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編集後記(2018年7月4日) - ele-king

 さすがに昨晩は爆睡したので、イングランドとコロンビアの試合は見逃した。録画で観るといまひとつ力が入らないんだよなぁ。
 その前日はたいへんだった。23時からのブラジルとメキシコの試合を見終わったあと2時間睡眠して、日本とベルギーの試合を午前3時から観た。終了後2~3時間ほど寝てから出社し、いま作っているブラジル音楽の本の入稿準備をした。
 午後は、アカの入ったゲラを持って、デザイナーの渡辺光子さん(松村正人の奥様ですね)の事務所まで行って校正の直しをしてもらった。渡辺さんが集中して作業しているあいだ、ぼくは松村と雑談。その最中に、故郷の友人から35年ぶりのメール。なんという日だろうと思いながら、夕方の6時前に渡辺さんのところを出て会社に戻ってから、編集者の小熊俊哉君と合流してPiLのライヴに向かった。
 短い睡眠と忙しさによる疲労は、老体に生やさしくはないけれど、時間限定とはいえアルコールによってある程度は解消された。
 そんなわけで六本木のEXシアターの席にビールを片手にどっかり座っていたのだが、ぼくは席の番号を読み違えていて、しかもそこは石野卓球とピエール瀧の席だったのだ。暗闇のなかでどこかで見た顔が……「ちょっとちょっとお客さん、マナー悪いよー」とピエールから注意されてしまった。ほんと、なんという日だろう。

 さて、ライヴの前半は、新生PiLの2作からの楽曲が続いたが、後半の“Death Disco”以降は、ジョン・ライドンが自ら切り拓いたポストパンクという広がりにおいて、その黄金期が過ぎたあとに発表された曲が演奏された。“This Is Not A Love Song”~“Rise”の演奏中、ガン踊りしている卓球……たしかにこの2曲がこの夜のクライマックスだった。とくに“Rise”はすごかった。

 俺は間違っているかもしれない
 俺は正しいかもしれない

 ジョン・ライドンは例によって少々ふざけながら、しかし曲の後半はマジな声を交えてなんども執拗にこう繰り返す。

 Anger is an energy
 Anger is an energy
 Anger is an energy……

 1983年の初来日のライヴで、ぼくがもっとも印象にのこっているのは“Religion”だ。なぜなら、その当時の硬直したパンクの幻想(パンクとはかくあるべきであるというオブセッション)を嘲笑するかのように、基本ひょうきんで、ほとんどおちゃらけていたジョン・ライドンは、その曲を演奏したときだけはすごんでいたし、マジだったからだ。今回のライヴでそれに相当する曲は間違いなく“Rise”だった。

 というわけでいまでも頭のなかで“Rise”が鳴っている。「怒りこそエネルギー。さすれば汝とともに道は立ち上がろう」……本当は、日本とベルギーの試合の雑感を書こうと思っていたのだけれど、なんだかそれどころではなくなってしまった。PiLのライヴには、いまの日本にもっとも欠けているものがたしかにあった。 

Lobster Theremin - ele-king

 昨年RDCで来日したパームス・トラックス、あるいはヴェニスのスティーヴ・マーフィやブダペストのルート・8(ジョージリー・シルヴェスター・ホルヴァート)などのリリースで知られる〈ロブスター・テルミン〉、最近〈ブレインフィーダー〉からのリリースで話題を集めているロス・フロム・フレンズの12インチもここから出ていましたけれども、ロンドンのこの奇特なレーベルが設立5周年を迎え、現在ヨーロッパや北米でショウケース・ツアーを展開しております。そしてこのたび、そのアジア版がソウルおよび東京・大阪でも開催されることが決定しました。レーベル主宰者のジミー・アスキスと、看板アーティストのルート・8が来日します。アンダーグラウンド・ダンス・ミュージックの熱い息吹に触れられるこの絶好の機会を逃すまじ。

LOBSTER THEREMIN 5 YEARS IN JAPAN

ロンドン発、レーベル兼ディストリビューターとして近年めきめきと勢いをみせる〈Lobster Theremin(ロブスター・テルミン)〉。
そのレーベル・ボスである Jimmy Asquith は、2013年にレーベル〈Lobster Theremin〉を設立。その傘下に〈Mörk〉、〈Distant Hawaii〉、〈Tidy Bedroom〉も始動し、昨年レコードショップ実店舗もオープンさせた。ロンドンの Corsica Studios での彼らのパーティー《FIND ME IN THE DARK》は毎回ソールドアウトになるほどの人気ぶりで、Asquith は常に新しい才能をサポートし、〈Discwoman〉、〈Workshop〉、〈Antinote〉などとのコラボレーションも行なっている。
レーベル設立5周年を祝うレーベル・ショーケースとして、レーベル看板アーティストであるハンガリー、ブダペストのDJ/プロデューサーRoute 8と共に初来日が決定!

7/20 (FRI) FAUST, Seoul
7/21 (SAT) CIRCUS Tokyo, Tokyo
7/22 (SUN) COMPUFUNK RECORDS, Osaka

7.21 (SAT) @Circus Tokyo
- LOBSTER THEREMIN 5YEARS IN TOKYO -

LINE UP:
-B1 FLOOR-
Asquith (Lobster Theremin)
Route 8 (Lobster Theremin / Nous)
Romy Mats (解体新書 / N.O.S.)

-1st FLOOR-
Sayuri
DJ Emerald
DJ Razz
T4CKY

Open 23:00
ADV 2,500 yen
Door 3,000 yen

TICKET:
https://lobstertokyo.peatix.com/

Info: CIRCUS TOKYO https://circus-tokyo.jp
東京都渋谷区渋谷3-26-16 第五叶ビル1F / B1F
TEL 03-6419-7520

7.22 (SUN) @Compufunk Records Osaka
- LOBSTER THEREMIN 5 YEARS IN OSAKA -

DJ: ASQUITH, ROUTE 8, DNT (POWWOW), KAITO (MOLDIVE), TOREI
Sound: Ryosuke Kosaka
VJ: catchpulse

Central Kitchen: YPO edenico

Open 17:00 - 24:00
ADV 2,000 yen +1 Drink
Door 2,500 yen +1 Drink

Info: Compufunk Records https://www.compufunk.com
大阪市中央区北浜東1-29 GROW北浜ビル 2F
TEL 06-6314-6541



■Asquith (Lobster Theremin / from London)

ロンドン発、新興レーベル兼ディストリビューターとして近年めきめきと勢いをみせる〈Lobster Theremin(ロブスター・テルミン)〉。そのレーベル・ボスである Jimmy Asquith は、2013年にレーベル〈Lobster Theremin〉を設立。〈Lobster Theremin〉傘下に3つのレーベル、〈Mörk〉、〈Distant Hawaii〉、〈Tidy Bedroom〉も始動し、また、エレクトロニック・ミュージック・シーンではグローバルに知られるディストリビューターである。2017年1月にはハックニーにレコードショップ実店舗もオープンさせた。
ロンドンの Corsica Studios でのパーティー《FIND ME IN THE DARK》は毎回ソールドアウトになるほどの人気ぶりで、Asquith は常に新しい才能をサポートし、〈Discwoman〉、〈Workshop〉、〈Antinote〉などとのコラボレーションも行なっている。
海外ツアーをこなしながらも、Rinse FM でレギュラーを担当し、Tom Hang や Chicago Flotation Device といったアーティスト名義でリリースを重ねている。2017年12月に Tom Hang 名義でのデビュー・アルバム『To Be Held In A Non Position』をリリース。
今年でレーベル設立5周年を迎え、〈Lobster Theremin〉のレーベル・ショーケースとしてのツアーを展開している。

Jimmy Asquith founded the well-renowned label Lobster Theremin in 2013. Since then the label boss has established three imprints including; Mörk, Distant Hawaii and Tidy Bedroom, as well as a respected distribution service used widely within the electronic music scene, and a physical record shop based in Hackney, East London.

Alongside the label, Asquith continues to sell out his Corsica Studios based night Find Me In The Dark, which champions emerging talents and sees collaborations with the likes of Discwoman, Workshop and Antinote. DJing internationally, Asquith simultaneously is producing and performing under multiples aliases all whilst holding down a regular Rinse slot.

On top of that, Asquith’s personal and ambiguous ambient alias, Tom Hang, will be releasing his debut album this December following a heart-wrenching Cafe Oto performance. Part ambient, drone, noise and a tapestry of clouded, intermingling emotions, ‘To Be Held In A Non Position’ is a three-and-a-half year release from stasis; an exhale from a long-held breathe; a shallow sleeper now awake.

On a DJ tip, increased gigs have led to a stylistic shift, a move back to UK-oriented sounds blended with old-school US influences and plenty of new names and talent littered throughout the set lists, alongside occasional older selected digs from the garage-house trove.

The start of 2018 will see a solo Asquith jaunt of North America as well as a Lobster Theremin debut showcase at Motion on January 20th, kicking off the 5 Years of Lobster Theremin European tour.

https://lobstertheremin.com



■Route 8 (Lobster Theremin / Nous)

ハンガリー、ブダペストのDJ/プロデューサー、Route 8。〈Lobster Theremin〉や〈Nous〉からのリリースによって、その名を知られるようになったが、ハードウェアを使っての音楽制作とその探求は10年以上前から始めている。USのロウなハウスやテクノからインスパイアされた、メランコリックなメロディーと巻き込むようなドラムパターンで、エレクトロやアンビエントまで拡大解釈できるオリジナルなサウンドを追求している。DJ Ciderman や Q3A という名義でも知られる。

Route 8 has only recently gained prominence through the Lobster Theremin and Nous labels, but his hardware production experiments date back almost 10 years. Inspired by the raw-edged US house and techno sound, he has also expanded his work into off-kilter electro and ambient, still inflicted with his melancholia-tinged melodies and ratcheting drum patterns.

https://soundcloud.com/route8

ShadowParty - ele-king

 ニュー・オーダー×ディーヴォ……!? なんとも気になる組み合わせです。ニュー・オーダーで活躍中のベーシスト=トム・チャップマンとギタリスト=フィル・カニンガム、そしてディーヴォで活躍中のギタリスト=ジョシュ・ヘイガーとドラマー=ジェフ・フリーデルの4人が集合した新バンド、シャドウパーティ。そのデビュー・アルバムが7月27日に〈ミュート〉よりリリースされます。現在白熱中のワールドカップに合わせて制作された先行シングルのMVが公開中です。いやー、やっぱりこういう感じのロック・サウンドには抗えませんね。アルバムが楽しみ。


シャドウパーティ、W杯を祝福し新MVを公開!
新作は7/27発売!

ニュー・オーダーとディーヴォのメンバーによる4人組ロック・バンド、シャドウパーティのデビュー・アルバム『シャドウパーティ』が7/27に発売される。その発売に伴い、また現在開催されているサッカー・ワールドカップを祝福し、新作より先行シングル“Cerebrate”のミュージック・ビデオを公開した。

決勝トーナメント1回戦のメキシコ対ブラジルのキックオフ直前に急遽公開されたこのビデオは、サッカーに情熱を傾けるメキシコの少年を描いている。
なおニュー・オーダーは、1990年サッカー・ワールドカップ・イタリア大会において、イングランドの公式応援ソング“ワールド・イン・モーション”をリリースし全英1位を記録している。

先行シングル“Cerebrate”
[YouTube] https://youtu.be/bk6uLLwrT1o
[Apple Music / iTunes] https://apple.co/2I3pBGd
[Spotify] https://spoti.fi/2FtqEKh

シャドウパーティは、ジョシュ・ヘイガーとトム・チャップマンがボストンで出会ったことがきっかけとなり、2014年に結成された4人組バンド。

ジョシュ・ヘイガーは、ザ・レンタルズの元メンバーであり現在はディーヴォでギターとキーボードを担当、トム・チャップマンは、2011年ニュー・オーダーの再結成以来のベーシスト、フィル・カニンガムは、元マリオン、現ニュー・オーダーのギタリスト、ジェフ・フリーデルは、ディーヴォのドラマーとて活躍中だ。

ザ・ヴァーヴのニック・マッケイブがその素晴らしいギターの音色をアルバムの中の2曲“EvenSo”と“Marigold”で披露する一方で、ア・サートゥン・レシオやプライマル・スクリームなどで知られるシンガー、デニス・ジョンソンがその美声をアルバムで6曲に渡り聞かせており、先行シングル“Celebrate”の歌声も彼女である。

加えて、LAで活動するDJのホイットニー・フィアスがコーラスで参加したり、先日のマンチェスター・インターナショナル・フェスティヴァルでニュー・オーダーやエルボーのために12台のシンセによるオーケストラ・アレンジをしたマンチェスター在住のジョー・ダデルがその卓越したオーケストラ・テクニックを見せている。

シャドウパーティのサウンドは、その時々によって、数多のシンセ・サウンドのオーケストレーションに心奪われ、80年代風のビートが唸るギターとヴォーカル、そこに甘美なハーモニーが華を添える。

レコーディングはボストンやLA、マンチェスター、マックルズフィールドで行われた。

[参加アーティスト]
ニック・マッケイブ(元ザ・ヴァーヴ)
デニス・ジョンソン(プライマル・スクリーム作品等へのヴォーカル参加)等

[商品概要]
アーティスト:シャドウパーティ (ShadowParty)
タイトル: シャドウパーティ (ShadowParty)
発売日:2018年7月27日(金)
品番:TRCI-64
定価:2,100円(税抜)
JAN:4571260587847
解説:村尾泰郎/国内仕様輸入盤CD

[Tracklist]
01. Celebrate
02. Taking Over
03. Reverse The Curse
04. Marigold
05. Sooner Or Later
06. Present Tense
07. Even So
08. Truth
09. Vowel Movement
10. The Valley

■シャドウパーティ (ShadowParty)
メンバー:ジョシュ・ヘイガー(G, Key) / ジェフ・フリーデル(Drs.) / トム・チャップマン(B) / フィル・カニンガム(G)

2014年ボストンで結成。2018年7月27日、デビュー・アルバム『シャドウパーティ』リリース。

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Autechre - ele-king

 先日8年ぶりとなるヘッドライン来日公演を終え、変わらぬ反骨精神を見せつけてくれたオウテカですが、彼らが4月にNTSラジオで披露したロング・セットがCD、ヴァイナル、デジタルの3フォーマットにてリリースされることが決まりました……のですが、ええっと、ちょっと待ってくださいね。彼らのセットは2時間×4日の計8時間あったわけだから……なんと、CDに換算すると8枚組です(絶句)。前々作『Exai』が2枚組の大作で、前作『elseq 1–5』が5枚組相当の超大作で、今回は8枚組……どんどん膨張しております。でもこれ、内容はかなり良いです。これまでのオウテカとこれからのオウテカがみっちり詰まっています。発売日は8月24日。ぼく? もちろん買いますよ。

Autechre.
NTS Sessions.
24 August 2018.

先月6月13日(水)、実に8年振りとなる超待望のヘッドライン公演を行い、平衡感覚すら奪われるような漆黒のライヴ・パフォーマンスで超満員のオーディエンスを沸かせたオウテカから新たなニュースが届けられた。4月、突如始動したオウテカはロンドンのラジオ局「NTS Radio」に4度に渡って出演。DJセットを期待したファンの予想を裏切るように、すべて新曲のみで構成された各日2時間のロング・セットを披露し、リスナーの度肝を抜いた。今回は計8時間にも及ぶその新作『NTS Sessions.』が、CD、アナログ盤、デジタル配信で8月24日(金)にリリースされることが決定! 解説書とデザイナーズ・リパブリックがデザインしたジャケ写ステッカーが封入された国内流通盤は500セット限定となる。

Autechre@恵比寿 LIQUIDROOM ライヴ・レポート
https://www.ele-king.net/review/live/006336/

各種仕様は以下の通り。


Autechre.
NTS Session 1.

1. t1a1
2. bqbqbq
3. debris_funk
4. I3 ctrl
5. carefree counter dronal
6. north spiral
7. gonk steady one
8. four of seven
9. 32a_reflected

Autechre.
NTS Session 2.

1.elyc9 7hres
2. six of eight (midst)
3. xflood
4. gonk tuf hi
5. dummy casual pt2
6. violvoic
7. sinistrailAB air
8. wetgelis casual interval
9. e0
10.peal MA
11. 9 chr0
12. turbile epic casual, stpl idle

Autechre.
NTS Session 3.

1. clustro casual
2. splesh
3. tt1pd
4. acid mwan idle
5. fLh
6. glos ceramic
7. g 1 e 1
8. nineFly
9. shimripl air
10. icari

Autechre.
NTS Session 4.

1. frane casual
2. mirrage
3. column thirteen
4. shimripl casual
5. all end


NTS Sessions. LP Complete Box Set.
12枚組LPボックス・セット。特殊ハードケース+インナースリーブ。ダウンロード・カード付。

NTS Sessions. CD Complete Box Set.
8枚組CDボックス・セット。特殊ハードケース+インナースリーブ。500セット限定の国内流通盤には解説書とデザイナーズ・リパブリックがデザインしたジャケ写ステッカーを封入。

NTS Session 1.
NTS Session 2.
NTS Session 3.
NTS Session 4.
3枚組LP。アウタースリーブ+インナースリーブ。ダウンロード・カード付。

仙人掌 - ele-king

 2016年末にリリースされた初のソロ・アルバム『VOICE』が大きな反響を呼んだ仙人掌ですが、去る6月27日、ついに待望のセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』が発売されました。今月半ばにはNY在住のビートメイカー、DJ SCRATCH NICEのプロデュースによる“Show Off”のMVも公開されていますが、このたび9月14日に代官山UNITにて開催されるリリース・イベントの情報も解禁されております。要チェック!

MONJU/DOWN NORTH CAMPのラッパー、仙人掌のセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』、6月27日発売! また同作のリリース・ライヴが代官山UNITにて9/14(金)に開催決定!

2016年リリースの初となるオフィシャル・ソロ・アルバム『VOICE』でシーン内外に大きなインパクトを残した仙人掌の待望のセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』がついに6月27日リリース! そしてその『BOY MEETS WORLD』のリリースを祝したイベント《BOY MEETS WORLD LIVE 2018》が9/14(金/DAYTIME)に代官山UNITにて開催決定! 同作に参加しているjjjやMILES WORDも参加するスペシャルなパーティになる予定で今週末よりチケットが発売となります!

仙人掌「BOY MEETS WORLD LIVE 2018」
9月14日 (金) at 代官山UNIT

OPEN : 19:00
ENTRANCE : ¥3000 (WITHIN 1 DRINK)
LIVE : 仙人掌
GUEST : jjj, MILES WORD
OPENING ACT : COCKROACHEEE’Z
DJ : 原島“ど真ん中”宙芳 / 16FLIP / HURAMINGOS (CHANG YUU & YODEL)

TICKET取り扱い : 代官山UNIT
Pコード:122-575
Lコード:72539
6/30 (土曜日発売)

トラスムンド / UNIT / RAH / JAZZY SPORT / DISK UNION ***
各RECORD SHOPでは7/14より発売予定

supported by NIXON

* イベント当日は会場にて限定のタイトル / マーチャンダイズを販売します。(こちらは追って発表する「BOY MEETS WORLD 4 CITY TOUR 2018」の4会場でも販売します。)
* イベント終演後、代官山SALOONにてAFTER PARTYを開催。チケットの半券提示でDRINK代のみで入場できます。

仙人掌 - Show Off (BLACK FILE exclusive MV "NEIGHBORHOOD")
https://youtu.be/xI7ztc-aWaA

仙人掌『BOY MEETS WORLD』 Teaser
https://youtu.be/bEaU2f1_RJc

【アルバム情報】
アーティスト:仙人掌
タイトル:BOY MEETS WORLD
レーベル:WDsounds / Dogear Records / P-VINE
品番:PCD-26070
発売日:2018年6月27日(水)

【トラックリスト】
01. 99'Til Infinity
Prod by DJ SCRATCH NICE
02. Boy Meets World
Prod by CHUCK LA WAYNE & DJ SCRATCH NICE
03. Penetrate
Prod by GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE
04. Darlin' feat. jjj
Prod by DJ SCRATCH NICE
05. Water Flow
Prod by GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE
06. Bottles Up
Prod by DJ SCRATCH NICE
07. Rap Savor feat. MILES WORD
Prod by CHUCK LA WAYNE & DJ SCRATCH NICE
08. Show Off
Prod by DJ SCRATCH NICE
09. So Far
Prod by GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE
10. World Full Of Sadness
Prod by DJ SCRATCH NICE
Additional Vocal by SOGUMM

石田昌隆『JAMAICA 1982』 - ele-king

 『JAMAICA 1982』は、『ミュージック・マガジン』などで活躍中の写真家・ライターの石田昌隆の写真集。タイトルにあるように、1982年のジャマイカ(の主に音楽シーン)をとらえたもので、同年の7月7日から8月25日までの53日間滞在して撮影した写真が編まれている。サウンドシステム、スラム街、レコード店、ナイヤビンギ、人々……写真を見ているとベースの音が聞こえてくる。ハーブの香りも匂ってくる。この時期のジャマイカの音楽シーンの写真としては、世界的にみても貴重なものばかりじゃないだろうか。石田さんの撮り方/構図がじつにキマっているので、どの写真も格好良すぎるほど格好いい。石田さんの目には、ジャマイカがこのぐらい格好良く見えていたんだろう。貧しい、しかしこいつらは絶対に格好いい。なんにせよ、これで石田さんが見てきた風景のいちぶをぼくたちも共有できる。まったく嬉しい限り。発売は7月6日。石井志津男さんのオーヴァーヒートからのリリース。
 写真集の刊行に併せて、原宿のBOOKMARCにて写真展も開催される。この機会にぜひ、迫力満点の生の写真も見て欲しい。

【写真集】
■タイトル:JAMAICA 1982
■著者 :石田 昌隆
■ページ:64ページ(全フルカラー)
■サイズ:A4横開き(210mm×297mm)
■発売日:2018年7月6日
■定価:3,800円(税別)
■品番:OVEB-0004
■ISBN:978-4-86239-831-4
■発行:(株)OVERHEAT MUSIC / Riddim Books


【写真展】
■会場:BOOKMARC(ブックマーク)
東京都渋谷区神宮前4-26-14
TEL:03-5412-0351
■会期:2018年7月7日(土)~16日(月・祝)
・7月6日(金) オープニング・レセプション
・7月15日(日) トークショー


【石田 昌隆(いしだ まさたか)/ PHOTOGRAPHER】
著書に、『黒いグルーヴ』(1999年)、『オルタナティヴ・ミュージック』(2009年)、『ソウル・フラワー・ユニオン 解き放つ唄の轍』(2014年)がある。現在、アルテス電子版で『音のある遠景』を連載中。撮影したCDジャケットに、矢沢永吉『The Original 2』(1993年)、フェイ・ウォン『ザ・ベスト・オブ・ベスト』(1999年)、ソウル・フラワー・ユニオン『ウインズ・フェアグラウンド』(1999年)、『Relaxin‘ With Lovers』(2000~2018年 全15作品)、ジェーン・バーキン、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン、ズボンズ、カーネーション、濱口祐自、LIKKLE MAIほか多数。旅した国は56カ国。

【写真展 会場/BOOKMARC(ブックマーク)】
ニューヨーク発のファッションブランド「マーク ジェイコブス」が手がける新感覚ブックストア。
2010年9月にNYのBleecker Streetに第1号店をオープン。世界5店舗目となるストアとして、2013年10月、 東京・原宿にギャラリーを併設したストアをオープン。
『BOOKMARC』を作るきっかけとなったのはNYのWest Villageにあった本屋が閉店するニュースでした。
デザイナーであるマーク・ジェイコブス本人やブランドのCo-Founderであるロバート・ダフィーは共に本に 対して並々ならぬ情熱を持っており、元々マーク BY マーク ジェイコブスのストアでは厳選された本を 取り扱っていたが、West Villageのその本屋をありのまま引き継ぎ、本のバリエーションを増やすことで、マーク ジェイコブス ブランドのインスピレーション源を表現する新しい顔をつくることに成功した。そして、 『BOOKMARC』は、アートに関する書籍を中心として取り扱う小さな本屋の新規開店が少なくなった昨今、実際に本を手に取り、書籍の素晴らしさを再認識し、その場で購入できる場所を提供したいという願いが込められている。
『BOOKMARC』では芸術、写真、ファッションや音楽に関する書籍は勿論のこと、詩集や芸術論に至るまで、様々なジャンルの厳選された書籍を取り扱っている。またコレクターたちを虜にするヴィンテージ本やサイン本も多数揃えている。

住所:東京都渋谷区神宮前4-26-14 TEL:03-5412-0351
営業時間:11:00~20:00 定休日:不定休
ギャラリー併設:BOOKMARCの地下スペース


interview with Grimm Grimm - ele-king


Grimm Grimm - Cliffhanger
MAGNIPH / ホステス

PsychedelicFolkDroneIndie Pop

Amazon Tower HMV iTunes

 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの頭脳、ケヴィン・シールズが彼の元恋人シャルロット・マリオンヌ(ル・ヴォリューム・クールブ)とともに設立したレーベル〈Pickpocket〉からデビューを果たし、いまはなきインディー・ロックの祭典《All Tomorrow's Parties》には2度も出演、その〈ATP〉レーベルからも音源をリリースしたことのある日本人がいるのをご存じだろうか。ある種の人にとっては、嫉妬すら覚えるような輝かしい経歴を持つ彼は、東京出身・ロンドン在住のマルチ・インストゥルメンタリスト、Grimm Grimmことコウイチ・ヤマノハ。彼の通算2枚目のアルバム『Cliffhanger』がリリースされた。

 前作『Hazy Eyes Maybe』よりおよそ2年半ぶりとなる本作は、ウィリアム・S・バロウズのカットアップ技法を彷彿とさせる散文詩や、いまにも消え入りそうなウィスパー・ヴォイス、童謡やバロックなどにも通じるどこか懐かしいメロディ、アコギやピアノによるシンプルなトラックによって構成された、フォーキーでサイケデリックなサウンド。前作に引き続き、盟友BO NINGENのKohei Matsudaが参加しシンセを奏でている他、様々なライヴやイベントで共演を重ねているシャルロットや、エクスペリメンタル・バンド、ブルー・オン・ブルーのディー・サダもヴォーカリストとしてフィーチャーするなど、前作よりもさらに深みのある内容に仕上がっている。

 ロンドンに移住してすぐ、スクリーミング・ティー・パーティーなるバンドを結成し、その後ソロでの活動を始めたヤマノハ。彼の生み出す、どこの国のどの時代の音ともいえないサウンドは、一体どこから来ているのだろうか。

ときどき、「人と人は、深いところでは繋がっているな」と思うことがあるんです。「無意識の領域」というか、そこにはポジティヴでもなくネガティヴでもない、ニュートラルな感情がある。

まずは、ヤマノハさんがイギリスへ移住した理由を教えてもらえますか?

コウイチ・ヤマノハ(以下ヤマノハ):特に理由はありませんでした。イギリスの音楽が好きだったというワケでもなくて、ただちょっと日本が窮屈だなと思うことはあったんですけど、でもそれも理由でもないから「何となく」っていう感じですかね。ただ、こっちでは音楽はやろうと思っていました。

かれこれ10年以上、暮らしているんですよね。こんなに長く住むと思っていました?

ヤマノハ:いや、思ってなかったですね。2年くらいしたら住む場所を変えるつもりだったのに、気づけばこんなに経ってしまいました(笑)。ロンドンって、やっぱりちょっとイギリスじゃない感じがあって。コスモポリタンというか、多国籍空間で、変人も多いですし(笑)。何年いても不思議で。ここ10年くらいでテレーサ・メイみたいな右翼政府に変わってきているっていうのもあって、いまだに自分はエイリアンだなと感じます。そういうところは東京と似ているのかもしれないけど、ロンドンの方が僕にとっては居心地が良かったんですよね。

ロンドンで最初に結成したバンド、スクリーミング・ティー・パーティーは、どうやって始まったのですか?

ヤマノハ:ロンドンに着いて、割とすぐにドラマーとベーシストを探していたんです。街のあちこちの壁や電柱にメンバー募集の紙を貼ったりして。で、たまたま通りかかったスタジオの前に女の子がいて、ドラムケースの上に座ってたんですよ。「彼女、ひょっとしてドラマーかな?」と思いつつ一度は通り過ぎたんですけど、戻って声をかけたらやっぱりドラマーで(笑)。たったいま、ドラマーをクビになって、ドラムセットを家に持ち帰るところだって言うんですね。それで、その場で仲良くなったのが最初のドラマー、イタリア人のテレーサ・コラモナコだったんです。もうひとり、日本にいるときからの友人ニイヤンがロンドンに来て。彼はギタリストだったので、僕がベースをやることにして3人でスタジオに入ったのが、スクリーミング・ティー・パーティーの始まりですね。

バンドは2006年から2010年まで活動し、その間メンバーチェンジもありつつ3枚のシングル(「Between Air and Air」「Holy Disaster」「I'd Rather Be Stuck On The Stair Rail」)と2枚のミニ・アルバム(『Death Egg』『Golden Blue』)をリリースしています。バンド解散後は、ヤマノハさんはすぐソロ活動を始めたのですか?

ヤマノハ:いや、そこから3年くらい空きました。その間はずっと作曲やフィールド・レコーディングにハマっていて、ヨーロッパの古い建物や廃墟へよく行ってましたね。で、あるときベルリン西部にある廃墟でふとGrimm Grimmのコンセプトを思いついたんです。その頃はすでに曲を書きためていて、それをどういう形にするかを思いついた。言葉で言うのは難しいんですけど……うーん、懐かしい感じ? 死ぬときや、生まれる時の感じというか。ときどき、「人と人は、深いところでは繋がっているな」と思うことがあるんです。「無意識の領域」というか、そこにはポジティヴでもなくネガティヴでもない、ニュートラルな感情がある。基本的に僕は、ハッピーな音楽を作りたいと思う人間なのですが(笑)、そういう「無意識の領域」を想起させるような音楽が作りたいんですよね。

確かに、Grimm Grimmの音楽を聴いていると「懐かしさ」みたいな感情をかき立てられるのですが、それって日本人だからこそ感じるものなのでしょうか。イギリスの人には、ヤマノハさんの音楽はどう受け止められていますか?

ヤマノハ:「懐かしさ」といっても、いわゆる「ノスタルジー」とは少し違うと思っていて。さっきの「生と死」じゃないですけど、過去と未来が繋がっているような感じというか。そこを目指しているんですが、海外でも伝わる人には伝わっているなと感じますね。

いまっぽい音でも、昔懐かしい音でもなく、どこの時代の音楽かも分からないような、そういうサウンドを目指しているのでしょうかね。

ヤマノハ:そうですね。いまある音楽を否定したり、無視したりするつもりは全然ないのですが、時代感のない、タイムレスなメロディやサウンドに個人的には惹かれます。今回ミックスをしてくれたベルリン在住のミュージシャン、エンジニアのゴー君(Nakada Goh;ケヴィン・マーティンのThe Bugのサウンド・エンジニア)は古い友人で、ミックスをする時は1曲ごとに、例えば「視聴覚室で吹奏楽部が練習しているのが遠くから聞こえる学校感」とか「海辺の病院」とか、アンビエントの雰囲気や想像の場所を伝えてサウンドを決めていきました。

歩いていたら、ケヴィン(・シールズ)がいつもお金をあげてるホームレスたちが目的地のケバブ屋までついてきちゃった、ということがありました(笑)。一度に20ポンド(2800円)くらい平気であげちゃうから、みんな顔を覚えてるんですよ。

そもそも、曲作りをする上でヤマノハさんが影響を受けた人というと、誰になるのですか?

ヤマノハ:ここ5年くらいは、未来派の絵画などに刺激をもらっていると思うんですけど、音楽でいうと誰なんだろう。うーん、わかんないですね。ムーンドッグとかはいまでもよく聴いてます。あとはヴァシティ・バニアンとかの曲にあるメロディの永遠性に惹かれます。サイケフォークとか、そういうステレオタイプの定義ではなくて、なんというかどんなジャンルの音楽やコメディや建物や椅子でさえも、生死感が根底にうっすらあるものに影響を受けます。

童謡や、バロック音楽の影響もあるような気がします。

ヤマノハ:グレン・グールドが弾く、オルガンのバッハとかは昔から好きですね。あの「建築感」というか。それこそ過去と現在と未来が繋がっているような気がしますね。

2014年の夏には〈Pickpocket Records〉(マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズと、ル・ヴォリューム・クールブのシャルロット・マリオンヌが共同設立したレーベル)からシングルをリリースしていますよね。彼らとの出会いは?

ヤマノハ:元々僕は、シャルロットがやっているル・ヴォリューム・クールブが好きだったんですね。ロンドンに着いて、初めて友人に借りたCDが彼女のファーストで。「ベスト・フレンドを殺した」というタイトルの作品でした。それから7年ほど経ったとき、偶然入った近所の中古レコード屋で彼女が店員をしていて。それで話しかけたのがきっかけとなって仲良くなったんです。ケヴィンは、シャルロットに紹介されて知り合いました。みんな、イメージと違ってとても気さくな人たちです。

もうすぐMBVの活動が再開されますが、最近ケヴィンには会いました?

ヤマノハ:ひと月くらい前に、ダイナソーJr.がロンドンでライヴをやって、もともとJとケヴィンは兄弟みたいに仲が良くて、そのときに誘ってくれました。終演後、シャルロットも含めみんなでご飯を食べに行くことになって。カムデン・タウンを歩いていたら、ケヴィンがいつもお金をあげてるホームレスたちが目的地のケバブ屋までついてきちゃった、ということがありました(笑)。一度に20ポンド(2800円)くらい平気であげちゃうから、みんな顔を覚えてるんですよ。あ、ミュージシャンやってるケヴィンだ! って。

ケヴィンらしいエピソードですね(笑)。Grimm Grimmは、2015年と2016年の《All Tomorrow's Parties Iceland》にも出演していますよね。

ヤマノハ:はい。バリー・ホーガン(ATP主催者)は、たまたま飲みに行ったバーのカウンターで隣どうしになって。話してみたら、友人の友人だったりして、結構見えないところにある横のつながりに気づいたりしますね。ATPは問題児の集まりみたいな(笑)。子供がそのまま大人になったみたいな人たちばかりで、そういうところが好きでしたね。もちろん、ビジネスなんだけど、それを超えたところでやっているというか。そういう人たちは、会った瞬間に分かりますね。「この人とは仲良くなれそうだな」っていうのは、シャルロットにもケヴィンにもバリーにも、〈Stolen Recordings〉(スクリーミング・ティー・パーティーが所属していたレーベル)の人たちにも感じました。

Grimm Grimmとル・ヴォリューム・クールブは、よく一緒にイベントをやっているみたいですね。

ヤマノハ:ええ。ここ数年でシャルロットとは親友になって、ル・ヴォリューム・クールブ VS Grimm Grimmというユニットでお互いの曲を演奏しあうプロジェクトもしています。彼女は交友関係が広くて、特に90年代のいろんなミュージシャンと繋がることができました。10代のときに聴いていたマジー・スターのホープ・サンドヴァルや、ジーザス・アンド・メリーチェインの人たちとか。アラン・マッギー。刺激を受けることもたくさんあります。

彼女はいま、ノエル・ギャラガーと一緒にツアー回っているんですよね?

ヤマノハ:そう! あれは本当にビックリしましたね(笑)。ノエルのプロデューサー、デヴィッド・ホルムズがシャルロットの友人でもあり、それが縁で参加することになったみたいです。彼女は特に楽器が上手いわけでもなくて、主にコーラスとして参加することになったんですね。でも、「何かしら弾けた方がいいよね」っていう話になって、僕のところに相談に来たんです。「どうしよう?」って。それで、「ハサミの音で参加するのはどう?」って提案したんですよ。

(笑)。

ヤマノハ:僕は、ハサミの音が前からすごく好きだったので、パーカッション代わりに使ったらどうだろう? と思って。最初シャルロットは「ええ? ハサミ?」っていうリアクションだったけど、結局ライヴでやることになって。そしたら映像としてもハサミと女の人で、黒いオカルトっぽくてインパクトあるじゃないですか(笑)。一気に話題になって。ジュールズ・ホランドに出演したのが大きかったのかな(https://www.youtube.com/watch?v=iwV1lKNA0wU)。あれで炎上しちゃったんですよね。

リアム・ギャラガーも苛ついてましたよね(笑)。

ヤマノハ:いろいろと大変だったみたいですよ。オアシスのフーリガンみたいなファンから脅迫メールが来たりして。「ちゃんと楽器を弾きやがれ!」とか。ちょっと変わった子っぽく映っちゃったからか、風貌を中傷するような書き込みとかもあって。彼女自身は全く気にしてなくて、いまの状況を楽しんでますけどね。

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自分を含め周りにいる人たちの人生は、崖にぶら下がっているみたいだなって思ったところからですね(笑)。あと、崖からぶら下がっているような、クライマックスのいちばんいいところで「来週に続く」みたいに終わることを「cliffhanger」というらしくて。


Grimm Grimm - Cliffhanger
MAGNIPH / ホステス

PsychedelicFolkDroneIndie Pop

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それを聞いて安心しました。さて、Grimm Grimmの最新作『Cliffhanger』ですが、こちらはどのようにして生み出されたのですか?

ヤマノハ:アルバムは、この2、3年いろんなことがあったのとリンクしている部分はある気がします。親しかった友人が亡くなったり、生死をいままで以上に身近に感じました。それについて書いた曲がタイトル曲なのですが、そこからアルバムの構想が膨らんでいきました。それと今回は「いままでで以上に正直に作ろう」と思いました。前作よりも、 自分のいちばん弱い部分が剥き出しになって、結果的に張り詰めた雰囲気が出たというか。音数もだいぶ少なくなっているんですけど、「引き算」で音楽を作っていくのが楽しかったですね。

アルバム・タイトルはどこから来ていますか?

ヤマノハ:さっきの話じゃないですが、自分を含め周りにいる人たちの人生は、崖にぶら下がっているみたいだなって思ったところからですね(笑)。まあ、半分ジョークですが。あと、海外では映画のシリーズものとかで、崖からぶら下がっているような、クライマックスのいちばんいいところで「来週に続く」みたいに終わることを「cliffhanger」というらしくて。60年代に生まれた言葉で、それとかかっているのも面白いなと思いました。

ヤマノハさんは崖からぶら下がっているような人生ですか?(笑)

ヤマノハ:(笑)。きっと多かれ少なかれ、みんなそう感じるときはあるんじゃないかなと思います。もがいたり足掻いたりしながら誰もが生きていると思うし。「苦難があってこその人生」という風に、ポジティヴに受け止めて生きた方がいいんじゃないですかね。例えば、人生において不安はつきものだと思うんですけど、僕は「不安」はいいことだと思っていて。それを乗り越える力があれば、それこそ幸せだなと思うんです。

心強い言葉です。ちなみにタイトル曲は、ディー・サダという女性ヴォーカルをフィーチャーしています。

ヤマノハ:その曲は、いろいろとアレンジを試しながら何度かレコーディングしてみたんですが、なんか上手くいかなくて。ディーにヴォーカルをお願いして、歌とアコギだけのアレンジにしたらいい感じになったんです。彼女はブルー・オン・ブルーという、ロンドンのエクスペリメンタル・バンドに所属するネパール系女性ミュージシャンです。友人でもあるのですが、彼女の声が僕はすごく好きなんですよね。

ほんと、ジュディ・シルの未発表曲みたいな美しさがありますよね。

ヤマノハ:嬉しいです。このメロディが、頭のなかでずっと繰り返し流れていて、それを携帯のボイスメモに録っておいて後から歌詞を付けました。難しかったのは、普通にアレンジしたらポップになり過ぎてしまう曲だったこと。自分のなかにも、そういう邪念というか(笑)、「サビでもっと盛り上げて……」みたいなポップスの定石を、ついつい踏襲したくなる。悪魔のささやきですね。でも、何度か試しているうちに「あ、これ全部要らないや」と気づき、それでナイロン・ギターと歌だけにしたんです。

来日したとき、ライヴでも披露していた“Final World War”は、スクリーミング・ティー・パーティー時代にリリースした曲なんですよね?

ヤマノハ:この曲は、演奏しているうちに自分のなかで意味が変わってきたというか。最初に作ったときは「世界が滅亡して、それでもまだ流れている音楽」というイメージだったんですね。あるいは「事故で大破した車のカーステから流れている音楽」というか。ほんと、タイトル通り「世界最終戦争」という感じだったんですけど、いまは演奏していると、「最後の戦争が終わって、平和な世界が訪れるように生きる」というポジティヴな光景が目に浮かんでくるようになった。なので今回は、その解釈でレコーディングしたいなと思ったんです。

廃墟というとネガティヴな印象を持つ人もいると思うんですけど、僕のなかではポジティヴなイメージ。朽ちたままそこに存在している姿に、恋してしまったようなドキドキする感情を掻き立てられるんですよね。

そういう、ヤマノハさんの気持ちの変化はなぜ訪れたんでしょう。

ヤマノハ:特に何か、大きなキッカケがあったわけじゃないんですけどね。生きていく上で、ポジティヴに考えなければどうしようもないときってあるじゃないですか。新聞でやりきれない悲しいニュースとか読んだりしていて、そう感じることが多くなってきたのかもしれないですね。ただ、いまだにあの曲をやり続けている意味は、自分でもよく分からないんですよね(笑)。まあ、気に入ってる曲なんだと思います。演奏していて、気持ちがニュートラルになるというか。

もう1曲、スクリーミング・ティー・パーティー時代の“Shayou”も収録されています。これって、太宰治の『斜陽』と関係あります?

ヤマノハ:よく言われるんですけど、恥ずかしながらその本のこと知らなかったんですよ(笑)。最近まで読んだことがなかったんですけど、日本人の友人が帰国するときに本をたくさんくれて、そのなかに『斜陽』もあって読みました。ただこの曲は、ブダペストの工業地帯にある廃墟へ行ったとき、朽ちた建物の隙間から太陽光線がバーっと降っていて、その光景を見たときに思いついたものです。

お話を聞いていると、ヤマノハさんにとって「廃墟」はインスピレーションの源ようですよね?

ヤマノハ:そうかもしれない。廃墟というとネガティヴな印象を持つ人もいると思うんですけど、僕のなかではポジティヴなイメージ。朽ちたままそこに存在している姿に、恋してしまったようなドキドキする感情を掻き立てられるんですよね。ロンドン東部にカナリー・ワーフという、ウォーターフロント再開発地域があるんですけど、妙な未来感があってそこを歩いていていてもなぜか同じ気分になります。巨大建築物ってなんか切なくて。

ひとつとして同じ形のものはないですしね。人工的な建築物が、朽ちて自然と同化していく感じも好きです。

ヤマノハ:そう。他の惑星の生物のことを思ったりしますね。もっとわかりやすく言えば、廃墟は『天空の城ラピュタ』みたいな感じかな。

“Shayou”のシンセは、Bo NingenのKohhei Matsudaさんが弾いているんですよね。

ヤマノハ:はい。隣の部屋に住む彼に来てもらって(笑)、同じシンセを2台並べて一緒に弾きました。試し録りをそのまま使っています。イメージとしては、「小学校の屋上」みたいな感じ……(笑)? なんか小学校の屋上って、なんとも言えない無機質で巨大な非日常感があったと思うんです。あまり頻繁には行かないし。晴れた空が広がる、永遠に終わらない真っ青な空間というか。言葉にならない異世界感というか。

“Hybrid Moments”は、アメリカのホラー・パンク・バンド、ミスフィッツのアコースティック・カヴァーです。Grimm Grimmでは、カヴァーって他にもやりますか?

ヤマノハ:たまに。森田童子の歌や“ムーン・リヴァー”をやってます。そういえば森田さん、亡くなっちゃいましたね。日本に住んでいるときによく聴いている時期があって、童子好きが集まるイベントに出たことがあるんです。「森田童子の曲を演奏する」という内容だったのだけど、そのときに、ものすごく彼女に似ている声の人がいたんです。異様に張り詰めた雰囲気がある人で「あれは一体誰だったんだろう」って言い合っていたんですけど、どうやら本人だったらしく。

ええ?

ヤマノハ:そうなんです。名前も変えて。で、みんなが気がついたときには、すでにいなくなってた。後日手紙が送られてきて、「いま、童子は横にいます」と書いてあった。超現実的で、白昼夢のような体験でした。

不思議な体験ですね……。でも確かに、Grimm Grimmと森田童子のメロディには、どことなく通じるものがある気がします。前作『Hazy Eyes Maybe』に収録されていた“Kazega Fuitara Sayonara”とか。

ヤマノハ:あ、本当ですか。童子の歌って、飲み屋とかバーで流れたら、それまで賑やかだった場がしんと静まりかえってしまうような、空気を一変させる力がありますよね。そこが僕はとても好きです。歌詞の世界も、根本的というか。恋愛だけじゃない精神世界的な何かがあって。

ところでヤマノハさんは、歌詞でどんなことを書きたいですか?

ヤマノハ:10代の頃って英詞の内容がわからないまま音楽聴いていて。いま思うと、英詩とかを日本語にするっていう翻訳の作業は、本当のところ繊細すぎてほとんど不可能みたいなことだと思うんです。その若干間違った歌詞翻訳を読んだりして、辻褄の合わない雰囲気、距離感に影響を受けました。僕は、歌詞の内容より音の響きや音質の方にプライオリティがあって。歌詞は散文詩じゃないですけど、1行ずつ考えていくので繋げたときに意味がなくなることも多いんですね。それでも、メロディと一緒に聴いたときに何かイメージが想起されればそれでいい。そういう歌詞の方が、聴き手のイメージが限定されず、いろいろと湧いてきたりすると思うんですよね。

ウィリアム・S・バロウズのカットアップという技法に似ている部分があります。“Orange Coloured Everywhere”の、ナレーションみたいな声は?

ヤマノハ:タイトル曲でゲスト参加してくれたディーや、友人たちに喋ってもらいました。もともとこれは、デイジー・ディッキンソンという映像作家の『Blue But Pale Blue』という短編映画の作品のために作った曲なんです。

シャルロットが参加している“Si”は、日本語の「死」という意味?

ヤマノハ:いえ、フランス語で「if」という意味です。シャルロットと会って、一緒に作った曲なんですが、僕がメロディを考え、彼女が歌詞を付けてくれました。

今後はどんな活動展開を考えていますか?

ヤマノハ:7月にジュネーヴにあるCERN(セルン)という欧州合同原子核研究機関でライヴをする予定があります。スティーヴン・W・ホーキング博士が「ビッグバン・セオリー」を研究していた巨大なドームで、普段滅多に演奏できるところではないのですごく楽しみです。メンバーと一緒にドラムマシンやシンセを使って取り組んでいて。そこからインスピレーションを受けながらアルバムの準備をしています、いまはドラムマシンで曲を作っていますね。

へえ、じゃあまた違った雰囲気の作品になるかもしれないですね。

ヤマノハ:最終的には、今作よりももっと削ぎ落としたものになるかもしれないですけど。逆にチェロやホーンを入れたり、いろんなことができたらいいなと思案中です。いずれにせよベーシックな作曲の部分は変わらないと思いますね。

編集後記(2018年6月29日) - ele-king

 こんな最悪な週末も珍しい。土曜日である。ぼくは玄関の水槽の砂利のなかに貯まった汚物(餌の食べ残しであるとか糞であるとか)を吸い取って、カルキを抜いた新しい水を入れ替えようとしていた。貧乏なクセに多趣味の自分は、つりも好きで、子供といっしょによく多摩川に行って魚やエビを採ってくるのだが、それら魚やエビの何匹かが家の水槽のなかにいるというわけだ。
 ろ過装置をつけているとはいえ、水槽の水は定期的に入れ替えなければならない。家にはアクアリスト専用の汚物を吸い取るポンプ(灯油を入れるときに使うポンプに近い)があり、それを使ってまずはバケツに汚い水を溜める。それを洗面所に捨ててから新しい水を水槽に入れるのだが、その日もいつもと同じようにいっぱいになったバケツを持って、玄関から廊下を水がこぼれないように慎重に歩いていた。で、一歩、二歩、三歩進んだそのときだった。突如バケツの取っ手が折れたのである。バケツは落下し、悪臭漂う水は勢いよくその場にぶちまかれたのだった。
 血の気が引いたとはこのことで、廊下の壁に設置してるCD棚の下の方はもちろん濡れている。が、このときはCDどころではない。まずは大量にぶちまかれた汚水をどうやって家のなかから出せばいいのだろうかと、途方に暮れた。
 これから先の展開は、あまりにも生々しい家族の話になるので止めておくけれど、その最悪な週末は波乱に満ちた今週の不吉な前兆だったのかも……なんてことはないのだろうが、しかし。

 日本とポーランドの試合後の居心地の悪さは、そのルールがイエローカードの枚数に起因することにあるのだろう。たとえば、人生においてイエローカードの枚数が多い人が、ある場面において蹴落とされるとしたら、決して気持ち良いの社会とは言えない。そもそもイエローカード自体が相対的なものだ。基準は審判や試合の流れにもよるし、フットボールにおいて、場合によっては味方にとっての勇敢なプレイに対する証ともなる。試合中、審判に激しく抗議してもカードは出されるわけだが、そんな役回りを絶対権力を行使する死刑執行人だと皮肉ったのはウルグアイの作家、エドゥアルド・ガレアーノである。そんな訳で、カードの枚数の少なさをもって勝負に出たアキラ・ニシノが世界中からブーイングされるのは当たり前であり、そうであって良かったとさえ思う。イエローカードの枚数が順位を決する世界など、ぼくも見たくはない。
 しかし指揮官という立場のアキラ・ニシノは、ただがむしゃらに、自分のチームが決勝トーナメントに進める可能性の高いほうに賭けたわけで、昔からグループリーグのことに最終戦は、がちんこの真剣勝負ではなく、露骨な時間稼ぎや体力温存の塩試合、次戦の対戦相手を見据えた打算的な試合なんかはあるものなので、そういう意味ではやることをやったまでのことと言えるのだけれど、今回の場合はそれが意味してしまうところが悪かった。ぼくは明らかにイエローカードの多い人生を歩んでいる。素直に喜べるわけがない。

 それでは最後にフットボールのための最高の音楽を紹介しよう。フットボール・ファンでもあるマイケル・ナイマン(ジム・オルークが若い頃に影響されたという本の著者でもありますね)の1996年の作品、『After Extra Time』。タイトルは「延長戦の末」にという意味。さて、いよいよ決勝トーナメントがはじまるぞ!

interview with Laetitia Sadier (Stereolab) - ele-king


Laetitia Sadier Source Ensemble
Find Me Finding You

Drag City

Amazon

 Initially emerging as a curiously conceptial bubblegum pop tangent from the shoegaze scene, Stereolab throughout their career embodied a series of tensions – between accessible and experimental, complex and grindingly simple, personal and political. Their music was never purely bubblegum: it had to be John Cage Bubblegum, it was never purely avant-garde: it had to be Avant-Garde AOR.
Stereolab’s roots lie in guitarist/main songwriter Tim Gane and lead vocalist/lyricist Laetitia Sadier’s time with jangly indiepop band McCarthy, with whom Stereolab shared similary explicit leftwing politics.
However, where McCarthy’s lyrics were typically sarcastic dissections of the absurdities of contemporary political life, Stereolab’s politics tended to be more reflective and even romantic, revelling in their own uncertainty, feeling out the relationship between self and society with less confidence and more innocent curiosity.
Their early records were infused with a gushing enthusiasm for the motorik rhythms of Neu!, which they then filled out with organ drones, and it’s probably fair to say that, along with Julian Cope, Stereolab were in large part responsible for the UK music scene’s rediscovery of Krautrock in the 1990s. However, from around 1994’s Mars Audiac Quintet, and more explicitly on 1996’s Emperor Tomato Ketchup, the band’s sonic palette broadened considerably, incorporating influences from ‘60s film soundtracks, French pop, jazz and a more sophisticated use of electronic elements.
Through all these mutations, the group’s unique and instantly recognisable sonic identity was Laetitia Sadier’s vocals, which simultaneously embodied a cool detachment and an unaffected romanticism. Sadier’s vocal foil for much of the ’90s was keyboard player Mary Hansen, and the interplay between the two singers helped to define the group up until Hanson's death in a road accident in 2002. Their combination of deadpan delivery and breezy “ba-ba-ba”s reflected a broader dynamic within the band’s music between pop’s desire to give you everything all at once and an avant-garde wariness of making things too easy.
From the start, Stereolab infuriated the UK music press with cryptic song titles and obscure puns alongside what seemed like a contrarian insistence that what they were doing was pop. And it was pop in the sense that, at its heart, Stereolab’s music was generally simple and melodic, drawing on familiar chords and rhythms – the song Transona Five was built around the instantly recognisable beat of Canned Heat’s On The Road Again, for example.
It also reflected a punkish rejection of the grownup world and a love of childish thrills. It’s there explicitly in song titles like We’re Not Adult Orientated, but also in the dadaist delight in nonsense that led to them describing the tracks on Transient Random-Noise Bursts With Announcements with gnomic nuggets of hi-fi wisdom like “subjective white noise” and sci-fi surrealism like “underwater aztec”.
In some ways, Stereolab were like a precociously smart teenager experiencing first love: so keen for you to like them, but always holding something back; complicating every simple expression of their feelings, but also underscoring every attempt to be cool and aloof with something disarmingly honest.
In the end though, perhaps the band themselves were always their own best reviewers, so it may be best to leave the last words to them:
“Constantly evolving, curious / Sombre, obscure, dark and luminous / Vitriolic, stringent, prophetic.”

Yeah, and I think that’s the beauty of pop: that it is this simple, conservative structure that lends itself perfectly to being disturbed and disrupted.

IAN:
Since this issue of the magazine is focused on avant-pop, I’m interested in how you feel about that term. With me, I find that I use it a lot without ever really thinking about what it means. It’s certainly a term that has often been used to describe Stereolab, but was it a term you ever felt comfortable with?

LAETITIA:
Well, as you know, artists don’t like to be pigeonholed in any way, so no term would suit. But if I were to choose one, this would actually be quite legitimate, because there were strong pop references in our music, and it was our structure for a lot of what we were doing. And there was an immense liberty between a verse and a chorus, where Tim might want to try out some ideas, so there would be these “avant” ideas perhaps between parts four and seven of track three on the album. That’s how I understand the “avant” in “avant-pop” – it’s taking liberties and being free to explore inbetween a rather simple structure, without our music being “avant-garde” strictly speaking.

IAN:
It also seems to me that the term “avant-pop” embodies a contradiction. There’s something fundamentally conservative about pop, in that it’s music that wants you to feel comfortable in how you already are, whereas the avant-garde is about taking you out of your comfort zone.

LAETITIA:
Yeah, and I think that’s the beauty of pop: that it is this simple, conservative structure that lends itself perfectly to being disturbed and disrupted. I think The Beach Boys were masters of hiding an incredible amount of complexity and even darkness beneath something that on the surface is so shiny and friendly – when inside it’s just plain weird! So in that regard pop can be very subversive and can be a danger to society! (Laughs)

IAN:
You mention about the the importance of simplicity, and I remember reading something that Tim said about how a lot of the simplicity and minimalism of early Stereolab was dictated to a large degree by your own limitations as musicians.

LAETITIA:
Yeah. Indeed, you have what you have, and you have to work with that. In a sense it’s more liberating to accept the physical limitations. It’s much more hindering to have too many possibilities and have to narrow it down rather than have a much more narrow terrain to work with and think, “How do we exploit this bit of land here and how do we extract the gems?” There was a fair amount of limitations because we were not schooled musicians. But the aim wasn’t to be virtuosos, and I guess that’s also part of the pop thing. You don’t have to be a virtuoso: you just explore your capabilities within the context of being a normal human being, not some supreme creature touched by the hand of God! It was more punk: do the best with what you’ve got.

IAN:
Within punk, there seemed to be a lot of affection – sometimes a little ironic and sometimes more sincere – for the bubblegum extremes of pop music. The Sex Pistols covering The Monkees etc., despite them not seeming ideologically compatible on the face of it.

LAETITIA:
But they were! I don’t know if I can make the class system step in, but I will! It was about the working classes taking power, exercising their self-determination, so that’s very important and very dangerous. You know, The Who and The Kinks were probably seen with an air of suspicion by the authorities because they had an incredible amount of sway with the youth. They were a bit threatening, and of course so were the punks. And the punks made a point of saying, “I didn’t go to school for this, and I’m going to make it as simple and direct as I can to show that anybody can do this!”

That’s what I find so appealing in that sort of pop, is that it was very political. Not political with a big “P” but it was about people taking matters into their own hands through their art. That’s how I educated myself politically: it was through music, not through reading Karl Marx.

IAN:
Yeah. When Stereolab started, one of their most audible influences was Krautrock, which was a music with its own kind of simplicity. But Krautrock also embodied this thing that wasn’t only a class thing but also this attempt to get away from the Anglo-American hegemony over rock music.

LAETITIA:
Yeah, and again there was a big element of self-determination and saying “Fuck you!” to the man. That’s what I find so appealing in that sort of pop, is that it was very political. Not political with a big “P” but it was about people taking matters into their own hands through their art. That’s how I educated myself politically: it was through music, not through reading Karl Marx – because it’s hard to read Karl Marx! And far less immediate than listening to a pop album.

IAN:
Of course, as your career progressed, you all became better musicians and so some of those limitations fell away. How did you keep in touch with that simplicity?

LAETITIA:
The watershed point would be “Emperor Tomato Ketchup”. That’s where it shifted to something more overtly complex. I didn’t write the music, so it’s difficult for me to answer this clearly, but as far as I know, each album stemmed from an idea, and it would imply some kind of restriction. One album was written entirely where none of the notes from the melodies appeared in the chord that was sustaining the melody – which I think is great. It brings about more tension. It wasn’t dissonant, but I think “tension” is the word that springs to mind, and that for me makes it an interesting song. Another example was “Margarine Eclipse”, which was essentially three albums, because we had one on the left speaker, one album on the right speaker, and then you had the sum of the two, which created the third album, so that was another sort of conceptual idea. There were often little tricks like that, which sustained entire albums.

IAN:
You’ve mentioned the idea of “tension”, and your work often has a kind of tension between music that on the face of it seems cheerful, happy, pleasant, and lyrical content that’s quite dark or angry. I’m thinking particularly of “Ping Pong” off “Mars Audiac Quintet”, where the lyrics about the cycles of economic downturn and war seem ever more relevant with the way the world seems to be heading now.

LAETITIA:
Yeah, absolutely. It’s difficult for me to say why I write certain things, but I know what you mean, especially with Stereolab, there was more darkness than originally suspected from a first glance. We were very serious about what we did. It was our way of making sense of our lives and of being autonomous. And of course I’ve always been very very sensitive to the way the world is going, and in fact since I was born it’s just getting worse. I always felt that we could organise ourselves a bit better, and I don’t mean a utopian society where everybody’s cool and the sun shines every morning – I just mean, “Hold on a minute: we can do this a little bit better so that it works out for more of us who are living on this planet.” And yet it seems that, “Oh, my God, we can’t!” The pathology has only gotten worse and deeper, at least on the surface. Because there’s a lot of good things as well that are happening, and people are getting organised in more silent ways – silent in the sense that you might not hear about it. People are going, “You can’t expect anything from governments: we’re going to have to do it ourselves!” and that I view as a good development: people taking matters into their own hands on a local level.

IAN:
Do you think there’s a parallel between what you’re describing there and the music scene? Something about the idea of organising independently of power structures?

LAETITIA:
I don’t know, because in my own experience, in my band, there were a lot of power structures actually. It wasn’t a democracy, in the sense that Tim monopolised the entire musical field and operated as a kind of “soft tyrant”. I mean, I had all the freedom lyrically speaking, but only because he couldn’t do it! (Laughs) So I don’t have an idealised view of being in the band. I’ve never been in a band where everyone wrote together. Even in my own band, I write almost everything. Sometimes on certain songs I give my bassist Xavi (Munoz) the chords and he writes a bass line, and then I have to write a melody on top of that, and it’s like, “Shit! He took all the melodic feel!” but it’s great because you have to dig deeper. So this thing about relinquishing control is probably difficult if you have a very strong artistic expectation, which I think Tim had. But also as a result I think our music was very reined in. It might seem crazy, but I’ve been listening to Stereolab’s old records recently, and they’re very repressed. But it’s really hard to let go and to let things flow, and I think that’s the reserve of some really, really great musicians where the’re totally on top of their instrument and go beyond.

IAN:
Do you think that having your creativity channeled narrowly into your lyrics and vocals influenced the way you make your own music?

LAETITIA:
Yeah, yeah, of course! And also what it forced me to do was start my own band, which was Monade, and I think Tim was very relieved! (Laughs) And, yeah, so that was a creative way around this issue, because I wanted to write my own songs, I had my own ideas, which are actually very similar to Stereolab, so I think I could have co-written much more with Tim. I’ve done seven albums now, and to my dismay I’m like, “This is still very influenced by Stereolab!” It’s really strange how each time I try to let go of that, I’m always face-to-face with that root, which I created. And I listen to what Tim is doing, and it’s still also... there’s no escaping it! It’s absolutely crazy! I don’t know, I could maybe write some reggae stuff to break it, but then it wouldn’t be me!

IAN:
But also one of the most powerful things music can do is that it creates a world. People fall in love with bands because they create worlds that they’re able to immerse themselves in and feel comfortable with. I wonder if the difficulty you describe in escaping Stereolab is a measure of how immersive the world you created was.

LAETITIA:
I don’t know. I find myself quite good at getting out of my comfort zone, at least when I compare myself to people I know. So I don’t know if what I’m looking for is something comfortable that I recognise, that I identify as safe. And particularly in the artistic field, where I feel that’s where you should be most free, and most adventurous. There’s no danger of hurting anyone because, as you say, it’s a world we create.

Yeah, and also coming from psychoanalysts themselves. It was always around “the problem came from your parents,” never from society.

IAN:
That comes back in a way to the “avant” side of avant-pop, right? The need to step out of your comfort zone, and also to take the listener out of their comfort zone.

LAETITIA:
Yeah, this is the duty! But maybe that’s where one can act and maybe not have that pretension of taking anyone out of their comfort zone, and simply do what comes best, and not be too complicated. I worked with Colin Newman recently, and his wife Malka Spigel who was in (Belgian postpunk band) Minimal Compact. I didn’t know that they worked with a looper where things had to be four and four and four and four, and so I was sending something which I found quite interesting and fun and not too complicated, and they totally rejected it! What they did was they took parts of the song and then they looped it. And it worked fine, but I realised that, compared to what they were sending me, it just gave me a glimpse of how complex I make things and how I could simplify it a lot. I’m not saying it’s good or bad; it’s just an insight.

IAN:
A friend of mine once remarked to me that he thinks Stereolab must be the band whose lyrics contain the word “society” more than any other. And I was thinking how this idea of looking at the structure of the world in many ways goes against the rather individualistic world of pop or rock music.

LAETITIA:
Yeah, there’s a dichotomy between a world of egos and society. And I wanted Stereolab’s lyrical work to bridge the very intimate and personal and society; where does political start and where does it end? Because the way I saw it was let’s be as complete as we can, and for me being complete is talking about things that matter to me. Some people view pop music as a means to escape reality, so if you talk about mindless things, or if you “settle the accounts” with somebody, or express the world of feelings around a relationship. I do explore emotional stuff as well – that wasn’t excluded. It just seemed to me that let’s talk about important stuff, because there’s enough of it going on out there that we can discuss or at least question, because a lot of what I talked about in my lyrics were just questions for myself. Even the capitalist, the individualist, all this is stuff I could feel within myself. It was like, “No, I can be that monster too, and I’d like to interrogate that.”

IAN:
It seems that we’re often being encouraged by society to think very internally and to not really interrogate the relationship between ourselves and the outside world. In the song “The Well-Fed Point of View” by yours and Tim’s old band McCarthy, the lyrics tackle this quite directly.

LAETITIA:
Yeah, and also coming from psychoanalysts themselves. It was always around “the problem came from your parents,” never from society. And in fact, I got very interested in a guy called Cornelius Castoriadis. He wasn’t just a psychoanalyst, he was many things, but he was married to a very famous psychoanalyst (Piera Aulagnier) in the ‘60s, ‘70s, ‘80s in Paris, and they both were some of the first in the field to interrogate the impact of society on the human psyche. But it’s amazing to see that they were rare ones. Like, as if society did not impact your psyche, your unconscious, which I find extremely dubious! Of course it’s going to have an impact: everything has an impact on us: the architecture, the way the streets are laid out. It’s like if doctors are saying whatever you eat doesn’t impact your health: how can you say that?

IAN:
You mention architecture, but that’s true of music as well, right? The aesthetics, or the “internal architecture” of music also has an impact that goes beyond the lyrics.

LAETITIA:
Yeah, I think so. And the production of the song will say a lot. It’s a language.

IAN:
There seems to be an ease pop culture in Japan has in disconnecting the aesthetics from the content. But at the same time, maybe that’s impossible because the aesthetics have an impact of their own that is connected to the content.

LAETITIA:
Yeah, and I think there was enough happening aesthetically in our work that people would suspect that it had a revolutionary intent: that this wasn’t your regular pop group. And I think in Japan people were very savvy as well when it came to music. People knew their stuff! Not to mention that we called one of our albums “Emperor Tomato Ketchup”, which was named after a super-revolutionary Japanese movie.

IAN:
By Shuji Terayama, yeah.

LAETITIA:
I haven’t seen it! I haven’t read Marx and I haven’t seen “Emperor Tomato Ketchup”! (Laughs) Don’t tell them!

IAN:
It’s too late. It’s on tape! With the many collaborations you’ve been involved in, do you think that enriches your music?

LAETITIA:
Definitely. Like I said, it gets you out of your comfort zone, and it forces you to a sort of activity to be productive, because anything could make you go out of productivity: feeling a bit depressed or this or that or the other. It’s good to be kept in action. And stuff comes out that wouldn’t normally come out, so it’s very instrumental in keeping the creativity bubbling and active.

IAN:
Are there any particular projects that you’ve worked on with other people that stand out as being especially rewarding experiences for you?

LAETITIA:
When I worked with Jan and Andi (Mouse on Mars). It was so brilliant. We had a tour of Greece and Italy booked up and we had to come up with an hour’s worth of music, and it was the first time I was working like this outside of Stereolab. It was really difficult for me because I wasn’t confident that I could do this. I then learned that if I’m asked to do it, that means that I can do it! So that became my sort of motto. And yeah, somehow we did it and we had such a fun tour – it was such an adventure! But working with people, each time it’s a different adventure. I’m currently working with a Brazilian band called Mombojó, and we created a group together called Modern Cosmology – we made a video called “C’est le Vent”, “It’s the Wind”, which gives an idea of our collaboration. I can only see the positives of working with other people and “crossbreeding” (laughs) your creativity.

IAN:
So you made three albums with Monade, then three just under your own name, and then more recently one as Laetitia Sadier Source Ensemble. It seems like there’s a period there where your identity is subsumed within this idea of a band, then three albums where you push your own individual identity to the foreground, and then finally this third stage where you’re trying to reconcile the collective and the individual. Would you say there’s something like that going on in the process?

LAETITIA:
Yeah, thank you for summing it up so beautifully! Yeah, it’s true that there’s time where you’re in the playground and you’re working out who the hell you are like, “This is me.” And then there are some times where you open it up and it’s like, “This is me in the world, this is me and my friends, and this is collective me.” And even when I was in my “this is me” period, Laetitia Sadier, I was still well aware that nothing that I do is just the product of solely me: it’s the product of many people’s involvement. And it seemed to me that it was an important point to make when I “Source Ensembled” Laetitia Sadier, because we’re told that “This is just you, and you and you and you alone!” and that’s wrong: that’s a lie. We are all connected here.

IAN:
Jumping back to Stereolab, I think it’s interesting that the band is in many ways a product of the 1990s and the age of CDs. For example, most Stereolab albums are far too long to fit onto a single piece of vinyl. But at the same time, they’re also albums that seem designed to be appreciated on vinyl.

LAETITIA:
Yeah, like any music that respects itself! (Laughs) It’s true. I have a turntable in my kitchen and a CD player, and I’m not attached to the object at all, and I would prefer to listen to CDs because you don’t need to worry about turning it over. But now I realise there’s something different about vinyl. I don’t know what it is, but it’s just more music-friendly.

IAN:
I think the way it forces you to constantly attend to it by turning it over every fifteen minutes encourages a different, more attentive sort of listening.

LAETITIA:
Yeah, it’s funny how this kind of alienation in fact gives you more connection with the record.

IAN:
Perhaps it goes back to the idea of tension again. In this case, rather than tension within the music, it’s tension between the listener and the medium itself that engages the listener. The other extreme would be Spotify or something, where you just put on a playlist while you’re cooking.

LAETITIA:
Yeah, you just consume it. I don’t have Spotify, but my son’s got it and it’s amazing though. Just say a band and there you have it. I think I’m going to have to get it, especially because I’m going to be on Spotify as of this month (April 2018). The Drag City catalogue is on all the streaming platforms, which it wasn’t before – Drag City have given in! It’s tricky but times are changing and people just have new ways of listening to music. There’s a lot of people out there – have you seen all this youth out there! (Laughs)

IAN:
OK, I guess before we finish, I should just ask if there’s anything more you’ve got coming up that you’d like to tell us about.

LAETITIA:
Well, really the main thing at the moment is my project with those Brazilian boys, Modern Cosmology. Apart from that, I’ll make it to Japan again maybe not this year but next year, one way or another.

interview with OLD DAYS TAILOR - ele-king


OLD DAYS TAILOR
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 2008年のデビュー以来、在りし日のシンガー・ソングライターによる良質な音楽を思わせる歌世界を丁寧に紡いできた笹倉慎介。日本語ならではの詩情と温かみのあるサウンドが融合した彼の音楽は、ただ過去を見つめる視点だけにとどまらず、慌ただしさのなかで看過されてしまいがちな、都市とその郊外で日々を重ねるなかでふと見えてくる様々な風景と心象を、膨よかな筆致で描いてきた。
 今回笹倉は、かつて2014に7 inchシングル「抱きしめたい」で共演した森は生きているの元メンバー岡田拓郎(ギター)、谷口雄(ピアノ)、増村和彦(ドラム)に加え、細野晴臣のバンド他数多くのアーティストのバッキングを担当する伊賀航(ベース)、自身もシンガー・ソングライターとして活動する優河と今回がレコーディング・デビューとなる濱口ちなのふたりをコーラスとして迎えた新バンドOLD DAYS TAILORを結成した。
 各メンバーの個性が一体となるなかで生まれる「バンド・サウンド」の魅力とは。今作の大きな参照となったというジェームス・テイラーへの溢れる愛情。そして「在りし日を紡ぎ、仕立てること」によって生まれる音楽をいま奏でるということ。極めてまろやかな聴き心地を持つこの音楽世界が、その実メンバーの高度な技巧と鋭敏な感性によって丁寧に形作られているということを知るとき、私たちは笹倉やバンドメンバーと共に、本当はまだ見ぬ知るはずのない風景をふと「過ぎたことのように」慈しんでいることに気づくかもしれない。どこかでみたかもしれない風景は、永遠に古びない。この音楽は、どこかでみたようでいて、いつまでもここにあり続ける。
 笹倉慎介、岡田拓郎、谷口雄の三人のメンバーによるインタヴューをお届けする。


僕の世界を隅々まで行き渡らせてきたというのが、これまで出してきたソロ名義の作品。今回はそれとは違ったものを作りたいなという気持ちがありました。 (笹倉)

そもそもの話なのですが、このプロジェクトが発足したきっかけはなんだったんでしょうか? 森は生きていると一緒に7 inchシングル「抱きしめたい」を作ったことから自然発生的に進んでいった感じですか?

笹倉慎介(以下、笹倉):昨年東洋化成から「レコード・ストア・デイに笹倉さんのシングルを出しませんか?」って話が来て。もちろんソロでやることもできたんですけど、「抱きしめたい」の後に、森は生きているのみんなと「いつかバンドやりたいね」って話していたのを思い出して。シングル単発企画だし、軽いノリで「バンドやっちゃうかな」って思い立ったんです。

谷口雄(以下、谷口):そんな感じの軽いノリで笹倉さんからメールが来ました(笑)。

じゃあ、はじめは今回のアルバムに先行してリリースされた「晴耕雨読」の7 inchリリースだけのつもりだったんですね。

笹倉:そう。運が良ければアルバムも出せればいいな、というのはあったんだけど。で、せっかく「晴耕雨読」がリリースされるなら、〈Pヴァイン〉へ「抱きしめたい」の再発もどうですか? って話を持っていったら、「じゃあアルバムも作ってウチからリリースしませんか?」ってトントンと話が進んで。

たしかに、OLD DAYS TAILOR結成の話を最初に耳にしてから、アルバムが出るまですごくスピーディーだなと思いました。

岡田拓郎(以下、岡田):すごく早いですよね。レコーディングも気づいたらどんどん進んでいった感じ。

谷口:僕らも途中から「これ何のために録っているんだろう?」って思っていたら「え! アルバムが出るんですか?」っていう(笑)。

笹倉さんとそのバック・バンドっていう形ではなくて、あくまでひとつのバンドとして始動したのはなぜ?

笹倉:単純に「バンド」という形にしたほうが面白い作品になるんじゃないかなと思ったんです。ソロだとバック・バンドがいようとも結局は100%僕の意見でまとまってしまう。僕の世界を隅々まで行き渡らせてきたというのが、これまで出してきたソロ名義の作品。今回はそれとは違ったものを作りたいなという気持ちがありました。

このメンバーになった理由は?

笹倉:それは単純に楽だったから(笑)。

コミュニケーションのしやすさという意味で?

笹倉:バンドであるからには、メンバーそれぞれの主張や個性が出ないといけないけど、みんな音楽的な面でも信頼できるメンバーだし、その点も大丈夫だろうと。どんなに人間関係ができていても、一緒に音を出したときに違和感があると制作は大変。今回のメンバーはそれがほとんどない。

何もしていないようだけど実はめちゃくちゃ効果的なことをしている。その感じって本当はとても難しくて。 (笹倉)

各メンバーについてコメントいただきたいのですが、まずベースの伊賀航さん。お付き合いは古いですよね?

笹倉:伊賀さんこそ、本当に一緒にやっていて楽です(笑)。

プレイがうまいっていう意味で?

笹倉:そうですね。いろいろな演奏に参加しているという場数のことももちろんあると思いますけど、僕の音楽へのフィット感がもう抜群なので。

コーラス担当の優河さんと濱口ちなさんの女性メンバーおふたりの魅力は?

笹倉:優河ちゃんは、彼女自身のソロ活動でももちろんそうですが、めちゃくちゃ魅力的で「本格的」な歌声を持っています。

笹倉さんとのハーモニーも抜群ですよね。もうおひとりの濱口さんは普段はどんな活動している方なんでしょう?

笹倉:まだプロとしては何もしていないです(笑)。僕がオーナーを務めている(埼玉県)入間にあるカフェ兼スタジオ「guzuri recording house」のスタッフなんです。学園祭でコーラス・グループやバンドをしたことがあるようで。そのとき合唱ではっぴいえんどの“風をあつめて”をやったと言っていたので「じゃあちょっと聞かせてよ」って言ったら、歌ってくれたんです。それが本当にまっすぐな声で、これは良いなと。優河ちゃんとの良いコンビネーションになりそうだなと思いました。

増村(和彦)くんのドラムの魅力は?

笹倉:やっぱり彼も歌詞を書く人なので、言葉を聞きながらアプローチするタイム感みたいなものが良いなと思います。メロディーへ言葉をどう乗せていくかということへの感覚が鋭い。会話をすればすぐ理解してくれる。メロディーに乗せるとき、言葉の音をどう譜割するかがいちばんややこしかったりするんです。リズムを食っている、ここは食ってない、ここは伸ばしているとか、そういうことにちゃんとプレイとしてついていけているのはすごい大事ですね。精密に叩けるというよりは、歌に合わせて波を作れる。

谷口:各曲のレコーディングは、基本的に増村くんと笹倉さんのふたりでそのあたりについて会話することから始まっていましたね。

笹倉:それが終われば僕は寝てる(笑)。

谷口:俺たちが録る頃にはホントに寝てましたよね(笑)。

笹倉:全部寝てるわけじゃじゃないけど(笑)。

(笑)。鍵盤担当の谷口くんは?

笹倉:今回の制作にあたってはやはりジェームス・テイラーの音楽が下敷きにあったので、そのニュアンスを汲んだプレイをお願いました。でも、ジェームス・テイラーのバック演奏って改めてじっくり聴くと目立つようなことは何もしていないっていう……(笑)。けれど、何もしていないようだけど実はめちゃくちゃ効果的なことをしている。その感じって本当はとても難しくて。だいたい鍵盤は音が目立ってしまいがちだから。けれど今回谷口くんは期待に応えてくれました。

たしかに、ジェイムス・テイラーのバックを務めていたザ・セクションの鍵盤奏者クレイグ・ダーギーも、彼ならではの「節」みたいなは感じないですよね。

谷口:そう。何も個性がないようだけど、音楽全体で聴くと効果があるって感じ。

笹倉:でき上がったものを聴くと「谷口くん、レコーディングにいたっけ?」っていうアレンジになっていたり(笑)。

谷口:「ミックスのとき、僕の音消してませんか?」って(笑)。

音が小さいという意味じゃなくて?

谷口:違いますね。笹倉さんのアコースティック・ギターが既にもうメロディーのような性質も兼ねたものなので、それを崩さないように後押しをするようなプレイをしたら……いないように聞こえてしまう(笑)。普通にコードをガーンって弾いたら笹倉さんのギターと音が当たりまくるので、相当研究しました。

岡田:倍音だけ添える鍵盤、みたいな感じだよね。

なるほど。一聴するとギターが豊かに響いているように聞こえる感じ。

谷口:そうそう。

岡田:でも、いざ鍵盤を抜いてみるとぜんぜん違った風に聞こえると思います。

笹倉:そうですね。まさしくそういうところが上手い。

谷口:どういう風なプレイをするかっていうのはかなり迷いました。でも最終的に岡田くんもいるから良いかって思って。そしたら岡田くんがいちばん大変だったという(笑)。

岡田:そう……(笑)。僕がいちばん最後に音を重ねるから。

じゃあ、その岡田くんのギターについて。

笹倉:岡田くんもバッキングのプレイについては谷口くんと同じような感覚。僕のギターが結構歌ってしまっているので、歌っているギターをもっと充実させるようなプレイをしてくれたと思います。

やっぱりギターについてもザ・セクションのプレイのイメージで、というのがあったんでしょうか?

笹倉:そう。(ザ・セクションの)ダニー・クーチ的なプレイ。

岡田:だから僕もクーチはすごく聴いて用意してきましたね。けど、彼のプレイが参考音源としてあるような曲ならいいんですけど、ないような曲はすごく大変でした。上モノが僕と谷口くんしかいないなかで、鍵盤がアコギの倍音を担う方にいってしまったので、合いの手職人的なプレイが必要になってきて。

結果的には岡田くんのプレイが彩りとして前面に聞こえてくる感じにもなっていますよね。ギター好きとしてはたまらない感じ。

岡田:地味ギター好きには、ですね(笑)。

「これはクーチで、おっ、これはデヴィッド・スピノザで、これはデヴィッド・T・ウォーカーで、これは鈴木茂」みたいな聴き方になってしまいました(笑)。
みなさんの話を聞いて思いましたが、Jロック的なものにありがちな全体の圧を稼ぐために多重的に音を積み上げるというものとはもちろんぜんぜん違って、OLD DAYS TAILORの場合は、まずキャンパスがあってそこにお互いスペースを見つけて色を塗り合っていくっていう感じがしました。ときにあえて空白も残したり。そういうバンド感っていうのは、オーソドックスでありながらもいまならむしろ新鮮に響くかも。

岡田:基本オーヴァーダブもなかったですよね?

笹倉:うん。ほぼないですね。必要最低限のアンサンブル。

進め方としては、笹倉さんが弾き語りのデモをメンバーに渡して、そのあとは「せーの」でguzuriで録った感じですか?

笹倉:最初のシングル「晴耕雨読」に関しては事前にみんなでリハをしました。ある程度固まってきたら、リズム・セクションと僕だけブースに入ってドラム、ベース、アコギを先に録っていった形です。アルバム制作に入ってからは、まず話し合ってからリズム録りをやっていった形ですね。その段階では岡田くんと谷口くんはいてもらわなくても良かったかもね……待ち時間がとにかく長いから(笑)。

谷口:俺たちも10回くらいguzuriに行ったけど、結果そのうち3回くらいしか録ってないですからね(笑)。

ダビングの段階で呼ぶだけで良かったんじゃないか、と(笑)。

谷口:まあいま思えば、自分のプレイのためにも作業の過程を見ておいてよかったと思いますけどね。

じゃあ、基本アレンジは録音をやりながら決めていく感じ?

笹倉:プリプロ兼本番録音みたいな形ですね。

相当各メンバーの当意即妙的センスにかかっている感じがしますね。それをオッケーにできるというのがさっきおっしゃっていた信頼関係ってことなんだろうなあ。やはり理解し合っていない人同士だと成り立たなそうです。

笹倉:まあプレイについては自己責任です(笑)。

笹倉さんが「そのプレイちょっと違う」みたいにディレクションすることも?

笹倉:そういうこともあります。逆にミックスのときにはメンバーの意見もちゃんと聞いてやっていきました。

今回の録音は全てguzuriでおこなわれたんでしょうか?

笹倉:基本はそうです。1曲だけ岡田くんがオーヴァーダブを彼の自宅でやっているけど。

岡田くんと谷口くんは、guzuriで既に何回かレコーディングを経験していると思いますけど、通常のスタジオにはないあの場所ならではの魅力ってなんでしょう?

岡田:やっぱり建物全体に日が差してくるのはいいですよね。すぐ外に出られて、しかも公園の近く。

たしかに周囲の環境も素晴らしいですよね。

谷口:「息が詰まるなあ」っていう感覚がないスタジオだと思います。

都市部の密閉されたスタジオとかだと、すごく不健康な気持ちに陥るときもあるしね。夜遅くまで狭いところにいて……。

谷口:そういうのはないですね。朝は朝だし、夜は夜。人間のリズムに沿った録音ができる。

普通スタジオ作業中って、食事も出前弁当ばっかりになってしまったり。

岡田:guzuriだと、ご飯はお店の料理を食べたり、近くの店まで美味しいうどんを食べに行ったりできる。機材が足りないなというときはすぐハードオフにも行けるし(笑)。

海外の郊外スタジオとかはそういうのが割と普通みたいですよね。もっと増えればいいのになって思う。昔のリゾート・スタジオのようなものじゃなくて、もっと日常と繋がっている感じの。
今回はマスタリングまで含めてエンジニアリングは笹倉さんが全て担当しているんですね。岡田くん谷口くんからみてエンジニアとしての笹倉さんってどんな印象でしょうか?

谷口:やっぱり何と言ってもguzuriの特性を知り尽くしていますよね。スタジオとしては特殊な作りだと思うんですが、どこにマイクを立てたらどういう音になるかというのを心得ているなと思います。

岡田:録り音も、楽器の前に立って聴いているというより、楽器を弾いている位置でプレイヤー自身が聴いているような音になっているなと思います。

やはり笹倉さん自身がプレイヤーだからプレイヤー目線の音ってことなのでしょうか。

岡田:そうかもしれないですね。いわゆる専業のエンジニアさんってアンプの前で鳴っている音を録るというのが一般的だしもちろんそれも良い音ではあるんですけど、笹倉さんはぜんぜん違っていて、弾いている側がいちばん気持ち良いと思う音を捉える。ドラムについても、ドラムの前で聴くより叩いている側から聴くのが本当はいちばん気持ち良いと思うんだけど、今回の音も増村くんが座っている位置で聴いているような感じでした。

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ジェームス・テイラーやブルース・コバーンなどのフィンガー・ピッキングで歌う人たちの演奏を聴いたときに、「こんな風に弾き語りできたら最高だよなあ」って思ったんです。それでジェームス・テイラーを音楽的に結構研究して。 (笹倉)


OLD DAYS TAILOR
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アルバムの楽曲の話に入っていければと思います。ここ近年、笹倉さんはライヴを見に行くためだけに渡米するほど、ジェームス・テイラーにハマっていると伺っています。先ほど話にあったとおり、このアルバムでも各人のプレイ含め楽曲自体にもそのテイストが色濃く反映されていると思います。彼は単に「好きなミュージシャン」という以上の存在なんでしょうか?

笹倉:そうですね。僕がこれまで飽きないで音楽をやってこられた原動力です。10代の頃からずっとニール・ヤングを聴いてきたんですが、ニール・ヤングのプレイ・スタイルに飽きてきたというか(笑)。もちろん彼の音楽は素晴らしいんですけど、やっぱりひとりでライヴを演るとき、ニール・ヤング的表現だと曲やノリの面でできることがかなり限られてくる。その点、ジェームス・テイラーやブルース・コバーンなどのフィンガー・ピッキングで歌う人たちの演奏を聴いたときに、「こんな風に弾き語りできたら最高だよなあ」って思ったんです。それでジェームス・テイラーを音楽的に結構研究して。いまはYouTubeでどう弾いているかも大体見られるけれど、あんまり僕がインターネット派じゃなかったので、耳コピをして……

ジェームス・テイラーのギターを耳コピするのは難しそうですね。

笹倉:ベースからコードを追いかけていって。そしたら意外と簡単なコードだった(笑)。

そこからいまや外国まで追いかけるくらいにハマっているってことだと思うんですが、気づいたらドンドン魅せられていったということなんでしょうか?

笹倉:とにかく聴いていると幸福感がすごいんですよね。

なるほど。ジェームス・テイラーの魅力って実はとても言葉にしづらいと思っていて……。僕も聴けば瞬時に「最高だなあ」と思うんですけど、それ以上に具体的な言葉を紡げないというか。コード・プログレッションも洗練されているし、ハーモニー感覚も繊細。朴訥としたクルーナー・ヴォイスの魅力……各論的にはいろいろあると思うのですが。

笹倉:彼はまず、歌のピッチがめちゃくちゃ良いんですよ。圧倒的に上手い。複雑な音楽性とかいろいろあると思うんですけど、単純に音楽として素晴らしく完成度が高いんですよね。

そうですね。たとえシンプルな弾き語りだとしても異常なほどにウェルメイド。

笹倉:「下手だけどいいよね」とかそういう次元ではなくて、ただ単純に「良い」っていう。

岡田くんと谷口くんのふたりにとっては、ジェームス・テイラーってどんな存在ですか?

岡田:しばらく聴いていなかったんですけど、今回久々に聴き直しました。個人的にAORにハマってたことあって、特に70年代半ば以降の作品とか素晴らしいなあって改めて思ったり。それと、ジェームス・テイラーって似た人がいないなと思って。あんなに売れているのにフォロワー的な人がいないんですよね。

たしかに。兄弟たち……たとえば弟のリヴィングストンも似ているようでやっぱり違うしね。

岡田:兄のアレックスはぜんぜん違うし。

谷口:妹のケイトも違うし。

岡田:誰も真似しないというか、おそらく真似できない。今回彼の音楽を下敷きに制作してみたら本当に難くて。曲の作りもそうだし、演奏も何も演っていないよう思わせつつああ聴かせるなんて簡単なことではない。あそこまで普通にいい曲なのにオンリーワンな存在って他に浮かばないなあ、って思います。

決してトリッキーということではないのに。

谷口:そうなんです。でもやってみると難しい。

岡田:極端な話、スティーリー・ダンの方が簡単じゃないかと思います(笑)。

谷口:譜面化できない難しさみたいなのもあると思うんですよね。スティーリー・ダンは譜面にすればMIDIでも演奏できると思うんですけど、ジェームス・テイラーの音楽はおそらくMIDIでは再現できない。しかし彼自身は何を聴いてきてああいう音楽を作るようになったのかがよくわからないですよね。

岡田:ニュー・ソウル以前なのにニュー・ソウルっぽい感覚があるよね。

笹倉:そういえば「ジェームス・テイラーが影響を受けたサウンド」っていうプレイリストがAppleMusicにあったな……(iPhoneを取り出す)

岡田:(プレイリストを見ながら)サイモンとガーファンクル、ビートルズ、バッファロー・スプリングフィールド、エリック・アンダーソン、レッドベリー、ロネッツ……

う~ん、たしかにそこら辺に影響を受けているっていうのも分かるんだけど……ジェームス・テイラーのあの独特の洗練に直接的につながらない気が……67年にダニー・クーチと一緒に演った音源でその後発掘されたフライング・マシーンの音源とか聴いても既に洗練されているんだよね。ラヴィン・スプーンフルなどのハーモニー、アンダースンポンシア系のプロの作家っぽさ、あとはフレッド・ニールとかのジャジーなフォーキーさ、そういうものが融合している感じが……。

岡田:時代的にもフォーク・ロックとかに影響を受けると普通はサイケになりそうだし、本人もめちゃくちゃジャンキーだったのに曲はまったくもってフレッシュっていうのがよく分からない。見た目もすごく繊細そうでシャープで……モンテ・ヘルマンの『断絶』に出ているジェームス・テイラーの目つき、あればヤバイ(笑)。

なんだかジェームス・テイラーの話ばっかりになっちゃいましたけど(笑)……笹倉さんは日本語の自作詞をそこに載せる。アルバムを聴くと簡単にやっているように聞こえるかもしれないけど、実際はすごく大変なんだろうな、と思いました。

笹倉:メロディーから作るわけですけど、音節的にぜんぜんうまく日本語詞が乗らない。言葉の意味の面でも、日本語ならではの伝わり方がうまくメロディーにハマらなかったりします。

たしかに直接的にロックっぽい……わかりやすく言うと仮に内田裕也的な歌詞を乗せたらすごい珍味なものになってしまいそうですよね(笑)。そう思うとやはりはっぴいえんどというのは先駆的という意味でも偉大だったと思うんですけど。

笹倉:そうですね。

今後はさらに音楽への向き合い方をいちばん純度の高い形に持っていきたいなって。そういうところにもう一回立ち返りたいなって気持ちがあるんです。だから自分の見え方をビジネス的にどうしていこうとか、いまはぜんぜん興味がない。 (笹倉)

今作でもいろいろなトライを経てこうなっていると思うんですけど、非常に上手く日本語が乗っていると思いました。我々がネイティヴだからというのもあると思いますが、日本語って言葉のチョイスによって意図していた以上に意味を発揮してしまい、それに他の要素までが支配されてしまうということがあると思うんですけど、この作品ではそれが周到に避けられているなと感じました。例えば、“過ぎたことのように”のなかでタイトルをリフレインするところとか、割とインパクトのある句が繰り返されているはずなのに、いい意味で音に埋まっている。大人の技巧を感じました。匠の技(笑)。
岡田くんと谷口くん作の曲についてもお話を聞かせてください。まず岡田くん作“午後の窓”。

笹倉:森は生きているの頃の曲なんだっけ?

岡田:元々は森は生きているの最後の方にライヴで演っていた曲ですね。

これを持ち込もうと思ったのはなぜ?

岡田:笹倉さんに「なんか曲ないの?」って言われて。僕のソロ・アルバム用にも録っていたんです。森は生きているのヴァージョンとソロ・アルバムのヴァージョンはお蔵入りしていているし、ちょうど増村くんが歌詞を書いていたし、このバンドで違うテイストのものをやってみたらどうかなって思って引っ張り出してました。

これはジェームス・テイラー的世界とは違って、若干『ロングバケーション』ぽさもあって。岡田くんの趣向が反映されつつ、しっかりバンド感もあって。ヴォーカルも岡田くんが担当して……

笹倉:いや、これ僕の声です(笑)。

え!? 岡田くんの声にそっくりじゃないですか?

谷口:似てますよね。僕も最初歌入り版が上がってきたとき「ヴォーカル、デモのまんまじゃん」って思いました(笑)。

笹倉:僕と優河ちゃんの声をユニゾンで重ねているんです。

なるほど! それでこの声の質感になっているのか……面白いなあ。
そして谷口くん作“アフター・ザ・ガール”。すごく谷口くんっぽいなあって思いました。わ、ジェイホークスみたいだ! って(笑)。

谷口:これも元々は、岡田くんから森は生きているの最後の方に「なんか曲ないの?」ってメールが来て、そのとき出した曲ですね。

岡田:そのときは結局ボツにしたんですよね(笑)。

谷口:歌詞もメロディーもなかったから、いま思えばそれで提出するっていうのもどうかと思うんですけど(笑)、どこかで使いたいなと思っていたので、今回メロディーも作って増村くんに歌詞を書いてもらって。

一瞬のホッとする感じが良いですねえ。バンドとして、ふたりの曲が入ることによって音楽性の幅が出ていて良いなと思いました。あと、大滝詠一のカヴァー、“恋の汽車ポッポ”。これは笹倉さんの選曲?

笹倉:そうです。これも実はジェームス・テイラー・スタイルなんです。ジェームス・テイラーがチャック・ベリーの“プロミスド・ランド”をカヴァーしているものがあって。そのアレンジを参考にしています。自分でこういうテイストの新曲を作るのもアリかなって思ったんですけど、バンドのあり方として、かつての音楽を紡ぎ直すというスタンスも大事にしたかったから、日本の名曲を違ったスタイルで継承するっていうのも良いなと思ったんです。ジェームス・テイラーもそうですけど、シンガー・ソングライターでも昔の曲を継承するっていうスタンスは割と欧米では一般的だし、自分もそういうのをやりたいなあと思った。

いまおっしゃった何かを継承していくという意識はOLD DAYS TAILORというバンド名にも通じますよね。ブックレットの最初のページに笹倉さんによるメッセージが入っていますよね。「在りし日を紡ぎ仕立てることで生まれた、音や言葉が……」という。ただ過去を向くのではなく、何かを継承していこうとすることの貴さ、そういう気概を感じます。一方で“過ぎたことのように”では「なにもない海を見ていると なぜだか ありもしない記憶に 胸がきしむのです」「波間に見えた舟の 知るはずのない痛みを 覚えている」という、体験してないことを体験していたことのように思う視点というのもある。過去といま、というものの繋がりへの繊細な視座を感じます。このアルバムの制作中、時間が過ぎていくことや、自分が移ろっていくことと、そういうものに対して感覚がとても鋭敏になっていたということなのでしょうか?

笹倉:そうですね。でも制作中だけというより、昔からずっと変わらない感覚かもしれないな。

谷口:たしかにguzuriの周りのあの環境で過ごしていれば、そうなるのかも。

やっぱり笹倉さんから見て「世の中もうちょっと落ち着けよ」って思いますか?

笹倉:いや、そんなことはぜんぜん思わないですね。

都会から離れた環境にあえて自分をおいて時間の流れから身を閉ざすという人もいる思うんですが、そういう感覚ではないと。

笹倉:そうです。

そうか、元々の生活がそこから始まっているわけですものね。だからこそ、アルバムに描かれている光景は、ゆったりしているところもあるんだけど、一方で現代に生きている人が皆感じている時間感覚があるのかもしれないですね。その不思議なバランス感は笹倉さんの音楽の大きな魅力のひとつだなあと感じます。

笹倉:都会も田舎も、どちらも僕は好きですね。

岡田くんと谷口くんのふたりはどうですか? 都会から逃げ出したい願望というか……。

岡田:僕も以前まで福生に住んでいていまは国立だから、そんなバタバタしている感じじゃないですね。

谷口:僕も都心在住ってわけじゃないので。

ああ、そう考えると、OLD DAYS TAILORのメンバーは武蔵野中心にみんなサバーバンな人たちでもあるんだね。そういうみんなの感覚がじんわり出ている気がします。
さて、いよいよリリースになりますが、今後の展望は?

笹倉:この先のことを考えるとなんだか疲れてきてしまって……(笑)

いろんな人にどうやって聴かれるかを想像すると、ってことですか?

笹倉:いまはあんまりそういうことを考えないで音楽に接したいんですよ。ミュージシャン主導でガシガシ宣伝のこととかも考えなきゃやっていけない時代だとは思うんですけど。音楽制作を続けていくなかでもサイクルがあって。いろいろ意識を高く持ってDIYでやっていかなくては、って思うときもあったりするんですけど、いまはもう高校生くらいの気分。

どういうことですか?(笑)

笹倉:これまでずっと自分なりに言葉と音楽の関わりをひたすら考えながらやってきて、今回のアルバムはそのひとつの結果ということになると思うんですけど、今後はさらに音楽への向き合い方をいちばん純度の高い形に持っていきたいなって。そういうところにもう一回立ち返りたいなって気持ちがあるんです。だから自分の見え方をビジネス的にどうしていこうとか、いまはぜんぜん興味がない。でも立ち返るためのいろんなことを考えるとまたそれはそれで面倒くさくて疲れてしまうんだけど……(笑)

このアルバムもそういう気持ちに立ち返りたいというのを念頭に作ったんでしょうか?

笹倉:そうですね。

だからなのか、純粋な音を奏でる歓びに溢れていると思いましたよ。

笹倉:ありがとうござます。だからこそ、こういうことは考えたくないんだけど……やっぱりもちろんたくさんの人に聴いてもらいたいし、売れてほしいな、っていうのはありますね。あれやこれや僕が考える必要がなくなるように(笑)。

7/11にはレコ発公演も予定されていますね。ライヴはどんな感じになりそうですか?

谷口:レコーディングでも、重ねなしのリアルなバンド・サウンドそのままにライヴで再現できるように作られた作品なので、ぜひアンサンブルの気持ち良さをを聴いてほしいですね。

笹倉:なかなかライヴを頻繁にできるバンドではないので、7/11、ぜひ来てほしいです。

楽しみにしています。今日はありがとうござました。

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