「MARK」と一致するもの

DJ Mitsu the Beats - ele-king

 仙台を拠点とするヒップホップ・グループ、GAGLE のメンバーであり、一人のプロデューサー/DJとしても多彩な活躍を繰り広げてきた DJ Mitsu the Beats。2003年リリースのファースト・ソロ・アルバム『New Awakening』に収録された、R&Bシンガーの Dwele をフィーチャした “Right Here” によって、彼はヒップホップ・プロデューサーという殻を見事に打ち破り、さらに2009年にリリースされたセカンド・アルバム『A Word To The Wise』では、ジャズ・ヴォーカリストの Jose James をゲストに迎えて “Promise In Love” というビッグ・チューンを生み出す。以降、ソロ・アーティストあるいは GAGLE として、その時代ごとにエッジの効いたヒップホップを追求してきたわけだが、“Promise In Love” に続く、Mitsu the Beats ならではの歌モノを求めていたファンも少なくなかったであろう。初の試みともいえる、歌とインストゥルメンタル曲のみで構成されている今回のアルバム『ALL THIS LOVE』は、そんなファンにとっても待望の一作となったに違いない。

 本作には4名の日本人シンガーと2名のゲスト・ミュージシャン、さらに Mitsu the Beats の原点とも言える “Promise In Love” のリミックスが加えられており、純度100%のソウル/R&B/ジャズ・アルバムとなっている。Mitsu the Beats の音楽性を表すのに、“ジャジー・ヒップホップ” という言葉は一つの代名詞のようにもなっているが、本作における彼のサウンド・プロダクションは、ヒップホップの基礎であるループという概念は保ちながらも、着実に進化している。ピアノを含む様々なキーボードの音色やベースなどによってビートに魂が吹き込まれて、巧みにトラックが展開してゆき、さらにそこに歌が乗ることで永遠の広がりさえも感じ取ることができる。もちろん、シンガーやミュージシャンといったゲストが加わることによる効果も大きいであろうが、Mitsu the Beats が本来持っている音楽性がより増幅された結果、本作のサウンドが完成しているのは疑いようがない。

 アルバムのタイトルの通り、本作のテーマは「愛」であるが、〈Jazzy Sport〉ファミリーでもある Marter が歌う “Togetherness” は、新型コロナによって世界中が混乱しているいまのこのタイミングにこそ最も聞いて欲しい一曲であり、暖かいメロディの中に “人類愛” という普遍的なメッセージが強く響いてくる。Marter 以外の日本勢3名は全て女性シンガーなのだが、テーマの捉え方も含めて、三者三様の異なるアプローチが試みられている。すでに共演歴のある Mahya との “You Are Mine” や、シンガーソングライターの Akiko Togo (東郷晶子)が英語で歌う “Moon & Sun” などは、比較的ストレートなソウル/R&Bチューンとして隙のない仕上がりであるが、一方で Naoko Sakai との “密” はビートのパターンがかなり独特で異質を放っている。それと同時にビートに乗るピアノやシンセのレイヤーが実に美しく、Naoko Sakai の歌の絡みも実に濃密で、アルバム中盤の良い意味でのアクセントとしても機能している。そして、もう一つのヴォーカル曲である “Promise In Love” のリミックスであるが、あの印象的な黒田卓也のトランペットが控えめになっていることに驚きつつ、オリジナルの良さが上手く現代に引き継がれている。

 一方、ゲスト・ミュージシャンに関してだが、“Intimate affairs” にクレジットされている cro-magnon のキーボーディスト、Takumi Kaneko (金子巧)は、実はこれ以外の複数の曲に参加しているそうで、本作の温かみある生のグルーヴを引き出した張本人とも言えるだろう。そして、もう一人、“Slalom” にフィーチャされている Mark de Clive-Lowe は、おそらく『New Awakening』以来の共演となる。“Intimate affairs” と “Slalom” ともにビートが4つ打ちで根底にはジャズという共通項も感じられる上で、パーカッシヴな前者、ブギーなグルーヴ感の後者と、それぞれの個性が見事に出ているのも非常に面白い。さらにゲストのクレジットのない3つのインスト曲も秀逸で、特に後半にセットされている “It’s Time” は実に気持ちの良いラヴァーズロック・チューンになっており、Mitsu the Beats の引き出しの豊かさに改めて驚かされる。

 ちなみにすでに制作中という次のアルバムでは、打って変わって、ラップ・アルバムを予定しているという。すでに Frank-N-Dank をフィーチャした “Splash” という曲のデモ・ヴァージョンが Spotify にて配信されており、Mitsu the Beats のハードな一面が引き出された実にタイトな仕上がりで、間違いなく本作とは全く異なる作風になるだろう。こちらも期待大だ。

Playlists During This Crisis - ele-king

家聴き用のプレイリストです。いろんな方々にお願いしました。来た順番にアップしていきます。楽しんで下さい。

Ian F. Martin/イアン・F・マーティン

This is a multi-purpose playlist for people stuck at home during a crisis. The first 5 songs should be heard lying down, absorbed in the music’s pure, transcendent beauty. The last 5 songs should be heard dancing around your room in a really stupid way.

Brian Eno / By This River
Nick Drake / Road
Life Without Buildings / The Leanover
Young Marble Giants / Brand - New - Life
Broadcast / Poem Of Dead Song
Holger Czukay / Cool In The Pool
Yazoo / Bad Connection
Lio / Fallait Pas Commencer
Der Plan / Gummitwist
Electric Light Orchestra / Shine A Little Love

野田努

週末だ。ビールだ。癒しと皮肉と願い(冗談、怒り、恐怖も少々)を込めて選曲。少しでも楽しんでもらえたら。問題はこれから先の2〜3週間、たぶんいろんなことが起きると思う。できる限り落ち着いて、とにかく感染に気をつけて。お金がある人は音楽を買おう(たとえば bandcamp は収益をアーティストに還元している)。そして本を読んで賢くなろう。いまのお薦めはナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』。

Ultravox / Just For A Moment
フィッシュマンズ / Weather Report
Talking Heads / Air
Funkadelic / You Can’t Miss What You Can't Measure
New Age Steppers / Fade Away
RCサクセション / うわの空
Horace Andy / Rain From the Sky
Sun Ra / We Travel the Spaceways
Rhythim is Rhythim / Beyond the Dance
Kraftwerk / Tour De France

小林拓音

考えることはいっぱいあるけど、暗くなってしまいそうなのでちょっとだけ。被害は万人に平等には訪れない。割を食うのはいつだって……。問題の根幹は昔からなにも変わってないんだと思う。そこだけ把握しといて、あとは明るく過ごそうじゃないか。

Skip James / Hard Time Killing Floor Blues
The Beatles / Money
Public Enemy / Gotta Give the Peeps What They Need
Drexciya / Living on the Edge
Milanese vs Virus Syndicate / Dead Man Walking V.I.P.
Mark Pritchard / Circle of Fear
Erik Truffaz & Murcof / Chaos
Ata Ebtekar and the Iranian Orchestra for New Music / Broken Silence Cmpd
Psyche / Crackdown
Autechre / Flutter

河村祐介

怒るべきことにはちゃんと怒りましょう。僕らの生活と文化を守るために。そして、リラックスと快楽の自由も。

The Specials / Ghost Twon
Bob Marley / So Much Trouble In the World
Tommy McCook / Midnight Dub
Nightmares on Wax / Mores
7FO / Waver Vapour
石野卓球 / TRIP-O-MATIC
Nehoki / Morgentrack
Kodama And The Dubstation Band / かすかな きぼう
思い出野郎Aチーム / 灯りを分けあおう
Janelle Monáe / Smile

Neil Ollivierra/ニール・オリヴィエラ(The Detroit Escalator Co.)(LA在住)

Absorbing Songs for Armchair Traveling

Robin Guthrie, Harold Budd / How Close Your Soul
Thore Pfeiffer / Alles Wird Gut
Cortex / Troupeau bleu
Milton Nascimento / Tudo O Que Você Podia Ser
The Heliocentrics / A World of Masks
Kodo / Shake - Isuka Mata
Miles Davis / Indigo
Gordon Beck / Going Up
Funkadelic / Maggot Brain
Simply Red / I’m Gonna Lose You

Matthew Chozick/マシュー・チョジック

自己隔離生活にぴったりの癒し曲を集めてみました。コロナ野郎のせいで新しいレコード発表は激減、そんなときこそ古いアルバムを聴き直してみよう。家でパジャマパーティでも開きながら、僕のプレイリストをエンジョイしてくれたら嬉しいな。目に見えないもの同士、ウィルスとの戦いには心を癒す良薬で対抗だ!

Björk / Virus
The Knife / Afraid of You
The Velvet Underground / After Hours
John Lennon / Isolation
Harold Melvin & The Blue Notes / I Miss You
Grouper / Living Room
Beat Happening / Indian Summer
ゆらゆら帝国 / おはようまだやろう
Nico / Afraid
高橋幸宏 / コネクション

細田成嗣

つねにすでにオリジナルなものとしてある声は、しかしながら変幻自在のヴォーカリゼーションや声そのものの音響的革新、あるいは声をもとにしたエクストリームな表現の追求によって、より一層独自の性格を獲得する。見えない脅威に襲われる未曾有の事態に直面しているからこそ、わたしたちは「ひとつの声」を求めるのではなく、さまざまな声を聴き分け、受け入れる耳を養う必要に迫られているのではないだろうか。

Luciano Berio, Cathy Berberian / Sequenza III for voice
Demetrio Stratos / Investigazioni (Diplofonie e triplofonie)
David Moss / Ghosts
Meredith Monk, Katie Geissinger / Volcano Songs: Duets: Lost Wind
Sainkho Namchylak, Jarrod Cagwin / Dance of an Old Spirit
Fredy Studer, Ami Yoshida / Kaiten
Alice Hui Sheng Chang / There She Is, Standing And Walking On Her Own
Senyawa / Pada Siang Hari
Amirtha Kidambi, Elder Ones / Decolonize the Mind
Hiroshi Hasegawa, Kazehito Seki / Tamaki -環- part I

沢井陽子(NY在住)

非常事態が発生し、仕事もない、やることもない、家から出られないときには元気が出る曲を聴きたいけれど、いつもと変わらないヴァイヴをキープしたいものです。

Deerhunter / Nothing Ever Happened
Unknown Mortal Orchestra / Necessary Evil
Thin Lizzy / Showdown
Janko Nilovic / Roses and Revolvers
Courtney Barnett / Can’t Do Much
Big Thief / Masterpiece
Brittany Howard / Stay High
Kaytranada, Badbadnotgood / Weight Off
St Vincent / Cruel
Gal Costa / Lost in the Paradise

デンシノオト

少しでもアートという人の営みに触れることで希望を忘れないために、2018年から2020年までにリリースされた現代音楽、モダンなドローン、アンビエント、電子音響などをまとめた最新型のエクスペリメンタル・ミュージック・プレイリストにしてみました。

James Tenney, Alison Bjorkedal, Ellie Choate, Elizabeth Huston, Catherine Litaker, Amy Shulman, Ruriko Terada, Nicholas Deyoe / 64 Studies for 6 Harps: Study #1
Golem Mecanique / Face A
Werner Dafeldecker / Parallel Darks Part One
Yann Novak / Scalar Field (yellow, blue, yellow, 1.1)
3RENSA (Nyatora, Merzbow, Duenn) / Deep Mix
Beatriz Ferreyra / Echos
Anastassis Philippakopoulos, Melaine Dalibert / piano piece (2018a)
Jasmine Guffond / Degradation Loops #1
Dino Spiluttini / Drugs in Heaven
Ernest Hood / At The Store

Paolo Parisi/パオロ・パリージ(ローマ在住)

Bauhaus / Dark Entries
Sonic Youth / The End of the End of the Ugly
Mission of Burma / That’s How I Escaped My Certain Fate
Wipers / Return of the Rat
Pylon / Feast on my Heart
Gun Club / Sex Beat
The Jim Carroll Band / It’s Too Late
Television / Friction
Patti Smith / Kimberly
The Modern Lovers / Hospital

末次亘(C.E)

CS + Kreme / Saint
Kashif, Meli’sa Morgan / Love Changes (with Meli’sa Morgan)
Tenor Saw / Run From Progress
Phil Pratt All Stars / Evilest Thing Version
坂本龍一 / PARADISE LOST
Beatrice Dillon / Workaround Three
Joy Orbison, Mansur Brown / YI She’s Away
Burnt Friedman, Jaki Liebezeit / Mikrokasper
Aleksi Perälä / UK74R1721478
Steve Reich, Pat Metheny / Electric Counterpoint: II. Slow

木津毅

If I could see all my friends tonight (Live Recordings)

ライヴハウスがスケープゴートにされて、保障の確約もないまま「自粛」を求められるいま、オーディエンスの喜びに満ちたライヴが恋しいです。というわけで、ライヴ音源からセレクトしました。来日公演は軒並みキャンセルになりましたが、また、素晴らしい音楽が分かち合われるライヴに集まれることを願って。

Bon Iver / Woods - Live from Pitchfork Paris Presented by La Blogothèque, Nov 3 2018
James Blake / Wilhelm Scream - Live At Pitchfork, France / 2012
Sufjan Stevens / Fourth of July - Live
Iron & Wine / Sodom, South Georgia
Wilco / Jesus, Etc.
The National / Slow Show (Live in Brussels)
Jaga Jazzist / Oslo Skyline - Live
The Streets / Weak Become Heroes - One Live in Nottingham, 31-10-02
LCD Soundsystem / All My Friends - live at madison square garden
Bruce Springsteen / We Shall Overcome - Live at the Point Theatre, Dublin, Ireland - November 2006

髙橋勇人(ロンドン在住)

3月25日、Spotify は「COVID-19 MUSIC RELIEF」という、ストリーミング・サービスのユーザーに特定の音楽団体への募金を募るキャンペーンを始めている。

スポティファイ・テクノロジー社から直接ドネーションするわけじゃないんかーい、という感じもするのが正直なところだし、その募金が渡る団体が欧米のものにいまのとこは限定されているのも、日本側にはイマイチに映るだろう。現在、同社はアーティストがファンから直接ドネーションを募れるシステムなどを構築しているらしいので、大手ストリーミング・サービスの一挙手一投足に注目、というか、ちゃんとインディペンデントでも活動しているアーティストにも支援がいくように我々は監視しなければいけない。

最近、Bandcamp では、いくつかのレーベルが売り上げを直接アーティストに送ることを発表している。そういう動きもあるので、この企画の話をいただいたとき(24日)、スポティファイが具体的な動きを見せていないので、やっぱり Bandcamp ともリンクさせなければと思った。ここに載せたアーティストは、比較的インディペンデントな活動を行なっている者たちである。このプレイリストを入り口に、気に入ったものは実際にデータで買ってみたり、その活動をチェックしてみてほしい。

ちなみに、「こんなときに聴きたい」という点もちゃんと意識している。僕はロックダウンにあるロンドンの部屋でこれを書いている。これらの楽曲は人生に色彩があることを思い出させてくれる楽曲たちだ。さっきこれを聴きながら走ってきたけど(友達に誘われたらNOだが、最低限の運動のための外出はOKだと総理大臣閣下も言っていたしな)、最高に気持ちよかった。

object blue / FUCK THE STASIS
Prettybwoy / Second Highball
Dan-Ce / Heyvalva Heyvalva Hey
Yamaneko / Fall Control
Tasho Ishii / Satoshi Nakamoto
Dayzero / Saruin Stage
Chino Amobi / The Floating World Pt.1
Brother May / Can Do It
Elvin Brandhi / Reap Solace
Loraine James / Sensual

松村正人

MirageRadioMix

音楽がつくりだした別天地が現実の世界に浸食されるも、楽曲が抵抗するというようなヴィジョンです。Spotify 限定で10曲というのはたいへんでしたが、マジメに選びました。いいたいことはいっぱいありますがひとまず。

忌野清志郎 / ウィルス
Björk / Virus
Oneohtrix Point Never / Warning
憂歌団 / 胸が痛い
The Residents / The Ultimate Disaster
The Doors / People Are Strange
キリンジ / 善人の反省
坂本慎太郎 / 死にませんが?
Can / Future Days - Edit
相対性理論 / わたしは人類(Live)

三田格

こんなときは Alva Noto + Ryuichi Sakamoto 『Virus Series Collectors Box』(全36曲!)を聴くのがいいんじゃないでしょうか。ローレル・ヘイローのデビュー・アルバム『Quarantine(=伝染病予防のための隔離施設)』(12)とかね。つーか、普段からあんまり人に会わないし、外食もしないし、外から帰ったら洗顔やうがいをしないと気持ち悪い性格なので、とくに変わりないというか、なんというかコロナ素通りです。だから、いつも通り新曲を聴いているだけなので、最近、気に入ってるものから上位10曲を(A-Reece の “Selfish Exp 2” がめっちゃ気に入ってるんだけど Spotify にはないみたいなので→https://soundcloud.com/user-868526411/a-reece-selfish-exp-2-mp3-1)。

Girl Ray / Takes Time (feat. PSwuave)
Natz Efx Msaki / Urban Child (Enoo Nepa Remix)
DJ Tears PLK / West Africa
Afrourbanplugg / General Ra (feat. Prettyboy)
SassyBlack / I Can’t Wait (feat. Casey Benjamin)
Najwa / Más Arriba
Owami Umsindo / eMandulo
Cristian Vogel & Elektro Guzzi / Plenkei
Oval / Pushhh
D.Smoke / Season Pass

AbuQadim Haqq/アブカディム・ハック(デトロイト在住)

These are some of my favorite songs of all time! Reflections of life of an artist from Detroit.
Thanks for letting me share my favorite music with you! Stay safe and healthy in these troubling times!

Rhythim is Rhythim / Icon
Underground Resistance / Analog Assassin
Public Enemy / Night of the Living Baseheads
Orlando Voorn / Treshold
Drexciya / Hydrocubes
Oddisee / Strength & Weakness
Iron Maiden / Run To The Hills
The Martian / Skypainter
Gustav Holst / Mars: Bringer of War
Rick Wade / First Darkness

Sk8thing aka DJ Spitfi_(C.E)

10_Spotify's_for_Social _Distancies_!!!!List by Sk8thing aka DJ DJ Spitfi

Francis Seyrig / The Dansant
Brian Eno / Slow Water
The Sorrow / Darkness
Owen Pallett / The Great Elsewhere
DRAB MAJESTY / 39 By Design
Our Girl / In My Head
Subway / Thick Pigeon
Einstürzende Neubauten / Youme & Meyou
Fat White Family / I Believe In Something Better
New Order / ICB

矢野利裕

人と会えず、話もできず、みんなで食事をすることもできず……という日々はつらく寂しいものです。落ち着きのない僕はなにをしたらいいでしょうか。うんざりするような毎日を前向きに乗り越えていくために、少なくとも僕には音楽が大事かもしれません。現実からの逃避でもなく現実の反映でもない、次なる現実を呼び寄せるものとしての音楽。そのいちばん先鋭的な部分は、笑いのともなう新奇な音楽(ノヴェルティソング)によって担われてきました。志村けんのシャウトが次なる現実を呼び寄せる。元気でやってるのかい!?

ザ・ドリフターズ / ドリフのバイのバイのバイ
雪村いずみ / チャチャチャはいかが
ザ・クールス / ラストダンスはCha・Chaで
セニョール・ココナッツ・アンド・ヒズ・オーケストラ / YELLOW MAGIC (Tong-Poo)
Negicco / カリプソ娘に花束を
スチャダラパー / レッツロックオン
4×4=16 / TOKISOBA Breakbeats
イルリメ / 元気でやってるのかい?
マキタスポーツ / Oh, ジーザス
水中、それは苦しい / マジで恋する五億年前

Sinta(Double Clapperz)

大変な時ですが、少しでも肩の力抜けたらいいなと思い選曲しました。

徳利 / きらめく
gummyboy / HONE [Mony Horse remix]
Burna Boy / Odogwu
Stormzy / Own It [Toddla T Remix feat. Burna Boy & Stylo G]
J Hus / Repeat (feat. Koffee)
LV / Walk It / Face of God
Free Nationals, Chronixx / Eternal Light
Pa Salieu / Frontline
Frenetik / La matrice
Fory Five / PE$O

Midori Aoyama

タイトルに色々かけようと思ったんですがなんかしっくりこなかったので、下記10曲選びました。よく僕のDJを聴いてくれている人はわかるかも? Party の最後でよくかける「蛍の光」的なセレクション。1曲目以外は特にメッセージはないです。単純にいい曲だと思うので、テレワークのお供に。
ちなみに最近仕事しながら聴いているのは、吉直堂の「雨の音」。宇宙飛行士は閉鎖されたスペースシャトルの中で自然の音を聴くらしい。地球に住めないのであればやっぱり宇宙に行くしかないのだろうか。

Marvin Gaye / What’s Going On
The Elder Statesman / Montreux Sunrise
12 Senses / Movement
Culross Close / Requiem + Reflections
Children Of Zeus / Hard Work
Neue Grafik Ensemble feat. Allysha Joy / Hotel Laplace
Aldorande / Sous La Lune
Michael Wycoff / Looking Up To You
Stevie Wonder / Ribbon In The Sky
Djavan / Samurai

高島鈴

コロナ禍のもとで生じている問題はひとつではないから、「こういう音楽を聞くといい」と一律に提言するのはすごく難しい。危機を真面目に受け止めながらどうにか生存をやっていくこと、危機を拡大させている政治家の振る舞いにきちんと怒ること、今私が意識できるのはこれぐらいである。みなさん、どうぞご無事で。

Kamui / Aida
Moment Joon / TENO HIRA
Garoad / Every Day Is Night
Awich / 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS
Jvcki Wai / Anarchy
田島ハルコ / holy♡computer
Rinbjö / 戒厳令 feat. 菊地一谷
田我流 / Broiler
ASIAN KUNG-FU GENERATION / 夜を越えて
NORIKIYO / 神様ダイヤル

Mars89

一曲目はゾンビ映画サンプリングの僕の曲で “Run to Mall” って曲だけど、今は Don’t Run to Mall です。
それ以外は僕がお気に入りでずっと聞いてる曲たちです。部屋で悶々と行き場のない感情を抱えながら精神世界と自室の間を綱渡りで行き来するような感じの曲を選んでみました。

Mars89 / Run to Mall
Tim Hecker / Step away from Konoyo
Burial / Nightmarket
Raime / Passed over Trail
KWC 92 / Night Drive
Phew / Antenna
The Space Lady / Domae, Libra Nos / Showdown
Tropic of Cancer / Be Brave
Throbbing Gristle / Spirits Flying
Paysage D’Hiver / Welt Australia Eis

大前至

桜が満開な中、大雪が降りしきる、何とも不思議な天気の日曜日に、改めて自分が好きな音楽というものに向き合いながら選曲。今自分がいる東京もギリギリの状態ですが、昔住んでいたLAはすでにかなり深刻な状態で、そんな現状を憂いながら、LA関連のアーティスト限定でリラックス&少しでも気分が上がるような曲でプレイリストを組んでみました。

Illa J / Timeless
Sa-Ra Creative Partners / Rosebuds
NxWorries / Get Bigger / Do U Luv
Blu & Exile / Simply Amazin’ (steel blazin’)
Oh No / I Can’t Help Myself (feat. Stacy Epps)
Visionaries / If You Can’t Say Love
Dudley Perkins / Flowers
Jurassic 5 / Hey
Quasimoto / Jazz Cats Pt. 1
Dâm-Funk / 4 My Homies (feat. Steve Arrington)

天野龍太郎

「ウイルスは生物でもなく、非生物とも言い切れない。両方の性質を持っている特殊なものだ。人間はウイルスに対して、とても弱い。あと、『悪性新生物』とも呼ばれる癌は、生物に寄生して、防ぎようがない方法で増殖や転移をしていく。今は人間がこの地球の支配者かもしれないけれど、数百年後の未来では、ウイルスと癌細胞が支配しているかもね」。
氷が解けていく音が聞こえていた2019年。まったく異なる危機が一瞬でこの世界を覆った2020年。危機によってあきらかになるのは、システム、社会、政治における綻びや破綻、そこにぽっかりと大きく口を開いた穴だ。為政者の間抜けさも、本当によくわかる。危機はテストケースであり、愚かさとあやまちへの劇的な特効薬でもありうる。
ソーシャル・ディスタンシング・レイヴ。クラブ・クウォランティン。逃避的な音楽と共に、ステイ・ホーム、ステイ・セイフ・アンド・ステイ・ウォーク。

Kelly Lee Owens / Melt!
Beatrice Dillon / Clouds Strum
Four Tet / Baby
Caribou / Never Come Back
Octo Octa / Can You See Me?
tofubeats / SOMEBODY TORE MY P
Against All Logic / Deeeeeeefers
JPEGMAFIA / COVERED IN MONEY!
MIYACHI / MASK ON
Mura Masa & Clairo / I Don’t Think I Can Do This Again

James Hadfield/ジェイムズ・ハッドフィールド

Splendid Isolation

皆どんどん独りぼっちになりつつある事態で、ただ独りで創作された曲、孤立して生まれた曲を選曲してみました。

Alvin Lucier / I Am Sitting in a Room
Phew / Just a Familiar Face
Massimo Toniutti / Canti a forbice
Ruedi Häusermann / Vier Brüder Auf Der Bank
Wacław Zimpel / Lines
Kevin Drumm / Shut In - Part One
Mark Hollis / Inside Looking Out
Magical Power Mako / Look Up The Sky
Arthur Russell / Answers Me
Mike Oldfield / Hergest Ridge Part Two

小川充

都市封鎖や医療崩壊へと繋がりかねない今の危機的な状況下で、果たして音楽がどれほどの力を持つのか。正常な生活や仕事はもちろん、命や健康が損なわれる人もいる中で、今までのように音楽を聴いたり楽しむ余裕があるのか、などいろいろ考えます。かつての3・11のときもそうでしたが、まず音楽ができることを過信することなくストレートに考え、微力ながらも明日を生きる希望を繋ぐことに貢献できればと思い選曲しました。

McCoy Tyner / For Tomorrow
Pharoah Sanders / Love Is Everywhere
The Diddys feat. Paige Douglas / Intergalactic Love Song
The Isley Brothers / Work To Do
Kamasi Washington / Testify
Philip Bailey feat. Bilal / We’re Winner
Brief Encounter / Human
Boz Scaggs / Love Me Tomorrow
Al Green / Let’s Stay Together
Robert Wyatt / At Last I Am Free

野田努(2回目)

飲食店を営む家と歓楽街で生まれ育った人間として、いまの状況はいたたまれない。働いている人たちの胸中を察するには余りある。自分がただひとりの庶民でしかない、とあらためて思う。なんも特別な人間でもない、ただひとりの庶民でいたい。居酒屋が大好きだし、行きつけの飲食店に行って、がんばろうぜと意味も根拠もなく言ってあげたい。ここ数日は、『ポバティー・サファリ』に書かれていたことを思い返しています。

Blondie / Dreaming
タイマーズ / 偽善者
Sleaford Mods / Air Conditioning
The Specials / Do Nothing
The Clash / Should I Stay or Should I Go
Penetration / Life’s A Gamble
Joy Division / Transmission
Television / Elevation
Patti Simth / Free Money
Sham 69 / If the Kids Are United

Jazzと喫茶 はやし(下北沢)

コロナが生んだ問題が山積して心が病みそうになる。が、時間はある。
音楽と知恵と工夫で心を豊かに、この難局を乗り切りましょう!(4/6)

Ray Brayant / Gotta Travel On
Gil Scott Heron / Winter In America
Robert Hood / Minus
Choice / Acid Eiffel
Armando / Land Of Confusion
Jay Dee / Fuck The Police
Liquid Liquid / Rubbermiro
Count Ossie & The Mystic Revelation Of Rastafari / So Long
Bengt Berger, Don Cherry / Funerral Dance
民謡クルセイダーズ / 炭坑節

中村義響

No winter lasts forever; no spring skips it’s turn.

Ducktails / Olympic Air
Johnny Martian / Punchbowl
Later Nader / Mellow Mario
April March / Garden Of April
Vampire Weekend / Spring Snow
Brigt / Tenderly
W.A.L.A / Sacrum Test (feat. Salami Rose Joe Louis)
Standing On The Corner / Vomets
Babybird / Lemonade Baby
Blossom Dearie / They Say It’s Spring

野田努(3回目)

Jリーグのない週末になれつつある。夕暮れどきの、窓の外を眺めながら悦にいる感覚のシューゲイズ半分のプレイリスト。

Mazzy Star / Blue Light
The Jesus & Mary Chain / These Days
Animal Collective / The Softest Voice
Tiny Vipers / Eyes Like Ours
Beach House / Walk In The Park
Hope Sandoval & The Warm Inventions / On The Low
Devendra Banhart / Now That I Know
Scritti Politti / Skank Bloc Bologna
Yves Tumor / Limerence
Lou Reed / Coney Island Baby

ALEX FROM TOKYO(Tokyo Black Star, world famous)

この不安定な時代に、ラジオ番組のように Spotify で楽しめる、「今を生きる」気持ち良い、元気付けられる&考えさてくれるポジティヴでメッセージも響いてくる温かいオールジャンル選曲プレイリストになります。自分たちを見つめ直す時期です。海外から見た日本の状況がやはりとても心配になります。みなさんの健康と安全を願ってます。そしてこれからも一緒に好きな音楽と良い音を楽しみ続けましょう。Rest In Peace Manu Dibango & Bill Withers!(4/7)

Susumu Yokota / Saku
Manu Dibango / Tek Time
Final Frontier / The warning
Itadi / Watch your life
Rhythim Is Rhythim / Strings of Life
Howlin’ Wolf / Smokestack Lightin’
Massive Attack / Protection
Depeche Mode / Enjoy the Silence
Tokyo Black Star / Blade Dancer
Bill Withers / Lean on me (Live from Carnegie Hall)

Kevin Martin(The Bug)

(4/9)

The Necks / Sex
Rhythm & Sound / Roll Off
Miles Davis / In A Silent Way / It’s About That Time
William Basinski / DLP3
Thomas Koner / Daikan
Talk Talk / Myrrhman
Nick Cave + Bad Seeds / Avalanche
Jacob Miller / Ghetto on fire
Marvin Gaye / Inner City Blues
Erykah Badu / The Healer


増村和彦

最近は、「音楽やサウンドに呼吸をさせて、ゆがみや欠陥の余地を残して流していくんだ」というローレル・ヘイローの言葉が妙に響いて、その意味を考えるともなく考えながら音楽を聴いている。いまは、できるだけ雑食で、できるだけ聴いたことがなくて、直感で信頼できる音楽を欲しているのかもしれない。人に会わないことに慣れているはずのぼくのような人間でも、あんまり会わないと卑屈になってくるので、冷静にしてくれる音楽を聴きたくなります。(5/15)

Laurel Halo / Raw Silk Uncut Wood
Alex Albrecht pres.Melquiades / Lanterns Pt1 & Pt2
Minwhee Lee / Borrowed Tongue
Moritz von Oswald & Ordo Sakhna / Draught
Grouper / Cleaning
Moons / Dreaming Fully Awake
"Blue" Gene Tyranny / Next Time Might Be Your Time
Sun Ra / Nuclear War
Tony Allen With Africa 70’ / Jealousy
Tom Zé / Hein?

実際に、今ほど魅力的で「プログレッシブ」な瞬間もないでしょう。
なぜなら、問題は「どうやって支払うのか」ではないと示されたからです。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員

 「財政の絶大な力」を、今こそ発揮させるべきだ。

 この国はずっと死にかけていたのに、コロナ恐慌を機に覚醒したかのように、「政府はもっと金を出せ」と言う人たちが突如として増えた。新聞やテレビの報道でも「現金給付」や「消費減税」を求める視聴者や識者、コメンテーターの声が伝えられ、彼らが「ポピュリズム」だと揶揄して憚らなかった積極財政を後押しし、財政の門番ケルベロスのように座して動かなかったプライマリーバランス(基礎的財政収支)を覆そうとしているようだ。NHKでさえ「新たな借金に頼らざるを得ない状況と言えそうだ」として、緊縮財政の宣伝機関としての看板を下ろそうとしている。

 しかし、彼ら緊縮財政派の脳内にあった「財政破綻の危機」は一体どこに行ったのだろうか。コロナショックが訪れる前は--たとえ消費増税不況の最中にあっても--あんなに「国民一人当たりの借金は900万円」だと財政危機を煽っていたのに、たいした変わりようである。

 彼らの論理に則れば、政府が今般の不況対策として考える数十兆円規模の赤字国債を発行し、財政出動してしまったら、財政が破綻してしまうのだろうから、たとえ親の会社が倒産し進学を諦める子どもが増えようが、借金が膨らみ自己破産する人が増えようが、所得を失い首をくくる人が増えようが、何を置いても、赤字国債の発行と財政出動を阻止しなければいけないはずだ。でなければ、将来世代にツケを残すことになるからだ。

 ところが彼らはそうしてはいない。いったい、どういうことだろうか?

 これは、例え国債を発行して何十兆円も財政出動したとしても、彼らが従前からプロパガンダしていた「財政破綻」や「ハイパーインフレ」、「円の信認の毀損」などということは、絶対に起こらないことを、彼ら自身が認めてしまったかっこうになるだろう。

 多くの人が、政府の予算は集められた税金の中から支出していると勘違いしているが、実際の政府会計はそうなってはいない。今回のコロナ恐慌で明らかになったように、政府は税金という財源などなくても、自由に支出している(もちろん国債も税金で償還されてはいない)のだ。

 日本での経済対策費は15兆程度と予測されている--これは後程批判するとして--が、アメリカでは220兆円という前代未聞の巨額の経済対策を予定しているという。

 それもそのはずだ。アメリカのセントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は、コロナ対策のための閉鎖行動により、米国の失業率が4~6月期に30%に達する可能性があり、GDPは50%低下するとの予測を3月22に発しているが、それほどのショックをもたらす未曾有の大恐慌がやってこようとしているためだ。

 この昨今の世論の変わりようについて、AOC(オカシオ=コルテス議員)とサンダース大統領候補の経済顧問・ケルトン教授の、3月24日のTwitterでのやりとりから要旨を少し抜き出そう。

事実として、今ほど魅力的で『プログレッシブ』な瞬間もないでしょう。
なぜなら問題は『どうやって支払うのか』ということではなかったと示されたからです。
政府に支払う能力があるかとか、兵站がうまく機能しなければならないという問題も、最初からなかったのです。
我々が今まで他人を人道的に扱ってこれなかったこれらの言い訳が、なぜ、突然煙の中に消え去ってしまったのでしょうか。 オカシオ=コルテス議員

経済への打撃を和らげるために、誰も2兆ドルの支出パッケージを税金で払おうなどと考えないでしょう。
もし税金で払おうとするのなら、それは狂気です。

政府は税金を原資とせず、インフレにならない限りは連邦支出を拡大できるのです。

議会は、財政支出法案を通したあと、FRBに特定の銀行口座に金額を書き込むように指示するだけです。
しかし、政府はその事実を認めませんでした。代わりに、すべてを「税金で支払う必要がある」と偽ったのです。ステファニー・ケルトン教授

 この二人は3/20のThe Interceptのラジオ番組でも対談し、コロナ恐慌に対する具体策も語っているので、ここからも要旨を抜粋する。AOCの言う魅力的で『プログレッシブ』な瞬間とは、どういうことだろうか。

インシュリンが買えず、苦しみ死にそうな人がいるのは今も、そして以前も同じです。
今、医療保険の欠如を緊急事態と考える人たちには、なぜ1ヶ月前、半年前、そして1年前に緊急事態ではなかったと考えたのかと問いたいです。
アメリカは死にかけていたのです。対処療法ではなく恒久的措置が必要です
問題の多くが相互密接であるため優先順位を付けるのは難しいですが、債務モラトリアムやUBI(ユニバーサル・ベーシックインカム)も講じる必要があります。そして今は出血を止めることが先決ですので、全ての働く人々への小切手給付も併せて必要です。
オカシオ=コルテス議員

今提案されている1兆ドルで不十分なら、さらに用意する必要もあります。
対策には二つの重要なことがあり、まず家計の現金流入を増やすこと、そして現金流出を止めることです。
企業の従業員に対する支払いのサポートや直接の現金給付も大事ですし、家賃や住宅ローン、納税や社保料、学生ローンの支払いのモラトリアムも重要です。
光熱費、住宅ローン、家賃、健康保険料をどれだけ猶予できるかによりますが、1兆ドルの対策では小さすぎるかもしれません。
3700万の雇用が来週には失われようとしている、カタストロフィーが雪崩になって押し寄せるのですから、できることは全てやるべきです。
ステファニー・ケルトン教授
出典:How to Save the U.S. Economy, With Alexandria Ocasio-Cortez and Stephanie Kelton

 また、上記のやりとりは筆者のブログでもまとめているので、興味あれば参照願いたい。

 AOCやケルトン教授は、政府や人々が、全ての人々の人権を再認識し、その権利としての医療や教育、社会保障制度を整備していくべきだと訴え、それこそが「プログレッシブな瞬間」だと捉えているようだ。

 日本に関しても、緊縮財政や消費増税でデフレ化した経済、そして自由貿易や規制緩和などのネオリベ政策によって、社会的資本はないがしろにされ、庶民の富を搾取し、富裕層がより富を貯めこむような、危機に脆弱な社会構造が作られてきた。公務員数は半数に削減されたばかりか非正規公務員は激増した。医療や社会保障費は削減され、感染症対策の要となる国立感染症研究所や地方衛生研、保健所の数や予算、そして大学の科学研究費や病院のベッド数までもが削られてきた。その結果、この20余年で国民の所得の中央値は120万円も減少し、貯蓄ゼロ世帯は全体の4割にも届こうとしている。独身女性の3人に1人が、子供の7人に1人が、そして高齢者の4人に1人が貧困となる格差社会が形成された。

 我が国はありとあらゆるものを「無駄」と判断し削減してきたが、国の「店じまい」でもするつもりだろうか。何かを無くすということは、そこで生まれる需要やGDPが消えてなくなるということだ。物事に過剰なまでの優劣をつけた結果、弱者が搾取され、格差が拡大したことは火を見るより明らかではないか。

 この国に生きる人々は、国を豊かにするための最も重要なリソースだ。それは優れた能力を持たない人間や、障碍を持つ人たちであっても同じだ。彼らには消費し、総需要を高めるという他に代えがたい能力がある。無駄なものなどない。それが今、その弱い立場の人たちを中心に悲惨な状況に追い込まれているのだ。

 未曽有の危機を前にした今になって、ようやく現金給付や消費減税すべきだといった積極財政を求める声が上がっているが、MMTerやポストケインジアンが言うように、最初から、国家の予算には上限などはなかった。

 ケネディ大統領とノーベル経済学賞を受賞したトービン教授も、1960年代からその事実を理解していた。「財政赤字も政府債務も、本来はインフレにならない限りはどんな規模でもいい。それ以外はタワゴト」なのだ。


出典:山本太郎街頭記者会見より

 危機の今だからこそ、誤り続けてき認識を変え、社会構造を転換しなければならないだろう。

 ケルトン教授と同じくMMTの創設者であるビル・ミッチェル教授(ニューカッスル大)は以下のように発する。

日本政府は、財政均衡論を振りかざすテロリストのような人たちの餌食になってしまった。テロリストたちは執拗に、(赤字国債を発行すると)財政破綻する、債券市場から見放されると主張して、それを国民に浸透させようと嫌がらせを続けてきた。
ビル・ミッチェル教授

 ミッチェル教授の言うテロリスト達によって、我が国は世界から「Japanification=日本型デフレによる経済停滞」と反面教師にされる存在にまで成り下がった。ハーバード大学元学長で米国の財務長官も務めたサマーズ氏の発言も以下に引用しよう。

パンデミックにより米国の経済は「Japanification」に直面した。
米経済には財政出動を半年も待つ余裕はない。
一段と積極的な財政政策が必要だ。
ローレンス・サマーズ元財務長官

 世界は今、コロナショックに端を発した大不況を経験しているが、Japanificationの重篤患者である日本では、昨年から、10~12月期のGDPがマイナス7.1%にも落ち込むという消費増税不況が始まっていた。そして今、コロナウィルスの感染爆発が待ち受ける。加えて、東京五輪が延期されることが決まり、その経済的余波も訪れるだろう。諸外国の何倍もの大きさの大恐慌が予測されることを忘れてはならない。

 しかし日本政府がその緊縮の呪縛を解き、苦しむ人々のために、そして国民経済のため対策を立てているとはとても思えない状況だ。

 3月25日現在、日本政府が予定する経済対策は総額で約15兆円と予想され、検討されてきた給付金政策には年収の条件等をつけ、現金ではなく商品券を配るという案に落ち着こうとしている。また消費減税は見送られ、休業補償の申請条件にも厳しいハードルが設けられる。

 こういった状況に対し、自民党の安藤裕議員を中心とするグループ、また国民民主党れいわ新選組の山本太郎氏共産党、そして立憲民主党の福田昭夫・落合貴之議員を中心とするグループは、政府に対し消費減税と積極財政を求めた。緊縮派と揶揄されてきた立憲の逢坂誠二議員でさえ、50兆円規模の対策の必要性に言及している。

 与党の非主流派と野党の非主流派が次々に声を上げる状況となっているが、この動きを絶対に政府を動かす国民運動とするべきである。今回のコロナ恐慌を機に、経済と社会のあり方を変革し、Progress(前進)させなければならないことを我々は学んだ。3月24日のツイッターでは、「#現金よこせ」というタグがトレンド入りしていたが、国民の声は明解なのだ。「財政の力」が絶大であることを、今こそ知らしめるべきだ。

今、何が起こっているかを見て、そして学んでください。
この危機を乗り越えたとき、私たちは、通貨発行政府の支出能力について、理解を向上させ、新しい境地を見るでしょう。
そのことがもっと必要になるのです。
ステファニー・ケルトン教授

最後に、我が政府に対して、私達市民が財政主権を有することを伝えるための署名ページを二つご紹介したい。

1)「消費税・新型コロナショックへの緊急財政出動を求めます」2020年3月22日薔薇マークキャンペーン提言
https://rosemark.jp/2020/03/22/rose_shock-1/

2)日本ベーシックインカム学会による「国債を財源に全ての国民に20万円ずつ給付する緊急提言」
https://onl.tw/bu3HybH

drøne - ele-king

 ドローン(drøne)は、マイク・ハーディング(Mike Harding)とマーク・ヴァン・ホーエン(Mark Van Hoen)によるエクスペリメンタル・サウンド・アート・ユニットである。今年頭、彼らの4作目のアルバム『The Stilling』がリリースされた。この特異な作品にについて語る前に、まず、ふたりのメンバーについての簡単な紹介からはじめたい。とてもスペシャルなユニットなのだ。

 マイク・ハーディングは英国のエクスペリメンタル・ミュージックの老舗〈touch〉の創設者である。彼はレーベル運営の傍、自身の音源をいくつかをリリースしている。1998年に、彼はフェネス、ハーディング、レーバーグ(Fennesz Harding Rehberg)『Dĩ-n』を〈Ash International〉からリリースした。20分ほどの音響作品だ。ちなみに〈Ash International〉は、マイク・ハーディングと音響作家のスキャナーことロビン・リンボー(Robin Rimbaud)が1993年に設立したレーベルである。
 2011年、〈touch〉から7インチ・レコードでマイク・ハーディング「Repaired/Replaced」をリリースした。ジョン・ヴォゼンクロフトによる美麗なアートワークによるこの作品は、短いながらも秀逸な環境録音作品である。さらに〈touch〉から2001年に発表されたコンピレーションアルバム『Ringtones』に MSCHarding 名義の楽曲を収録し、〈Cabinet〉から2001年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Cabinet #3: Squall』に MSC Harding 名義で楽曲を提供している。

 マーク・ヴァン・ホーエン(Mark Van Hoen)は、ポストロック・バンド~エレクロトロニック・ミュージックの草分け的存在シーフィールの初期メンバーで、ロカスト(Locust)やソロ名義でも活動するアーティストである。
 マーク・ヴァン・ホーエン名義では1995年に同じく元シーフィールのメンバーである ダレン・シーモア(Daren Seymour)と『Aurobindo: Involution』を〈Ash International〉から送り出した。2年後の1997年には〈touch〉から2枚組『The Last Flowers From The Darkness』をリリースする。翌1998年は〈R&S Records〉傘下のアンビエント・レーベル 〈Apollo〉から『Playing With Time』を発表し、2004年には英国〈Cargo Records〉傘下の〈Very Friendly〉から『The Warmth Inside You』を発表した。2010年代以降は「Boomkat」のオーナーでもある Shlom Sviri と〈Morr Music〉からリリースしたアルバムでも知られる Herrmann&Kleineの Thaddeus Herrmann が運営する〈City Centre Offices〉から『Where Is The Truth』をリリースした。2012年には〈Editions Mego〉から『The Revenant Diary』、2018年には〈touch〉から『Invisible Threads』を発表する。
 ロカスト名義でも、94年に〈Apollo〉から『Weathered Well』を発表して以降も活動を継続している。00年代以降も2001年に〈touch〉から『Wrong』、2013年に〈Editions Mego〉から『You’ll Be Safe Forever』、2014年に同レーベルから『After The Rain』を送り出す。2019年にはアンビエント作家の Min-Y-Llan = Martin Boulton 主宰〈Touched - Music For Macmillan Cancer Support〉から『The Plaintive』をデータ配信で発表した。

 そんな経験豊富なふたりによるドローンは、2016年に、カール・マイケル・フォン・オスウルフ(Carl Michael Von Hausswolff)の娘であり、アーティストとしても知られるアンナ・フォン・オスウルフ(Anna von Hausswolff)主宰のレーベル〈Pomperipossa Records〉から最初のアルバム『Reversing Into The Future』をリリースした。翌2017年には同レーベルから『A Perfect Blind』と自主リリースでCD作品『Mappa Mundi』を発表する。そして2020年、約3年の歳月を経て、〈Pomperipossa Records〉から新作『The Stilling』がリリースされたわけである。

 本作『The Stilling』もこれまでの作品同様に夢のような幻想的なサウンドスケープを形成しているが、より成熟した技法によって実験的な短編映画のようなサウンドへと変貌を遂げた。世界各国(なんと日本も)で録音された環境音が溶けるような1め “Mumming” から引き込まれる。環境録音とそのむこうに鳴るドローンの交錯は刺激的であり麗しくもある。そのサウンド空間は、けっして穏やかなだけではなく、ある種の不穏さや性急さがレイヤーされている点にも注目したい。続く2曲め “Influence Machines” も上空から世界の雑音を高速スキャンするような音響を展開する。音響と音楽の境界線を溶かすような3曲め “Vitula” は、アルバム中でも特に重要な曲だ。ヴァイオリンを、2019年に〈touch〉からアルバムをリリースしたばかりのザッカリー・ポール(Zachary Paul)が、チェロを前作『A Perfect Blind』や〈touch〉より発売されたサイモン・スコット(Simon Scott)の『Soundings』にも参加していたチャーリー・カンパーニャ(Charlie Campagna)が演奏している。人の息吹を折り重ねた4曲め “Sunder” では人のよりパーソナルな領域へと音響が接近する。そしてラスト3曲 “In The Eye”、“The Stilling”、“Hyper Sun (Including Every Day Comes And Goes)” では、環境音とドローンが高密度に交錯・融解し、まるで聴き手の耳と記憶に急速に浸透するようなサウンドスケープを展開する。次第に壮大な音響が生成されていくさまは、まさに圧巻というほかない。そのほかゲストとして Smegma の Nour Mobarak や Bana Haffar らも参加している。

 以上、全7曲、どのトラックも成層圏から地上、そしてヒトへと高速ズームアップするようなサウンドであった。そのうえまるで記憶が溶けていくような不思議なノスタルジアを放っている。彼らの最高傑作であるばかりでなく、近年のエクスペリメンタル/ドローン作品の中でも出色の出来といえよう。

『Zero - Bristol × Tokyo』 - ele-king

 先月12日に急逝した下北沢のレコード店オーナー、飯島直樹さんを追悼するコンピレーション『Zero - Bristol × Tokyo』が3月11日にリリースされる。作品はバンドキャンプを経由してリリースされ、現時点では数曲が先行公開中だ。
https://bs0music.bandcamp.com/album/bristol-x-tokyo
 飯島さんが親交を持っていた、ブリストルの伝説的アーティスト、スミス&マイティのロブ・スミスと、生前、彼もその中心メンバーだった東京のクルー、BS0が中心となって今作の制作は始動した。彼らの呼びかけに応え、ブリストルと東京のアーティストを中心に、総勢61曲もの楽曲がこのコンピレーションのために寄付された。今作の売り上げは、彼のご遺族へと送られる。

 このプロジェクトが開始したのは、飯島さんが亡くなる直前のことだ。フェイスブック内に立ち上げられたページ「Raising Funds For Naoki DSZ」には、今作の発表と同時に公開されたブリストルのアーティストの集合写真の撮影風景を収めた動画が投稿されている。ロブ・スミスをはじめ、レイ・マーティやDJダイ、ピンチやカーンなど、ブリストルの音楽シーンを担う重要人物たちが、飯島さんのために集結した。そのブリストル勢に答えるように撮影された東京チームの写真も、飯島直樹/Disc Shop Zeroへの敬意に溢れた力強い一枚である。
 ブリストル側の制作チームによって執筆されたプレス・リリースにあるように、飯島さんは、その生涯を通じてブリストルのアーティストたちとの交流し、その紹介を「何かに取り憑かれたように」行ってきた。その活動は現地のアーティストやレーベルとの交友の上に成り立っている。そして、最近ではブリストルの名レコード店/レーベルの、アイドルハンズが「Tribute to Disc Shop Zero」(2017)というトリビュート盤を出しているように、その関係は東京からの一方向に留まるものではなかった。
 また、飯島さんはブリストルと東京のアーティストを積極的に繋げる役割も果たしてきた。シンガー/プロデューサーのG.リナとロブ・スミス、MC/詩人のライダー・シャフィークと日本のビムワン・プロダクションなど、彼を経由して生まれたコラボレーションは多い。東京の若手プロデューサーのMars89やダブル・クラッパーズのブリストルのアーティストやレーベルとの交流も積極的に取り上げていた。

 『Zero - Bristol × Tokyo』には、飯島さんがライフワークとして取り組んできた彼らとの交友関係が凝縮されている。そこに収められた音源も非常に強力だ。スミス&マイティやヘンリー&ルイスといった、ブリストル・サウンドのハートと呼ぶべき重鎮たちからは、重厚なダブ・サウンドが放たれ、そこにブーフィーやハイファイブ・ゴーストなどの若いグライム・サウンドが重なり、ゼロの店頭の風景が脳裏をよぎる。

 亡くなるまでの5年間に、飯島さんが取り組んでいたBS0のパーティに登場したカーン&ニーク、ダブカズム、アイシャン・サウンド、ヘッドハンター、ガッターファンク、サム・ビンガ、ライダー・シャフィークといった豪華なアーティストたちの新作音源が今作には並んでいる。グライム、ステッパーズ、ガラージ、ドラムンベースなど、彼らの音にはゼロが紹介してきた音が詰まっていて、そのどれもがサウンドシステムでの最高の鳴りを期待させる仕上がりだ。他には〈Livity Sound〉のぺヴァラリストとホッジ、さらにはグライムのMCリコ・ダンを招いたピンチとRSDの豪華なコラボレーションも必見である。

 日本勢からも多くの力作が届いている。パート2スタイルやビムワン、イレヴンやアンディファインドなど、日本のダブ・サウンドを担う者たちが集結。さらにG.リナの姿もあり、カーネージやデイゼロ、シティ1といったダブステップの作り手たちや、グライムのダブル・クラッパーズも収録されている。ENAやMars89など、ベース・ミュージックを重点に置きつつも、その発展系を提示し続けるプロデューサーもそこに加わることによって、サウンドの豊饒さが一層深くなっている点にも注目したい。BS0のレギュラーDJである東京のダディ・ヴェダや、栃木のBライン・ディライトのリョーイチ・ウエノなど、飯島さんが現場から紹介してきた日本のローカルのDJたちからは、フロアの光景が目に浮かんでくるようだ。

 ここに収録されたすべての作り手たちと飯島さんは交流を結び、レコード店として、ライターとして、時にはパーティ・オーガナイザーとして我々の元にその音を届けてくれた。ゼロがいままで伝えてきたもの、そして、そこから巻き起こっていくであろう未来の音を想像しながら、今作に耳を傾けてみたい。生前、「ゼロに置いてある作品のすべてがオススメ」と豪語していた彼の言葉がそのまま当てはまるのが、『Zero -‘Bristol × Tokyo'』である。
(髙橋勇人)

Various Artists - Zero - ‘Bristol x Tokyo’
Artist : Various Artists
Title : Zero - ‘Bristol x Tokyo’
Release date : 11th March 2020 (band camp pre-order from 4th March 2020 - )
Genre - Dub, Dubstep, Drum n’ Bass / Jungle, Grime, Bass, Soundsystem Music
Label : BS0
Format : Digital Release via Bandcamp https://bs0music.bandcamp.com/

東京の名レコード店Disc Shop Zeroの店長であり、レベルミュージック・スペシャリストであり、そしてブリストル・ミュージックのナンバーワン・サポーターだったNaoki ‘DSZ’ E-Jima(飯島直樹)は、2020年2月12日、短くも辛い闘病ののち、多くの人々に惜しまれながらこの世を去った。その生涯と仕事を通して、Naokiはブリストルと東京の音楽シーンの重心として活躍し、同時に多大なる尊敬を集め、素晴らしい友情を育んできた。この新作コンピレーション『Zero - Bristol × Tokyo』の目的は、二つの都市が一丸となり、61曲にも及ぶ楽曲によって、この偉大な男に敬意を示すことである。リリースは、彼の誕生日である2020年3月11日を予定している。

Naokiのブリストル・ミュージックへの情熱は90年代にはじまる。当時、彼は妻のMiwakoとともに音楽ジャーナリストとしても活動していた。この約30年間、二人はブリストルを頻繁に訪れ、アーティストと交流し、レコード店を巡り、そして何かに取り憑かれたようにローカル・シーンを記録し続けた。二人はハネムーンでさえもブリストルで過ごしたほどだ。

Naokiのレコード店であるDisc Shop Zeroは、ブリストルで生まれた新旧両方のサウンドに特化していて、それと同時に、東京のアーティスト、並びに世界中の多くのインディペンデント・レーベルを支援していた。彼を経由した両都市のレーベルとアーティストたちの繋がりも重要
で、多くの力強い結束と友情がそこから生まれた。

近年では、音楽を愛する同志たちと共に、彼はあるムーヴメントを始動させている。「BS0」と銘打たれたそれは、想像上のブリストルの郵便番号を意味し、多くのブリストルのDJとアーティストたちに東京でのパフォーマンスの機会を与え、ツアーを企画し、二つの都市の間に架け橋を築き上げた。Kahn&Neekをフィーチャーした初回のイベント(BS0 1KN)は大成功を収め、後に定期的に開催される「東京のブリストル」のための土台となった。

本コンピレーションのために、世界中から親切にも寄付された楽曲が集まった。その多くが今作のために制作されたものだ。ブリストルと東京だけではなく、さらに遠く離れたグラスゴーのMungo’s HIFIやウィーンのDubApeたち、さらにその他の地域のアーティストたちも参加している。

トラックリスト:
1. Jimmy Galvin - 4A
2. Crewz - Mystique
3. Popsy Curious - Jah Hold Up the Rain
4. Chad Dubz - Switch
5. Henry & Louis ft Rapper Robert - Sweet Paradise (2 Kings Remix)
6. Ree-Vo - Steppas Taking Me
7. Smith & Mighty - Love Is The Key (steppas mix) ft Dan Rachet
8. LQ - Jupiter Skank
9. Part2Style - Aftershock
10. Arkwright - Shinjuku
11. Mungo's Hi Fi - Lightning Flash and Thunder Clap
12. Bim One Production - Block Stepper
13. Alpha Steppa - Roaring Lion [Dubplate]
14. Headhunter - Mirror Ball
15. V.I.V.E.K - Slumdog
16. Ryoichi Ueno - Burning DUB 04:27 17. Pev & Hodge - Something Else
18. Teffa - Roller Coaster
19. Lemzly Dale - So Right
20. CITY1 - Hisui Dub
21. Big Answer Sound - Cheater's Scenario ft Michel Padrón
22. Mighty Dub Generators - Lovin
23. Karnage - Drifting
24. Karnage - Agreas
25. LXC & JB - Men Hiki Men
26. Alpha - On the Hills Onward Journey
27. Boofy - Unknown Dub
28. Daddy Veda - Sun Mark Step
29. Antennasia - Beyond the Dust (album mix)
30. ELEVEN - Harvest Road
31. Atki2 - Mousa Sound
32. Boca 45 - Mr Big Sun (ft Stephanie McKay)
33. DubApe - Hope
34. Hi 5 Ghost - Disruptor Rounds
35. G.Rina (with King Kim) - Walk With You
36. ENA - Columns
37. Red-i meets Jah 93 - Jah Works
38. Peter D Rose - It's OK (Naoki Dub)
39. Flynnites - Freak On
40. Pinch x Riko Dan x RSD - Screamer Dub 04:02
41. BunZer0 - Vibrant
42. Dub From Atlantis - You Are What You Say
43. Suv Step - Jah Let It Dub
44. DoubleClapperz - Ponnamma
45. Denham Audio & Juma - Ego Check (Unkey remix)
46. Mars89 - I hope you feel better soon
47. Kahn & Neek - 16mm
48. Dayzero - Convert hands
49. Sledgehead - Rocket Man
50. Jukes ft Tammy Payne - Tunnel
51. Tenja - We Chant (New Mix)
52. RSD - Lapution City (Love Is Wise)
53. DJ Suv - Antidote
54. DieMantle - Shellaz
55. Ishan Sound - Barrel
56. Ratman - Sunshine
57. Tribe Steppaz - Slabba Gabba
58. Scumputer - PENX - Mary Whitehouse edit
59. Dubkasm - Babylon Ambush (Iration Steppas Dubplate Mix)
60. Undefined - Undefined-Signal (at Unit, Tokyo)
61. Dubkasm - Monte De Siao - Sam Binga / Rider Shafique DSZVIP

クレジット:
Cover Art by Joshua Hughes-Games
Original 'BS0' Kanji drawn by Yumiko Murai
Group photography by Khali Ackford (Bristol) & Yo Tsuda (Tokyo)
Special thanks to Ichi “1TA” Ohara Bim One & Rider Shafique for Tokyo/Bristol co- ordination

Big love & thanks to all BS0 crew & all Bristol crew
Big love & thanks to Annie McGann & Tom Ford
Special love & thanks to Miwako Iijima

全ての楽曲は、我々の旧友である飯島直樹(Disc Shop Zero, BS0)の ためにアーティストたちから無償で寄付され、売り上げは彼の遺族へと 直接送られます。

Eternal love & thanks to Naoki san - you remain ever in our hearts.
直樹さんに永遠の愛と感謝を。あなたは私たちのハートとずっと一緒です。

Ronin Arkestra - ele-king

 勢いが止まらない。去る2019年、ソロ浪人アーケストラにと精力的に活動を繰り広げ、果敢に今日のジャズを拡張し続けているマーク・ド・クライヴ=ロウが、後者、すなわち浪人アーケストラとして初めての公演をおこなう。4月15日、会場は渋谷 WWW。彼と彼のもとに集った日本の精鋭たちによるプレイ──これは必見です。

伝統的なジャズからクラブ・ソウルミュージックと多岐なシーンで長年活躍を続け、現在はLAのジャズ/ビート・シーンの中心にいるキーボード奏者/プロデューサー "MARK DE CLIVE-LOWE" の呼びかけで、ジャズを中心とした日本の精鋭プレイヤーが集結した "RONIN ARKESTRA" の初公演が開催決定!

伝統的なジャズからクラブ・ソウルミュージックと多岐なシーンで長年活躍を続け、現在はLAのジャズ/ビート・シーンの中心にいるキーボード奏者/プロデューサー "MARK DE CLIVE-LOWE"。

今年1月には自身が主催する、セッション・イベント「CHURCH」のライヴを収めた『CHURCH Sessions』をリリースするなど精力的に活動を続ける彼の呼びかけで、ジャズを中心した日本の精鋭プレイヤーが集結し、昨年9月にはデビューアルバム『Sonkei』をリリースした "RONIN ARKESTRA" の初公演が開催決定!
                      
日程:2020年4月15日(水)
会場:WWW
タイトル:「RONIN ARKESTRA LIVE IN TOKYO
時間:open 18:30 / start 19:30
料金:前売¥3,800 / 当日券¥4,300 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)

RONIN ARKESTRA
Member:
Mark de Clive-Lowe - keyboards, electronics
Kohei Ando - alto sax
Wataru Hamasaki - tenor sax
Hiroyuki Ishikawa - trumpet
Tsuyoshi Kosuga - guitar
Kenichi Ikeda - bass
Nobuaki Fujii - drums

チケット発売日:2月26日(水)10:00
e+ / チケットぴあ / ローソンチケット / iFLYER / WWW店頭
問合:WWW 03-5458-7685
公演詳細ページ:https://www-shibuya.jp/schedule/012392.php


                                
マーク・ド・クライヴ・ロウが『Heritage』に続いて、自身のルーツである「日本」にフォーカスしたプロジェクトが、浪人アーケストラです。
LAから東京へと場所を移し、日本人のプレイヤーたちと作り上げたアルバムは、日本のジャズの歴史に新しいページを刻む作品となりました。(原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : RONIN ARKESTRA (浪人アーケストラ)
タイトル : Sonkei (ソンケイ)
発売日 : 2019/9/25
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings (RINC56)
フォーマット : CD
JAZZ / SOUL / CLUB

DJ Marcelle & Kampire (Nyege Nyege) - ele-king

 これまで20回以上開催されてきた WWW のレジデント・パーティ《Local World》ですが、今年もやる気満々です。今回は、これまで都内のクラブで開催されてきた YELLOWUHURU 主宰の《FLATTOP》と Celter 主宰の《Eclipse》との共同パーティで、話題のウガンダのフェス/コレクティヴ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあるアムステルダムの DJ Marcelle を初来日で迎えます(Marcelle は大阪公演も)。これまたすごい一夜になりそうです。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -

新しい伝統と自由への狂騒。アフリカからダンス・ミュージックの未来を切り開くウガンダの新興フェスティバル/コレクティブ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあり、今最も “越境する” 奇矯のアーティストとして話題の DJ Marcelle を初来日で迎え、Local World、FLATTOP、Eclipse によるハイブリッド共同パーティ “Super Freedom” が開催。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -
2019/03/28 sat at WWW / WWWβ
OPEN / START 23:30
Early Bird @RA ¥1,800
ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000

【詳細】https://www-shibuya.jp/schedule/012322.php
【前売】https://www.residentadvisor.net/events/1386693

DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]
Kampire [Nyege Nyege / Uganda]
YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]
Celter [Eclipse]

+ many more

※ You must be 20 or over with Photo ID to enter

【DJ Marcelle 大阪公演】

AltPass feat. DJ MARCELLE
2020.3.27.fri. 22:00-7:00 at Club Daphnia
ADV ¥2,500 | DOOR ¥3,000

GUEST DJ:
DJ MARCELLE / ANOTHER NICE MESS
(JAHMONI) from Nederland

DJ:
Toshio Bing Kajiwara
7e
Gyoku
Gunilla
KA4U

LIVE:
USK

Visual Effect:
catchpulse

and more act.

FOOD: カカト飯店

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Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 - 外伝 -
Local X5 World Tzusing & Nkisi
Local X6 World Lotic - halloween nuts -
Local X7 World Discwoman
Local X8 World Rian Treanor VS TYO GQOM
Local X9 World Hyperdub 15th
Local XX World Neoplasia3 w/ Yves Tumor Local XX1 World AI2X2X w/ ???


■DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]

「異なるカルチャーに対してオープンでありながらも、そこのオーディエンスや自分の期待感に意識を向けすぎないこと。自分の道を進むためにね」@RA https://jp.residentadvisor.net/podcast-episode.aspx?id=679

アムステルダムを拠点にDJ、プロデューサー、ラジオ放送、ミュージシャンと多岐に渡って活動を続けるベテランDJ Marcelle / Another Nice Mess。

サプライズ、アドベンチャー、エンターテイメント、教育:オランダのDJ/プロデューサーの DJ Marcelle / Another Nice Mess を説明するためによく使用される4つのキーワードであり、ライブ(およびスタジオ内)では3つのターンテーブルとレコードを使用して、ミックスの可能性を高みに引き上げる稀有なDJであり、またそれ以上のミュージシャンでもある。 2016年以降、ドイツのレーベル〈Jahmoni〉から「In The Wrong Direction」、「Too」、「Psalm Tree」、「For」(Mark. E. Smith へのオマージュ)の一連のEPリリースを経て、昨年最新LP『One Place For The First Time』をリリース。2008年から2014年の間には、ドイツの〈Klangbad〉から伝説のクラウトロック・バンド Faust の創設メンバーである Hans-Joachim Irmler によってセットアップされた4枚のダブル・バイナルのアルバムをリリースしている。

異なるスタイルの音楽を異なるコンテキストに配置することにより、個々のスタイル変化させ、他に類を見ない音楽スタイルを融合し、3つのターンテーブルと膨大なコレクションであるレコードを使いながらオーディエンスに3つの同時演奏ではなく1つのトラックであると感じさせる。そのスタイルは環境音、アバンギャルド・ノイズ、動物の音、レフトフィールド・テクノ、フリージャズ、奇妙なヒップホップ、最先端のエレクトロニカ、新しいアフリカのダンス・ミュージック、ダブステップ、ダンス・ホールなどと組み合わせれている。

独創的で熟練したミキサーであり、独自のスタイルを持ち、ほとんどのDJのクリシエやこれまでのルールを回避し、フラクサス、ダダなどのアバンギャルドな芸術運動やモンティパイソンの不条理な現実に触発されるように、ダブ、ポスト・パンク、最新のエレクトロニック/ダンス・ミュージックの進化など、常に、非常に、密接に、音楽の発展を追い続け、革新的な “新しい” サウンドに耳を傾けている。創造と発展の芸術性と高まりを強く信じ、約2万枚のレコードと数えきれないほどの膨大なレコード・コレクションは過去と現代のアンダーグラウンド・ミュージックに関する強力な歴史的知識を体現している。

ステージにおいてはマルセルは開放と自由を超越し、しばしば「圧倒的な豊かさ」、「真の耳を開ける人」、「真の開拓者」と表現されている。ヨーロッパ中のクラブ、美術館、ギャラリーを回りながら、ウィーン、ベルリン、ミュンヘン、バーゼル、チューリッヒなど、多くの都市のレジデントDJ、 2015年と2016年には Barcelona circus / performance group のライブDJを務め、ウガンダの Nyege Nyege フェステイバルでは「ライフタイムのレジデントDJ」として任命され、最近では欧州の Dekmantel、Unsound、USの Sustain Release 等のフェステイバルに出演しワールドワイドな活躍を展開。

また Red Light Radio、FSK、DFM など、ヨーロッパのさまざまなラジオ局向けにウィークリーおよびマンスリーのラジオ番組も開催し、インターネット上の John Peel ディスカッション・グループでは「best post-Peel DJ」と評される。マルセルにとって、何らかの緊急性や固定する必要がない限り、音楽形式は意味をなさない。分類が難しいことでブッカー、ジャーナリスト、オーディエンスを最初は混乱させられる。もしマルセルを適切な言葉で説明するのであれば「アバンギャルド・エスノ・ベース」と言えるだろう。

https://soundcloud.com/marcelle


■Kampire [Nyege Nyege / Uganda]

「私が望むのは、ジェンダーや性的指向に関わらず、その人となりの本質をしっかり見極め、誰もが平等にチャンスを得られるようになること」@i-d https://i-d.vice.com/jp/article/kzvn4v/uganda-dj-kampire-interview

東アフリカで最もエキサイティングなDJであり、ウガンダはカンパラの Nyege Nyege コレクティブのコアメンバーであるKampire。活気に満ち溢れたそのサウンドは世界中のクラブやフェスティバルへの出演を呼ぶ。Mixmag 2018年のトップ10のブレイクスルーDJに選出され、Nyege Nyege フェスティバルでの Boiler Room での放送は合法的な「インターネットの瞬間」であり、SNSで何千ものシェアをされ、オンラインで視聴している世界中の電子音楽ファンからフォローされる。

Kampire のDJミックスは Resident Advisor、Dekmantel、Fact Magazine で紹介され、Pitchfork & Fact の年末のリストで2019年のベスト・ミックスにも選出。Rinse FM ラジオのレジデンシーは、Hibotep、Faisal Mostrixx、Catu Diosis など、東アフリカのDJやアーティストにフォーカスしている。

2019年には4大陸でツアーを行い、ヨーロッパ全土のすべての有力フェスティバルに出演、ニューヨークの Redbull Music Festival の Nyege Nyege のショーケースでアメリカでデビューを果たし、Best friend & Nyege Nyege day one Decay と共に2020年の夏には、彼らのショー「Bunu Bop」でヨーロッパのフェスティバル・ステージにウガンダの最高のパーティー・カルチャーをもたらすであろう。

科学、文化、芸術として “黒髪” を探求するアート・インスタレーション「Salooni」の共同設立者であり、その体験プロジェクトは La Ba Arts Festival、ウガンダ、ガーナ、Chale Wote Street Art Festival、East African Soul Train (E.A.S.T) のレジデンシー、ケニア、Africa Utopia、ロンドン、キガリ、ルワンダ、 Women’s day、Burkina Faso and N’GOLÁ Biennial、São Tomé e Príncipe などで展開されている。

https://soundcloud.com/kkaybie


■YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]

棍底にHOUSEを抱えながら電子音と生音を有機的に混ぜる男。

https://soundcloud.com/yellowuhuru


■Celter [Eclipse]

2019年2月より自身の主宰するイベント “Eclipse” をCONTACTにて始動。エクスペリメンタル、アバンギャルドを軸としたプレイを得意とする。

https://soundcloud.com/cel_ter

Yaporigami - ele-king

 これまで〈Mille Plateaux〉や〈Detroit Underground〉といった海外の名だたるレーベルから、あるいは日本の〈Signal Dada〉などからも作品を送り出してきた電子音楽家の Yaporigami こと Yu Miyashita が、今度は〈Virgin Babylon〉よりニュー・アルバムをリリースする。タイトルは『Decoded Sphere』で、サウンドはもちろん、映像やテーマもこだわりぬかれている模様。本人による興味深いコメントも公開されている。発売は2月29日。

これまで独〈Mille Plateaux〉、米〈Detroit Underground〉等国内外から多数の作品を発表し、2019年ヴェネチア国際映画祭にて上映された Jeremiah Mosese 監督作品の音楽を担当した Yaporigami が聖なるリズムと旋律を探求したニュー・アルバム『Decoded Sphere』を〈Virgin Babylon Records〉より2020年2月29日リリース決定。

全ての楽曲の拍子は6/4で展開され、耳の焦点を変えることによりメロディアスな音楽に聴こえたり、ハードなIDMにも響いたり、様々なレイヤーを持ち、新たな意味・解釈・世界を浮かび上がらせる。

動画 https://youtu.be/gwetcnOw02s
Music: Yaporigami
Visual: Kezzardrix
Venue: National Taiwan Museum of Fine Arts

CD先行予約ページ
https://www.virgin-babylon-records.com/unsupermarket/music_72.html

Yaporigami / Decoded Sphere
トラックリスト:

01. Windows X
02. Runner
03. Tilted
04. New Syndicate
05. Language
06. Xinri E
07. Escherian Rhythm
08. Music Makers
09. With Organs
10. Movers And Shakers

Yaporigami によるアルバム『Decoded Sphere』についてのセルフノート

この世界を僕達が各々のフィルターを通して知覚する時(というか、その様にしか認識出来ないのだけど)、浮かび上がってくるのがそれぞれの世界観で。このアルバムは「各々の色眼鏡を通して見えている世界の表象」という意味合いを込めて、『Decoded Sphere』と名付けました。非常に当たり前の事実なのだけど、ふとした時に俯瞰して思考してみると、人口の数だけ別の世界が存在する、という事実の森羅万象具合に圧倒される事が多々あって。

さらっと聞き流せるのだけど、集中して聞いてみた時に浮かび上がってくる構造に無限性を感じる様な音楽に僕は最近とても惹かれていて。例えば聖書を例に挙げると、物語として機能するレイヤーも備えつつ、ルターの様な敬虔な人が読めば圧倒的にハードコアに解釈されるレイヤーも備えていて。こういったピラミッド構造を持つ音楽を作る事に僕は非常に興味があって。

時間構造の話を少しだけしてみると、収録曲は全て拍子が6/4になっていて。多くの場合リズム要素を「6/4 x 2」で展開させて、メロディ要素を「8/8 x 3」で展開させていて。

今綴っている言葉が、僕の考えを「ここ」に留めるように機能するのは本意では無くて。そうではなくて、言葉が「ここ」から旅立って、新たな意味・解釈・世界を浮かび上がらせるように機能してもらうのが僕の本意であって。

最後にイヨネスコの言葉を引用すると、「言葉が未だかつて意味しなかったことをその言葉に言わせること」。僕はこのアルバムにそういう風に機能してもらいたくて。


Yaporigami プロフィール:
1984年山梨出身。ドイツ・ベルリン在住。
Yu Miyashita / Yaporigami の両名義を持つ電子音楽家。レーベル〈The Collection Artaud〉主宰。独〈Mille Plateaux〉、米〈Detroit Underground〉を含む国内外多数のレーベルから作品を発表。代表的なミュージック・ビデオに「SyncBody」、「Mimic」、「The Motion Paradox」、「Lilium」があり、各国のフェスティバルで選出、ノミネート、上映され続ける事となる 。近年では現代美術家の塩田千春、建築家の Asif Khan、米バーニングマンのインスタレーション記録映像に楽曲提供、ファッションブランド Viviano Sue の3期に渡るショー用音楽の制作に加え、国立台湾美術館にて Kezzardrix との共同展示を行う。2019年ヴェネチア国際映画祭にて上映された Jeremiah Mosese 監督作品のサウンドトラックを全編担当。

Stolen@Tempodrom, Berlin - ele-king

 来年3月にニュー・オーダーの来日が決定、石野卓球と Stolen が追加出演することも発表された。その噂の Stolen とはいったい何者なのか? というわけで、この秋ベルリンで開催されたニュー・オーダーと Stolen のライヴの模様をレポートします。

世界が音楽に貪欲だった70年代の再来か!? 中国の新世代インディーズ・バンドがニュー・オーダーと共に欧州に君臨、そこで、手にした未来とは!?

 現代に残る社会主義国家でありながら、他の資本主義国家よりも圧倒的な経済発展を遂げている中国が閉鎖的であるというイメージはもはや過去の産物ではないだろうか。むしろ、時代を逆行するかのごとく、どんどん自由が制限され、それに気付く余裕さえないほど殺伐とした環境で、ピュアな感性が蝕まれていくように感じる今の日本の方がよほど危機感を覚えるのは筆者だけだろうか。物質的なものでも情報でも、いとも簡単に何でも手に入る環境が決して幸せで良いことであるとは言えないのだ。

 これは何も社会的なことに限った話ではない。アンダーグラウンドな音楽シーンにおいても同様に思うのだ。

 まだ10月初めだというのに冬物のジャケットが必要なほど冷え込んだ日、ベルリンのコンサートホール「Tempodrom」でヨーロッパ・ツアー真っ最中の New Order のライヴが行われた。そのサポートアクトを務めたのが、中国四川省成都出身の中国人5名、フランス人1名からなる6ピースバンド “Stolen” である。


Photo by Alexander Jung

 ヨーロッパでは未だ未知の領域である中国のインディーズ・シーンから、突如テクノの街ベルリンに現れたバンド Stolen とは一体何者なのだろうか? まず、アジア人のコンプレックスを隠そうとするありがちな “Too much なデコラティヴ” は一切なく、むしろ、全身黒の衣装で統一したシンプルなミニマル・スタイルに黒髪の彼らは控えめな若者の集まりと言った印象。

 それに反して、ライヴ・パフォーマンスはストイックと完璧主義の塊である。心の奥底に押し込めた欲望やら鬱憤やらをサウンドに打ち付けて、吐き出しているかのように激しく、それでいて荒削りで強引な演奏ではなく、インテリジェンスで完璧なまでのスキルに身震いするほどの衝撃を受けた。
 圧倒的な存在感を放つフロントマン Liang Yi による堂々たるナルシシズムを全面に出した独自の世界観に真っ先に引き込まれていく。歌詞はほとんどが英語で歌われており、その時点で中国だけでなく、世界の舞台を見据えているように思えた。そして、彼らの放つサウンドはポップではなく、一貫してダークである。VJ担当の Formol によるアートワークがその世界観をグラフィックと写真のコラージュで実にシュールに表現している。


Photo by Alexander Jung

 Kraftwerk や Joy Division に影響を受けているという彼らだが、全員まだ20代である。インターネットが監視下に置かれている中国で、違法ダウンロードによって手にした “外の世界の音” から、自分たちが生まれてもいない70年代のドイツのクラウトロックやイギリスのポストパンク、ニューウェイヴと運命的に出会う。そして、インスパイアされ、独自の解釈によって、ギターと打ち込みが疾走するオリジナリティー溢れる Stolen サウンドとして誕生したのだ。ダークでメランコリックであるが、そこに存在するのは絶望ではなく、暗闇で輝く生粋のアンダーグラウンドである。

 自国へ帰ればアルバイトで生活費を稼ぐ日常が待っている労働者階級出身の彼らに、ネット世界ではなく、本物のベルリンを見せ、スポットライトを当てた重要人物がいることを忘れてはいけない。彼らの成功への道は、プロデューサーの Mark Leeder の存在なくしては語れない。1990年、壁崩壊直後の混沌としていたベルリンで、自身のレーベル〈MFS〉を設立し、マイク・ヴァン・ダイクや電気グルーヴといったテクノ・アーティストのリリースを手掛ける傍、世界を飛び回り、アンダーグラウンド・シーンで光る原石を掘り続けてきた伝説のプロデューサーである。90年代から中国の音楽シーンに注目していた彼の目に止まったのが、平成生まれの若き Stolen である。マークは一体彼らにどんな未来を見たのだろうか?

 伝説のプロデューサーと言えば、もはや何度観たか分からない筆者の音楽人生のバイブル『24アワー・パーティー・ピープル』の故トニー・ウィルソンが頭に浮かんだが、壁に分断されていた80年代の西ベルリンを描いたドキュメンタリー映画『B-MOVIE』が、Mark Reeder そのものなのだ。彼の半生を描いた同作では、自身がストーリーテラーも務めており、狂乱に満ちた同じ時代を駆け抜けた同士として、当然ながらトニー・ウィルソンとの親交も深かったと言う。


Photo by Alexander Jung

 ベルリンは、時代を越えて心底アンダーグラウンド・ミュージックと共存している街であると言える。地下鉄の中やストリートでは日々パフォーマーたちによって様々なジャンルの音楽を耳にし、普通の女の子が Bluetooth スピーカーから爆音でビート・ミュージックを鳴らしながら闊歩する。世界最高峰と呼び名の高い Berghain では毎週末36時間ぶっ通しのパーティーが行われている。そこには年齢も性別も人種も関係ない、心底音楽が好きな人間たちが集まっている、ただ、それだけである。

 Joy Division の『Unknown Pleasures』のTシャツに身を包んだ熟練でシビアな New Oeder ファンを前で堂々たるプレイを見せつけ、取り込んだ Stolen は、アジアを代表するバンドとしてここヨーロッパで確固たる地位を築いていくだろう。この日、客席には彼らの楽曲 “Chaos” をミックスした石野卓球の姿があった。Stolen に昔の電気グルーヴの姿を重ねながら、70年代のマンチェスターやベルリンの再来を期待せずにはいられない一夜となった。

New Order (ニュー・オーダー)の来日公演に、ニュー・オーダーのバーナード・サムナー(Vo.)が絶賛する中国のインディーバンド Stolen と石野卓球が追加出演決定!!

1980年代後半から1990年代初頭にかけて起きたマンチェスター・ムーヴメントを描いた映画で2002年に公開され大ヒットした映画「24アワー・パーティー・ピープル』にも登場する、マンチェスター・ムーヴメントの象徴的アーティストで、ロックとダンスを融合させてサウンドが、ブラー、オアシス、レディオヘッドなど、その後のUKロックバンドに多大な影響を与えたイギリス、マンチェスター出身の伝説バンド、New Order (ニュー・オーダー)の来日公演に、中国のインディーバンド、Stolen と石野卓球の追加出演が決定しました。

Stolen はニュー・オーダーのバーナード・サムナー(Vo.)が彼らの音楽に惜しみなく賛辞を贈る、平均年齢26歳の5人の中国人と1人のフランス人による中国のインディーバンドで、10月からスタートしている、ヨーロッパでのニュー・オーダーのライブ・ツアーにスペシャルゲストとして帯同中。

石野卓球は、Stolen の全世界デビュー・アルバムとなる『Fragment (フラグメント)』にリミックスを提供していますが、実はこの3組のアーティストを繋ぐハブとなったのは、マンチェスター出身のプロデューサー、DJ、そしてドイツベルリンの伝説的音楽レーベル〈MFS〉のオーナーでもあるマーク・リーダーです。

マーク・リーダーはニュー・オーダーのバーナード・サムナーにいち早くベルリンのダンスミュージックを体験させた人物で、彼がいなければニュー・オーダーの名曲“Blue Monday”が生まれることはなかったと言われています。

また、電気グルーヴの『虹』を自身のレーベル〈MFS〉からリリースし、電気グルーヴと石野卓球がヨーロッパで活躍するきっかけを作ったのもマーク・リーダー。

そして、Stolenの全世界デビュー・アルバム『Fragment (フラグメント)』をベルリンでレコーディングし、このアルバムに石野卓球のリミックスが収録されることになったのもマーク・リーダーのプロデュースによるものなのです。

国も世代も異なるアーティストたちが、“音楽密輸人”の異名を持つマーク・リーダーを中心に日本公演で貴重な邂逅を果たします。

なお、ゲスト出演決定につき、開場・開演時間が変更になりますので、詳細は以下の情報をご覧ください。
【ライブ情報】

※ゲスト出演決定につき、開場・開演時間を変更させて頂きます。予めご了承ください。

東京 3月3日(火) 新木場 STUDIO COAST / special guest : 石野卓球
東京 3月4日(水) 新木場 STUDIO COAST / special guest : STOLEN / 石野卓球
OPEN 18:30→18:00 / START 19:30→19:00
TICKET スタンディング ¥10,000 指定席 ¥12,000(税込/別途1ドリンク)※未就学児入場不可
一般プレイガイド発売日:発売中 <問>クリエイティブマン 03-3499-6669

大阪 3月6日(金) Zepp Osaka Bayside / special guest : STOLEN
OPEN 18:30→18:00 / START 19:30→19:00
TICKET 1Fスタンディング ¥10,000 2F指定 ¥12,000(税込/別途1ドリンク)※未就学児入場不可 ※別途1ドリンクオーダー
一般プレイガイド発売日:発売中 <問>キョードーインフォメーション 0570-200-888

制作・招聘:クリエイティブマン
協力:Traffic

【ニュー・オーダー】
メンバー:バーナード・サムナー、ジリアン・ギルバート、スティーヴン・モリス、トム・チャップマン、フィル・カニンガム

マンチェスター出身。前身のバンドは、ジョイ・ディヴィジョン。80年、イアン・カーティスの自殺によりジョイ・ディヴィジョンは活動停止を余儀なくされ、バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスの残された3人のメンバーでニュー・オーダーとして活動を開始。デビュー・アルバム『ムーヴメント』(81年)をリリース。82年、ジリアン・ギルバート加入。83年に2ndアルバム『権力の美学』をリリースし、ダンスとロックを融合させた彼らオリジナルのサウンドを確立した。85年リリースのシングル「ブルー・マンデー」は大ヒットを記録、12”シングルとして世界で最も売れた作品となった。同年初の来日公演を実施。所属レーベルのファクトリー・レコードが地元マンチェスターに設立したクラブ、ハシエンダ発のダンス・カルチャーは、80年代後半にマッド・チェスター、セカンド・サマー・オブ・ラヴといった世界を牽引する音楽シーンを生み出した。その一大カルチャーの中心的存在として、3rdアルバム『ロウ・ライフ』(85年)、4thアルバム『ブラザーフッド』(86年)、5thアルバム『テクニーク』(89年)をリリースし、その評価・人気共にUKユース・カルチャーの象徴となった。93年、ロンドン・レーベル移籍第1弾として、名曲「リグレット」等が収録された6thアルバム『リパブリック』をリリース。7thアルバム『ゲット・レディー』(2001年)と8thアルバム『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』(2005年)は、ギター・サウンドに比重を置いたサウンドとなった。2007年、オリジナル・メンバーのピーター・フック(b)がバンドを脱退。2001年と2005年にフジ・ロック・フェスティヴァルに、2012年にサマー・ソニックに出演。2014年、MUTE移籍が発表され、2015年9月23日に9thアルバム『ミュージック・コンプリート』をリリース。2016年、実に29年ぶりの単独来日公園を行う。2017年、ライヴ盤『NOMC15』をリリース。2019年6月、地元マンチェスターの伝説の会場で2017年6月に5夜に渡って行われたライヴを収録した『∑(No,12k,Lg,17Mif)』を発売。

タイトル:∑(No,12k,Lg,17Mif) / ∑(No,12k,Lg,17Mif) New Order + Liam Gillick: So it goes..
品番:TRCP-243~244 / JAN: 4571260589032
定価:2,600円(税抜)*CD:2枚組

【石野卓球】
1989年にピエール瀧らと電気グルーヴを結成。1995年には初のソロアルバム『DOVE LOVES DUB』をリリース、この頃から本格的にDJとしての活動もスタートする。1997年からはヨーロッパを中心とした海外での活動も積極的に行い始め、1998年にはベルリンで行われる世界最大のテクノ・フェスティバル“Love Parade”のFinal Gatheringで150万人の前でプレイした。1999年から2013年までは1万人以上を集める日本最大の大型屋内レイヴ“WIRE”を主宰し、精力的に海外のDJ/アーティストを日本に紹介している。2012年7月には1999年より2011年までにWIRE COMPILATIONに提供した楽曲を集めたDisc1と未発表音源などをコンパイルしたDisc2との2枚組『WIRE TRAX 1999-2012』をリリース。2015年12月には、New Orderのニュー・アルバム『Music Complete』からのシングルカット曲『Tutti Frutti』のリミックスを日本人で唯一担当した。そして2016年8月、前作から6年振りとなるソロアルバム『LUNATIQUE』、12月にはリミックスアルバム『EUQITANUL』をリリース。
2017年12月27日に1年4カ月ぶりの最新ソロアルバム『ACID TEKNO DISKO BEATz』をリリースし、2018年1月24日にはこれまでのソロワークを8枚組にまとめた『Takkyu Ishino Works 1983~2017』リリース。現在、DJ/プロデューサー、リミキサーとして多彩な活動をおこなっている。

www.takkyuishino.com

【STOLEN】
中国で今最も刺激的な音楽シーンになるつつある四川省の省都・成都(せいと)を拠点にする平均年齢26歳の5人の中国人と1人のフランス人で構成される6人組のインディーズバンド「STOLEN(ストールン:秘密行动)」。2011年の結成から7年、謎多き中国のインディーズシーンから全世界デビューアルバムとなる『Fragment(フラグメント)』はドイツベルリンの伝説的レーベル「MFS」のオーナーMark Reederがプロデューサーとなり、成都にある彼らのホームスタジオとベルリンのスタジオでレコーディングされた。テクノやロックといったカルチャーを独自に吸収したそのサウンドやライブステージ、アートワークは、中国の音楽好きな若者から人気を集めるポストロック〜ダークウェイブの旗手として、その注目度は世界中へ拡がっている。

STOLEN
日本デビュー・アルバム『Fragment』発売中
価格:¥2,500+税
商品仕様:CD / 紙ジャケ / リーフレット
品番:UMA-1121

 目に見えるよりも先に、音が聞こえてくる。穏やかな秋の日の午後、高円寺と阿佐ヶ谷のあいだにある青梅街道を、数百の人々が笑いあい、踊りながら、先導する何台かのトラックにつづいてゆっくりと進んでいく。そのなかの一台には何組かのバンド──ジャンルはパンクからレゲエ、ファンク、サイケデリック、ロックなど様々だ──が乗りこみ、他のトラックは過去の名曲を爆音でプレイするDJたちを乗せている。音は道沿いを前後に広がって、路地へと滲みだしていき、お祭り騒ぎをしながら道路の上を進んでいく小さな群衆がすぐ近くまで迫っていることを予告している。買い物客や通行人たちは、だんだんと近づいてくる音の壁をどこか楽しげに、興味深そうに眺めている。それが何のためのものなのかは誰にも分からない。だが音が近づいてくることは誰にでも分かる。
 東京という街において音は、特定の空間を誰が所有しているかを定義し、その所有権を主張するさいの鍵となる役割を果たしている。たとえば人の往来がせわしない駅周辺のエリアは、数えきれない広告の音や、店の入り口からとつぜん漏れだしてくる四つ打ちの音、あるいははるか頭上の街頭ヴィジョンから聞こえてくる音でたえず溢れかえっている。結果として人は、そうした領域が商業と資本に属している場所であることを知らされることになるわけである。だが商業的な通りからほんの少し外れると、今度は住宅エリアに入っていくことになる──するととつぜん静けさが訪れ、屋内での音は、一軒家やアパートの薄い壁の外に漏れないように配慮されることになる。このルールが侵された場合、家主を呼ばれるか、警察の訪問を受けるはめになる。騒がしい隣人が歓迎されることはありえない。音楽が演奏されるのは基本的に、薄暗い地下の空間や、ビルの上層階など、防音のしっかりした場所に限定される。公共の場で音を出すことが許される場合があるとしてもそれは、ボリュームを抑えた路上パフォーマンスというかたちであったり、広告のBGMなど、商業的な目的をもったものとして以外にはありえないのである。
 政治という場がおもしろいのは、日本の場合それが、音が社会的に定められた境界を侵犯していくことになる場だからだ。たとえば、期間中ずっと候補者の名前を叫びつづけ、住宅街のなかをゆっくりと走る選挙カーや、30年代の愛国的な軍歌を爆音で流して走る黒塗りの街宣車のことを考えてみればいい。ザ・クラッシュの“ロンドン・コーリング”の音に合わせ街頭で踊る抗議者たちによる、今回のお祭り騒ぎも同様である。こういった例のなかでは、人々の普段の暮らしのなかにある均衡を破り、別の何事かへと関心を向けされるために音が用いられているわけだ。

 今回の高円寺の場合でいうなら、その参加者たちは、街の北側まで目抜き通りを拡大しようとするジェントリフィケーション計画にたいして異議申したてをおこなっているのだといえる。彼らは、街を二分し、小さな家を立ち退かせて、どこにでもあるような複合施設や不動産投資事業によって、近隣一帯の商店の活性化を目論む計画にたいして抗議しているわけである。とはいえ、話はそれだけで終わるものではない。突きつめていえば、街を練り歩き騒ぎを起こす数百人の人々はかならずしも、開発業者の連中や、役人たちや政治家たちの考えを変えようとしているわけではない。そういった者たちの決定を覆すための現実的な戦いは、裁判所や杉並区役所のなかでおこなわれることになるはずである。今回のデモがああいったかたちでおこなわれたのには、そういった現実的な理由とは別の理由があったはずなのだ。
 ではじっさいのところ、今回のこの抗議はいったいなにを目指してデモをおこなっていたのだろうか。この問いにたいして答えようとおもうなら、そこで流れている音楽それじたいに注意を向けてみればいい。参加したミュージシャンやDJの多くは、高円寺のローカルな音楽シーンで活躍する者たちであり、デモの場で彼らは、普段は防音された室内でプレイしている曲を演奏していた。またこの抗議のオーガナイザーである素人の乱は、ふかく地域のコミュニティにかかわり、音楽シーンにもつよい繋がりをもつコレクティヴである。以上をふまえるなら、今回の抗議は、そこに参加した者たちそれじたいに向けられたものなのだといえるはずだ。つまりそれは、自分たちを互いに結びつけるための方法であり、一つのコミュニティとして、自分たちがいったいなにを目指しているのかを思いださせるための方法だったのである。
 さらにいえばそれは、高円寺というローカルな場所だけにかかわるものでもなかった。この抗議は、広い意味での住環境の問題に関係する活動家たちによってサポートされたものでもあった。じっさい、昨年おこなわれた同様の抗議では、京都の吉田寮の追い出し問題〔訳註1〕にたいする抗議者たちや、香港からやってきた民主活動家を含む多様なグループの代表者たちがスピーチするすがたが見られている。今回の抗議と同様の音楽的な形式でおこなわれた2011年の反原発運動のときにも、ソウルのホンデ地区における反ジェントリフィケーション運動に参加する韓国のパンク活動家が参加していた。したがってこれらの抗議は、場所を問わずよりよいコミュニティを築こうとする者たちが互いに出会い、アイデアや共通の地平を確認しあうための祝祭としておこなわれたものでもあるのだ。
 こうした抗議のなかにおける音楽は、なんらかのメッセージの媒介として機能しているわけではない。むしろ音楽はそこで、単純にそれが一番得意なことをしているだけなのである。つまりそれは、参加者たちのあいだにコミュニティの感覚が生じる手助けをしているのだ。音楽は、東京のいたるところにあるあの暗く狭い防音された部屋のなかで密かに、数メーター離れた場所で買い物し、働き、往来している人たちから隠れたまま、たえずそうした役割を果たしてきた。じっさい、音楽をきっかけにして出会った人間たちが、何十人と今回のデモの場に集まり、その場で自分たちのつながりを、つまり自分たちをパンクやインディー好きやノイズ狂いのコミュニティとして結びつけているつながりを、あらためて確認することになった。今回の高円寺のデモは、間違いなくこうした役割を果たしている。とはいえ、防音された薄暗いライヴ・ハウスのなかでも一つのコミュニティとして集まれるにもかかわらず、いったいなぜそれを街頭へと持ちだす必要があったのだろうか。
 この記事の冒頭で私は、いかに音が公共空間にたいする所有権を誇示するための方法になっているかについてや、政治的な行動が、特定の問題にたいして人の注意を引くために、体制によって定められた空間の所有権を音を用いて侵犯したり、あるいはぼやかしたりする場合が多く見られることについて言及した。いうまでもなくそうした政治と音のかかわりは、今回のサウンド・デモのなかでも確認されたものである──外部の聴衆の必要性は、「身をもってなにかを示すデモンストレーション」という方法にあらかじめ備わったものだといえる。だがそれだけではない。この抗議における音楽の用いられ方は、公共空間の所有権の問題だけでなく、同時にまた、コミュニティのあり方についての省察へと向けられたものでもあったのだ。
 われわれは、商業的な領域が公共空間を支配するのを許し、その所有権を主張するのを許すことに、あまりにも慣れすぎてしまっている。たえずあらゆる角度からやってくる音と映像による広告の弾幕は、商業的なものや資本が、われわれの都市やローカルな場にたいして好き放題にふるまう権利を抵抗なく認めさせるための、致命的なプロパガンダとして機能している。だがそれにたいして、高円寺の通りラインに沿った音楽による抗議(や、数週間前の2019年10月におこなわれた渋谷から表参道へといたるプロテスト・レイヴのような最近の同様の出来事〔訳註2〕)は、一種の音によるグラフィティなのである。それはじっさいのグラフィティと同様、商業の側がもっぱら自分たちだけのものだと考えている空間にたいして、われわれじしんの所有権を主張するための方法として機能するものなのだ。それをとおしてわれわれは、防音された地下の部屋から飛びだしていくことになり、街頭は自分たちのものだと、大きな声ではっきりと主張することができるようになるのである。

*訳注1 現在進行形のこの問題については、文末のURLに読まれるサイト『吉田寮を守りたい』および、笠木丈による論考「共に居ることの曖昧な厚み──京都大学当局による吉田寮退去通告に抗して」(『HAPAX 11──闘争の言説』収録)を参照。https://yoshidaryozaiki.wixsite.com/website-9

*訳註2 DJの Mars 89 らの呼びかによって2019年10月29日におこなわれた路上レイヴ。「我々は自身の身体の存在を以て、この国を覆う現状に抵抗する」(ステートメントより)。以下のURLを参照。https://www.residentadvisor.net/events/1335758 (編註:Mars89 は『ele-king vol.25』のインタヴューでその動機や背景について語ってくれています)


You hear us before you see us. A couple of hundred people, laughing, dancing, slowly making their way down Ome-kaido between Koenji and Asagaya on a chilly autumn afternoon, led by a couple of trucks, one hosting a series of bands – punk, reggae, funk, psychedelia, rock – and another carrying DJs blasting out celebratory anthems from ages past. The sound carries down the road ahead and behind, bleeding down sidestreets, heralding the passing of the small crowd of marching revellers. Shoppers and passers-by peer towards the advancing wall of sound, amused, curious. No one really knows what it’s for, but everyone knows we’re coming.

In Tokyo, sound plays a key role in defining and asserting ownership over particular spaces. The area around a busy station explodes with the sounds of a thousand adverts, jingles blasting from shop doorways and booming down from towering video displays. In this way, we know the territory belongs to commerce and capital. Step away from these commercial streets just a short few steps, though, and you may find yourself in a residential area – suddenly silent, domestic noises diligently suppressed within the thin walls of houses and apartments. Transgressions here are greeted with calls to the landlord or visits from the cops. No one likes a noisy neighbour. Music is typically confined to its own designated spots: dingy, carefully soundproofed boxes in the basements or upper floors of buildings. Where it is allowed out into public spaces, it does so either in the form of volume-suppressed street performances or as the servant of commerce, soundtracking adverts.

Politics is interesting because it is a sphere of Japanese life where sound transgresses its socially designated limits. The sound trucks that crawl around your neighbourhood, screaming out the names of politicians endlessly during election periods. The black vans blasting out patriotic military songs from the 1930s. The carnival of protesters dancing down the street in Koenji to the sound of “London Calling” by The Clash. All these people are using sound to disrupt the equilibrium of people’s daily lives and draw their attention to something else.

In the case of the Koenji marchers, we are protesting gentrification in the form of plans to extend a main road up through the north of the town, splitting the neighbourhood in two, and replacing small houses and bustling neighbourhood shops with generic condo complexes and real estate investment projects. That’s not all we’re doing, though. After all, a couple of hundred people marching around and making a noise aren’t going to make a bunch of developers, civil servants and politicians change their minds. The real fight against these proposals is going to happen in the courts and in Suginami City Office. There must be another reason why this march is happening and in this form.

Who is this protest march for? One way to answer this is to look at the music itself. A lot of the musicians and DJs are people involved in the local Koenji music scene, playing the music they always play, locked away in their little soundproofed boxes. The protest’s organisers, the Shiroto no Ran collective, are deeply embedded in the local community, and have strong links with the music scene. In this sense, the protest is for its own participants: a way of bringing us together and reminding us of what we stand for as a community.

It’s not just about the local area though. Also supporting the protest were activists who are engaged more broadly with environmental issues. A similar protest last year brought in speakers representing groups as diverse as the Yoshida Dormitory protests in Kyoto and pro-democracy activists from Hong Kong. The 2011 anti-nuclear protests, which kicked off in Koenji with a very similar musical format, also incorporated South Korean punk activists who were involved in anti-gentrification protests in Seoul’s Hongdae area. These kinds of protests, then, are also festivals for the meeting and sharing of ideas and common ground between those looking to build better communities everywhere.

Music in this protest is not functioning as a vehicle for a particular message in itself, but rather to simply do what it does best: to be a facilitator for a sense of community among participants. This is what music does all the time in those small, dark, soundproofed boxes all around Tokyo, locked away and hidden from the daily lives of people shopping, working and walking just a few metres away. A few dozen of us gather, joined by music, and reaffirm the links between us that make us a community of punks, indie kids, noiseniks or whatever. So the Koenji march is doing this, yes, but if we can come together as a community in a dingy soundproofed live venue, why do we need to take it out into the streets?

At the beginning of this article, I talked about how sound is a way of marking ownership over various public spaces, and how politics often behaves in ways that transgress or blur those established patterns of ownership in order to draw attention to one issue or another. Of course, that’s part of what we’re doing with this musical march – after all, the need for an external audience is inherent in the word “demonstration”. More than that, though, I think the use of music in this protest is where the issues of community consolidation and ownership of public space come together.

We are too comfortable in allowing the commercial sphere to dominate and assert its ownership over public space. The constant barrage of advertising coming at us from all angles in sound and vision functions as a deadening sort of propaganda that makes us too easily accept commerce and capital’s right to do whatever it wants with our cities and neighbourhoods. However, just as graffiti can function as a way of asserting citizens’ ownership over spaces that commerce thinks of as uniquely its territory, musical protests along the lines of the Koenji march (and similar recent events like the Shibuya/Omotesando protest rave a couple of weeks previously on October 2019) are a kind of sonic graffiti in which we can come out of our soundproofed underground boxes and say loudly that these streets are ours.

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