「W K」と一致するもの

Deep Magic - ele-king

 まさか同一人物だとは思わなかった。サン・アローのライヴでサポート・メンバーを務めるアレックス・グレイはディープ・マジックの名義でアンビエント・ミュージックに取り組み、ちょっと前まではそう大したことをやっているわけではなかった。それが『崇拝の祭壇』と題されたカセット・テープでは飛躍的に内容がアップし、第2段階に入ったのは明らかだった。同じころ、気になりはじめていた才能にはマシュー・セイジとパープル/イメージがいた。ブラジルのジムやポルトガルのポイズン・ニガーにも心は飛びかけていたけれど、そんなときに紙エレキングの打ち合わせがあり、松村編集長や倉本諒とインダストリアル・ミュージックについてウダウダと話し合う機会があった。その結果は特集のディスク・ガイドにまとまったと思いたいところだけれど、そのときに倉本くんが乳首をポロッと出すように「ディープ・マジックとパープル/イメージは同じ人ですよ」と唇を動かしたのである。え......。パープル/イメージって、だって、超ノイズじゃん、しかもかなり筋金入りの......。僕の脳内ウィキリークスはすぐにはその事実を脳内フォルダーに貼り付けられなかった。

 実際、そうか、どっちもアレックス・グレイなのかと納得したのは、それから、もう一度倉本くんと会って、ディープ・マジックのカセットを何本か売ってもらい、アレックス・グレイが最近はオピウムにはまって、さあ、大変、という創作事情を聞いてからのことである。ああ、なるほどね、それなら納得だねと、そっちの方で納得できてしまう僕も僕だけれど、マシュウデイヴィッドのようにアンビエントかと思えばノイズ・ドローンも......という人が近隣のシーンにもいるわけだし、それほど抵抗する意味もなかったことはたしかである。しかし、それぐらいパープル/イメージは従来のパターンからはかけ離れたノイズ・ドローンをやっていて、従来のアンビエント・ドローンと方法論的には同じやり方を踏襲していたディープ・マジックとは距離があるように思えたのである。

 ディープ・マジックはなぜかカセットでリリースする音源のほうがいい。倉本くんによると、本人はつくったはいいけれど、それを売るのが面倒くさいらしく、『崇拝の祭壇』はフード・ピラミッドなどを擁する〈ムーン・グリフ〉からリリースされたことで少しは世界的な流通にも乗ったとか、そういうことになるらしい。フィールド・レコーディングをベースにシンセサイザーなどで加工していくという手法はそのまま維持しつつ、ここでは新たにキラキラと美しく繰り返されるミニマリズムやロング・ドローンが効果的に配置され、それらを組み合わせる構成力に飛躍的な発展が認められる。オピウムが彼に見せてくれる世界。その桃源郷のようなヴィジョンと光の洪水はアレックス・グレイがヤソス(裏アンビエントP60)の末裔であり、ウエスト・コーストが約束の地であったことを思い出させてやまない。『アンビエント・ミュージック 1969―2009』などという本をつくってしまったせいで、毎年、その年のベスト・アンビエントを考えないと落ち着かないんだけどw、いまのところ最短距離に位置しているのがこれではないかと。昨年はもちろん、メデリン・マーキーちゃま

 オープニングからハーシュ・ノイズの洪水かと思いきや、ノイズなのにあまりに気持ちよく、マイナー・イメージに支配されたノイズ=憎しみといった80年代の図式がゼロにも等しくなってしまった。パープル/イメージ名義のデビュー作はマシュウデイヴィッド『アウトマインド』を目先の目標にしながら、ノイズ・ドローンを過剰に盛り込んだことで、それを乗り越えてしまったアルバムに思える(Rのみのリリースはピック・アップしないようにしてきたのですが、年間ベストにも等しい内容ではそうもいかないかなと)。粒子の細かい音のぶつかり合いはトリップ・ミュージックにおける最低限のお約束事だとしても、ありとあらゆる隙間にその破片が詰め込まれ、ほとんど窒息状態になって、それこそ夢にまで見たマイク・パラディナス版『メタル・マシーン・ミュージック』ではないかと。あるいは、曲によってはそれ以上かもしれない。こういうときにはやはり天才という言葉を使いたくなってくる(サウンドクラウドにはどちらかというとつまらない曲を選んでアップしているのはなぜだろう?→https://soundcloud.com/djpurpleimage)。

 〈プー・バ〉傘下からはヒート・ウェイヴ名義でヒップホップにも多少の色気を見せているだけあって、サンプリング・センスも自由自在。あらゆる技法を吸い尽くしたようなM6を聴くと、シンリシュープリームと曲を交換し合ってリミックス・バトルを繰り広げるしかないと思ったり、とにかく、どの曲も聴きなれない人が聴いたらぐじゃぐじゃですよとしかいえないようなものばかり。それでいて、初期のジーザス&メリー・チェインに匹敵する音のセンスを見せるんだから......(オーヴァードーズで死なないことを願うばかり?)。

https://chanceimag.es/headtearcd.html――FOR JUNKIES ONLY!FOR JUNKIES ONLY!

 毎年3月中旬になるとメディア関係のニューヨーカーは、暖かいテキサス州オースティンへと向かう。音楽見本市として知られるSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)は毎年ハイプになっていき、本来の意味(未開発インディ・バンドのショーケース)は、すっかり忘れ去られている。ハイテクや映画の見本市でもあるが(マイスペース、ツイッター、フォースクエアなどの電子ツールはここから注目を浴びた)、単にパーティを求めている人たちが集まる場でもある。
 今年は、スピンナショナル・パブリック・ラジオなどが、ショーケースのライヴ・ストリーミングをしたり、『ピッチフォーク』や『BKヴィーガン』などのメディアが、時間刻みで自分が推したいショーをウェブにアップデートする。フェイスブック、ツイッターなどにもあげてくれるので、媒体の好みに偏るが、まるで行ったような感覚に陥る。インターネットは便利だが人びとを動かなくする。

 ラジオ局NPRのショーケースでは、ニック・ケイヴ&バッド・シーズ、ヤーヤーヤーズ、イギー・アンド・ザ・ストゥージーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、プリンスなどの大物、クラウド・ナッシング、ヴァンパイア・ウイークエンド、ブレイズ、キャサリン・ハンナ、フレーミングリップスなどのインディ・フレンドリーまで、たくさんのバンドが集まった。目的がはっきりしているならSXSWは価値がある。ただ、バンドが1日3回ショーをすることも珍しくなく、DIIVもいうようにセットアップ5分、プレイ15分、サウンドシステムと、質は求められない。人気のあるショーは、長いラインに並ぶか、入れないことも多いし、フリードリンク、フリーフード、たくさんのバンドや新しいテックの誘惑で、週明け、パーティ疲れでげっそりした人たちがNYに戻ってきている。
 その週の土曜に、ブルックリンのカフェで食事していたら、その日の朝にSXSWから帰ってきたばかりマシュー・ディアのメンバーにばったり出会った。SXSWの感想を聞くと「すごく疲れた」とひと言。

 SXSW期間でも、NYではたんさんのショーが開催されている。そのときに見たひとつのバンドのヌード・ビーチを紹介。アザー・ミュージック(other music.com)から音源をリリースし、革ジャンにタイトパンツ、アフロヘア、ストロークスっぽくもあるが、サウンドはトム・ペティ、リプレイスメンツ風のハートランド・クラシック・ロック。スタイルは、ギターウルフ的であるが、あそこまで攻撃的ではない。何回かショーを見たが、1:人に媚びない。2:難しい事をしない。3:共演バンドが毎回違うジャンル......が彼らの特徴で、誰もがスンナリ入っていける許容範囲がある。見ていてスカッと気持ちが良い。いろんなミックス・ジャンルの音楽がはびこるなか、懐かしのストレート・クラシック・ロックが、戻って来ているのは何かの兆しなのか。
 今週はSXSW上がりの話題のバンドがNYを通過する。Savages、Sky Ferriera、Chvrches、Disclosure、Fear of Men......1週間遅れのSXSWがはじまる。


ヌード・ビーチ

Nick Cave & The Bad Seeds - ele-king

 「今回、大きく変わったのは、ギターがいなくなったことだ。だから、最初にギターが存在しないヴァージョンをつくってみて、そこからはじめたアルバムだった」とニック・ケイヴが米メディアに語っている映像をYoutubeで見たが、旧バッド・シーズは、正反対のギタリストをふたり擁していた。
 ひとりは、ノイバウテンのブリクサ。ぎゃああああん、とか、どごおーん、とか、別にそこでそんな変なギターの音はいらないんじゃないか。という箇所でさえ我が道を行っていた往年のノイズ界の貴公子は、ときに耽美的ダンディズムに酔い過ぎるニックをおちょくっているかのようであった。だから、彼が辞めたときには一抹の不安を感じた。
 が、ブリクサ脱退後のバッド・シーズは、全然いけていた。もうひとりのギタリスト、ミック・ハーヴェイは器用貧乏と呼ばれることもあったが、しかし、ニックのような人と組むと、その器用さが全体をホールドする。ケイヴが自作の詩に音楽をつけるにあたり、静寂のバラードから怒涛のロック・ソングまで、多様なムードの曲のあいだを自由自在に飛び移ることができたのは、彼の脇に盟友ミック・ハーヴェイがいたからだ。特に前作の『Dig!!! Lazarus Dig!!!』では、50男のガレージ・ブルーズ。みたいな渋くてワルいギター・サウンドを聞かせてくれ、ひょっとすると、年々タイトになるこのバンドは、「激烈にクールな中年ロック」という新ジャンルをつくるのではないか。と気分が高揚した矢先の脱退だった。

 「ロックなニック・ケイヴが好きだった人は、今度のアルバムはダメだろうね」
 あるおっさんがパブで言ったので、私はぶーたれた。
 「っていうか、あれだったら、詩の朗読と変わらないじゃん」
 実際、同じ街に住んでおられるニックは、地元のわりと小規模なハコでポエトリー・リーディングをなさることがある。英語でのポエトリー・リーディングというのは、平坦な日本語でのそれと違い、抑揚が強くて、リズムや旋律のようなものさえある。だから、今回のミニマルなアルバムはそれに限りなく近い。とは言え、わたしは文豪ニック・ケイヴは好きだ。「And The Ass Saw The Angel(神の御使い)」も、「The Death Of Bunny Munro(バニー・マンローの死)」も何度も読んだし、とくに、アル中の母親と動物虐待者の父親を持つ少年の話である前者は、アンダークラス支援団体の託児所で働いていた時期に再読し、若い頃に日本語訳で読んだときには笑えるとしか思っていなかった箇所で、何度も心を蹴破られたりした。
 彼の小説では、もっとも美しいバラードともっとも野蛮なロックが自由自在にリミックスされている。ニック・ケイヴという人は、言葉の分野なら自分ひとりでそれができるのだが、音楽となると、ミック・ハーヴェイが必要だったのかもしれない。花田清輝的に言えば、対極するものを対極させたまま一致させる、というのはアクロバティックな荒業だからである。
 「音楽としては、わたしはニックではなく、旧バッド・シーズが好きだったのかもね」
 新譜はいまいち。という私を、それは君が化石のようなロック女だからだ。という論旨でやっつけようとしていた50代の相手は言った。
 「......いや、実は、俺もそんな感じはたしかにあるんだけど」
 (彼は、わたしのブログに登場したことのある、いつもニック・ケイヴのTシャツを着ていた成人向け算数教室の講師だ。保守党政権になって失職し、現在はこざっぱりした姿で大学に勤務している)

 とはいえ、わたしだって"Push the Sky Away"や"Water's Edge"は好きだ。が、"Higgs Boson Blues"ではミックのギターを幻聴してしまうし、"Wide Lovely Eyes"は、"Let Love In"のような曲になれたのではないかと妄想してしまう。
 別バンドのグラインダーマンをやっていた頃、新相棒のウォレン・エリスに「お前がギターを弾け」と言われて自分で弾いたというケイヴは、「いま、ひとりだけギタリストを連れて来れるとしたら誰とやりたいですか」と訊かれて、バッド・シーズ脱退直後のミック・ハーヴェイの名を挙げたことがある。

     ***********

 ニック・ケイヴは、今回のアルバムの舞台はブライトンだと語っている。
 彼は、天井が高く、窓などに優美な曲線的デザインが目立つ高級住宅(公営住宅は、天井が低く、すべてが直線で四角い)が立ち並ぶ海浜地域に住んでおられる。で、そこにある自宅の大きな窓から見える庭と海と空がアルバムのベースだという(自宅の窓辺に立つ彼と、妻の写真がジャケットである)。
 だとしたら、やはりわたしのような丘の上の貧民街在住者には理解できない世界だ。
 うちの小さな窓から見えるブライトンは、冬なのに芝が伸びきってジャングル状態のイングリッシュ・ガーデンや、路上に転がっている狐の死体や、舗道でカツアゲしている十代のフディーズたちの世界だ。
 「ブライトンの良いところは、もっとも貧しい者やもっともリッチな者、ゲイ、老人、学生、アナキスト、といった多種多様な人間がナイスなバランスで共存していることだ」とニック・ケイヴは地元誌に語ったことがある。
 だが、残念なことに、そのブライトンは、わたしにはこのアルバムからは見えて来ない。

HOUSE OF LIQUID presents WARM UP - ele-king

 足を素速く動かしましょう。冗談を理解しましょう。フットワーク/ジューク、ハウスとベース・ミュージックを楽しく聴きましょう。恵比寿のリキッドルーム2Fに行きましょう。入場料は1000円。大ベテランのムードマンも出ます。明日のために、大量の汗をかいてください。財布を落とさないように。

featuring
D.J.APRIL(Booty Tune)
Kent Alexander(PAN PACIFIC PLAYA/Paisley Parks)
1-DRINK
MOODMAN(HOUSE OF LIQUID/GODFATHER/SLOWMOTION)

2013.3.30 saturday night
at KATA[LIQUIDROOM 2F]

open/start 23:00
door only 1,000yen

*20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい。(You must be 20 and over with photo ID.)

info
KATA https://www.kata-gallery.net
LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

▼D.J.APRIL(Booty Tune)
Hardfloorでシカゴに目覚め、のらりくらりとシカゴ・ハウスを追いかけております。横浜で「Ruler's Back」というJukeをメインにしたっぽいイベントをオーガナイズ(現在休止中)させていただいたり、Jukeレーベル「Booty Tune」の広報などもしております。
https://www.bootytune.com

▼Kent Alexander(PAN PACIFIC PLAYA/Paisley Parks)
高校生の頃からパーティ地獄巡りを重ね、日本とアメリカ各地でDJ。昨年は自身が所属するjukeユニットPaisley Parks楽曲のみのdjセット等をjukeの本場シカゴのラジオで披露するなどの活躍を見せている。横浜Pan Pacific Playa所属。
https://www.panpacificplaya.jp/blog/

▼1-DRINK
BASSと非BASSの境界を彷徨いながら現在にいたる。ときどき街の片隅をにぎわせている。
https://soundcloud.com/1-drink

▼MOODMAN(HOUSE OF LIQUID / GODFATHER / SLOWMOTION)
日本でもっとも柔軟な選曲能力を持っているベテランDJ。近々、新しいミックスCDをエイヴェックスからリリース。
https://www.myspace.com/moodmanjp

interview with Vondelpark - ele-king

 音をチェックしていなかったとしても、あの犬ジャケは覚えている、という人は多いのではないだろうか。デビューEP(『サウナEP』2010年)ではビーチ・リゾート風の海が、つづく『NYCスタッフ・アンド・NYCバッグスEP』では飼い犬らしい犬の表情がジャケットにあしらわれている。それぞれトイカメラ風の叙情性をたたえながらもプライヴェート・ショットのような何気なさが演出され、ウォッシュト・アウトやあるいはエール・フランスなどがそうであったように、柔らかくてどこかインナーな光源を感じさせる。つまり2010年当時のインディ・ミュージックにおけるひとつのリアリティがありありと刻まれたアート・ワークだ。たとえばチルウェイヴやバレアリックという呼称とともに、たとえばベッドルーム・ポップという概念とともに、われわれはローファイでリヴァービーな音像や、ロング・トーンのヴォーカルや、気だるげなサマー・ブリーズ、逃避的なムード、それでいて清潔感のある曲調などを容易に思い浮かべることができるだろう......そうしたヴィジュアリティである。

 フォンデル・パークは鋭くまばゆくこのフィーリングをすくいとっていた。だがビートにおいては、より強くダンス・ミュージックとしてのシャープさを持っていたかもしれない。なにしろ〈R&S〉が送り出した新人というインパクトもあったのだ。しかしダンス・ミュージックだと呼ぶには、あまりにインディ・ロックのヴァイブをあふれさせた存在でもある。本人たちは「エレクトロ・ギター」と奇妙な呼び方をしているが、彼らのルーツがギター・ロックであることは音からも瞭然だ。こうしたあたりが、彼らの個性でもあり、またクラブ系のリスナーとインディ・ロック系のリスナーの双方を心地よく揺さぶった要素でもある。両者の混交が著しかったこの時期のシーンを象徴してもいるだろう。

E王
Vondelpark
Seabed

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 フル・アルバムとして初となる今作では、よりクリアで整理されたプロダクションが目指されるとともに、ポスト・チルウェイヴのひとつの着地点とも言えるR&B傾向が強まった。ジェイムス・ブレイクの成功もひとつの布石になっているかもしれない。スムーズで洒脱なソウル色が深まる一方で、そもそものサイケデリア(このあたりはレーベル・メイトのエジプシャン・ヒップホップとも共通する)や内向的で繊細なドリーム感といった持ち味も失われておらず、さらにシー・アンド・ケイク的なリリカルなポスト・ロックまで加わっている。時間とともに、方法も掘り下げられたようだ。

今作のキーワードは「アンダー・ウォーター」。陽気に浮かれ騒ぐヴァカンスではなく、水底から眺めるヴァカンス......どこか隔絶感があって、どこか不随意で、しかしどこか安心するようなうす碧い空間を思わせる。デビューから3年をへて彼らが着地しようとしている地平は、どのような場所なのだろうか?

エフェクトを付け足すのをやめるタイミングをどこかで見極めて、ピュアでミニマルな手法でいきたかった。(ルイス)

2010年の『サウナEP』から時間を経て、今作はサウンド的にとてもソフィスティケートされたという印象があります。しかし、あのEPのカジュアルなプロダクションも、チルウェイヴなどに象徴的だった当時のムードをとてもよく表していて魅力的です。いまからみて、あの当時のフォンデルパークの音はどのように感じられますか?

マット:曲を作るときに感じていた感情とかがベースになっているから、僕たちが年を重ねるごとに音楽も進化してきていると思うよ。前回から2年も経っているから、あの頃のプライヴェートの状況や心境にも変化はあったし、音楽を聴いていると当時の心境を表していると思う。

アレックス:あの頃からミュージシャンとして腕も上がったし、ここ数年間でもっとクリーンな音を出せるようになったと思う。次の作品ではファーストEPのような制作手法に、家でレコーディングしたり「生」のサウンドにこだわったプロダクションで、ルーツに戻ろうかと話し合っているところだよ。

『サウナEP』や『NYCスタッフ・アンド・NYCバッグスEP』など、その頃の音がアルバムとしてまとめられていないのはなぜなんでしょう?

マット:どうしてかなぁ? でも"カリフォルニア"の新ヴァージョンをこのアルバムに入れたのもそんなことを考えていたからかもしれない。EPを作った頃はいつかアルバムにしようなんて思っていなかったし、レコーディングした当時のフィーリングはそのままの形でもいいと思うんだ。これからもまたEPを出すと思うよ。

今作はセルフ・プロデュースなのですか? また、今作の録音について重視したことを教えてください。

ルイス:他の人にプロダクションを手伝ってもらったところもあったけど、最初から最後まで立ち会って関わっていたよ。家にある機材じゃできないミックスをしたりコンプレッサーを使ったり、生収録した音楽にテープや機材でエフェクトをかけたりする作業はスタジオでやった。でも、プラグインをあれこれ使いたくなかったからあんな感じのアナログ・サウンドができたんだ。エフェクトを付け足すのをやめるタイミングをどこかで見極めて、ピュアでミニマルな手法でいきたかった。
 今回のアルバムではヴォーカルやドラム収録のためにスタジオにいる時間がいままででいちばん長かったね。スタジオ作業っていうのもおもしろかったけど、自分の部屋、自分の空間にいた方がもっとうまく表現できる気がするんだ。自分の猫とかテレビとかハーブ・ティー(最近はカフェインを控えるようにしていて、ペパーミント・ティーにハマっている)とか、自分が好きなものに囲まれている方が落ち着くし、インスピレーションもスタジオにいるときより浮かびやすい。スタジオはレコーディングをしなきゃいけないから行く場所だけど、自分の部屋でやると、音楽が生活の一部と感じられるから、そっちの方が好きだ。

スタジオ作業っていうのもおもしろかったけど、自分の部屋、自分の空間にいた方がもっとうまく表現できる気がするんだ。自分の猫とかテレビとかハーブ・ティーとか、自分が好きなものに囲まれている方が落ち着くし。(ルイス)

クリアなプロダクションを得たことで、今作はドラミングがものすごく生きているように思います。〈R&S〉というテクノの名門が、あなたがたやエジプシャン・ヒップホップのようなバンド・アンサンブルを重要視するのはなぜだと思いますか?

アレックス:たぶん、ちょうどその頃、いままで中心的だった音楽とは違う、新しいスタイルの音楽を探していたんだと思うよ。僕たちは当時はバンドっていうより、3人集まったプロダクションとして音楽を作っていた感じだったんだ。テクノよりチルアウト要素が強い音楽も扱ってみたいと思っていたんだろうね。

実際に、2ステップや90年代のUKガラージ、R&Bのマナー、またポスト・ダブステップやポスト・チルウェイヴ的なムードをバンド編成でやってしまうところはフォンデルパークのとてもユニークなところでもあると思います。あなたがた自身ではこのフォーマットで活動することについてどのような思いがありますか?

アレックス:ドラムマシンでビートを数時間流しっぱなしにして3人でジャミングしながら音楽をつくり上げるのはすごく気持ちのいいことだよ。それぞれの音楽を各自の趣味で作ることもあるけど、3人で集まるときの音楽スタイルとはぜんぜん違うんだよな。3人で集まらないとフォンデルパークのような音楽、チルアウトでエレクトロ・ギターっぽい音楽は作れないんだ。

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5年ぐらい前に『ザ・ワールド・オブ・アーサー・ラッセル』を聴いてハマったんだ。自伝も読んだし、フィリップ・グラスや〈ザ・キッチン〉にも興味を持った。南ロンドンの仲間たちと同じようなコミュニティを作りたいと思って。(ルイス)

E王
Vondelpark
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HAPPAはどのように知ったのですか? リミックスを依頼した経緯を教えてください。

ルイス:彼がフォー・テットの曲をリミックスしたのを聴いてコイツすごいなって思ったのが最初かな。インダストリアルな感じがいいなと思ったんだ。まだあんな若さなのにすごいよな。彼なら"ドラキュラ"をいい感じにハードにリミックスしくれそうだと思ってアプローチしたんだ。もともとダークな要素が強いトラックだけど、さらにダークなエッジを効かせてくれた。

"カリフォルニア・アナログ・ドリーム"はヴァージョンを変えて収録されていますが、これもやはり非常にサウンドに磨きがかかっています。逆に、元のヴァージョンから失われたものがあると思いますか?

マット:失われたもの、と考えたことはないよ。昔レコーディングした音楽は当時のフィーリングのまま残してもいいと思うけど、あの頃といまでは僕達の状況や心境がまったく違う。その変化を表すためにアレンジしてみたくなったんだ。僕はどっちも好きだな。感じはまったく違うけど、どっちもいいと思うな。

犬や海のフォトグラフにくらべて、今作のジャケットは抽象度が上がったように思います。それはテーマとするものやフィーリングの変化と関係がありますか?


アレックス:知り合いのふたりのデザイナーにやってもらったんだ。写真にイラストを混ぜ込んだら水中に漂うカモメのような感じになって、ちょっとマンガっぽいでしょ? タイトルも『シーベッド』だし、ここでもやっぱり「アンダーウォーター」がキーワードだよね。

アーサー・ラッセルを聴きはじめたのはいつごろですか? ここ数年ちょっとした再評価の機運があったと思いますが、彼についてはどう思いますか?

ルイス:5年ぐらい前に『ザ・ワールド・オブ・アーサー・ラッセル』を聴いてハマったんだ。彼の自伝も読んだし、フィリップ・グラスや〈ザ・キッチン〉も70年代のニューヨークの様子をもっと知るうちに興味を持ったんだ。南ロンドンの仲間たちと同じようなコミュニティを作りたいと思って、ミュージシャンやヴィジュアル・アーティストとつながるためにイヴェントを企画しだしたんだ。友人同士で〈スライム・ミュージック〉のウィル・アーチャーやバリオン(Bullion)とか、ヴィジュアル・アーティストのハンナ・ペリーとか、いっしょにレコード回したりパーティできる仲間たちとつながって、コラボや作品制作につながるようなコミュニティをはじめたのも、アーサー・ラッセルに感化されたからなんだ。

今回のアルバムは「水中を横泳ぎするような音楽(Underwater sideways music)」って自分たちは呼んでいる(笑)。(アレックス)

2009年当時、ウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワ、あるいはよりギターや生音でのアプローチがあるビーチ・ハウスなどをどのように聴いていましたか?

アレックス:ああ、あの頃は彼らの大ファンだったよ。影響もたしかにあったと思う。トロ・イ・モワの新作もすごく好きだよ。LAの太陽とビーチを連想させる音楽に惹かれるんだろうね。こっちはあまり太陽に恵まれないから(笑)。

あなたがたの音楽は美しくポジティヴな逃避先をわれわれに与えてくれますが、実際にベッドルーム・ミュージックやドリーム・ポップというふうに呼ばれることはどう感じますか?

アレックス:たしかにそうだと思うよ。今回のアルバムは「水中を横泳ぎするような音楽(Underwater sideways music)」って自分たちは呼んでいる(笑)。ジャケット・デザインにも表現されているけど、水中をゆっくり漂うような、そんなフィーリングのチルアウトでエレクトロ・ギターっぽい音楽だと思う。

あなたがたはどこに生まれて育ったのですか? 地元に活発な音楽シーンはありましたか? また、あなたがたの音楽活動はそうしたシーンと深く関係するものでしたか?

ルイス:僕たちはロンドン南部育ちで、12歳頃からいっしょに音楽を作ってきた。学校もいっしょだったし、長い付き合いなんだよ。家のガレージをスタジオに仕立ててジャムするのが10代のエネルギー発散方法だったんだ。周りの同級生はスケボーの方にハマっていたけどね。3,4年前にロンドンに移ってからミュージシャンやアーティスト達とのつながりがいっきに増えて、いまはすごくいいコミュニティに入っているよ。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの新譜がリリースされて、UKでもかなりの話題になっていますが、あなたがたの世代にとって、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやこの新作はどのように受けとめられているのでしょう? またシューゲイザーの持つサイケデリアやメンタリティは、あなたがたの音楽とも共鳴するところがあるように思いますが、どうでしょう?


アレックス:ああ、MVBももっと若いころ聴いていたし、ああいう音楽は大好きだ。来週MVBのショーに行くのが楽しみだよ。MBVの最近出たアルバムもすごく気に入っているしね。前はマイ・ブラッディ・バレンタイン、ジーザス・アンド・メリー・チェインやジョイ・ディヴィジョンのようなギター・ミュージックをよく聴いていたけど、最近はR&Bとかもよく聴いている。あの頃はR&Bとかは自分たちと接点が感じられない音楽だったかもしれないけど、いまではMVBなんかより自分たちがやっていることとの接点が感じられるようになったんだ。

Drexciya - ele-king

 最後の嵐がこの地上から去って10年。奴隷船から落とされた母親たちの子孫、ドレクシア。この不気味な音楽はいまもなお、海底で鳴り響き、地上への抗戦を続けている。
 オランダの〈Clone Classic Cuts〉からリリースされた、ドレクシアのベスト盤「ジャーニー・オブ・ザ・ディープ・シー・ドウェラー(深海居住人の旅)」シリーズ3部作が、去る1月に完結した。
 第1弾『Journey Of The Deep Sea Dweller I』がリリースされたのが2011年、翌2012年に第2弾、そして2013年で第3弾。当初は、選ばれた曲が年代別に並び3枚に分けられるのかと勝手に思っていた。しかし、この3部作では、また新しいドレクシアのファンタジーを見せた。

 第1弾『Journey Of The Deep Sea Dweller I』は、とにかく不吉だった。それはあまりにも、暗く、怒気に満ちた音の集合体だった。我々が抱いている「ドレクシア」のイメージに近い選曲となっている。不朽の名曲"Wave jumper"や"Aquarazorda"(1995「Aquatic Invasion」収録)、"Beyond theAbyss"(1993「DREXCIYA2:Babble Metropolis」収録)では乾ききった稲光に打たれた。歌モノ"Take your mind"(1994年「DREXCIYA4:The Unknown Aquazone-Doble Aquapak」)も選曲されているが、ポップとは真逆な音がそこにある。
 
 第2弾『Journey Of The Deep Sea Dweller II 』には、デトロイト・サブマージの実店舗でしか購入できなかった、(オークションで数万円で取引されている)「SomeWhere in Detroi」から"Hi-tide"が収録されている。ほかに、低音を地の底から感じるような"Anti Vapour Waves"(1993「DREXCIYA3: Molecular Enhancement」)、ファンキーなトライバル"AquaJujidsu"(1994「DREXCIYA4:The Unknown Aquazone-Doble Aquapak」)、そして、コンピレーション・アルバム『True People:The Detroit Techno Album』でしか聴けなかった"DaveyJones Locker"も収録されている。

 第3弾『Journey Of The Deep Sea Dweller III』は、1992~1997年の〈UR〉〈Submerge〉〈Shock wave Records〉からリリースしたものを中心に選曲されている。「DREXCIYA3: Molecular Enhancement」収録の、傑作"Intensified Magnetron"、殺伐としたベースの上に海面を漂うような女性ヴォーカルが入った"Flying Fish"、"The Countdown Has Begun"(「Aquatic Invasion」収録)は、気味の悪いボコーダーの声が不安を助長させる。"Vanpire Island"はいまにも暗闇のなかからベラ・ルゴシが不敵な笑みを浮かべて現れそうだ。未発表曲の"Unknown Journey IV"は駆け抜けるリズムにファンファーレのようなメロディが絡む。あたかも、希望に満ちた世界の幕開けのように。

 ジェームス・スティンソンは、亡くなる前のインタヴューで、「たとえ自分が死んだとしても、俺が作ったたくさんの音楽は残るのさ。未発表曲もあるんだ!」と言っている。その通り、3部作のすべてに未発表曲が入っている。こうやって、リスペクトがある人たちの手によって新しいドレクシアを聴けることは、本当に素晴らしいことだ。
 ドレクシアのテーマは海──水はもっともこの地球上でパワフルな物質だとドレクシアは語っている。さまざまな特性があり、どんな形にもなり、どんな質感にもなる。生物の源、人類を作り出すスープ──。

 〈WARP〉からのエレクトロイド、〈Rephlex〉からのトランスリュージョン、そして〈WARP〉からのジ・アザー・ピープル・プレイス......などなど彼には他にもいろいろな名義での作品がある。デトロイトから届けられたこの音に身体ごと浸ると、暗闇を手探りで歩いるような、その先に未来があるような、そんな気持ちにさせられる。彼らの音がクラフトワークやサイボトロンによって形成されている──ということも強く感じられる。

 昨年、ジェラルド・ドナルドはDJスティングレーと一緒にNRSB-11という名義でリリースをしている。1枚リリースしただけで、その後の動きは見えないが、この作品によって、また今後のデトロイト・エレクトロへの期待が高まってしまった。日本では(かなり)アンダーグラウンドな人気だけれど、ヨーロッパでは当時から広く評価されている。エイフェックスツインがドレクシアをリスペクトしているのは有名な話だが、最近で言えば、スリープアーカイブやマーティン、Fine 〈Kontra-Music〉もフェイヴァリットとしてドレクシアをあげている。アンディ・ストットの音の破片はドレクシアやセオパリッシュをも彷彿とさせ、ミニマルやダブステップなどの現在進行形の音にもドレクシアの成分がちりばめられている。

 リアルタイムで、この音を聞くことができなかった世代には、これが感情のある音で紡がれた最高のメッセージだと思って、この機会に是非聞いてもらいたい。ドレクシアの音はDJユース向きじゃないとよく耳にするが、たしかにこれがかかった途端、フロアには黒い幕が落とされて、すべての幸せな空気を闇に変えてしまう。しかし、これがもっともリアルで、ハードなデトロイト・テクノなのだ。

 オリジナル作品の強烈な個性がいまもなお語り継がれ、それぞれの思いが入り交じるような重圧のなかで、丁寧にリマスタリングをし、リリースしてくれたクローンにも心から感謝したい。

Fla$hBackS - ele-king

REFUGEE MARKETの空気感 文:巻紗葉 a.k.a. KEY

Fla$hBackS
FL$8KS

FL$Nation & Cracks Brothers.Co,Ltd

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 わたしがFebb a.k.a. Young Masonの存在を知ったのは、確か2年前に池袋bedで行われたREFUGEE MARKETだった。中は相変わらずの盛況ぶりで人ごみが苦手なわたしは友人とともに、入口の前でおしゃべりをしていた。そのとき、Febbというまだ非常に若いがラップもトラックも作る少年がいるということを教えてもらった。じつはそのときにKID FRESINOの話も聞いていたが、友人は彼を本名の名字で読んでいたため、つい最近までその人物がKID FRESINOであるということを知らなかった。

 日本においては縮小の一途を辿るヒップホップ業界だが、まだ20歳にも満たない少年たちがトラックメイキングやラップをしているという事実が単純に面白かったので、彼らの存在はずっと頭の片隅に残っていた。そして昨年が終わろうとしている頃、FebbがjjjとKID FRESINOとともにFla$hBackSというグループを結成し、『FL$8KS』というアルバムをリリースするということで早速音源を入手した。一聴してなるほど、わたしが彼らの存在をどこでもないREFUGEE MARKETで知ったのはある種の必然であったんだな、と気付いた。ソウルフルなネタ使いをベースにゆったりとした横揺れの"Fla$hBackS"や、ブラックスプロイテーションを想起させるファンキーな"2014"など、そこから感じさせられるのは前述のREFUGEE MARKETの空気感だった。もっと言えば、ISSUGI、Mr.PUG、仙人掌、16FlipからなるMONJUなのだ。もちろん彼らがMONJUの猿真似であるということではなく、Fla$hBackSはDOWN NORTH CAMPのクルーがREFUGEE MARKETという現場を通じて行ってきた良質なヒップホップの根を絶やさない活動から産まれたひとつの成果であるということだ。

 アメリカン・ハードロックを思わせるギター・ソロをユニークな感覚で切り取り、アッパーなブラック・ミュージックに組み替えてしまった"Cowboy"(タイトルも人を舐めているような不敵さがあっていい)などから感じさせるセンスは、彼らがただフレッシュであるだけで注目されているわけではないことの証明だろう。

 ただひとつだけ苦言を述べるのであれば、それはパンチラインの少なさかもしれない。このアルバムを象徴するような力強いワンパンチがあれば、この作品の価値はさらに上がったことだろう。しかしそれも彼らの年齢を考えれば、まだまだ心配するようなことでもない気もするが。本作とISSUGIの大傑作アルバム『EARR』と聴き比べるのも面白いかもしれない。


文:巻紗葉 a.k.a. KEY

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ラップの根源的な快楽へ 文:中里 友

Fla$hBackS
FL$8KS

FL$Nation & Cracks Brothers.Co,Ltd

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 ミックステープ『1999』がブレイク・ポイントとなったJoey Bada$$をはじめ、彼が率いるPRO ERAのクルー、Schoolboy QやKendrick Lamarも所属するBlack Hippy、〈Brainfeeder〉と契約を果たし、ミクステ『Indigoism』も好評のThe Underachiever、それにFlatbush Zombies、レイダー・クラン......ジャンル内で多様化が進むなか、いま列記した連中の作る曲は質感としては粗野で生々しく、つんのめった初期衝動的な高揚感がある。それが「90年代的」と評されるのも納得いく話だと思う。こうした90年代をリヴァイヴァルせんとする機運を多くの人が感じているとは思うが、トレンドというよりむしろ、90年代に幼年を過ごした少年たちがロールモデルに選んだのが、若かりし頃のNasであり、2Pacであるかのような、そういった印象を受ける。サウンドをとってみれば、ここ日本でも同様の現象は起きている。

 2月にリリースされたライムスターの最新作『ダーティー・サイエンス』は、DJ JIN曰くジェレマイア・ジェミーのサウンドに影響を受けたという。そこから、80年後期~90年代前半のハードなローファイ・サウンドのトラックに対比して、よりアップデートした「いま」のラップを乗せるというアルバムのコンセプトが生まれたのだが、イリシット・ツボイの貢献により、よりカオティックで荒々しい印象を持たせることに成功している。去年からOMSBやsoakubeatsの作品など、示し合せたようにラフで攻撃的なラップものが続くなか、ようやくのフィジカル・リリースを果たしたFla$hBackSは少し趣きが違っていた。腰を落ち着けたリズムをとりながら、ひたすらクールで散文的にカットアップされたリリック、それに煌びやかなトラック......瑞々しい若さによって彼らは別の道筋で90年代を再解釈、アップデートしてみせた。コンセプチュアルで計算された作品のなか、息せき切ったような早いBPMで、言葉にエモーションを込めるライムスターとは、まるで対照的だった。

 そういえば、「90年代生まれによる90年代再解釈の......」と野田努が評する通り、いつかクラブで会ったとき、Febbは、1994年生まれの彼は90年代の音楽に対する憧憬をはっきりと語ってくれた。TETRAD THE GANG OF FOURのメンバーであるSPERBと共にCrack Brothersなる不定ユニットでも活動する彼は、16歳でGOLD FINGER'S KITCHENのMPC BATTLEの本戦でベスト4へすすむトラック・センスを持つ。しかし、個人的にはなんといっても、彼のラップを素晴らしいと思う。Crack Brothersの音源の他、Black SwanコンピやBCDMGでの客演でも彼のラップが聴けるので、興味がある方は是非チェックしてほしい。どっしりと胴を据えながら、B.D.やNIPPSのように、ゴロ合わせのようにはめていくラップ。それはときに連想ゲームのようにイマジネーティヴな単語の連なりであったり、ときには刺激的なパンチラインとしてするりと耳に入ってくる。そうした(勿論痛快でカッコいい)ラップが、ともすれば「ドープ」だとか「玄人好み」という言葉に回収されてしまいそうになってしまうところを、より開かれた音楽としてメロウに、そして時にロマンチックでフレッシュなものにしているのは、Fla$hBackSの音楽性の形成に大きく寄与したjjjのトラックのおかげだろう。声ネタを多用したソウルフルで華やかな上モノ、緩急入れた力強いビートはインスト物として聴いても十分に楽しめるほど。彼の作品集『ggg』はもちろん、個性派ラッパーとしていま注目のあべともなりに提供している楽曲"ヨルナンデス"は、彼の独特のタイム感や野性的な一面をうまく引き出した素晴らしいトラック・ワークだ。そしてFla$hBackS第3の男、KID FRESINOもトラック・メイキングとDJの他に、ラップをはじめたということで(アルバムが早くも4月3日に〈Down North Camp〉からリリース予定)、Fla$hBackS本隊にどんな作用が起きるか、いまから楽しみでしかたない。

 そして、もうひとつ。Fla$hBackSを聴いてヤラれてしまったポイントがある。それは歌詞の合間、もしくはイントロ・アウトロに挿入される相づちや掛け声、シャウトアウトなど、おそらくは彼らのリリック・ノートにも記されていない言葉のカッコよさだ。人によっては拍を取ったり、ラップを入れる前のチューニング感覚に近い。
 もっと言うとそれは、単なる「ノリ」で発せられることが大きいのだけれど、なんといっても、その「ノリ」がとても重要だ。何故なら、自然と発せられたそうした言葉こそが、何より彼らの特別なセンスを表すものでもある。相方がラップしている
 裏で、好きにスピットする言葉が曲に躍動感を吹き込み、新たな情報を加える。決して雑な印象はなく、むしろそれが聴いていて、とても気持ち良いのだ。Febbが時折入れる「A-ha」はとてもチャーミングだし、jjjの名前ひとつとっても、音が楽しい。何を言っているかはさして重要ではなく、彼らが発せざるを得なかった言葉が持つ響きが、ジャストなスパイスとして効いている。

 Down North CampやBlack Smokerの関連諸作等々、歌詞カードを掲載しないアーティストたちに共通しているのは、言葉の持つ意味性に囚われすぎず、音として純粋に楽しんでほしいという気持ちの表れであることは明らかだ。だがそれ以上に、彼らが純粋培養し、大切にしてきた仲間内の独特のノリを感じとってほしいがためなのかもしれない。総じてゆるいBPMであることも、個々の自由なノリを重視すればこそだと思えば、合点がいく。もしかしたら、彼らは90年代なものに回帰しているのではなくて、ラップをすることの、ヒップホップをやることの、根源的な快楽へと立ち返っているのかもしれない。付け加えていうなら、それは遊び心溢れる実験性への道でもあるはずだ。いま、何度かの最盛期を迎えているこの音楽が、また新たなステージに向かっているように感じられてならない。


文:中里 友

D.J.Fulltono (Booty Tune) - ele-king

D.J.Fulltono (Booty Tune)
https://bootytune.com

NEXT PARTY: 4/5 "UNDERMINE" at club METRO (京都)

2013 MARCH JUKE & GHETTOTECH TOP10


1
Traxman / Zone / Fresh Moon Records
https://freshmoon.bandcamp.com/album/freshmoon-presents-808k-v-1
 トラックスマンと聞いて「Footwork On Air」みたいなの期待した人、ごめんなさい。でもすぐに快感に変わるのでそのままお付き合いください。音を分析するまでもなく、ノイズ、キック、スネア。その3つの音しか鳴ってない。リズムにほんのり施されたリバーブがアシッドハウス全盛期のTRAXレコーズを髣髴とさせる。間違いなくキラーチューン。早くプレイしたい!

2
DJ Taye / Just Coolin' / DJ Taye
https://djtaye.bandcamp.com/album/just-coolin
 シカゴの若手ホープDJ Tayeのフルアルバム。16ビートと3連符の交差の中で起こる体感スピードのコントロールが絶妙。僕のお気に入りは12曲目「Roll Up」。ロール・アップって言葉だけで色々表現してます。ボイスサンプリングがクドいなんてもう誰にも言わせない。CDもリリースされたとのことなので日本のショップにも並ぶことを期待。レーベル名は「DJ Taye」。弱冠18歳の若者が1人で全部こなす。1人1レーベル時代の到来です。

3
Hayato6go / Promised Land EP / Booty Tune
https://bootytune.bandcamp.com/album/promised-land-ep
 自分のレーベルでスミマセン。でも素晴らしいんですこのEP。静岡の隼人6号が手掛ける、ジュークとジャングルの融合。筋金入りのジャングリストの彼だからできるハイブリッドな世界観を、今後拡大しえるヨーロッパのジュークシーンにぶち込みたいと思っています。

4
K. Locke / 数十曲 / Promo
 シカゴから凄いプロモが送られて来た。GETO DJ'Zというクルーに所属する若手K. Lockeは、先輩のTraxmanから学んだ打ち込みスキルとDJ Spinnのようなスムースなネタ使い感を兼ね揃えたトラックメイカー。今後注目を浴びること間違いなし。間もなくお披露目できると思いますので、名前だけでも覚えといてください。

5
Boogie Mann / Yokohama Midnight Footworkin' EP / Shinkaron
https://shinkaron.bandcamp.com/album/yokohama-midnight-footworkin-ep
 横浜のBoogie Mannことタカミチ・ヒロイは、神奈川の若いジュークトラックメイカーが集うShinkaronというレーベルに所属。昨年末にファーストEPをリリース。中でも「Take Me Back」で見せるスネアとネタの畳み掛けるビートが最高。ファーストにしてこのクオリティー。マジかよ。期待を込めてランクイン。

6
DJ Avery76 / In Side The Tribe EP / Booty Tune
https://bootytune.bandcamp.com/album/inside-the-tribe-ep
 シカゴのTRIBEというクルーは、ユーチューブを通じていち早くフットワークダンスを日本のファンに教えてくれました。その熱意&ボスのラシャド・ハリスの猛烈な押しに負けて、クルーのトラックメイカー筆頭であるAvery76のEPを我々のBooty Tuneからリリースしました。彼のトラック全般に漂うミッドなテーストは、ジューク=速くて忙しい音楽、という先入観がある人にこそ聴いて欲しい音です。

7
Typhonic / Call Of The Booty EP / Booty Call
https://www.junodownload.com/products/
typhonic-call-of-the-booty/2144982-02/

 シカゴ・ジュークだけじゃなくもちろんデトロイト・ジット(ゲットーテック)もチェックしてますよ。オーストラリアを代表するゲットーテックトラックメイカーTyphonicがフランスのBooty Callからリリース。オススメは4曲目「Early」。彼のお得意デトロイトテーストなシンセリフで疾走するゲットーテック。本場デトロイトではリリースが止まっちゃってるけど、ゲットーテックは死なない。

8
CRZKNY / Lost/Sadnes / Dubliminal Bounce
https://dubliminalbounce.com/?p=464
 先日、ファーストアルバムとリリースパーティー「Shin-Juke」にて鮮烈なデビューを飾ったクレイジーケニー。そのアルバムの16曲目に収録されたこの曲。凶悪なベースサウンドから湧き出た甘いネタ使いがめちゃくちゃ好きなんだよねー。ヤンキーに優しくされてキュンとする女の子ってこういう気持ちなのかなあ。あー書いてたらむかついてきた。

9
Jalen / Digital Juke EP / Juke Underground
https://jukeunderground.bandcamp.com/album/digital-juke-ep
 シカゴのトラックメイカーは若い。彼は17歳。とにかく元気なジューク満載。でもネタ使いがやたらおっさんっぽいんだよね。たまらなくツボ。4曲目「Hero」で爆笑しました。でタイトルが「デジタルジューク」テキトー。でもこれこそがシカゴ。彼のトラックは最近、高確率でプレイしてます。なんせ分かりやすい。

10
PUNPEE / Bad habit Beat by Satanicpornocultshop / 160OR80
https://160or80.bandcamp.com/
 ラップ無しのサタポのオリジナルトラック「Battle Creek Brawl」が先にリリースされてて、その曲が大好きでずっと聴いてましたが、アルバム「160OR80」ではその曲にPUNPEEのラップがモダンなネタに隠れた、ストップ&ゴーを繰り返すフットワークビートを確実に捕らえることで、未知なるグルーヴを放っています。PUNPEE氏に圧巻です。

Chart - JET SET 2013.03.18 - ele-king

Shop Chart


1

Rhye - Woman (Republic)
話題沸騰の西海岸シンセR&bデュオによるデビュー・アルバム!

2

My Bloody Valentine - M B V (My Bloody Valentine)
アイルランドが誇る孤高のシューゲイザー・バンド。『Loveless』以来となる3枚目のフル・アルバム!

3

Albinos - Ritual House Vol.1 (Antinote)
Albinosなるミステリアス・プロデューサー手掛けるローファイ・トライバル・トラックス全4楽曲を収録した注目作!

4

Badbadnotgood - Flashing Lights (Innovative Leisure)
Tyler, The Creatorとの共演でも注目されるトロントのオルタナティヴ・ジャズ・トリオ。昨年フリーdl公開されていたセカンド・アルバムからの2曲収録した重量盤12インチ!!

5

Xx - Pearson Sound / John Talabot & Pional Remixes (Young Turks)
John Talabot & Pional Blinded、Pearson Soundによるリミックスをカップリングした限定盤!!

6

Rocketnumbernine And Four Tet - Roseland (Text)
主宰Four Tetに見出されたレフトフィールド・ミニマル・デュオRocketnumbernineと主宰によるジャズっ気たっぷりの濃厚コラボ2トラックスが限定リリース!

7

Prins Thomas - Italia Uno Ep (Hell Yeah!)
人気シリーズ"Balearic Gabba"でお馴染みのイタリア"Hell Yeah!"にPrins Thomasが参戦!

8

Lions - This Generation (Stones Throw)
Breakestra、Orgon、Connie Price & The Kay Stonesなどのメンバーが集った7人組ルーツ・レゲエ~ダブ~ファンク・ジャム・バンドLions。Stones Throwから豪華Boxセットが登場です!

9

William Adamson - Under An East Coast Moon - Discomix Versions (Brownswood)
Cd/Dlでリリース済みのアルバム『Under An East Coast Moon』収録曲のヴァージョン違い4曲と未収録1曲を収めた12インチ。オリジナル全曲のDlコード付き!!

10

Boe & Zak - Rudy Ep (Editainment)
数々の良作を送り出す名門として抜群の知名度を誇る"Editainment"から登場となる新たなる刺客、Boe & Zakなるユニットによるフロア・キラー作品!

Gnawa Diffusion - ele-king

 日出ずる国から、"日の没するところ(マグレブ)"に想いを馳せてみる。最果ての地に抱く異国趣味じゃなくて、ただ、地球がそれほどデカくない球体だってことを確認するために。このフランスのバンドがアラビア語で歌う〈アラブの春〉賛歌を東京で流し、それが、スギ花粉やら何やらよからぬものが舞うこの大気にフィットする快感の中に、それを確認するのだ。目を閉じれば、瞼の裏で火器の咆哮が轟き、抵抗の怒号が聞こえる。巻き上がるつちけむりの中に、催涙ガスと発煙筒とキフ(ハシシ)の匂いがする。
 実際に起きていることは違っても、球体の表面は繋がっている。グローバリゼイション。強きを助け、弱きをくじく同じ悪事もまた、この球体を覆い尽くしている──福島を、霞が関/永田町を、高江/辺野古を、ワシントン、ウォール街を、パリを、アルジェ、チュニス、中東を......。
 冴えない日常を忘れるために聴く音楽があるように、目の前の問題から目をそらさないために聴く音楽もある。それが地球の裏側から届き、そこから学び、それで踊ったり、繋がったりする。

 奴らは言う:働け、黙って身の程をわきまえろ
 身の程を知って、水を飲め
 しかし、何も望むな、文句を言うな
 やつらは僕たちを盲目にしたいのだ
 僕たちを怖がらせて、骨抜きにして
 ぼけて何も分からない麻痺状態にしてしまいたいのだ
(錆びた鋼鉄)

 ブラック・アフリカの土着ビートが、売られた黒人奴隷たちを媒介に、北アフリカにおいてイスラム神秘主義との関わりの中で独自のトランス・ミュージックに発展したグナワ。UKインディアンのタルヴィン・シンが、そのオリエンタルな血の共鳴からモロッコのスーフィー(イスラム神秘主義)音楽であるジャジューカを"エレクトロナイズ"したアプローチが既に古典化しているように、低音のフレットレス3弦楽器ゲンブリ(シンティール)と鉄アレイ型の金属製カスタネット:カルカバのコンビネイションによるミニマルな反復ビートを基底とするグナワもまた、トライバル/グローカル・ビートを取り入れた新種のトランス・ミュージックに目がない人には知られたジャンルになった。
 しかしグナワ・ディフュージョンは、その"グナワ"という言葉と演奏形態を、"イスラム神秘主義的音楽療法"としてではなく、明らかに自由と抵抗のシンボルとして掲げている。フロントマン:アマジーグ・カテブの父=アルジェリアの著名な作家カテブ・ヤシーヌは、絶対自由主義や絶対平等主義を(イスラム教国にあって特に男女同権を)公然と主張して国外追放となった。息子アマジーグは16歳で父の亡命先フランスのグルノーブルに渡り、その地でグナワ・ディフュージョンを結成するが、すなわちサハラ以南からマグレブへ拉致された黒人奴隷の抵抗、そしてアルジェリアからフランスへ逃れたエグザイルの抵抗という二重の抵抗を"グナワ"にシンボライズさせ、世界中の抵抗の民に向けて拡散(ディフュージョン)するのである。

 ビートを強調するグナワと並んでもうひとつ、特に"歌もの"曲において彼らの表現様式の核となるのがアルジェリア・スタイルのシャービ。フランスのコロニアリズムの抑圧からアルジェリア人の精神を解放するために生まれた、言うなれば世俗歌謡だ。同国独立後のシャービでは、国外追放された/亡命した異郷生活者の悲哀が歌われることも多く、その意味でシャービもまた、虐げられ、追われる者の文化だ。

 グナワ・ディフュージョンのサウンドで、それらとほぼ同等に主張されるのがレゲエ(もまた、ジャマイカに拉致された黒人奴隷の歴史に立脚している)。そして、そもそも"グナワ"という言葉が語源学的に(有史来最大の人権犯罪の被害者であるところの)"アフリカ黒人"を意味していて、黒人グループではないこのバンドのロゴの"GNAWA"の中央には、国家という枠組みや民族主義的な考え方を否定するアナキズムのシンボル"サークルA"が置かれている。これが彼らのボーダーレスな視点を何よりもシンボライズしているわけだ──これは地球規模の暴力的なトップダウン体制に対峙する、人種国籍を問わないボトムアップの抗議のグルーヴなんだと。日本でもその存在が知られるようになって久しいグナワ・ディフュージョンだが、北アフリカ・オリジンの民族音楽の系統として認識されるばかりで、そのコスモポリタニズム性から捉えられることはこれまで少なかったように思う。

 再結成を経て放たれた10年ぶりのスタジオ録音は、その聴き方を発見するのに適した、あらゆる音楽ファンの耳に開かれた間口の広い傑作だ。個人的にこれまで若干の軽佻さと違和感を感じてきたダンスホール・レゲエ(ラガ)の手法もこなれ、効果的に馴染んでいる。さらにはロックにファンクに、ジャジーな和音もスクラッチングもダブも一体化する洗練されたミクスチャー・サウンドは、雑多なファクターの寄せ集めをイメージさせるその名称よりも、徹底的に世界主義的なプロテスト・スピリットの具象としての"コスモ・ロック"とでも呼んだ方がしっくりくる。ひとつの完成された表現形態として、いよいよ強靭なのだ。

 アルバムの全貌が明らかになった時点でフランスで最も話題を呼んだのが、1950年代から移民、女性、貧困層や若者といった社会的弱者の代弁者であったアナキスト、反逆のSSWで、フランスの国民的歌手として今も愛され続けるジョルジュ・ブラッサンスの代表曲のひとつ、「オーヴェルニュ人に捧げる歌」のシャービ・カヴァーだった。フランスの典型的田舎の善良な人たちをテーマにした曲が、こぶし回りまくりのアルジェリアン・アクセントで歌われる。このカヴァー行為自体で、政治的な境界(ボーダー)の意味を考えさせてしまう。まさに天国のブラッサンスは、わが意を得たり、と膝を打っているに違いない。

 "時代の棘(Shock El Hal)"とは、すなわち世界を蝕む弱肉強食グローバリゼイション・システムの棘。サボテンは、棘を持ってそれに抵抗する市民。そしてそのそれぞれの"葉"は、世界の各大陸のようにも見える。
 さらに言えば、"shock"はアラビア語の"棘"の発音をアルファベットに転写したものだが、それは〈アラブの春〉〈オキュパイ・ウォール・ストリート〉以降の革命の与える衝撃(ショック)も示唆する。このジャケットだけでこれだけ雄弁なのだが、その中身もまったく期待を裏切らなかった。この豊潤な最新型プロテスト・アルバムを味わい尽くすには、解説と歌詞対訳が充実した日本盤が絶対いい。



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