「Nothing」と一致するもの

きのこ帝国 - ele-king

 アキ・カウリスマキの映画に出てくる人たちは、まず、笑わない。あの映画の、人びとの笑わなさ、坂本慎太郎的な抑揚のなさが、多くのドラマと一線を画している。そして、あの、徹底的な笑わなさが、愛情表現の押し売りの戸棚の底から、その目立たないずっと奥から、何か美しいものを引っ張り出したのだ。基本的に、僕は笑いのある表現を好むが、作り笑いは必要としない。そして、ときとして、容赦なく笑いを剥奪するものに心惹かれることがある。自分もまた、カウリスマキの映画に出てくる人たちのような、笑いを奪われた人間のひとりであることを意識する。きのこ帝国は、そして佐藤の歌は、僕から笑いを奪う。

 "夜鷹"は、滑らかで、トランシーで、サイケデリックなエレジーだ。この1曲は、佐藤がラップに触発された曲だと思われるが、トラックからは、オウガ・ユー・アス・ホールを彷彿させる柔らかい音響空間が広がっていく。佐藤の、魅惑的な、確固たる"孤独"は変わらない。しかし、彼女の歌詞......だけで語るのが野暮なほど、演奏されるすべての楽器の音色が夜空の星々のように煌めいている。宮沢賢治の天体趣味が、モータリック・ビートと出会ったとでも喩えられそうな、ロマンティックな曲。きのこ帝国のセカンド・アルバム『ユーリカ』の決定的な曲である。続く"平行世界"にも、バンドの真新しい響きを感じることができる。この曲も音数の少ない演奏を活かした空間的な録音によって、佐藤の詩世界をひと際輝かせている。
 
 とはいえ、『ユーリカ』は、決してまとまりの良いアルバムではない。歴史上の多くのロック・バンドのセカンドのように、彼女ら彼らは、あーだこーだといろいろやっている。"国道スロープ"から"Another Word"への展開は、このアルバムのもうひとつの表情だ。抑揚があり、ドラマティックで、ときに感情を噴出させる。クールにはなりきれないのだ。
 バンドがセカンド・アルバムで可能性を探ることそれ自体はしかるべき態度だ。その探り方が、ただがむしゃらなのか、それとも考慮の末の結実なのか、それとも......。ひとつ言えるのは、きのこ帝国は、もはや、忌々しくも、寒々しくも、苛立たしくも、腹立たしくもないということだ。来る日も来る日も泣いていた彼女は、ある朝、起き上がり、靴のひもを結び、歩き、あるいは少しずつ、走り出したのかもしれない。卑俗な人たちのいない場所などないことがわかっていながら。

 "風化する教室"や"Another Word"、"明日にはすべてが終わるとして"......といった曲ではポップ・ソングを試みている。これらの曲を最初に聴いたとき、僕は、きのこ帝国もいよいよ音楽産業との妥協点を見いだしたのかと勘ぐってしまったが(もちろんそうは思っていない)、そうしたネガティヴな早とちりは、僕がふだん灰色の音楽ばかり聴いているからというだけではあるまい。
 きのこ帝国というバンドには、まだ本人たちが気づいていない以上のポテンシャルがある。その大きさが小さく揺らいでいるとき、リスナーは引き裂かれ、困惑するのだ。"Another Word"など、最初の32小節までは、ファイスト風の爽やかなアコースティック・サウンドではないか。葬送のための陰鬱な音楽とはほど遠い......が、それでも、きのこ帝国は簡単に笑顔を売らない。"ミュージシャン"など、失恋中の友人にはとても聴かせられない曲だが、それ以上に、たとえば「狂った頭でいろいろ考えて/不安を抱えて老いぼれていくんだろう」という言葉に同意する人も少なくないだろう。
 
 それは、アルバムにおいて、もうひとつの笑えない曲だ、が、しかし、非情さもない。『若きウェルテルの悩み』の系譜のスローバラードである。これが3番目、"春と修羅"が2番目、いや、"平行世界"が2番目に好きな曲かな、僕は。その2曲のみが、ビートがダンサブルだというのも大きい。振るのは頭ではない、腰だ。踊ってばかりの国だ。
 佐藤がステージで見せる、あの傲慢さ、あの苦悩、あの冷淡さ、あの誠実さも、"夜鷹"のなかに美しく凝縮されている。自信を持って僕はこの曲を推薦する。それが、『ユーリカ』を聴いた僕の感想である。

殺すことでしか生きられないぼくらは
生きていることを苦しんでいるが、しかし
生きる喜びという
不確かかだがあたたかいものに
惑わされつづけ、今も生きてる
"夜鷹"

Gabby & Lopez, Dustin Wong, tickles - ele-king

 2月11日、3連休の最後の日。場所は青山のCAY。楽しい連休のフィナーレを心地よい音楽とともに締めくくってみませんか? ほっこりと幸せな気分になるナイスなアーティストを集めたイヴェント〈BUILD〉が開催されます。
 注目はなんといってもギャビー&ロペスのライヴです。なにせ、この人たちはめったにライヴをやりませんから。昨年は5年半振りに素晴らしいアルバム『Twilight For 9th Street』(ele-kingにて栄誉ある"E王"も獲得)をリリースしたにも関わらず、その後、ライヴを披露したのは2回だけ。今回はむちゃくちゃ貴重なライヴになります(しかもバンド・セットでパフォーマンス!)。え、そもそもギャビー&ロペスを知らないって? たしかにアルバムは5年半振りだし、ライヴもほとんどやっていませんから、知らないという方がいても不思議じゃないでしょう。ギャビー&ロペスはナチュラル・カラミティやウマウマで知られる森俊二とティカの石井マサユキというふたりのベテラン・ギタリストによるプロジェクトで、マーク・マグワイヤとか、マニュエル・ゲッチング、あるいはドゥルッティ・コラムあたりのサウンドが好きな人ならば、もうこりゃ堪らんといった感じの音だと思います。トミー・ゲレロやレイ・バービーみたいなフィーリングもあるので、その手の音が好きな人にもオススメです。まあとにかく聴いていると、綺麗な星空の下、誰もいない浜辺で穏やかな波の音を聴いているような......、なんともおおらかで、心地よくて、ちょっと素敵な気分にさせてくれる音楽なんですね。彼女や大事な人と一緒に聴きたくなる感じです。伝わるかな、この感じ?
 共演するアーティストたちも素晴らしいです。ビーチ・ハウスやダーティー・プロジェクターズのUSツアー、ジャパン・ツアーに出演し、いま日本でもファンが急増中のダスティン・ウォン。多数のエフェクターを足元に並べ、ディレイやループなどを駆使し、様々な音像を作り、重ねていく彼のパフォーマンスは、まさに"エフェクターの魔術師"という異名の通り。まるでオーロラのようなその美しさといったら......、かつてライヴ会場では、手を合わせ、祈っている人がいたほどです。
 またCDの帯につけた「線路は続くよ どこまでも」という名キャッチ・コピーこそ野田編集長にダメだしされたものの、その音楽性においては非常に高い評価を得た〈MOTION±〉のティックルズも出演。聴いていると胸がグッと熱くなる魔法のようなメロディ、エレクトロニクスと生楽器をブレンドした温かみのあるサウンドは、いつまでもずーっと聴いていたくなる心地よさです。そんなほんわかしたサウンドを作っていながらも、バックボーンはゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー、エンヴィ、トータスだったりもするので、その辺も記憶の片隅に置きつつ彼のパフォーマンスを見ると、またいっそうグッとくるものがありますよ。
 さらにDJとして、山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)によるDJユニット「真っ青」も参戦。ディープな音もお洒落な音も知り尽くした3人によるスリリングなバック・トゥ・バックに注目です!
 DJスタートは早めの16時、ライブは17時から。美味しいお酒でも飲みながら、心地よい夕刻のひと時を一緒に過ごしましょう!
(加藤直宏)


MOTION± presents BUILD
2013年2月11日(月・祝日)
CAY(スパイラルB1F)
OPEN / START 16:00 *ライブ・スタート 17:00

出演: Gabby & Lopez / Dustin Wong / tickles
DJ: 真っ青

料金: 前売り ¥2,800 / 当日 ¥3,300
- チケットの取り扱い: 1月11日より発売開始
≪プレイガイド≫ ローソンチケット 0570-084-003 [Lコード: 76209]
- 前売チケットのご予約: 1月11日より受付開始
≪電話予約≫ CAY 03-3498-5790
≪メール予約≫ CAY 申し込みフォーム
 
企画・制作: MOTION±
お問い合わせ先: MOTION± 03-3793-5671 / motionpm@music-airport.com
CAY 03-3498-5790
MORE INFO: https://motion-pm.com/?p=2439

 カラフルな音色とともに、絶妙の浮遊感と叙情感を紡ぎ出す3アーティストによる待望の共演が実現。コンポージングではなくインプロヴィゼーションを繰り返して楽曲を制作し、ライヴではさらにインプロ度合いの増したスリリングな演奏をみせるGabby & Lopez。
 一方、緻密にコンポーズされた楽曲を、足元にならべた多数のエフェクターを駆使し、ミニマルでカラフルなレイヤーを描き出し再構築していくDustin Wong。そしてエレクトロニクスとリアル・タイム・サンプリングを駆使した、胸打つメロディを幾重にも重ねていくライヴ・スタイルが高い評価を得ているtickles。
 さらにはクラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた、山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人の頭文字を並べて命名されたユニット「真っ青」がDJで参加。
 ドリーミーで心地よくも極めて刺激的な、めくるめく音の共演に酔いしれて頂ける一夜になること必至。是非ご自身で体感して下さい。

Gabby & Lopez
森俊二(Natural Calamity)と石井マサユキ(Tica)の二人によって2000年に結成されたギター・インストゥルメンタル・ユニット。2004年にファースト・アルバム『Straw Hat, 30 Seeds』を発表。続いて2006年に発表したセカンド・アルバム『Nicky's Dream』はその年のベスト・アルバムとして多くのメディアで取り上げられた。同アルバムからの楽曲は、様々なコンピレーションや映画『ホノカアボーイ』のサウンドトラックにも収録。2012年4月には渾身のサード・アルバム『Twilight For 9th Street』をリリースした。また、トリップ感溢れるライヴ・パフォーマンスも各方面で絶賛され、これまでにFUJI ROCK FESTIVAL、GREENROOM FESTIVAL、Sense of Wonder、SUNSET LIVEなどの大型フェスへも出演を果たしている。

Dustin Wong
ハワイで生を受け、2歳の時に日本へと移住。中高時代はパンクやオルタナに開眼し、ハイティーンの頃には友人のユタカ、Delawareの点、そして立花ハジメとLow Powersのメンバーでもあったエリと、携帯電話の着信音をオケに使用し歌うというユニークなバンド、The Japaneseを結成し活動した。そしてボルティモアに渡った後、マット・パピッチとエクスタティック・サンシャインの活動を始める。同時に彼は通っていた美術大学のクラスメート達と共にポニーテイルを結成。カオティックなサウンドと怒濤のライヴ・パフォーマンスは瞬く間に話題となる。また、エクスタティック・サンシャインとしても〈カーパーク〉からデビュー・アルバムをリリースし、多方面から高評価を得るもののダスティンは脱退する。ポニーテイルもさらなるブレイクを期待されていたが突然活動休止を発表(2011/9/22に解散を発表)。そしてダスティンは〈スリル・ジョッキー〉と契約し、サード・ソロ・アルバムをリリースした。多数のエフェクターを足元にならべ、ディレイ、ループ等を駆使し、ミニマルでカラフルなレイヤーを描き出していくギター・パフォーマンスは注目を集めている。2012年通算4作目となるアルバムをリリースし、4月にはレコード発売記念の日本ツアーも敢行。NHKライヴ・ビートへの出演も果たす。7月にはNYで行われたダーティー・プロジェクターズの最新作のリリース記念ライヴのオープニングに抜擢され、10月の日本ツアーでも全公演オープニングを務めた。9月から10月前半にかけてビーチ・ハウスとのUSツアーを行った後、朝霧JAM2012にも出演を果たした。

tickles(MOTION± / madagascar)
エレクトロニクスと生楽器を絶妙なバランスで調和させ、力強さと繊細さを自然体で同居させる。湘南・藤沢を拠点に活動を続け、人間味溢れる温かいサウンドを志向するアーティスト、鎌田裕樹による電子音楽団tickles(ティックルズ)。2006年発売のファースト・アルバム『a cinema for ears』リリース後から続けてきたバルセロナやローマ、韓国などを巡ったライブ・ツアーでは、人力の生演奏を取り入れたスリリングでドラマチックなライブ・パフォーマンスで大きな賞賛を得た。そんな数々の経験を経て紡がれた珠玉の楽曲をたっぷりと詰め込んだ待望のセカンド・アルバム『today the sky is blue and has a spectacular view』(2008年)は自身のレーベル〈madagascar(マダガスカル)〉よりリリースされ、TOWER RECORDS、iTunesを中心にセールスを伸ばし、高い評価を得た。2011年、次なるステップへと進むべく〈MOTION±〉と契約。ピアノ、シンセサイザー、フェンダー・ローズ、ピアニカ、オルガン、鉄琴、オルゴール、ギター、ベースなど、様々な楽器を駆使しながら感情的なメロディーと心地良いリズムを生み出していくスタイルに更なる磨きをかけ、2012年4月にニュー・アルバム『on an endless railway track』をリリース。6月にはSchool of Seven Bells来日公演のサポート・アクトを務めるなど、リリース後はエレクトロニクスとリアルタイム・サンプリングを駆使するライブ活動を精力的に展開。柔らかいビートの上で胸を震わせる旋律が幾重にも重なり合い、交錯していく夢幻のサウンドスケープは、聴く者の心を捉えて離さない。

真っ青
クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人の頭文字を並べて命名されたユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。リミックスを手掛けた「中島ノブユキ/Thinking Of You (真っ青Remix)」 はまさに青いサウンドスケープ。

vol.6 『Journey』 - ele-king

 

 明けましておめでとうございます。と言ってもいまさらですね。年が明け、早くもひと月が過ぎました。本来ならこの記事も1月中に載せたかったのですが、あーだこーだしているうちに月をまたいでしまい、この挨拶の部分も書き直すことになってしまいました。

 それはともかく、今年は次世代ゲーム機の発表が予想されている他、〈Valve〉のSteam BoxやOuya、〈Nvidia〉のProject Shieldなどなど、新しいコンセプトのゲーム機も続々と発表されており、業界の転換期が近く訪れるのではと個人的に思っております。

 さて新年1発目のレビューなのですが、当初は年末企画での予告どおり、『Dishonored』について書こうかと思っていました。しかし正月に遊んだ『Journey』が何かと考えさせられる作品だったので、急遽こちらのレヴューを行いたいと思います。

 『Journey』(邦題『風ノ旅ビト』)は昨年PlayStation 3専用ソフトとして発売されたアクション・ゲーム。開発の〈thatgamecompany〉においては、PlayStation 3での3作めのリリース(『Flow』『Flower』に次ぐ)となり、前評判から発売後まで一貫して非常に高い評価を集め、また数多くの受賞を果たしている作品です。

 本作をはじめ〈thatgamecompany〉の作品は、どれも大作志向とは正反対のミニマルで雰囲気重視の作風で、その点では多分にインディーズ的と言えます。しかし一方でソニーと独占契約を結び、大資本のバックアップ下で作品を作ってきたという点では、他のインディーズ・スタジオとは違う特殊な立ち位置にあるとも言えましょう。

 
初期作の『Flow』はPCでもこちらで遊ぶことができる。

 そんな傑作と呼び名の高い『Journey』ですが、しかし僕は元来天邪鬼なところがあって、あまりにも周りで絶賛されているのが逆に鼻について、発売当時はやる気が起きませんでした。それから1年近くが経過してさすがに話題になることも少なくなってきたので、こっそりやってみたのですが、まぁやっぱりすごい作品でした。

 ただ僕は世間の評価軸とは違う部分で考えさせられた点がひとつあり、それはインディーズ・ゲームのなかでもとりわけアート・ゲームと呼ばれる作品との関係性についてです。

 インディーズとひと口に言ってもそのなかにはさまざまな系統があり、いままでの連載でご紹介した『Fez』や『Hotline Miami』は、古典ゲームへの懐古主義的な側面を強く持っていました。そしてこれとはまた別の思想で作られているゲームのなかに、アート・ゲームと分類されるものがあるのです。

 数々のアート・ゲームをリリースしつづけているベルギーのゲーム・スタジオ〈Tale of Tales〉や、また昨年『Dear Esther』で注目を集めた〈the chinese room〉等がその中心的な存在と言え、彼らの作品はメジャー・ゲームや一般的なインディーズ・ゲームともまた違った肌触りがあります。

 
〈Tale of Tales〉は最も勢力的なスタジオ、ジャンルを牽引している。画像は最新作の『Bientôt l’été』。

 しかし現状アート・ゲームの定義は曖昧にされがちで、世間では雰囲気重視でミステリアスな作風のゲームはなんでもかんでもアート・ゲームと呼んでいるような一面があるのも確か。

 この大雑把な括りで言えば、今回の『Journey』もアート・ゲームに分類されて不思議ではありませんし、〈Tale of Tales〉の作品や『Dear Esther』と類似する点も多々あります。しかし実際に遊んでみるとコアの部分ではむしろ真逆の性質を持っている作品だと気づきました。

 『Journey』のこの絶妙な立ち位置を大変興味深く感じたとともに、本作を比較対象としていけば、曖昧な定義のままにされがちなアート・ゲームについてもわかりやすい説明づけができるのではないか。これが今回のレヴューを書こうと思った動機です。

 そんなわけで今回は名目上は『Journey』のレヴューですが、これ自体についてはすでに語り尽くされている感もあるので、むしろ『Journey』を引き合いにしてアート・ゲームとは何か、その特性と問題点、今後どうなるべきかを中心的に書いていきたいと思います。

■旅という名の原始体験

 とは言え、まずはたたき台となる『Journey』についての解説からはじめましょう。本作は見た目もゲーム性もとてもシンプルで、プレイヤーは旅人に扮し前進しつづける。言ってしまえばそれだけの作品です。

 しかしその旅路はとてもディテールが深くかつ美しく描かれており、例えば上り坂や下り坂などといった地形の微妙な変化に細かく対応する移動感、そしてその移動感を乗りこなして新たな土地に到達し、その光景に見入るカタルシスという、まさに旅とか探検とか登山などの体験性と面白さを、そのままゲームとして再現しています。

 
美しい背景に見入りつつ、ひたすら前に進む。その体験は作品のタイトル通り、まさに“旅”だ。

 また本作を評価する上で欠かせないのが、いっさいの言語的説明に頼っていないという点。次に向かうべきところはどこかという目下の課題から、そもそも主人公は何を目的で旅をし、この世界は何なのかといった大局的な話にいたるまでのすべてを、プレイヤーは目の前の情景から察する他ありません。

 しかしここでのプレイヤーへの誘導が本作はとてもうまい。次に向かうべきところを自然とプレイヤーに感じさせつつ、安易な説明を省くことで、プレイヤーが能動的に目標を発見できたと感じさせることに成功しています。物語についても同様で、あえてミステリアスにすることで、プレイヤーに自主的に想像させ、自らの意志と力でゲームの世界に参加し、旅をしていると感じさせることができています。

  本作のオンライン機能もこの延長線上にあり、プレイヤーはゲーム中、同じエリアにいる他のプレイヤーと出会うことがありますが、ここでもシグナルを発する以外の意思伝達手段が設けられていません。しかしそれによって性別や国の違いなどさまざまな現実のしがらみをシャットアウトし、いまここにともにいる旅人同士の一期一会な関係に素直に感じ入ることができるようになっています。

 
ゲーム中に出会う他の旅人は、同じタイミングで同じ場所を遊んでいるどこかの国の誰かだ。

 まとめると、『Journey』は旅という行為を原始体験と呼べるレベルにまで抽出・再現した作品で、その原始性の純度の高さは、時代や特定の文化圏に左右されない普遍性を備えるまでにいたっていると言っても過言ではありません。だからこそ国内外問わず高い評価を集めたのでしょう。

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■アート・ゲームか否かは攻略性の有無にあり

 さて、ひと通り『Journey』の特徴について解説し終えたところで、改めて考えてみましょう。『Journey』はアート・ゲームなのか否か。答えはノーです。理由は簡単で、作品の面白さの根幹がゲームとしての「攻略性」に頼って設計されているからです。

 先ほども説明した、環境に細かく左右される移動感、言語説明が省かれた不明瞭な目標は、プレイヤーにとっては攻略すべき課題なのです。このふたつはスキルの習熟と謎解きと言い換えることもできるでしょう。

 環境と移動感の対応を学び、状況に応じて最適な操作をすることで、より素早くスムーズに移動できる気持ちよさ。周りの光景の因果関係を突き止めて適切な操作をすることで、新たな道が開けたり、秘密の部屋を発見できる気持ちよさ。本作のゲーム的な構造を分解すると、以上のふたつの掛け合わせで成り立っていると考えられます。

 
どこかに隠されていて、手に入れると飛行距離を伸ばせる光のオーブは、本作の攻略性を象徴している。

 詳しくは後述しますが、これらふたつの要素について、難易度はきわめて低く保ちながらも、攻略できたときの気持ちよさを最大限にプレイヤーに感じさせているところに、本作の尋常じゃないセンスと革新性がある。しかしいまここで考えたいのは、攻略性を軸にゲームの面白さや感動を形作っているという構造が、本作とアート・ゲームの違いを考える上での重要なポイントになるということです。

 ここで『Journey』からいったん離れ、今度は『Dear Esther』という作品について触れてみましょう。冒頭でも挙げたとおり、本作は明らかにアート・ゲーム側の作品ですが、ゲームの目的がひたすら前に進むのみという点では『Journey』にとても似た作風でもあります。

『Dear Esther』はもともとは『Half-Life 2』のMODとして開発された。
今回は触れないがMOD界にも実験的で魅力的な作品は多い。

 しかしながら『Dear Esther』が『Journey』と異なるのは、操作に習熟していったり謎を解いていくような要素、つまり攻略性がないということです。そしてこのゲームとしての攻略性のなさこそが、『Dear Esther』に限らず、アート・ゲームと呼ばれるもの全体の構造的な特徴とも言えるのです。

 僕のこの定義のひとつの根拠となっているのが、一昨年行われた“NOTGAMES FEST
”という小さなゲーム・エキスポ。インディーズ・ゲーム界ではあちこちでローカルなパーティをやっており、このNOTGAMES FESTもそのうちのひとつなのですが、注目すべきはトレイラーの冒頭に出てくるこの一文。「Can interactive media express ideas without competition goals winning or losing?」(インタラクティヴ・メディアは、そのアイディアを競争やゴールや勝ち負けなしで表現できるのか?)。



 要するにゲームをゲームたらしめる重要な要素である攻略性、これを用いずにゲームというかインタラクティヴ・メディアを成立させられるのか、というわけですね。もちろんこの発言はあくまでもNOTGAMES FEST内での提言に過ぎませんが、実際さまざまなゲームを遊んでみても、この線引きは有効だと感じています。

 そう考えると『Journey』という作品は、アート・ゲームと類される作品が否定しているゲームの攻略性、またそこから生じる感動を機軸にしている点においては、じつはアート・ゲームとは対極的な作品とも言えるのです。

■アート・ゲームは純粋体験を追い求める

 アート・ゲームについて、もっと詳しく掘り下げていきましょう。僕が個人的にこのジャンルを興味深く思っているのは、ゲームの攻略性を否定しようとしているところが、翻って純粋な没入感や体験性そのものへの追求に繋がっているからです。

 一方で観客自らが参加し、そこで得られる体験を至上とする点や、あるいは単純にアートという名称を使っているところからは、インタラクティヴ・アートとの類似性も指摘できるでしょう。しかしアート・ゲームがインタラクティヴ・アートの文脈ともまた異なるのは、母体となっているゲームが持つ攻略性以外の要素を、逆に深く引き継いだ上で体験性を構築している点にあるのです。

 これは同時にかつてのマルチメディア作品との違いとも言えます。ゲームには過去にも純粋芸術に近づいたジャンルがあり、90年代に当時のマルチメディア・ブームに乗る形で現れた、多分に実験的でゲーム性が極端に乏しいゲーム、つまりはマルチメディア作品と呼ばれていたものがそれです。

 日本では恐らく〈シナジー幾何学〉の『GADGET』がもっとも有名で、ゲーム的な駆け引きがいっさい無いまま架空世界をさまよう内容は、現代のアート・ゲームの性質に似ている。また先程のNOTGAMES FESTにも『Ceromony of Innocence』という当時のマルチメディア作品そのものが出展されており、現代のアート・ゲームの下敷きになっているのは明らかです。


上から『GADGET』及び『Ceremony of Innocence』。『GADGET』の方は近年iPhone、iPad向けに復刻された。

 90年代のマルチメディア作品の流れは、以降のゲーム市場の成熟と淘汰のなかでいったん途絶してしまいます。それから時は流れ、今度は07年あたりに台頭しはじめたインディーズ・ゲームの流れから現代のアート・ゲームが生まれてきたわけですが、重要なのはこの間に体験性や没入感に関わる表現手法は驚くほど進化し、アート・ゲームも当然その進化の上に立っているということですね。

 もともとこの進化はメジャー・ゲームが牽引してきたものですが、一方でメジャー・ゲームはマス向けの商品として成立するために、没入感を磨く以外にも、正しく攻略性であるとかゲームとして遊べる要素も同時に作品に込めていかなければなりません。もちろんマス向けであるがゆえに、表現内容そのものもある範囲で規定されてしまう。

 またときにゲームとして遊べるようにするために、かえって没入感が阻害されてしまうようなケースもままあり、そうでなくとも近年のメジャー・ゲームは没入感や体験性というものに対して挑戦的な作品が減ってきているという事実があります。

 アート・ゲームは、そんなメジャー・ゲームが築いてきた手法を継承しつつも、メジャー・ゲームでは掘り起こせていない体験性や没入感を、それに特化して追求できる、それができる可能性を持ったジャンルだというところに魅力があるのです。

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■アートと言えば何でもあり、なわけはない

 しかしながらこれは多分に理想論的な話であって、実際にアート・ゲームを名乗る作品のすべてがユニークな体験を生み出せているわけではありません。ハッキリ言ってしまえば、ほとんどの作品は完成度が低いのです。

 とくに説明不足、要素不足で後はあなたの方で想像してください、というパターンがとても多いのですが、これは僕から言わせれば投げっぱなし。想像力に委ねること自体には意義がありますが、それは決して作品側の不足を鑑賞者に埋め合わせさせるようなものであってはなりません。このバランスはじつに難しいのですが、ほとんどの作品が踏み誤っているのが実情です。

 また上記の煙に巻くような内容に、アート・ゲーム特有の攻略性のなさが加わると、本当に何の取りとめもない体験になってしまうし、他にも操作性が劣悪だったりとか、アートに関係なくゲームの基礎がなってないことも多いのが悲しい。

 完成度の低さはインディーズ全般の問題ではあるのですが、とりわけアート・ゲームに酷さが目立つのは、おそらく「アート」であることが逃げ口上になっている部分があるからでしょう。現代のアート・ゲームの直接的なはしりである〈Tale of Tales〉の『the Graveyard.』からしてそもそもそういう作品でした。

 08年初頭というインディーズがちょうど台頭しつつあるときに出てきた『the Graveyard.』は、老婆を操作して教会前のベンチに座らせて、BGMを聴き終えたら来た道を戻る、たったそれだけの内容です。当時は「これでゲームって言っちゃうの!?」みたいな感じで一部で議論を呼びましたし、それもあって後続のアート・ゲームの呼び水になった部分はあると思います。しかし素直に作品として見ると、やはり圧倒的に要素が足りない。

 
『the Graveyard.』は、製品版では老婆がランダムで死ぬ要素が追加されている。うーん......

 そういう事情もあり、期待感とは裏腹に現時点で僕が本当に良いと思えているアート・ゲームは、同じく〈Tale of Tales〉の『The Path』と、前半でも名前を挙げた『Dear Esther』の2作のみ。

 『The Path』は赤ずきんをモチーフにした作品で、『the Graveyard.』の翌年09年にリリースされました。アート・ゲームのお約束どおり、いっさいの攻略性がない代わりに、プレイヤーが触れたものに応じて結末が変わるという、分岐というか双方向的な変化を楽しむシステムになっていています。ヴォリュームも必要十分に備えており、『The Graveyard』の反省も活かされていて、アート・ゲームのもっとも典型的かつお手本的な良作と言えます。

『The Path』数あるTale of Talesの作品のなかでも最高傑作だ。
6人の赤ずきんの物語が不気味なホラータッチで描かれている。

 また『Dear Esther』のほうは前項でも触れたとおり、ただただ歩くだけの作品で、『The Path』の双方向的な面白さもありません。しかしモデリングやオブジェクトの配置のセンスが抜群に良く、さらに砂埃のエフェクトや風の音響等の繊細な表現が加わることによる環境の実在感は、ただ歩いているだけなのにゲームの世界に深く没入させてくれます。

 
単純なテクノロジーで『Dear Esther』より高度なグラフィックスのゲームは数多くあるが、実在感という点で匹敵するものはない。

 これはまさに『Half-Life 2』が示したグラフィックスと演出の向上による深い没入感と同一線上にある表現で、そこからさらにいっさいのゲーム性を廃し、純粋に没入するためだけの作品に仕上げたという点では、アート・ゲームの理念にいちばん忠実な作品とも言えるでしょう。

 これらの2作はいままでの僕のなかでは理想的なアート・ゲームという評価でした。しかし今回感じたのは、じつはこれらすらも『Journey』には及んでいないということです。ここにアート・ゲームとしての今後の課題が見出せるかと思います。

 ■『Journey』というベストアンサー

 再び『Journey』に話を戻しましょう。本作をアート・ゲームと比較して改めて感じるのは、プロダクトとしてまったく隙がないということ。無駄が無く最小限の要素が完璧に機能していて、またそれらすべては気持ち良さの表現という方向性で一貫している。

 とくにアート・ゲームとの分かれめになっている攻略性がすばらしく機能していて、攻略していく行為が本当に気持ち良い。しかも本作は難易度は低く抑えているにも関わらず、攻略したときの気持ちよさを最大限に描けているのは革新的とさえ言ってもいいでしょう。

 いままでの常識では、課題の難易度と攻略したときの気持ちよさは比例関係にあるとするのが普通でした。難しい課題を乗り越えたときほど、達成感や気持ちよさも高まるもの。しかしこの関係は一歩誤ると、難易度が必要以上に高くてストレスが溜まったり、攻略に精いっぱいでかえって没入感を削いでしまうことが起こり得ます。逆に難易度が低いと攻略行為が単なる作業と化してしまい、これまた没入感を削いでしまう。

 とりわけ『Half-Life 2』の登場以降、没入感や体験性重視のゲームは戦場を主な表現の舞台にしてきたわけですが、戦場の極限状態をプレイヤーに体験させる上で、どうしてもこのジレンマがつきまとってきました。そして今日にいたるも根本的打開策は見出せておらず、この問題は半ば放置されつつあります。

 一方で、そもそもこうした攻略性と体験の衝突を忌諱して、アート・ゲームは攻略性を捨て、それでも成立する純粋体験の確立を目指しているのですが、そこにもいろいろと問題がある、ということを前項までで書いてきました。

 『Journey』の攻略性はこれら既存の問題点をすべて乗り越えた上に成り立っています。そしてそれを成立させているのは、攻略性そのもののデザインのセンスが圧倒的に良いことももちろんあるのですが、卓越した演出力による部分も相当大きい。

 グラフィックスから音響まで一級品で、絵作りの方向性はインディーズ的ですが、完成度は他とは比較にならないぐらい高い。そしてこれらが、課題をクリアしたときや迫る脅威をダイナミックに演出していて、実際以上に物事を大きく感じさせることに成功しています。

 
先に進むために橋を架ける。やることは簡単だが、その結果は壮麗に演出される。

 この、かつてはゲーム・デザインで表現していた感動を演出で代替するという考え方は、没入感や体験性重視のゲームの基本ではありますが、これほどうまくいっている作品はいままで遊んだことがありませんでした。そして本作のこのアプローチと成果は、攻略性を捨てて純粋体験を追い求めていたアート・ゲームの界隈にとっては、痛烈なカウンターになっているのではないでしょうか。

 『Journey』は攻略性の有無という点でアート・ゲームとは決定的に違うと書いてきましたが、逆に言うとその点以外はとてもアート・ゲーム的なアプローチを取っている作品です。それがかえって現状のアート・ゲームの問題点を浮き彫りにしているし、いっぽうアート・ゲーム側からすれば『Journey』から学び取れることは多大でしょう。

 たとえば『Dear Esther』なら、『Journey』のような攻略性を入れろとは言いませんが、少なくとも地形によって変化する移動感は、そのまま取り入れるだけでもかなりプラスになるはず。坂や階段、ぬかるんでいたり草が生い茂っていたりと、現実で起こり得る移動感を克明に描写することは作品のテーマに沿っているし、とくに『Dear Eshter』は一人称視点ですから、これによる没入感の向上は『Journey』以上のものになれる期待も持てるはずです。

■まとめ

 『Journey』自体は紛うことなき傑作。PlayStation 3を持っている人なら誰もが遊ぶべき価値ある作品です。そのいっぽうで『Jouney』以外のアート・ゲームの作品、とくに『The Path』や『Dear Esther』にも触れてみてほしいのが僕の正直な気持ちです。総合力では『Journey』には及んでいませんが、それぞれユニークな体験をさせてくれる作品であることには変わりありません。

 正直に言って、『Journey』は見かけはインディーズみたいだけど、予算も開発体制もまるで違うはずなので、それを考慮すると『Journey』と他のアート・ゲームを比較するのはフェアじゃない気もするし、越えられない壁は確実にあると思う。

 しかしいざ市場に出ると、こういった生まれの差はまったく関係なく同じ土俵で評価されるのが海外のゲーム業界の面白いところでもあります。つまり究極的には感動させたもの勝ちの世界であり、感動させるのに必ずしも大規模な開発リソースが必要なわけではありません。

 今後のアート・ゲームは『Journey』から見習える部分は見習い、よりいっそう表現内容を突き詰め完成度を上げていってほしいし、そのいっぽうで『Journey』に物怖じしないユニークな作品を作り続けてほしいです。

Local Natives - ele-king

 『(500)日のサマー』が自分の周りでけっこう話題になったとき、そのいかにもアメリカン・インディっぽい恋愛映画を観る層が日本にもまだ一定数いることに少なからず驚いたのだった。イマドキの文化系男子はほぼ全員オタクになっているという偏見を持っていたので、オシャレだけれども冴えない男が主人公で、キュートだが奔放な女の子に振り回される......というような、かつてのサブカル界隈では典型のラヴ・ストーリーが日本ではもはや受けないと思っていたのである。僕がかつてもっとガキで偏狭だった頃、そういうインディ・サブカル男子のことはどうにも「かわいい女の子に振り回されるボク」を正当化しているフニャモラした男に見えて、敵視していたものだった......それならば70年代のギャング映画を観るぜ、と。ガキだったということです。けれども、『(500)日のサマー』を観たときは、インディ男子のアイコンであるズーイー・デシャネルに振り回されたい願望の炸裂っぷりに一言物申したい気持ちはやはりありつつも、頼りない青年の成長譚としては真っ当でいいのではないかと「彼ら」とようやく和解できたのである。オシャレなサブカル・インディ男子だって、この国ではもはや少数派になりつつあるか、もはやたんなる趣味だと見なされるようになっているのだから......(偏見だが)。

 ローカル・ネイティヴスが登場したときにも、これはオシャレなインディ男女の好みにパーフェクトにフィットするバンドなのではないか......と反射的に身構えてしまった。西海岸版のフリート・フォクシーズ、素朴なグリズリー・ベア、60年代風のアニマル・コレクティヴ......形容はいろいろあるだろうが、トライバルなリズム解釈による躍動感と流麗なコーラス・ワークがこのバンドの大きな売りであることは間違いなく、それは当時のUSインディのなかにあってあまりにも優等生的な振る舞いだったのである。彼ら自身の強い個性や主張はない。フリート・フォクシーズの厳格さも、グリズリー・ベアの不穏さも、アニマル・コレクティヴの明るい壊れ方もなく、マジメにトーキング・ヘッズのカヴァーをやる辺りも何だか利口な回答に思えた。演奏もアレンジも巧みで、ルックスが良く、しかもファッショナブルな服装のメンバーが並んだときの佇まいもバッチリすぎて、10代の僕ならきっとイチャモンをつけていたことだろう。
 が、彼らの2枚目である『ハミングバード』はザ・ナショナルのアーロン・デスナーをプロデュースに迎えて、弱点であったサウンドの平坦さに立体感を与えることに成功している......という、あまりにも真っ当なバンドの成長を見て、この素直さは愛されてもいいのではないかと思い直すことにした。オープニング・トラックのタイトルは"ユー・アンド・アイ"、つまり"キミとボク"で、歌っていることは「きみとぼく/ぼくらいつだって強かった/それだけでやる気が出た/信じて」という、ちょっと幼すぎるのではないかというモチーフだが、音としては陰影のあるギターとピアノが濃淡をもたらしている。前作よりもはっきりと曲の構成がダイナミックになり、耳を楽しませてくれる箇所が多い。得意のトライバルなパーカッションとコーラス・ワークを敢えて減らした結果だそうだが、"ブレイカーズ"では結局それらが伸び伸びと躍動していて、自分たちのいいところも見せたかったのだなと微笑ましい。いっぽうで"スリー・マンツ"や"マウント・ワシントン"、"コロンビア"などのバラッドはよく抑制されており、このバンドにこれほど情感に満ちた歌があったのかと驚かされる。歌詞にも内省や迷いが目立つようになった。
 それでも、アルバム全体から立ち上ってくるフィーリングは、キュートだが頼りない青年たちの精一杯さである。そのむず痒さこそがローカル・ネイティヴスを聴くことであり、何だかんだ言ってもブローステップで騒ぐマッチョな連中が結局アメリカでは強いようなので、彼らのような優等生は現在やや劣勢を強いられているのだろう。サマーに振り回された挙句フラれたトム青年にインディ男子が大いに共感したように、ローカル・ネイティヴスの素朴な頑張りとスウィートな歌に勇気づけられるのは、決して悪いことではないだろう。
 そう言えば、『(500)日のサマー』には、インディ男女の次なるアイコンの筆頭であるクロエ・グレース・モレッツが『キック・アス』よりも幼い姿で出ており、既に「彼ら」の目を奪っていたのだった。

月刊ウォンブ! - ele-king

 ステージをリングに見立てる趣向は、間違いなく成功していると思った。フロアの中央付近にほとんどやぐらのように構えられたステージには、ボクシングのリングを模して柱が立ち、ロープが張られている。360°というわけにはいかなかったが、ステージの後ろの方にまわりこむこともできる。わたしにはそれが新たな祭りを呼び込むための装置であるように見えた。
 ともすれば発信側の一方通行にもなりかねないライヴ空間から、ショウとしてのダイナミズムを最大限に引き出したい......音響を台無しにしてまでこのコンセプトを優先したこと(いや、ほんとにそういう意図であるのかどうかわからないが)には、ひとまず意味があったと言えるだろう。演奏者はオーディエンスを食う、オーディエンスもヘタなものを聴かされたら承知しない。そしてジャンルを異にする演奏者同士もリングの上では残酷なまでにひとしく比べられるライヴァルだ。そんな3方向の本来的な緊張関係をコミカルに可視化することで、会場には独特の求心力が生まれていたように思う。ステージだけに集中するのではなく、リングをふくめた会場全体へ視野が広がっていくようなところがあって、そのぶんワクワク感が伝播しやすく、増幅されやすい。ビールを手にスポーツ観戦をするようなほどよいリラックス感もあった。第1回めということだが、どういう意図でこうしたかたちを目指したのか、主催側の前口上を聞き逃してしまったのが残念である。(付記:実際に前口上をされていたのは名司会の長州ちから氏。すみません!)


ミツメ

 さて、渋谷で駅からTSUTAYA以上の距離を歩くのが苦手なわたしは、WOMBまでの長い道すがらをエア同行者を作ってなぐさみとしたので、非実在の同行者・城戸さん(憧れの先輩設定)との会話にも都度ふれることをお許しいただきたい。

城戸「いったいなんて場所に立ってるんだ、WOMBとやらは。」
わたし「ふふふ...」

 こんな要領である。ホテル街の細い路地を急ぐ影が、数メートル間隔でちらほら続いていた。いずれライヴハウスもエキナカになる時代が来るかもしれないが、ライヴ空間へ接続するまでの「歩く」という導入部は、かったるいながらも確実に重要な役割を果たしていると感じる。

 さて、今回のイヴェントに集められた3つのアーティストのいずれもにヴァンパイア・ウィークエンドやアニマル・コレクティヴの面影を認めたので、そのことも先に書いておきたい。ユーフォリックなトロピカル・サイケとして、そのなまあたたかさをほどよく脱臼させるアフロ・ポップとして、彼らの面影はそれぞれの演奏のふとしたところに顔をのぞかせた。ある意味では、00年代の音楽をリアルに消化した世代が、その次に何をプレゼンテーションできるのかということを観察できる機会だったのかもしれない。

わたし「ですよね? 城戸さん。」
城戸「ああ。ミツメはすばらしいな。」

 ミツメはすばらしい。残念な音響のことは割り引くとして、完全に世界標準の10’sインディが鳴っていた。やりたいことは明確で、アニマル・コレクティヴやヴァンパイア・ウィークエンドなど00年代USにおけるもっとも大きな成果のひとつが、のちの世界に何をもたらしたのかということをまざまざと見せつけられる。

 余談だが、00年代のはじめには、もう海外の音楽シーンが、たとえばグランジやブリット・ポップ以上の規模で日本に影響を及ぼすことはない――それは音楽のみにとどまらない、社会構造や文化全般の問題も含むわけだが――のではないか、両者は文化として溶け合うことなく、翻訳されないまま個別に存在していくのではないか、などと思ったものだったけれど、そうでもないようだ。ブルックリンや西海岸のアヴァン・フォーク勢が残したもの、それがひるがえってチルウェイヴへと接続していったもの、あるいはカレッジ・チャートの明るく軽やかな知性、等々のディテールをしなやかな筋肉に変え、彼らは日本の土を蹴って走っている。じつにシャイな印象で、ふだんのライヴはわからないが、まるでスタジオでのリハをのぞき見しているような、客のいないところで演奏しているかのような、インティメットな空気感がある。
 それもよい。ミツメの音楽には誰かの耳を無理やり開かせようというところがない。北風と太陽で、太陽が自然に人の上着を脱がせるように、彼らの音はただ遠くの方で誘っているだけだ。3曲めくらいだったか、トム・トム・クラブのような小粋なファンク・ナンバーがはじまったときに、人々は控えめに、心地よさげに、身体を揺さぶりはじめた。上着を脱ぐ――われわれが完全にこのイヴェントへとスイッチした瞬間である。

城戸「さあ、われわれも乾杯だ。」
わたし「ハイ、城戸さん。」

 おいしく乾杯しました。城戸さんは彼らのトレーナーやカーディガンといった服装も気になったようだ。「イェール時代を思い出すな」と言って目を細めていたけれど、たしかに学生っぽい、生真面目さと自由さがないまぜになったようなたたずまいにも、まぶしいようなストーリー性を感じる。彼らはそれをファッションとしてではなく、ユニクロのように着ているのかもしれず、それもまた好ましい。


アルフレッド・ビーチ・サンダル

 アルフレッド・ビーチサンダルはさすがの一言。バンドでのセットの方がよいという話も聞いたが、ギター1本でしっかりフロアの心臓をつかんでいた。声も比類ないが、彼にとっての翼はその文学性だろう。むろん、名義からしてあまりにびりびりくるセンスを放っているわけで、はじめてその名を聞いたときは幻の歌人フラワーしげるの「俺は存在しないお前の弟だ」を思い出し、「お前」がアルフレッド・ビーチサンダルであってくれればいいと思った。「ついに夏がきた」「僕はビーチサンダルを見つけなければならない」(“ファイナリー・サマー・ハズ・カム”)と歌い出して典雅に完璧に挨拶をきめ、ボトルシップで行くような奇妙でサイケデリックな物語の小世界を開いていく。ちょっとしたインスタレーションのようなイヴェントも行うようだが、こうした場所でシンプルに魅力を伝えられるアーティストでもあるのだなと感服した。ギターのことはわからないが、実に神経に心地よい鳴りで、ルート音が電子音のように響いている。テクニックが言葉と世界観をひかえめに支えている。

城戸「音響はつくづく惜しいのだがな。」
わたし「それは仕方がないですね。」

 われわれは素敵に酔いながら、フリー・マーケットのスペースへと向かった。上のほうの数階はそれぞれ喫煙スペースやフリマを含む物販スペースなどになっていて、ぶらぶらと回遊していられる。

わたし「きゃっ、城戸さんだめです。パンツです。」
城戸「なっ......!?」

 パンツを売っていた。


シャムキャッツ

 シャムキャッツは本当に輝いている。そして華があった。きっと、アイドルにすっかりお鉢を奪われたテレビの音楽番組のなかでさえ輝けるだろう。いまロック・バンドというフォーム自体にかつてほどの存在感やエネルギーは感じづらい。しかしすくなくとも「彼らは」生き生きと、貪欲に生きていて、生きてやるぞという腹の底のエネルギーがバンド・サウンドにリアリティを与えているように思われる。そして同様のバンドが地下には存在し、夜な夜な少なからぬ人々を楽しませているということまでをしのばせる。
 もちろん、生き生きと生きることは当世風の賢さから導き出された彼らの批評性そのものでもある。無邪気な「生きよう!」ではない。「(おもしろくない世の中をあえておもしろく)生きよう!」なのである(https://www.ele-king.net/interviews/002701/)。そうした複雑な屈折と意志を含むかれらの全力の遊びに、われわれは乗るのか、乗らないのか。
 時折ダンゴのようにもつれるアンサンブルの強烈な愛嬌、ペイヴメントのヨレヨレ・ポップからストーンズへと突き抜けるような猥雑さと強さ、クラスでまぶしすぎる人たちの持つ圧倒的な輝き。彼らは人を乗せ人の心を持っていくことにあまりにも慣れている。ミツメは音楽自体の持つグルーヴで人を動かそうとしていたが、シャムキャッツはその無敵感あふれるバンド・ケミストリーによって人を動かすというところだろうか(もちろんベースとドラムの功績を称えないわけにはいかない。ファンキーな曲になると突如として彼らの顔と身体はキレを増す)。ラス前をスペーシーなインプロで盛り上げ、“なんだかやれそう”などのアンセムへとつなげていくステージングも実に堂に入っている。それに、『ゴースト・ワールド』についての長めのMCもよかった。たしかにイーニドやレベッカが日本人ならこの会場にいただろうし、シャムキャッツを10代の傲慢さで冷笑したかもしれない。しかしその10代の傲慢さは、シャムキャッツの音楽に巻き込まれずにはいられないものでもあるのだ。

わたし「城戸さんはどう思います......?」

 ライヴの余韻のなかで気がつけば、わたしはひとりである。いっしょに帰りたかったのに、いつもつれない城戸さんは今日も通常運転であった。

今年も「日本一はやく」! - ele-king

 「日本を代表する春の都市型音楽フェス」として、クラブ・ミュージック・ファンを中心に広まりつつあるこのスター・フェス。2013年もさらなる盛り上がりが期待されている。出演アーティストも先日第2弾が発表されジャザノヴァやフレンドリー・ファイアーズ、DJケンタロウにデ・デ・マウスとじつに豪華。そして本日は第3弾出演情報が解禁! ジ・オーブ、電気グルーヴ、80KIDZ、セオ・パリッシュと今回も破格。ele-kingでも追ってイヴェントやアーティストの紹介を行っていきます!

日本を代表する春の都市型音楽フェスとしてデビューした『StarFes.』が2013年春に再び!

"日本一早い夏フェス"として、2012年3月にお台場特設会場にて華々しくデビューした『StarFes.』。

ジャンルにとらわれることなく、最高のアーティストと共に自由な発想で繰り広げられるステージは、多くのオーディエンスを魅了し、早くも春を代表する都市型音楽フェスとなった。
次回開催への期待が高まる中、更なる進化を遂げて、『StarFes.2013』となって帰ってくる!!
開催日程は2013年3月23日(土)、会場もスケールアップして東扇島東公園(神奈川県 川崎市)にて開催される。

そして、StarFes.2013の前哨戦とも言える『StarExhibition.2012』が2012年12月14日(金)に東京・日ノ出桟橋にあるTABLOIDにて開催された。
成長の途上にある次世代アーティスト「Next Star」3組がStarFes.2013への出場をかけたコンテストを実施し、rega、DaichiがStarFes.の出演アーティストとして選出された。

StarFes.2013、StarExhibition.2012、と新たな試みに挑戦するStarFes.に乞うご期待!

『StarFes.』

開催日時:2013年3月23日(土)
会場:東扇島東公園(神奈川県 川崎市)
出演:ジ・オーブ、電気グルーヴ、80KIDZ、セオ・パリッシュ他
チケット;¥3,500(前売り)発売中
公式サイト:https://star-fes.net

Scissor Lock - ele-king

 本作の話題性は、ひとつにはジャケットのアート・ワークにある。これがジャスティン・ビーバー"ビューティー・アンド・ザ・ビースト"のPVから借用して加工したものであるということに触れないレヴューはないだろう。当のビーブズの顔はフレアのような加工で消されているわけだが、わたしが読んだなかでこれを権利関係の問題として解題する記事はなく、もっぱら制作者がジャスティン・ビーバーに寄せる(オブセッショナルな)思いであるとか、ポップとエクスペリメンタリズムとの間の葛藤であるとかなかなか大層な解釈が加えられていた。うまいじゃないか......過大解釈を上積みさせる、クリティカルなジャケット。トイ・カメラのような色合いは久々に見るチルウェイヴ・マナーで、これをいまのタイミングで召還することも、ビーブズに掛け合わせることも、何か狙いがあってのことと考えざるをえない。それに、対象をぼやけさせるのは彼らの十八番であり、自画像でもあった。となれば、ジャスティン・ビーバーがぼやけていることにも意味を見つけ出したくなる。
 チルウェイヴはドリーミーな自閉空間を、屈託や釈明なくきわめて自然に肯定する音であったし、そのことでもってベッドルーム・ポップに新しい局面を拓いた。その彼らがアンビエント、ハウス、R&B等々、思い思いに散開していったのちにどんなものに行き当たり、どんな在り方を示すのか。向後10年はずっとそれを気にしているはずのわたしのようなリスナーには、なにかとかしましいアート・ワークなのである。

 さて、本作の制作者はシザー・ロックことマーカス・ホエール。オーストラリアはシドニーのプロデューサーで、もしかするとコラーボーンズというエレクトロニック・デュオの片割れとしてご存知のかたもいるかもしれない。本作はそのホエールのソロとして初めてまとまったかたちで発表された4曲だ。"チューン"は、彼の初のソロ・リリースとして昨年発表されている(トーマス・ウィリアムスとのコラボ作)。コラーボーンズ自体がすでにポスト・チルウェイヴ的ないくつかの方向性を含んだユニットで、2枚のアルバムにはクラウドラップやトリルウェイヴ、90年代風のR&B、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルらのようなウィッチハウスの展開形、シンセ・アンビエント、ドローンなど多彩な音を聴くことができる。チル・アウトなフィーリングと切なげなエモーション、そしてビーブズへのこだわりも(!)ホエールズのソロと共通している(EP『タイガー・ビーツ』に"ワン・タイム"のカヴァーを収録)。
 『チューン』は、全体としてはアンビエント作品ということになるだろうか。曲ごとにさまざまな工夫がなされながらも、声やヴォーカルというものに対する執着が感じられるのが特徴だ。スクリューを応用してジュリアナ・バーウィックの男性版ともいうべき声と光の祝祭的コラージュを編み出す"アウター・スペース"。インダストリアルなテイストをわずかにしのばせたノイズ・アンビエントに裸のヴォーカルが乗る表題曲"チューン"。"ナン"は、今度はメデリン・マーキーの男性版かというヴォコーダー使いのエクスペリメンタルなア・カペラ独唱。最後はチラチラというベルがパンサ・デュ・プリンスを思わせ、儀式的な唱和と土木作業かなにかのサンプリングが中世的な意匠をもって差し挟まれるドローン風のトラック。いみじくもタイニー・ミックス・テープスが「ヴォーカル・サイエンス」と名づけて遊んでいるが、言い得て妙である。
 また、先鋭的な女流と方法を交えるところも興味深い。女性的という意味ではないが(彼女らもまた女性的と言えるかどうかわからない)、ジュリアナ・バーウィックやメデリン・マーキーらと並べられるしなやかでつよいエモーションがある。彼はコラーボーンズの楽曲解説においてゲイであることをほのめかすような発言をしているが、そうした彼の在り方に関係する部分もあるかもしれない。それから、理に勝るよりも情動に賭けたいというようなところが感じられる。そういう感じ方が理知的な精神から生まれることは疑いないが、情動について彼の音のディレクションは間違わないというか、瞬間瞬間の感情の動きを写し取ることに大きな注意が払われていることがわかる。声を重視するのも同じ理由ではないだろうか。"ナン"で大風のようにひときわつよい発声がなされるとき、われわれの心もその動きに合わせてとても感じやすく自由になるだろう。

 最後にビーブズの本家PVについて。そこではまるでセレブなリゾートの狂騒が描かれるが、どことなくクリーンで他愛もない感じがするところには好感を持ったし、新しいフィーリングがあるようにも思った。そのことはホエールのなかでもおそらく肯定的に、共感的にとらえられている。どぎつい色使いなどもいっさいない。ネオンには透明感があり、画面をすべる光の感覚はシザー・ロックのジャケットの風合いともともとほとんど変わらないのだ。だが、このジャケットを見る前に同じように感じられたかどうかはわからない。その意味ではとくにお騒がせなアート・ワークではなく、ホエール自身の純粋な共感と解釈がこめられたものとして彼の音楽を補完するものであると感じられる。

DOWN NORTH CAMP / REFUGEE MARKET in シモキタ - ele-king

 アーバンとジャンクのいけない好配合、多色迷彩のヴァリエーションで飾るDOWN NORTH CAMPがシモキタに2daysポップアップ出店したREFUGEE MARKET。
 当日の写真とDJのプレイリストのみで構成したイヴェント・レポートをどうぞ。まずは写真を見ながら下にあるプレイリストを楽しんで下さい。

photo by Keita Sakai , and ele-king

photo by DNC(SORA/DJ49/CENJU/KATEETO/K.K.K.K.K./YK_VENOM/CHANGYUU/YAHIKO/and... 順不同)

Refugee market DJ playlist

BUDAMUNK
Redman "Funkorama (Double Green Remix) featuring Erick Sermon"



CHANGYUU
Jackie Mittoo / Ghetto Organ



febb
Barbara Mason/ You did not stay last night



Gatcha
RLP - Kler



GONZ
Jay-Z /Girls, Girls, Girls



K.K.K.K.K.
Dennis Brown / Here I Come



KID FRESINO
Ruc Da Jackel & Challace / I'm good



PUNPEE
Snow world×Guess who's back(mush up)/Gapper×Scarface


MASS-HOLE
L.V./Gangsta's Boogie (Barr 9 Version)



WOLF24
John Holt / Lonely Girl



Yodel
2chainz / I'm different (mighty mi&slugworth trap mix)



49
DOWN NORTH CAMP / ooamp


total coordinate by SORA,CHANGYUU (DNC)
DOGEAR RECORDS https://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com
booking downnorthcamp@gmail.com

二木信、日本半縦断トーク・ツアー! - ele-king

 さて、みなさんはもうお読みになられましたでしょうか? 2013年をファンキーに生きる手引書『しくじるなよ、ルーディ』を刊行した二木信があなたの街へお邪魔します! お迎えするゲストも豪華! 動く二木信を見て癒されちゃってください。

 00年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行したばかりのファンキー・ライター二木信のトークイベントが、渋谷、京都、大阪、新宿、福岡で連続開催!!!

 ヒップホップのみならずさまざまなアーティストとのコラボが印象的なラッパー環ROY、大阪ディープサウス秘史を圧倒的密度で描いた著書『通天閣 新・日本資本主義発達史』がサントリー学芸賞を受賞した社会学者・酒井隆史などなど、土地毎に異なる対談者を迎えてヒップホップに始まる音楽論は勿論、風土風俗について、アングラ文化についての筋書きの無いクロス・トークに是非とも注目いただきたい!!!

■2月2日(土)東京 タワーレコード渋谷店

1/18に発売された『しくじるなよ、ルーディ』の発売を記念して、タワーレコード渋谷店4Fにてインストアイベントを開催!
著者である二木信の対談相手はなんと環ROYに決定!これは見逃せない!

出演: 二木信、環ROY
日時: 2013年2月2日(土) 18:00~
会場: タワーレコード渋谷店4F
参加方法: 観覧フリー

《ご注意》
※ご予約のお客様には優先的にサイン&特典引換券を確保し、商品購入時に引換券を差し上げます。
※アーティストの都合により、内容等の変更・イベント中止となる場合がございますので予めご了承ください。

タワーレコード・イベントインフォ:https://tower.jp/store/event/2013/01/003046
環ROY HP:https://www.tamakiroy.com/
Pヴァイン HP : https://p-vine.jp/artists/shin-futatsugi


■2月10日(日)京都 100000t アローントコ

『しくじるなよ、ルーディ』 刊行記念 二木信トークショー!
「日本のラップのことば――その多様性とファンクネス」

 類い稀なるバイタリティで、日本のヒップホップの人と現場と背景を取材し続けてきた音楽ライター、二木信氏の初の単著『しくじるなよ、ルーディ』が刊行されました。それを記念して開催するこのトークショーでは、「日本のラップにおけるファンクネスとはなにか?」という問いからスタートし、芸能・民俗・大衆文化・都市空間といった論点も含め、現在の「ことば」の可能性について思考する切り口について、二木氏自身に自由に語っていただこうと思います。ヒップホップ・リスナーに限らず、「ことば」に何かを見出そうとしている方々のご来場を、心よりお待ちしております

トークゲスト:二木 信(Shin Futatsugi|音楽ライター)
聞き手:村上 潔(Kiyoshi Murakami|現代女性思想・運動史研究)
日時:2013年2月10日(日曜)19:00~21:00〔18:45開場〕
会場:100000t アローントコ(京都市中京区寺町御池上ル 上本能寺前町485 モーリスビル2F)
https://100000t.blog24.fc2.com/
参加方法:入場料:500円

*事前申込不要(入場者が定員に達した場合、ご入場をお断りする場合があります。
あらかじめご了承ください。)
*終了後、会場近くで、ゲストを交えた簡単な交流会を行なう予定です。

●村上 潔(Kiyoshi Murakami)
1976年、横浜市生まれ。2002年~2006年まで、『remix』誌ほかで音楽/映画ライターとして活動。現代女性思想・運動史研究。立命館大学大学院非常勤講師。著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版)など。


■2月11日(祝・月)大阪 スタンダードブックストア心斎橋店

『しくじるなよ、ルーディ』刊行記念トークイベント

 大阪ディープサウス秘史を圧倒的密度で描いた『通天閣 新・日本資本主義発達史』(青土社)で第34回サントリー学芸賞を受賞したヒップホップ第一世代の気鋭の社会学者・酒井隆史とのスペシャル・トークショー開催!! 街にうごめく人びとの逞しく、猥雑な生き様に魅了されてきた2人が、"People Make The World Go Round"をテーマに、街と人と音楽について縦横無尽に語りあう!!

日時:2013年2月11日(月)※祝日 開場11:15 開演12:00
出演:二木信、酒井隆史
開場:スタンダードブックストア心斎橋店 https://www.standardbookstore.com
参加方法:入場料1,000円(ワンドリンク付き)

※当日のご入場はチケット番号順です。
※チケット番号は予約順ではなく、ご入金順になります。
※チケット引換が遅くなりますと立ち見になる場合がございます。
※ご予約数によって当日券の発売を中止する場合がございます。

【予約方法】
お電話(06-6484-2239)
ご来店(スタンダードブックストア心斎橋BFレジカウンターへお越しください)
メール ご対応可能です、詳細はこちらまで
https://www.standardbookstore.com/archives/66094747.html


★2月23日(土)東京・新宿★

詳細、近日アップ!!


★2月24日(日)福岡★

詳細 近日アップ!!

 2012年にツイッターで話題になった音楽ジャンル(orタグ)はなんだろう? シーパンク#Seapunk/ヴェイパーウェイヴ#Vaporwave/ジューク#Juke/ウィッチハウス#Witchhouse/ニューエイジ#Newage/ゴルジェ#Gorgeとか。
 ゴルジェ? そんな音楽あったの? グーグルで「gorge」と検索してみる。「インド~ネパールの山岳地帯のクラブシーンで生まれた新ジャンルの音楽「Gorge」について。」というツイートのまとめページが出てくる。まとめられているツイートもほとんど一部の人たちだけが扇動しているだけ。アーティストのインタヴュー記事など、情報はすべて日本語だ。
 ならば発祥の地のアーティストはどういうひとたちがいるのかと思い、ためしに「india gorge music」で検索してみる。トップに出てくるのは―――ジョージ・ハリスン(George Harrison)のウィキペディアだ。

 そこで僕は、トラックスマンの熱にうなされながら、日本国内で行われた「Gorgeフェスティバル・イヴェント」であるらしい「Gorge I/O Tokyo 2012」(10月27日)へ潜入した。桜台で。桜台? 「インド~ネパール」の音楽のイヴェントが桜台なの? ラーメン二郎を食べてから向かったまるで工場や用水路の跡地のような会場(POOL)には、インド人もネパール人もいない。ただそこにあるのは、DJマッチポンプによるSE、インダストリアルなノイズやテクノやアンビエントのライヴ、そして「GORGE was Fake」というTシャツを着た愉快な日本人たち、そしてあたたかそうな山飯......。

 そんな、そんな日本解釈の「ゴルジェ」を標榜するアーティストたちが、なぜかシカゴ発祥の日本国内のジュークのアーティストたちと抗争を起こしており、その決着をイヴェントとして見世物にするようだ。

 ことの経緯はジョージ・ジュークムラややカムキ・マヒトなるアーティストたちのバンドキャンプを参照してほしい。

 イヴェント詳細は以下。もちろん僕も向かおうと思う。パブリック娘。の重要会議がちゃんと終わったらね!

遂に日本で全面対決へ!? 「2/2 Juke VS Gorge」 - GORGE.IN.CLIPS:
https://gorge-in.tumblr.com/post/41506798782/2-2-juke-vs-gorge


果たしてこの全面抗争が和解の方向に向かうのか、さらなる確執へと発展していくのか。その結論が出るのが2/2である。

さらにサウンド対決に加えて、この抗争をおさめるべく出演者によるトークセッションも予定されているという。

全世界が注目するこのイヴェントに、審判として来場できるのは日本在住の方の僥倖であるはずだ。

そして場外乱闘として、広島のCRZKNYが提唱されたとされていた、GogeとJukeの鬼っ子的ジャンル、"Gorjuke"について、その起源めぐる争いが勃発している模様だ。

詳細は各トラックのリリースノートを呼んで欲しい。

広島で行われる[GHETTOMANNERS vol.3] とともに、2/2は日本のゲットーシーンにおいて何かが変わる音を聴く決定的な日になることは約束されている。その日を安穏として過ごすか、その現場に向かうかは、あなたの判断に任せられている。

『JUKEvsGORGE』
https://www.super-deluxe.com/room/3338/

六本木SUPER DELUXE
開場 18:00 / 開演 18:00
料金 予約 2000円 / 当日 2500円 (ドリンク別)

■Juke Side
D.J.Kuroki Kouichi [DJ]
FRUITY[DJ]
Guchon [Live]
Boogie Mann [Live]

■Gorge Side
HiBiKi MaMeShiBa[DJ]
hanali [Live]
kampingcar [Live]
K2 (uccelli + Gorge Clooney) [Live]

■Talk Session
「The mystery of juke&gorge」
Kuroki Kouichi × hanali × uccelli × fruity × ?



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