「Not Waving」と一致するもの

Ulises Conti - ele-king

 アンビエントにつまらない作品が多いのは、無理もないことなのだ。アンビエントとは、ベーシック・チャンネルのミニマル・ダブのように、ジェフ・ミルズのハード・ミニマルのように、ラモーンズのパンクのように、アシッド・ハウスのように、誰にでもわりと簡単にそれらしい音を鳴らせるというひとつの発明でもあるので、それらしい音が氾濫する。
 そもそもアンビエントは、つまらないから面白いとも言える。つまり、すっきりしない、高揚感がない、抑揚がない、退屈である、ゆえにアンビエントにつまらない作品が多いという言い方は矛盾である……はずなのだが、やはり面白くないモノは面白くないし、しかし誰にでもそれなりのモノが作れてしまうというのは、モノ作りの観点から言えば、それだけ優秀な発明だったということでもある。

 今週末に刊行される『クラウトロック大全』の仕事をしながら、僕は部屋で久しぶりにハンス・ヨアヒム・レデリウスのアルバムを10枚ほど聴いた。そして、今年で80歳を迎えるこの老人の作品が好きだったなーと思いに耽っていたわけである。クラスター(元Cluster/現Qluster)のメンバーとして、電子大衆音楽黎明期の先達のひとりとして知られるレデリウスだが、ソロにおける彼の作風は、近年ではモダン・クラシカルと言われているもので、ピアノやオルガンの響きを活かした簡素な演奏に特徴を持っている。
 アルゼンチン音響派の新世代と言われるウリセス・コンティの新作は、実にハンス・ヨアヒム・レデリウス風である。素朴なピアノ音が活かされているし、シンプルなトーンが歌のように聴こえるところも似ている。曲にはフィールド・レコーディング(遊園地、子供たち、昆虫、バスケットボール、鐘楼の音……などの生活音)の成果が混ぜられ、他の曲ではギターが弾かれ、ときにはもうひとつピアノが重なる。あくまでシンプルな構成だ。レデリウスのように曲も長いわけではない。なにせ27曲、曲名は、“A”“B”“C”“D”……とアルファベットがコンセプトになっているらしいとのことだが、長くて3分、短ければ30秒、多くが1〜2分の曲が並んでいる。
 アルバムの題名は「ギリシャ人は、星は神が人々の話を聞くための小さな穴だと信じていた」という意味だと言う。ロマンティックだが、実際この音楽は、多分にメランコリックでありつつ、控え目にロマンティックだ。

 いまはW杯の真っ直中、コンテクストを抜きにして、「アルゼンチン」という国名すらも特別に響いてしまうかもしれない。アルゼンチンの、ボスニアヘルツェゴビナとの試合の後半は見事だったし、苦戦したイラン戦でのメッシのゴールも素晴らしかったが、そんなこととウリセス・コンティの音楽が関連づけられるわけではない。このアルバムは彼曰く「ドイツとアルゼンチンのあいだ」で生まれている。プロデューサーは、ブエノスアイレスのエレクトロニック・ミュージク・シーンにいるひとり、Ismael Pinkler(アパラットのレーベル・コンピにも参加している)。僕がレデリウスを感じたのも、酷く的外れでもなかったようだが、この作品もある意味ではつまらない音楽で、要するに、決着のつかない音楽、クライマックスや結末があってはならない音楽なのである。ゆえにクオリティの高いアンビエトであり、W杯と結びつけるわけにはいかない。


Eddi Reader
Vagabond

Reveal / ソニー・ミュージック

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 エディ・リーダーの来日公演がいよいよ間近に迫ってきた。私自身もとても楽しみにしている。5月に日本盤が発売となった5年振りのニュー・アルバム『ヴァガボンド』も(毎度のことながら)じつに素晴らしい作品だったからなおさらだ。

 エディの魅力とは何なのだろう。いつも何気な〜く聴いてしまっていて、正直なところこれまで彼女の魅力について深く考えたことがなかったけれども、第一の魅力がその歌声にあることは明白だ。無邪気な少女性と大らかな母性のちょうど中間を行く、伸びやかなその声の魅力はなにものにも代え難い。陳腐な表現だが、まさに心洗われる声だ。

 そしてもうひとつ。「何気な~く」聴いていると述べたけれど、いま思うに、その何気なく聴けてしまう感じこそが重要なのではないか。はっきり言って彼女の音楽には革新性と呼べるものはないし、刺激的とも言い難い。じゃあ保守的で退屈なのかと問われれば、断じてそんなことはなく、むしろいつも瑞々しい感動を与えてくれる。ひと言で言えば、彼女の音楽は純度100%の“グッド・ミュージック”なのである。奇をてらうことなく、ただ実直にいい歌といい曲を届けようというその姿勢は、フェアーグラウンド・アトラクション時代から現在に至るまで1ミリもブレていない。そして、そんな彼女に裏切られたことはいまのいままで一度もない。言うなれば、彼女のもうひとつの魅力とは、この上ない「安心感」だと思う。

 私だって、常日頃は刺激的な音楽を探し求めている。だが、それと同時に、何も考えずただ気持ちよく身を委ねることができ、かつ充足感を与えてくれる音楽の存在というのも非常に大切にしている。私は後者のような音楽を、最大限の敬意と愛着を込めて“障らない音楽”と勝手に呼んでいるのだが、この“障らなさ”を実践できる音楽家というのはじつはなかなかいない。いや、ただ障らないだけのイージーリスニングみたいな音楽ならそこら中に転がっているわけだが、そこに充足感までを求めるとなると、これがじつに貴重なのだ。そんな中で、エディ・リーダーは私にとって“障らない音楽”界のヒロインなのである。繰り返しになるけどこれ、めちゃくちゃ褒めてますからね。

 エディのライヴの思い出というと、私にとっては2005年のフジロックが挙げられる。当時のタイムテーブルはもうすっかり忘れてしまったし、他にも刺激的なアクトを多数観ていたはずだが、もはやその記憶も薄れてきた。だが、あのとき苗場の山に響いた彼女の歌声の清らかさだけは、鮮烈な記憶としていまも脳裏に焼き付いている。これが私にとって初の生エディ。それまでも作品は愛聴していて、その素晴らしさは十分享受しているつもりでいたが、いやいや甘かった。ステージでの彼女の歌は本当に生き生きとしていて、バンドとともに作り出すアットホームな雰囲気も最高。野外での開放感も相俟って、ラストの“パーフェクト”の大合唱ではその多幸感のあまり感極まったのを覚えている。もちろんライヴにおける彼女にもギミックなど一切ない。飾らないステージにシンプルなバンド、あとは歌だけだ。それで十分。ライヴでの彼女の魅力は、間違いなくアルバムを超えていた。

 さあ、今年もエディ・リーダーが日本にやってくる。今回はフェアーグラウンド・アトラクションでの来日時にこけら落としを行った名古屋〈クラブクアトロ〉の25周年アニバーサリー公演を含む東名阪のツアーだ。

 また、新作『ヴァガボンド』の日本盤リリースに加え、来日を記念して、フェアーグラウンド・アトラクション3作とエディの初ソロ作の計4タイトルが紙ジャケット仕様の完全生産限定盤として再発された。
(詳細 https://www.sonymusic.co.jp/artist/EddiReader/info/438207

 彼女のことだから、今回も素晴らしいステージになるのは間違いのないところだろう。そして、ひょっとしたらアニバーサリーイヤーならではのサプライズもあるかもしれない。思いっきり期待して、あとわずかに迫ったその日を待とうじゃないか。

■エディ・リーダー ジャパン・ツアー

大阪公演
6月28日(土)
Umeda CLUB QUATTRO
18:00開演
前売り¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)スマッシュウェスト06-6535-5569

名古屋公演
6月29日(日)
Nagoya CLUB QUATTRO
“Nagoya Club Quattro 25th Anniversary”
18:00開演
前売り¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)クラブクアトロ 052-264-8211

東京公演
7月1日(火)
Shibuya CLUB QUATTRO
19:30開演
前売り ¥7,000(税込/ドリンク別)
(問)スマッシュ 03-3444-6751

チケット発売中
https://smash-jpn.com/live/?id=2109

Clipping - ele-king

 気が抜けているわけでもなく、何かがみなぎっているわけでもない。緊張感はあるけれど、極限まで張り詰めてはいない。いい意味で隙があり、LA風のラフさに溢れている。いまにも倒れそうなのに、パンチだけはスルドいボクサーという感じだろうか。

 キャンプテン・エイハブとしてスラッシュ・ディスコ(?)のようなアルバムを4枚残し、スキリレックスにもヴォーカルで参加していたジョナサン・スナイプスは、マシュー・サリヴァン(『アンビエント・ディフィニティヴ』P246)とネックレイシングというノイズ・ユニットを組んでいたウイリアム・ハトスンと新たにヒップホップ・スタイルのクリッピングを09年に結成し、昨年、キューブリック・マニアを激怒させた『ルーム237』のサウンドトラックをケアテイカーらと共に手掛けた後、MCにデヴィード・ディッグスを得てデビュー・アルバム『ミッドシティ』を配信でリリース。これがハーシュ・ノイズとラップだけで構成されたような内容にもかかわらず、5ヵ月後には〈サブ・ポップ〉との契約が決まったという。

 ハーシュ・ノイズだけというのは言い過ぎだけど、ノイズないしは接触音だけでヒップホップ・ビートを構成し切ってしまうセンスはかなり耳新しいものがあり、仮りにカニエ・ウエストを(テクノでいえば)エイフェックス世代の代表格だとすると、クリッピングはアルヴァ・ノト世代ともいうべき世代の台頭と見なすことができる。徹底的にミニマルで、過剰なほどコンセプチュアル、照り返しのようなものとしてフィジカルは捉えられ、叙情性もあらかたカットされている(『マッドシティ』の“アウトロ”は空耳アワーで「テーマ、何? テーマ、何?」というループに聴こえてしまう)。しかもアナログ盤はフラッシュ音(=クリッピン・ノイズ)を使ったジョン・ケージのカヴァー“ウイリアムズ・ミックス”(59)で終わるほど、アカデミックとの境界も侵食していく(国内盤のボーナス・トラックには意表をついたようなパンク・ナンバーなども)。

 映像センスも同じくでデス・グリップスと共演しても……

 シャバズ・パレセズに続いて〈サブ・ポップ〉からは(『スター・ウォーズ』サーガを無視して)2番目のヒップホップ・アルバムとなる『 CLPPNG 』は……そう、気が抜けているわけでもなく、何かがみなぎっているわけでもない。文字通り、初期衝動は驚くほどの洗練へと向かい、ファンキーだとかグルーヴィーだと言い切れるような仕上がりでもないのに、ヒップホップの文脈には見事に落とし込まれた感がある(キング・Tやギャングスタ・ブーの客演もそれを物語っている)。ヒップホップとして変わったことをやったのではなく、変わったことをやっていたらヒップホップになったという感じに思えてしまうというか。そう、どう考えても『イーザス』よりもイーザンす。

 ノイズの霧を取り払っても、そこには同じものが残っていた。『CLPPNG』の完成度をひと言で表すなら、そういうことになるだろう。ノイズどころか“ドミノーズ”には子どもたちの合唱までフィーチャーされ、トランスを批評的に扱っているような際どいチャレンジもある。シンプルな割りに録音には8ヶ月もかかっているので、おそらくは試行錯誤に明け暮れたアウトテイクスが山と存在しているのだろう。歌詞は主にLAのやさぐれた日常を扱っているようで、先行シングルはコック・ピストル・クリーをフィーチャーした「ワーク・ワーク」。

 いまさらって感じもあるんで、飛ばしていきます。
 前回は……ビザも帰りの航空券もなかったものの、EU加盟国でないスイスに無事入国。かの地のゲストへの歓待ぶりに感心し、まだもう少しつづくはずの旅について夢想しつつ結んだのだった。ローブドア(Robedoor)のブリット・ブラウン(〈NNF〉代表)、アレックス・ブラウン(ローブドア)、マーティン(サンド・サークルズ/Sand Circles)僕の4人はチューリッヒからバーゼルへ入った。

■OCT 18th
 最初にツアー日程を確認した際に、なるほど、18日はバーゼルでデイオフなのね。観光できるのね。と浮かれてみたものの、まさかのハコの名前が〈OFF〉っつーオチでした。この日はよくも悪くもいわゆるパンク・スクワットな場所で音質はもちろん劣悪。集客もマチマチといったところで不完全燃焼であった感は否めない。翌朝にロザーン入りする前にギーガー美術館へ行こうということになり、イヴェント終了後に身内で勝手に『エイリアン』をスクリーンに上映しながら飲みはじめる。僕ら4人が『エイリアン』にエキサイトしている階下にお客さんのひとりが申し訳なさそうに降りてきて『マーチを売ってほしいんだけど……』と言われるまで完全にライヴをおこなったことを忘れていた。ちなみにこのハコっつーか、ビルに宿泊してたわけだが、シャワー風呂がなぜか台所に置いてあるフランシス・ベーコン・スタイルで家人にモロ出しだった。しかも窓際でカーテン無しなので向かいの家にもモロ出し。逆にお返しのつもりなのか、向かいのお姉ちゃんがベランダからオッパイ見せてくれました。これ、バーゼルのハイライト。

■OCT 19th


ギーガー美術館にたたずむアレックス

 ロザーン入りする前にグリュイエールのギーガー美術館へ(R.I.P.)行く。山腹にそびえ立つグリュイエール城への道のりに建立されるこの美術館はパーソナル・コレクションや併設展も含めて予想以上に見応えのあるものであった。ギーガーのイラストレーションとグリュイエールの幻想的なランドスケープが相乗する不思議な感覚には体験する価値があるとここに記しておこう。ロザーンでの衝撃はele-kingのウェブ版にも紙面にも書いてしまったのでこれ以上はクドいため割愛させていただこう。〈ル・ボーグ〉、ルフ・フェスティヴァル、エンプティセット、エンドン最高!

■OCT 20th
 ジュネーヴでこれまで同行してきたサンド・サークル(Sand Circle)のマーティンとの共演も最後となる。そして翌日から代わって同行するカンクン(Cankun)のヴィンセントとホーリー・ストレイズ(Holy Strays)のセバスチャンが合流する。ヴィンセントはモンペリエ、セバスチャンはパリを拠点にするフレンチ・ドュードだ。早速レーヌのハイ・ウルフ(High Wolf)をネタにして盛り上がる。ハイ・ウルフことマックス・プリモールトは素晴らしい。彼と時間を過ごしたことのある人間は彼をネタにせずにはいられないのだ。すべてのツアー・ミュージシャンはそうあるべきではないだろうか?


“サイケデリック・ループペダル・ガイ”、カンクンのステージ

 サンプリング・ループとギター演奏によるリアルタイム・ループで構成される初期サン・アロー以降、〈NNF〉周辺で定番化した「サイケデリック・ループペダル・ガイ」という点では、カンクンもハイ・ウルフに近いスタイルだ。しかしハイ・ウルフがクラウト・ロックをベースとしたワンマン・ジャムであるのに対し、カンクンの展開はもっとDJミックスに近い。ダンス・ミュージックとしてのグルーヴが強いのだ。〈メキシカン・サマー〉からの次回作を期待させられる演奏を披露してくれた。
 セバスチャンのホーリー・ストレイズはなんだろう……僕が聴いた初期の〈NNF〉リリースのサウンドとはだいぶ異なっていて、ラウンジっぽかったり、トリップホップっぽかったり、ジュークっぽかったり、ウィッチハウス的な雰囲気も……まぁ如何せんものすっごい若いのでいろいろやりたいのでしょう。インターネット世代のミュージシャンと少し垣根を感じる今日このごろなのです。
 アナーキスト・バー的なハコ、〈L'Ecurie〉もナイスなメシ、ナイスガイズ、ナイスPAと最高のアテンドを見せてくれた。このハコや〈ル・ボーグ〉のようにアトリエ、ギャラリー、居住スペース、パフォーマンス・スペース、バーを一か所に集約している場ってやっぱり発信力とかアテンドが圧倒的に強いと思う。


〈ル・ボーグ〉にて

■OCT 21st


BUKAのステージ

 マーティンとの別れを惜しみつつも5人編成となりミラノ入り。この日のハコの〈BUKA〉はかなりイケてた。もともと70年代に建てられた大手レコード会社(Compagnia Generale del Disco)のビル、つまりオフィス、ウェアハウス、レコーディングスタジオ、プレス工場や印刷工場が併設される巨大な建造物の廃墟なのだ。このレコード会社は80年代のイタロ・ディスコ・ブームで一世を風靡するものの倒産、88年に建物をワーナーが購入するも90年代半ばに断念、長らく放棄させられていた場所で、その一部を改築し、2012年からアート/イヴェント・スペースとして再生したのが〈BUKA〉である。一部というのは本当に一部の地上階からアクセス可能なオフィス、講堂(70年代風のレトロ・フューチャリスティックなコロッセオ型の講堂! ライヴはここでおこなった)のみで、敷地の大半は完全に打ち捨てられた状態である。もちろん電気も通っておらず、サウンドチェックを終えた僕とブリットらは懐中電灯を頼りに探索、男子たるものはいつになってもこーゆーのに心くすぐられるのである。この日のライヴはURサウンドが収録してくれたようだ。

■OCT 22nd
 この日からフランス入り、初日はモンペリエ。これまでサウンドチェックに入る際に必ずスタッフに訊ねていたことがふたつある。ひとつはDIはいくつあるのか? もうひとつは誰がネタを持っているのか? だ。フランスに入ったこの日からふたつめの問いかけに対するリアクションがあまりよろしくなかった。この日はライヴ終了後にマイクでオーディエンスに問いかけるものの単なる笑いものになってしまった。イヴェント終了後、みんなはディスコ・パーティへ向かうものの僕ひとり不貞腐れて宿に着いて寝た。ちなみにここまであんまり書いてないけどツアー中は男同士ふたりでワン・ベッドでも普通に寝れる。ツアーって恐ろしいよねーって朝起きて横で半裸で寝ているブリットを見て思った。

■OCT 23rd
 フランスのお次はトゥールーズ。前日に引きつづきライヴ・バー的な場所。この日もハコの連中は僕の要求に応じてくれず、このあたりからフランス自体にムカツキはじめるもこの日は対バンのサード(SAÅAD)が爽やかな笑顔でわけてくれた。サードはローブドアやカンクンのリリース元であるハンズ・イン・ザ・ダーク〈(Hands in the Dark)〉がプッシュするドゥーム・ゲイズっつーかダーク・アンビエントなバンドである。先日同レーベルからデビュー・アルバムであるディープ/フロート(Deep/Float)が発売されたようだ。シネマティックなダーク・アンビエント好きは要チェックだ。


ブリットとスティーヴ

 この日の僕のハイライトはシルヴェスター・アンファング(Silvester Anfang)のスティーブがたまたまライヴに遊びに来てくれていたことだ。スティーヴはフランダース発、暗黒フリーフォーク集団フューネラル・フォーク(Funeral Folk)及び現在のシルヴェスター・アンファングII(Sylvester Anfang II)の母体となったシルヴェスター・アンファングの創始者である(ややこしいんですけど改名前はサイケ・フリーフォークを主体とし、改名後はサイケ・クラウトロックを主体とする別バンドなんだ! と力説していた。そのあたりもアモン・デュールに対して超リスペクトってことなんですね)。ベルギーのエクスペリメンタル・レーベル代表格、〈クラーク(Kraak)〉のメンバーでもある彼がなぜここに? というのも嫁がトゥールーズの大学へ通っているとのことで数ヶ月前に越してきたらしい。数年前からアートワーク等を通して交流はあったものの、このようなかたちで偶然会えるとは本当にうれしかった。

■OCT 24th


ソーヌ川に浮かぶハコ〈ソニック〉

 リヨンへ到着。この日の〈ソニック〉はソーヌ川に浮かぶハコ……というか船なのだ。その昔サンフランシスコでバスの座席を全部取り外して移動式のハコにしていた連中を思い出す。リヨンの町並みは息を呑むほど美しい。ユラユラするハコも素晴らしい。ワインもおいしい。音は90db以下だったけれどもまぁまぁよかった。この日も誰もネタをわけてくれなかった。フランス人の田舎モンどもなんかファ……などとヴィンセントに悪態をつきながら床に着いた。

■OCT 25th


パリス・キッズ。

 パリへ到着。僕は今回のローブドアのヨーロッパ・ツアー最終地点であるバーミンガムの〈ブリング・ダ・ライト・フェスティヴァル〉には参加しないのでこの晩が彼らとの最後の共演となる。パリでのショウを仕切ってくれたフランチ・アレックス(アレックスはいっぱいいるので)はフランスのインディ・ミュージックのウェブジン、『ハートジン(hartzine)』のリポーターで、DIYテープ・レーベル、〈セブン・サンズ〉の主宰者でもある。フリー・スペース〈ガレージ・ミュー(Garage MU)〉でのイヴェントの集客と盛り上がりはすさまじい熱気であった。パリのキッズはイケている。今回のツアーでもっともヒップスタティックな客層であったかもしれない。カンクンもホーリー・ストレイズも最終日ということで気合いの入ったラウドのセットを披露してくれたし、ローブドアもこれまででもっとも長いセットを披露した。ネタも大量良質で感無量である。例のごとくチーズとワインとジョイントで夜が白むまで最終日を祝った。僕はパリにもう一日滞在してグスタフ・モーロウ美術館をチェックすることに決めた。パリ最高!

■OCT 26th
 ローブドアのブリット、アレックス、カンクンのヴィンセントと別れを惜しみつつも単身パリに残る。この場を借りてブリットとアレックス、マーティンにヴィンセント、セバスチャンとそして何よりプロモーターのオニトと各地でアテンドしてくれたローカル・メイトたちに心底感謝を表する。あんたら全員最高。

 パリなんかクソだ。グスタフ・モーロー美術館は改装中で閉館していた。門の前で呆然と立ちすくむ僕とブルガリアからの旅行者のじじい。ダメ元でピンポンを連打し、出てきたおばちゃんに作品あるならチョコっとでも見せて~と懇願するも鼻で笑われ門前払い。仕方なくポンピドー・センターへ向かい、クリス・マルケルの回顧上映会を見るが煮え切らず。カフェでレバノン出身のカワイ子ちゃんと談笑して癒されるもメイク・アウトできず。物価も高い。駅のジプシーウザい。パリなんかクソだ。

■OCT 27th


トゥールーズにて、夜景。

 ツアー終了とともに足が無くなったので激安長距離バス、ユーロ・ラインで友人の家へ転がりこむためパリからバルセロナへ向かう。激安なので赤ん坊が泣き叫ぶ車内で隣の席の人の体臭がゴイスーな小便クサいゴミまみれのクソバスを想像していたがンなことはなく、むしろ快適に(ワイファイ有り)移動する。途中で停車したパーキング・エリアで、トイレ休憩がいったい何分なのか、フランス語がまったくわからないので他の旅行者風の乗客に訊ねる。ようやく英語が介せるジャーマン女子がいて助かった。なになに、バルサには瞑想プログラムを受講しに行くだって? ニューエイジだね。スピってるね。次の休憩所でドリフター風のフレンチ男子に話しかける。なになに、とくに目的もなく旅行中? いい感じじゃない。え? ネタ持ってきてんの!? じゃあとりあえず巻こうよ。バスがしっとりとした闇夜の荒野を疾走していく中、僕はこの旅が終わらないことを夢想しながら眠りについた。

 無駄にドリフトはつづく……次回はバルセロナから極寒のNYへ。

Sunda (Million Last Moments) - ele-king

■Profile
ロンドン出身のSundaはここ数年、東京を拠点に2都市間を行き来しながら活動している。UKテクノとハウスを好んだミックススタイルは、アナログ機材と無駄のないハードなパーカッションが特徴的。2014年現在、すでにOneman、Kode9、Ikonika、Moodymanc、Tom Demacをはじめとする多くの海外アーティストとイヴェントで共演している。1月の主催イヴェント『Million Last Moments』ではハウス・ミュージックの大物Tom Tragoも飛び入り参加し、記憶に残るセットを披露した。
 DJ活動の他にはフリーライターとして、「The Japan Times」や「Resident Advisor」などに東京のクラブ・シーンについて原稿を寄せている。

Website: https://www.millionlastmoments.com
Twitter:https://twitter.com/mikesunda

■DJ Schedule
06.21 @ Helsinki、六本木
07.05 Kuromaku @ Trump Room、渋谷
07.12 Urban Nature @ Icon Lounge、渋谷
07.20 444-1 Tokyo @ Louver、新宿

6月TOP10チャート


1
Dark Sky - IYP - Mr. Saturday Night

2
Palms Trax - Raw Jam - Lobster Theremin

3
Call Super - Acephale II - Houndstooth

4
Asusu - Too Much Time Has Passed (Dresvn Remix) - Livity Sound

5
Sisterhood - Doublespeak - Tief Music

6
Throwing Shade - Chancer (Kowton Remix) - Happy Skull

7
NGLY - Speechless Tape - L.I.E.S.

8
Chicago Flotation Device - Untitled 5 - Chicago Flotation Device

9
Minor Science - Hapless - The Trilogy Tapes

10
Mokona - Untitled - Templar Sound

DAIKANYAMA UNIT 10th ANNIVERSARY - ele-king


BADBADNOTGOOD
III

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 代官山のユニット──DBS、OPN、デムダイク・ステア、あるいはラシャドからマーク・マッガイア等々、妥協をしないコアなブッキングで知られるハコ──が今年で10周年。そのアニヴァーサリー・イヴェントがシリーズとなって今週木曜日からはじまる。
 で、その第一弾は、今週木曜日(6/26)、トロンからの刺客、最高の殺し屋、3人組のジャズ・バンド、BADBADNOTGOOD(バッドバッドノットグッド)だ。彼らは、オッド・フューチャーのカヴァーをしたことで、タイラー・ザ・クリエイターとの共演も果たしている。ライヴでは、カニエ・ウエスト、ジェイムス・ブレイクのカヴァーを披露するそうだ。また、バンドはフランク・オーシャンのバックも務めている。先日、〈Innovative Leisure〉から新しいアルバム『III』を出したばかり。RZAやブーツィー・コリンズも賞賛するという、彼らの生演奏が日本で見れるのはもちろん今回が初めて。これは注目です!
 サポートするのはジャズ、ハウス、ファンク……、あらゆるグルーヴを吸収しながら進化する、cro-magnon。「ジャズ」というキーワードが浮上する今日、是非、この夜を体験して欲しい。

■LINE UP:
BADBADNOTGOOD
guest: cro-magnon

2014.06.26 THU

OPEN : 18:00
START : 19:00
CHARGE : 前売り 4,500yen (税込 / D別)

TICKET :
チケットぴあ0570-02-9999 [P] 233-203
>>@電子チケットぴあでチケットを購入する
ローソン [L] 70152
e+

INFO :代官山UNIT 03-5459-8630

https://www.unit-tokyo.com/


interview with Yoshida Yohei group - ele-king


吉田ヨウヘイgroup
Smart Citizen

Pヴァイン

RockJazzExperimental

Tower HMV Amazon iTunes

 喉に痛みをおぼえ医者にかかったところ逆流性食道炎のおそれがあるといわれたとき私は若さをうしなった。デュラスの『愛人(ラマン)』の「わたし」が十八歳で年老いたのに較べれば上出来といえるかいえないかわからないがともあれ、好青年が好中年になったと嘯いていたのが名実ともに中高年になったのである。さいきんライヴハウスにとんとご沙汰しているのはそのせいかもしれないと疑ったのであるが、ライヴハウスに行かなければ若手のバンドをまっさきに発見する機会もよろこびもない。

 吉田ヨウヘイgroupをはじめて知ったときも、最初私はジャズのコンボだと思った。〈ピットイン〉の昼の部から叩きあげていこうというような。はたしてそれは彼らの多様な音楽的要素の一部をとればあたらずいえども遠からずであった。バンドをはじめるにあたりラウンジ・リザーズ――この名前を聴いたのはずいぶんひさしぶりだった。というのも、過去10年、いや20年か、主流派から前衛にいたるジャズの古典(原理)回帰によってもっともあおりを食ったのはロフト・ジャズの折衷主義だったと私は思うからである――を模範にしたというだけあって、複数の因子を同居させ異化効果をうみながらそれに違和感をおぼえさせない手腕は、インディ・シーンのなかでも頭ひとつ抜けている。ロックでありジャズであり、ラウンジと室内楽の質感をもち、リーダーであり作詞作曲を一手にひきうける吉田ヨウヘイの歌唱は飾らないものだが女声コーラスが過ぎることでそれは色彩感を増す。そして和製ダーティ・プロジェクターズの異名をとるにいたったファースト『From Now On』につづく『Smart Citizen』は軋みと滲みぶくみのピアノ曲 “窓からは光が差してきた”ではじまり、フルートの前奏が吹き抜ける“ブルーヴァード”の巧緻な組織性を経て、どことなく和的な“アワーミュージック”、エキゾチックなリフレインの“新世界”など9曲を一気に駆け抜けていく。西田修大のギターはいたるところで利いており榎庸介のサックスをはじめ管は曲に厚みをもたらし、盟友・森は生きているの面々を招いた編曲/プロデュースは凝っている。サティとかキンクリとかイースタン・ユース(!)とか、かつて親しんだ音楽を彼の背後に聴くのは加齢のせいばかりとはいえないが、吉田ヨウヘイgroupの音楽は私の胃酸のように逆流性でもなく、音楽の遺産のように過去に縛られていないが、たんに未来を指向しているというほどの自我も幸福感も感傷もない。ただいまがあり音楽があるだろう。

■吉田ヨウヘイgroup
 2012年に結成、ヴォーカル&ギター、アルト・サックスを担当する吉田ヨウヘイをリーダーとするグループ。ギター、ベース、ドラムのほか、テナー・サックス、キーボード、フルート、ファゴットを兼任するメンバーを含む総勢8名の大所帯バンド。2013年に初の全国流通盤CD『From Now On』をリリース、最新作は『Smart Citizen』。吉田ヨウヘイ、西田修大、榎庸介、星力斗、池田若菜、内藤彩、高橋“TJ”恭平、reddamが参加。

とっくにやられていてもいいはずの音楽なのにフォーマットが固定化しているせいでやられていないというイメージ。それを掘りだそうという感じです。 (吉田ヨウヘイ)

私ははじめてお会いするので、バンドのなりたちから教えてください。

吉田:僕は2年前まで会社員だったんです。そのときはギターの西田くんとだけいっしょだったんですけど、音楽を真剣にやりたいと思って会社を辞めたんです。

それは思い切りましたね!

吉田:会社にも「音楽をやります」といって辞めたんです。

どんなお仕事をされていたんですか?

吉田:出版社で記者をやっていました、IT系のビジネス誌でした。

会社勤めしながらバンドをつづける選択肢はなかったんですか?

吉田:ホントに忙しいので、たとえば日曜日を空けてその日に何ヶ月前から予定を入れても、その日にトラブルの類があると仕事を優先しないとマズいので、両立するには向かない仕事でした。

西田さんは昔からの知り合い?

西田修大:僕が大学1年のころに吉田さんは大学院の2年生だったんです。そのときからかわいがってもらっていたんですけど、いっしょにバンドをやろうという話になったのは僕が大学4年のときです。

吉田ヨウヘイgroupがいまのかたちになってきたのはいつくらいですか?

吉田:メンバーは僕が会社を辞めてからひとりひとり誘っていったんです。サックスの榎も途中で入ったんですけど、僕と彼は同じ先生にサックスを習っていて、サックスがもうひとりほしいと思っていたところで仲良くなったので、声をかけたんです。

吉田さんはサックスを習いにいったということはジャズから音楽に入ったんですか?

吉田:もとはロックです。ジャズは途中からで、ちょうどONJQが出はじめた時期に好きになって、サックスをはじめたいと思ったんです。

ONJQというと10年以上前ですね。

吉田:リアルタイムではなかったので聴いたのは7~8年前で、それから2~3年してサックスをはじめたんですね。

榎さんがサックスをはじめられたのはどういうきっかけだったんです?

榎庸介:音楽を意識的に聴きはじめたのはロックからで、そこから年代をたどってビートルズにいって、ザ・フーにいってブルースにいって、最終的にジャズにいきついて演奏したいと思ったんです。ジャズをやるならフロントでサックスを吹いて、ばりばりアドリブをとりたいと思って。サックスをはじめて、大学のジャズ研でやっているうちに「やっぱり誰かに習わないとダメだ」と思って、いまの先生に習いにいったんです。

そこで吉田さんに出会った。

吉田:習いはじめたのは同じ時期で、入って3ヶ月くらいで発表会があって、榎とはそこで会ったんです。そこでしか生徒同士が会う機会はないんですね。

吉田さんはギターは以前からされていたんですよね?

吉田:ギターは中学校からずっとやっていました。

ギターとサックスはまったくちがう楽器ですよね。あまり兼任することはないと思うんですが、なぜサックスだったんですか?

吉田:ONJQを聴いたのと、ラウンジ・リザーズの3枚め(『ヴォイス・オブ・チャンク(Voice Of Chunk)』)にマーク・リボーが参加しているんですけど、それを聴いてびっくりしたんです。ジョン・ルーリーはサックス奏者ですけど、ギタリスト的な感性でサックスを操っている音楽だと思ったんです。

そうかもしれない。

吉田:バンドをやるにあたり、新しいことをやるためにはギターの新しい方法というか道筋を見つけなければいけないと思ったんですけど――

新しい方法というのは、ベイリー的な、あるいはフレッド・フリス的な、ギターという楽器をめぐる方法論の更新ということですか?

吉田:そうです。でもギタリストの感性でサックスを使ったら新しいものが見えてくるんじゃないかと思って、ラウンジ・リザーズの3枚めの音楽性を基本に考えたということと、ONJQが好きになったので、だったらサックスをがんばれるんじゃないかなということですね。

では吉田さんはギターによる作曲とサックスによる作曲、器楽ごとに作曲の方法がちがうと考えていたということですか?

吉田:そうです。ロックにはギタリストが多いしギタリスト的な感性でつくられている音楽だと、ギターをやっているからこそ思うことが多かったんです。サックス奏者のひとがロックをやろうとするのとギター奏者がサックスを演奏してロックをやるのとでは、けっこうちがうだろうなという思いがありました。

いろんな楽器を入れることで音楽の可能性の幅を広げていきたかった?

吉田:サックスとかフルートとか管でロックをやるだけでも、聴いたことがない音楽をつくるためのハードルは下がると思いました。可能性を広げるというより、とっくにやられていてもいいはずの音楽なのにフォーマットが固定化しているせいでやられていないというイメージ。それを掘りだそうという感じです。

とはいえ大所帯になるとバンドの機動力は鈍りますよね。せっかく会社辞めて動きやすくなったのに、メンバー全員に電話して予定を立てるのは大変だったんじゃないですか?

吉田:最初はぜんぜんうまくいかなかったですけど。でもけっこうまじめなひとがそろったというか、時間をともにするうちに仲良くなったというか、そういった感じだったんですね。

ほかのメンバーの方もたまたま知り会ったんですか?

吉田:ドラムの高橋(‘TJ’恭平)くんだけは以前に対バンして、憧れて声をかけたという経緯でして。事情はそれぞれちがうんですけど、ひとりひとり知り合って誘いました。

いまのメンバーにおちついたのは――

吉田:全員がそろったのは今年の1月、レコーディングの2週間前ですね。

吉田ヨウヘイgroupとリーダー名を冠したバンド名にしたのはジャズ的な習わしですか。

吉田:それもあったんですけど、仮でつけたのがそのまま残ったのが大きいです。仕事を辞めるタイミングでそれまでやっていたバンドもやめて、このバンドをたちあげたので、とりあえず名乗っておいて時期が来たら変えようと思っていたんですけど。

西田:もともとはソロでしたから。イメージ的には吉田さんがソロをやるっていうの(で)に俺がギターを弾きにいく、という感じに近かったです。

おふたりともほかのバンドにも参加しているんですか?

榎:固定して活動してるバンドはないんですけど、話が来たらやるかという感じで片足つっこんでいるバンドはいくつかあります。

西田さんは?

西田:俺はこのバンドだけですね。あとよしむらひらくのサポートをずっとやっています。

ラウンジ・リザーズの話がありましたけど、彼らのような音楽をやろうと思っていたわけではないですよね?

吉田:でもそんな感じでしたよ。

西田:あったね。

彼らは80年代のロフト・ジャズのバンドで、いまの20代にはうけなさそうな気がするんですが。

吉田:3枚めが好きなのはめずらしいかもしれませんが、ファースト(『ザ・ラウンジ・リザーズ』)なんかだと菊地(成孔)さんをはじめ、ディスクガイドでよく紹介されていることもあって、わりと知られてると思います。ファーストはけっこうジャズだと思うので、僕らはあそこまでのものは想定していなかったですが、3枚めのジャズかロックかどっちかわからない感は想定していました。

ほかになにか参考にしたレコードなりミュージシャンなり、あげていただけますか。

吉田:僕はダーティ・プロジェクターズがすごく好きなんですよ。ザ・ナショナルとかベイルートとか、ブルックリンのバンドには好きなのが多いですね。

西田:僕はバトルズ、レッチリ、レッド・ツェッペリンですね。

名前を聞くだけでオナカいっぱいというか食い合わせが悪そうですが。

西田:好きな音楽はいっぱいあるんですけど、とくにそれらが好きなのはアンサンブルがいけているところです。

レッチリもそうなんですね。

西田:はい。あのアンサンブルはやはりノリのおもしろさだと思うんです。ジョン・フルシアンテはハネていないけどチャド(・スミス)はハネているとか。単純な熱量と、完成度以前に個々人のプレイヤーが熟達していることで、雑に聴こえるはずのアンサンブルが悪い方向にふれないところが好きですね。

原稿を読み上げるような説明でしたね(笑)。

西田:(笑)そういうことをごちゃごちゃ考えるタイプなんですよ。

榎さんは?

榎:僕は菊地さんから好きで、そこからマイルス・デイヴィスに入っていった感じです。マイルスのいろんなスタイルのバンドをちゃんと自分の色でできる、バンドごとにキャラクターはころころ変えるんだけど芯がとおっている、パーソナリティをちゃんと出せるところが好きです。

どの時期のマイルスがお好きですか?

榎:全部好きなんですよね(笑)。

『カインド・オブ・ブルー』でも『ドゥ・バップ』でも?

榎:『バース・オブ・クール』から『ドゥ・バップ』まで好きです。逆に時期ごとにちがう気がしないんですよね。

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自分が思っているミクロな問題は生活環境が変わっても解決しないし、大きい話でも、PM2.5や異常気象は都市レベルで環境が改善されても避けられない。それでも都市が開発されて、そのなかには幸せなひとや不幸なひとがいっぱいいる。 (吉田ヨウヘイ)


吉田ヨウヘイgroup
Smart Citizen

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『Smart Citizen』はヴォーカルとコーラス、アレンジ、ギターのリフレインのつくり方などもおもしろかったです。

西田:“ブールヴァード”ですか?

“ブールヴァード”もそうですし“新世界”も。あとファゴットとフルートとサックスなどの管の使い方もおもしろかったです。アレンジの主導権は吉田さんですか?

吉田:“アワーミュージック”の管楽器のパートをフルートの子がつくったりだとか、いくつかメンバーに託したところもありますが、基本的に9割方、僕が考えています。

ホーンも含め譜面を書くんですか?

吉田:打ち込んでそれを譜面にして渡します。

弦楽器の編曲も吉田さん?

吉田:はい。

ギター・リフのアイデアも西田さんではなく吉田さんですか?

西田:ファーストの『From Now On』のほうが自分のアレンジが多かったです。今回もアレンジしているところもありますが、ギターのリフレインを考えたのは全部吉田です。

吉田:たとえば“新世界”だと、60年代のジャズのレコードでヴィヴラフォンを早弾きしているのがあって、これをエレキでやるとおもしろいんじゃないかと、西田くんに聴かせました。こういうのつくるよって。

ある曲を聴いて気に入ったフレーズを管なりギターなりに置き換えることはよくありますか?

吉田:ファーストの曲で、ダーティ・プロジェクターズの曲でベースの裏打ちが恰好いいなと思う曲を、ハイハットの裏打ちに応用したりしたことはありますね。全部ではないけどわりとあるかもしれません。

1曲目の“窓からは光が差してきた”でピアノの背後にノイズがありますよね。それは楽音だけではなくノイズも自分たちの音楽には含むという意志のあらわれですか?

吉田:僕はジム・オルークがすごく好きなんですが、ポップスにそういったものがもっとあるべきだとはいい曲ができたのでノイズを入れてもおもしろいかなと思っただけで、絶対ノイズ的なものを入れていくぞという強い気持ちはないです。

アルバムはコンセプトをもとに構築したのでしょうか? それとも曲がたまって自然とこういったかたちをとった?

吉田:曲ができて自然とこうなりました。

なにがしかのコンセプトがあったわけではなかった?

吉田:そうですね。

『Smart Citizen』というタイトルの由来を教えてください。

吉田:さいきん、「Smart City」という言葉がよく使われているなと思っていたんです。僕はIT系の記者だったので。

“Smart City”というのはどういったものですか?

吉田:都市全体の電力使用量を機械で管理して環境配慮型の社会にしようという動きなんです。そういうことを考えているときに、ふと、教育施設などの整った、お金持ちしか住めないような都市に住んだらどうだろうと思ったことがあったんです──いま僕はお金がないので。それで“新世界”の歌詞を書いたんです。自分が思っているミクロな問題は生活環境が変わっても解決しないし、大きい話でも、PM2.5や異常気象は都市レベルで環境が改善されても避けられない。それでも都市が開発されて、そのなかには幸せなひとや不幸なひとがいっぱいいるだろうなと漠然と思ったときに、そういった都市のなかで暮らしているひとを描けば今回のアルバムは成り立つんじゃないかと思いました。一曲から発想して全部通底させた感じです。

歌詞を書くにあたりそういった前提を置いていたということですか?

吉田:いや、それも後づけです。歌詞については全部主人公がちがっているし、一人称で書いているので自然と生活のいろんな場面をきりとった歌詞になっているかなとは思っています。

恋愛の歌うんぬんではなくて日常の断片を描きたかった?

吉田:僕は歌詞をつくるのが苦手で、放っておくと誰にもなんにもつっこまれないような歌詞しか書けないんですよ(笑)。ヤバイっていわれないことだけが目的になっていることがあるんです。

どうしてそうなるの?

吉田:思いを吐露するのが得意じゃないんだと思います。曲を書くひとにはめずらしい、普通のひとなんです(笑)。西田くんとは長いことバンドをやっているので、歌詞については相談していて、どんな事象でも恋愛に絡めて危ない感じを出していこうという話なんかはけっこう前からしていました(笑)。

西田:人間の体温がない歌詞になるんですよ(笑)。だから恋愛にするとなまなましくなって――

吉田:ディテールを膨らませればさらに恋愛っぽさが増すから、もう、そうしようって(笑)。そうしないとなんで書いているのっていわれがちなんですよ。

でも、言葉でなにかを訴えかけるより情景を描くことでイメージが誘われるところに、私は好感をもちましたよ。

吉田:ありがとうございます。

そして『Smart Citizen』には、全9曲の関係のなかで浮かびあがるものもあるとも思うんです。曲順も吉田さんが決められたんですか?

吉田:僕が決めたんですけど、ライヴでやってきた曲順とけっこうちかいです。

西田:最終的にこれしかないなという感じでしたよ。

ライヴを重ねていくうちに吉田ヨウヘイgroupらしさがうまれていったということですか?

吉田:入って1年目のメンバーが多いので、それはまさにそうでした。

唐突ですが、みなさん何歳ですか?

吉田:僕がみんなより上で32で、西田が今年27。それがふたりいて、あとは23~24歳ですね。

吉田さんがお兄さん役ですね。

吉田:どちらかといえば西田がお兄さんで僕はお父さんですかね。

西田:さいきんそれがほんとうに定着してきましたね。

吉田さんのリーダー・バンドは吉田ヨウヘイgroupがはじめてですか?

吉田:過去にもありますよ。

このバンドでつづけていくという決意をもって会社を辞めたんですもんね。

吉田:でもそれはけっこうゆるいところもあって。彼とやっていたバンドがうまくいけばいいなくらいのつもりで会社に辞めるといったら、辞めるまでの期間でうまくいかなくなったんです。

どうしてうまくいなかくなったんですか?

西田:いろんな理由があるけれども、いちばんは僕と吉田さんの問題ですね。

吉田:西田くんが曲を書きはじめて、作曲もいけるかもという感じになってきたんです。プレイヤーとしては僕より彼のほうがレベルが上で、自分がバンドを仕切れなくなってきたというか、やりたいことがうまくとおらなくなって、メンバーも僕より彼の意見を聞きたいという状況にもなってきて。それだったら僕ももう一度自分のやりたいことをやりきらないといけないと思ったんです。

それがどうしてまたいっしょにやることになったんですか?

吉田:僕と彼はすごくちがうと思っていたんです。僕はフォーキーなうたものをやりたくて、西田くんは演奏力があったのでテクニカルな方向にいきたいのだとばかり思っていました。でも、僕がつくる曲で彼がギターを弾かなくなったら、それまでの自分たちの曲はお互いの影響でつくったものだという感覚が強く出てきたんです。

では吉田ヨウヘイgroupになって、西田さんは離れていた期間があったんですね。

吉田:つくってから半年経って入りました。さっきのリフの話もそうなんですが、僕がつくっている曲にしても、西田の演奏力が計算に入っているから成り立つところもあるんです。自分の創作に切り離せないところで彼とつながっていたことに気づいたので、仲違いしたこともあったんですが、もう一回やろうかという話になったんです。

西田:いまは過去最高に関係がいいですよ。

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俺のギターのスタイルは吉田とつくってきたところが大きかったというものあるんです。吉田さんの曲があって、それに要請されてのプレイがあり、逆に俺がこういったギターを弾けるからこういった曲が存在するというところもあり、それが両輪で進んできたのでいっしょにやるのが楽しいんですね。 (西田修大)


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吉田さんは西田さんを当て書きしていたところがあったということですね。

吉田:そうです。西田くんもバンドを辞めて自分で曲を書いたほうがいいと思っていたみたいですが、そういった欲がじつはあまりなかったと気づいたみたいで。ひとの曲で自分が活きるならそれもやりがいがあるんじゃないかというか。

西田:けっきょく前のバンドのころは吉田さんがリーダーで――もちろんいまもそうなんですが、僕はその次にイニシアチブをとるひと、という感じだったんです。そのころは自分がけっこうな役割を担っていると思っていたし、自覚もありました。でも吉田さんがいなくなって自分がリーダーになったときに負う責任とか、作曲にかかる負担とか、逆にそれで得られるものは、想像していたものとはちがっていました。そうした経験があった上でいまのあり方を選択をしたことで、すごく自分の自我が安定したところもあります。あとはやっぱり、俺のギターのスタイルは吉田とつくってきたところが大きかったというのもあるんです。吉田さんの曲があって、それに要請されてのプレイがあり、逆に俺がこういったギターを弾けるからこういった曲が存在するというところもあり、それが両輪で進んできたのでいっしょにやるのが楽しいんですね。

要求に応えつつ提案することでバンドの音楽性ができてきた、と。

西田:そうですね。スタイル自体がそうなんじゃないかと。

ギタリストで影響を受けたひとは?

西田:ジョン・フルシアンテ、彼は好きです。あとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ。でも最初に好きになったのはクラプトンとスティーヴィー・レイ・ヴォーンです。

古き良きギター・キッズですね(笑)。

西田:(笑)ギターをはじめたころはクラプトンとレイ・ヴォーンばっかり聴いていて、“クロス・ロード”をずっとコピーしてたんですけど、あるときレッチリを聴いて、すべてを端折っていっきにミクスチャーにいったんです(笑)。でも一貫しているのは、僕はギター・ヒーローだといわれているひとのギターが好きだということ。俺は目立っているひとが好きだし、いちばんやりたいのはなんといってもギターが恰好いいと思える演奏だったりもするんですね。さっきの話のように、楽器をギターに置き換えるというようなこともやっていきたいんですが。

しかし大所帯のバンドではバリバリ弾きまくるのはむずかしい気もしますね。スペースの問題がありますから。

吉田:それで参考にしようとしたのがマーク・リボーのように、ほかの楽器があっても入りこむのがうまいギタリストだったんですね。

西田:あとはネルス・クライン(ウィルコ)やジョニー・グリーンウッド(レイディオ・ヘッド)も参考にしました。

具体的にどういう点が参考になりました?

西田:いらないことをやっているところです(笑)。

吉田:西田はバンドのなかでひとりだけ飛び道具なイメージなんです。しっかり弾いているんだけど、いなくてもいいような感じでいてほしくて。

いなくなるとなにかが大きく削がれる感じ?

吉田:そうです。楽譜に表せる部分では必要ないことをしているんだけど、すごく印象を残すようなギターであってほしい。その参考になるアプローチはいつも探していますね。

『Smart Citizen』は見事にそうなっていると思いますよ。音色や空間性にも気を配った玄人好みのプレイだと思いましたが、その洗練は新人らしからぬといわれたりしませんか?

吉田:意外にそうはいわれないんですよ(笑)。

西田:ライヴをやっているときの俺たちは「荒(粗)い」という意味を含めて「若い」んだと思うんですよ。でも「音楽たのしいよね、やったろうぜ」という溌剌さは表面的にはあまりないかもしれない。

みなさんにとってライヴとスタジオは同じですか? ちがいますか?

吉田:僕はけっこう同じようなモチヴェーションで臨みます。

アルバムの曲を再現するためのライヴということですか?

吉田:スタジオとライヴがぜんぜん別だというひとがいるじゃないですか。それから較べると7割くらいは同じでいいと思っています。録音ってむずかしいなと思うんです。

吉田さんはご自分で録られたりもしていますね。

吉田:自分で録ったり、エンジニアを入れることもありますが、スタジオとライヴのちがいを考えると、ベストのライヴを録音したとしても、CDの音圧で聴いたらいいと思わないかもしれない。それを同じように感動させたり納得させるには、もっと音が必要だったりすると思うんです。ライヴ感があってそのまま録ったようだといわせるにしても、なにか足すものが要るとか。ですから、ライヴの感動をそのままスタジオで再現できればいいとは思うんだけど、そのまま録ってもうまくいかないとは思っています。

西田さんは、ギター・ヒーローとおっしゃいましたけど、ギター・ヒーローにとってはライヴこそ本領を発揮できる場だと思いますが。

西田:正直にいいますけど、俺はギター・ヒーローに憧れて自信があるところもあるんだけど、基本的に弱気なんです。ギターはライヴだからライヴになればすべてを忘れていけ、といえるかといえば、まだいえない。さっき吉田がいったように、ライヴとスタジオのどちらかに比重を置くという考え方からすると、俺らはすごいフラットだと思うんですよ。でも俺はライヴが好きで、リハーサルが好きなんです。

みんなと演奏するのが好きなんですね。

西田:そうみたいです。たとえば、ギターをジャッと弾いてドラムがパンッと入ったときに音圧が来たとか。ライヴでお客さんがもりあがってくれたら、それが意図したところでもそうでなくてもすごいしあわせだとか。このために生きているんだって思うこともあるけど、音楽的にライヴとスタジオを完全に区別するかといえばそうではないですね。

榎さんはいかがですか?

榎:自分は、ひとりでブースでクリックをもらって演奏するよりも、みんなでいっしょに演奏するほうが単純に楽しいですね。

ロック・バンドのなかでのサックスの位置は不安定なところもあると思うんですが、榎さんは吉田ヨウヘイgroupのなかでどのような役割を担っていると考えていますか?

榎:僕らがふつうのロック・バンドとちがうのは、曲をつくってアレンジしている吉田さんが、サックスも演奏するところだと思うんですね。そのなかで自分は西田さんの立ち位置に似たものを意識しているところはありますね。あってもなくてもいいんだけどすごく大事なもの。ほかの楽器のやるべきことをサックスに置き換える、そこにこのバンドの色があり、評価されているところでもあると思うので、もっとそういうサックスを吹けるようになっていけばバンド自体がもっとおもしろくなるんじゃないかとは思っています。

多楽器主義のバンドがさいきん多いじゃないですか。

吉田:そうですね。

そういうバンドと吉田ヨウヘイgroupを較べてどう思いますか?

吉田:これは僕が思うだけかもしれないですけど、管楽器入りのバンドの多くは管楽器を入れることで管楽器によるパーティ感とか多幸感とかをもたらそうとしていると思うんです。でも僕らは管楽器が入ってもあまりしあわせではない(笑)。狙いはけっこう真逆だと思います。

歌詞でもしあわせな状態がやがて終わるだろうというトーンが支配的ですよね。

吉田:歌詞でいうと、ファースト・アルバムを出してセカンドを録る段階になってから、バンドの調子も上向きになって聴いてくれるひとも増えてきて、もしかしたら今後もっと安定して胸を張って音楽ができるかもと思っていたんです。ファーストのときは不安が強くて、その不安定な状態を吐露するとドロドロした歌詞になるだろうと思っていました。いまはメンバー全員足並みがそろっていて自信が生まれ、でもファーストのころの不安ものこっているからこそ恥ずかしくないと思ったんです。ぎりぎり聴けるような温度感というか。不安と自信が共存した心情を吐露できるのは、いい意味でいましかないだろうから、歌詞ではそれを出しちゃおう、と。その意味では楽観的なんですけどね。

歌詞のなかにみえる街あるいは都市や家というものは吉田さんにとってどういうものですか?

吉田:舞台設定を考えるときにまず思いつくもの、ですかね。歌詞を作るためにディテールを詰めていくと話が転がっています。

自分たちは都市生活者だという自覚がある?

吉田:いや、それしか思いつかないんです。松本隆さんや松山猛さんが好きなので、語彙が豊富だったら「一張羅の涙」とか、見たこともない組み合わせのセンテンスをつくってみたいんだけど、なにも思いつかない(笑)。日常的な言葉を設定しているからそうなるんです。

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僕は元ネタがあったほうがハードルが高く感じられるんです。その曲を元にそれを越えるクオリティの曲をつくる。そういった感覚があるので、ゼロからつくらないようにしています。配分でいえば、全体の五分の一くらいを自分から出てくるものにしたい。 (吉田ヨウヘイ)


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曲を書くときって、どういう順番ですか? 詞はたいへんだとおっしゃいますが、メロディや和声進行、リズムなどの要素でどこから先に生まれるという決まりのようなものはありますか?

吉田:曲ごとにちがいます。 “ブールヴァード”であれば、あるレコードからリズムの元ネタをもってきて、その上に乗せる管楽器のパートをまたちがうレコードからもってきて、それが3つか4つたまってあるとき頭の中でバッと混ざったので、それでつくりました。

それらの音楽がつながるのはどういったときなんでしょう?

吉田:自分だったら、このマテリアルならこの時代性から切り離して自分の曲にできるって思うことがあるんです。レコードを聴いていると。このリズム・パターンとシンコペーションだったら自分のものとして吐き出せるな、とか。それが自分の頭のなかで混ざれば、ということですね。

ゼロからつくるより、なにかに対応してつくっていく?

吉田:いろいろ試したんですけど、僕は元ネタがあったほうがハードルが高く感じられるんです。その曲をもとに、それを越えるクオリティの曲をつくる。そういった感覚があるので、ゼロからつくらないようにしています。配分でいえば、全体の五分の一くらいを自分から出てくるものにしたい。

いわゆるオリジナリテイ、クリエティヴィティとは真逆の考え方ともいえますよね。

吉田:レコード屋で働いていることもあって、作曲の原動力にするための曲を聴ける時間が増えたんですよ。そうすると、パクるということを作曲の起点に置いたとしてもネタ切れの心配がない(笑)。

使える/使えないというかつてのDJのような観点で音楽を聴いているということですか?

吉田:感動する音楽で自分と関係ある、感動するけど自分とは関係ない、自分とはまったく関係ない、音楽をこの3つくらいに分けていて、聴くとすぐそのレールに乗るんですよ。

榎さんは吉田さんの考えに同意できますか?

榎:僕はそのような考え方ではないですね。でもなにかを聴いたとき、自分のいきたい方向性からの距離でそれをとりいれるかどうかは決まってくると思うんです。ここまでであれば自分の演奏にもスパイスとしてとりこめるんだけど、これ以上離れるとスパイスにすらならない。その線引きはたしかにあって、その遠さでグラデーションみたいになっているイメージはあります。

西田:たぶん俺は吉田さんとやっている期間が長くて、どこまでが自分本来の考えで、どこまで吉田さんとの作業のなかで出てきたものかわからなくなっている部分はありますね。俺も音楽を聴くときはそういうところがあるし。とくにさいきんはギターに集中しているぶん、「この曲のこのコード進行でこの洗練されぐあいでこのビートの精確さのときに、ギター・ソロがこんなふうに入ってくるとダサいけど、ファズの音色でこういったふうに入れた場合はアリだから、ジミヘンのような音色でサックスの運指を参考にして弾くんだけど、弾き方の粗さとしてはジミー・ペイジで、上に乗るものはスティーリー・ダン」――みたいなことはいつも考えますよ(笑)。

こみいっていましたがわかりやすい譬えでしたね(笑)。

西田:そういったことを吉田といつも話しているんですよ(笑)。

最初にいった、あるべきなのにいまだない音楽を掘り出す方法がそれなんでしょうか?

吉田:「素材としてロックで使われていないけどロック的な感性で聴いてもいいと思えること」をみつけることに僕は興味があって、それをレア・グルーヴやジャズからとれるとうれしいんですね。

西田:積み上げていくほうがむずかしいし、おもしろい。でもそれをさらに越えるものが真っ白な状態から出てきたら、夢のような話だとは思いますけどね。

やっているうちにそういうようなところに来ることもあるんじゃないですか。

吉田:作曲のレベルはそういうことをやっているうちに上がっているとも思うので、何枚かアルバムを経たあとに機会があれば、手法としてまっさらな状態からつくりはじめることもあるかもしれません。

メンバー同士のかねあい、バンド内の関係性の変化もあって、音楽もまた変わっていくかもしれないですもんね。

吉田:音楽のアイデアを言葉できちんと伝えることができるようになりたいと思っているんです。それが自分だから思いつくのではなくて、アイデアそのものがおもしろいからほかのひとが乗れるものであってほしい気がしています。西田とはそれが共有できる感じになってきているので、全員に浸透したらもっと楽しいですね。自分がつくるよりも各パートのひとたちが楽器の特性をふまえつつ曲にしていけたら……そこまでいきたいですね。

東京のインディ・シーンのなかで吉田ヨウヘイgroupと距離感がちかいのはやはり森は生きているですか?

吉田:仲良しだからあまりわからないですね。

ライバル関係ともいえると思いますが。

吉田:たしかに西田くんと森は生きているの岡田(拓郎)くんはすごいバチバチしているし(笑)。

西田:ほんとに(笑)。

なんで?

西田:俺は彼を尊敬しているので、「うれしいよ」という前提で聞いてほしいんですけど、互いにギタリストとして意識できる対象だと思っています。世界が狭いかもしれませんが。たとえば、俺のライヴを彼が観にくると、「今日はプレイ内容としてはアレなんだけどあそこはもうちょっとああしたほうがよかったんじゃない」と意見を言う(笑)。逆に俺が彼らのライヴを観に行って、演奏の後に会うと、「マジおまえには会いたくなかったわ」とかいわれますもんね(笑)。

duennlabel - ele-king

 カセットテープ作品のリリースで知られる福岡のduennlabelが東京で、伊東篤宏ともにイベントを主催する。ライヴ出演には、イクエモリ──ジュリアンナ・バーウィックとの共作も記憶に新しい、ニューヨーク在住の、元DNAというキャリアを持ちながら、現在多方面にわたって活躍しているサウンド・アーティスト──も出演する。ほかに、浅野達彦や白石隆之といったベテランから、新世代のあらべぇなどなど。信用に値するメンチです。
 そこらへんの電子音楽には飽き足らない方は、ぜひ、西麻布に足を運んでみよう!

【伊東篤宏 presents...TRONITO feat duennlabel 】
6月28日(土)
19:00~5:00...
¥3000(1D)~24:00
¥2500(1D)24:00~

LIVE:
イクエモリ
伊東篤宏 [OPTRON]
ADJ [山本ムーグ+木村豊]
ダエン[duennlabel]
浅野達彦
REBUSTAPE NoiseElectronicDivision
Yagi
Canooooopy
KΣITO [Keito Suzuki]
drowsiness

DJ:
小林径 [New Tribe]
白石隆之
あらべぇ
Takeshi Kagamifuchi [Hz-records]
HARRY:淑蘭◎ [BULLET'S/SECOND LOBBY]

.............more!!!!!!

VJ
UCNV
中山晃子
JULIETTA

duennlabel
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BULLET'S
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■ Dum Dum Girls @ Prospect Park 6/21/2014

 6月も毎週のように、たくさんのイヴェントが開催されている。2週目はノースサイド・フェスティバル、3週目は、恒例のマーメイド・パレードがコ二ーアイランドで、メイク・ミュージックNYがNY中でおこなわれ、プロスペクト・パークでは、ダム・ダム・ガールズ、ホスピタリティ、ティーンというインディロック・ファン感激のラインナップのフリーショーが開かれたセレブレイト・ブルックリンという以前レポートした、チボ・マットと同じイヴェントである(ロケーションは違う)。

 公園内では、家族やグループによるBBQがそこかしこである。その良いにおいの間をすり抜けていくと、バンドシェル=ステージが見える。たくさんの人が芝生に寝転がったり、ピクニックをしている。

 現在夏のフェスティバルを慣行中のダム・ダム・ガールズ、コチェラサンフランシスコでは、アート作品のようなコスチュームで登場したが、ファミリーフレンドリーの今回のショーでは、よりコンサバな衣装だった。彼女たちのショーでは、いつも黒ずくめの彼女たちが白で登場したりなど、コスチュームの話題が絶えないのだ。

 ダム・ダム・ガールズのライヴは何度見ても、そして、見るたびに「なんて痛いんだろう」と思う。金髪から黒髪になったディ・ディ・ペニーが歌っているときは、彼女に何かが憑依しているようにも見えるし、歌に何かを封入して、祀り上げているようにも見える。
 今回は、新アルバム『Too True』からの曲がほとんどで、ライヴには、サードギター(男性)が入り、全体的にタイトで凝縮された演奏だった。ライヴの後半では、新作から、アルチュール・ランボーのもっとも有名な詩──「酩酊船」を歌にした“Rimbaud Eyes”を演奏すると、「End of Daze EP」に収録されたザ・スミスのもっとも有名な曲のカヴァー、“There Is a Light That Never Goes Out’”を披露した。
 そのとき、ディ・ディはギターを弾かず、ハンドマイクで歌に集中した。絶望の淵を生きる若者の心情を綴ったモリッシーの悲しい歌を、彼女は、限界の限界まで搾り出すような声で歌う。ザ・スミスの音楽がいまでもアメリカで生きていることを証明するかのように、観客の歓声は半端なかった。
 ラストソングの”Coming Down”を歌い上げたとき、オーディエンスは拍手喝采。野次もあったが、それらは一切無視で、MCもなし。それが彼女たちのスタイルだ。

 ホスピタリティ、ティーンが残念ながら見逃してしまったが、見た人に聞くと、「ティーンは見るのに面白いライヴだった」、と。
 たしかティーンは、ヒア・ウィゴー・マジックの元メンバーがやっているバンドだ。ヒア・ウィゴー・マジックといえば、最近ジョン・ウォーターズがリリースした新しい本(ヒッチハイク本?)でジョン・ウォーターズがたまたまヒッチハイクしたのがツアー中のヒア・ウィゴー・マジックで、彼らが「たったいまジョン・ウォーターズをピックアップした」ツイートしたことで、ジョン・ウォーターズがヒッチハイクしているのがばれてしまった、などなど(著者はブック・サイン会に行った)面白いネタがある。

セットリスト: ダム・ダム・ガールズ @ プロスペクトパーク
6/21/2014
Cult of Love
I Got Nothing
In the Wake of You
I Will Be
He Gets Me High
Too True to Be Good
Are You Okay?
Rest of Our Lives
Bedroom Eyes
It Only Takes One Night
Under These Hands
Rimbaud Eyes
Lord Knows
There Is a Light That Never Goes Out
(The Smiths cover)
Lost Boys & Girls Club
Coming Down

Further Reductions - ele-king

 シンセの波にゆられることを目的とした、ただ夢心地なエレクトリック・ミュージックを奏でるには少々シリアスで、そうかといって、ダークでインダストリアルな意匠をまとうには幾分ポップな躍動感をもつ男女デュオ=ファーザー・リダクションズ。こういうと、何だかどっちつかずで中途ハンパな印象を持たれてしまうかも知れないが……なかなかどうして。しかつめらしくも美しいこの絶妙なおぼろ具合こそが彼らの音楽を特異なものにするゆえんであり、〈ミニマル・ウェイヴ〉傘下のレーベル〈シティトラックス〉からリリースされたこのファースト・アルバムは、じつに鮮烈なのである。

 〈キャプチャード・トラックス〉から7インチをリリースしているシンセ/ダーク・ウェイヴ・トリオ、レッド・エル・エスト(LED ER EST)のキーボーディストであり、アンダーグラウンド・ハウス・レーベル〈L.I.E.S〉からVAPAUTEEN名義での作品をリリースするなど、ブルックリンの地下シーンで注目を集めるプロデューサー、ショーン・オサリヴァン、そして、ニュー・ウェイヴィでどこまでもゆらめくヴォーカルが官能的な、紅一点ケイティ・ローズからなるファーザー・リダクションズ。80年代後半〜90年代初頭を駆け抜けたロウでレトロな質感をもつハウス〜テクノのヴァイブレーション、そして、チル〜アンビエントへの憧憬を包み隠すことなく露わにした彼らのサウンドは、ただ歓喜や郷愁を誘うといった懐古趣味ではなく、それらの一種のパロディのようでもあり、夢のあとのぼやけた時間のごとく無性に尾をひく余韻と空虚感を残す——それは、まるで誰もいない遊園地で、メルヘンチックな音と光を放ちながらミニマル回転するメリーゴーランドのように空っぽだ。

 反復するビートの上を漂い遊ぶダビーでスローモーな電子の装飾。時おり、断片的に、現れては消えゆくざらついたメロディが楽曲に淡いフックを与える1曲め“ハイ・エンド・ベーシックス”。遠いところから、しんと降り積もるように降りてきて、瞬く間に景色を変えてしまうケイティの歌声がやたらとカッコいい。続くタイトル曲“ウッドワーク”は一転して工業的なテクノ・ビートが押し寄せ、じわじわと体を衝き動かされる。とはいえ、それは、過激に錆びついた鉄の匂いがするのではなく、薄雲のようにたなびく陰影がさり気なくインダストリアル情緒を醸し出していて、新しい感覚を呼び覚ましてくれる。そして、『テクノ・プリミティヴ』(1985)の頃のクリス&コージーを彷彿とさせる、アルバム中もっともポップでプログレッシヴなチューン“スペクタクル・ディゾルヴド”、ボディ・ミュージックのように野太いベースのシーケンスがアシッディーに蛇行する“ヴォイド・オブ・コース”、沈みこみそうなずぶずぶのキックと、刻みどころを押さえまくったハイハットの抜き差し、くぐもったメロディとハウシーなリズムがエコーの向こうでバウンドし、無闇に昂揚感を誘う“デス・トゥ・ザ・ビート”など、隅から隅までエッジを効かせつつも、混沌から静寂にまでジャストフィットする柔軟なトラックがバランスよく配されている。

 自らを「最終処分」と名乗る彼ら。安売りされるにはゴージャスで、ありがたく祭り上げられるには、いささかチープなリズムとアナログなエレクトロニクスがじつにうまく混ざり合う。薄明るい光線が90年代の夢をちらつかせ、しかし、あざとさのまったく見えない耽美な熱は、NYのマンホールの隙間から立ち上がる蒸気のように、ゆよ〜んと妖しく、緊張と緩和をくり返しながら絶え間なく湧き出して、四辺を濡れ光る白い恍惚で包みこんでしまう。

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