「Nothing」と一致するもの

Oto No Wa - ele-king

 デンマークのレーベル〈Music For Dreams〉が2017年にスタートしたディガーによるコンピレーション・シリーズ「Serious Collector Series」。その最新盤は日本のアンビエント。タイトルは『音の和』(Selected Sounds of Japan1988-2018)。話題になった2018年の『環境音楽』に続くカタチで、Jアンビエントがまたまた世界にプロモートされる。
 アルバムを監修したのは、和モノブームにひと役買っているKen Hidakaをはじめ、Max Essa、Dr. Robといった曲者たち(原宿Bar Bonoboで毎月開催しているイヴェント、Lone Starの3人)。発売は3月27日で、アナログ盤、CD、デジタルでのリリースになる。
 『音の和』には、1988年から2018年までの音源から14曲が選曲されているが、あともう少しで来るであろう「90年代リヴァイヴァル」も先取りしております。リトル・テンポや横田進、井上薫なんかも入っていて、うーん、これは興味深い内容です。ぜひ、チェックしましょう。


トラックリスト
1. Yoshio Ojima - Sealed
2. Olololop - Mon (orte Remix)
3. Kazuya Kotani- Fatima
4. Schadaraparr- N.I.C.E. Guy (Nice Guitar Dub)
5. Little Tempo - Frostie
6. Karel Arbus & Eiji Takamatsu - Coco & The Fish
7. Kentaro Takizawa - Gradual Life (Album Version)
8. Yoshiaki Ochi- Balasong
9. Kaoru Inoue - Wave Introduction
10. Little Big Bee - Scuba (Original Version)
11. Coastlines - East Dry River
12. Susumu Yokota- Uchu Tanjyo
13. Chillax- Time And Space
14. Takashi Kokubo - Quiet Inlet

Teki Latex & Nick Dwyer - ele-king

 これはおもしろい企画だ。かつて〈Big Dada〉から作品を発表していたパリのヒップホップ・アクト、テーテーセー(TTC)のメンバーでもあるテキ・ラテックスと、日本のゲーム音楽に迫ったドキュメンタリー『Diggin in the Carts』の仕掛け人たるニック・ドワイヤー、このふたりによるなんともエキサイティングなミックステープ『テキとニックのミックステープクエスト大冒険』が公開されている。
 ヒップホップやベース・ミュージックとゲーム音楽とを接続することがテーマのようで、『クロノ・トリガー』や『FF』、『ベア・ナックル』や『ポケモン』といった有名タイトルの音楽に、ミーゴスやアウトキャストなどのアカペラ、ディジー・ラスカルや(オーケーザープとのコラボも記憶に新しい)南アフリカはダーバンのDJラグらのトラックがミックスされている(水カンの “桃太郎” も鳴っていますね)(いまのケンモチヒデフミのゴム・モードともつながる?)。
 注目すべきは、今回のミックステープのために提供されたエクスクルーシヴなトラックたちで、コード9が『飛装騎兵カイザード』(ガブリンサウンド)を、アイコニカが『ソニック』(中村正人)を、マムダンスが『アクトレイザー』(古代祐三)を、そして食品まつり a.k.a フードマンが『FFVI』(植松伸夫)をリミックスしている。グライムMCの Jammz やシシヤマザキも参加。なおオフィシャル・ページではコード9やフードマンのステキなキャラ絵まで公開されているので、そちらもチェック。

https://teknic.mx/?fbclid=IwAR21mVIAgzbySClZICa2cu2B0NP8SqPWrR0XxSvguidqCqG5BCCKHfOo-Xw

Squarepusher - ele-king

 仕事が早い! 5年ぶりの最新アルバム『Be Up A Hello』を送り出したばかりのスクエアプッシャーが、なんと、もう新作をリリースする。タイトルは「Lamental EP」で、3月20日に日本先行発売。アルバム収録曲の別ヴァージョンやアウトテイクに加え、2016年に発表された静かな炎 “MIDI Sans Frontières” およびそのリミックス・ヴァージョンも収録されるとのこと。
 また同時に、いよいよ1ヶ月に迫った来日公演のサポート・アクトも発表された。“Terminal Slam” の強烈なMVを手がけていた真鍋大度である。これは相性バツグンでしょう。とうわけで、新作EPをチェックしつつ、過去のスクエアプッシャーの代表作も復習しながら、4月の来日にそなえておこう。

⇨ スクエアプッシャーの最新インタヴューはこちらから。
⇨ 必聴盤9枚でたどるスクエアプッシャーの歴史はこちらから。

最新アルバム『Be Up A Hello』が賞賛を集める中、
早くも新作「Lamental EP」のリリースを発表!
EU離脱に対する怒りとして発表した “MIDI Sans Frontières” の
セルフリミックス・バージョンを公開!
いよいよ来月に迫った来日ツアーでは、
MVを手がけた真鍋大度の出演が決定!

5年ぶりの最新アルバム『Be Up A Hello』が、オリコン洋楽チャート10位に初登場し、UKとUSで過去最高チャートを記録するなど、賞賛を集めているスクエアプッシャーが、早くも新作「Lamental EP」を完成させた。来日公演を直前に控えた3月20日に日本先行でリリースされる。

今作にはアルバム収録曲 “Detroit People Mover” の別バージョンでもある、スペーシーで躍動感溢れるテクノ・トラック “The Paris Track” と、アルバム・バージョンの “Detroit People Mover”、そしてアルバムからのアウトテイクで、スクエアプッシャーのメランコリックでメロディアスな面を打ち出した “Les Mains Dansent”、また2016年にイギリスのEU離脱を問うた国民投票の結果に対する抗議の意思として発表した “MIDI Sans Frontières” と、そのセルフリミックス・バージョン “Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)” の5曲が収録される。12インチ盤には、“Les Mains Dansent” を除いた4曲が収録される。

Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)
https://youtu.be/X_k2lih0T6U

また今回の発表に合わせ、各国で予定されているヘッドラインツアーのサポートアクトが発表された。日本では、超近未来の東京を舞台にした破壊的映像が話題となっている “Terminal Slam” のミュージックビデオを手がけた真鍋大度(Rhizomatiks)の出演が決定! 名古屋、大阪、東京の全公演でサポートアクトを務める。

Terminal Slam (Official Video)
https://youtu.be/GlhV-OKHecI

なお、ミュージックビデオの制作の裏側を明かす特設ページが現在公開中。
https://research.rhizomatiks.com/s/works/squarepusher/

『Be Up A Hello』に続く新作「Lamental EP」は、3月20日(金)に日本先行リリース。

待望の来日ツアーに真鍋大度の出演も決定!
前売りチケットは絶賛発売中!

SQUAREPUSHER JAPAN TOUR 2020
SUPPORT ACT: DAITO MANABE

2020年4月1日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
2020年4月2日(木) 梅田 CLUB QUATTRO
2020年4月3日(金) 新木場 STUDIO COAST

TICKETS : ADV. ¥7,000+1D
OPEN 18:00 / START 19:00
※ 未就学児童入場不可

詳細 ⇨ https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10760

チケット情報
【絶賛発売中】
名古屋: イープラスチケットぴあ (Pコード: 176-074)、LAWSON (Lコード: 42831)、LINE TICKET [https://ticket.line.me]、BEATINK、クアトロ店頭 他
大阪: イープラスチケットぴあ (Pコード: 175-878)、LAWSON (Lコード: 53383)、BEATINK
東京: イープラスチケットぴあ (Pコード: 176-570)、LAWSON (Lコード: 73049)、BEATINK、GAN-BAN店頭 他

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Lamental EP
release date: 2020.03.20 FRI ON SALE

国内盤CD BRE-59 ¥900+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10684

TACKLISTING
01. The Paris Track
02. Detroit People Mover
03. Les Mains Dansent
04. Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)
05. Midi Sans Frontieres

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Be Up A Hello
release date: 2020.01.31 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-624 ¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-624T ¥5,500+税

国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入/NTS MIX 音源DLカード封入
(Tシャツセットには限定ボーナストラックDLカードも封入)

各CDショップでの購入特典もチェック!

 Tower Records:四角缶バッヂ

 disk union:丸缶バッヂ

 Amazon:マグネット

 その他CDショップ:ステッカー

Nervelevers (Official Audio)
https://youtu.be/qtSJA_U4W1U

Vortrack (Original Mix)
https://youtu.be/s3kWYsLYuHc

Vortrack (Fracture Remix)
https://youtu.be/59ke5hp-p3E

あの頃、わたしには歌しかなかった。

戸川純、待望の写真集が登場!
未発表ライヴ写真で構成されるそれは、2000年代前半の知られざる戸川純のドキュメントでもある。

本人による序文つき。


池田 敬太 (いけだ・けいた)
1960年、佐賀県伊万里市出身。18歳の時、挿絵画家になる為に上京。童話や教科書の挿絵を描きつつ、劇団キラキラ社、劇団状況劇場に在籍。その後、映画看板絵描きとなり、並行しライヴハウスで撮影を始める。ホッピー神山氏との出会いを機に写真家として戸川純、ヤドランカ、渚ようこ、きたはらいく、小暮はな、レンカ、いぬん堂、ガセネタ、MIYAVIなど様々なジャンルのアーティストのライヴ写真を中心に手がける。

戸川 純 (とがわ・じゅん)
1961年、新宿生まれ。女優・歌手。1980年にTVドラマデビュー、『刑事ヨロシク』(82)で初レギュラー。TOTOウォシュレットCM(82~95)、『釣りバカ日誌(1~7)』(88~94)などに出演。『いかしたベイビー』(91)では監督、脚本、主演をこなす。舞台に『三人姉妹』(92)、戸川純一人芝居『マリィヴォロン』(97)、『グッド・デス・バイブレーション考』(18)など。歌手としては、ゲルニカを経てソロ名義で活動。作品に『玉姫様』(84)、『好き好き大好き』(86)、ヤプーズとして『ヤプーズ計画』(87)、『ダイヤルYを廻せ!』(91)、『HYS』(95)などがある。最新作は、『ヤプーズの不審な行動 令和元年』(19)。著作に『樹液すする、私は虫の女』(84)、『戸川純全歌詞解説集 疾風怒濤ときどき晴れ』(16)、『ピーポー&メー』(18)などがある。






satohyoh - ele-king

 ちょっとせつなくて、でもやさしくて、あたたかい音楽……。サンクラで展開中の「音メモ」シリーズで話題を集めた秋田の音楽家、サトウヨウが3月11日にセカンド・アルバムをリリースする。2017年に〈PROGRESSIVE FOrM〉から発表されたファースト『inacagraphy+』に続くフルレングスで、ピアノをはじめとするアコースティック楽器とサンプルを組み合わせた、イメージ喚起力の高い情緒的なトラックが並んでいる。なお明日3月4日から OTOTOY にてハイレゾ(24khz/48bit)での先行配信がスタート。もうすぐ春、ですね。

発売日: 2020年3月11日(水曜日)
アーティスト: satohyoh (サトウヨウ)
タイトル: feel like, feel right (フィールライクフィールライト)
発売元: PROGRESSIVE FOrM
販売元: ULTRA-VYBE, INC.
規格番号: PFCD96
価格(CD): 税抜本体価格¥2,200
収録曲数: 15曲
JAN: 4526180513858

◆Tracklisting

01. same old tomorrow's glow
02. 天気雨
03. toro
04. astraea
05. rain is always looking for clouds
06. bange feat. kota okuyama
07. alphabetagammadelta
08. ongoing
09. rufous scene
10. ランプを灯せば
11. little sense monologue
12. break in the parking
13. reprize
14. ただ広い暗闇、欠伸をした信号機
15. the hot-air balloon floating in the chilly sky

M2/4/10/14 vocal by airi hashimoto

◆【feel like, feel right】紹介文

時に優しく、時にせつなく、美しい調べがこだまする。
秋田県在住、風景の音にアコースティックな音を添えサンプリング等の手法を交えて公開する「音メモ」シリーズで SoundCloud を通じて海外でも多くのファンを獲得してきた satohyoh、2017年4月にリリースした初流通作品となる 1st アルバム『inacagraphy+』より約2年、音楽的な成熟度もぐっと増した satohyoh 待望の2ndアルバムが完成!

《好きと感じること、正しいと感じること。角度が変われば「正しさ」は変わる。誰かに教えたり、誰かを支えるとき、「正しさ」に迷う。「好きと感じること」を教える、「好きという気持ち」で支える。自ずと「正しさ」に繋がる。》として名付けられた『feel like, feel right』では、ピアノ、ギターやアコースティック楽器の音を中心に、味わい深いサンプルや豊かな景色の音を混ぜ合わせることで、田舎の景色や情緒溢れる日本の原風景に寄り添ったかのようなオリジナリティー溢れるサウンドが展開されている。

叙情的なピアノが導くM1 “same old tomorrow's glow” M15 “the hot-air balloon floating in the chilly sky”、リラックスさが心地良いM3 “toro” M8 “ongoing”、音楽制作仲間である kota okuyama がギターとコーラスで参加したM6 “bange”、ジャジーなアプローチが気持ち良いM7 “alphabetagammadelta”、鍵盤と弦により奏でられるどこまでも美しいM9 “rufous scene” とハーモニカがノスタルジーを広げるM12 “break in the parking” をはじめ聴き所が詰まったアルバムだが特筆すべきは 1st 同様に参加している橋本愛里のボーカル曲であろう。

2010年にデビュー~HMVのキャンペーン「NEXT ROCK ON」で最優秀ルーキーに選出~ガールズバンド「スパンクル」のボーカルであった、わらべ歌と考古学を学んだボーカリスト橋本愛里が歌うM2/4/10/14の4曲では、彼女の透明感ある声を生かした satohyoh のソングライターとしての才能を感じる事が出来、本作の魅力をより一層高みへと導いている。

◆プロフィール satohyoh

秋田出身、在住、ピアノやアコースティック楽器などを中心に風景に根ざしたサウンドを奏でるアーティスト。
2010年、ロックバンド「サキノハカ」とスプリットシングルを制作。
同年、「ukishizumi」名義で OMAGATOKI 制作のジョン・レノン・トリビュートアルバム『#9 DREAM』に参加。
2011年、インディーズレーベル〈clear〉の東日本大震災チャリティー配信アルバム『one for all, all for one』に参加。
2013年、インディーズレーベル〈T RUST OVER 30 recordigs〉の『Free Compilation Vol.1』に参加。
その後故郷秋田へ戻り、satohyoh 名義にて風景の音にアコースティックな楽器を添えた「音メモ」シリーズを公開、soundcloud を通じて海外でもファンを獲得する。
2015年、エフエム秋田30周年コンピレーションに参加。
2017年1月、初の iTunes 配信限定版「inacagraphy2」を発表、まったくの無名、ノープロモーションながら、iTunes インストゥルメンタル部門で最高位4位となる。
2017年4月、初の全国流通版となるデビュー・アルバム『inacagraphy+』を〈PROGRESSIVE FOrM〉よりリリースする。
2017年、秋田県潟上市で開催されたアート展「オジフェス2017 つきぬける」に楽曲提供。
ウェブマガジン「なんも大学」の映像企画「Discover Akita」(石孫本店、永楽食堂、五城目朝市、鳥海山日立舞、じゅんさい)に楽曲提供。
2018年、秋田県鹿角市、社会福祉法人 愛生会の事業紹介映像、並びに制作ラジオ番組に楽曲提供。
秋田県仙北市で開催されたグループ展「ひらふくひらく」内、高橋希・写真展に楽曲提供。
そして2020年3月、約3年振りとなる 2nd フルアルバム『feel like, feel right』をリリースする。

井手健介と母船 - ele-king

 2015年のファースト・アルバムでサイケデリック・フォークの前線を書き換えた井手健介と母船が、じつに5年ぶりの新作を4月29日にリリースする。サウンド・プロデュースは、ゆらゆら帝国や OGRE YOU ASSHOLE などで知られる石原洋(最近23年ぶりのソロ作を発表したばかり)。『エクスネ・ケディと騒がしい幽霊たちからのコンタクト』というタイトルも謎めいているが、以下にアツく記されているように、とてつもないサウンドに仕上がっている模様。もしかしたら今年最大の問題作の登場かも?

井手健介と母船、石原洋のサウンド・プロデュースによる5年ぶりのセカンド・アルバム、4月29日リリース! デカダンスの香りを纏うグラマラスで摩訶不思議な傑作ロック・アルバム!

なにもかもが妖しい! ついに沈黙を破った井手健介と母船、5年ぶりとなるセカンド・アルバムは、石原洋によってサウンド・プロデュースされた畢生の問題作!
聴く者すべてが度肝を抜かれるだろうその革新的サウンドは、夢魔の狂気か桃源郷か! いや、それはまさしく “2020年の神秘” !!
あのファースト・アルバムはほんの予告にしかすぎなかった!

数多くのミュージシャンがその才能を賞賛してやまない、井手健介率いる不定形バンド、井手健介と母船。ファースト・アルバム『井手健介と母船』(2015年)発表以来、約5年ぶりとなる待望久しいセカンド・アルバムをリリース!
しかし、届けられたそれは、誰もが予想だにしなかった官能的でセンセーショナルなコンセプト・アルバムとして結実していた!

クラシック・ギターをベースに、幽玄極まるサイケデリック・サウンドを展開していたファースト・アルバムから一転。本作『Contact From Exne Kedy And The Poltergeists (エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)』は、サウンド・プロデューサーにゆらゆら帝国や OGRE YOU ASSHOLE 等を手がけ、自らも先月、23年ぶりのソロ・アルバム『formula』を発表したばかりの石原洋、レコーディング・エンジニアに中村宗一郎(PEACE MUSIC)を迎え、デカダンスの香りを纏うグラマラスで摩訶不思議なロック・アルバムとして登場した……!

“Exne Kedy And The Poltergeists (エクスネ・ケディ・アンド・ザ・ポルターガイスツ)” なる架空の人物をコンセプトに、井手健介と母船がいま、衝撃的変貌を遂げる。
謎のエクスネ・ケディとはいったい何ものなのか?! そして、本作録音参加者さえも一聴してにわかに信じ難かったという「まさか!」の連続!

ゑでゐ鼓雨磨(ゑでぃまぁこん)との共作 “ささやき女将” や、ファースト・アルバム所収の名曲 “ロシアの兵隊さん” の華麗なる再録ヴァージョン。映画『バンコクナイツ』のトリビュート12インチ「おてもやん・イサーン」としてすでにリリースされていた代表曲 “おてもやん” は、ダークサイドに落ちたアナキン・スカイウォーカーが突如ベルリンのクラブに現れたかのような邪悪なオリジナル・ヴァージョンで収録。
妖精たちの海、洞窟、鏡の中、宇宙の果て──全9曲、ここではない場所から届く、ここにはいない者たちからの陽気で哀しいコンタクト=接触。

母船の新たな乗組員として、北山ゆう子(ドラムス)と mmm (コーラス、フルート)が加入。さらに、ゲスト・ヴォーカル、コーラスに mei ehara、キーボードに大山亮(キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)もゲスト参加。
新生・井手健介と母船による、超現実的にして想定外、まさに奇妙な大作というべき『Contact From Exne Kedy And The Poltergeists(エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)』がついにそのベールを脱ぐ!
2020年最大の問題作にして傑作が誕生!

[商品情報]
アーティスト:井手健介と母船
タイトル:Contact From Exne Kedy And The Poltergeists (エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)
レーベル:Pヴァイン
商品番号:PCD-26075
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,600+税
発売日:2020年4月29日(水)

収録曲
1. イエデン landline boogie
2. 妖精たち a place for fairies
3. ロシアの兵隊さん russian soldiers
4. ポルターガイスト poltergeist
5. 人間になりたい caveman’s elegy
6. ささやき女将 madam the whisper
7. おてもやん otemoyan
8. 蒸発 swinging lovers (story of joe)
9. ぼくの灯台 lighthouse keeper

参加ミュージシャン:墓場戯太郎、北山ゆう子、清岡秀哉、羽賀和貴、山本紗織、mmm、大山亮、石坂智子、mei ehara
プロデュース:石原洋
録音・ミックス・マスタリング:中村宗一郎(PEACE MUSIC)

井手健介
音楽家。東京・吉祥寺バウスシアターの館員として爆音映画祭等の運営に関わる傍ら、2012年より「井手健介と母船」のライヴ活動を開始。様々なミュージシャンと演奏を共にする。
バウスシアター解体後、アルバムレコーディングを開始。2015年夏、1st AL『井手健介と母船』をPヴァインより発表する。その後、2017年には、12インチ・EP『おてもやん・イサーン』(EMレコード)、1st ALヴァイナル・エディション(Pヴァイン)をリリース。
その他、映像作品の監督、楽曲提供、執筆など多岐に渡り活動を続ける中、2020年4月、石原洋サウンド・プロデュース、中村宗一郎レコーディング・エンジニアのタッグにより制作された、「Exne Kedy And The Poltergeists」という架空の人物をコンセプトとした2nd AL 『Contact From Exne Kedy And The Poltergeists (エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)』をリリース予定。
https://idekensuke.com

角銅真実 - ele-king

 遡ることおよそ三年前の2017年4月15日に、水道橋のCDショップ兼イベント・スペース「Ftarri」にて、英国のサウンド・アーティスト/即興演奏家デイヴィッド・トゥープの来日公演が開催された。トゥープ含め全三組のアーティストがライヴを繰り広げた同イベントで、一セットめに出演した角銅真実のソロ・パフォーマンスがいまだに忘れられない。スピーカーから音を出力することのないキーボードを叩きながらハミングを披露し、カタカタという乾いた打鍵の響きとなんらかの楽曲らしき歌のようなものが聴こえてくる。しばらくすると会場にばらまかれた無線ラジオにつながれたイヤホンから微かに伴奏が漏れ聴こえ、その後ピアノで演奏することで楽曲のサウンドの全体像が明らかになる。さらに、ポータブル・カセット・プレーヤーから同じ楽曲の録音が再生され、キーボードを介した音のない行為と録音された音だけのサウンド、さらに眼前でピアノを介して歌われる音楽という、少なくとも三種類の楽曲のありようが観ること/聴くことの経験のうちに相互に記憶のなかで関係し合い、パフォーマンスにおいてわたしたちがなにを音楽として受け取っているのかということについてあらためて考えさせられる機会となった。そしてこのようなある種コンセプチュアルな試みでありながら、概念が先行する硬直性とは無縁の、行為そのものの楽しさと悦びにあふれていたことがなによりも印象に残っている。

 cero のサポートやドラマー石若駿による Songbook Trio をはじめ、網守将平率いる「バクテリアコレクティヴ」のメンバーとして、あるいは台湾のアーティスト王虹凱(ワン・ホンカイ)による共同制作プロセスを作品化した「サザン・クレアオーディエンス」のリアライズや、坪口昌恭ら気鋭のジャズ・ミュージシャンとともにアンソニー・ブラクストンの楽曲を演奏するプロジェクト、さらにはアジアン・ミーティング・フェスティバル2019への参加まで、打楽器奏者/シンガーソングライターの角銅真実の活動は驚くほど多岐にわたっている。むろん彼女自身のソロ・パフォーマンスやインスタレーション作品、あるいはアンサンブル・ユニット「タコマンションオーケストラ」も見落とすことはできないものの、単にジャンル横断的というよりも、どんな領域でも違和感なく共存できてしまう柔軟性が彼女にはあるように感じられる。サウンド・アーティストの大城真によるレーベル〈Basic Function〉から2017年にファースト・アルバム『時間の上に夢が飛んでいる』を、翌2018年には〈Apollo Sounds〉からセカンド・アルバム『Ya Chaika』をリリースしてきた彼女が、このたびメジャー・デビュー作としてサード・アルバム『oar』を発表することとなった。

 ヴォイスを楽器の一部であるかのように音響素材の一つとして駆使したファーストから、実験的/即興的な感触を残しつつ歌の比重が増したセカンドを経て、サード・アルバムでは歌が全面的に披露されている。大幅なアレンジが施されているものの、浅川マキの “わたしの金曜日” やフィッシュマンズの “いかれたBaby” のカヴァーも収録されており、彼女のこれまでの作品のなかでもっとも「音楽」に近づいたアルバムだと言っていいだろう。洗練された都会的なコード進行や憂いを帯びながらも力強い歌声、あるいは流麗なストリングス・アレンジなどは、ポップ・ソングと呼んでもよい完成度を誇っているものの、そうしたなかでたとえば1曲め “December 13” の冒頭から聴こえてくるイルカの鳴き声と電子音響が混じり合った大和田俊によるサウンド、あるいは雨だれのように物音が乱れ飛ぶ7曲め “Slice of Time” など、節々に音楽というよりも音そのものに対する興味がうかがえるところが、単なるポップ・シンガーというくくりには収めることのできない彼女の広範なバックグラウンドを示しているようにも思う。

 角銅真実が出演するライヴに行くたびに、客層がガラリと変わることにいつも奇妙な違和感を覚えてきた。ノン・ジャンルを標榜するミュージシャンは無数に存在しており、いまの時代にジャンルを越境/横断することそれ自体に特別な価値があるとも思えない。だがたとえば、リスナーがある音楽をポップス/ジャズ/サウンド・アート/エクスペリメンタル/即興……等々に区分することで自らの耳を閉ざしているのに対して、作り手はそうした分断をよそに交流と制作を繰り返していく。もちろんリスナーはどんな音楽に対しても等しく共感する必要はない。しかし同時に、どんな音楽でもこの世界に存在することは認められなければならない。『oar』のオフィシャル・インタヴューで角銅が「本当の真実ってないし、本当に分かち合えることってない。でも、分かり合えない人たちが一緒にいる状況はおもしろい」と語っていたように、異なる人々が異なるままに共感とは別のあり方で共存すること。それはおそらく、彼女の活動を追い続けることで、実体験として感得できる「おもしろさ」であるとともに、音楽のみならず社会の蛸壺化が進行するなかで、他者とともに同時代を生きる術でもあるのではないだろうか。

Dirty Projectors - ele-king

 一昨年『Lamp Lit Prose』で高らかに生を謳歌したNYインディ・シーンの希望の星、ダーティ・プロジェクターズが1年半ぶりとなる新曲 “Overlord” をリリースしている。耳に残る主旋律とDPらしいコーラスが印象的な1曲だけど、はてさて、これは次なるアルバムへの布石なのかしらん? なお、ヴィデオはデイヴ・ロングストレスみずからが監督を務めているとのこと。

[3月26日追記]
 新情報! 先日公開された新曲は、EPへの布石だったようです。明日3月27日、ダーティ・プロジェクターズの最新EP「Windows Open」がリリースされます。新たに “Search For Life” も公開。楽しみだー。

Dirty Projectors
デイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズが
最新EP「Windows Open」を3月27日にリリース!
新曲 “Search For Life” のリリックビデオを公開!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。先月1年半ぶりの新曲 “Overlord” を、デイヴ自身が監督として手掛けたミュージック・ビデオと共にリリースし、シーンに戻ってきた彼らが、3月27日に最新EP「Windows Open」をリリースすることを発表! 新章のスタートとなる本作には、『Lamp Lit Prose』ツアーで参加したメンバーが参加し、レイドバックで詩的な魅力に溢れる4曲を収録。その中から新たに “Search For Life” が解禁され、リリック・ビデオが公開された。オリヴァー・ヒルによるストリングスのアレンジが見事なバラードとなっており、今世界を巻き込んでいる危機的な状況の中、本楽曲はより深い響きを放っている。

Search For Life (Official Lyric Video)
https://youtu.be/Oi-iUpec_6M

「Windows Open」ではマイア・フリードマンが全曲でリード・ヴォーカルを務め、作曲、プロデュース、ミックスのすべてをデイヴ・ロングストレスが担当。歌詞はデイヴとマイアが共同で担当し、レコーディングはロサンゼルスで行われた。

label: DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Windows Open
release date: 2020/03/27 FRI ON SALE

TRACKLITSING
01. On The Breeze
02. Overlord
03. Search For Life
04. Guarding The Baby

Dirty Projectors
ブルックリン出身、独創的かつハート・ウォーミングなサウンドで
人気を集めるバンド、ダーティー・プロジェクターズが1年半ぶりとなる
新曲 “Overlord” をMVと共にリリース!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。〈Domino〉移籍後、初めて発表した2009年の5作目『Bitte Orca』が、その年の年間チャートを総なめにし、本格的にブレイク。その後もビョークとのチャリティー・コラボ作品のリリース、朝霧ジャムのヘッドライナーとしての出演、そして前作『Lamp Lit Prose』を提げてフジロック・フェスティバルへの出演も果たすなど着実にステップアップを遂げてきた彼らが、前作より1年半ぶりの新曲 “Overlord” をリリース! 同時にデイヴ自身が監督として手掛けたミュージックビデオを公開!

Dirty Projectors - Overlord (Official Music Video)
https://youtu.be/LzHGYtIqLig

監視資本主義への皮肉? 混乱ばかりを生む世界のリーダーたちへの批判? テクノロジーへの盲目的な過信への警告? アンチ・ファシズムのマニフェスト? そんなことは誰も知る由もないが、“Overlord” はジョニ・ミッチェル “Both Sides Now” の現代版と言っても過言ではない。アコースティックギター、コントラバス、コンガ、ドラム、3部合唱によって紡ぎ出されるリラックスした暖かいサウンドは紛れもなく、アルバム『Swing Lo Magellan』以降のダーティー・プロジェクターズのサウンドとなっている。楽曲中、ギタリストのマイア・フリードマンがリードボーカルを担当し、プロデューサーであるデイヴと共に作詞を行った。他にもフェリシア・ダグラスとクリスティン・スリップがコーラス、ナット・ボールドウィンがコントラバス、マウロ・レフォスコがコンゴとして参加している。

label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Overlord
release date: NOW ON SALE

フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き - ele-king

 即興音楽とはなにか、との問いにジョン・コルベットは本書のまえがきで「即興演奏(improvisation)でつくられた音楽」と端的に答えている。おっしゃるとおり至極単純。それらをさしてひとは、あるいはメディアはフリー・インプロヴィゼーション、フリー・ミュージック、スポンタニアス・ミュージック、はたまたインスタント・コンポジションなどと呼びならわすが、本書のあつかう即興音楽は即興演奏だけでできた音楽、それのみをさす。すなわちまじりっけなし、純度100パーセントの即興でできた音楽──というときの「即興」というものは、ではなにかという疑問に、コルベットは事前のとりきめなく、曲を憶えることもなく、演奏の進行と同時にできていく音楽なのだという、その点では音楽の分野を問わず遍在する即興という行為の多様性からその核にあるものをうかびあがらせようとするデレク・ベイリーの主著にして、この分野の書物の古典中の古典である『インプロヴィゼーション──即興演奏の彼方へ』とは射程は異にするものの、コルベットはそもそもベイリーのむこうを張るかのごときだいそれたことは考えていないとも言明している。なんとなれば、この小ぶりな本は題名どおり『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』であるのだからして。
 そもそもなぜ即興音楽に「聴取の手引き」が必要なのか。そうおっしゃる読者はおそらく即興音楽になじみがうすい。というのも、即興音楽に真剣にむきあおうにも、どう聴いていいのかわからない事態に直面した音楽ファンもすくなくないであろうから。なぜならそこには通常の意味でのメロディがない、明晰なリズムもハーモニーもなければ楽曲の構造をほのめかす形式もなく、それに沿って展開する(ときに弁証法的な)物語性も、あたかも蒸発したかのようで言語化しがたい。このようなないないづくしは一見、即興音楽の制約であるかにみえる。ところが私たちがふだん耳にする音楽におぼえる美的興奮こそ、ルールの枠に則ったものにすぎず、即興とはその枠組みの外の新雪のような余白に(危険をかえりみず)踏みだしていく行為であり、演奏や作品は既存の文脈になじまないだけで、美学的かつ批評的な水準も存在する。すばらしいものとそんなにすばらしくはないものがあるが、そのちがいを理解するには時間と経験がいる。ちょっとの軍資金も必要かもしれない。思えば遠い道のりだった。そうひとりごち、私はレコード棚をふりかえると夥しい数の即興音楽の音盤の背が手招きする。私はいまにも頬ずりせんばかりにレコード棚ににじりよる。一枚一枚に思い出も思い入れもある。私はついさっき、即興音楽には(も)出来不出来があると述べた。棚の音盤を眺めるとたしかにそのとおりだと確信を深めもするが、しかしそうみなす理由はなんなのだろう。即興音楽を判断する基準みたいなものがあるのだろうか。その基準は私という個人に固有のものだろうか、それともプラトンのいうイデアみたいなものでもあるのか。じつは愛好家や評論家諸氏はフィギュアスケートのように即興に点数をつけているのだとして、はたしてなにをもって何点とするのか。そもそも原理的に無限といえるほど多種多様なあらわれ方をする即興音楽全体にあてはまる基準など存在するのか、またそれをだれが把握できるのか。とはいえ即興音楽も音楽であるからにはかならずや、演ること以上に聴く側にだって方法論がいる。
 ポップスやロック、ジャズやクラシックでも、形式が確立した分野の作品なら、数をこなせば自分なりの聴き方が身につけられる。おそらく多くの音楽リスナーはそのようにしてあらゆる音楽をふるいにかけながら聴き方を学んでいく、その一方で既存の音楽の枠組みの外を視野に入れる即興音楽にとって形式は土台というより制約にちかい。したがってリスナーも作品や演奏ごとに新たな聴き方をたちあげる──べきなのだが、聴くたびにふりだしに戻っていてはなかなか厄介である。記憶(の獲得ないし喪失)と即興のかねあいはこの分野をつきつめる課程でおりにふれて顔を出す重要な命題だが、『聴取の手引き』はそのような考える楽しみのちょっと手前で、まずは聴くことの楽しみの発見を手助けしようとする。
 全体は大きく基礎編と発展編にわかれ、音盤や人名リストが付録としてつく構成をとっている。コルベットがまえがきで即興音楽の定義を述べていることはすでに述べたが、それをもとに基礎編以降はじっさいに音楽を聴く段階にはいっていく。おもしろいのはふつうならここで、即興音楽の聴きどころをあげていくものなのにコルベットは聴くにあたってのハードルを列挙するところ。すなわち「リズム(がない)」「時間(が読めない)」「誰がなにをしているのか(わからない)」という、先述の即興音楽の「NAI-NAI 16」をクリアする手立てに紙幅を割く、その懇切丁寧な筆の運びをいささか乱暴に要約すると、私たちがふだんよく耳にする音楽では韻律的(メトリカル)なリズムが方眼(グリッド)の役目をはたし音楽を定量化するが、即興音楽ではドラムやベースなど、一般的な合奏形態内で時間(タイム)をキープし、ビートないしグルーヴを生み出す役割を担うパートも期待どおりに機能しない。機能していけないわけではないのだが、そうなったらなっただけ因習的な形態にちかづくから既知感もます。そもそもたえざる変化を旨とする即興音楽において反復は両立不能な命題ともいえる(むろん戦略的な反復ないし形態の模倣は選択肢として排除しないとして)のだが、演奏にじっくり耳を澄ませると周期性のないなかにも変化は感じられる(反復していないのだからむしろ変化しかないともいえる)。とはいえその変化はパターン化できるようなものではなく、終わりもみえない。この演奏はいったいいつまでつづくのだろうという疑問(不安)は下世話なようでいて、即興演奏にはじめてふれる聴き手には死活問題である。なにせひとの集中力はそんなにはつづかない。有限の集中力を適切にふりわけるには演奏の見取り図があると便利だが、即興音楽はクラシックみたくプログラムノートもない。とはいえ演奏者がラ・モンテ・ヤングでもなければ、即興演奏とてほとんど常識的な時間内に終了する。常識的というのは、1曲(セット)20~30分で、2セットやったとして1時間とちょっと。ときおりノンストップの長大な即興をくりひろげるライヴもあるが、すくなくとも1時間半のうちには親切なお店の方の出すビールにありつけるというコルベットの見立てには私もおおむね同意する。むろんそれ以前でも、あなたには自由に席を立つ権利がある。とはいえせっかくなので演奏は最後まで楽しみたい、そうすると音楽全体が体感できる。ただしそこで起こるすべてを理解する必要はない──そもそもそんなことは人間にはほとんど不可能かもしれない──が、演奏の空間で起こる出来事の残像みたいなものは認識できないともかぎらない。その輪郭を記憶にとどめたりメモをとったりすると、あなたの手のなかの地図は音楽を比較、検討するときに役立つかもしれない。すくなくとも理解の目安にはなりますよね。
「そうそう、出来事といえば、さっきのライヴではサックス奏者が牽かれていく牛のような嘶きを発したのに呼応するかのようにドラムスとベースがドナドナっぽくなったのは圧巻でした」
「とてもいい目のつけどころです、即興音楽の出来事とは演奏者どうしの『相互作用のダイナミクス』からできているのですから」
「相互作用のダイナミクス?」
 そうです。即興はいっさいのとりきめがないことはご存じですよね。とはいえ複数の演奏が参加する場合、演奏者どうしに関係性のようなものが生まれ、それらは(1)調和、(2)補足、(3)対比の3種で特徴づけられ、そのさいの音楽的エネルギ—は(1)集中、(2)拡散のどちらかをとるとコルベットは述べています。それらをパラメータにした演奏者どうしの関係性が「相互作用のダイナミックス」であり、著者は作中で代表的な7パターン(と派生的な数パターン)をとりあげていいます。この一連のながれはレーベルを運営する熟達の聴き手にして演奏家でもある著書の経験を多面的に動員した本書の読みどころのひとつ。詳細は読者諸兄ご自身の目でたしかめられたいが、一例だけあげると、「サポート/ステップアップ」と名づけた関係性では、ある演奏者があたかも即興(合奏)の前景に歩みでるかのように、それまでの演奏と異なる音楽的言明をおこない、状況が相対化(し場面が転換する)ことを意味するが、意見の一致/不一致などの単純に論争的なダイナミクスの外の思弁的な重層性を明記したのはみのがせない。このように、即時的な丁々発止 インタープレイ)におさまらない即興音楽特有の(非)協働性は音楽的時(空)間の屈曲を招き、変化をきたす時間の幅が狭まれば、やがてシュトックハウゼンいうところのモメント(瞬間)形式に漸近するという説など、コルベットの見立てにはこみいった概念や記述を端折ったがゆえの陥穽もある(それもまた本書の性格に由来するとも思うのだ)が、その真摯な語り口にのぼる即興の諸相に虚心にむきあえば、私たちは演奏家が事前の計画も予備的なスケッチもなくおこなった演奏を、「聴く」という全的行為と記憶をたよりに溯及的に構造化するまでになる。このとき、(宿命的に)音楽のいちぶである演奏家にはけっしてとどかない聴取者の特権、無数の解釈にひらかれた、音楽を聴くことの不意のゆたかさがあなたを撃つのである。
 入門者の好奇心をくすぐりながら中級者の共感を呼び、すれっからしの微笑をさそう──根幹となる基礎編をへて状況論にも目配せする後半部で本書はいよいよ発展編にはいっていく。とはいえ『手引き』たるもの、いたずらに小難しかったり高尚になっては立つ瀬がない。そこで著者は具体的な事例をまじえつつ、レコードリストも掲げながら、一貫する機知で即興音楽の原理を浮きぼりにする。
 なかでも「情熱点火」と題した作品リストは端的で趣意に富んでいる。あがっているのは20枚だが、ポール・ラザフォードの『The Gentle Harm Of The Bourgeoisie』にはじまるセレクトは即興の旨味を凝縮している。また同時に、コルベットの即興観の根底にはおそらく(というか当然)ジャズがあり、聴取のポイントとしては個々の音楽家の語法のたしかさと、それらの合奏における働き方を重視していることをうかがわせる。そう考えるのは作品の中身もさることながら、それらがソロからデュオ、トリオからオーケストラまでを網羅しているのでもわかる。即興にとって編成は喫緊の課題である。このことについて著者は数ページあとに「3の法則」として一節とって述べている。いわく、ソロとデュオ、トリオとそれ以上では即興の関係性(ダイナミクス)のあり方がちがう。その見立てに則って、さきのリストでもソロからオーケストラまで形態のちがう作品を、コルベットは選出していたのだが、これにより意図したのはオススメのフォーマットがあるとかではなく、異なる編成それぞれに特徴があり、おそらくコルベットはその階調の広がりに即興音楽の魅力をみている。そのことは、ハシ休め風の「極端な仮説に挟まれ踊る」にもあらわれている。この節で著者は以下の思考実験をもちだしてくる。すなわち(1)すべてが即興である、(2)なにも即興ではない。このふたつの命題は、たとえば譜面の再現を前提とするクラシックの演奏家にも解釈の自由があるようにあらゆる音楽には即興的な側面が存在し、他方で、ライプニッツではないが即興音楽の錦のミハタである自由なるものもじつはけっこう予定調和ちゃうん!? ということなのだが、結論からいえば、コルベット自身は両方を極論として退けている。つまるところすべての音楽は即興の面ではそのふたつを両端としてのその線分上のどこかにある、と述べて、それこそが「メッセージの明瞭さと整然たる解決ということ以外の(引用者注:即興音楽の)価値」といいたがっているかに私にはみえる。いうなれば「聴く人を宙吊りにしておくやもしれぬ音楽のプロセス」でありつづけることが即興音楽の即興音楽たるゆえんであるということである。むろんそれが原理主義に収斂しては元も子もないのであって、即興音楽の「道徳的優位性」をもちだす信奉者にしっかりクギをさす著者の即興観なるものを『手引き』の本文を借りて述べれば「フリー・インプロヴィゼーションは音楽をつくりだす一方法であって、独立した価値や特質ではありません」ということになるだろうか。むろんその「方法」がおそるべき深みをもっているのはそこかしこにほのめかしてあるし、巻末の人名リスト、さらに付録として掲載した細田成嗣作成によるブックガイドと録音作品リストは欧米が主軸の本書に、日本と近隣諸国から届けられた重要作を補い『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』の有用性を高めている。その一方で、細田が指摘する「魅力的な即興の世界が無数にある」という可能態は選ばれた演奏家や作品の記名性と抵触するおそれもある、というこの問いは『手引き』たる本書の圏域外だとしても、即興音楽の門のむこうにはそのようにきわめて人間的で思弁的な領野が広がっているのがわかる。みなさんはいままさにそのとば口に立っているというわけです。
 ようこそ即興音楽の世界へ。

Jaga Jazzist - ele-king

 こいつは電撃的なニュースだ。これまで〈Smalltown Supersound〉や〈Ninja Tune〉からリリースを重ねてきたジャズもロックも呑みこむノルウェーの野心的音楽集団=ジャガ・ジャジストが、なんと〈Brainfeeder〉に移籍! そして、じつに5年ぶりの新作を4月24日にリリースする!! トンスベリの異能とLAの異端との邂逅……これはバンドとレーベル、双方にとって転機になる出来事だろう。なお、きたるニュー・アルバムには冨田勲やフェラ・クティへのトリビュートも含まれているらしい。昨年のアムガラ・テンプルの来日公演も良かったし、今回はいったいどんな演奏を聞かせてくれるのか。アルバムめっちゃ楽しみや~。


ノルウェーを代表する異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが
フライング・ロータス率いる〈Brainfeeder〉に電撃移籍!
冨田勲に敬意を表し、フェラ・クティに想いを馳せた
初のセルフプロデュース・アルバム『Pyramid』が4月24日にリリース決定!
新曲 “Spiral Era” 本日公開!

1994年に結成され、現代音楽からプログレッシヴ・ロック、ジャズ、エレクトロニカまで様々なスタイルを取り入れながら活動をしているノルウェーが誇る異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが、2015年の前作『Starfire』以来となる最新アルバム『Pyramid』を、フライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉より4月24日(金)にリリース決定! 同時に新曲 “Spiral Era” を公開した。

Jaga Jazzist - Spiral Era
https://www.youtube.com/watch?v=HnLUe4MMraY


バンドの核であり、すべての作曲を手がけるラーシュ・ホーントヴェット率いるジャガ・ジャジストは、本作『Pyramid』で、また新しいコズミック・サウンドを手に入れた。電子音を駆使した80年代のジャズ・バンドや、ノルウェーにおけるシンセ・ミュージックの第一人者ストーレ・ストールロッケンから、現代のテーム・インパラ、トッド・テリエ、ジョン・ホプキンスといったアーティストに敬意を表している。アルバムは4曲の長尺トラックで構成されており、丁寧に練られた楽章に沿って進行し、鮮やかな色彩の糸を紡ぎ出している。

ジャガ・ジャジストにとって初めてのセルフプロデュース・アルバムとなる『Pyramid』。彼らの制作工程は、これまでの環境から大きく変化した。多くのアイデアを自由に出すことができた一方で、どのアイデアを採用するかを、自分たち自身で決断することが必要だった。ドラマーのマーティン・ホーントヴェットは「大変だったけれど、自分たちで作業するのが自然だと感じた。メンバーのうち5人はプロデューサーだし、生業としてレコードを作っているわけだから」と語る。その結果、今までにないほどメンバーの団結力を感じられる作品が誕生した。

彼らは『Pyramid』をコンセプト・アルバムとは形容しないが、各楽曲のタイトルをコンセプチュアルなスタート地点と位置付けており、聴き手は楽曲からどんな物語も描きだすことができる。“Tomita” は、日本人の作曲家でシンセ奏者の冨田勲に捧げられており、“The Shrine” は、フェラ・クティが活動拠点としたライヴ・ハウスに由来する。

このアルバムは、これ自体が一つの交響曲だと思っていて、それぞれのパートに余白を持たせ、自由に広がっていくようにしているんだ。 - Lars Horntveth

ジャガ・ジャジスト待望の最新作は4月24日(金)にリリース! 国内盤CDにはボーナストラックが収録され、解説が封入される。また、輸入盤LPはクリスタル・クリア・ヴァイナル仕様となっている。

label: BRAINFEEDER/BEAT RECORDS
artist: JAGA JAZZIST
title: Pyramid
release date: 2020/04/24 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-636 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

BEATINK: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10879
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