑)。

フォトディスコ:はい。それからバイトしてお金貯めて、上京してきました。

(笑)お金貯めてわざわざ上京したってことは、それなりに野心があったってことですよね。音楽以外の目的ですか?

フォトディスコ:いや、ミュージシャンになるために。

ははは。そのわりにぜんぜんガツガツしてないじゃないですか! マイスペに音源アップするだけって(笑)。

野田:それが音にも出てるよねー。

フォトディスコ:なははは......(汗)。

誰に届いてほしいとか、誰が聴いているとか、リスナー像や顔が思い浮かびますか?

フォトディスコ:うーん......最初のリスナーは僕ですね。僕がよければ、その音はいいんです。

このへんの人たちに投げようとか、そういうのないですか?

フォトディスコ:やっぱり、作っているときは単純に楽しくて、あんまりそういうことは考えられないですね。

そうですか。私自身は書くことがけっこう苦痛なタイプで、どうやって誰に伝えたらいいんだろうということばかり考えているので......

フォトディスコ:それはだめですよ。楽しんで書かないと、人に伝わりませんよ。

ああ、そうですかね......そうですね......

野田:俺なんて、20歳になるまでは日記ばっかり書いてたけどね。

ええっ。

野田:ノートに。日記の場合はブログと違って人には読まれないことを前提で書くけどね。

ほんとそういう芯から作り手な人には、羨望がありますよ。では、今回の公式デビュー作となる『言葉の泡』についてですが、これはレーベルもついてミックス等も他の人間が関与するというところで前回とはまた異なった達成感があったのではないかと思うのですが。

フォトディスコ:いえ、まったく同じですね。

野田:はははは!

フォトディスコ:チルウェイヴっていうのはこういうものかっていう勉強があって、それを好きに使って楽しんだというのが今回のアルバムです。

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そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。作るのが大好きで。ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。


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言葉の泡

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制作過程として、前回とはいろいろ異なる部分があったんじゃないですか?

フォトディスコ:はい。ミックスやマスタリングの方もいますし、全然音が変わりました。この前出したやつはもろ宅録なんで、音圧がほんとしょぼくて。基本的には自分の音楽はヘッドホンで聴く音楽だと思うんですが、スピーカーで出したときにやっぱりすごく差が出てしまうので気になってたんです。今回エンジニアの方とやらせてもらって、そのへんをいじってもらったことで、市販されているような、ほんと基準の音圧や音量を手にした感じなんで、けっこうテンション上がりましたね。

エンジニアの方とのやりとりのなかで、心に残ったことはありますか?よくミックスも解釈だっていいますが。

フォトディスコ:やっぱりミキシングとかは、多少他の人が絡むことで自分が思っていたのと違う音になっちゃって、はじめはそれがすごく嫌だったんです。でも予算内でけっこう時間をかけて直しながら聴いているうちに、ああ、こういうのもアリかなって思えるようになって、自分のなかにないものが許せるようになりました。だから、今回のももちろん自分の作品ですが、自分にないものも入ってます。自分ひとりではできないものにもなってると思います。

野田:僕も訊きたいことがあるんですが、"言葉の泡"ってどういうことですか? どこからきたの? "盆踊り"とかさ、"サケ"とか、どういうところからそんなタイトルが浮かんだのかなって。

フォトディスコ:言葉の泡ですか......うーん、何ですかね......(笑)。やっぱり、言葉っていうのは......普段、いろいろな言葉を話すじゃないですか。それが、消えていく感じがするんですよね......。

文字通り、消えていく感じがするってことですか?

野田:意味というより音声として?

フォトディスコ:そうですね、なんか.....1日に話す言葉っていっぱいあって......それが聴覚的に泡のようにきこえるっていう感じです。

"言葉の泡"がいちばんいい曲ですか?

フォトディスコ:作ったときはそうでもなかったんですけど、いろんな人がいいって言ってくれて......僕は"盆踊り"がいちばんいい曲だと思います。

野田:僕も同感です。

ああ。"盆踊り"はどういうふうにできたんですか?

フォトディスコ:あれは、バイトやめたときに、次の仕事見つけるまでちょっと休もうと思って田舎帰ったことがあったんです。ちょうどそれが夏の終わり頃で、写真が好きなんで実家で写真とか撮ったりしてたら曲が作りたくなったんです。アコギでやりたいなってその時は思いました。

アコースティックな曲に漢字のタイトルがついてるように見えますが?

フォトディスコ:そうですね。

え? あ、そうなんですか?......いや、なんか、英語のタイトルのものと日本語のタイトルのもので何か使い分けがあるのかなって思って。

フォトディスコ:ああ、それはありますね。たぶん僕が日本語のタイトルをつける曲は、気持ちがめちゃくちゃこもってますね。

ははは!

野田:じゃ"サケ"(表記は"SAKE")は?

ははっ。中間ですか?

フォトディスコ:中間ですね(笑)。マーティン・デニーの"サケロック"みたいな雰囲気の曲を作ろうと思って作りました。あとはジャッキー・チェンの酔拳のイメージもありましたね。ちなみに、ほんとに酒飲みながら作ってました。

ほんとに酒なんだ(笑)

野田:エレクトロニック・ミュージックって酒飲みながらでも作れるところがいいよね! ところで曲を作るときっていうのは、どういう感情に動かされるの? フォトディスコってなんか......むやみに力んでないっていうか。

フォトディスコ:そうですね......まず、作りたいという感情と、僕も第三者にとっても気持ちのいい音にしたいっていう目的で作っています。

何にこだわりますか? とくに大事にすることとか。

フォトディスコ:とりあえず中域を出すことです。

それは......気持ちがいいから?

フォトディスコ:......まろやかになります。

ははは! まろやかが目的ですか。

フォトディスコ:外歩いてて聴こえてくる音って、いまはすごくキンキンしてますから。聴いててずっと聴ける音楽って、まろやかなものだと思うんです。

ああ、ずっと聴ける音楽っていうのが大事なんですね。とくに新しく入った曲には、アコギではなしに、チルウェイヴ的な方法で「まろやかさ」が演出されているのかなと思います。新しい曲群ではどれが好きですか?

フォトディスコ:それは"ミッドナイト"ですね。

ああ、そうですか! "ミッドナイト"いいですね!どうしてですか?

フォトディスコ:気持ちいいからです。

野田:ははは!

気持ちいいから、っていうのはもう哲学なんですね。

フォトディスコ:気持ちいいのはすごく大事ですね。いちばんです。

野田:『エレキング』のシンセ・ポップの特集でチャートを挙げてもらったときに、「いまのシンセ・ポップにロックを感じる」って書いてあったでしょう? フォトディスコにとってロックっていうのはどういうものなんですか?

フォトディスコ:それは......新しいものを作っていくってことですね。リヴァイヴァルだって言うけど、僕はトロ・イ・モワとか聴いたとき、ほんとに聴いたことないものだって思いました。あとは、ガチガチに決めないっていうことですかね。ヨレがある方が人間味が出るというか、新しいものに柔軟でいられる......

ではフォトディスコの次の音、ということでお訊きしますが、たとえばもっとしっかりとヴォーカルの入った歌ものとかは作ったりしないんですか?

フォトディスコ:歌ものは......僕、歌に自信がなくて。作ったことはあるんですけどね。

自分は歌では音以上に人を気持ちよくさせられない、とか感じてたりするんですか?がちっとした日本語詞の曲がないですが、音ではなく詞や言葉で表現したいことってあまりない......?

フォトディスコ:日本語だとほとんど音に乗らなくて。曲の雰囲気を崩さずにやるのは難しいですね。

やっぱり音ありきですよね。もし無理矢理先に詞だけ作れってことになったら、何か書けますか?その......詞や詩というものを言葉で生む人なのかどうかっていう疑問なんですけど。

フォトディスコ:いや、作れなさそうですね。やってみたこともなくて......。

もし、がっちり言葉で曲を作れってなったら、何をテーマにします?

フォトディスコ:うーん......年金問題とかですかね......

(笑)チルウェイヴで年金問題ですか。

フォトディスコ:でも、やるなら日本語ではやりたいと思います。

今回DJユニットのメタンによる"言葉の泡"リミックスが収録されてますね。すごくゴーストリーな音像で、あの曲をリミックスしたらこうなるか?っていう、とてもユニークなものに仕上がってますけど、あれは「言葉の泡」というより「言葉の霊」って感じで、歌ものとは別の形で言葉を強調したものになっていると思いました。

フォトディスコ:聴いていて、気持ちの良いリミックスです。今回、リミックスを初めてやってもらったんですが、自分の曲が違う曲になって面白かったです。

ウォッシュト・アウトもネオン・インディアンもトロ・イ・モワもメモリー・テープスも今年セカンド・アルバムを出しましたよね。4様の道を進んでいますけど、フォトディスコの音楽には今作ではまだ出きっていない隠れた芽がいくつもありそうですので、飛躍のセカンドも楽しみに待ちたいと思います。

JAH SHAKA JAPAN TOUR - ele-king

 ダブステップ/ベース・ミュージックの影響もあってか、あるいはこだま和文やリトル・テンポやザ・ヘヴィーマナーズの活躍もあってか、今年に入って日本でも久しぶりにDUBが広く脚光を浴びている。若いリスナーから「DUBについて教えてください」などと言われるなんて、へたしたら10年ぶりのことだ。この夏には『HUGE』というファッション誌が、ものすごく濃い内容のDUB特集を組んだことも話題になった。DUB好きにとってDUBとは、もはや白米やみそ汁のレヴェルの必需品だが、このアフリカの大地と欧州文化の激突のさなかに誕生したミュータントは、実は20年前から日本でもすっかり定着している。日本はフランス、ドイツ、イギリスなどとならぶDUB大国として、国際的に有名なのだ。
 このタイミングでジャー・シャカの来日である。まだ経験していない人は、ものの試しだと思って行きたまえ。将来、結婚して子供ができたときに、「お父さんはね、あのジャー・シャカを聴いたんだよ」と自慢できますよ。

JAH SHAKA JAPAN TOUR 2011
"king of dub"
JAH SHAKA DUB SOUND SYSTEM SESSIONS
-An all night session thru the inspiration of H.I.M.HAILE SELASSIE I-

11/2(水)名古屋RADIX(問)TEL:052-332-0073
11/3(木)大阪NOON (問)06-6373-4919
11/4(金)福岡 福岡decadent DELUXE (問)092-761-9111
11/5(土)東京UNIT (問)03-5459-8630

■東京公演
2011.11.5 (SAT) @ UNIT
with:
THE HEAVYMANNERS (LIVE)
LIKKLE MAI (DJ set)
saloon: 工藤BigH晴康、POWDA、JAHTOME、CICOTea
Natural food : AMBESSA
B2 : JAH SHAKA SHOP OPEN by 地球雑貨 ふろむ・あーす

open/start: 23:30
adv.3500yen door 4000yen
info.03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.jahshaka-japan.com

★JAH SHAKA "THE ZULU WARRIOR" RETURN TO JAPAN WITH FRESH DUB PLATE
ジャマイカ伝統のサウンドシステムを進化させるオリジナル・ダブ・マスター、ジャー・シャカが今年も帰ってくる!! 本場ロンドンではあまりのすさまじさに失神者続出という伝説を生み、2011年、グラストンベリー・フェスティヴァルでは何と11時間プレイするという偉業で新たな神話を生んだ。
そして日本が世界に誇るレゲエ・ベーシスト、秋本 "HEAVY" 武士率いる最強のダブ・バンド、"THE HEAVYMANNERS"が待望の2ndアルバム『SURVIVAL』を引っさげJAH SHAKAと初共演する。さらには日本が誇るレゲエシンガー、かつルーツ・レゲエ・セレクターとして活躍するリクルマイがラバダブ・スタイルで今年も登場!
驚異のサウンドシステムを代官山UNITで実体験させるオールナイト・セッション、"LET JAH MUSIC PLAY!!"
伝説を見逃すな!ONE LOVE!!!

★JAH SHAKA
ジャマイカに生まれ、8才で両親とUKに移住。'60年代後半、ラスタファリのスピリチュアルとマーチン・ルーサー・キング、アンジェラ・ディヴィス等、米国の公民権運動のコンシャスに影響を受け、サウンド・システムを開始、各地を巡回する。ズールー王、シャカの名を冠し独自のサウンド・システムを創造、'70年代後半にはCOXSON、FATMANと共にUKの3大サウンド・システムとなる。'80年に自己のジャー・シャカ・レーベルを設立以来『COMMANDMENTS OF DUB』シリーズを始め、数多くのダブ/ルーツ・レゲエ作品を発表、超越的なスタジオ・ワークを継続する。
30年以上の歴史に培われた独自のサウンドシステムは、大音響で胸を直撃する重低音と聴覚を刺激する高音、更にはサイレンやシンドラムを駆使した音の洪水 !! スピリチュアルな儀式とでも呼ぶべきジャー・シャカ・サウンドシステムは生きる伝説となり、あらゆる音楽ファンからワールドワイドに、熱狂的支持を集めている。heavyweight、dubwise、 steppersなシャカ・サウンドのソースはエクスクルーシヴなダブ・プレート。セレクター/DJ/MC等、サウンド・システムが分業化する中、シャカはオールマイティーに、ひたすら孤高を貫いている。まさに"A WAY OF LIFE "!
https://www.myspace.com/jahshakamusic

★ THE HEAVYMANNERS
2001年夏、Fuji Rockグリーンステージにおいて、当時、最強のリズムセクションの名を欲しいままにしたドラムとベースのコンビ、《DRY&HEAVY》衝撃の 解体宣言後、盟友 GOTH-TRAD と共に、現在、前人未踏の世界最先端 DUB SOUND を引っさげ、世界にその名を轟かせる《REBEL FAMILIA》で活動する、日本が世界に誇るレゲエ・ベーシスト、秋本 "HEAVY" 武士が、待望のレゲエ・ダブ・バンドを結成。
2002年、FUJI ROCK FESTIVALのホワイトステージで、Shing02 & THE HEAVYMANNERS で、一度きりの伝説のライヴを最後に、レゲエシーンにおいて沈黙を守り続けてきたが、2007年に遂に本格的に活動を開始! 現在は、ドラムに元CULTIVATOR の當山孝史などを迎え都内を中心に活動中である。
2007年7月27日恵比寿リキッドルームでのイベント"RIDDIM CAMP"にて衝撃的なカムバックを果たし、今までの日本レゲエ・ダブ・シーンを覆すライヴパフォーマンスで、観客に大きな感動を与える。
2008年に入り、アルバム制作を本格的に開始。ジャマイカに渡り、KING YELLOWMAN, LINVAL THOMPSON, SLY DUNBAR を始め、元 REVOLUTIONALIES のメンバー等、レゲエ史を創ってきたレジェンド達と制作を行う。中でも SLY & ROBBIE として知られる世界最強のドラマー、SLY DUNBAR と "HEAVY" の究極のセッション、SLY & HEAVY が実現。このアルバム『THE HEAVYMANNERS』は 、雑誌『ミュージックマガジン』、『リディム』のレゲエ・バンド部門で堂々1位を獲得。日本が世界に誇る最強レゲエ/ダブ・バンドとして証明された。
2009年後半には、レゲエ・ダブ・ミュージックをさらに追及する為、ベテランのレゲエ・キーボード鈴木潤と、新人レゲエ・ギターリスト米山由樹を迎え、最強のダブ・バンドとして再出発。
2010年2月12日恵比寿リキッドルームで行われたリクル・マイのリリースパーティ"DUB IT!!" で、一歩先をいく音楽性とゆるぎない実力で観客を圧倒した。
そして、2011年7月20日に待望のセカンド・アルバム『SURVIVAL』をリリース!!
https://www.theheavymanners.com

★Likkle Mai
DUBバンドDRY&HEAVYの元・女性ヴォーカル。在籍中に4枚のアルバムと1枚のリミックス・アルバムをリリース。05年、更なる飛躍を求めDRY&HEAVYを脱退しソロとして始動。
06年2月アルバム『ROOTS CANDY』をリリース。レゲエ界のトップミュージシャンで構成されたバンドによるエネルギッシュなステージングが話題に。同時にギタリストThe Kとのピースフルなアコースティックライヴも敢行。異なるライヴ形態を使い分けたスタイルはリクルマイの真骨頂。
07年7月、レゲエに回帰しながらも音楽的に更なる進化を遂げたセカンドアルバム『M W』を発表。その後ファン投票により決まったシングル曲『My Woman/Home,Sweet Home』を7インチでリリース。08年8月、09年11月と2度のハワイ・ツアーを行い、ハワイでの人気を確固たるものにする。
09年11月4日にリリースの全編バンドサウンドによるサードアルバム「mairation(マイレーション)」はミュージックマガジンのベストディスク2009レゲエ部門で第一位に、RIDDIM誌のSKA~ROOTS部門でも第一位になり09年を代表するレゲエ・アルバムとなる。
この他ダブステップの重鎮Rob Simth(Smith And Mighty)から"レコード番長"須永辰緒、オーセンティック・スカバンドCool Wise Manに至るまであらゆる作品への客演も。2010年は伝説のダブエンジニアScientistとの共演、レコーディングを果たす。更にはルーツレゲエのDJとしても第一線で活躍中、Jah ShakaやAdrian Sherwoodなどの来日公演をサポート。また「希望郷いわて文化大使」として故郷・岩手県のPRにも努める。
Likkle Maiオフィシャル・ウェブサイト : https://likklemai.com
Likkle Mai myspace :https://www.myspace.com/likklemai

■大阪公演:ZETTAI-MU - JAH SHAKA -
"KING OF DUB"
KURANAKA 1945 (Zettai-Mu)
E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM
@ club NOON
Info tel: 06-6373-4919(NOON)
ADDRESS: 大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下
WEB SITE : https://www.noon-web.com/
OPEN/START. 18:00 OPEN
ADV : 3,000円 / DOOR : 3,500円 (税込・ドリンクチャージ無)

ZETTAI-MU WEB SITE (https://www.zettai-mu.net/)

KURANAKA 1945
開放的な上物と相まって叩き打つリズム、体中を行き来する超重量級ベース、フロアを狂喜乱舞させる獣の 様なダブ・エフェクト、 JUNGLE、D'N'B、DUB MUSIC、ABSTRACT、BREAKS、、黎明期より、日本のアンダーグラウンドシーンで活動。RAINBOW 2000をはじめ、FUJI ROCK FESTIVAL、朝霧JAM、METAMORPHOSE、EARTH DANCE、渚音楽祭、HAPPARS ALL STARSといった屋内外のビッグフェスティヴァルにヘッドライナーとして出演。レジテンツとしては、今年で16年を迎える ZETTAI-MU等、これまで1300を超えるギグと600を超えるパーティーを行っている。強力なビートに乗るメッセージは、そのしっかり踏みし めた 両足にのみ伝わる 繊細だが力強く感じ取れる 「今まで」「今」そして「これから」に向かって、屋内外のパーティーから山間や海辺、ビルの隙間やデスクのトップ、耳元でもその音は共鳴し続けている。
We are fighting against the monsters of our own creation. Remember 1945, Peace one love Harmonic future !

E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM
JINYAによるDUBPROJECT。20年に及ぶトラック制作、ライヴ・パフォーマンスのキャリアを持ち、あらゆるジャンルを渡り歩くなかDUBという手法を常に取り入れてきた。 デジ タルダ ブ、ニュールーツ、ジャングル、ダブステップなど、UKダブの歴史をリアルに飲み込みつつも、あらゆる音楽的な要素を取り入れたオリジナルサウン ドへと昇 華させている。過去にLEE"SCRATCH"PERRY、ADRIAN SHERWOOD、ROB SMITHなどと共演。今年7月には6年ぶりとなるアルバム「NO DESTINATION」を発表。今後はmiki * の脱退により、ソロとして再始動!更なる精力的な活動を行っていく。

Rustie - ele-king

 『ピッチフォーク』が本作をLFOのデビュー・アルバムに重ねて評していたが、どうだろう......新世代の到来という意味ではうなずけるが、その音楽を思えば正反対とも言える。『フリーケンシーズ』に夢中になったリスナーが『グラス・ソード』を聴いたら、その多くは拒否反応を示すだろう。
 ダブステップにしてもグライムにしてもグリッチにしても、あるいはチルウェイヴにしても、ここ数年の若い世代による打ち込みの音楽(エレクトロニック・ミュージック)と、LFO世代のそれとは音色において決定的な違いがある。初期のLFOを特徴づけるのはエレクトロ・ヒップホップからの影響とアナログ機材の音色だ。それはURを特徴づけるのがTR909のキックドラムであることと同様で、電子音とはいえアナログ機材の音色はギブソンのレスポールのように楽器そのものの音の説得力がある。ところがいまや若者にとってアナログ機材は高嶺の花で、逆に身近でコスト・パフォーマンスの優れたラップトップ・ミュージックにおいては、かつてアナログ機材で鳴らせたような音の表情はない。誰もが使えるようにと敢えてクセを避けたような、どちらかと言えばつるつるで、無味無臭の電子音だ。だから過剰にリヴァーブをかけたり、ベース音を異様にでっかくしたり、グリッチしたり、スクリューしたり、とにかくまあ、作り手はそれぞれのやり方で音を汚すことで味を出しているように見受けられる。
 が、80年代リヴァイヴァルのなかでYAMAHAのDX7の音色(80年代いたるところで使われまくって、そしてハウスやヒップホップの時代の到来とともに急速に廃れていったデジタル・シンセサイザー)までリヴァイヴァルしている現状において、はからずとも昨今のラップトップ・ミュージックの音色もあながち遠からずではないだろうか。ラスティのつやつやの、80年代フュージョンのような煌びやかな音色はむしろLFO世代が毛嫌いし、駆逐したものに近いテイストを持ちながら、それはいまベース・ミュージックの新世代(たとえば〈ナイト・スラッグス〉系とか)のなかで顕在化している。つまりラスティは新世代の到来を告げる大きな旗印のひとつには違いが、その勢いはLFO世代の美学を駆逐しかねないとも言えよう。

 『グラス・ソード』は大河ドラマのはじまりのような、なんとも大仰な、壮大なフュージョンで幕を開ける。ゾンビーはつやつやの玉虫色の音色をドラッギーに展開しているが、ラスティのそれはむしろその煌めきや滑らかさを強調する。ベースは相変わらずでかく、そして音の煌めき方ならびにその煌めきの重厚さがハンパない。ファンキーだが、ねっとりした感じはなくつるつるで、つるつるだが、いまを生きる子供たちのための騒がしい音楽だ。
 R&Bナンバーの"サーフ"では、そうした彼の音のセンスが魅力的に活かされている。うねるベースとピアノ・コードの掛け合いはデジタル・ワールドに移植されたヒップホップ・ゲットーのレイヴ・パーティのようだ。"シティ・スター"のような曲からも彼のルーツ=UKガレージをうかがい知ることができるが、ラスティの本領が発揮されているのはシングル・カットされた"ウルトラ・シズ"のような曲だろう。このすさまじい曲はなんというか......埃だらけのダブステップやグライムが、ピカピカのゲームセンターないしは大量の情報が氾濫するラップトップのヴァーチュアルな世界のなかでネオン管のような光沢を帯びながらうねりをあげているようだ。
 これはトレンドではない。エネルギーの詰まった新世代の音だ。"オール・ナイト"のようなキャッチーな曲を聴いていると、ラスティはLFOというよりもダフト・パンクになれるんじゃないだろうか......と思えてくる。

Photodisco - ele-king

 チルウェイヴ、ポスト・ロック、ネオアコ、エレクトロ、シューゲイザーとJ-POP......そういったものがフォトディスコの音楽には混在している。今年の初めにリリースされ、渋谷の某レコード店でベストセラーになったというCDR作を経ての本作『言葉の泡』は、公式では最初のアルバムとなる。日本のポップ史学的な見地から言えば、これは思春期をスーパーカーとともに過ごした世代による最良のベッドルーム・ポップ集のひとつで、UMA UMAの胸がすくような叙情性、エレクトロの下世話さ、そして中村弘二の物静かな幻覚との奇妙な融合と喩えられるだろう。
 アルバムにおいてもっとも印象的な曲のひとつに"盆踊り"という曲がある。ビートはゆっくりと時間を刻み、音数少ないメロウなギターの反復には"間(沈黙)"がある。その"間"にはフィールド・レコーディングによる虫の声がミックスされる。ここで聴ける叙情性、"盆踊り"が表すところは、とりあえず生きていると毎年この時期に感じてしまうあの切ない感覚だ。こうした生活のなかの陶酔感がフォトディスコの音楽の根幹にはある。それがたまたまアメリカのチルウェイヴの初期衝動と近かったという話で、スクリュー(サンプリング)を用いているわけではないし、音楽の方法論としてはまた別物だ。が、フォトディスコは現代のベッドルーム・ポップ・ムーヴメントにおける日本からのアクションのひとつではある。タイトル曲の"言葉の泡"は切ないラヴ・ソングだが、言葉少なく、説明も情念もない。ネオアコのチルウェイヴ的展開とも言えるこの曲は、そして生活のなかの陶酔感を極限にまで引き延ばそうとする。これがフォトディスコの、いまのところの最高の魅力で、そしてその感性において彼の音楽のポップとしての高みがある。

 "フェイク・ショー"や"ゴースト"、あるいは"ミッドナイト"のようなメランコリーとディスコ・ビートを擁する曲、いわばチルウェイヴィな曲もある。ネオンライトのなかを4/4のキックドラムが脈打つ"トーキョー・ナイト"、ダフト・パンクがアンビエントをやったような"アイ"、メロウなギター・ポップをディスコに落とし込んだような"サケ"といった曲も面白い。ポリゴン・ウィンドウの『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』からアシッド・ハウスを差し引いて、代わりにここ数年のシンセ・ポップ(トロ・イ・モワからウォッシュト・アウト、ジェームス・ブレイクなど)からの影響を注いだような感じというか......。
 もしこの『言葉の泡』を『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』に喩えられるなら、"Quino-phec"の蜃気楼のようなアンビエントに相当するのは"言葉の泡"のメタン(DJメタルとタンゴによるユニット)によるヘリウム・ミックスだ。8分以上にもおよぼドローンはリスナーを恐ろしく虚無な眠りへと連れて行くだろう(そしてこのリミックスを聴けば、なぜメタルがもう原稿を書けないのか、読者はよく理解できるに違いない)。

Conrad Schnitzler & Borngraber & Struver - ele-king

 先日、恵比寿のリキッドルームでのANBBのライヴで、そのフロントアクトのために上京していたNHKyxことマツナガ・コウヘイは、ひょっとしたらコンラッド・シュニッツラーと最後に会った日本人なんじゃないだろうか。1年のほとんどをベルリンで暮らしているマツナガ・コウヘイは、市内にあるシュニッツラーの自宅を訪ね、そしてコラボレートしている。もちろんその楽曲はまだ発表されていないが、今年の8月4日、患っていた癌のために逝去したコンラッド・シュニッツラーに関しては、とりあえずこれから先も未発表作品が出てきそうだ。

 エイミー・ワインハウスがこの世を去ってからおよそ10日後に、涙や悲しみ、あるいは人生論や精神論、この社会が規定する真面目さといった人並みの重みからも、そしてどんなムーヴメントからも100万光年離れていたかのような、この一見風変わりなドイツ人の電子音楽家は70代なかばにして死んだ。彼の膨大なディスコグラフィーの半分も聴いているわけではないものの、それでも家には10枚ほどのアルバムがあり、しかし、いまだこの音楽をうまく表す言葉を持たない始末である。たまに赤(ロート)や青(ブラウ)や黒(シュヴァルツ)なんかを引っ張り出して聴くのだけれど、いまだ言葉が出てこない......。同じように膨大な自主制作盤を多く出しているサン・ラにはすでに多くの言葉やいくつかの書物があるというのに、1937年生まれのコンラッド・シュニッツラーは死んでもなお言葉で説明されるよりもさらにその先にいたかのようだ。
 コンラッド・シュニッツラーに関しては、彼のバイオグラフィーやエピソードのほうがいまだ彼の音楽をより良く表しているように思える。タンジェリン・ドリームのオリジナル・メンバーにして"K"時代のクラスターのメンバーでありながら、バンドの継続や発展というものには何の興味もないかのようにいずれも最初だけいてすぐに脱退している。音楽活動以前はヨゼフ・ボイスに師事していた過去もあり、本人によれば影響はないという話だが、それとてどこまで真意かわからない。わかるのはコンラッド・シュニッツラーの清々しいまでに反権威的(に見えるそれ)で、そしてちまたで言うところの音楽的であることや、あるいはその意味なるものをとことん拒絶するかのような軌跡だ。ノン・ミュージシャンというブライアン・イーノの提言をシュニッツラーほど最後まで実践した人もいないとも言える。セールスや評価どころか、自分の作品の曲名(無題か、たんなる数字)やアルバム・タイトル(無記)、あるいはアルバムのアートワーク(たんなる色)すらもどうでもいいと言わんばかりの彼の経歴に関しては、とても詳しい日本語のサイトを見つけたので、ぜひ読んでいただきたい(https://www.fancymoon.com/mrs/)。

 彼が死ぬ4日前に録音したという『00/830 EndTime』を僕はまだ聴いていない。まだ聴いていない作品ばかりがある。本作はコンラッド・シュニッツラーのもっともよく知られた『Ballet Statique』や"Zug"のリミックス盤(リミキサーにはPoleもいる)を昨年リリースしていたベルリンの〈M=Minimal〉レーベルのふたりの主宰者、ボーングレイバーとストゥルヴァー(元々はジャーマン・トランスの人である)が彼の曲を再構築した『コン・ストラクト』なるアルバムだ。本国では死ぬ直前にリリースされているようだが日本に入ってきたのは死後なので、レコード店で見つけて反射的に買ってしまった。不可解きわまりない70年代の作品に比べれば、ベルリンのミニマリズムに落とし込んである分だけ聴きやすいものとなっているが、それでも名状しがたいところはある。なんというか......ポポポポポポ、ゴォオオ、ポ、ポ、ポポ、プチ、コキコキコキコケケケ......そんな感じが1から8まである。アナログ盤をカッティングしているのはPoleで、作品のディストリビューションはケルンの〈コンパクト〉が担当している(マスタリングは例によってハードワックス地下のダブプレート&マスタリングだろう)。

 コンラッド・シュニッツラーの家を訪ねたマツナガ・コウヘイの回想によれば、彼の自宅の地下にあるスタジオには古いアタリのコンピュータが数台並び、その横にはアナログ機材から最近の電子機材も数台並んでいたという。つまり機材が更新があり、おそらくは死ぬ直前までやる気満々だったそうなのだ。スタジオの音はそのまま1階のリヴィングのスピーカーからも聴くことができ、庭にはリンゴの木が生えていたそうだが、そのリンゴの実にはいっさい手を出さなかったという。そしてコンラッド・シュニッツラーは自分の死後の計画までマツナガ・コウヘイに話したそうだ。それは死後、自分の身体のいち部を切断し、それを世界のいくつかの場所に埋めるというものだった。おそらくそれが彼の最後の"アート"なのだろう。言うまでもなく僕のようなしみったれた人間がもっとも憧れるのは、コンラッド・シュニッツラーのような人だ。ところでNHKyxとのコラボレーション作品はいつ出るのだろう。

Zed Bias - ele-king

 マッドスリンキーの名義でダブステップに乗り換えたのかと思っていたデイヴ・ジョーンズがやはりというか、勢いづくUKガラージにカムバック。ブレイクビート・ガラージの元祖と目されるプロデューサーで、グライムに与えた影響も少なからずとされながら、フューチュリスティックス名義の『フィール・イット・アウト』がすでに8年前となることもあり、若手のディプロやスウィッチに追い上げられて(?)、サウンドも適度に刷新。ブレイクビート・ガラージの「その後」を自ら回収するようなアルバムに仕上がった。

 サスペンス映画を模したイントロダクション(インサートとして全体で4パートに渡るラジオ・ドラマ仕立て)に続いてラガマフィンがまずは3連発。セロシー、ダイナマイトMC、ロスコ・トリムと軽快に飛ばしていく。ここでコールドカット"ストップ・ディス・クレイジー・シング"を思い出すようなロートルは次で息が詰まる思いをしたかもしれない(僕は思い出さなかった)。長い付き合いとなるジェナ・G(『ビッチフォーク』参照)を起用し、ソウル2ソウルの初ヒット"フェアプレイ"へと続くからである。ハウスのテンポでカヴァーされた同曲はそれこそセカンド・サマー・オブ・ラヴのイントロダクションをなした曲だった。パンチの効きまくったGのヴォーカルが過去と現在を瞬く間に往復する。思ってもみないほど増幅されたスウィング感。これはやられた。

 さらにシーン全体からのリスペクトを反映するかのようにトッドラ・Tとの"クールエイド"は初期808ステイト風、現アフリカ・ハイテックのマーク・プリチャードと組んだ"トラブル・イン・ザ・ストリーツ"は妙にストイックで、しんみりとしたフォルティDLとの"ルシッド・ドリームス"と曲調は千変万化しつつ、エレクトロとガラージの接点が様々な角度から検証される。ベース以外にはスネアだけをループさせるなどシンプルな構成が目立ち、メイジャー・レイザーにはない円熟味が演出される。あるいはジェイムズ・ブレイクや彼が参考にしたともいわれるサブモーション・オーケストラのように深く沈み込んでしまうパートもなく、ある一定のレヴェルをうろつく感じはいかにもDJ的。、サム・フランクとのR&B、典型的なアシッド・ハウスといえる"サルサ・ファンク"と続いて、まるでスクリームみたいだなと思ったら、実際にスクリームとの"バッドネス"で一気にクライマックスへ(これがシングル・カット)。ベスト・トラックはスペシャリスト・モスを起用した"クールナーマン"かな。

 基本的には地味なベース・ミュージックだし、まとまりの良さはあまりにもイギリス的。ニュー・オーダーやベースメント・ジャックスがベース・アルバムをつくったら、きっとこんな感じになることでしょう。

 ゴリラズやギル・スコット・ヘロンにも飛び火したUKベースは、ゾンビーの2作目やサブトラクトからアフリカ・ハイテック、クルードスン、アンチ-Gと広範囲にクロスオーヴァーを進め、ナイト・スラッグスを運営するジェイムズ・コノリーのデビュー作はまっすぐそこに着地した。同レーベルからはガール・ユニットやエジプトリックスといったUKガラージの変化球を送り出し、マッド・ディセントでは爆笑モードを展開してきた人物なので、何を軸にしている人なのかいまひとつ掴めなかったのだけれど、人工と自然を刺し違えたようなタイトルとデザインの交錯が楽しい『ネオン・ドリームス』は、ナイト・スラッグスからの先行シングル「フォーエヴァー・ユー」に導かれるようにして全体的にはガラージ王道のつくりとなったのである。シンプルでストレートもいいところというか、ロック的な刹那さとはどこかで距離があり、これもシンセ-ポップ・リヴァイヴァルの一環だとすると、1980年前後にジノ・ソシオやフリーズが発揮していたファッション性と同調するものがあり、アディーヴァやヤズなどセカンド・サマー・オブ・ラヴのイントロダクションとして数限りなく消費したダンス・ポップも髣髴とさせる。もしか...しなくても、新たな時代の「フェアプレイ」を生み出そうというつもりなのだろう。新たにシングル・カットされた「ロスト・イン・ラヴ」ではジェイヴィオン・マッカーシーがクールにラヴ・ソングを歌い上げる。

 過剰な切なさと儚いムードの探求は主にニック・フックとの共同作業から導かれている。微妙なニュアンスを散りばめた「ザ・ビーチ」に、ミニマルな装飾で最大限の効果を上げようとする「アイ・フィール・イット」など、まるでハウス・ミュージックの誕生に立ち会い直しているような気分の曲が前半を占め、TTCのテキ・ラテックス(現サウンド・ペリグリーノ)とパラ・ワンを迎えてパリで共作された3曲が中盤でそれらを横切るようにして差し挟まれる。とはいえ、テキ・ラテックスもかつてのコミカルなイメージではなく、これも切ないヴォーカルに徹するなど、全体のイメージを裏切るようなことはない。どこにも何も残さない「フィール・ザ・ヴォイド」。ファッションとして一瞬で消費される覚悟はできている。あいつがこんなに2枚目でいいんだろうか...。

 どこまでもロマンティックで虚無的。ある種の無力感はここで救われるような気がしないでもない。それこそフクシマを忘却するために、これほどよくできた装置はないだろう。「エヴリワン・ニーズ・ア・テーマ・チューン」が話題のジュリー・バッシュモアも「ワン・モア・デイ」でフィーチャーされている。


Jeff Mills
Fantastic Voyage

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Jeff Mills
2087

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 ジェフ・ミルズの〈アクシス〉レーベルと神戸の〈Underground Gallery〉から、ele-king読者へのメッセージですよ~。

 ジェフ・ミルズの新作アルバム『Fantastic Voyage』の発売を記念して、本人直筆サイン+メッセージ入り特大ポスター(60cm X 90cm)を抽選で1名の方にプレゼントいたします。
 ご希望の方は、『氏名・年齢・送付希望先住所・連絡先』、そして「ジェフ・ミルズへ将来やって欲しいこと」(またはジェフ・ミルズへのメッセージ)を書いて、『AXIS ポスター希望』と添えて、<axisposter@undergroundgallery.jp>まで、メールにてどしどしご応募ください。  なお、11月30日を応募締切とし、当選者の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。


 なお、アルバム『Fantastic Voyage』に関するジェフ・ミルズからのメッセージはこちらをどうぞ!
/ele-king/news/001987/

■10/20(thu) CMJ 3日目

Tom Tom Magazine CMJ Fest @ woods
9:15 pm The Suzan
8:30 pm TEEN
7:45 pm Coasting
7:00 pm Hard Nips
6:15 pm Pearl And The Beard
5:30 pm Brute Heart (Minneapolis)
4:45 pm Satellite Sky(LA)
4:00 pm Baybee Teeth

 ......というわけで、CMJレポート第二弾はここからスタート。
『トム・トム・マガジン』ショーケース。女の子のドラマーというコンセプトで、定期的にショーも開催している(一号前はビヨンセにドラマーの特集だった)。主催がドラマー雑誌ということで、どのバンドもかなりレベルが高く(ドラマーはもちろん、バンドも)、主催者ミンディのバンドを見る目、CMJでは今回初めてのヴェニューでオフィシャル・ショーケースを開催してしまうという、その度胸が素晴らしい。
 彼女自身もテクニカルなドラマーだが、今回の共同主催者であるヴィヴィアン・ガールズのドラマー、フィオナもすごい。彼女のバンド、コースティングは2ピースでドラムとギター、技術があるだけあって見ていても安心感がある。
 女の子のドラマーというコンセプトなので、ジャンルやスタイルはさまざまだった。コーラス重視で歌を聞かせるグループ、ストリングスをいれたクラシカルなバンドなど、普段は見ることのないバンドも少なくない。全体的にローキーではあるが、面白いコンセプトのショーケースだと思う。
 ニューヨークで活躍する、日本人女の子バンド、ザ・スーザンとハードニップスも、このショーケースで一緒にプレイしたので、緊急特別企画、インタヴューをお届けしましょう。話してくれたのはドラマーのおふたり。NICO(スーザン)、エミ・ニップス(ハード・ニップス)です。


特別対談、ザ・スーザン×ハード・ニップス

どちらもニューヨークをベースにし音楽活動を行っている日本人のガールズバンドですが、何があなたたちをニューヨークに引き連れたのでしょうか。

NICO:ニューヨークに引き連れた......というほどの理由はなく、ただたんにブルックリンのレーベル〈Fool's Gold〉からのアルバムのリリースが決まったので、「んじゃニューヨーク行きますか」という感じで来ました。

エミ・ニップス:「ニューヨークとはやはり世界に通じるミュージシャンの集まるところで~」とかカッコイイこと言ってみたいですが、単純にアメリカのなか(世界中?)でいちばん好きなことができる都市だからです。東京のほうがより大きな都市だと思いますが、私にとっては東京の堅苦しいなかの便利さよりも、ニューヨークの「何でもアリ」の環境で柔軟にやりたいように生きる形が好きです。

最初にこちらに来た印象は? 最初にプレイしたヴェニューはどこですか? また、ショーに対して、どんな印象でしたか?

NICO:ニューヨークをメインに活動をはじめて、実はまだ1年も経っていません。でも7年前くらいからちょこちょこ海外活動はしていたので、最初にニューヨークでギグをしたのはたしか5~6年前の冬......。〈Pianos〉や旧〈CBGB〉、旧〈Knitting Factory〉などでやりました。お客さんは3人くらいしかいませんでした。その頃はヨーロッパの活動のほうを多くしていたので、ロンドンやパリ、ベルリンと比べてなんだかバンド文化が大人しいなあと感じたのを覚えています。その頃はUKロックが流行っていたからかな。

エミ・ニップス:私はアメリカ生まれなので、何度も遊びに来たことはあったのですが、移り住んだばかりのときはすべてが本当にキラキラした印象で、楽しくてしょうがなかったです。引っ越した後、初めて遊びに出た夜の小さなライヴハウスで、スマッシング・パンプキンスのジェイムス・イーハに会ったりして、これぞニューヨークでしょと思いました。ハード・ニップスで最初にプレーしたヴェニューは〈Death by Audio〉。私は以前にも他にもバンドをやっていたので、このヴェニューも初めてではなかったのですが、まだ結成して間もないニップスとよちよちドラマーの私はワン・セット切り抜けられるのか気が気じゃなかったです。初ライヴということで来てくれたたくさんの友だちに助けられて、とても楽しかったです。

バンドは何年活動していますか? 目標とするバンドは?

NICO:バンドは約8年だと思います。目標とするバンドはいません。型にはまらず自由にやっていきたいです。

エミ・ニップス:もうすぐ3年経ちます。目標はクイーン・オブ・ザ・ストーン・エイジ、目指せAC/DC!

今回の『トム・トム・マガジン』ショーケースですが、主催者のミンディとはどのように知り合ったにでしょうか?

NICO:今年の2月にあった『トム・トム・マガジン』のリリース・パーティに、友人のMNDRが出演することになっていたので、メンバーみんなで遊びに行こうとしました。でも、なんだかライヴがしたくなったので、どうせ遊びに行くならライヴさせてもらおうと思って、イヴェントの前夜にミンディーに直接「ライヴさせてください」とメールしました。どうせだめだろうと思ってたのですが、ミンディーから「いいよーやりなよー」的な乗り気なメールが返ってきて、結局当日ちゃっかりライヴさせてもらいました。それがミンディーとの出会いでした。

エミ・ニップス:ブルックリンで活動するもの同士の友だちです。『トム・トム・マガジン』は私もお手伝いをしていて、ボアダムズのヨシミさん、ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん、MI-GUのあらきゆうこちゃん、元あふりらんぽのPIKA☆のインタヴュー記事を書かせてもらいました。

いままでどのくらい彼女のショーケースでプレイしていますか?

NICO:4~5回だと思います。

何か好きな点でなにが悪い点ですか? 今日のショーケースはいかがでしたか?

NICO:好きな点は、美しくかっこいい女たちがうじゃうじゃしているところ。悪い点は、美しくかっこいい女たちばかりで自分が霞んでしまうところ。今日のショーケースは、ザ・スーザンが最後にプレイさせていただいてうれしかったです。『トム・トム・マガジン』のショーケースのトリを務めたらもう何も怖いものありませんわ。

エミ・ニップス:ブルックリンでも、SXSWでも、ほぼ毎回のショーケースに参加させてもらっています。好きな点は、知らない素晴らしい女子ドラマーといっぱい知り合えること。悪い点は、「女子ドラマー」という枠によって、逆にレズビアン以外のストレートな女子に広まりにくいこと。今日のショーケースはいろんなたくさんの人が来てくれたことと、すべてのバンドがすごく上手いミュージシャンだったので、いままででいちばん良い『トム・トム・マガジン』のショーでした。

今回CMJでは他にどのショーケースでプレイしますか?

NICO:オンリー『トムトム』です!

エミ・ニップス:Moves Gallery というブルックリンデザイナーの服屋のギャラリー・スペースで、そこのファンキーな服を着てライヴします。

また今回CMJでぜひ見たいアーティストは誰ですか?

NICO:とくににありません。

エミ・ニップス:あらきゆうこさんがドラムを叩くチボマットが見たかったのですが、私たちのライヴと重なって行けませんでした。後は、ナッシュヴィルから来てる、Turbo Fruits。

ザ・スーザンにお聞きしますアメリカに来た最大の理由は? 日本での活動はどんな感じだったのでしょうか? 日本のレーベルはどこだったのでしょう? 彼らにアメリカで活動する理解はありましたか?

NICO:アメリカに来たいちばん理由は、レーベルが〈Fool's Gold〉だったからです。もしこれがイギリスやスウェーデンなどのレーベルだったらそこに行っていたと思います。でもニューヨークに来て良かった。ここには世界最大の成功をつかむチャンスがゴロゴロしてますからね。日本での活動は本当にアンダーグラウンドでした。日本では曽我部恵一さんのレーベル、〈Rose Records〉からCDは出していますが、とくに所属はしていません。どこにも所属せず、すべて自力でやってました。自力で海外ヴェニューとのコンタクトをとってツアーを組んでました。USでのリリースが決まってからは日本でも国内盤を出すにあたって〈Hostess〉にお世話になっていました。アルバムが出てからジャパン・ツアーをして、サイン会やインストア・ギグやレコード店まわりなどを初めてして、なんだかアイドルみたいな気分になりました。ま、ほんの一瞬でしたけど......。結局、バンドをはじめるときから海外で活動することが私たちの活動ベースだったので、私たちがニューヨークをベースに活動することに対してはとくに誰も気にしないというかなんというか......止められるようなことはいっさいありませんでした。

いまのレーベル、〈Fool's Gold〉とはどのように知り合ったのでしょう?

NICO:私たちのプロデューサーであるPeter Bjorn & JohnのBjornの紹介です。まだUSの音楽業界についてなにも知らない私たちを、いきなりめちゃHIP HOPなレーベルに投げ込んだんです。おかげで普通のバンドには経験できないようなことも経験できてると思います。

実際来て見て、日本にいるときより何か違うモノを得られていますか。だとしたらそれはなんでしょうか? 逆に日本でなければ得られなかったことは?

NICO:やはり海外で生活している誰もが感じることだと思いますが、日本にいるときとは比べ物にならないほど視野が広がりました。よって目標も大きくなりますし、やる気もでます。日本でなければえられなかったこと......? ストレスかな。ストレス大国日本ですわ。

ニューヨーク以外のアメリカにいったことがありますか? エピソードがあれば簡単に教えて下さい。

NICO:ツアーでちょこちょこ回りました。今年の2月にあったChromeoとのツアーでは3週間くらいアメリカ中を回りました。カナダにも行きました。Chromeoパイセンのレヴェルになると、ヴェニューの規模が2000人~3000人で、バックステージの豪華さがハンパなかったです。また、毎日2000人のお客さんと向き合うことで、ずいぶん度胸もつけさせてもらいました。

これから先、音楽業界はさらに厳しくなって行く感じです。それぞれ音楽が好きで、いまのことをやっていると思うのですが、最初に音楽にはまったきっかけ、またどのようにこのメンバーがあつまったのか教えてください。

NICO:ザ・スーザンの結成は、キーボードのRIEとヴォーカルのSaoriのデモ作りからはじまりました。彼女たちが自宅の和室で作ったデモ音源がそのままRose Records〉からリリースされ、必然的にライヴをしなくてはいけない状況に追い込まれ、急遽当時暇そうだった友人たちをかき集めてバンドを編成したのが初期ザ・スーザンです。私もドラムなんて触ったことも見たこともなかったのに、ただたんに「力があってリズム感があって暇そうだから」という理由で任命されました。初ライヴはベルリンでした。

エミ・ニップス:ニップスの場合は、みんなそれぞれ音楽は大好きですが、それ以上に一緒にいて楽しかったのがきっかけです。グーチ(b)とマリコ(g)とは、バーバラという洋服のデザイナーの友だちを通してお互いを知り合い、日本人同士「せっかくですので、ご飯でも」的なことから急速に仲良くなり、マリコがもうひとり面白いのがいるよと、ヨーコ(v) を連れてきて、何となくいつでも一緒にいるようになった。あまりにもしょっちゅう一緒にいるため、他の友だちにバンドでもやれば? と言われて、それは楽しそうだ! とはじめた。

一緒にいるときは、おもにどんな会話をしているのでしょうか?

NICO:もうお互い家族同然なので、とくに大した会話もしません。スーパーのお得情報交換や、1日にあったできごとをサラッと、あと1日に1回は絶対に全員で練習しています。

エミ・ニップス:1、男の話。2、美味しいものの話。3、新しい面白いことの話。

影響を受けたアーティストをそれぞれ教えてください。

NICO:マリリン・マンソン。

エミ・ニップス:Sebastian Paulson ブルックリン在住のドラマー。表現力豊かで見ていて惚れ惚れする。ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん。私はテクノも好きなので、彼女のような永遠なるリズムを叩けることを夢見る。PIKA☆ 。いい音を伝えることを学ぶ。さらに、Liturgy のGreg Foxのメタルドラム・テクニック、Soft Circle のHisham Bharoochaのドラムに対する精神、Call of the Wild のAllison Busch のピュアな格好良さ。

曲作りについて。どのように曲や歌詞を作り上げていっていますか? 中心になる人はいますか。

NICO:曲作りはRIE、SAORIがやっています。

エミ・ニップス:曲によって変わりますが、大体は全員で作る感じです。Sebastian Paulson やその他の別格ミュージシャンの友だちが多いので、表現やトランジションなど大いに助けてもらいもします。

どのように楽器や歌を習っていったのでしょうか?

NICO:習わなくちゃいけないなあと思いつつ、7年たってしまいました。誰からも何も教わったことがなくて、いまでも自分のドラミングには自信がありません。ドラムの機材についても何も知らないし、自分のドラムセットも持ってません。

エミ・ニップス:これも、初めはさっき言ったミュージシャン友だちにいちから教わりました。そこからは練習するのみです。でも「音楽を演奏したい」という気持ちをサポートする、本当にすてきなミュージシャン友だちに恵まれていると思います。

この先はまだアメリカに滞在予定ですか?

NICO:しばらくは滞在予定です。

エミ・ニップス:はい

お互い日本人の女の子バンドですが、こちらで活躍するにあたり良い点,悪い点。お互いのバンドの批評をお願いします。

NICO:あまり女の子バンドととして扱ってもらってことが無いのでなんとも......。きっと可愛いガールズ・バンドは取り巻きのメンズたちが「あ、オレ持つよ」とかいって機材を運んでくれるんでしょうけど、私は毎回自力で全部運んでます。バスドラとか片手で持てます。あ、でも『トム・トム・マガジン』のような、日本にはあまりない感じの女性たちの独特なフィールドにちょこちょこ顔を出させてもらえるのはうれしいです。

エミ・ニップス:良い点は、やはり日本人の女の子4人のバンドというのは、白人4人などに比べても、それだけで面白いし、違う味を持っているので、それを存分に活躍させられるとより良いと思う。悪い点は、上手なバンドはたくさんいるので、バンドとしてのパフォーマンス力をどんどん上げていかないとそういったギミック部分しか評価されない。スーザンはハーレムに住んでるので、遠すぎ! と思います。若いロック・ミュージシャンの多くが住んでいるブルックリンは、毎日の生活のなかでミュージシャン同士の付き合いも多く、バーでやライヴに行く機会も自然と増えるので、その分バンドへの刺激が増すと思う。

さらに、こちらで活躍する女の子の日本人バンドで尊敬するバンドはいますか? よくつるんでいる仲の良いバンドは?

NICO:つるんだことはありませんが、HARD NIPSパイセン。

エミ・ニップス:こちら在住の「女の子の日本人バンド」は他に知らないです。あげるとしたら、昨日もCMJのライブを見たのですが、少年ナイフのライヴはつねにタイトで、人もたくさん呼べて、かっこいいです。あとはチボマットの羽鳥ミホさんは人としてもミュージシャンとしても素敵だと思うし、そのチボのライヴでドラムを叩いた、MI-GUのあらきゆうこちゃん(ヨーコ・オノ・プラスティック・オノ・バンドのドラマーでもある)のプロフェッショナル・ドラマーとしての生き方はドラマーの神のようです。仲良いバンドは、Cheeseburger とCall of the Wildと、Peelander-Z。

自分がかなり日本人だなと思う瞬間、またかなりアメリカナイズされてるなと思う瞬間。

NICO:毎日白いご飯を食べたくなるとき、あー日本人だねと思います。毎晩でっかいアイスクリームをボックスのまま抱えて食べているとき、アメリカナイズされたなと思います。

エミ・ニップス:日本人だと思うのは、ツアーなどに行ってもどうにも米が食いたいとき。と、日本の笑いが面白いとき。私はアメリカの生活のほうが長いので、通常はどちらかと言うとアメリカンだと思う。

ショーが入っていない普通の日の1日の流れを教えてください。

NICO:朝起きてバイトに行って、夜帰ってきて即練習。メールやネットのチェックなどもろもろの用事をすませてシャワー浴びてなんだかんだで3時くらいに寝ます。

エミ・ニップス:仕事してますよ! フリーランスでのウェブや翻訳の仕事のうえに、バンドのブッキングからオンラインのプロモ作業、ドラムの練習、等々を済ませて、夜はライヴか飲みへゴー。

これから先、具体的に2011年の終わりまでの予定を教えてください。

NICO:11月は、ギグが数本。いま、私たちはちょうど次のアルバムの制作をしているので、そのリハーサルやレコーディングもあります。12月もそんな感じ......だと思います。

エミ・ニップス:仕上がったばかりのニュー・アルバムを出してくれるレーベルを見つけるために、いろんな人に聴いてもらいので、ライヴの本数と人に会う機会を増やします。11月14日は、St. Vitus とライヴ、11月18日は少年ナイフとライヴ。年末か年明けにヨーロッパに行けるかもしれない? いや、行きたいぞという予定。

共演してみたいバンド。また乗ってみたいレーベルをそれぞれ教えてください。

NICO:TurboNegro。レーベル......よくわかりませんが、韓国のYG entやJYP、SM entに興味本位で入ってみたい☆

エミ・ニップス:バンドはCerebral Ballzy、Endless Boogie、Pampers、レーベルは、Adult Swim、True Panther、National Geographic。

最近見た感動したバンドは?

NICO:Hilly Eye、Amy from Titus Andronicusとは古い友人なのですが、彼女のギター・プレイはいつみても感動的。

エミ・ニップス:Com Truise。エレクトロ系だけど、生ドラマーが叩いてて上手いしセンスが良い!

お互いへのメッセージ。

NICO:エミパイセン、ディープなクラブ連れて行って下さい。あと何かドラムの機材でいらなくなったものあったらください。

エミ・ニップス:日本人だからいっしょに楽しめること、そうじゃなくても音楽を通していっしょに楽しめることの両方をこれからも分かち合って、ニューヨーク・ライフをより楽しくして行こうぜい!

言い忘れたこと。つけたしておきたいこと。

NICO:よく間違われますが、スーザンズではなくザ・スーザンです!

エミ・ニップス:ザ・スーザンが、初めて一緒にやったときよりずっと打ち解けてくれてウレシイ。ライヴもいい意味でほぐれてて、パワーアップしてる!!

どうもありがとうございました!!!

NICO of THE SUZAN thesuzan.com

EMI NIPS of HARD NIPS hardnipsbrooklyn.com [[SplitPage]]

■10/21(fri) CMJ 4日目

 ミッドタウンのオシャレホテル、エイスホテルで、シアトルのカレッジラジオkexpが、公開ライブをCMJの期間中やっているというので、どんな様子か見に行ってみる。
 ちなみにこれまでのラインナップは以下。
▼10/19(wed)
10:30 Zola Jesus
12:30 we are Augustine
2:30 Portugal , The Man
4:30 Clap Your Hands Say Yeah
▼10/20(thu)
10:30 Widowspeak
12:30 Givers
2:30 Dum Dum Girls
4:30 The Lonely Forest

見たいバンドが多いのに、見れていない。スポンサーはトヨタ。そして今日金曜日のラインナップは以下。

Kexp Seattle collage radio day party @ Ace hotel
10:30 Waters
12:30 EMA
2:30 Caveman
4:30 Atlas Sound

人はいるが、かなり普通のお客さんが多い(普段ここに来る人はヒップスターばかり)。ポスターを配っていたおじさんに聞くと、Cavemenがちょうど終わり、アトラス・サウンズがはじまる1時間半前とのこと。タイム・オーガナイズが出来てない!レコードマットとシルクスクリーンのビッグポスターだけをもらって退散。

Sub pop CMJ showcase @Bowery ballroom
12:00 am Dum Dum girls
11:00 pm Crocodiles
10:00 pm Royal Baths
9:00 pm popstrangers
polica

 夜はダム・ダム・ガールズを〈バワリー・ボール・ルーム〉に見に行く。ディ・ディの旦那のバンド、クロコダイルズが前なので、間に合うように10時ぐらいに到着。ダム・ダム・ガールズは、昨日はマーキュリー・ラウンジ、その前はスマート・ラウンジ、エイス・ホテルなど、CMJ期間内でもっともプレイしたバンドのNo.5には入る。今日のショーはソールド・アウトで、さらにアフターパーティが〈リット〉であるという。着くとロイヤル・バスというバンドがプレイしている。4ピースの〈Woodsist〉レーベルの若いバンドで、メランコリーなヴェルヴェット・アンダー・グラウンドという感じ。ギター2本(ツインボーカル)、ベース、ドラム編成。

 クロコダイルズは、「地元に帰って来て嬉しい」とMCしていたが、たしか、サンディエゴ出身? エクスペリメンタル・ノイズにブルージー・スワッガー、ちょっとシューゲイズよりでもある、オールド・ロックに新しい血を注入しようという姿勢があるが、キーボーディストとドラムが可愛い、かっこよい女の子という印象以外は、あまり記憶に残らなかった(すいません!)。
 ツインギターとベースの5人編成。映像アーティストが、白黒、カラーを織り交ぜ、ファンシーな照明を演出。中盤でこの日は、ギターのチャールスの誕生日だったらしく、バースデーケーキが登場。ブランドン(クロコダイルズのメイン・ガイで、ダム・ダム・ガールズのディ・ディの旦那)&ダムダム女子総出でハッピー・バースデー・ソングを合唱。ディ・ディは、登場ついでに(?)、そのままヴォーカル・ゲストで、クロコダイルズに1曲参加。

 今回、ダム・ダム・ガールズにはセット・アップをするローディー(2,3人)がいた。以前、半年ぐらい前に〈ブルワー・フォールズ〉というブルックリンの会場で見たときはいなかった(クロコダイルズは自分たちでしていた)。 セッティングに15分ぐらい要し、ダム・ダムは登場した。
 クロコダイルズのライヴは2階席から見ていて快適だったので、いちどステージ前に行ってから戻ろうとすると、すでに前にも後ろにも動けない状態になっていた。いちばん前で見ることになる。
 オープニングはニュー・アルバムの1曲目でもある"Always Looking"。毎日のツアーで鍛えられたのか、バンドのチームワークはかなりタイト。ディ・ディの歌は聞いているのがちょっとつらくなるほど感情がこもっている。古い曲、新しく曲を平等にミックスし、全部で15曲、プラス、アンコール1曲。ハイライトは"hold your hand ""waisted away""in my head"、ラストの"There is a light"あたりで、演奏中はとくにMCをしない。ディディが「私の旦那、 ブランドンへ」と前置きして歌った"in my head"では会場から声援が飛んでいた。個人的に好きな"caught in one"をやらなかったのが残念だが、あらためてディ・ディの歌唱力に脱帽、似た曲も多いが、それでも何だかんだ聞き入ってしまう。
 全体を通して、アルバム内容もあるが、何か辛そうな印象をうけた。演出なのか本当なのか。アンコールの"Coming Down"は、納得のエンディングだった。 彼女たちは翌日の22日はDCへ、そして23日はフィリーへ。24日のホーボーケンでひとまずUSツアーは終了で、11月3日からヨーロッパツアーがスタートする。

 今日ほかに行きたかったショーは......

Caithlin De marrais @ littlefield
元レイナーマリアのベーシストのソロ。
11月にもういちどショーがあるので、そちらに行くつもり。

Brooklyn Vegan showcase @ music hall of williamsburg
10:00 Braids
9:00 Active Child
11:00 Weekend
8:00 Pepper Rabbit
こちらも間に合わずだったが、明日のパーテーに参加予定。明日で最後!

■10/22(sat) CMJ 5日目 最終日

CMJ最終日は、昼からAAMと『ブルックリン・ヴィーガン』のパーティにでかける。

AAM day party @knitting factory
Vacationer
Casiokids
Memoryhouse
1,2,3
dom

ここについたのが、1時半ぐらい。バンドはまだで、セットアップ中だった。速足で次のヴェニューへむかう。

brooklyn vegan CMJ day party @ public assembly
2:30 Friends
2:30 Stepkids

 毎年この辺にはお世話になっているが、いつもスポンサーがPOPチップ、エナジーバー、リカー系(今回はスパイス・ラムだった)で、今回も昼間から、たくさんの人で賑わっていた。
 今回のCMJではここ、パブリック・アセンブリーにお世話になった。昼も夜もパーティ続きに加え、何と言ってもアクセスがよい。こうなったらこの辺のヴェニューを集めて、ここを本部にして、ミニチュアCMJでも開催するべきかも。
 バンドは、ステップキッズとフレンズを観る(フロントルーム,バックルーム)。

@ Move Brooklyn
7:00 Hard nips
6:00 Eola
5:00 Punks on mars
4:00 Guardian alien
3:00 Prince Rama

 その後、プリンス・ラマとガーディアン・エイリアンを見にMoves brooklyngへ。彼らは、過去にレポートして居る、ウィリアムスバーグ・ファッション・ウィークエンドでもショーをしていて、カラフルな色使い、斬新なデザインとコンセプトで注目を浴びている。キャラクター的にダウンタウン・アーティストである、ガーラン・ジーンズとかぶるところがあるが、どちらも現在を引っ張るカッティングエッジなアーティスト/デザイナーだと思う。

CSS, MEN, EMA @Webster hall

 そして、ハイライト(?)、アルファベット3文字組み合わせが面白かったので、これに行くことにラスト・ミニッツで決めた。
 10時頃つくと、何だかノリが違う......。イケイケ・パーティ・モードのクラウドで賑わってる? 何と、アーリー・ショーで、すでに終了していた(6時からはじまったらしい)。この場所は、私達が見たいバンドがプレイしているインディ会場と思いきや、有名なダンス・クラブでもあるのだ。週末の夜は、イケイケ・ヒップホップ、ギャング・パーティの定番となり、ギラギラしたボーイズ&ガールズで賑わっている。CMJ期間内でもこれは譲れなかったらしい。仕方が無いので、ブルックリンにとんぼ返り。パナシェ・パーティに乗り込む。昼間と同じ場所だけど......。

Panache booking & Bruise Cruise showcase @ public Assembly
(Front)
12:30 Shonen Knife
11:30 David Liebe Hart
10:30 White Fence

(Back)
12:00 am Vockah Redu
11:00 pm Turbo Fruits
10:00 pm Jacuzi Boys

 着いたら、変な海賊ハットをかぶったパフォーマーがプレイして居る。ステージで見たと思ったら、次の瞬間にはフォトブースでお客さんと記念撮影をしていた。もしかしてショーケースの単なる余興? そう言えば、ここは、パナシェ&ブルーズ・クルーズのショーケースだった。ブルーズ・クルーズ、彼らはバハマに向かう船のなかでショーを開催する海賊(輩)なのだ(ブッキングはいつもパナシェ)。次の航海は2月。寒中のニューヨークを抜け出して、バンドと一緒にビーチでマルガリータなど飲んだりして、遊び放題。何から何まですべてエンターテイン。彼らにすべて委ねればもう安心。ただ、このクルーズに参加すると帰って現実に戻れないので注意。
 そんなショーケースで、見たかったターボ・フルーツは見逃したが,少年ナイフがはじまった。なんと今年でバンド結成30周年なのだそう。それにしても相変わらず、なんてピュアで可愛いんでしょう。プレイしている曲も、新旧ミックスで、お客さんの心をわしづかみしている。
 今回のCMJでは女の子バンドを見た率が多く、思い出しても、ワイルド・フラッグ,エレノア・フレイドバーガー、ダム・ダム・ガールズ、ザ・スーザン、少年ナイフ、プリンス・ラマ......それぞれ個性もあって、つくづく女の子が台頭している時代なんだろう。
 そんなことを思いながら怒涛のCMJ期間が終了。カバンからはバッヂをピックアップしたところでもらったレッドブルが出てきた。家に帰ろう。

Twin Sister - ele-king

 今日のドリーム・ポップがラウンジ・ミュージックへと着地したものの、いまのところ最良の成果。敢えて"ソウル"を欠いたような、たとえばサトミ・マツザキを彷彿させるヴォーカルに「ディアフーフのポップの脱構築主義を思い出す」という人もいたが、僕はビーチ・ハウスをずいぶんと小洒落に展開したような印象を受ける。ロング・アイランド出身の4人組は、昨年の「Color Your Life」を聴いたときはステレオラブ的な、つまりクラウトロックとラウンジの融合を感じたのだけれど、彼らの最初のアルバムとなる『イン・ヘヴン』は、そうしたある種のアーティな素人臭さからは脱皮している。バンドは明らかにポップス(洗練)を指標し、そしてポップ・ミュージックに疲れ切ったリスナーでさえ振り向かせるであろう、魅惑的な甘いにおいをはなっている。こじんまりとしているが芸人根性を感じるし、音楽性は多彩で、きめ細かく、キュートだ。参照性の高さと洗練さにおいて、渋谷系なるタームを思い出す年配のリスナーもいるんじゃないだろうか。

 16ビートのファンクを展開する"Bad Street"はこのアルバムの魅力を象徴する1曲だ。ディスコ・ビート、そしてファンクのギターとベースは脈打つグルーヴを持ちながら、ブラック・ファンクやブラック・ディスコの下半身臭さがなく、アンドレア・エステラのヴォーカルもまたスウィングしているけれど黒さはない。が、しかし逆にそうした情念を欠いた薄味の良さがここにはあるのだ。R&Bナンバーの"Stop"にもそれが言える。かつてアリーヤが歌っていたような曲を、ツイン・シスターはさわやかなラウンド・ミュージックへと変換してしまう。
 ドリーム・ポップのお手本のような"Kimmi In a Rice Field"、ベッドルーム時代におけるバラード"Luna's Theme"、ラテン・ポップに挑戦した"Spain"、あるいはレトロなラジオ・ポップスを意識した"Saturday Sunday"や"Gene Ciampi"などなど、アルバムは佳作揃いで、手の込んだ曲作りからはバンドの勤勉さをうかがい知ることができる。『イン・ヘヴン』とはポップの桃源郷を意味しているのだろう。柔らかい布団のうえでうたた寝しているような音楽で、深刻さを忌避しながら音楽の軽さを主張しているようなこのアルバムを歓迎したいリスナーは決して少なくないと思われる。

Chart by STRADA RECORDS 2011.10.25 - ele-king

Shop Chart


1

RON TRENT

RON TRENT TELL ME EP FUTURE VISION(US) »COMMENT GET MUSIC
Ron TrentのFuture Vision Recordsからの強力盤!ピアノやシンセが交錯するディープなトラックにAleemやBlack Ivoryでの活躍で知られるレジェンダリーなアーティストLeroy Burgessのヴォーカルをフィーチャー!B面の小気味良くもディープなナンバーも◎!

2

SIMON WEISS

SIMON WEISS WHAT'S NEW IN TOKYO CITY EP DEEPERMOTIONS MUSIC(US) »COMMENT GET MUSIC
オランダ人クリエイターSIMON WEISSによる注目のジャジー・ハウス!A1にはナントRICK WADEによるリミックスを収録!ジャジーなエレピにRICK WADEならではの軽快なハウス・トラックがバッチリ!ビートダウン・ハウス的なA2、生音全開モロにジャズなオリジナルのB2もグッド!

3

OSUNLADE

OSUNLADE ENVISION(10inch) YORUBA (UK) »COMMENT GET MUSIC
INNERVISIONSからリリースされたAMEとDIXONによるリミックス盤が好評なOSUNLADE「ENVISION」、そのオリジナル・ヴァージョンが自身が主宰するYORUBAから登場!マリンバのアクセントの効いた極上&クールなアフロ・ディープ・ハウスな「ENVISION (YORUBA SOUL MIX)」と、透き通った空間にマレット系の民族楽器が鳴り響く神秘的なアフロ・トライバル・ハウスの「ATSUTA JINGU」をカップリング!

4

THEO PARRISH

THEO PARRISH MEETS MANCINGELANI HONEST JON'S (UK) »COMMENT GET MUSIC
HONEST JON'Sからリリースされた現在南アフリカで盛り上がっているSHANGAAN ELECTROなる新ジャンルのコンピ『SHANGAAN ELECTRO - NEW WAVE DANCE MUSICFROM SOUTH AFRICA』収録曲のリミックス・カット・シリーズに遂にTHEO PARRISHが登場!エレクトロニクスとアフロが融合した、ある意味デトロイト・テクノ的とも言える同ジャンルだけにTHEOとの相性もバッチリで、サイケデリック感覚溢れる飛び道具としても重宝しそうな仕上がりです!B面はNONPLACE等で活躍中のBURNT FRIEDMANによるもので音空間をうまく使ったローテンポのアフロ・ダブで両サイド大スイセン!

5

ZAKES BANTWINI

ZAKES BANTWINI WASTING MY TIME REAL TONE (FR) »COMMENT GET MUSIC
FRANCK ROGER主宰のREAL TONEからデビュー、あっという間にシーンの最重要アーティストとなったBLACK COFFEEと、CITY DEEPからの12インチ「JUJU」でタッグを組んだシンガーZAKES BANTWINIのリミックス・シングルがリリース!BLACK COFFEEがオリジナルを手掛けた本作は、DAN GHENACIA、ROCCOによるクールなミックスもナカナカながら、アフリカン・パーカッションを前面に打ち出したFRANCK ROGERのアフロ・ビート・ハウスが圧巻の出来!TIMMY REGISFORD~SHELTERファンも要チェック!

6

CHOCKY

CHOCKY CHOCKY EP DISCONNECTED SOUNDS(UK) »COMMENT GET MUSIC
手書きシリアル・ナンバー入り限定300枚!】詳細不明の新人さんChockyによるアンダーグランドなEPが入荷!A面は実験的なブレイク・ビーツ~エレクトロニカみたいなサウンドですがB面がカッコイイ!濃厚なジャズ~ビートダウン・ハウスのB1、生っぽいパーカッションに美しく繊細なシンセが絡むインスト・ハウスのB2共にクオリティー高し!

7

VAKULA

VAKULA SATURDAY-REMIXES 3RD STRIKE(UK) »COMMENT GET MUSIC
UNDER THE SHADE傘下の3RD STRIKEからリリースされたVAKULAの大ヒット作「SATURDAY」をテック・ハウス~ビートダウンで人気のアーティスト5名がリミックスした12インチが登場!DEETRON、JEFF SHAREL、LEGOWELT、FUDGE FINGAS、SADの5人によるものでA面1曲目のDEETRONからB面ラストのSADへ向かうにつれシリアスさ&ディープさが増していく感じで、原曲の魅力を損なうことなくそれぞれの持ち味を発揮した幅広く使えるオススメの一枚です!

8

THE KDMS

THE KDMS TONIGHT-MORGAN GEIST REMIXES GOMMA(GER) »COMMENT GET MUSIC
Vacationからのリリースでお馴染みの女性シンガーKathy Diamondと、Under The Shade等からリリースしているポーランドのクリエイターMaximilianSkibaによるユニットThe KDMSの12インチ!Metro AreaのMorgan Geistがリミキサーで参加したキッチュなエレクトリック・ディスコです!

9

VA

VA KOCMOHABT AREA 51(EU) »COMMENT GET MUSIC
QUANTEC等のリリースで注目を集めるダブ・テクノ・レーベルAREA51からのコンピレーションEP!これに収録されているBule「Weg」が最高にクールで気持ちの良いフローティング・ハウスでオスス

10

BOMBAY BICYCLE CLUB

BOMBAY BICYCLE CLUB SHUFFLE-LEO ZERO REMIXES LET'S GET LOST(UK) »COMMENT GET MUSIC
KZAが主宰するリエディット系レーベルLET'S GET LOSTからの第10弾!UKのインディー・ロック・バンドBombay Bicycle Clubの作品をA Mountain Of OneのLeo Zeroがリミックス!適度にポップなバレアリック・ディスコ・ロック的な仕上がり!
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