近々発売される、〈DJ International〉が手掛けるハウスのコンピレーション・シリーズ『Jackmaster』の最新盤「7」に、シカゴ・ハウスのゴッドファザー、フランキー・ナックルズの“Carefree(I Am A Star)”が収録され、これがシングル・リリースされる。
シングルには、ロッキー・ジョーンズ(レーベルのボス)とチップ・Eによるリミックスも収録されるそうです。
近々発売される、〈DJ International〉が手掛けるハウスのコンピレーション・シリーズ『Jackmaster』の最新盤「7」に、シカゴ・ハウスのゴッドファザー、フランキー・ナックルズの“Carefree(I Am A Star)”が収録され、これがシングル・リリースされる。
シングルには、ロッキー・ジョーンズ(レーベルのボス)とチップ・Eによるリミックスも収録されるそうです。
ロンドンの〈Houndstooth〉と契約したロティックの新曲“Cocky(生意気)”がやばいです。
これは5月に発表した“Burn A Print”に続く新曲で、ロティックはコンセプトについてこう話している。「女の子たちのための歌。いつもあなたが自分の価値を把握して、それを自分で認めてあげるためのリマインダー。もしショッキングだったり気に障るようなものに聞こえたとしても、この歌はあなたがそもそも自分に嘘をつかないでいられるよう手助けするもの。そして何よりこの歌は、あなたが成長して、成功して、自信を持つことを祝福している」
うーん、アルバムが楽しみです。
5分31秒間、僕は神を信じたことがある。といっても困ったときについ頼んでしまう「神さま」のことじゃない。ユダヤ教とキリスト教で等しく信じられているあの「神」だ。見た目は、ルネサンス期の絵画によれば、カリフラワーライスでダイエット中のサンタ・クロースって感じ。
へんな話だけど、神はポップソングにのってやってきた。僕が11歳のときだ。
ポップソングということは、中学校でのダンスタイムとか、ガソリンスタンドでのトイレ休憩中とかに、スピーカーから流れ出てきた神に出くわしてもおかしくなかったわけだけど、さすがは全知全能の神、きっちり礼拝堂で現れた。
日曜学校でヘブライ語の授業を受けているときの出来事だった。
僕たちは毎回、聖典の重苦しい物語を読まなくちゃならない。それで時々、司祭は教室の雰囲気を盛り立てようとユダヤ系ロッカーの曲をかけてくれた。
この日もラビが1本のカセットテープをラジカセに突っ込み、再生ボタンを押した。流れてきたのは、ボブ・ディランの“ミスター・タンブリン・マン”。
アコギのシンプルなストロークではじまった。DからG、Aと行きDに戻る。
そこへディランの声が重なる。忘れ去られた古の街のこと、そして一夜にして砂へと崩れ落ちた帝国のことを歌いだす。
ディランの詞が僕の脳に、不思議な術をかけたようだ。1番を聴きはじめたとたん、サイケデリックな砂漠文明の光景が目の前に広がった。僕は遠くから、その古代文明が勃興し衰退していく様を早送り再生で眺めている。アリの巣みたい。僕は壮大な物語のジオラマから目が離せなくなった。
なんだか少し怖かった。
でも、ディランの穏やかな声が気分を落ち着かせてくれる──そう思ったのもつかの間、今度は僕の空想が翼を広げて空高く舞い上がっていく。よくあるたとえに聞こえるけれど、実際その通りのことが起きた。“ミスター・タンブリン・マン”の2番と3番の歌詞には、「魔法の渦巻き船(マジック・スワーリング・シップ)」で太陽を目指す旅が出てくる。この詞とともに、僕の心の目はシナゴーグを飛び出し、空を突き抜けて、宇宙まで行ってしまったのだ。
僕はそこでたしかに神の存在を感じた。
最後のコーラスにさしかかる頃には、ディランの“ミスター・タンブリン・マン”がモーセの「割れる海」や「燃える柴」と同じくらい、いや、それ以上の奇跡といえる気がしていた。
ラビが停止ボタンに指をおく。ハーモニカの音がやわらかにフェイドアウトして、曲はおわりを告げていた。
2020年になったいま、僕は先祖代々の信仰を手放して久しいけれど、ディランはハーモニカに奇跡を吹き込みつづけている。最新作『ラフ&ロウディ・ウェイズ』も奇跡のひとつ。このアルバムのなかの曲で、79歳のシンガーソングライターは自身初となるビルボードのシングルチャート1位を獲得した。しかも驚いたことに、この曲は約17分もある。
COVID-19パンデミックのさなかにリリースされたから、聴く側はかつてないほど時間をかけて、自宅でじっくりディランを堪能しているだろう。近年のビルボードヒット曲は、あきらかにどんどん短くなる傾向にあった。2019年の平均は約3分、ディランの大作に比べると6分の1程度だ。
コロナウイルスへの不安とともに生きるなかで、ディランの新しいアルバムに流れるゆったりとした時間は心地よく感じる。ハーブティーみたいに気持ちを落ち着かせてくれる。
だけど穏やかなサウンドとは裏腹に、詞は挑発的で刺激に満ちている。男性器のジョークあり、陰謀論あり、死についてもあり余るほど語られる。みんながよく知る人物も登場する。インディ・ジョーンズ、アンネ・フランク、ジークムント・フロイトにカール・マルクスまで。
ヴォーカルはこのアルバムの要だ。演奏をバックに、歌詞がスポットライトを浴びた名画のように掲げられる。
79歳を迎えたディランの声はひびわれて揺らいでいる。音程補正ソフトが当たり前の時代だからこそ、その魅力はいっそう際立つ。
歌い方もクールだし、年齢を重ねたしゃがれ声と相まって、もはやトム・ウェイツよりもトム・ウェイツっぽい。
昔から変わらない部分もある。本作でもディランは自分が影響を受けたものを見てくれと言わんばかりだ。おなじみのモチーフがときに姿を変えながら、アルバムのあちこちで顔を出す。1940年代のウディ・ガスリーのスタイルに、アパラチア音楽文化の影。グレイト・アメリカン・ソングブックに手を出したかと思えば、アラン・ローマックスの収集音源もちらり。象徴派の詩、自身のフォーク・ソングのロックンロール・アレンジ、それからジャーナリスティックな語り口。もう挙げ出したらきりがない。
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は、傘寿を迎えるディランの輝かしい到達点だ。繰り返し聴きたくなるのはもちろん、底が知れない。あらゆる方向へ広がり、さまざまなものを含みもつ。
ディランはこれまでに何度もポップ・カルチャーの価値をより高みへと更新してきたけれど、今回もそれに成功している。もしも万が一(そうなりませんように!)、本作が最後のアルバムになったとしたら、まさに有終の美というにふさわしい。でも僕はまだまだディランが嬉しい驚きを届けてくれると期待している。2020年のいまも、1964年の頃と変わらず、唯一無二の存在だから。
それに、ディランのような年齢のポップ・アーティストがこんなにも独創的な歌詞を書いているのをみると、すごく励まされる。
僕はもう何十年もディランの文学的な歌詞に心を奪われている。お気に入りの作家や映画監督と同じように、ディランは、未熟な僕が見逃してしまいそうな物事にいつも気づかせてくれる。だから、11歳のときにシナゴーグのラジカセを通じてディランと出会えた僕は、本当に運がいい。
そして、振り返ってみるとちょっと妙な話ではあるけれど、ディランの詞が(ほんの数分間とはいえ)僕に信仰をもたせたというのはちゃんと筋が通っている。だって、結局、歌というのは僕らが神とつながる術なんだから。音楽と無縁な宗教というのは聞いたことがないし、人類史上ずっと、歌うことは霊的な儀式の中心的な役割を担っている。
俗な世界に生きる現代の僕らもいまだに神経言語的なレベルでは、ポップ・ミュージックを宗教的なものに結びつけている。このアルバムには「魂」がある、なんて言ったりするし、ディランみたいなロックスターを「神」と呼んだりもする。
いまだって、僕も心のどこかでディランの詞に神聖なものを感じている。新しいアルバムで聴くあのしゃがれ声には、あらゆるものの解が入っているのだろう。
by Matthew Chozick
For five minutes and thirty-one seconds, I once believed in God. Not just any deity, but the Judeo-Christian one, who, in Renaissance paintings, looks like Santa Claus on a cauliflower rice diet.
Oddly, He came to me in a pop song ― I was eleven.
Although I might’ve found the Almighty in the stereo of a junior high dance or speakered into a gas station bathroom, remarkably, He appeared to me in synagogue.
At the time I was in a Sunday Hebrew school class for children.
Every weekend we kids studied gloomy Torah stories, and sometimes a rabbi would lighten the mood with music from Jewish rockers.
During a lull one Sunday, my rabbi inserted a cassette tape into a boombox, pressed play, and out came Bob Dylan’s “Mr. Tambourine Man.”
It began with simple acoustic guitar chords: D to G to A to D.
Then Dylan started to sing of forgotten ancient streets and of an empire that, in one night, crumbled to sand.
The lyrics did something weird to my brain. The first verse conjured a psychedelic vision of desert civilizations that, from afar, looked like ant colonies. They rose and fell, in time-lapse, on a massive, geological scale.
It was a little scary.
But Dylan’s gentle voice relaxed me ― until it sent my imagination soaring, literally. The second and third verses of “Mr. Tambourine Man” included a journey towards the Sun on a “magic swirling ship.” The lyrics carried my mind’s eye up, out of the synagogue, through the sky, into space.
I felt the presence of God.
By its final chorus, “Mr. Tambourine Man” seemed no less a miracle than the Burning Bush or the parting of the Red Sea.
And then my rabbi readied his finger above the boombox’s stop button, right before the track ended with a soft fadeout of the harmonica.
Now, in 2020, long after I left my ancestral religion behind, Dylan is still packing harmonica with miracles. One such miracle is that the singer-songwriter’s new record, Rough and Rowdy Ways, has given the seventy-nine-year-old his first chart-topping Billboard single ever. And extraordinarily, the hit is some seventeen minutes long.
Released amid our COVID-19 pandemic, listeners have had an unprecedented amount of time at home to parse Dylan. Tellingly, in recent years Billboard hits had been shrinking in size. In 2019 they averaged about three minutes ― roughly 1/6 of Dylan’s 2020 opus.
The new album’s gentle pacing feels soothing in our era of coronavirus anxieties. It relaxes like a cup of herbal tea.
But the record’s sonic mildness belies provocative lyrics. There’s a penis joke, a conspiracy theory, plenty of death, and notable references to Indiana Jones, Anne Frank, Sigmund Freud, and Karl Marx.
The vocals serve as the centerpiece of the album; lyrics hang like spotlit paintings in front of instrumental accompaniments.
Dylan’s voice at seventy-nine cracks and wavers, which makes the record even more compelling in our age of autotune and pitch correction software.
The singing sounds cool; Dylan’s gotten gravellier with age. He’s now more Tom Waits than Tom Waits.
Some things haven’t changed; Dylan still wears his influences on his sleeve. His old muses are reflected and refracted on the new album ― familiar 1940s Woodie Guthrie stylings, Appalachian refrains, forays into the Great American Songbook, hints of Allen Lomax’s field recordings, symbolist poetry, rock n’ roll covers of his own folk music, journalistic storytelling, and oh so much more.
Rough and Rowdy Ways works as a bold culmination of the near-octogenarian’s career. It warrants many relistens and it feels bottomless, expansive. It contains multitudes.
Like Dylan has done time and time again, the new album elevates pop culture orders of magnitude. And if ― knock on wood ― this turns out to be Dylan’s final release, it would be a brilliant note to finish on. Yet I expect more pleasant surprises to come from Dylan. He is still as peerless in 2020 as he was in 1964.
To be sure, it’s heartening to see such lyrical originality from a pop artist of Dylan’s age.
For decades Dylan’s writerly lyrics have captivated me. Like my favorite novelists and filmmakers, Dylan has continually helped me notice things about the world that, in my own stupidity, I would have otherwise missed. So I’m very lucky that, at age eleven, I discovered Dylan in a synagogue boombox.
And while it seems a little weird now, it makes sense that Dylan’s lyrics made me a believer ― if only for a few minutes. After all, good songs are how we communicate with the divine. Every major faith uses music, and singing has been central to spiritual practice throughout human history.
In our secular era today, we’re still neurolinguistically wired to experience pop music as religious. We discuss albums as having “soul” and we refer to rock heroes, like Dylan, as “gods.”
Even now part of me finds Dylan’s songwriting to be divine. His gravelly voice on the new record sounds as if it has all the answers to life’s questions.
ラッパーとして、すでに20年以上のキャリアを持つ KGE THE SHADOWMEN (カゲ・ザ・シャドメン)。ソロとしてはもちろんのこと、千葉出身のアーティストを中心に結成されたクルー、TEAM 44 BLOX の一員としての活動や、DJ/プロデューサーである HIMUKI とのユニット、KGE & HIMUKI では通算3枚のアルバムをリリースするなど、様々な形で作品制作やライヴを行なってきた。その一方で、彼のことをいわゆる「客演キング」として認識している日本語ラップ・ファンも多いだろう。特に印象深かったのが仙台のグループ、GAGLE のアルバムに収録されたふたつの曲 “舌炎上” (2014年『VG+』収録)と “和背負い” (2018年『VANTA BLACK』収録)だ。日本のヒップホップ・シーンでもテクニカルなラップで評価の高い GAGLE の HUNGER と互角に渡り合い、さらに “和背負い” では天性のスキルと強烈な個性を持つラッパー、鎮座DOPENESSを交えた3MCによるセッションが実にスリリングかつ凄まじい格好良さで、個人的にも KGE THE SHADOWMEN のソロを待ちわびていた感すらある。そのタイミングでリリースされた、ソロ名義では11年ぶりのリリースとなる2ndアルバム『ミラーニューロン』だが、こちらの期待を軽く上回る素晴らしい快作である。
KGE THE SHADOWMEN のラップの魅力は巧みなフロウとラップが映える声の良さで、そこに説得力あるリリックが重なれば、もはや怖いものはない。アルバムの冒頭を飾る “俺のHIPHOP” はそれらの要素が全てが合わさった1曲で、16FLIP (ISSUGI)によるキックの効いたトラックに乗せて、ヒップホップに捧げた紆余曲折な人生を振り返りながら、自らの深い覚悟を宣言する。この曲に限らず、本作での彼のアティチュードは実に自然体で、無理に虚勢を張ったりもせずに、自分の弱ささえも包み隠さず言葉にする。決して短くはないアーティストとしてのキャリアが、いまの自然体な彼を作り上げているのは間違いないが、そんな嘘のない言葉だからこそ、彼のリリックは実にストレートに心に突き刺さってくるし、特に30代、40代と年を重ねたリスナーであれば共感できる部分も大いに違いない。特に家族へ捧げた “こんな俺だけど” や “ジャム&マーガリン” での KGE THE SHADOWMEN の言葉が持つ力と暖かさは、決して誰にでも表現できるものではないだろう。
「客演キング」であるがゆえに、本作にも当然、ゲスト勢が多数参加しており、注目はやはりすでに名前の出ている HUNGER と鎮座DOPENESSだろう。HUNGER と GOCCI (LUNCH TIME SPEAX)が参加した “葉隠” でのハイプレッシャーなマイクリレーは迫力十分。さらに度肝を抜かれたのが鎮座DOPENESSとの “TRANCE注意報” で、Grooveman Spotの金属質でエッジの効いたトラックにふたりが変幻自在に言葉を放ち、カオスな空間を作り出す。他に SONOMI、CHIYORI、菅原信介と3人のシンガーをそれぞれゲストに迎えているのだが、いずれも異なるタイプの曲でいずれも見事な出来だ。ちなみにプロデューサーも多彩なメンツを揃えているのだが、個人的には DJ Mitsu the Beats のシンプルなループが実に心地良く響く “毎日Walkin'” がラスト・チューンとしても実にしっくりきて、好みな一曲。実は7分以上もあるのだが、この曲のように、良い意味でマイペースに彼のラッパーとしての活動がこれからも続いていくことを期待したい。
ヴラディスラフ・ディレイの新作も迫力あったし、ベアトリス・ディロンはUKだけど彼女のアルバムにはベルリンのミニマル・ダブからの影響を感じたし、そしてPole(ポール)の5年ぶりの新作もかなり良さげです。
1998年に登場したPoleことステファン・ベトケは、当時数多あるベーシック・チャンネルのフォロワーたちのなかでも抜きんでた存在のひとつで、彼自身のレーベル〈~scape〉の展開とともにミニマル・ダブを進化させたイノヴェイターでもある。2003年に〈ミュート〉から5枚目のアルバムを出しているが、この度はそれ以来の同レーベルからのリリースで、5年ぶり9枚目のアルバムとなる。(2017年にはベルリンの前衛シーンの伝説、コンラッド・シュニッツラーとの共作も出している)
新作のタイトルは『フェイディング』。“記憶の喪失”がコンセプトで、ふとケアテイカーを思い出す人もいるかと思うが、認知症になった母親が作品の契機にあるそうだ。「自分の母親が当時認知症にかかっていて、彼女が91年にもわたって積み上げてきた彼女の記憶すべてを無くしていく様子を見ていたんだ。まるでその様は、生まれたてで彼女の人生がはじまったばかりのような感じに思えた。まさしく、まだ中身が空っぽの箱のような」
それでサウンドはどうかと言えば、アンビエント、ダブ、そしてジャズが少々といった感じの構成だが、音の空間性が素晴らしく、その重いテーマに対して音は決して重々しくはない。クラブで鳴らすというよりは、あきらかに家で聴く音楽で、これは注目してもいいでしょう。リリースは11月6日(金)です。
■「Röschen」 (Official Audio)
Pole
Fading
Mute/トラフィック
https://smarturl.it/pole2020
https://www.facebook.com/pole.stefanbetke
https://pole-music.com/
ジェシー・ランザは……、いやこれはもう、柴崎祐二君あたりが喜びそうなポストモダン・ポップのアーティストだ。カナダ出身で米国に移住した彼女と、その才能はJunior Boys名義の諸作で保証済みのカナダ在住のプロデューサー、ジェレミー・グリーンスパンとのコンビによって作られるエレクトロ・ポップな音楽は、過去現在のいろんな音楽の美味しいところの組み合わせによって作られているが、今回のアルバムで言えば、アレキサンダー・オニールもその影響に含まれる。
80年代にポストパンクなんかを聴いていたリスナーからすると、ブラコンの代名詞はその対極の文化だったりするのだが、ジェシーと同じく〈ハイパーダブ〉のミサもジャネット・ジャクソンとブランディなどと言っているし……。もうこれは完全に文脈(歴史)は削除され、その表層(残響)だけが舞い上がっていると、しかしこれが時代におけるひとつのセンスであって、あるいはこれこそヴェイパーウェイヴがはからずとも描いたのであろうリアル無きあとの我らが幻影世界なのだろうけれど、この先の話は柴崎君に任せるとして話をジェシーに戻そう。
そう、とにかくジェシー・ランザ(&ジェレミー・グリーンスパン)は、そのポストモダン的感性と抜群のミックス・センス(フットワーク、エレクトロ・ファンク、ハウス、ニューオーリンズのバウンス……そしてYMO等々、すべてがフラットな地平における広範囲および多方面からの影響のハイブリッド)によって2016年のセカンド・アルバム『Oh No』を作り上げ、いっきに評価を高めている。たしかに、シカゴのゲットー・ダンスと細野晴臣を混ぜ合わせるというのはなかなかの実験であり、まあ、その前にも彼女はカリブーの『Our Love』(2014)で歌っていたり、あるいは90年代から活動しているベテランのテクノ・プロデュサー、モーガン・ガイストとも共作したりと、シンガーとしての才能は早くから認められてきたのだろう。技巧的にうまい歌手ではないが、彼女には雰囲気があるのだ。
去る7月、ジェシー・ランザは待望の3枚目『All The Time』をリリースしたばかりで、すでに欧米ではかなりの評判になって露出も多い(なぜか彼女は日本では過小評価されている)。今作をひらたく言えばよりポップになった作品で、まだ世界がコロナでパニックになる直前に聴いた先行発表の“Lick In Heaven”には、ぼくも心躍るものがあった。
ほかに推薦曲を挙げておくと、フットワーク調の“Face”、ディープ・ハウス調の“Over And Over”、メランコリックなダウンテンポの“Anyone Around”や“Badly”、ブラコンの影響下なのだろう“Alexander”や“Ice Creamy”、あぶく音とアンビエントの“Baby Love”……と、すでにアルバム収録の10曲のうちの8曲も挙げているではないですか。総じてスウィートで、ファッショナブルで、洗練されていて、良く比較されるFKAツィグスより軽妙で、グライムスと違って自身のエゴよりも楽曲が優先されている。息抜きにはちょうど良いアルバムだが、もしジェシー・ランザと対面で話す機会があったら言ってあげたい。君が好きな音楽はその当時はね……いや、でもいまマライア・キャリーやニュー・エディションを聴いたら良かったりするのかな?
見渡してみると、怒っている人ってとても多いのよ。何でそんなに怒ってるの? って思わされる。地下鉄に乗っているときとか、周りにたくさん人がいるからイライラするのは簡単なのよ。
■いまNY? カナダ?
JL:いまはシリコンバレーにいる。
■シリコンバレーはどんな様子ですか? 後ろに木がたくさん見えますが……
JL:ここ数ヶ月、自分の自宅から離れたところに住んでいるのよ。義家族と一緒に過ごしているから、高校生に戻ったみたい。家の離れにツリーハウスがあるから、そこをスタジオみたいにして使っているの。
■この数か月、ほとんどを家で過ごしていると思うんですが、日々どんな風に暮らしていますか?
JL:このツリーハウスをスタジオにするためにいろいろと設置していじったりしていた。それもひと通り落ち着いたから、いまは新しい音楽を作っているところ。『All The Time』のMVを作ったりしていたわ。ツアーができないから、アルバムを出したあともどうにかして忙しくしなきゃって感じ。
■作品を出して、ライヴをやって、プロモーションしてという音楽ビジネスのルーティーンがいま通じなくなっていますが、こうした難しい事態をどう考えていますか?
JL:まさにその変化の過程だから、何もわからないっていうのが正直なところ。ライヴができるようになるまでには、まだかなり時間がかかるっていう状況を飲み込んでいる最中ね。幸いなことにいまは家族と一緒にいるから、精神的には安定しているかな。はっきり言って、災難よ。
■答えは誰もわからないですからね……。いま、考え中というところでしょうか?
JL:そう。どうすればいいかなあ・・・って、考えているところ(苦笑)。
■よく聴いている音楽をいくつか教えて下さい。やはり、ご自宅でもポップに拘った選曲なんでしょうか?
JL:バンドキャンプで友だちの曲を聴くことが多いわ。メインストリームのアーティストではないけど。ただ、音楽を聴くより本を読む時間の方が多いの(笑)。断然多いわね。アルバムが完成したあと、ちょっと疲れちゃって。ベッドに寝転んで本を読んでいたい気分だったのよ。
■何を読んでるんですか?
JL:『SNSをやめるべき10の理由』みたいな本(おそらく『今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由』のこと)があるんだけど、それがけっこう面白いのよ。
■ツリーハウスでそれを読んでるんですね(笑)。
JL:そうそう(笑)。いま読んでるのはそれで、他にはマヤ・アンジェロウの『歌え、翔べない鳥たちよ』も素敵だった。この2週間で読んだのはその2冊かな。
■この状況で悲しくて落ち込むこともあると思うんですが、いまの話だと、そんなときも音楽を聴くよりも本ですか?
JL:そうね。いまはベッドでゆっくり本を読む時間にはまっているの。
■『All The Time』はコロナ前に制作された作品ですが、それがコロナ渦にリリースされたことを、あなたはどんな思いで見守っていましたか?
JL:もちろん、もともとはツアーの予定もあったからそれができなくなったのは悲しい。でも、ライヴ配信でDJセットの配信をしたりとか、ツアーに行っていたとしたらできなかったことができた。それはポジティヴなことだと思う。それに、MVにも充分時間がかけられたしね。いつも通りツアーをしていたら、忙しくなって逃していたかもしれないことにゆっくり向き合えたのは、この状況のなかで良かったことね。
■でも、こういう暗いご時世において、あなたの音楽はワクワクするものだと思います。その音楽面に関して、ジェレミー・グリーンスパンとあなたはどんな関係性で進めているのですか?
JL:作業自体は別々に進めたわ。私はニューヨークにいて、彼はカナダのハミルトンにいたから。会わないといけないときは私が車でニューヨークからカナダに行ってた。私の家族がカナダにいるから、そういう意味でもちょうど良かったの。週末にカナダまでドライブして、音楽を作って、また車で戻ってくるっていうのは楽しかったわ。彼との曲作りはエキサイティングだし。
■ニューヨークからカナダまで車を運転するんですか?
JL:そうなの。ニューヨークで大きなバンを持っていて、それはこっち(シリコンバレー)にも持ってきたんだけど、それで8時間ぐらい。8時間って聞いたら長いけど、運転していると楽しくてあっという間よ。
■『Pull My Hair Back』や『Oh No』では、いろんなクラブ・ミュージックを折衷しながら作っていましたが、今作の『All The Time』において参照した音楽があれば教えて下さい。
JL:今回のアルバムを作っているときはセンチメンタルな気分だったのよね。ホームシックになってたし。だから、郷愁を感じるような、エモーショナルなシンガーソングライターの曲なんかが心に刺さってた時期だった。そういう感情をアルバム作りに落とし込んでいたわ。
■ということは、具体的な音楽というよりは、そのときの感情を活かして作ったという方が近いでしょうか? もしくは、本や映画からインスピレーションをもらいますか?
JL:本や映画は、音楽作りにかなり影響するわね。映画の映像とかセリフを参考にすることがけっこうある。それと合わせて、怒りの感情を抱いたときに曲を書いたりするの。なんで感情がこんなにかき乱されてるのか、なんでこんな気持ちになっているのかわからなくて、それを消化するために曲を書く感じ。だから、1ヶ月後とかにそのとき自分が作った曲を聴くと、その感情が思いっきり表われてて面白いのよ。
■他のアーティストの音楽を聴いて、それを参考にしたり、感化されたりということもあるんでしょうか。もし具体的な例があれば、教えてください。
JL:もちろん、それもある。このアルバムを作っているときは、アレクサンダー・オニールの曲をたくさん聴いていたの。今回、かなり影響を受けたわね。彼の音楽がどんなものか知りたくて、カヴァーしてみたりもして。それを自分の音楽に反映させたの。
■たとえば“Face”なんかユニークな曲だと思いましたが、あのリズムはどこから来ているんですか?
JL:あの曲は、モジュラーでいろいろと実験をしていたときにできた曲なの。今回のアルバム作りの前に、機材をたくさん買ったのよ。使い方がわからないものもいろいろ買って、いじってみようと思って。だから、あんな感じでちょっと変わった曲になったの。
■そういう実験をしながらレコーディングしたんですか?
JL:そうそう。細切れに録音して、それをあとから組み合わせた。
今回は、よりポップなアルバムを作りたかったの。キャッチーで、みんなに覚えてもらえるような曲を作ることが今回の目標だったから。それがいちばん表われているのが“Lick In Heaven”かなと思うわ。
■“Lick In Heaven”をはじめ、今作はより歌のメロディラインがはっきりしているというか、すごく気を遣っていると思ったんですね。やはりそこは意識しました?
JL:今回は、よりポップなアルバムを作りたかったの。キャッチーで、みんなに覚えてもらえるような曲を作ることが今回の目標だったから。それがいちばん表われているのが“Lick In Heaven”かなと思うわ。
■ちなみに歌詞についてのあなたの考えを教えて下さい。あなたにとって良い歌詞とはどんなものなのでしょう?
JL:今回のアルバムに関して言えば、全体的に怒りが反映されているのよ。さっきも少し言ったけど、自分がなぜこんなに怒っているのかがわからないっていう感情がすごくあったの。制作当時にね。いつも怒っているような人になりたいわけでは全然ないのに、そうなってしまったから、それを自分の音楽作りに活かしたのね。最終的には、怒りっぽい自分を受け入れてた。(編注:とくに1曲目の“Anyone Around”、そして“Lick In Heaven”にも怒りがあります)
■怒りの原因は何だったんですか? 自分でもわからない?
JL:あはは、それがわからないからさらにイライラしたのよ(笑)。原因になるようなことは何もなかったの。具体的にはね。でも、他人の苛立ちに気づいてしまって、それに影響されたっていうのはあるかもしれない。見渡してみると、怒っている人ってとても多いのよ。何でそんなに怒ってるの? って思わされる。アルバムを作っているときもそれを考えてた。ポジティヴに、平和な毎日を送った方がいいってわかってるのに、なんでわざわざ怒るんだろうって。
■ニューヨークという、都会にいるときにその怒りを感じていたっていうことですか?
JL:そうね。地下鉄に乗っているときとか、周りにたくさん人がいるからイライラするのは簡単なのよ。いちど気になりはじめたら、ずっと気になってしまう。みんなが敵みたいに思えてくるというか。被害妄想よね。無数の他人の中で毎日過ごすのは、なかなか大変なことだから。
■そういう感情を抱えていながら、キャッチーでポップなアルバムを作ったというのが面白いですね。
JL:どのアルバムのときも、そのとき抱えている感情とは逆の音楽性にしたいのよ。今回に関して言えば、自分がずっと醜い状態だったから(笑)、それとは逆の音楽を作りたかった。それが、感情の整理に役立つのよ。そう考えると、これは音楽に関しても歌詞に関しても言えることだけど、自分の感情を昇華させられるようなものがいいものだと思うわ。
■この夏はどんな風に過ごす予定ですか?
JL:ずっとこのツリーハウスかな(笑)。カナダにも行きたいけど、アメリカとカナダの移動がまだ無理だから。最初は7月に解禁されるって言われていて、そのあと8月になって、またそれが延期になっちゃった。だから、しばらくはここにい続けるしかないわね。
■でもすごく居心地が良さそうですよね。
JL:最高よ。空気もきれいで、ずっといても全然平気な環境だから、ちょうどよかったかも。
■また、ライヴ配信などの予定もありますか?
JL:それが次の大きなプロジェクトね。実は、アルバムを最初から最後までプレイする配信を計画中なの。このツリーハウスで、いつもとはちょっと違うセットにしてやろうかなと思ってる。
ジャズ、実験音楽、ロック、エレクトロニック……などなど、あらゆる尖っている音楽シーンで引っ張りだこの前衛ドラマー、山本達久。石橋英子、坂田明、ジム・オルーク、青葉市子、UA、七尾旅人などのバックも務め、カフカ鼾のメンバーとしても活動している。
先日、9月/10月と山本達久が自身初となるソロ・アルバムを2枚連続でリリースすることが発表された。
まずは9月18日にオーストラリの実験派オーレン・アンバーチの〈Black Truffle〉から『ashioto』。
10月7日には日本の〈NEWHERE MUSIC〉から『ashiato』。


KURANAKA a.k.a 1945 主催のパーティ《Zettai-Mu》が9月13日に梅田 NOON にて開催される。GOTH-TRAD、OLIVE OIL、mileZ ら豪華な面々が出演。5月にはライヴ・ストリーミングで「Zettai-At-Ho-Mu」が開催されていたが、今回はリアルに会場へと足を運ぶもの。コロナ時代における音楽やダンス、クラブのあり方を探っていくイヴェントになりそうだ。感染拡大防止対策をとりつつ、ぜひ参加してみてください。
ZETTAI-MU
2020.9.13 SUN 19時~24時 OSAKA @NOON
KURANAKA a.k.a 1945 ( 25th Years Resident of Zettai-Mu )
GOTH-TRAD ( BACK TO CHILL/REBEL FAMILIA/EARTAKER /BERSERKER )
OLIVE OIL ( OILWORKS )
mileZ ( FULLHOUSE )
Yabugarashi a.k.a MON (DOPPEL)
LIVE: NATIHO TOYOTA
HARUKI / rmp and YOU !!!
with Z SOUND SYSTEM !!!
at NOON+CAFE
TEL : 06-6373-4919
ADDRESS : 大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下
3-3-8 NAKAZAKINISHI KITAKU OSAKA JAPAN
WEB SITE : https://noon-cafe.com
ZETTAI-MU WEB SITE : https://www.zettai-mu.net/news/2009/13
OPEN/START. 19:00 - FINISH. 24:00
ENTRANCE. 2,000yen (included 1drink) (要予約・登録)
【連絡先登録のお願い】
このイベントには入場制限を設けています。
入場にはメール予約(当日券の場合メール登録)が必要になります。
予定人数に達し次第受付を終了、当日のご入場をお断りする場合もございます。
ご来場希望の方は早めにメール予約お願いします。
下記の予防対策併せて withコロナ期への
ご協力、ご理解いただけますようよろしくお願い致します。
【予約はコチラから】
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【新型コロナウイルス感染症拡大防止対策】
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・こまめな手洗いなどのご協力お願い致します。
・体調がすぐれないとお見受けするお客様がいらっしゃいましたら、スタッフがお声がけさせて頂きます。
・各所にアルコール消毒液を設置しておりますので、ご利用ください。
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GOTH-TRAD
様々なアプローチでヘビーウェイト・ミュージックを生み出すサウンド・オリジネイター。
2001年、秋本"Heavy"武士とともにREBEL FAMILIAを結成。"METMORPHOSE"でのデビューライブを皮切りに、Fuji Rock Festivalなど多くの国内フェスに出演。 2007年までに5枚のシングル、3枚のアルバムをリリースする。 ソロとしては、2003年に1stアルバム『GOTH-TRAD I』を発表。国内でソロ活動を本格的にスタートし、積極的に海外ツアーも始める。2005年には、自作楽器・エフェクターを駆使した、実験的な2ndアルバム『The Inverted Perspective』をリリース。同年11月にはMad Raveと称した新たなダンス・ミュージックへのアプローチを打ち出し、3rdアルバム『Mad Raver's Dance Floor』を発表。
『Mad Raver's Dance Floor』に収録されたタイトル「Back To Chill」が、ロンドンのDUBSTEPシーンで話題となり、2007年にUKのSKUD BEATから『Back To Chill EP』を、DEEP MEDi MUSIKから12"『Cut End/Flags』をリリース。8カ国に及ぶヨーロッパツアーの中では、ロンドンの伝説的パーティー"DMZ"にライブセットで出演し、地元オーディエンスを沸かした。以降、海外を中心にリリースを続け、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア等、毎年、世界中でコンスタントにツアーを重ねる。2012年には待望のアルバム『New Epoch』をDEEP MEDi MUSIKからリリースし、Fuji Rock Festival 2012に出演。2009年~2014年にかけて、数々の欧米のフェスティバルにも出演してきた。 2015年、再びダブプレートのカットを始め、完全にVinyl OnlyのDJスタイルにシフトする。
アンダーグラウンドシーンで注目を集めるノイズコアバンド"ENDON"のリミックスを手がけ、5月にMerzbowのリミックスとのスプリット12"が、Daymare Recordingsよりリリースされる。12月には、日本が世界に誇るバンド"Boris"とのコラボレーションイベント"Low End Meeting"を代官山UNITにて開催し、共作"DEADSONG"を披露。 サウンドシステムを導入した、超重低音かつ実験的なアプローチのライブが話題となった。
2006年より始動した自身のパーティー"Back To Chill"は、2014年11月にREDBULL MUSIC ACADEMY TOKYOとスペシャルイベントを開催し、Back To Chillレーベルとして初となるコンピレーション"MUGEN"をリリースする。 記念すべきBack To Chill10周年を迎えた2016年、Boris、Dalekとの共作を収めた4thアルバム"PSIONICS"のリミテッド・ダブプレートバージョンを、特別会員限定でリリース。2017年4月には、台北のKornerにて、Back To Chill初の海外公演を開催した。
2018年9月、ヴォーカリスト"Diesuck"とノイズアーティスト"Masayuki Imanishi"と共に2017年に結成した新ユニット"EARTAKER"の1stデビューアルバム"HARMONICS"が、U.A.E.の気鋭レーベル"Bedouin Records"よりリリースされ、その新たなサウンドに注目が集まる。
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OLIVE OIL
南の楽園を夢見る男
クリエイター集団OILWORKS プロデューサー / リミキサー / DJ
ワールドワイドでありながらアンダーグラウンドシーンと密接に結びつく感覚は唯一無二。
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KURANAKA a.k.a 1945 (ZETTAI-MU from Japan)
11の顔と1000の腕を駆使し日本中のアンダーグラウンドから革命の狼煙を上げ続ける絶滅危惧種の野生の日本人。開放的な上物と相まって叩き打つリズム、体中を行き来する超重量級ベース、フロアを狂喜乱舞させる獣の様なダブ・エフェクト!!20年以上に渡って日本のダンス・クラブシーンの最前線で活動する。Jungle、Drum&Bass、Dub、Dubstep、Trip Hopと呼ばれるSound systemミュージックそして日本のアンダーグラウンドミュージックシーンのパイオニア。
2020年、25周年を迎える日本唯一のロングランパーティー「Zettai-Mu」(大阪Bay Side Jenny、名村造船所跡地、新宿・恵比寿Liquidroom、梅田club Dawn・Noon、西麻布Yellow・Eleven、代官山Unit、代官山AIR、難波Rockets、MotherHall、Club Quattro、Circus、渋谷Asia、京都Metro、World kyotoなど)をはじめ、近年盛り上がりを見せるBass music・Sound System partyの最高峰「Outlook Festival Japan」そして'13年にはAsia初となる Sonar Music Festival の国外サテライト・イベント「A Taste of SONAR」スペインの「International Dub Gathering (Rototom Sunsplash)」ジャパン、沖縄や本州の海で不定期に時開催されるビーチ・パーティー「Exodus Island」などの主催者でもある彼は、日本初の野外レイブ「Rainbow 2000」1996~のレジテンツをはじめ、3度の「FUJI ROCK FESTIVAL」3度の「朝霧JAM」また「METAMORPHOSE」「Saturn」「Earth Dance」「渚音楽祭」「舞音楽祭」「明宝 Reggae Festa」「KAIKOO」「BASSCAMP」といった屋内外のフェスティバルにヘッドライナーとして出演。また シーンの草分け、東京の「Drum&Bass Sessions」や アンダーグラウンド・ヒップホップ最前線「Tight」等のレジテンツを努める他、和太鼓チームとのコラボレーション、DRY&HEAVY/REBEL FAMILIAのベーシスト AKIMOTO”Heavy”TAKESHI、DRY&HEAVYのボーカル AO INOUE、ディジュリドゥ奏者 GOMA、TOKONA-X、アイルランドのルーツシンガー CIAN FINN等をフィーチャリングしたステージや、BOREDOMSのE-DA、アコーディオン奏者 COBA 等とのセッション、また 若野 桂、Kads MIIDA、2-yang、Dragon76、Doppel、BAKIBAKI といったペインターと音の場で融合するといったパフォーマンスの草分けでもある。近年は日本のレゲエ・オリジネーター MUTE BEATのリーダー こだま和文 とのライブセットでの活動や Shing02 とのコンビで 2つの国際芸術祭(2014年 ヨコハマトリエンナーレ、2015年 KYOTO PARASOPHIA)1年に渡り繰り広げられたステージを飛び出し観客と深化させる問題作『日本国憲法』がリリースされるなどジャンルや時代の垣根を越え様々なシーンで活動する。「海底2万マイル ZETTAI-MU 丸腰でトライするエンタープライズ ゼロ足しても掛けてもゼロ」THA BLUE HERBのBOSS THE MCが歌っている様に、シーンを底の底で牽引する日本のクラブシーンのパイオニア。
25年以上もの間 年間 100 本近いギグを行い、これまでに日本・アジア・UK・ヨーロッパなど 50回以上のツアー行脚を行っている彼は、イギリス ロンドン、クロアチアの「Outlook Festival」スペインの「International Dub Gathering」などのヨーロッパや、中国、北京、上海、香港、台湾、韓国、フィリピン、ベトナム、タイなどをはじめとするアジア諸国でも活動している。国内においては LEE PERRYのジャパンツアーをはじめ、JAH SHAKA、ADRIAN SHERWOOD、ABA SHANTI-I、IRATION STEPPAS、DENNIS BOVELL、LKJといった Roots Reggae / Dub 界の重鎮達の来日公演から、世界最大のサウンドクラッシュ「Red Bull Culture Clash」においてGrand Winnerに輝いた Rebel Soundの SHY FXをはじめ、CONGO NATTY、RONI SIZE REPRAZENT、ANDY C、DEGO、The BUG、MALA(DMZ)等の Jungle / Drum and Bass / Dubstepのアクト、グラミー賞5冠制覇のDAFTPUNKの初来日公演、ロンドンオリンピックの音楽監督 Underworld、マーキュリー賞のグランプリ JAMES BLAKEの初来日公演にも招聘されている。またグラミー賞候補 カリフォルニア のFLYING LOTUS、NY・ブルックリンの COMPANY FLOW、AESOP ROCK、NINJA TUNE といったHipHop / Beats系、国内では「HAPPERS ALL STARS(Audio Active. Dry&Heavy. Tha Blue herb. 1945)」での全国ツアーや、BOREDOMS、THA BLUE HERB、REBEL FAMILIA(GOTH-TRAD+HEAVY)、GOMA、OKI DUB AINU BAND、QUIETSTORM 等とツアーを行っている。
初期のリリースは「MOU」という名義で (w/NHK Koyxen) ドイツの名門 『MILLE PLATEAUX (ミルプラトー)』よりABSTRACT HIPHOPの先駆け『ELECTLIC LADY LAND』等にVADIM、THE BUG 等と並びクレジットされている。またコンピレーション『響現』や CISCO RecordsよりDRY&HEAVYのベーシスト AKIMOTO"HEAVY"TAKESHI をフィーチャリングした楽曲をリリースしている。1945名義では TIGHTシリーズのMIXを煙突レコーディングスよりリリース。リミキサーとしても AUDIO ACTIVEのRemixをOn-u soundよりリリース。REBEL FAMILIA、ORIGINAL LOVE、CHURASHIMA NAVIGATOR(2019年4月リリース) 等の作品を解体~再構築している。また ロンドン ICA 現代美術館、ヨコハマトリエンナーレ、KYOTO PARASOPHIAなどでのアートショウや、アメリカ ネバダ州 Burning Manでのプロジェクトに楽曲を提供するなど活動は多岐にわたる。そして Jungle~D'N'B 黎明期の片仮名「クラナカ」という名義ももちろん彼であり、世界中で愛用されている KORG「KAOSS PAD」が、彼のプレイからヒントを得て開発された事はあまり知られていない。また80年代の音色を復刻した彼モデルのSiren MachineはMALA(DIGITAL MYSTIKZ )やThe BUG等 世界ランカーが愛用している。
強力なビートに乗るメッセージは、そのしっかり踏みしめた 両足にのみ伝わる。繊細だが力強く感じ取れる「今まで」「今」そして「これから」へ、貴方が必要とする瞬間、、一人ではたどり着けない場所に向かって、、現代の太鼓打ちは今日も何処かで大きくバチを振る。
Born in Kyoto, Japan. He is a descendant of the temples of the one of the most famous Buddhist monk in Japan history, the initiator of the Buddhist incantation chanting, drumbeating, and dancing (origin of the Bon festival dance).
He makes full use of his 11 faces and 1000 arms to continue to be the beacon of peace and revolution, from his underground performances in Japan. His riddim to be combined with his open minded instruments that build-up upon, the Super heavyweight bass that goes back and forth with the whole body, with dub effects that of a beast, letting the floor dance madly with joy.
He is a Dub. Jungle and Sound system music pioneer who has been the undisputed leader in the genres for about 30 years. He has performed at over 2000 gigs, and has organized more than 500 Dances until now. He has organized w famous and important Dance in Japan "Zettai-Mu" began in 1995 (Bay Side Jenny, Namura Shipbuilding, Noon, Liquidroom, Unit, Yellow, Eleven, AIR, Rockets, Motherhall, Quatro, Circus, Open Air and more) it will be 25th anniversary 2020!! and then "Outlook Festival Japan" (ageHa Studio Coast, Sound Museum Vision and more) also "Exodus Island " "A Taste Of Sonar (its first time in Asia Sonar Festival)" "International Dub Gathering Jahpan" as well. He performs about 100 gigs a year for more than 25 years, and tour pilgrimages more than 50 times including Japan, Asia, UK, Europe , British London, Spain "International Dub Gathering" "Outlook Festival" and then active in the Asian countries including Beijing, Shanghai, Hong Kong, Korea, Taiwan, the Philippines, Vietnam, Thailand etc in recent years. and also He did use Sound System for Bass music first time in japan.
Kuranaka (a.k.a 1945) also has been hugely successful with festival appearances throughout Japan, such as the Fuji Rock Festival, Rainbow 2000, Asagiri jam, Metamorphose, Earth Dance, Saturn, Dommune, Nagisa, Mai Music Festival , Outlook Festival and Sonar Festival. such as art museums (Yokohama Art Museum , Kyoto Museum of Art , London ICA etc), the Valley and seaside, Club Hall of city, the Gap of Building and the top of Desk, and the Your Ears.
and then He declined the offer of contract from many major label of japan also world. chose this way staying normal.
Kuranaka has also toured Japan with Dub Reggaes such as Lee perry, Jah shaka , Aba shanti-i , Mad professor , Zion Train , Adrian Sherwood , Dennis Bovell etc. then Drum and Bass / Jungles such as Roni size Reprazent, Congo Natty, Shy fx, Andy C and many. More then he play with Daftpunk , James Blake , Darren Emarson Underworld , Ash Ra Tempel , Atari Teenage Riot and many more in First visit japan show. he also Performed Flyng Lotus , Battles , The Orb , Smith&Mighty , Cold cut Ninja Tune etc. ofcouse he also with Japanese Acts such as Boredoms, Dj Krush , Audio Active , Tha Blue Herb , Dry&Heavy , Oki dub ainu , Goma , Goth-trad and many more.
He perform live set with "Kazufumi Kodama" of Japanese reggae originator from Mute Beat. also Didgeridoo player "Goma" and then The controversial product "the Constitution of Japan" developed by a combination with "Shing02" for two International Art Festival (Yokohama Triennale, Kyoto Parasophia) It was created and released for one year.
He also creates and plays music with Heavy (Dry&Heavy, Rebel Familia), Ao (Dry&heavy), Goma (didgeridoo), Coba (Accordion), NHK Koyxen, E-da(ex.Boredoms), Iccihie (ex.Determinations) , Tokona-x etc. He released (suchas) DJ Spooky , DJ Vadim also The Bug as the name of “MOU”, which is the pioneer Future Beat Music “Electlic Lady Land” from the well-known German’s “Mille PlateauxI” Moreover, as the name of “Kuranaka”, he attended compilation of “Kyogen” with Calm, Shing02 and so on. Furthermore, as the name of “1945”, he released featuring alongside ex-Dry&Heavy’s bassist, "Akimoto Heavy Takeshi". also released Mixs called “TIGHT” from “Entotsu Recordings”. He(and his Live CDs) amassed the sold out sales including all the titles. As a remixer, he sends deep world, dissembles and reconstructs masterpieces done by On-U Sound (UK) Audio Active , Rebel Familia, Churashima Navigator, Original Love, Jun-Gold (Tha Blue Herb Recordings) and so on. The strong beats with the message is down to earth and very sensitive but mighty sense of “Past”, “Now”, and “Future”. We are fighting against the monsters of our own creation. Remember 1945, Peace one love Harmonic future !!
Japanese written "クラナカ" also his name in long time ago. and then "The Kaoss Pad" used habitually all over the world is.. Delay, Reverbe, Siren.. It was developed by him. and the his model "Siren Machine" thats using Mala (Digital Mystikz) also The Bug etc.
The message carried out from his strong beat, reaches those of whom both legs are grounded to our earth, is delicate, yet, powerful.. the 21st century taiko drummer, waves his flag to peace and love for a harmonic future. Somewhere, now today.
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IRIE SUNDAY MANILA - 1945 aka KURANAKA
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Shing02 with KURANAKA a.k.a 1945 - Battlecry @ TOKYO ZOJOJI 2015
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KURANAKA with Cian Finn - 朝霧JAM Asagiri JAM 2014
https://www.youtube.com/watch?v=9KcJmeOtx24
Only ZION TRAIN Mix For Outlook Jp Live Mix By KURANAKA 1945
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jungle..
KURANAKA with SOUNDSYSTEM
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Interview by Spice (日本語)
https://spice.eplus.jp/articles/72812
Five Decades of Sound System Culture in Japa (英語)
by DUB-STUY Records (NY Brooklyn)
https://www.dub-stuy.com/land-of-the-rising-dread

mileZ
イギリス・ロンドン出身。現在大阪に拠点を置く彼は、Jarreau Vandal(soulection), Full Crate, Conducta, Jael (Soulection/Koto), Sam Tiba, Skin on Skinやその他多数のアーティストと関西各地で共演を果たす。 Bass Musicを中心に、Grime, UK Garage, Future Beats, Trap, UK Funky, House, Techno, Jersey Club, Afro Beats等の多数のジャンルを彼独自の世界観で表現する。 また2019年より大阪Circus Osakaにてウィークリーイベントを開催するDJクルー"FULLHOUSE"のレジデントメンバーとしても活動する。彼の目標は、日本であまり知られていないダンスミュージックやUKミュージックを彼独自の世界観で、新しい音楽のプレイスタイルとして日本のクラブシーンに広める事だ。
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先般、新たなプロジェクト「ƒolder」をスタートさせたばかりのパウウェルが、UKのオンライン・マガジン『The Quietus』の企画で、お気に入りの本を紹介している。遊び心と同時にコンセプチュアルな側面もあわせもつパウウェルであるが、やはり相当な読書家だったようだ。
なんでも、もう一度音楽をつくりはじめるために、いったん音楽から離れる必要があったとのことで、ここ一年はレコードをほとんど聴かずに、ひたすら哲学や文学を渉猟していたという。「デリダを読むのは好きな音楽を聴くのに似ていて、脳がばらばらに引き裂かれる感じがする」「ドゥルーズはめっちゃ読んだよ。彼は音楽についても多く書いているしね」「ボードリヤールは読み込んできたわけじゃないけど、現実が死んでしまったという彼の考えは、パンデミックのいまこそあてはまる気がする」(意訳)などなど、1冊1冊についてその魅力を語っている。
カフカやマンなどの小説、以前から好きだと公言していたクセナキスについての本、さらにはサメにかんする本までリストアップされているが(幼いころは海洋生物学者になりたかったらしい)、邦訳のある著作も多いので、気になった方は試しに手にとってみるのもいいかも。
■パウウェルのお気に入りの本
アレクサンダー・クルーゲ『Lernprozesse mit tödlichem Ausgang』
スーザン・ソンタグ『反解釈』&「沈黙の美学」(『ラディカルな意志のスタイルズ』)
ジャック・デリダ『ポジシオン』&『Artaud le Moma』
ジル・ドゥルーズ+クレール・パルネ「英米文学の優位について」(『ディアローグ』)
フランツ・カフカ『城』
スーザン・ケイシー『The Devil's Teeth』
ペーター・スローターダイク『Sphären I – Blasen』
トーマス・マン『ファウストゥス博士』
アルフィア・ナキプベコヴァ「Performing Nomos Alpha by Iannis Xenakis: Reflections on Interpretive Space」(『Exploring Xenakis: Performance, Practice, Philosophy』)
リナ・ボ・バルディ『Stones Against Diamonds』
デイヴィッド・シルヴェスター『フランシス・ベイコン・インタヴュー』
ジャン・ボードリヤール『完全犯罪』
J・H・ロニー兄「もう一つの世界」
記事全文はこちら
https://thequietus.com/articles/28803-powell-interview-favourite-books
誰もが才能を認めるジャンルの開拓者であり、数多くのヒット曲を持っていながら、そのわりにはメディアの露出が少ないアーティストが世の中にはいるが、イレイジャーはその代表だろう。プライマル・スクリームやオアシスよりもヒット曲があるのに、メディアがあなたを彼らよりもシリアスに扱わないことをどう思いますかとThe Quetusの取材で訊かれたヴィンス・クラークは、「うーん、答えられないなぁ。そういうことはホントに気にならないんだ、あ、これが答え」と笑っている。余裕というのかナンというのか、自分が好きなことをやり続けてきた彼には、そこはホントに気にならないのだろう。
もっとも、ヴィンス・クラークには確固たる評価がある。彼はシンセポップというジャンルを開拓したキーパーソンのひとりであり、まあ、マスターのひとりと言ってもいい、そしてなんと言ってもヒットメイカーである。イレイジャーとしてアバのカヴァー集を出しているように、ポップスは彼の永遠のテーマなのだろう。エレクトロニックであることと同時に。
まずは歴史のおさらいからはじめたい。シンセポップは、70年代末から80年代初頭のUKポストパンク期に表出したスタイルのひとつで、当時はまだ珍しかったシンセサイザー・サウンドを前面に打ち出しながら、ポストパンク時代において“ポップス”を指標し、ニューウェイヴ時代のポップスを具現化したという点で、シーンにおける台風の目にもなった。ゲイリー・ニューマン、ウルトラヴォックス、OMD、ザ・ヒューマン・リーグ、へヴィン17、ブラマンジェ、ザ・ソフト・セルなどなど……、最初にクラークが所属したデペッシュ・モードもそのスタイルを代表するバンドで、デビュー時の彼らは少年の集まりのようにもっとも若く、そしてもっともポップだった。(※数年後に登場するペット・ショップ・ボーイズは最初からハイエナジーを意識した点において、初期シンセポップとはちょっと別モノ)
その1stアルバム『Speak & Spell』(81)には当時の〈ミュート〉サウンドの魅力が集約されている。クラフトワーク的な最小限の音数による構成、ジョルジオ・モロダー流のシーケンスとDAF流のハンマービート、それらをシンプルなメロディと融合させ、サビのはっきりしたキャッチーな歌を載せる。ヴィンス・クラークはバンドの中核のひとりだったが、もうひとりの中心であるマーティン・ゴアの方向性と噛み合わず、アルバムは商業的に成功したがクラークはそのリリース後にバンドを脱退し、パワフルなヴォーカリスト、アリソン・モエットとのYazooを結成する。反資本主義や反レイシズムといった暗い社会的テーマを手掛けるようになっていくゴア主導のデペッシュ・モードに対して、クラークとモエットの『Upstairs At Eric's』(82)の光沢はシンセポップ・ミュージックの研磨にあり、ソウル・ミュージックとエレクトロニック・ダンスとの情熱的な激突にあった。それはハウス・ミュージックの青写真であり、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノをはじめ、電気グルーヴからハーキュリーズ&ザ・ラヴアフェアまで、あまりにも多くのエレクトロニック・ミュージシャンがその影響を受けている。
また、この時期のクラークは巷のシンセポップ批判(機材に頼ってまともな曲が書けない、電子機材は生楽器より劣る等々)への反論とも受け取れるプロジェクト、The Assemblyなる名義でも1枚のシングルを出している。燃え上がる性愛のパンク・ソング“ティーンエンジ・キックス”を歌い、他方では「ママにシンセを買ってもらいやがって」(“My Perfect Cousin”)と、当時シンセポップに対にしてよくあった偏見──中産階級的なオタク性を罵倒したことでも有名なジ・アンダートーンズのヴォーカリスト、フィアガル・シャーキーを招いてのギター・ソング“Never Never”で、これもまたヒットしたのである。(サッチャー時代の底辺に生きる家族を描写したPVもいま見ると感慨深い)
ヴィンス・クラークがアンディ・ベルといっしょにイレイジャーを結成するのは1985年のことだった。デペッシュ・モード~Yazoo~The Assemblyとすでに華々しい成功を収めていた彼は、新たなプロジェクトのための新しいヴォーカリストを探すべく音楽誌紙に求人広告を出し、そこに応募したのがアンディ・ベルだったのだ。ベルは、多くのゲイが自分のセクシャリティをまだ公には言えなかった80年代後半という時期にゲイであることを公言したポップスターのひとりになるが(2004年にはHIV検査で陽性であったことも公言している)、イレイジャーをはじめた頃はシンセポップの天才が見つけた、女性の靴売り場で働きながら売れないバンドをやっていた無名のヴォーカリストに過ぎなかった。
が、その無名のヴォーカリストを擁したイレイジャーは最初のデビュー・シングルから連続3枚をチャートインさせると、その勢いのまま90年代初頭までに発表したシングルのほぼすべてをチャート入りさせた。当時日本で毎週放映していた「ビートUK」という英ポップチャート番組を観ていた人にはわかる話だが、イレイジャーは出せばとにかくヒットする存在だった。結局、このスーパー・シンセポップ・グループは、1988年の『The Innocents』から1994年の『I Say I Say I Say』までの4枚のアルバムを連続してUKチャート1位にさせ、デビューから現在までのあいだに25曲以上を40位内に入れ、2500万枚以上のアルバムを売ることになる。ベルのエモーソナルな歌と気取りのない、素朴でオネストな言葉で歌われる歌詞、そしてクラークのメロディアスなエレクトロニック・ポップ・サウンドはイギリスの大衆から大いに愛されたのである。
というわけで、通算18枚目のアルバムが本作『ザ・ネオン』だ。ずっと聴き続けている律儀なファンには申し訳ないけれど、ぼくが聴いていたのはせいぜい『The Innocents』(88)、『Wild!』(89)、『Chorus』(91)、そして自分らのモットーをタイトルにしたかのようなベスト盤『Pop! - The First 20 Hits』(92)という彼らの最初の黄金期の作品で、それ以降はイレイジャーの世界から撤退している。もちろんそれ以降もイレイジャーは自分たちのペースでさらに25年以上も活動を続けていたわけで、ぼくが知らないスタジオ・アルバムを10枚以上も出している。21世紀に入ってからのアンディ・ベルのソロ活動もそれなりの話題になったけれど、日本盤のライナーによれば2013年のクリスマス・アルバム『スノー・グローブ』を契機にイレイジャーは再度注目を集め、2014年のアルバム『ザ・ヴァイオレット・フレイム』が10年ぶりにトップ20入りを果たすヒット作となったという。続く2017年の『ワールド・ビー・ゴーン』もヒットし、そして上昇気流に乗ってリリースされた3年ぶりの『ザ・ネオン』も現在快進撃を続けているようで、なんと現在(8/25)UKではザ・キラーズに続いて2位にまで登り詰めている。1994年の『I Say I Say I Say』以来のヒット作になりつつあるそうだ。
『ザ・ネオン』の1曲目“Hey Now”は笑ってしまうほどヴィンス・クラークのサウンドだ。ぼくが聴いていた時代、第一期黄金時代を思い出さずにはいられないが、アナログ・シンセサイザー特有のじつに快楽的なサウンドの反復とシンプルなメロディライン、そしてアンディ・ベルのソウルフルな歌は、コロナ禍で疲れた心を励ますかのように響いたりもする。
そう、コロナ前に作ったことがこれほどアドヴァンテージとなっている作品も珍しいかもしれない。ぶっちゃけ、威勢がいいのだ。暗い時代に前向きな歌詞、気持ちを愉快にさせる疾走感、シンセポップならでは絶妙な軽快さ(ポップさ)。2曲目の“Nerves of Steel”もクラークのソングライティングが光っているキラーな曲で、これまた彼らの黄金時代にリンクしている。いかにも80年代風の“Fallen Angel”も新鮮に響いてしまう。最後に収録された“Kid You're Not Alone”もイレイジャーらしい叙情性を持った感動的なポップ・ソングである。
『ザ・ネオン』にはナンの迷いもケレンもなく、これぞシンセポップと言わんばかりの、快適でキャッチーな楽曲がたくさん収録されている。結成から今年で35年目というが、イレイジャーはいまのところは、そしておそらくこれからもいきなり新機軸を打ち出したり、新境地を開くことはないだろう。だからといって時代に逆行しているわけではない。シンセポップはいま旬である(ジェシー・ランザやマリー・ダヴィッドソンとか、グライムスやケイトNVとか、シンディとか、パソコン音楽クラブとか電気グルーヴとか……)。
つまり、ノスタルジックだがタイムリーでもある。それは、彼らが作り上げたスタイルが21世紀でも充分に通用するという話ではない。彼らのポップスが、いま忘れがちな感覚を呼び起こしているように思えるのだ。それはやはり、彼らの音楽に通底するオプティミズムだろう。なにせナイト・ライフに自粛が強いられているこのときに「夜のネオン」がコンセプトである。
意図したことではなかったとはいえ、オプティミズムを失い、意気消沈しているこの世界において、シンセポップのリジェンドによるこの原点回帰作は、ちょっと良い感じのシェルターとなっているのだ。ぼくも2020年に、よりによってイレイジャーをこんなにも楽しく聴くとは思ってもいなかった(笑)。