「AY」と一致するもの

ララージ来日直前企画 - ele-king

 どうも最近、現代文明からの離脱の機運が昂まりつつあるように見える。ふだんからよく書店に足を運ぶ方は、年々「縄文」コーナーが充実していっていることにお気づきだろう(たとえば『縄文ZINE』は書評でとりあげようかと思ったくらい、ユーモラスでおもしろい)。日本だけではない。今年の夏は、まさにいま流行の「アントロポセン」というタームを体現するかのように、世界じゅうで酷暑が猛威をふるったけれど、その影響でイギリスでは新石器時代の遺跡の残像が地上に浮かび上がってきてもいる。産業革命以降のハイテクノロジーの時代へと回帰してくる、文明以前的なものの兆し。エイフェックス新作のアートワークに暗示されたコーンウォール由来のぐるぐるモティーフはたぶんもっと近代的なものなんだろうけど、にしても、このとち狂った現代社会からの逃走の回路が次々と発現しているのは興味深い。それは、ロハス的なものだったりマインドフルネス的なものとはまた異なる逃走のあり方である。

 1943年にフィラデルフィアに生まれたララージことエドワード・ラリー・ゴードンは、幼い頃にいくつかの楽器を学び、ワシントンではハワード大学へ通う。その後ニューヨークで役者として活動していたが、70年代に東洋の神秘主義と出会い、改めて音楽の道を目指すことになる。彼の代名詞となるツィターを手に入れたのもその頃で、自ら改造を施しつつNYのストリートでパフォーマンスを重ねていく。1978年には本名名義で『Celestial Vibration』を発表(2010年に〈Soul Jazz〉傘下の〈Universal Sound〉からリイシュー)。そうしてワシントン・スクエア公園で演奏している際に、訪米していたブライアン・イーノと出会い大きな転機を迎えることになるわけだけれど、ゴードンのツィターの奏法は、ちょうど「オブスキュア」から「アンビエント」へとコンセプトを発展させていたイーノにとっても新しい試みに映ったに違いない。ララージ名義の最初のアルバム『Day Of Radiance』は、「アンビエント」シリーズの第3作として1980年に〈Editions EG〉からリリースされることとなった。
 タイトルどおりきらきらと瞬くそのツィターの音の連なりは、たしかにアンビエントの領域を拡張したと言えるだろうが、他方でそれはエキゾティックな趣を携えてもおり、采配次第では同年のジョン・ハッセル『Fourth World』とも接続しうるポテンシャルを秘めていたのではないだろうか。しかしララージはむしろ80年代のニューエイジ・ブームのなかでその評価を高めていくことになる。1984年には100枚限定のカセットテープ『Vision Songs』を発表し、自身の歌まで披露(今年初頭に〈Numero Group〉からリイシュー)。実質的なセカンド・アルバムとなる『Essence / Universe』は1987年に〈Audion〉からリリースされ(こちらは2013年に〈All Saints〉からリイシュー)、ニューエイジ要素が全面化した長尺ドローンが展開されている。

 90年代に入ると、おもにイーノとかかわりの深い〈All Saints〉をとおして、マイケル・ブルックをプロデューサーに迎えたアンビエント作『Flow Goes The Universe』(1992年)や、オーディオ・アクティヴとコラボしたダブ作『The Way Out Is The Way In』(1995年、日本盤はのちに〈ビート〉から)などをリリースする一方、ビル・ネルソン、ロジャー・イーノ、ケイト・ジョンらとともにチャンネル・ライト・ヴェッセルを結成、80年代的な音響を維持しつつポップな要素を取り入れた『Automatic』(1994年)と『Excellent Spirits』(1996年)の2枚のアルバムを残している。そこまではある意味で時代との接点を保っていたとも言えるが、1997年の『Cascade』ではそれを完全に振り切り、リラクセイションの極みへと到達(副題は「Healing Music」。ちなみに、その2年後には日本で坂本龍一の「energy flow」がヒーリング・ミュージックとして大ヒットしているけれど、それは単なる偶然なのか、はたまた世紀末の一現象なのか)。その後00年代にも作品を発表してはいるものの、グライムやダブステップの時代にあって、次第にその影は薄くなっていったのではないだろうか。
 ところが10年代に入ってその風向きが変わる。上述の作品を含め、さまざまなレーベルからララージのリイシューが相次ぎ、新作も発表、コラボレイションも活性化していく。注目すべきはそのコラボ相手とレーベルだろう。2011年には〈RVNG〉からブルーズ・コントロールとの実験的な共作『FRKWYS Vol. 8』がリリースされているが、2015年から16年にかけてはマシューデイヴィッドの〈Leaving〉から、80年代に録音されていた音源を発掘した『Unicorns In Paradise』『Om Namah Shivaya』が発売。2017年の新作『Sun Gong』『Bring On The Sun』や、今年出たそれらのリミックス集『Sun Transformations』ではカルロス・ニーニョやラス・Gなど、明確にLAビート・シーンとのコネクションが堅固になっていく。さらに昨年はブラジルの大御所サンバ歌手、エルザ・ソアーレスをリミックスと、老いてますます現役感が増していっている。

 そのような再起の動きのなかでもとりわけ重要なのは、2016年のサン・アロウとの共作『Professional Sunflow』だろう。当時のニューエイジ・ブームの後押しがありつつも、それとは一線を画した実験的サウンドを響かせる同作は、ララージが他方でマインドフルネス的な文脈と親和的でありながらも、そこには回収されえない実験主義を標榜していることをも示してくれたのだった。

 80年代のニューエイジ・ブームが新自由主義の猛威に対応していたのだとするならば、この10年代にふたたびそれが勃興しているのは、資本主義が当時以上に加速していることのあらわれである、と結論づけることも一応は可能なんだろうけど、でも90年代や00年代だって世の中は相当ひどかったわけで、そんなふうにすっきりと整理できるものではない。しかし、そういった世相の反映はありつつも、〈RVNG〉と接触したりLAビートの文脈で再評価されたりしている彼の姿や、あるいはサン・アロウとの刺戟的なコラボ作を聴いていると、少なくともそれが資本主義のヴァリエイションのひとつでしかないロハス的なものとはかけ離れていることがわかるし、彼の奏でるニューエイジには逃避という一言だけでは片付けられない種々の可能性が孕まれているような気もしてくる。そんなニューエイジの微妙な揺らぎを体現するララージは、きたる来日公演においていったいどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。それを目撃するのが楽しみでしかたない。


Laraaji Japan Tour 2018

澄み渡る空、開かれる静域。巨匠 Brian Eno に見出され、近年のニューエイジ/アンビエントの再興により生ける伝説となったNYCのパーカッション奏者/電子音楽家 Laraaji (ララージ)待望の単独初来日ツアー。

9.13 thu WWW X Tokyo
9.15 sat WWW Tokyo
9.16 sun Nanko Sunset Hall Osaka
9.17 mon Metro Kyoto

テン年代初頭よりエレクトロニック・ミュージックの新潮流の一つとして拡張を続けるニューエイジ/アンビエントの権化とも言える、ミュージシャン、パーカッション奏者、“笑い瞑想”の施術者でもある Laraaji (ララージ)の東京は単独公演、全席座りで2回のロング・セットを披露、大阪、京都を巡る待望の単独初来日ツアーが決定。そのキャリアは70年代のストリート・パフォーマンスから始まり、Brian Eno に発見されアンビエント・シリーズへ参加以降、Harold Budd、Bill Laswell、John Cale、細野晴臣、Audio Active などとコラボレーションを果たし、近年のニューエイジの再興から発掘音源含む再発で再び注目を集め、後世に影響を与えたオリジネーターとして新世代の音楽家 Blues Control、Sun Araw、Seahawks とのコラボレーション作品、遂には新譜もリリース、各国でのツアーやフェスティバルに出演し、ワールドワイドに活動の幅を広げている。風のようにそよぎ、水のように流れる瑞々しいアルペジオや朗らかなドローン、土のようにほっこりとしたソウルフルなボーカルや温かなアナログ・シンセ、ドラム・マシーン、テープ・サンプリング、瞑想的なアンビエントから時にボーカルも織り交ぜたパーカッシヴなシンセ・ポップ、ヨガのワークショップまでも展開。風、水、空、土といった自然への回帰と神秘さえも感じさせる圧倒的な心地良さと静的空間、情報渦巻く現代のデジタル社会に“癒し”として呼び起こされる懐かしくも新しいサウンドとヴィジョン、ニューエイジの真髄が遂に本邦初公開を迎える。

ツアー詳細:https://www-shibuya.jp/feature/009311.php

■9/13木 東京 追加公演 at WWW X
Title: Balearic Park - Laraaji - *FLOOR LIVE
OPEN / START 19:00
ADV ¥3,300+1D / DOOR ¥3,800+1D / U23 ¥2,800+1D
Ticket Outlet: e+ / Lawson [L:71297] / PIA [P:127-579] / RA / WWW *8/22(水)一般発売
LIVE: Laraaji / 7FO [EM Records / RVNG Intl.] / UNIT aa (YoshidaDaikiti & KyuRi) / Chihei Hatakeyama [White Paddy Mountain]
DJ: Chee Shimizu [Organic Music / 17853 Records]
more info: https://www-shibuya.jp/schedule/009420.php

■9/15土 東京 単独公演 at Shibuya WWW
Title: Laraaji - Tokyo Premiere Shows -
1st set OPEN 16:00 / START 16:30
2nd set OPEN 19:00 / START 19:30
ADV ¥5,500+1D *各セット150席限定・全席座り / Limited to 150 seats for each set
Ticket Outlet: e+ / Lawson [L:73365] / PIA [P:125-858] / RA / WWW *8/1 (水) 一般発売
LIVE: Laraaji *solo long set
more info: https://www-shibuya.jp/schedule/009310.php

■9/16日 大阪 at Nanko Sunset Hall
Title: brane
OPEN 17:30 / START 18:00
ADV ¥4,800 / DOOR ¥5,500
Ticket Info: TBA
LIVE: Laraaji + more
Visual Installation: COSMIC LAB
info: https://www.newtone-records.com

■9/17月・祝 京都 at Metro
Title: Laraaji Japan Tour in Kyoto supported by 外/Meditations
OPEN 18:30 / START 19:30
ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000
Ticket Info: 公演日・お名前・枚数を(ticket@metro.ne.jp)までお送りください。
LIVE: Laraaji + more
more info: https://www.metro.ne.jp

https://laraaji.blogspot.com

”DBS 22ND x BUTTERZ 8TH” Birthday Bash!!! - ele-king

 最近都内で盛り上がっているパーティってなんだろうって訊くと、グライムやジャングルっていうんですよ。若い世代がそっちいってるんですって。若い連中は気が付いたら吸収するのが早いからね。とくにSWINDLEの人気はすごいっていうんですけど、まさに良いタイミングで来日することになりました。今年で22周年目を迎えるDBSは、UKのストリートの生のヴァイブがそのまま詰め込まれたかのようなレーベル、〈BUTTERZ〉との合同パーティです。
 SWINDLEをはじめ、レーベル主宰者のELIJAH & SKILLIAM、ベース・ミュージックの女王と呼ばれるFLAVA D、UKガラージのベテランののDJ QやグライムのトップDJとして活躍するROYAL-T……という豪華メンツに加えて、日本からもいま勢いに乗っている連中から成熟したベテランまでが集結。ダブル・クラッパーズもDBS初登場? いずれにせよ、これは熱い夜になること必至。

UNIT
SWINDLE
FLAVA D
DJ Q
ROYAL-T
ELIJAH & SKILLIAM
TQD

Host MC: ONJUICY
Vj: SO IN THE HOUSE

SALOON
ANDREW
DJ DON
DJ MIYU
DOUBLE CLAPPERZ
HALU
HARA (HYPERJUICE)
NATURAL VYBZ ft. MANISH-T
PART2STYLE SOUND
PRETTYBWOY
SHINTARO
TETSUJI TANAKA

Live Paint: THE SPILT INK

【会場】:東京: 代官山 UNIT & SALOON
【日時】:11/10 (土)open/start: 23:30
【料金】:前売: 3,000yen 当日: 3,500yen

【チケット】
▼PIA (0570-02-9999/P-code:128-077)
 https://t.pia.jp
▼ LAWSON (L-code:72435)
 https://l-tike.com
▼e+
 https://eplus.jp/sys/main.jsp
 ※(UNIT携帯サイトから購入できます)
▼RA
 https://jp.residentadvisor.net/events/1154526
▼iFLYER
 https://admin.iflyer.tv/apex/eticket/?id=306445
▼clubberia
 https://clubberia.com/ja/events/280981-DBS22ND-x-BUTTERZ8TH-Birthday-Bash/

▼下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)
▼渋谷/TECHNIQUE(5458-4143)
…………………………………………………………………………………………………
info.
▼UNIT
info. 03.5459.8630
UNIT >>> www.unit-tokyo.com
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO

※再入場不可/No re-entry
※20歳未満入場不可。要写真付身分証/Must be 20 or over with Photo ID to enter.

★SWINDLE
グライム/ダブステップ・シーンの若きマエストロ、SWINDLEは幼少からピアノ等を習得、レゲエ、ジャズ、ソウルから影響を受ける。16才でスタジオワークに着手し、インストのMIX CDを制作。07年にグライムMCをフィーチャーした『THE 140 MIXTAPE』がラジオDJから支持され、注目を集める。09年には自己のSwindle Productionsからインストアルバム『CURRICULUM VITAE』を発表。その後はPlanet Mu、Butterz等からUKG、グライム、ダブステップ、エレクトロニカ等を自在に行き交う個性的なトラックを連発、12年にはMALAのDeep Mediから"Do The Jazz"、"Forest Funk"を連発、ジャジー、ディープ&ファンキーなサウンドで評価を決定づける。13年のDeep Mediからのアルバム『LONG LIVE THE JAZZ』は話題を独占し、初来日も果たす。またフュージョン界の巨匠、LONNIE LISTON SMITHとの共演、自身のライヴパフォーマンスも大反響を呼ぶ。14年、GILLES PETERSONのレーベル、Brownswoodから発表されたシングル"Walter's Call"ではジャズ/ファンク/ダブベースの真骨頂を発揮。15年には過去2年間にツアーした世界各地に触発されたアルバム『PEACE,LOVE & MUSIC』をButterzから発表、新世代のブラック・ミュージックを提示する。そして17年にはブラジリアン、Pファンク~本家のドープなグライムまで、ボーダーレスなサウンドとデザインが描く一大絵巻『TRILOGY IN FUNK』をリリース。そして18年も新作のリリースが予定されている。"Mr.Music"と呼ぶべきSWINDLEの快進撃は止まらない!
https://www.youtube.com/watch?v=D1JxUYNw7fI

★FLAVA D
UKガラージ、グライムを始めとする現在のUKベースミュージックシーンの最重要プロデューサー/女王DJ FLAVA D。幼少からカシオキーボードで遊び、14才からレコード店で働き、16才から独学でプロデュースを開始。当時在住の英国南部ボーンマスでは地元の海賊放送Fire FMやUKガラージの大御所、DJ EZの『PURE GARAGE』を愛聴、NASやPETE ROCKにも傾倒した。09年以降、彼女の作ったリディムはWILEYを始め、多くのグライムMCに使用され、数々のコンピに名を残す。12年には重鎮DJ、SUR SPYROのPitch Controllerから自己名義初の"Strawberry EP"を発表、13年からは自身のBandcampから精力的なリリースを開始。やがてDJ EZがプレイした彼女の"Hold On"を聴いたELIJAがアプローチし、Butterzと契約。"Hold On/Home"のリリースを皮切りにROYAL-Tとのコラボ"On My Mind"、またROYAL-T、DJ Qとのトリオユニット、TQDによる"Day & Night"等のリリースで評価を高め、UKハウス、ガラージ、グライム、ベースライン等を自在に行き交うプロダクションと独創的なDJプレイで一気にブレイク。16年のMIX CD『FABRICLIVE88』を経て17年5月にTQDのデビューアルバム『UKG』をリリース、そして18年にはTQDでBBC Radio 1のレジデントDJに抜擢れた他、ロンドンの人気クラブ”XOYO”で13週に渡りレジデンシーを務める等、UKベースクイーンとして世界に君臨している。16年から3年連続の来日!

★DJ Q
2000年代前半にシェフィールドのクラブ"Nicheから胎動した"BASSLINE"は英国北部を中心にしたアンダーグラウンドな"ゲットー・ダンスミュージック"から現在、ベースミュージックの最前線として世界各地に広まっている。そんなベースライン界の中心的存在がDJ Qである。85年北部のハダースフィールドに生まれた彼は12歳でUKガラージシーンに参入、15歳で地元パーティーでプレイを始める。着実にスキルアップし、04年にはBBCラジオ 1Xtraに抜擢され、"UKG Mix Show"を開始、また第1作"Love Like This"を発表し、台頭するベースラインにフォーカスする。その後も数々のインディーレーベルからコンスタントにリリースを重ね、07年に自己のQ Recordingsから発表したMC BONESと共作曲"You Wot"は名門Ministry Of Soundのサブレーベルから再発され、08年にUK TOP50に入る大ヒットとなる。12年に8年間務めた1Xtraを勇退、制作は加速し、初のMIX CD『ENTERS THE UNKNOWN』、ダブプレート集大成『THE ARCHIVE』で飽くなき創造力を示し、2ステップ回帰の"Brandy & Coke"、ルーツレゲエの新解釈となる"Dibby Dibby Sound"がヒット。100作以上のプロデュースワークと平行してDJ活動も多忙を極め、17年の"All Night, All Week"と題するUKの9都市を巡るツアーはトータル50時間を超すロングセットとなる。そして18年1月、同ツアーのショーケースアルバム『ALL NIGHT』を発表、高揚するソウルフルなグルーヴで圧倒的なDJ Qの世界を創っている。そして満を持して『FABRICLIVE99』に登場、今ノリに乗る中、待望の初来日を果たす!

★ROYAL-T
次世代のグライム/UKガラージDJ、プロデューサーとして彗星のごとく現れ、トップに君臨するROYAL-T。90年サウサンプトンに生まれた彼はカレッジ時代、グライムにハマり、ELIJAH & SKILLIAMが主宰する"grime forum"の常連となる。ZINCの"138 Trek"、2ステップのOXIDE & NEUTRINO、そしてJME、SKEPTA、WILEYらグライムアクトの影響下、ビートメイクを続け、08年のデビュー作"The Royalistic EP"を経て09年の"1 Up"がELIJAHの助言でP MONEYのヴォーカルが乗リ10年に大ヒット、11年にはButterzから"Orangeade EP"をリリース、シーンに頭角を現す。またRinse FMで2時間のレギュラーを務め、12年にP MONEY、TERROR DANJAH、ROSKAらをフィーチャーした1st.アルバム『RINSE PRESENTS ROYAL-T』をRinse Recordingsから発表。その後も"I Know You Want Me"、FLAVA Dとのコラボレーション"On My Mind"、P MONEYをフィーチャーした"Shotta" 等々、UKガラージ、グライムのビッグチューンを連発、15年にはFLAVA D、DJ Qとのドリームチーム、TQDもスタートし、シングル"Day & Night"、"Only One / Ghosts"のリリースを経て17年3月、アルバム『ukg』を発表、まさにUKガラージの金字塔を打ち建てる。OUTLOOK FESTIVAL 2014 JAPAN LAUNCH PARTYでP MONEYと初来日、今年5月のVISIONでの公演に続く3度目の来日。

TQD(Royal-T, DJ Q, FlavaD) :
https://www.youtube.com/watch?v=bgawMsc4m6E

★ELIJAH & SKILLIAM
UK発祥グライムの新時代を牽引するレーベル/アーティストコレクティヴ、Butterzを主宰するELIJAH & SKILLIAM。東ロンドン出身の二人は05年、ハートフォードシャーの大学で出会いグライムで意気投合、学内のラジオやブログを始め、08年にグライムシーンの情報交換の場となる"grimeforum.com"を立ち上げる。また同年グライムDJとしてRinse FMでレギュラー番組を始め、知名度を確立。10年には自分達のレーベル、Butterzを設立しTERROR DANJAHの"Bipolar"でリリースを開始。11年Rinse RecordingsからELIJAH & SKILLIAM名義のMIX CD『RINSE:17』を発表、グライムの新時代を提示する。その後ButterzはROYAL-T、SWINDLE、CHAMPION等と契約、インストゥルメンタルグライムを全面に打ち出し、シーンに新風を吹き込む。その後ロンドンのトップヴェニュー"Fabric"のレギュラーを務め、14年には初来日、そしてトップDJの証となるMIX CD『FABRICLIVE 75』がリリースされる。その後も同時代にフォーカスしたMIX CD『GRIME2015』、『GRIME2016』、『GRIME2017』をButterzから発表、フィーチャリングのトップMC'Sは勿論、シーンの内外から絶大な支持とリスペクトを受けている。
https://www.youtube.com/watch?v=DyQpq128wO0


【大阪公演】
11.09(fri)
Swindle×Flava D
open 23:00
adv:\2500+1drink door:\3000+1drink
at
Circus-Osaka
https://circus-osaka.com/event/swindlexflava-d/

info.
Circus-Osaka
https://circus-osaka.com/

食品まつりa.k.a foodman - ele-king

 毎週金曜、テレビ朝日の『dele』を楽しみにしていたのに早くも来週で終わってしまう(第2話でいきなりコムアイが死にましたね)。「いじめ」を扱った第6話は(以下、ネタバレ)ブルー・ホエールやモモといった自殺サイトの問題もストーリーの背景に織り込んであって、かなり見応えがあった。菅田将暉演じる真柴祐太郎が『そこのみにて光り輝く』の大城拓児を彷彿とさせるのも良かった。
『dele』はしかし、放送時間が一定せず、時によってはフジテレビ系『脱力タイムズ』と被ってしまうのが難であった(録画すればいいんだけどね)。『脱力タイムズ』はいま、日本で一番面白いTVのお笑いコンテンツではなかろうか。報道番組と称してコメンテイターがあれこれと解説を垂れ流すものの、どれも内容はズレていて、テーマに沿って番組が進んだことはない。あるいは、コンプライアンスを重視してTVのお約束ごとに片端から注釈を入れ、自然な進行をズタズタにしてしまう要するによくある演出方法を逆手にとって、制度化してしまったTV番組を解体しつつ別次元で成立させているのである。さらには番組内で行われる告知を番組全体の構造に反映させ、告知そのものをエンターテインメント化してしまうという荒技もやってのけていた(少し古いけれどサンドウィッチマンをトランスジェンダーと想定して無茶振りしまくった『君の名は』の回は芸術的な完成度であった)。なんというか、視聴率三冠王と言われる日本テレビが人間性を露わにすることで視聴者に強くアピールしているのに対し、ことごとく不自然であろうとするのが『脱力タイムズ』であり、ここには現在のTV文化が何をやっているのかを問う「メタ視線」が随所にあふれている。

 食品まつりの音楽には、これと同じ「メタ視線」が多分に含まれている。かつて中原昌也が「スロッビン・グリッスルはカッコいいと思ったけれど、それをそのまま日本という風土でやるのは恥ずかしい」と認識していたことと同じ、要するに自意識の有無である。食品まつりがシカゴのジュークに影響を受け、その列に素直に加わってしまうのではなく、「日本でシカゴのジュークを聴くこと」がどのような効果を日本人にもたらすか、それを分かった上で彼はジュークをつくっているといえる。シカゴのストリートでは切迫感やフィジカルな要素がまさっていたのかもしれないけれど、日本ではそれよりも笑いのセンスが強かったともいえるし、ジュークが持っていたもっと別な可能性を引き出してきたとも言える。あるいは、『ARU OTOKO NO DENSETSU』まで来てしまうと、ジュークからも離れて「可能性」はどんどんひとり歩きを始め、類い稀なオリジナリティへと辿り着いたことも確かだろう(2012年のデビュー・カセットから前作『Ez Minzoku』まではエレキング20号で作品ごとに解説しているのでそちらを参照ください)。前後してリリースされたジュークの創始者、RP・ブーの新作『I’ll Tell You What!』にも「Cloudy Back Yard」という奇妙な曲が収録されている。これもかなりジュークからは逸脱を図ったものに聞こえるけれど、しかし、食品まつりがジュークの余白から掴み出してきたポテンシャルに比べると、やはり想定内かなという気もするし、むしろ食品まつりからのフィードバックがこれを作らせたのかなと?

 食品まつりはまたジュークだけを出発点にしていたわけではなく、ゼロ年代にアメリカのアンダーグラウンドで様々に試みられていた実験音楽がその背景にあることは、彼の作品がブラッド・ローズの〈Digitalis Recordings〉やマシュー・セイジの〈Patient Sounds Intl.〉からリリースされてきたことがそのままを語っている。『ARU OTOKO NO DENSETSU』がリリースされたのもゼロ年代末から西海岸サウンドの刷新に努めてきたサン・アローからのレーベルで、かつてなく空間性に富んだ内容もサン・アローがここ数年、展開してきた余白の多いサウンドとも共振性が高く、ユーモラスな作風の受け皿としては実に納得がいく。この浮遊感と脱力感。ポコポコとしたアンビエンスは日本独自のテクスチャーとも思えてくるし、もしかして意外な角度からコーネリアスを脅かす存在になっていくのかもしれない。
 ちなみにアートブックがつくらしいんですけど、筆者はそれがどんなものかわかっておりません。

Oliver Coates - ele-king

 そうじゃない。そういうことじゃないんだ――。
 きっとあなたも経験したことがあるだろう。いわゆる正統なクラシカルの教育を受けたアーティストがエレクトロニクスを導入してテクノやIDMを試みたときの、あのどうしようもない違和感。たいてい電子音やノイズは装飾の域に留まっているし、それを肴にストリングスやピアノが酒宴を張るだけの結果に終わってしまうこともしばしば。あるいは逆に、身体性を意識するあまりビートが妙に強調されすぎていたり。違和感というよりも「残念」とか「無念」といったほうが的確かもしれない。

 ジョニー・グリーンウッドとの共同作業によりぐんぐんと知名度を上げているロンドン・コンテンポラリー・オーケストラ、その一員たるオリヴァー・コーツもまた、そのようなクラシカルの文法をしっかり身につけたチェロ奏者だ。いや、「しっかり」なんてもんじゃない。かつて王立音楽アカデミー史上最高の成績を収めたというのだから、相当なエリートである。その気負いもあったのかもしれない。彼のファースト・アルバム『Towards The Blessed Islands』(2013年)は、クラシカル~現代音楽のなかで「しっかり」前衛を追求する作品だった。
 ただ、彼がそのアルバムでスクエアプッシャーをカヴァーしていたことは心に留めておくべきだろう。原曲は『Ultravisitor』所収の小品“Tommib Help Buss”で、複雑なリズムや音響が展開されるものではないが、その選曲は、オリヴァー・コーツのなかにクラシカルとは異なるプログラムが走っていることを教えてくれていた。
 そこから遡ること5年、彼はバービカンでおこなわれたミラ・カリックスのパフォーマンスにチェロで参加しており、その成果は『The Elephant In The Room: 3 Commissions』(2008年)として音源化されている。そのとき縁が結ばれたのか、翌年ふたりは〈Warp〉が設立20周年を記念して編んだコンピレイション・シリーズ『Warp20』でボーズ・オブ・カナダの楽曲をカヴァーしてもいる。これらの事実に、彼がオウテカのファンであるという情報を付け加えれば、いかにオリヴァー・コーツがIDM~エレクトロニカを愛好する音楽家であるかがわかるはずだ。

 そんな背景を持つ彼もまたきっと、あの「そうじゃない」という感覚を味わったことがあるに違いない。だからだろう、その後オリヴァー・コーツは、映画のスコアなどを除けば、基本的にIDM~エレクトロニカの側に軸足を置くことになる。弦の音響効果から巧みにダンス・グルーヴを抽出した2014年のシングル「Another Fantasy」はその最高の成果のひとつだし、積極的にエレクトロニクスを導入したセカンド・アルバム『Upstepping』(2016年)もその延長にあるといっていい。そうした正統なクラシカルからの離脱運動は、〈RVNG〉へと籍を移して発表されたこの新作『Shelley's On Zenn-La』において、よりいっそう推し進められている。

 彼の長年の相棒であるチェロはほとんどの曲においてエフェクトが施され、はっきりそれとわかるかたちでは鳴らされていない。本作を覆っているのはむしろ、リチャード・D・ジェイムスの影だ。“Charlev”や“Perfect Apple With Silver Mark”などは音の響かせ方やドラムの部分でいやでもエイフェックスを想起させるし、“Faraday Monument”や“Cello Renoise”なんかは完全にドリルンベースの再解釈である(前者はどちらかというとトム・ジェンキンソン寄りかも)。とはいえ、それがたんなるモノマネに陥っているわけではないところが本作の魅力で、そのような往年の〈Warp〉を彷彿させる音響空間に、「違和感」なく女性ヴォーカルや加工されたチェロを重ね合わせていく手腕は見事というほかない。“A Church”の紡ぎ出すグルーヴの心地良さといったら!

 オリヴァー・コーツは近年、ミカチューことミカ・レヴィと何度もコラボを重ねているが、直近でもっとも注目すべきなのはアクトレスとの共演およびローレル・ヘイロー新作への参加だろう。クラシカル畑出身でありながらその文法に依拠しない彼の態度が、尖鋭的な電子音楽の俊才たちを惹きつけてやまないのだ。
 この『Shelley's On Zenn-La』にはあの「そうじゃない」がない。本作はなによりもまずエレクトロニカとして優れた作品であり、だからこそモダン・クラシカルとしても高い完成度を有することができているのだと、そう思う。けっして、逆ではない。


ハテナ・フランセ - ele-king

 慣れない猛暑にすっかりバテているパリジャンの野次馬心に火を付けた、ゴシップをお伝えしたく。

 8月1日オルリー空港で、フレンチ・ラップ界のトップに君臨するBooba(ブッバ)とその元舎弟ラッパーKaaris(カリス)が、取り巻きと共に乱闘を繰り広げて逮捕された。その様子は当然スマホで押さえられ、SNSで実況中継され、ファンを大変興奮させた。このニュースは、ネタの少ない夏ということもあり、ゴシップ誌だけでなく、大手新聞各社も総じて取り上げた。フランスを代表する新聞のル・モンド(Le Monde)紙をして「フレンチ・ラップ界で最も待ち望まれた乱闘」とブチ上げるほど。だが、このタイトルは実は大袈裟ではないのだ。

 ことの経緯に入る前に、まず両ラッパーの紹介を。
 多くのラッパーと同じくBoobaも貧困層から這い上がった。パリ郊外シテ(低所得者層向け団地)出身の典型的なバッドボーイだ。ラッパーとしてデビューした後も、ガチであることを知らしめる事件をたびたび起こしている。タクシー強盗で実刑を食らった前科を持ち、銃撃事件で逮捕されたこともある(この時は証拠不十分で不起訴)。そして実母と実弟が誘拐される事件まで起きている。まさにギャングスタを地で行く、フランスを代表するサグ・ラッパーだ。自らを「Duc de Boulogne(デュック・ドゥ・ブローニュ=ブローニュの公爵)と名乗るところも、エゴ肥大系ラッパーとして100点満点のアティテュードだろう。

 一方で、Boobaはビジネスマンとしても成功している。今となってはフランスのラッパーの定番といえる自らのストリート・ブランドの設立。それをまだフランスではあまり盛んでなかった2004年に、セカンド・ソロ・アルバムをリリースしたばかりで早くも成し遂げた。2014年には新しいアーティストの発掘とそのプロモーションの場として、ウェブサイトOKLM(オカエレム)をスタートしたり、同じ趣旨でケーブルTV局も2016年に立ち上げた。

 2017年にリリースした9枚目となる最新アルバム「Trône」では、「ゲーム・オブ・スローンズ」を思わせるジャケ写でドヤ顔を披露。Jul、PNLら新参アーティストやOrelsanなど、2017年はヒップホップの大ヒット・アルバムが多くリリースされた。その中にあってBoobaは、リリース2週間で10万枚のセールスを上げ、アルバム・タイトル通り王座に座り続けていることをアピールした。またアルバム・リリース後は、フランス中の大規模ロック・フェスのヘッドライナーを務めている。このようにヒップホップ・リスナーはもちろんのこと、フランスのオーディエンスにとってBoobaという存在はいまだ大きなものなのだ。

 対するKaarisはコートジボワール出身。父親の死後、母親は7人の子供を連れてフランスに移住。パリ市内の女中部屋(19世紀に建てられた豪華なアパルトマンの屋根裏には、トイレ、シャワー共有、10㎡くらいなどの悪条件の使用人用の部屋がある)を経て、パリ郊外サン・ドニのシテに落ち着く。90年代終わりにシーンに登場したKaarisは、Boobaと違いすぐにブレイクした訳ではない。2012年にBoobaの楽曲”Kalash” にフィーチャーされたことをきっかけに注目される。

 その後もお互いの楽曲に客演し合い、Kaaris はすっかりブローニュの公爵の近衛兵となった。2013年にリリースしたソロ・アルバム”Or noir”が8万枚のヒット。下品でマッチョ、フレンチ・ラップのトラップ代表格として、子供たちの間でも大変な人気を博し、良識ある親たちを辟易させた。

 そんな2人がなぜ乱闘騒動を起こすことになったのか。端的にいうとBoobaとRohffというラッパーとのビーフにKaaris が加勢しなかったから。90年代終わりには競演もしていたBoobaとRohffだが、Rohffがメインストリーム方向に舵を切ったころから対立し始め、2010年代にはフレンチ・ラップ界きってのビーフとなる。2014年にはRohffと取り巻きがBoobaのストリート・ブランドの路面店を襲撃して、店員暴行事件まで起こしている。そのようなガチ対立の中、KaarisはBooba陣営であることをハッキリ表明させなかったとしてブローニュの公爵はご立腹、かつての舎弟とのビーフが勃発した。お互いにSNS上を主な舞台にやり合っていたのだが、ついにこの8月3日にフィジカルな衝突が発生。彼らはイビザのクラブに同日にブッキングされていた。どうやらBoobaがブッキングされたのを知って目と鼻の先のクラブがわざとKaarisをブッキングしたらしく、バッドボーイを看板に掲げるビーフ関係のラッパー2人が、オルリー空港で鉢合わせした。誰かが意図的に工作したとしか思えないこの”偶然の”出会い。真相はどうにしろ、挑発的な状況であったことは確かだ。そしてコワモテが信条の二人が、この偶然を黙ってやり過ごしたらそのイメージに齟齬が生じる。やらない、という選択肢はなかったのではないだろうか。

 監視カメラの映像によると、その”待望の”衝突を先制したのはBoobaらしい。免税店などをぶっ壊し、居合わせた乗客に大変な迷惑をかけたが、乱闘自体で重傷者が出ることはなかった。空港セキュリティと警察により制圧され、Booba側が本人入れて8人、Kaaris側が本人含む6人が逮捕された。8月3日の予審の様子は各新聞が取り上げた。左寄りインテリ紙ラ・リベラシオン(La Libération)ですら「Kaarisのチケットいくらか知ってっか? ここならターダーよ、兄弟!」と、ファンが大量に押しかけた様子などを詳細にレポート。ファン・ミーティングなみの興奮の中、9月4日まで裁判が延期されることが決定。彼らの夏の公演やフェス出演は全てキャンセルとなった。特にBoobaはフェスではヘッドライナー級なので、多大な損害が生じた。すぐにSNS上で「B2O(Boobaの略称)K2A(Kaarisの略称)を解放せよ! ベナラ(大統領側近でデモ参加者に違法に暴行を働いた)は捕まらないのにラッパーは拘留か!」と抗議が起きた。一旦却下された釈放が認められ、両者とも8月23日に3万ユーロの保釈金を支払い一旦釈放となった。9月4日の裁判では、重ければ10万ユーロの罰金と10年の実刑の可能性もある。特にBoobaは、パリ郊外再開発近代都市、ラ・デファンスで4万人を収容する「La Defence Arena」の大規模な公演を10月13日に控える身。裁判の結果次第では、さらに大きな経済的ダメージとなることもあり得る。その裁判の結果をフランス中が好奇心満々で待ち受けている。

 古くはマクドナルド、そしてスターバックスを経てアマゾンなどアメリカ・モデルに懐疑的なフランス。だがヒップホップに関しては、ケンドリック・ラマーからデザイナーまでアメリカのアーティストも熱狂的に支持され、ギャングスタ・スタイルも1ジャンルとして定着している。なぜならフランス人にとってヒップホップはアメリカから輸入されたという意識が少ないからだ。80年代にはフランスにヒップホップが輸入され、ゲットーの音楽としてリアルに根付き、フレンチ・ラップが勃興する。憂さ晴らし、もしくは貧困から抜け出す為の手段としてサッカーとラップは貧困層を中心としたフランスの若者たちにとって「自分たちの言語」になったのだ。だからこそフランス社会の底辺から成り上がったBoobaやKaarisの一挙手一投足は、彼らがかつて属した底辺にいる若者たちにとって他人事ではないのだ。

Louis Cole - ele-king

 去る8月、幕張メッセのステージを丸ごとジャックし、会場を歓喜の空間へと変成した〈ブレインフィーダー〉。その熱風はまだまだ吹き荒れております。サンダーキャットの『Drunk』に楽曲を提供し、また先日同レーベルから自身のアルバム『Time』をリリースしたばかりのルイス・コールが、なんと今年の年末、待望の来日を果たします。東京はWWW X、京都はメトロでの公演です。どうやら2018年は最後まで〈ブレインフィーダー〉祭りが続くようですね。詳細は下記よりご確認ください。

〈BRAINFEEDER〉からアルバム『TIME』をリリースし話題沸騰中!
レッチリ、フライロー、クインシー・ジョーンズも絶賛するやべぇ奴
ハイパー・マルチスペック・アーティスト、ルイス・コールが来日決定!

先日のソニックマニアでも話題と観客をかっさらったフライング・ロータス主宰レーベル〈BRAINFEEDER(ブレインフィーダー)〉。今年10周年を迎えますます勢いづくそのレーベルから、話題のアルバム『Time』をリリースしたばかりのルイス・コールの来日公演が決定! 強烈にグルーヴィーでスウィートな名曲たちがギッシリ詰まった新作の他、レーベルメイトであるサンダーキャットの大ヒット・アルバム『Drunk』への楽曲提供・プロデュース参加でも証明してきた、その優れたソングライティング能力はもちろん、ドラマー、そしてマルチ・プレイヤーとして、ブラッド・メルドーやラリー・ゴールディングスら現代最高のジャズメン、そして故オースティン・ペラルタ等とセッションを重ねていたその凄腕を、この来日公演で目撃せよ! これは見逃し厳禁!

TOKYO: 2018/12/13 (THU) @WWW X
OPEN 19:00 / START 19:30

KYOTO: 2018/12/14 (FRI) @METRO
OPEN 18:30 / START 19:00

前売¥5,800(税込)
別途1ドリンク代 / ※未就学児童入場不可

チケット詳細

東京公演
先行発売:
9/3 (Mon) 18:00~
●主催者先行:Beatinkにて
9/5 (Wed)~
ローチケ・プレリクエスト:9/5 (Wed) 正午12:00 ~ 9/10 (Mon) 23:00
イープラス・プレオーダー:9/5 (Wed) 正午12:00 ~ 9/13 (Thu) 18:00
ぴあプレリザーブ:9/8 (Wed) 10:00 ~ 9/13 (Thu) 23:59
一般発売:
9/15 (Sat)~
イープラス
ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード: 74741)
チケットぴあ 0570-02-9999
Beatink
Clubberia
iFLYER

INFORMATION: BEATINK 03-5768-1277 / www.beatink.com

京都公演
先行発売:
9/3 (Mon) 18:00~
●主催者先行:Beatinkにて
9/5 (Wed)~
イープラス・プレオーダー:9/5 (Wed) 正午12:00 ~ 9/10 (Mon) 23:00
ローソン・プレリクエスト:9/5 (Wed) 正午12:00 ~ 9/10 (Mon) 23:00
一般発売:
9/15 (Sat)~
イープラス
ローソン (Lコード: 56266)
ぴあ

INFORMATION:METRO 075-752-2787 / info@metro.ne.jp

変態チックで憎めないルイス・コールのキャラが炸裂!

When You're Ugly (feat. Genevieve Artadi)
https://youtu.be/vS4NxiURhEw
Things
https://youtu.be/RhllQAiEQlM

全パートを自らが演奏するパフォーマンス映像でハイパー・マルチスペック・アーティストの片鱗をチェック!
Phone
https://youtu.be/a6LhO7YsayY

LOUIS COLE | ルイス・コール
LAを拠点に活動するシンガーソングライター、プロデューサー、ドラマー/マルチ・プレイヤー。楽器演奏や作曲・アレンジの多くを鍵盤/管楽器奏者の父、スティーヴ・コールから教わり、南カリフォルニア大学でジャズを学ぶ。ドラマーとして、ブラッド・メルドーやラリー・ゴールディグスら現代最高のジャズメン、そして故オースティン・ペラルタらとセッションを重ねる凄腕でもある。ジェネヴィーヴ・アルターディとのエレクトロ・ポップ・ユニット、ノウワーとしても活動する中、ソロではブライアン・ウィルソン、マイケル・ジャクソン、ジェームス・チャンスなどをバックボーンにもつポップ・ミュージック職人としてサンダーキャットの大ヒット作品『Drunk』にも楽曲を提供。2018年には待望の3rdアルバム『TIME』を〈Brainfeeder〉よりリリース。

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Louis Cole
title: Time
release date: 2018.08.10 FRI ON SALE

ジャズを学び、プレイヤーとしてもメインのドラム、曲作りで主に使うというキーボードなど多くの楽器を自ら演奏するルイス。トニー・ウィリアムス、ジャック・ディジョネット、ネイト・ウッド、キース・カーロックといったドラマーたちに憧れた超絶ドラマーである一方で、彼が築き上げた特異な世界観には『2001年宇宙の旅』や『トロン』といった映画からの影響や、子供の頃にハマったという「マリオカート」や「スターフォックス」といったゲーム音楽からの影響も垣間見られる。秀でたソングライティング能力にスウィートなファルセット・ヴォイス、そして強烈なファンクネスを併せ持った類い稀な才能の持ち主である。

クインシー・ジョーンズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、フライング・ロータスら、普通では考えられないような面々からこぞって賞賛を受けているルイス・コール。クインシー・ジョーンズは、ルイス・コール率いるノウワーを「クインシー・ジョーンズ・プレゼンツ」の名を冠して行うイベントに出演させている。ルイスはクインシー・ジョーンズの自宅リビングに招待され、マイケル・ジャクソンのカバーを聴かせたときのことを次のように振り返る。

それがある意味オーディションみたいなものだったんだと思う。僕は自分のMIDIキーボードを持参していて、彼はワカモレを食べながら曲に夢中になっていた……部屋には3人しかいなくて、何もかもが現実離れしていた。
- ルイス・コール

一方でルイス・コールは、誰もが自由にその才能を世界に向けて発信し、そこから無限大の可能性が広がる時代を体現している存在の一人でもある。パフォーマンス映像と共に、YouTubeで公開していたユニークな楽曲群が口コミで広がり、ついにはそれを見たレッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー・キーディスが、彼らのワールドツアーにルイス・コールを抜擢した。

自分がどうしてレッド・ホット・チリ・ペッパーズのツアーに出てくれって頼まれたのか、さっぱりわからなかった。ローマの会場でステージ裏にいるときも、自分がなぜここにいるのか相変わらずわかってなかった(笑)。そこにアンソニー・キーディスがやってきて、僕をまっすぐ見ながらこう言ったんだ。『なあ、俺はあの“Bank Account”って歌がたまらなく好きなんだ。とんでもなくファンキーだからな』。 - ルイス・コール

アンソニー・キーディス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)絶賛のビデオがコチラ!
bank account (short song)
https://youtu.be/dAH4zGd_W1s

サンダーキャットのバンド・メンバーであり、本作にも参加しているデニス・ハムの紹介で、サンダーキャットとフライング・ロータスに出会ったルイス・コール。〈Brainfeeder〉の一員で2012年に他界したピアニストのオースティン・ペラルタとも活動。サンダーキャットをベースに迎えたオースティン・ペラルタ・トリオで演奏していたこともある。特別な友人関係を築いたというサンダーキャットとは、彼の『Drunk』で、ルイスが“Bus In The Streets”と“Jameel's Space Ride”の2曲を共同プロデュースしている一方、今作『Time』では、サンダーキャットが“Tunnels in The Air”にヴォーカル参加している。

その他本作には、現代ジャズ・ピアニストの最高峰にて、先鋭的なスタイルでも多くに影響を与える鬼才ブラッド・メルドー、そしてアメリカン・クラシックの興隆に大きな役割を果たしたことで知られるイーストマン音楽学校のロチェスター・ストリングスが参加し、24人編成のストリングスとともにレコーディングが行われている。

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9754

Noise Assembly by Asian Meeting Festival - ele-king

 2005年に大友良英が新宿ピットインで企画した自主イベントから数えて8回めとなるアジアン・ミーティング・フェスティバル(AMF)がいよいよ開催される。

 2014年から昨年まで国際交流基金の主催のもとで開催されてきたAMFは、今年は国際交流基金を離れて台湾での芸術祭とコラボレートする。台北コントポラリー・アート・センターと協力し、阿里山と台南にて一週間にわたる「サウンド・ツアー」を敢行した後、台北アート・フェスティバルの一環として9月8日、9日の二日間にわたって「ノイズ・アセンブリー」と題した音楽祭を行う予定である。

 dj sniff とユエン・チーワイのキュレーションのもと開催される今年のAMFは、スキップ・スキップ・バン・バンやアリス・チャンなど台湾出身で過去にAMFに参加したアーティストに加えて、台湾の実験的な音楽シーン(現地では「実験音楽」よりも「サウンド・アート」という呼称の方が一般的なようだ)における「第一世代」のフーレイ・ワンやディーノ、あるいは Meuko!Meuko!やベティー・アップルなどの新世代、さらに近隣諸国からゴ・トラー・ミー(ハノイ)、スダーシャン・チャンドラ・クマー(クアラルンプール)、ワンナリット・ポンパラユン(バンコク)、トニー・マヤーナ(ジョグジャカルタ)、エリック・カリラン(マニラ)ら気鋭のアーティストが参加する。大友良英による「日本とアジアのミュージシャンの交流をもっと盛んにしたい」という思いから始まったAMFは、第1回から13年の時を経て、台湾を舞台に、台湾のアーティストを中心に開催されることになった。一体このような事態になると誰が予測し得たのだろうか。

 関連イベントとして「ノイズ・アセンブリー」前夜の9月7日には大友良英による市民参加型のワークショップが開催されるほか、大阪に滞在し難波ベアーズなどでライヴを行なっていた経験もある台北のノイズ音楽家ダワン・ファンと大友によるトーク・イベントも開催。また音楽祭の翌週末には三鷹SCOOLにて「ノイズ・アセンブリー」の成果と可能性をいち早く検証するレクチャー・イベントも開催される予定だ。

 いま台湾では音にまつわる面白く新しい出来事が起きている。わたしたちはそろそろそのことに気づいた方がいい。(細田成嗣)

Noise Assembly by Asian Meeting Festival
https://asianmusic-network.com/archive/2018/06/noise-assembly-by-asian-meeting-festival.html

Noise Assembly by Asian Meeting Festival

Day1(※チケット売り切れ)
日程:2018年9月8日(土)19:30
会場:中山堂(台北市延平南路98號)
料金:800台湾ドル
出演:大友良英(日本)、dj sniff(日本)、ユエン・チーワイ(シンガポール)、ゴ・トラー・ミー(ハノイ)、スダーシャン・チャンドラ・クマー(クアラルンプール)、ワンナリット・ポンパラユン aka ポック(バンコク)、トニー・マヤーナ(ジョグジャカルタ)、エリック・カリラン(マニラ)、王福瑞/フーレイ・ワン(台北)、Skip Skip Ben Ben(台北)、張欣/シェリル・チャン(台北)、張惠笙/アリス・チャン(台南)、劉芳一/ファンギー・リュウ(高雄)
https://www.taipeifestival.org/FilmContent.aspx?ID=14

Day2
日程:2018年9月9日(日)19:30
会場:中山堂(台北市延平南路98號)
料金:800台湾ドル
出演:大友良英(日本)、dj sniff(日本)、ユエン・チーワイ(シンガポール)、ゴ・トラー・ミー(ハノイ)、スダーシャン・チャンドラ・クマー(クアラルンプール)、ワンナリット・ポンパラユン aka ポック(バンコク)、トニー・マヤーナ(ジョグジャカルタ)、エリック・カリラン(マニラ)、Meuko!Meuko!(台北)、許雁婷/ユエンティン・シュー(台北)、黃大旺/ダワン・ファン(台北)、鄭宜蘋/Betty Apple/ベティー・アップル(台北)、廖銘和/Dino/ディーノ(台北)
https://www.taipeifestival.org/FilmContent.aspx?ID=14

フォーラム「Sonic Ideologies」
日程:2018年9月7日(金)15:30〜
会場:中山堂 Fortress Cafe(台北市延平南路98號)
料金:無料
出演:大友良英(日本)、黃大旺/ダワン・ファン(台北)
https://www.taipeifestival.org/eventContent.aspx?EID=23

People's Orchestra Workshop
リハーサル日程:2018年9月7日(金)10:00〜13:00
リハーサル会場:臺北試演場/Taipei Backstage Pool(台北市大同區延平北路四段200號)
発表日程:2018年9月8日(土)17:00〜18:00
発表会場:中山堂 台北市延平南路98號
料金:無料
出演:大友良英
https://www.taipeifestival.org/eventContent.aspx?EID=24

「ノイズ・アセンブリー」とは何か?――AMFと台北アート・フェスティバルに見る音楽/美術の最新動向
日程:2018年9月15日(土)19:00〜
会場:三鷹SCOOL
料金:予約1,500円 当日2,000円(+1ドリンクオーダー)
出演:細田成嗣(ライター/音楽批評)、金子智太郎(美学/聴覚文化論)
ゲスト:dj sniff(AMFキュレーター/ターンテーブル奏者)
https://scool.jp/event/20180915/

Black Lodge - ele-king

 労働がしんどいのは、そこに強制が入り込んでいるからだろう。偉い人から命令されていやいや作業するケースだけではない。「こういうことをやってみたいです」と自分から積極的に提案した場合もそうである。一度それが業務として動き出してしまったら、「やっぱりやめた」と放り投げられなくなる。「みんなが迷惑する」「責任を持て」「そもそもお前が言いはじめたことだろう」と、何がなんでもやり遂げなければならない状況に追い込まれる。人の気分はつねに移ろいゆくものだというのに、ある瞬間に抱いた思いを何週間も何ヶ月も維持し続けなければならない。だから、つらい。あらゆる労働はたぶん、そんなふうに人間の自然なあり方をねじ曲げることによって成り立っている。

 ブラック・ロッジことダン・ドウェイヤーは、90年代初頭から活動するマンチェスターのプロデューサーである。かつてはゲスコムの一員だった人物で(いまも?)、ダニエル72名義ではオウテカのファースト・アルバムにもイメージの部分で関わっている。けれどもその詳細は謎に包まれており、またそれほど頻繁に音源を発表しているわけでもない。2000年前後に〈Mo' Wax〉などから数枚のシングルをリリースしており、おそらくその際に繋がりができたのだろう、2010年にはウィル・バンクヘッドの〈The Trilogy Tapes〉からカセットを出してもいるが、目立ったリリースはそれくらいのものだ。
 そんな彼が、なぜか最近になって急に活発に音源を発表しはじめている。去る7月には復活した〈Arcola〉から12インチがリリースされ、00年代初頭に〈Mo' Wax〉から出る予定だったにもかかわらずお蔵入りとなってしまっていた音源たちが、ようやく日の目を見ることになった。そして、それに続く形で送り出されたのがこの『Bitter Blood』である。副題に「A Collection Of Archival Recordings」とあるから、こちらも以前からぽつぽつと作り溜めてきたトラックを集めたものなのだろう。思いついたときに曲を作って、思いついたときに外に出す。とても自然である。

 収録されている曲たちはどれもロウファイで、そこはかとなくシネマティックな雰囲気を携えてもいる。リエディットかもしれないけれど、ぽこぽこしたビートと荒い持続音のうえをかわいらしいノイズとメロディが楽しげに通り過ぎていく“Jamais Vu”や、ご機嫌なブレイクスのうえでノスタルジックなシンセと気だるげなヴォーカル・サンプルが共演を繰り広げる“Wodwo”なんかはとってもチャーミングだし、あるいは、謎めいた音声の反復とむせび鳴く弦の共存が名状しがたい空気を醸し出す“Black & Red”や、不穏な弦がひたすらうねうねと這っていく“A Cross Inverted”など、どの曲も入念に練り上げて作ったというよりは、ぱっと思いついた組み合わせを試しているような仕上がりで、なんとも遊び心にあふれている。

 無邪気というと語弊があるかもしれないけれど、こういう素朴に音と戯れているような感じの曲たちを聴いていると、なんだか朗らかな気分になってくる。これはきっと労働の成果なんかではなくて、遊びの賜物なんだろう。誰から強制されるでもなく、とくに目的もなく、思いついたときに、思いついたまま、えいやっと試してみる。それこそが私たち人間の本性であり、自然なあり方というものだ。とまあそんなふうに、ブラック・ロッジのこの素敵な作品集は、日々の労働に追われてぼろぼろになっている私たちに、たいせつなことを思い出させてくれるのである。

Neneh Cherry × Four Tet - ele-king

 ネナ・チェリーが帰ってきました。今月冒頭、マッシヴ・アタックの3Dと組んで難民をテーマにしたシングル「Kong」を発表し大いに話題を集めた彼女が、この秋、ソロ名義としては5作目となるニュー・アルバムをリリースします。プロデュースは、2014年の前作『Blank Project』に引き続き、フォー・テットのキーラン・ヘブデンが担当(両者は2012年、カヴァー・アルバム『Cherry Thing』のリミックス盤でもコラボを果たしています)。昨年『New Energy』という素晴らしい作品を送り届けてくれた彼が、いまどんなサウンドを聞かせてくれるのかにも注目です。発売は10月19日。「Kong」に続いて公開されたセカンド・シングル「Shot Gun Shack」を聴きながら、楽しみに待っていましょう。

ネナ・チェリー、新作を10/19に発売!
フォー・テットのキーラン・ヘブデンによるプロデュース作品!
マッシヴ・アタックの3Dとコラボした第1弾先行シングル「Kong」は、ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得!
第2弾先行シングル「Shot Gun Shack」本日公開!

「今回は今まで私が長年やってきたなかでベストの部類に入るんじゃないかしら」 - ネナ・チェリー

“「Kong」は間違いなく最高の作品” - CLASH

“あれから20年以上経っても、未だチェリーは人々を魅了し続けている” - VOGUE

“波乱に満ちた時代に向け、強さの中に秘められた寛容さを表した作品” - PITCHFORK

ネナ・チェリーは、4年振り5枚目となるニュー・アルバム『ブロークン・ポリティクス』を10月19日に発売する。キーラン・ヘブデン(フォー・テット)をプロデューサーに迎えて制作されたニュー・アルバムからの先行シングル「Kong」は、3D(マッシヴ・アタック)とのコラボ作であり、ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得している。

■第1弾先行シングル「Kong」 ミュージック・ビデオ
https://bit.ly/2LXBIXC

また第2弾シングル「Shot Gun Shack」が公開された。

■第2弾先行シングル「Shot Gun Shack」
https://bit.ly/2PhL4LS

「前回のアルバムは怒りや力強さに溢れていて、一方今回のアルバムはより静かで練り込んで作った作品だと思うわ」。本作は、ネナ・チェリーの長年のパートナーであるキャメロン・マクヴィと共作した曲を、プロデューサーのキーラン・ヘブデン(フォー・テット)が仕上げていった。また、今回使用したスタジオは、彼女の父親であり歴史的ジャズ・ミュージシャンのドン・チェリー等が立ち上げたスタジオ。「このスタジオにいるとなぜかすごく落ち着くの」。

「私が好きなのは個人的な視点から曲を書くことなんだけど、私たちが生きているこの時代には自分の本当の声を探している人々が周りにいっぱい溢れている。そして人々は聞き間違いや誤解そして幻滅に悩まされながら周りから取り残されている。それに対して私は何ができる? 多分“政治”っていうのは寝室もしくは自分の家の中から始まっているもので、“行動”や“責任”というものの一つの形だと思うの。このアルバムはそのようなことに関するもの全て:心が張り裂けそうだったりがっかりしたり悲しいと感じることはあっても、耐えることを知っている。これは自由な思想や精神を無くさないための戦いね」。

先行シングルとなった「Kong」。この作品はマッシヴ・アタックの3Dとのコラボレーションで、フランスはカレーにおける難民キャンプの緊迫した状況から発生する“無知”が元になって作られた楽曲である。「カレーの街には親がまだ街に到着していなかったり、そもそも親のいない子供達があふれている。彼らはイギリスに移住しようとして、そのサポートを必要としてるんだけど、全くそれが起こる気配さえもない。思うに難民たちは他の土地に行くにしても自分の愛着のある身の回りのものとは別れたくないでしょう。私はその風景を描こうと思って、自分もそのストーリーの中に身をおいてみたの。そしてこの歌は、今いる場所を離れたくないと思っている誰か、そこに私を投影して書いたものなの」。

■商品概要

アーティスト:ネナ・チェリー (Neneh Cherry)
タイトル: ブロークン・ポリティクス (Broken Politics)
発売日:2018年10月19日(金)
品番:TRCP-235 / JAN:4571260588219
定価:2,200円(税抜)
ボーナス・トラック収録/解説:新谷洋子/歌詞対訳付
プロデューサー:キーラン・ヘブデン(フォー・テット)

[Tracklist]
01. Fallen Leaves
02. Kong (リード・トラック)
03. Poem Daddy
04. Synchronised Devotion
05. Deep Vein Thrombosis
06. Faster Than The Truth
07. Natural Skin Deep
08. Shot Gun Shack
09. Black Monday
10. Cheap Breakfast Special
11. Slow Release
12. Soldier

*ボーナス・トラック収録

[amazon] https://amzn.to/2MAmk4y
[iTunes / Apple Music] https://apple.co/2P9IaIK
[Spotify] https://spoti.fi/2BQQg7j

■プロフィール
ネナ・チェリーは、80年代ポスト・パンクの伝説のバンド、リップ・リグ・アンド・パニックでの活動、ソロ転向後は「バッファロー・スタンス」など、そしてユッスー・ンドゥールとコラボした「セヴン・セカンズ」といった数々のシングルが世界的な大ヒットを記録。またマッシヴ・アタックの『ブルー・ラインズ』、ゴリラズやピーター・ガブリエル、トリッキーなどの作品への参加と、ポップ・スターであり、ジャンルを超えた音楽のパイオニアであるというシンボリックな女性アーティスト。
スウェーデン出身。伝説のトランペット奏者ドン・チェリーは継父、イーグル・アイ・チェリーは義弟。80年代ポスト・パンク・シーン伝説のバンド、リップ・リグ・パニック、ニューエイジ・ステッパーズ、フロート・アップ・CPのボーカリストとして本格的な音楽活動を開始。
ソロ転向後、1988年にソロ・デビュー・アルバム『ロウ・ライク・スシ』をリリースし、シングル「バッファロー・スタンス」が全米3位を記録するなど大ヒットを記録。1992年2ndアルバム『ホームブルー』をリリース。1994年、ユッスー・ンドゥールとの共演シングル「セヴン・セカンズ」が世界的大ヒットを記録。1996年3rdアルバム『マン』をリリースし、シングル「ウーマン」が大ヒット。2012年にフリージャズ・トリオのザ・シングとの共作アルバム『チェリー・シング』をリリース。4thアルバム『ブランク・プロジェクト』(2014年)をリリース。2018年10月、前作に引き続きプロデューサーにフォー・テットを迎えた4年ぶりのアルバム『ブロークン・ポリティクス』をリリース。

■ディスコグラフィー(ソロ・アルバム)
1stアルバム『ロウ・ライク・スシ』(1989年)
2ndアルバム『ホームブルー』(1992年)
3rdアルバム『マン』(1996年)
4thアルバム『ブランク・プロジェクト』(2014年)
5thアルバム『ブロークン・ポリティクス』

Marcus Fischer & Simon Scott - ele-king

 ニューヨークの電子音楽家/アンビエント・アーティスト、テイラー・デュプリー主宰〈12k〉からマーカス・フィッシャーとサイモン・スコットのデュオ・アルバムがリリースされた。2018年型のエレクトロ・アコースティック・アンビエントとして興味深い仕上がりである。

 まず、二人の経歴を簡単に説明しよう。マーカス・フィッシャーはポートランド・オレゴン出身のアンビエント作家である。2010年に〈12k〉より発表された『Monocoastal』でアンビエント・リスナーから高い評価を獲得した。環境音と電子音が霧のように交錯し、空気の中にうっすらと浸透するかのごとき美麗なサウンドを生成している。深く響く音が耳に実に心地よい。リリースから8年ほど経過しているアルバムだが、いまも大切に愛聴しているリスナーが多いのも頷ける名品だ。

 以降、同レーベルからはテイラー・デュプリーとのコラボレーション作品『In A Place Of Such Graceful Shapes』(2011)、『Twine』(2015)、『Lowlands』(フランスの新鋭エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈IIKKI〉と〈12k〉の共同出版/2017)などの秀作を継続的に発表する。

 加えてUSの〈Tench〉から『Collected Dust』(2012)、ポートランドの〈Optic Echo Records〉からジ・オー・レイ(The OO-Ray)との『Tessellations』(2012)、セルフ・リリースでコリー・アレンとの『Two / Twenty-Two』(2012)、ソロ楽曲をまとめた『Public Works』(2015)などを継続的に送り出す。2017年には久しぶりのソロ作『Loss』を〈12k〉からリリースするに至る。

 フィッシャーの楽曲は、楽器の音と電子音楽の交錯・融解によって時の流れを変えてしまうようなアンビエント/アンビエンスを形成・生成している。アナログな質感とそれから導き出された響きは、聴き手の時間感覚をゆったりとした流れへと変えてしまうのだ。身体に作用し、深い時間の只中に身を浸しているような感覚である。彼のアンビエンスは聴き手の耳と意識の表層と奥底に響く。まさしく「時が揺れる」「時が満たされていく」感覚だ。

 一方、イギリス出身のサイモン・スコットは、あのスロウダイヴのドラマーである。彼は2009年に〈Miasmah〉からリリースしたソロ・アルバム『Navigare』で楽器や電子楽器など様々な音響生成装置を用いて「融解したシューゲイザー・アンビエント」といったサウンドを生み出し、エレクトロニカ以降の音響リスナーの耳を驚愕させた。

 その翌年2010年は、〈Low Point〉からダグ・ローゼンクヴィスト(ジャスパー TX)との『Conformists』、〈Slaapwel Records〉から『Silenne』、〈Immune〉から幽玄なアンビエント作品『Traba』と複数のレーベルから矢継ぎ早にリリースを重ねていく。2011年には再び〈Miasmah〉から、ヴォイス、ギター、ピアノなどを導入したポップな『Bunny』を発表した。

 そして2012年、〈12k〉から『Below Sea Level』をリリース。このアルバムは生楽器、電子音、環境音が溶け合うようにレイヤーされた極めて2010年代的なアンビエント/ドローン作品だ。アコースティック・ギターの瀟洒なフレーズ、柔らかい残響のような電子音、記憶と耳を密やかに刺激する環境音のレイヤーによるアンビエント・コンポジションは洗練の域にまで至っており、スコットの代表作のみならず10年代初頭の〈12k〉を象徴する1作になった。

 『Below Sea Level』以降は、2015年にUKの老舗エクスペリメンタル・レーベル〈Touch〉系列の〈Ash International〉から『Insomni』、2016年に〈Touch〉から『FloodLines』、〈The Tapeworm〉から『STUK』とリリースを重ねていった(2017年はスロウダイヴのメンバーとしてリユニオン作『Slowdive』に参加)。そして2018年は、〈Touch〉からシングル「Grace」をリリースし、待望のニュー・アルバム『Soundings』のリリースも予告されている。

 本作『Shape Memory』は、そんな二人の共作である(競演した録音物としては、2012年に〈12k〉からリリースされたコリー・フラー、伊達伯欣、マーカス・フィッシャー、 サイモン・スコット、テイラー・デュプリーらビトウィーンのEP「Between」を忘れてはならない)。レコーディングは、スロウダイヴのアメリカ・ツアーの合間にポートランドでおこなわれたという。録音日のクレジットは2017年10月27日。

 この録音ではフィッシャーはシンバル、エレクトロニクス、ギターを担当し、スコットはシンバル、エレクトロニクス、テープなどを担当している。ちなみにマスタリングはテイラー・デュプリー。ジャケットに用いられた写真はフィッシャーの作品だ。
 クレジットから分かるようにエレクトロ・アコースティック的なサウンドをこれまで以上に展開している。1曲め“Ferns”でのシンバルの響き(そう、打撃ではなく)からして具体的な音の、その向こうにあるものを鳴らそうとしているように思えた。その意味で、本作のムードはフィッシャーのこれまでの作品と近い。
 とはいえ聴き込んでいくと、ことはそう単純ではないと分かってくる。1曲め“Ferns”から2曲め“Thorns”、そして3曲め“Branches”へ。アルバムのサウンド・テクスチャーは微細に、シームレスに、深く変化し続けるのだ。シンバルと打楽器。弦と電子音。環境録音とノイズ。それらサウンド・モジュールは記憶と密接に結び付き、音楽/音響を生成させていく。微かな音。乾いた音。微細なノイズ。深い響き。音楽の断片。旋律の欠片。これらの音たちはバラバラに存在し鳴っているように聴こえつつ、しかしいくつもの記憶と結びつき、次の瞬間には別の音として生まれてくる。いわば音の連鎖と音の結晶化だ。まさにフィッシャーのゆったりとした融解するような時間感覚とスコットの波のように変化する音響生成の感覚が交錯する見事な演奏/セッションである。

 こういったアンビエント作品で「演奏?」と訝しく思う方もいるだろう。たしかに演奏以降のポストプロダクションにおいてさまざまなエディットが加えられてはいるだろうが、しかし、00年代~10年代以降、つまりエレクトロニカ以降のアンビエント/ドローンは、極めて即興演奏/生成的な音楽であったと思うのだ。そう、音を鳴らすこと。音を生成すること。音で空間を満たすこと。音の時を積み貸せること。ベースにはそれがあった。
 私は3曲め“Branches”を聴き終えたとき耳を浄化されたような感覚を持ったのだが、それは演奏/即興という「自然な流れ」の先に生まれた音を聴取したからではないかと思っている。2010年代以降の環境録音を取り入れた生楽器と電子音を交錯させるエレクトロ・アコースティック・アンビエントの最良の部分を封じ込めた見事なアルバムである。

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