夜目が覚めて自分が最悪な人間だと思ったとき
思い出して欲しい
街は下水道やサーカスのように面白い場所だということを
ルー・リード"コニー・アイランド・ベイビー"
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街を歩くのは楽しい。とくに夜更けから朝方にかけては。僕にiPodはいらない。頭のなかにはたくさんの音楽が鳴っているから。
ラヴ・ミー・テンダーのデビュー・アルバム『スウィート』が完成した。彼らは正真正銘のシティ・ポップス・バンドだ。彼らの先行シングル「トワイライト」は、本当の意味での今日の渋谷の道玄坂の裏側の世界が描かれているが、アルバム『スウィート』はそれをさらに発展させている。ドリーミーでダンサブルなソフト・ロックをバックに、ロマンティックな週末の夜の片隅の出来事の断片、休日のドライヴ、そしてビルの谷間に輝く朝日を描いている。
ラヴ・ミー・テンダーは、ドラムを叩きながら歌を歌っているMAKIを中心に、サブカル界隈では賞賛とディスのリツイートを浴びている鍵盤担当の高木荘太、ふだんはDJをやっているサックスのACKKY、ベースのTEPPEI、ギターのARATAの5人から成る。彼らは、渋谷......といってもあんまりおしゃれ感のない裏通りの、そのまた裏通りの雑居ビルのなかにあるDJバーを拠点に登場した。クラブ・カルチャーは、いまや欧米でも、ホーム・パーティやウェアハウス・パーティといったアンダーグラウンドな広がりを見せている。より、地下に潜伏しながら堂々と音楽をやっているという、逆説的な態度を示している。ラヴ・ミー・テンダーの本質もそこにある。
いや、もう、ルー・リードの"ワイルドサイドを歩け"の感じじゃないですか。(高木壮太)
■"メスカリーター"からはじまっているのが良いと思ったんですよね。〈メスカリート〉という場所は、まあ、知る人ぞ知る秘密の場所であり続けたわけじゃないですか。それがこう、明るみにでることはどうだったんでしょう?
壮太:いや、もう、ルー・リードの"ワイルドサイドを歩け"の感じじゃないですか。
■ハハハハ。もう、カミングアウト、カミングアウト(笑)! まあ、それはともかく、この10年というのは、クラブ・カルチャーがかたやアゲハのようなビッグ・クラブにになって、その片方でDJバーのようなものが増えていった10年だと思うんですけど、 ラヴ・ミー・テンダーはそういう、増えていったDJバー文化から出ていったバンドなんだろうなと思ったんですね。そういう意味で、"メスカリーター"からはじまるのはもっともだなと思いました。
壮太:いやー、僕も最初、"メスカリーター"といったときはびっくりしましたよ。いまさらなんか語ることがあるのかって。
マキ:はははは。
壮太:どうなんですか、ラヴ・ミー・テンダー=〈メスカリート〉になっているんですか? お抱えバンドのように。
■いや、それはもうそうでしょう。モータウンにおけるファンク・ブラザーズみたいなものでしょう。
マキ:他にもバンド、いますけどね。
壮太:他にもいるけど......、俺たちなの?
マキ:そうなっちゃいましたね。
壮太:だったら光栄です。すごいバンドいっぱいいるのに。
マキ:ニビルブラザースでもミシマでもない。
壮太:〈メスカリート〉の名前を汚さないようにしないと。
マキ:汚さないように。先輩に怒られないようにね。
■そこは意識しているんですか?
テッペイ:レペゼン・メスカってことですか?
■そう。
テッペイ:そこは俺、逆ですけどね。
■まったくない?
テッペイ:むしろあれを壊したいですね。もう最近はメスカって言わないようにしてますからね。
■堂々と歌っているじゃない(笑)!
テッペイ:いや、前に若い子から、友だちに「メスカ行こうかな」って言ったら「危ないから行かないほうがいいよ」と言われたと聞いたこともあって、もう絶対に言いたくない。悪いほうにとらえられている。
マキ:ホントにね。
■なおさら、そこは良いほうに解釈してもらわないとですよね。世間の評判を覆しましょうよ。
壮太:浄化作業ですよ!
■アッキーはもう長年DJをやってるわけですが、DJバー文化についてどう思ってますか?
アッキー:それはね、耳が肥えている人、10人ぐらいの前でやることじゃないですか。すごいうるさ型の人たちの前で、がっつり10時間とかやる、みんな訓練をしているんで(笑)。そういうDJカルチャーはそれ以前まではなかったかもしれないですね。
■奥渋谷だけじゃなく、下北沢にもあるし、いろいろありますよね。けっこう名前のあるDJが、10人や20人でいっぱいになってしまうような空間でDJをやっていますよね。
アッキー:あれもう、うるさ型の人たちの前で、どれだけ濃いものを聞かせられるかっていうことだと思います。
マキ:修行だよね。
アッキー:朝3時以降とか、狂っちゃいますからね。それでも自分は淡々とやらなきゃいけない。
マキ:時空がゆがむ瞬間というんですか。
アッキー:解像度の上がり具合が、朝3時以降、クラブとはちょっと違う。クラブはだいたい5時や6時で閉まってしまうけど、DJバーは昼までやったりするじゃないですか。
■たしかにね(笑)。
マキ:そこからさらにどん欲な人だけが残るっていうか。
アッキー:だからそれを毎晩マキちゃんとかが見てたから。
壮太:渋谷で一番遅くまで開いてる店。
アッキー:やっぱり、僕はDJバーに聴きに行くのが好きですね。
アラタ:たんに年齢層が、そのひとたちが高くなってきてるっていうのもあるんじゃないですか。
■それも一理あるけど、だけどクラブはクラブでやっぱりたくさんできてて、そっちが好きなひとはやっぱりそっちに行ってたから。かたや、それとは違ったベクトルでもって、DJバーがたくさんできたなあと思って。
壮太:たとえば、ひばりが丘なんかにもDJバーが2軒あるんだけれども、そこはDJブースがインテリアになってるらしいんですよね。でも、DJバーといっていい流行ってる小バコは昔からあったでしょう。2丁目の〈ブギー・ボーイ〉とか。吉祥寺の〈ハッスル〉とか。
■2丁目の〈ブギー・ボーイ〉って懐かしいねえ。
壮太:店にキースへリングがいてビール奢ったらTシャツに絵を描いてくれた。
■ゲイ・ディスコですよね。
アッキー:新宿だったじゃない、文化的に。でもいまは、東京のなかでも吉祥寺、渋谷、って分散してきてて。
■このあいだ三茶がすごいって聞いたよ。
アッキー:三茶もあって。そういう広がりっていうのはここ10年なんじゃないですか。で、地域性によってノリがぜんぜん違うんですよね。それが不思議、なんか(笑)。
壮太:昔何かだった店がああなってるの? 昔の若者はどこで溜まってたの? DJバーに来てる若者は。
アッキー:いや俺クラブだったからわかんない。DJバーとか行ったことなかったから、昔。
テッペイ:小バコなんじゃないの。10年前から、〈グラスルーツ〉に似たような店がいっぱいできたような感じがする。
アラタ:ああ、〈グラスルーツ〉ね。
壮太:〈グラスルーツ〉も最初ヒカルくんが回して誰もいない、客もいないって感じだったけど、平日でもみんな店にちょこちょこ行くようになって、超盛り上がるようになって。その後に三茶のバーもできたしさ、みんな繋がってたじゃない。〈グラス〉と三茶ってとくに。で、それのチルドレンな感じでしょ。
アラタ:〈フラワー〉とか関係ないじゃん、でも。あそここの間14周年で。〈グラス〉が15周年で。
壮太:そうだね。
■〈フラワー〉って何?
アラタ:三茶の重要なバーなんですけど。六本木のとは違って。
■ああ、聞いたことある。
アラタ:ポンタ秀一とかもよく来るらしくって。
テッペイ:〈グラス〉とか三茶で言うと初期の〈DUNE〉じゃん。小バコで盛り上がるみたいな。
■メンバーのみんなは、どちらかというとDJバー的な密室的な、濃い空間が好きで。
アラタ:おしゃべりが好きっていうのがあるかもしれないですね。
マキ:おしゃべりですね、みんな。
テッペイ:テクノとかハウスとか、昔のクラブとかだと住み分けがあったかもしれないけど、DJバーだとハードコアのTシャツ着てテクノで踊るとか、そういうのを見て「お、カテゴライズされてなくて超おもしれー」と思って。デカいレイヴ行くよりも、そっちのほうが早いんですよ。ひとが集まってるから。
■なるほどね。いま地方にもほんと増えているよね。それはあるシーンを形成しつつあるのかなという感じがするんですけど。でも、今回のアルバムの1曲目を"メスカリーター"にしたのはなんでなんですか?
アラタ:チルドレン・オブ・メスカリートとしての誇りじゃないですかね。
■宣言というか。
壮太:いや単純に曲調なんじゃないの(笑)?
■はははは。
壮太:メッセージ性なんかないでしょ(笑)。
マキ:あれはすごくわたしの気持ちが入っていて。
テッペイ:ライヴでもいつも1曲目でやっていて。
マキ:そう、なんか1曲目ぽい感じがして。
壮太:曲はデモ・テープの並びの通りなんですよ。デモ・テープに耳が慣れちゃったから、もうこれでいいや、みたいな。計算してないですね、この順は。
■"ロマンティックあげるよ"がボーナス・トラックみたいな。
マキ:みたいな扱い。
壮太:俺はずっと反対してた、最後まで。
マキ:ははは、外圧が(笑)。
■こうやって意見が分かれたとき、誰がまとめるんですか?
アッキー:まとまんないですね。まとまんないままぐちゃぐちゃーと進行していく。それが面白いんじゃないですか(笑)?
[[SplitPage]]時空がゆがむ瞬間というんですか。(マキ)
解像度の上がり具合が、朝3時以降、クラブとはちょっと違う。クラブはだいたい5時や6時で閉まってしまうけど、DJバーは昼までやったりするじゃないですか。(アッキー)
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■神泉とか、その辺が曲のなかで舞台になってるじゃないですか。これはマキちゃん個人のものなのか、それともバンドで共有しているものなんですか?
マキ:バンドでも共有してるとは思いますけど、わたしはすごく濃い感じであの街にいたんで(笑)。どうしてもそういうワードが出ちゃいますけどね。
■奥渋谷系とかって書いてるけど、実際は――。
壮太:神泉ですからね。渋谷じゃないですからね。
■まあそうですよね。あの辺で、〈メスカリート〉やラヴ・ミー・テンダーの影響で何か生まれたりしたんですか?
マキ:何にも生まれていない。
■ははははは、砂漠として(笑)。
壮太:巨大すぎて。ブラック・ホールだから。
マキ:ちょっとヘッドショップとかで、"マリフレ"がかかるぐらい。
一同:はははははは!
マキ:みんなにサンプルをこうやって渡してたから。
壮太:富裕層が朝3時ぐらいに物凄く狂ってるのを見てびっくりしたんですけどね。
アラタ:あと道玄坂が観光地化してるよね。
テッペイ:あそこ日光みたいじゃん、もう。
アラタ:黒人の人たちがタクシーのバンパーの上に乗って跳ねてたり、酔った白人のスーツの人たちが「俺は大使館職員なんじゃー」っつって警察官に絡んでたりするのを見たりすると、「敗戦国だなー」と思って。
■はははははは!
テッペイ:たぶんまだ見れてない部分がいっぱいあると思う。うちらはたぶん、けっこうピースですよ。あんまり暴力とかなくて。もっと怖い部分とかあると思うし。
■いやいや、でもみなさんじゅうぶん見てらっしゃるんじゃないですか。これはオフレコだけど、それこそ小林とかがさ、得体の知れないカラオケ・バーから悪酔いした客を引き連れてきて、緊張感が走ったり。
壮太:それはピースのほうですね。
テッペイ:アリのほうですね。
■でもわけわかんないじゃない(笑)。
マキ:わけはわかんないですけど、受け入れてねじ伏せるみたいな感じで、けっこうピース。まとまりますね。あんまり暴力とかはね、3年に1回ぐらいしかないよね。
テッペイ:最近はさ、だって合法系はみんな暴力に行くじゃん。
■まあその話は後でしようかなと思ってたんですけどね。でもバーってお互いの距離感が近い分だけ、いい面もあるけど、逆に言うと、それこそ一見さんという言葉があるように、入りづらいっていうのがあるじゃない?
壮太:どうしてもね、バーはそうじゃないですか。常連はお互いの悩みごとや弱点を知ってて仲良くなれるんじゃないですか。一回そういうイニシエーションを経ないと、常連にはなれませんね。入りづらいと言えば入りづらいですよ。俺も〈メスカリート〉とか絶対ひとりじゃ行けないですよ。
テッペイ:みんな一見さんじゃん、最初は。
アッキー:いやでも、誰かに連れて来られるんじゃない?
マキ:わたしも誰かに連れて来られて、すごい勢いでバーンってドア開けたのが最初なんですよ、やっぱり。すごいベロベロで。もう2回目場所も覚えてない、みたいな。
■じゃあマキちゃんも偶然入った?
マキ:そうですね。その前にほかの〈メスカ〉のパーティでまあいろいろ出会って。
壮太:俺もコバに「中途半端な店があるから行こう」って言われて。
(一同笑)
アッキー:海の家からずっと繋がってるんだよね。
マキ:わたしも海のパーティが最初。
アッキー:そのときぐらいから、だんだんこういうゆるいサークルというか、いまの仲間ができていった感じがする。
壮太:〈スプートニク〉ができる前に、あの場所でパーティやってたから。2000年ぐらいの話なんですけど。
■そうなんだ。誰が主催してやってたの?
壮太:コバがやってたのかな。
アッキー:でももう〈スプートニク〉なんじゃない? それって。たぶんそれの流れだよ。
■でも、音楽をやるっていうのは、ある意味バーとは逆ですよね。もうちょっと不特定多数に投げかけるものじゃないですか。バーの閉鎖感とバンドとの開放感と、っていうのはどうなんでしょうね。
壮太:でもバーはあくまでも使い勝手のいい部室として使ってるから。
■ははははは。
テッペイ:いや、むしろ逆ですよ。それを変えたくて、いま帯でDJ入れてるんですよ。同軸にしたくて。いままでギャップがありすぎたから。
アッキー:それ〈火曜メスカ〉でしょ?
テッペイ:そう〈火曜メスカ〉の話。ほかの曜日は知らないけど。
■〈火曜メスカ〉って?
アラタ:火曜だけ俺らが〈メスカ〉を開けてるんですよ。いま俺とテッペイなんですけど。まあ部室状態で。
テッペイ:1時とかに開けてたから、「それヤバい」っつって、せめて午前の前から開けるようにして。23時とかに開けて、DJもふたりぐらい呼んで、実験的にやってます。
壮太:社会性を持たせたくないってこと?
■はははは。
マキ:社会性って(笑)。
■だいたい僕の世代だとバーって「ぼったくりバー」っていうイメージがあるからね。中途半端に行ったらヤバいっていう。
マキ:たしかに、いくらかわかんないし。
■バンドがデビューしたのが去年ですよね。で、お店を中心にしてみんながいて。この10年に街っていうのはどういう風に様変わりしたと思いますか?
マキ:変わったのかなあ......。
■あんまり思わない?
マキ:自分も変わっちゃってるから(笑)。
■いや(笑)。だってさ、昔はさ、平気で公園通りの雑居ビルに個人商店が作れたわけだけど。
マキ:たしかに。自分も10年でだんだん奥のほうに移動してるかもしれないですね、行動範囲が。
壮太:駅の近くとかチェーン店しかないわけですよね。で、駅から離れるにつれて個人商店が増えていくっていう構造なわけでしょ、繁華街って。
■その離れる距離がどんどん広がってるよね。
壮太:奥に行けば行くほどディープになるという。どこでもそうなんじゃないかな。新宿でも池袋でも。駅前は和民とかケンタッキー・フライドチキンとか、なんかそういうのばかりで。奥のほうに行くとだんだん変なバーが出てくる。
アッキー:でも職質の回数は増えたよね。
マキ:奥のほうは増えたよね。
壮太:〈エイジア〉の通りは渋谷署のボーナス・ステージですよ。
■はははははは!
壮太:マリオの地下の面みたいな。コインざくざくの面。
マキ:あそこは防犯カメラがないから。ラブホ街って、だからおまわりさんがすごい多いの。
壮太:なるほど。
アッキー:スケボーで街を移動できなくなりましたね。
■そういう意味で言うと、街から猥雑なものをどんどん排除しようっていうのがこの10年であったと思うんですけど。たぶん〈メスカ〉なんかはそういう砦となって(笑)、ふんばっているんだろうなと。
マキ:でも不思議だよね。何にも起こらないっていうか。
壮太:〈エイジア〉の通りみたいなプラスイオンがガンガン出てるとこに行くと、ちょっともう。そういうときはBunkamuraの入り口に行って、Bunkamura見ながらタバコ吸って、「俺はスノッブ、俺はスノッブ」って思う。
一同:ははははは!
■プラスイオンって(笑)。去年『トワイライト』を出して面白いリアクションはありましたか?
壮太:ぜんぜん知らないライヴ・オファーが増えましたね。全部アウェーで。
テッペイ:夜が合うって言われる、ツイッターとか見てる感じだと。
■いや、そりゃそうでしょうね。
テッペイ:いや、昔「海が似合う」とか言われてたんで。
アッキー:ええー、そんなことないでしょ。
マキ:そんな時代あったの?
テッペイ:実際海とかでやってたじゃん。新島とか。
アッキー:知らないバンドと対バンすると、びっくりする。
アラタ:でも、クラブの夜中でバンドがうちらしかいなくて、DJとかじゃなくて、たとえば〈新世界〉とかで夕方から夜にいると、知らない客層がいて、それはすごい新鮮。
■ああー。〈新世界〉のお客さんなんかはどうです? けっこう受け入れられてる?
アラタ:世代が近いのか、意外とMCがウケる(笑)。あともっと若い世代もいて。
マキ:若いよね。
アラタ:呼ばれて行くと、意外と対バンで面白いのがいたりとか。
アッキー:イン・ジャパン(Inn Japan)とやったときとか、面白かったですね。
■イン・ジャパンって?
アッキー:高円寺の〈クラブライナー〉っていうけっこうちっちゃいライヴハウスがあって、イン・ジャパンって言うバンドがいて。
アラタ:サブカル臭が強い感じ。
壮太:メタ・ヘヴィメタ・バンドですね。
※小林=コバ(渋谷で汚い遊びをしている人でこの人を知らなければモグリ)

何にも生まれていない。(マキ)
巨大すぎて。ブラック・ホールだから。(高木壮太)
ちょっとヘッドショップとかで、"マリフレ"がかかるぐらい。(マキ)
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■自分たちよりも若い世代のリアクションなんかはどうでした?
壮太:ほとんど若いですよ、どこ行っても。
テッペイ:うーん、でもウケるのサブカル系ばっかっすね、なんか。
■(笑)。
テッペイ:ほかに見るものがないからこっちを見てくれてる、みたいな。〈メスカ〉といっしょだな。メンヘラの最終砦みたいになってるという。
アラタ:だからジャズトロニカにいるような綺麗なお姉さんはいないよね。
テッペイ:そう、いない(笑)。
アラタ:客層が羨ましい、ほんとに。
テッペイ:一瞬かわいい子だとしても、なんかここ(手首)に巻いてたりとかする感じでしょ(笑)? だから勘繰っちゃうよね、全員。
アッキー:OLが買わないってこと?
アラタ:OLはジャズトロニカ。
■でも、これだけ危うい言葉を使ってたら、それはやむを得ないというか。それは敢えてわかっててやってるでしょう?
アッキー:わかっててやってるところも、個人的にはありますよね、やっぱり。
■それは手ごたえとして、伝わるものなの?
アッキー:伝わってるとは思うんですけど、誤解してるひとが多くて。
■どういう風に?
アッキー:壮太くんの人格イコールうちのバンドみたいな。
■はははははは!
アラタ:それは違うっていう。
壮太以外:それは違う!
アッキー:でもそれを考えると、壮太くんはいまサブカルの砦なんじゃないかっていう。それは違うって言ってますけどね。
テッペイ:かあちゃんから「あんたのバンドのひと、ドラッグの話しかしないけど」とか言われて。
壮太:(爆笑)
■えっ、そんなこと言われたの!?
テッペイ:それ親父の還暦祝いのときで。
■でもお母さんがそこまでわかるってすごいよね!
テッペイ:だからラヴ・ミー・テンダーで検索すると、壮太くんのツイッターが出てくるらしくて。ツイッターのやり方までは知らないと思うんだけど、見れるのは見れるじゃないですか。そのせいで、じいちゃん家住めなくなったからなあ......。
アラタ:ははははは! そうなの(笑)!?
テッペイ:だってオッケーが出て、その次の日いきなりダメになったから。
アラタ:でも壮太くんの荷物は置いてあるっていう。
壮太:知らないっすよ。
テッペイ:そうやって情報を得るのが、いまはいろんな入り口があるじゃないですか。そうなっちゃうのはしょうがないんですよね。それはそれで面白いんですけどね。そういう広がり方をしていて。
■そこでどのぐらい伝わるかっていうのは難しい話だなとは思うんですけど。
壮太:いちばん反響があったのはele-kingですよ。でもあれ音楽の話してないですけど(笑)。結局だから怖いもの見たさとかそういう感じで(笑)。
■いや、そんなことないですよ(笑)。「コード進行が好きで」とか「細野さんが大好きで」とか、ちゃんと話してるよ。
マキ:ちょっとだけありましたね。
壮太:それがちょっとしかないからそこが映えるんですよ(笑)。
■いやいや。めちゃくちゃ音楽の話してたよ。
壮太:ひひひひ。
■でも普通、アレじゃないですか? ここまであからさまにドラッグねたを表現するっていうのはさ。ほかにそういうバンドがいないからでしょう?
テッペイ:いや意識してないですよ(笑)。
壮太:今回はしませんよ。もう卒業しました。
アラタ:うちのバンドは合法ドラッグ・覚醒剤は禁止ですから。
マキ:はい、そうですね。悪いものはちょっとやめていこうか。
■なるほどね。シングルほど直球な言い回しはしてませんが。でも今回は控えめながらも、相変わらずそのスタンスは貫いてるなっていうふうに思ったんですけど。
テッペイ:曲もそうですね。ぜんぶなんかこう、中和した感じですね。たぶん、いままでよりも。
■あくまでもラヴ・ミー・テンダーの確固たる主題なわけでしょう?
アラタ:いや、ぜんぜんそんなことは......(笑)。
マキ:ないですよね。
テッペイ:でもわかんないよね。次のテーマはもしかしたら子どものことばっかりになっちゃうかもしれない。
マキ:そうなっちゃうかもしれない。いやでも、出産こそドラッグかもしれないんで。
■ああ、それはほんとにそうらしいよ。
マキ:それを期待してる。気持ちいいならやってやる! みたいな。
男性陣:(爆笑)
■その前に究極の痛みを乗り越えての気持ちよさらしいですけどね。
テッペイ:デトックス(笑)。
マキ:デトックスで(笑)。
■壮太くんみたいな、肝の据わったひとはともかくとして――。
壮太:いや、肝据わってないですよ。
■ははははは。
壮太:俺ここ3年でうろたえてる姿を見られてるんで。
テッペイ:それ女関係だけでしょ? 女関係以外はすげー肝座ってますよ(笑)。
■はははは(笑)。自分たちより下の世代からどういうリアクションがあったの?
アラタ:あるのかなあ......?
テッペイ:ライヴのあとにブログを書いてたのがあって、たぶん若いやつだと思うんだけど、そこには「演奏はすごい良かったけど、怖かった」って。
■はははははは。
テッペイ:たぶん免疫がないひとから見たら、見た目どうこうじゃなくてオーラみたいなのがダメみたいで。だからそういうひとは次ライヴ来ないのかなあと思っちゃって。演奏はいいんだけど、うーんみたいな、そういうのはあるのかなって。
壮太:わかるわかる、でも。怖いって言われるよ。ただ年がいってるからじゃないの?
テッペイ:うん、それもあると思う。
■それはどういう意味なんだろうね。
壮太:感情移入ができない。
マキ:ふふふふふ。
■昔で言うと、スピード・グルー&シンキというかね。
テッペイ:免疫がないものに接すると、さいしょパーって来るじゃないですか。わーって。そのあとにそれを好きになるか嫌いになるかは、そのひと次第だと思うけど。
アラタ:つけ胸毛じゃなくて、つけリストカットみたいにしたほうがいいかもしれない、うちらは。
壮太:くくくく。
■あとはパロディもあるわけでしょう? それを嗤うっていう。
アッキー:根本的にユーモアっていうのはすごくあるかもしれないですね。シリアスというよりは、なんちゃって感は。
■なんちゃって感はすごくあるよね。だってHBでやってるマキちゃんと、ぜんぜん別なわけだから。こんなにメンバーに個性の強い方が集まっていて、レコーディングはうまくいったんですか?
壮太:いきました。
マキ:はい。でも出前がちょっとね。
テッペイ:壮太くんがピザがいいって言い張って、ほかのひとが違うっていう。
■そこでもめるんだ(笑)?
アッキー:マキちゃん魚ダメだから寿司もダメだし。
マキ:出前問題がけっこう大変でしたね。
■前に2枚を出したことによって、自分たちで自信を得たことはあったんでしょうか?
テッペイ:技術的なことですけど、3作ともエンジニアが違ったので、いままでのふたりも良かったんですけど、メリット・デメリットがあったから、今回それぞれ自分の楽器に関しては録りやすくなったと思うけど。自分の音をこうしたほうがいいっていうのがわかったんで、そこは早かったと思う。
マキ:もともと時間もないし、そういう意味ではけっこうどんどんどんどん進めていけましたけどね。
アッキー:やっぱ週1でリハーサルに入ってたのは良かったと思ってますけどね。週1で、4時間。
マキ:部活っぽく。
■歌詞はどうなんですか?
マキ:そうですね。日々の生活のなかではっと思いついたことを書きとめて。
■"リバウンド"も。
マキ:まあそうですね。
テッペイ:あれはもう"DIET"のアンサー・ソングを作ろうっつって。
■ああ、なるほどね。"ムードウーマン"とかね、いいですね。これムードマンへの返答として(笑)。
テッペイ:まったく意味ないです(笑)。ムーディだからじゃないですか。
壮太:俺の作った映画にムードウーマンって出てくるの。架空の人物。
マキ:そうそう、あれに出てくる。
■ラヴ・ミー・テンダーを面白がってくれればいいなと思うんで、怖がられたっていうのはちょっと残念だなと思って。
マキ:あと怒られたりとか。
■怒られるっていうのは何なんですか?
アラタ:どこのイヴェント行っても「こんなのめんどくさいよねー」とか言いながら、結局最後まで残って飲んでて。スタッフからしたら「早く帰んねーかなこいつら」みたいな(笑)。もうベロベロになってて。
アッキー:電気がバーッとついて「早く出てってください」っていう(笑)。
マキ:「いつまで飲むつもりなんですか」みたいなね、多いよね。どこでも。
テッペイ:楽屋で怒られたこともあったもんね。ステージで弾き語りか何かやってて、「静かにしてください」って。楽屋でうちらで盛り上がってて、声が全部なかに漏れてたみたいで(笑)。
アラタ:でもそれはお店の問題で。
テッペイ:ねえ?
アラタ:それを「静かにしろ」っていうのはおかしいでしょう。
マキ:いや、迷惑でしょ(笑)。
■ははははは。
アラタ:〈FEVER〉の楽屋は最高ですね。
■もうちょっと軋轢を起こすのかなって思ったんですよ、僕は。日本は冗談が通じないじゃないですか。冗談を、わりと真顔で怒ったりとか、笑ったら怒ったりとか。
マキ:怒られてますね。
テッペイ:いやあ、一番コアな部分は突かないようにしたいですよね。壮太くんがやりそうだけど。
■なるほどね。壮太くんはそれを狙ってるでしょう?
テッペイ:壮太くんはうまくやってるけど、でも俺らがストッパーの役ですよね。たまにそれをぶっ刺しすぎてるから、「そこはやべえ」っつって(笑)。
壮太:デモの映像を使ったPVとか、すごい叩かれましたね。
マキ:そう、叩かれましたね。炎上しちゃって。
テッペイ:違法のモデルガンを3丁持ってて。しかも道玄坂の交番の前で撮ってたから(笑)。
■だははははは。
アラタ:それデモじゃないじゃん。
マキ:それは"メスカリーター"だ。
■そういうのは、バンド内では「しょうがないねー」っていう感じですか。
マキ:(笑)まあいっかー、みたいな。
[[SplitPage]]わけはわかんないですけど、受け入れてねじ伏せるみたいな感じで、けっこうピース。まとまりますね。あんまり暴力とかはね、3年に1回ぐらいしかないよね。(マキ)
最近はさ、だって合法系はみんな暴力に行くじゃん。(テッペイ)
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■自分たちがやろうとしてることと、世のなかとの距離を改めて感じたところはあるのかな?
壮太:ライヴハウスとかでやりづらいですね。
■ほう。なんでですか?
壮太:昔から嫌いなんですよ、ライヴハウスが。システム自体が。
■それは音響的な問題?
壮太:いや音響的な問題じゃなくて。だってお金払って行かないでしょう、ライヴハウスに。「今日ライヴでも観ようかな」って。自分の知り合いのバンドが出てるなら行くようなもんで。本来は「ちょっと音楽でも聴きながらビール飲みてえな」ぐらいの感じなのに。
アラタ:アメリカとかね。
マキ:うん、そういう風に入りたい。
壮太:そうじゃなくて、なんか貸しスペースみたいになってるから。
テッペイ:客も下手したら入れ替え制みたいになってるもんね。
壮太:興味ないときのお客さんって、エレベーターの階数表示見てるみたいな表情でそのバンド見てるじゃないですか。「耳栓しろよ」っていう。ああいうのイヤですね。
■クラブは雑多なひとが集まるから、そこはホントにライヴハウスとの違いだよね。
壮太:そうなんですよ。お客さんと一緒の高さでやって、俺たちが演奏してるときもお客さんがバラバラの方向向いて踊ってるみたいな状況のときが一番好きなんだけど。
マキ:うんうん。
■ラヴ・ミー・テンダーにとって、もっともコアにあるものというか、中核を成すものは何だと思いますか?
アッキー:マキちゃんじゃないですか、やっぱり。
■ほう......いやそれこのあいだも言ってましたよね。じゃあマキちゃんの次は?
テッペイ:最初はアフター・スクール感、放課後の感じって言ってたよね。
壮太:自分たちでもわからない。話し合ったこともないし。
■「こういうことを歌ってるけど、ドラッグ・ソングのバンドだとは思わないでほしい」と言ってるわけじゃない?
壮太:バンドが音を紡いでいるところ。バンドの部活感。その、何て言うんですかね。バンドとはこういうものですよ、というものを見てほしいですね。
■バンドの部活感?
壮太:何て言うんですかね、典型的なバンドだと思うんですけど。集まってアンサンブルするときにどんなことが起こるかっていう。すべて起こってますから。
アッキー:誰かが大統領じゃないっていう感覚というか。誰かひとり出てるわけじゃないっていうか。
■バンドの面白さっていうこと?
アッキー:マキちゃんはすごく象徴的なんだけど、演奏とかそういう部分で言うと、全員が同列というか。
アラタ:バンドやってるのが楽しいっていうことじゃないですか(笑)。
テッペイ:楽しそうに見られれば一番いい。
■でもマキちゃんはHBもやってるわけだから、ラヴ・ミー・テンダーやらなくてもいいわけじゃないですか。
マキ:あ、そうですね、あはは。
(一同笑)
■じゃあHBとラヴ・ミー・テンダーの違いは何ですか?
マキ:違い。違いはもう......それは全然違いますね。ギャル・バンドと。
アッキー:あれはやっぱり女子高でしょ。
マキ:女子部。
■でも世のなかにはすごくバンドが数多くいるわけじゃないですか。ラヴ・ミー・テンダーは存在する必要はないじゃないですか。
アッキー:存在してないのかもしれないです。
■(笑)ほら、これはCDの売り上げに直結する質問をしているつもりなので。
テッペイ:そうやって外向いちゃうとキリがないじゃないですか。
■いいじゃないですか(笑)。
壮太:どうなんですか、アンディ?
■いやアンディはアンディなりに解釈してるんだから(笑)!
マキ:アンディが言う通りなんじゃないかな(笑)。
アラタ:でもまあ、たとえば下北で演劇系のひとたちとミュージシャンのひとたちをざっくり分けると、こういう言い方すると悪いけど演劇系のひとたちは頭でっかち。芝居論の話をしたりとか。ミュージシャンのほうがもっとバカというか、考えてないっていうと語弊があるけど、ほんと楽しいからやってる。快楽主義的な傾向が強いというか。
マキ:そうだよね。
アラタ:あるじゃないですか、そういうの。
■はいはい。
マキ:終わらない討論を朝までやってる感じ。
■そうそう。
マキ:そういうのじゃない。もっとくだらないことで朝までいるっていう。
アラタ:楽しいとしか言いようがない。
マキ:そう、楽しいからやってる。
アラタ:ほかのバンドとの差別化ってことで言われちゃうと、まあどのバンドも楽しいからやってんだろうなっていう。
アッキー:でも洗練されたポップ・ミュージックをやりたいっていうのが......俺はあるんだけどどうなの?
■それすらも共有されてない(笑)。
アラタ:まあ洋楽志向ではある。
アッキー:それを通ったAOR感みたいなそういうことが。
■AOR感はあるね。
アッキー:日本独特のポップスもあるじゃないですか。僕は80年代の終わりぐらいから見てるけど。そういうのはちょっとねじれ度が違うと思うんですよね。たとえばなんだろう、ボ・ガンボスとかフィッシュマンズとかが残したものを、そのまま置き換えたって子たちもたぶんいたりして。でもそことは違うっていうか何ていうか(笑)......。言いづらいな。
アラタ:AORとかそういうので言ったらさ、流線形とかキリンジとかのほうがそうかな、って。あれよりもうちょっとうちらのほうが綻びがあるっていうか、何だろうね。自分たちのことを言葉にしようとすると難しい。「どんなバンドやってるの?」って言われたら答えられない。
テッペイ:そう、俺も言えない。
アラタ:ざっくり歌ものメインでインストもある、みたいな(笑)。
■なるほどね。どうですか、壮太くんは?
壮太:いやだから、奥渋谷系ですよ。渋谷の奥のバーで醸成されたもの。実際そうなんだから。それがどういうプロセスを経てそうなったかはちょっと説明できないですけど。そう思ってくれたら。メンバー募集で集まったバンドでもないし、ここでしかないケミストリーがあったわけで。そうとしか言いようがないですね。
テッペイ:まだ途中だからね。
壮太:バンドだけが落下傘で落ちてきたわけじゃなくて、周りの人脈とか細かいバー同士の繋がりとか、そういうのが全部くっついてる。ファミリーを形成してるわけじゃないけど、どうしてもそういうの濃厚ですよね。
■まあそうだよね。だから、ちょっと硬い言い方になっちゃうけど、コミュニティ的なところもある。
壮太:そうですね。
■ちなみにアルバム・タイトルは誰が決めるんですか?
マキ:あ、あたしが。今回は。
■『スウィート』ってしたのはとくに意味があるの?
マキ:えっと、あんまりないんですけど。友だちがニューヨークに行ってて、帰ってきたときにお土産でくれたポストカードに、「LOVE ME TENDER SWEET」って書いてあって。それで、「これだ!」って(笑)。
■ははははは。自分たちの音楽を形容するのに今回ぴったりかなって?
マキ:はい。ぴったりで。すごくピンと来ちゃったので、それにしちゃいました。
■ところで、今日はみなさんが来るまでにアッキーと話してたんですけど、6日付のロイター通信によると、アメリカの2州でマリファナが合法化されたという。
アラタ:まあ連邦法が変わんないとっていうところではありますけどね。
■まあそうだけどね。ただ、いわゆる多数決で嗜好目的の大麻の是非が問われたときに決まったっていうのはね。住民投票で可決されたっていうのは初めてのことなので。ここ数年のアメリカの大麻合法化の動きはすごいじゃないですか。それはいい悪いの問題じゃないですよ。日本ではもちろん違法ですからね。でも、まず情報として日本のニュース番組でそういうものがまったく報道されていない不自然さというかね。
壮太:いや、簡単ですよ。大麻の是非以前に、ドラッグの会話自体がタブーなんですよ。たとえばカニバリズムってあるじゃないですか、人間がひとを食うっていう。あれは日本人は話題にするでしょ、「お前人間の肉食える?」「いや」「腹減ってたら食うかも」っつって。でも欧米だとそういう話自体が禁止ですよ。おおっぴらには。そういう話題に触れること自体がひととしてマナーに反するみたいな。日本でのドラッグがそうですよ。ドラッグの是非論とかやってもしようがないですよ。ドラッグの話題に触れることがタブーだから。
■逆に日本は少女ポルノに寛容でしょ。たとえばマッシヴ・アタックの3Dが反戦運動をやったときに、何でイギリス政府が彼を捕まえたかって言うと、少女ポルノですよ。
壮太:ええー。
■ドラッグじゃなくてね。そっちのほうが向こうだと罪が重いから。こうした文化の差っていうか、きっとそういうことも含めて、ラヴ・ミー・テンダーは投げかけてるのかなっていう風に思うんですよ。
壮太:解禁して安くなるなら万々歳ですけど。俺はその問題を考えるけど、解禁しても吸うひとは増えないと思いますよ。
アラタ:それはそうよ。
■日本文化の異分子ではあり続けようとしてるとは思うんですよ。アゲインストしてないにしても。
壮太:でもたしかに東京にしか居場所がないですね。もうどこにも住めません。東京じゃないと自分みたいなのの居場所がない。受け入れてくれるところが。
テッペイ:東京の数店舗しかない(笑)。
(一同笑)
テッペイ:そういう話は毎回してますけど、そこを直接曲に入れたくはないです。重くなるから。
■いやいやわかりますよ。
テッペイ:だからたとえば、全曲スウィートな曲調だったらタイトルを『スウィート』にはしてなかったと思うし、そのギャップは絶対出したい。
■そういう意味で言うとね、コンセプト自体がすごくギャップがあるよね。一番清潔感のある日本のポップスのスタイルを取りながら、いちばんタブーなことを言ってるっていうね。
アッキー:でもそれも意識してたわけじゃないですね。結果的にそうなっちゃったっていう。
■ああ、そうなんだ。
壮太:なんか、カシミアのセーターを着てまつ毛の長いおぼっちゃんがいつもナイフ持ってるとか、そういう感じ。
■ははははは!
壮太:そういうのあるじゃないですか。フリッパーズ・ギターとかもそうだったと思うし。
※アンディ(LMT担当の敏腕A&R)

今回はしませんよ。もう卒業しました。(高木壮太)
うちのバンドは合法ドラッグ・覚醒剤は禁止ですから。(アラタ)
はい、そうですね。悪いものはちょっとやめていこうか。(マキ)
![]() LOVE ME TENDER SWEET Pヴァイン |
■ああー、なるほどなるほど。じゃあ、みなさんは自分たちのリスナー像っていうのは見えてる部分ってあるんですか?
壮太:オタクが聴いてるっていうのはあるんですけど――。
■えっオタク聴いてる!?
壮太:オタクは聴いてると思いますよ。
テッペイ:俺のイメージは、ヒップホップとか何かを20代前半で飽きたひとが寄り道して聴いてる感じがするかな。
壮太:フュージョン・ファンとかシティ・ポップ・ファンは聴いてないと思います。
マキ:怒られるよ、だって。
壮太:なんちゃってシティ・ポップ、なんちゃってフュージョンだから。本格派のひとは聴かないと思いますよ。聴くひとは変わったバンドと思って聴いてるんじゃないですか。
■いまの壮太くんのなかで、とくに問題意識みたいなものがあったら教えてください。
壮太:社会的にですか? やっぱりシリアスになりすぎてるくせに、すごくカジュアルになってて、インテリが迫害されているし、かと言って冗談も通じないし、窮屈になるいっぽうですね。
■ああ、なるほどね。たしかに。
壮太:俺とか完全に知性のひとなんですけど。キャラクターはフクロウみたいな感じなんですけど。ぜんぜんそういうのは受け入れられなくなってるなあと。尊敬されない。
■ははははは!
壮太:もの知ってるとバカにされるっていう。
アラタ:いやそれ、日ごろの行いなんじゃないでしょうか(笑)?
壮太:そのくせ冗談が通じない。戦争コメディとかがぜんぜん作られなくなった。昔はあったでしょ。『M★A★S★H』ぐらいまではあったじゃないですか。朝鮮戦争ぐらいまでの戦争パロディは。湾岸戦争とかを舞台にした戦争コメディとか全然ないじゃないですか。アフガニスタンを舞台にしたものとか。
■ああ、でもイギリスはありそうだよね。
アラタ:アメリカも『ヤギと男と男と壁と』っていうやつは、あれはイラク戦争だよね。あれはけっこう面白かったけどね、脱力してて。
アッキー:なんかあったよね、湾岸戦争でコメディ。アイス・キューブが出てたやつだと思うけど(注:デヴィッド・O・ラッセル『スリー・キングス』だと思われます)。
壮太:アメリカ大統領選もわけのわからない泡沫候補が出なくなった。昔はスパイダーマンの格好したやつとか、出てたのにいつも。キャプテン・アメリカの格好したやつとか。
アラタ:日本もね、参議院選でUFO党がどうとかあったよね。
壮太:そういうのがなくなってきてると思います。
■息の詰まりそうな場面っていうのはどんなときに思いますか? 日々?
壮太:日々。
■なるほど。じゃあ......。
壮太:自分がいま大恋愛をしているからかも。街を歩くとみんなうつ病に見える。
■ははははは! 自分は楽しいのにっていう。アラタくんも恋愛中だっけ? 恋をしているほうがテッペイくん?
マキ:そうです。
■じゃあアッキー、ほかに言い足りないことがあれば言ってください。脱法ハーブについてでも何でも。
アッキー:うーん......合法はやめたほうがいいですよね。
マキ:やめたほうがいいですね。
壮太:仕組みはわからないけど、これだけバッドな症例がいっぱい報告されるってことはやっぱ統計学的にもおかしい。
アッキー:若いひとが死ぬってニュースを聞くのはやっぱイヤですよね。
■また脱法ハーブっていう言い方もイヤだよね。
アラタ:存在自体が姑息。法の抜け穴でっていうのが何か。存在してる過程自体が姑息だし、やだなあって。キマり方が孤独に陥るキマり方だし。
■それで儲けてるひともいるわけだからね。
アッキー:DJバーはぜんぶ、合法ハーブを店で吸うのを禁止にしたほうがいいですよ。
■DJバーで吸ってる?
アッキー:うーん、吸ってるひともいる。
アラタ:合法だからね、堂々と吸える。
■とにかく、合法には手を出すなと。
アッキー:そういうプロパガンダをしてもいいんじゃないですか、DJバーが。
アラタ:身近でもね、20年覚醒剤をやってたひとが、最後は合法に手を出して死にましたからね。
■ああ、危険なんですね。
アラタ:覚醒剤もすごく危険なドラッグなのに、それをちゃんと20年コントロールしてやってられるようなひとですら。キングギドラだっけ? そういう銘柄があるらしくて。
■それはどういうやつなの?
壮太:バス・ソルトとして売ってるんですよ。
■奇妙な世のなかだよね。
アッキー:ねじれがすごいですよね。
壮太:ラボの技術が法律を制定する速度を上回ったって、ただそれだけしょう。新薬を作る速度のほうが、法律を制定する速度より速くなったからこの現象が起こってて。そのいたちごっこはいままでもあったけど。ちょっとだけ化学式を変えて、新薬だっていうのは。この先はどうなるか予測がつかないです。
■なるほどね。わかりました。今日はいろいろ話を聞きましたが、ラヴ・ミー・テンダーは基本的には、すごくロマンティックな音楽だと思ってるから。
マキ:ありがとうございます。
テッペイ:ラヴです、ラヴ。
壮太:化学式はやりません。
■言い方は悪いですけど、すごくバカなことをやってるでしょう、この歌詞にしても(笑)。敢えてバカなことをやっているのはなにゆえなんでしょう?
壮太:計算してやってるわけじゃなくて、ほんとにイノセント感の表れだと思ってます。
テッペイ:冗談が好きなんですよ、ただただみんなほんとに。へへへ。
■なるほど、わかりました。そんなところでしょうか。
アッキー:最後に一言。
■お、なんですか?
アッキー:脱法には愛がない。これ、壮太くんが言った名言だと思ってます。
壮太:言ってたっけ、俺?
■いいですね。バンド名がラヴ・ミー・テンダーってぐらいだからね。本質はあくまでそっちにあるってことですね。ではどもありがとうございました!
一同:ありがとうございました!
LOVE ME TENDER "SWEET" RELEASE PARTY ~また逢う日まで~
2012.11.28 (WED) SHIBUYA WWW
OPEN 18:00 / START 19:00
LIVE: LOVE ME TENDER / ホテルニュートーキョー / LUVRAW & BTB
DJ: 二見裕志
ADV 2,500 yen (+ drink fee) / DOOR 3,000 yen (+ drink fee)
TICKET: e+ / LAWSON [L: 70179] / WWW
INFO: WWW 03-5458-7685 https://www-shibuya.jp
LOVE ME TENDER https://lovemetender.mond.jp










