まさか同一人物だとは思わなかった。サン・アローのライヴでサポート・メンバーを務めるアレックス・グレイはディープ・マジックの名義でアンビエント・ミュージックに取り組み、ちょっと前まではそう大したことをやっているわけではなかった。それが『崇拝の祭壇』と題されたカセット・テープでは飛躍的に内容がアップし、第2段階に入ったのは明らかだった。同じころ、気になりはじめていた才能にはマシュー・セイジとパープル/イメージがいた。ブラジルのジムやポルトガルのポイズン・ニガーにも心は飛びかけていたけれど、そんなときに紙エレキングの打ち合わせがあり、松村編集長や倉本諒とインダストリアル・ミュージックについてウダウダと話し合う機会があった。その結果は特集のディスク・ガイドにまとまったと思いたいところだけれど、そのときに倉本くんが乳首をポロッと出すように「ディープ・マジックとパープル/イメージは同じ人ですよ」と唇を動かしたのである。え......。パープル/イメージって、だって、超ノイズじゃん、しかもかなり筋金入りの......。僕の脳内ウィキリークスはすぐにはその事実を脳内フォルダーに貼り付けられなかった。
実際、そうか、どっちもアレックス・グレイなのかと納得したのは、それから、もう一度倉本くんと会って、ディープ・マジックのカセットを何本か売ってもらい、アレックス・グレイが最近はオピウムにはまって、さあ、大変、という創作事情を聞いてからのことである。ああ、なるほどね、それなら納得だねと、そっちの方で納得できてしまう僕も僕だけれど、マシュウデイヴィッドのようにアンビエントかと思えばノイズ・ドローンも......という人が近隣のシーンにもいるわけだし、それほど抵抗する意味もなかったことはたしかである。しかし、それぐらいパープル/イメージは従来のパターンからはかけ離れたノイズ・ドローンをやっていて、従来のアンビエント・ドローンと方法論的には同じやり方を踏襲していたディープ・マジックとは距離があるように思えたのである。
ディープ・マジックはなぜかカセットでリリースする音源のほうがいい。倉本くんによると、本人はつくったはいいけれど、それを売るのが面倒くさいらしく、『崇拝の祭壇』はフード・ピラミッドなどを擁する〈ムーン・グリフ〉からリリースされたことで少しは世界的な流通にも乗ったとか、そういうことになるらしい。フィールド・レコーディングをベースにシンセサイザーなどで加工していくという手法はそのまま維持しつつ、ここでは新たにキラキラと美しく繰り返されるミニマリズムやロング・ドローンが効果的に配置され、それらを組み合わせる構成力に飛躍的な発展が認められる。オピウムが彼に見せてくれる世界。その桃源郷のようなヴィジョンと光の洪水はアレックス・グレイがヤソス(裏アンビエントP60)の末裔であり、ウエスト・コーストが約束の地であったことを思い出させてやまない。『アンビエント・ミュージック 1969―2009』などという本をつくってしまったせいで、毎年、その年のベスト・アンビエントを考えないと落ち着かないんだけどw、いまのところ最短距離に位置しているのがこれではないかと。昨年はもちろん、メデリン・マーキーちゃま。
オープニングからハーシュ・ノイズの洪水かと思いきや、ノイズなのにあまりに気持ちよく、マイナー・イメージに支配されたノイズ=憎しみといった80年代の図式がゼロにも等しくなってしまった。パープル/イメージ名義のデビュー作はマシュウデイヴィッド『アウトマインド』を目先の目標にしながら、ノイズ・ドローンを過剰に盛り込んだことで、それを乗り越えてしまったアルバムに思える(Rのみのリリースはピック・アップしないようにしてきたのですが、年間ベストにも等しい内容ではそうもいかないかなと)。粒子の細かい音のぶつかり合いはトリップ・ミュージックにおける最低限のお約束事だとしても、ありとあらゆる隙間にその破片が詰め込まれ、ほとんど窒息状態になって、それこそ夢にまで見たマイク・パラディナス版『メタル・マシーン・ミュージック』ではないかと。あるいは、曲によってはそれ以上かもしれない。こういうときにはやはり天才という言葉を使いたくなってくる(サウンドクラウドにはどちらかというとつまらない曲を選んでアップしているのはなぜだろう?→https://soundcloud.com/djpurpleimage)。
〈プー・バ〉傘下からはヒート・ウェイヴ名義でヒップホップにも多少の色気を見せているだけあって、サンプリング・センスも自由自在。あらゆる技法を吸い尽くしたようなM6を聴くと、シンリシュープリームと曲を交換し合ってリミックス・バトルを繰り広げるしかないと思ったり、とにかく、どの曲も聴きなれない人が聴いたらぐじゃぐじゃですよとしかいえないようなものばかり。それでいて、初期のジーザス&メリー・チェインに匹敵する音のセンスを見せるんだから......(オーヴァードーズで死なないことを願うばかり?)。
https://chanceimag.es/headtearcd.html――FOR JUNKIES ONLY!FOR JUNKIES ONLY!


▼D.J.APRIL(Booty Tune)
▼Kent Alexander(PAN PACIFIC PLAYA/Paisley Parks)
▼1-DRINK
▼MOODMAN(HOUSE OF LIQUID / GODFATHER / SLOWMOTION)



トラックスマンと聞いて「Footwork On Air」みたいなの期待した人、ごめんなさい。でもすぐに快感に変わるのでそのままお付き合いください。音を分析するまでもなく、ノイズ、キック、スネア。その3つの音しか鳴ってない。リズムにほんのり施されたリバーブがアシッドハウス全盛期のTRAXレコーズを髣髴とさせる。間違いなくキラーチューン。早くプレイしたい!
シカゴの若手ホープDJ Tayeのフルアルバム。16ビートと3連符の交差の中で起こる体感スピードのコントロールが絶妙。僕のお気に入りは12曲目「Roll Up」。ロール・アップって言葉だけで色々表現してます。ボイスサンプリングがクドいなんてもう誰にも言わせない。CDもリリースされたとのことなので日本のショップにも並ぶことを期待。レーベル名は「DJ Taye」。弱冠18歳の若者が1人で全部こなす。1人1レーベル時代の到来です。
自分のレーベルでスミマセン。でも素晴らしいんですこのEP。静岡の隼人6号が手掛ける、ジュークとジャングルの融合。筋金入りのジャングリストの彼だからできるハイブリッドな世界観を、今後拡大しえるヨーロッパのジュークシーンにぶち込みたいと思っています。
シカゴから凄いプロモが送られて来た。GETO DJ'Zというクルーに所属する若手K. Lockeは、先輩のTraxmanから学んだ打ち込みスキルとDJ Spinnのようなスムースなネタ使い感を兼ね揃えたトラックメイカー。今後注目を浴びること間違いなし。間もなくお披露目できると思いますので、名前だけでも覚えといてください。
横浜のBoogie Mannことタカミチ・ヒロイは、神奈川の若いジュークトラックメイカーが集うShinkaronというレーベルに所属。昨年末にファーストEPをリリース。中でも「Take Me Back」で見せるスネアとネタの畳み掛けるビートが最高。ファーストにしてこのクオリティー。マジかよ。期待を込めてランクイン。
シカゴのTRIBEというクルーは、ユーチューブを通じていち早くフットワークダンスを日本のファンに教えてくれました。その熱意&ボスのラシャド・ハリスの猛烈な押しに負けて、クルーのトラックメイカー筆頭であるAvery76のEPを我々のBooty Tuneからリリースしました。彼のトラック全般に漂うミッドなテーストは、ジューク=速くて忙しい音楽、という先入観がある人にこそ聴いて欲しい音です。
シカゴ・ジュークだけじゃなくもちろんデトロイト・ジット(ゲットーテック)もチェックしてますよ。オーストラリアを代表するゲットーテックトラックメイカーTyphonicがフランスのBooty Callからリリース。オススメは4曲目「Early」。彼のお得意デトロイトテーストなシンセリフで疾走するゲットーテック。本場デトロイトではリリースが止まっちゃってるけど、ゲットーテックは死なない。
先日、ファーストアルバムとリリースパーティー「Shin-Juke」にて鮮烈なデビューを飾ったクレイジーケニー。そのアルバムの16曲目に収録されたこの曲。凶悪なベースサウンドから湧き出た甘いネタ使いがめちゃくちゃ好きなんだよねー。ヤンキーに優しくされてキュンとする女の子ってこういう気持ちなのかなあ。あー書いてたらむかついてきた。
シカゴのトラックメイカーは若い。彼は17歳。とにかく元気なジューク満載。でもネタ使いがやたらおっさんっぽいんだよね。たまらなくツボ。4曲目「Hero」で爆笑しました。でタイトルが「デジタルジューク」テキトー。でもこれこそがシカゴ。彼のトラックは最近、高確率でプレイしてます。なんせ分かりやすい。
ラップ無しのサタポのオリジナルトラック「Battle Creek Brawl」が先にリリースされてて、その曲が大好きでずっと聴いてましたが、アルバム「160OR80」ではその曲にPUNPEEのラップがモダンなネタに隠れた、ストップ&ゴーを繰り返すフットワークビートを確実に捕らえることで、未知なるグルーヴを放っています。PUNPEE氏に圧巻です。










