「W K」と一致するもの

GEZAN - ele-king

 3月14日に武道館での単独公演を控えるGEZAN。2月11日には最新アルバム『あのち』も発売される彼らだけれど、このタイミングで、2017年にリリースされた7' シングル「Absolutely Imagination」のリプレスが決定している。タイトル曲は、サブスクリプション・サーヴィスにおいて現在公開中のGEZAN楽曲のなかでもっとも多く再生されている曲だ。発売は、武道館での公演の少し前の2月27日。彼らにとってターニング・ポイントとなった “Absolutely Imagination” を、この機に。

GEZAN / Absolutely Imagination(2ndプレス)
KKV-051VL2
2026年2月27日発売
2,200円税込
アナログ7インチ+DLコード
JANコード:4580015782024
収録曲
Side A. Absolutely Imagination
Side B. Ambient Red

2017年にリリースされたAbsolutely Imaginationの7インチがジャケットも新たにしてリプレス決定!
Recording Engineer : Keiji Kondo / Photos : Shiori Ikeno / Title : STANG

2016年9月アルバム『NEVER END ROLL』発売と共にドラムが脱退、GEZANとしての活動を休止しつつもNEVER END ROLLERSとして3人で楽器を持ち替えてのライブ活動を継続。そして2017年2月石原ロスカルを正式メンバーに迎え活動を再開を宣言する曲となった。
全感覚祭を主催しフジロックの3つのメイン・ステージを制覇、この10年何かが起こりそうな現場には必ずGEZANがいた。2026年3月の武道館公演に向け、日本中で響き合うことのできるアーティストと共演をしながらツアーを行なってきた。そんな彼らターニング・ポイントのひとつとなったシングルが再発となる。
音楽だけでなく、オルタナティブという空気の最前線を刺激し、言葉と音と行動でジャンルやカテゴリー、地域や国境すらも縫うようにGEZANは進んできた。2017年にAbsolutely Imaginationで歌われた『暗闇という現在』、その闇は今さらに深くなっている。オルタナティブであることを自覚しながら限界を設定しないGEZANの音楽が響くその先を見たいと思う。

interview with Sleaford Mods - ele-king

 社会の底で生きる、いわゆる“見えない人びと”を描いたイギリス映画『バード ここから羽ばたく』には、登場人物たちが、どんちゃん騒ぎのなかスリーフォード・モッズの曲を大合唱するシーンがある。“Jolly Fucker”という、低賃金労働への不満を爆発させ、前向きに生きようぜと、ポジティヴな態度を強制する社会への嫌悪全開の人気曲だ。この曲が重要なのは、社会の下方からの抗議を表現しているからではない。“Jolly Fucker”は、イギリスのポップ・カルチャーが長いこと喧伝してきた労働者階級の「誇り」なんてものが嘘八百だと主張しているからだ。そんなものはいまや不安定雇用と失業、福利厚生の切り捨てによって空洞化している。階級闘争は人種憎悪にすり替わり、仕事はあるが希望はない。家庭は重荷でしかなく、楽しみは消費だけ、労働者階級の連帯感などとっくに崩壊している。振り返っても、何も残っちゃいない。すべてにうんざりしているんだ。スリーフォード・モッズ、そのヴォーカリストであるジェイソン・ウィリアムソンのインパクトは、ただわめき散らすのではなく、21世紀の惨状を、ごまかすことなく、口汚くもしかし知的に言語化したことにあった。そして、ああ、それが我々の第一歩だったのだ。

 2026年の1月は、大好きな二組のアーティストがアルバムを出す。坂本慎太郎とスリーフォード・モッズである。音楽的にも、母国語も言葉表現の方法論もファッションもまったく重ならない彼らにしかし共通しているのは、社会批評としての音楽の可能性を持続していること、秀逸なブラック・ユーモアとレトリック、そして「エモさ」の排除だ。エモいロック、エモいラップ、エモいダブ、エモいアンビエント、エモいテクノはトランスと呼ばれている。エモ、つまり理論よりも泣き(情緒)が優先することは文脈や背景といったものを超越する。それは入りやすい。が、しかし、ボブ・ディランの有名な歌詞のように「いまは泣くときではない」のだ。

 スリーフォード・モッズの装飾性を剥いだ、淡々としたビートは、ふわふわした情緒に対する解毒剤で、いまはこっちのほうが全然ノれる。ジェイソンは、相も変わらず飾りっ気のない声を響かせているが、豪華なゲスト陣が楽曲に色気を足して作品の入口を広くしていることをぼくは嬉しく思う。新作『ザ・ディマイズ・オブ・プラネット・X/The Demise of Planet X(惑星Xの崩壊)』は、アンドリュー・ファーンのトラックの核にある底冷えた感覚を棄てたわけじゃないだろうが、だが、これまでの作品のなかでもっとも多彩な曲調を揃えてもいるのだ。
 むき出しの絶望、怒りの濁流だったおよそ10年前の(いまとなっては2010年代の決定打)『Divide and Exit』と比べれば、ずいぶん取っつきやすくなったものだ、と思われる向きもいよう。あの寒々しい煉獄ループはどこいった? と言いたくなるファンがいても不思議ではない。でも待ってくれ。彼らにしても毎回同じことを繰り返すわけにはいかないし、ぼくのように10代からポスト・パンクや80年代ニューウェイヴのハイブリッドなスタイルに親しんでいたリスナーにしたら、これこそがUK音楽の魅力である、と声を大にして言いたくもあるのだ。レゲエ、パンク、テクノ、ソウル、ポップス、ヒップホップ、グライム、そんなものが混ざっている世界で、『モア・スペシャルズ』や『サンディニスタ!』、マッシヴ・アタック、セイバーズ・オブ・パラダイス、ザ・ストリーツ……大きくはそんなものたちの系譜にある。
 以下、推薦曲をいくつか挙げておく。“The Good Life” “Double Diamond” “Elitest G.O.A.T.” “Megaton” “No Touch” “Bad Santa” “The Demise of Planet X”……つまり、1曲目から7曲目まではほとんど完璧に思えるが、このなかで1曲選ぶなら迷うことなく(いつまでも消えない)精神的な不安定さを主題にした“The Good Life”。
 歌詞の観点で言えば、興味深いことに “Megaton”は、坂本慎太郎の新曲“麻痺”ではないが、情報過多の地獄に慣れ切った現代人の麻痺(思考停止)状態を表現しているようにも読める。(日本盤の訳詞担当は坂本麻里子)

 このインタヴューではすっかりなごんでいるが、作品には、観察者ジェイソンによる支離滅裂だが筋の通った激しい怒りと皮肉、苛立ちが、変わらず溢れいる。意識高い系、外見至上主義、SNS、スマホ、英国とアメリカ、筋トレにジム通いなどなどを、ファンであるぼくから見てもおまえらは何様だ! と思うくらいに片っ端からあざけっているのでご安心を。ただし、ひとことだけ言っておこう。ジェイソン、ムカついているのはあんただけじゃない(「空腹な群衆は怒れる群衆」by ボブ・マーリー)。
 もっとも連中は、ただただ延々と不平不満をぶちまけるだけでは、それはもはや演芸であり、降伏にひとしいということもわかっている。なにかを変えるには自らも変わる必要がある、それが今回のアルバムでは、(繰り返すようだが)音楽的な幅の広さとして結実し、それは柔らかい何かを伝えている。ぶっちゃけたところ、イギリスの階級社会や政治など、東アジアのこの暗い貧国の隅っこで暮らしているぼくにとっては知ったこっちゃねぇよ、と言いたくもなるのだが、曲の合間合間から見える彼らの「ヒューマニズム(人間愛)」をどうぞ感じ取ってほしい、とは思う。
 それではいきましょうか、長いです。なお、この記事では新作のゲスト陣(女優のグェンドリン・クリスティーをはじめ、オールダス・ハーディング、伝説のバンド、ライフ・ウィズアウト・ビルディングスの元フロントウーマン=スー・トンプキンス、ポスト・パンク・デュオのビッグ・スペシャル等々)のことは触れていません。新作についてより多くを知りたい方は、ビートインクのサイトを参照ください。

批判するのは何ら悪いことじゃない。というかある意味、批判は不可欠だと俺は思うくらいだよ。ところがそれと同時に、同じ標的ばかり狙っていると——あるいは同じ語り口ばかり使っていると、やがてその批判は対象について以上に、批判者について多くを語るようになってしまうと思う。(ジェイソン)

まずは2025年のよき思い出から話して下さい。〈War Child〉(*戦災被害を受けた子供や家族を支援する慈善組織。SMはシングル“Megaton”の収益と26年英ツアーのチケット1枚ごとにその売上から1ポンドを同団体に寄付する)支援や『Divide and Exit』アニヴァーサリー再発後の小規模ライヴハウス・ツアー、入場料にも考慮したライヴ(*SMは低所得者層向けに5ポンド=約1000円の割引チケット枠を設定している)など、過去1年ほどいろんなことをやられていましたよね?

ジェイソン:そうだな、よいことはいろいろあった。まずはこのアルバムの制作、こうして1枚仕上げられたこと——。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:——それが、俺たち双方に大きな達成感をもたらしてくれたと思う。そうだろ、アンドリュー? かなり努力したからさ。

アンドリュー:うんうん。2025年は静かな年だったよな、俺たちあんまりツアーしなかったから。

ジェイソン:ああ、たしかに。家で過ごせたのもよかったと思う。

アンドリュー:そうだね。

ジェイソン:快適な日常生活に浸ってたな、過去10年のハードワークの成果である、自分たちで作り出した家庭生活を満喫するっていう。

アンドリュー:ああ。

2025年夏、アンドレア・アーノルド監督の映画『バード』が日本で上映されました。作中にスリーフォード・モッズの曲がかかることと、Burialが音楽を担当したくらいしか予備知識がなく見たんですが、ジェイソンに似ている役者が出ていると思って、エンディングロールをよく見たらあなたの名前があったので驚きました。

ジェイソン:ジャンジャジャ〜ン!

アンドリュー:(笑)

映画自体がとても興味深い話で、シリアスな話ですが、登場人物たちが“Jolly Fucker”を合唱するシーンでは笑ってしまいました。あの映画の感想をまずは聞きたく思います。

ジェイソン:とてもいい映画だよ。

アンドリュー:『バード』?

ジェイソン:ああ、監督はアンドレア・アーノルド。

アンドリュー:ふーん。わかった、後で観てみるわ(笑)。

ジェイソン:すげえヘヴィな映画だから、覚悟して観ろよ! ハッハッハッ! マジにファッキン重たい映画だ。

アンドリュー:ふーん、そうなんだ。

ジェイソン:うん。だけど本当にいい映画だよ。アンドレア・アーノルド、彼女はああいう映画をもう6、7本撮ってきた人で、その多くはいわゆるキッチン・シンクもの(*イギリスで50〜60年代に広まった、庶民生活をリアルに描く演劇や映画)で、とても陰鬱な、労働者階級の生活を背景に据えてる。っていうか、彼女は俺たちの最新のヴィデオ、“No Touch”も撮ってくれたんだ。

アンドリュー:ああ、彼女か! うん、俺もBurialは好きだし——

ジェイソン:だよな! Burialがサントラを担当したなんて、それだけでもかなりすごいよ。で……うん、あの作品に出演できてとても誇りに思う。彼女は素晴らしい仕事をやってのけたし、妻と一緒に映画館に観に行ったよ。マジにヘヴィな映画なんだけど、実際に観て「ワオ! すげえ!」と思った。だから、あの映画に参加できてとても誇らしい。

アンドリュー:クール!

あの映画の主人公の女の子の家庭はとてもカオスですよね。家族はスクォッティングしていて、しかも父親はひじょうに若く、彼女には腹違いの兄弟もいる。その父は幻覚性のある液体を出すカエルを手に入れてそれで結婚資金をつくろうとしているわけですが、あの設定は、きわめて特殊な環境なのか、それともUKの労働者階級家庭の一部では、現実にありふれた光景と言えるのでしょうか?

ジェイソン:あれはアンドレア自身の子供時代を元にした設定なんだ。だから、労働者階級が生活するエリアの多くで——いや実際、それに限らずどんなエリアにだって、機能不全に陥ってる家庭は存在するだろうね。うん、もちろん存在するさ。だから俺としては答えはイエス、思うに、うまくいってない家庭環境ってのは普通に存在するんじゃないかと。

実際のところ、ああいう人たちがコールドプレイやブラーに混じってスリーフォード・モッズも聴いているんでしょうか? コールドプレイとSMって、いわば対極のように思えますが——

アンドリュー:フハハハッ!

坂本:(笑)それともむしろ、あの選曲は監督の趣味なのでしょうか?

ジェイソン:コールドプレイを聴いてる人たちが俺たちの曲も聴くってのは、そんなに現実離れしちゃいないと思うけどね。どちらも要は、「ポップ・バンド」なわけだし。だろ、アンドリュー?

アンドリュー:うん。だからほら、一般的な類いの人たち……主流に属する人たちは、みんなそういうことをやってるんだよ。なんだかんだ言って、彼らはテレビでBBCの定時ニュース番組を観るわけで。

ジェイソン:うん、そういうことだろうね。俺だって、俺たちが彼ら(コールドプレイ)と同じ類いのクラウドを引きつけるとまでは言わないけれども、比較的に言えば、俺たちだって彼らと共にコマーシャルな音楽の景観のなかに存在すると思うし。

アンドリュー:だよな。

ジェイソン:いまはますますそうなってきてる。アルバムを出すと毎回英チャートでかなり上位に入るし(*SMのアルバムは2019年の『Eton Alive』以来毎作トップ10入りしている)——幸運が続きますように!——、だからコールドプレイを好きな人びとが俺たちの存在に気づいてたって何の不思議もないだろう。

続いて、ジェフ・バロウの〈Invada Records〉が初プロデュースした映画『GAME』にも出演されたそうですね。

ジェイソン:うん。

ブリストルの1993年頃のレイヴ・シーンが舞台のホラー映画だそうで、とても観たいけれど、日本で上映される可能性は低そうです。『GAME』に出演することになった経緯、作品に対するご感想を聞かせてください。ジェフとは過去に仕事したことがありますよね?

ジェイソン:そう。以前、2014年頃に〈Invada Records〉からEP(『Tiswas EP』)をリリースしたことがあって。以来ふたりともジェフとは連絡を取り続けていたし、そしたら何年か前に彼から「映画を作ろうかと思ってるんだけど、役者として出てみるのに興味ある?」って打診を受けて、俺は「イエス!」と即答した。彼ら〈Invada Records〉側はクリエイティヴ面でひじょうに優れた連中だし、だからきっとかなり興味深いプロジェクトになるだろう、というのは俺にもわかったから。

坂本:あなたがたには90年代レイヴ文化もバックボーンにあるでしょうし、その意味でも興味深そうな映画です。ちなみにアンドリュー、あなたに映画出演のオファーはまだないんですか?

アンドリュー:全然。ちっとも(苦笑)。

ちなみにイギリスには、ケン・ローチの映画や『ブラス!』(1996)のような、労働者階級を舞台にした映画が多数ありますが、あなたが好きな作品はなんでしょうか?

ジェイソン:フーム(考え込む)。

アンドリュー:いい質問だね……『Abigail’s Party』は、かなりいいと思う(*『Abigail’s Party』はマイク・リーがBBC向けに製作した1977年のテレビ映画。労働者階級の実相を描くというより、当時の英中流階級の上昇志向を風刺した古典作)

ジェイソン:うん。

アンドリュー:あと、『Naked』もかなり好きだな(*同じくマイク・リー監督の1993年の長編映画)

坂本:なるほど、マイク・リーが好みなんですね。

アンドリュー:ありゃいい映画だ。

ジェイソン:そうだな、俺は『Kill List』(*2011/ベン・ウィートリー監督のサイコスリラー/フォーク・ホラー)がすごく気に入ってる。思うにあれは……。

アンドリュー:あれもいいね。

ジェイソン:うん。かなり殺伐とした映画だよな。主役の労働者階級出身の野郎ふたり、あいつらが暗殺者に転じるっていう。わびしい映画だよ。うん、だからあれは好き。たぶん俺のフェイヴァリットじゃないかな、あれが。

坂本:それにあの映画は、新作収録の“Kill List”もインスパイアしていますよね?

ジェイソン:うん、そうなんだろうね。と言ってもそれは、あの映画の主人公の憤怒ぶり、という意味でだけど。あのキャラはもう、「いったい何がどうなってんだ〜〜っ!?」って怒りまくりじゃん(苦笑)。

坂本:(笑)たしかに。

ジェイソン:元兵士のあいつはPTSDか何かに苦しんでて、そのせいで酒を飲んでばっかだし、そしてあの悲惨な殺し屋仕事を請け負うことになる、と。だからあの一節、“Screams fill clouds/Like the bloke from Kill List(空に届く悲鳴で雲すら埋まる/『キル・リスト』のキャラのあいつみたく)”ってのはそれなんだ。

アンドリュー:ハハハッ!

コールドプレイを聴いてる人たちが俺たちの曲も聴くってのは、そんなに現実離れしちゃいないと思うけどね。どちらも要は、「ポップ・バンド」なわけだし。だろ、アンドリュー?

2024年は、『Divide and Exit』が発売されてから10周年でした。あのアルバムがSMにとってのひとつのブレイクスルーになったとわけですが、いまあらためてあのアルバムをどんな作品だと思いますか?

アンドリュー:んー、そうだなぁ……どう思うか? あれはグレイトな作品だよ! 実は昨晩、俺もあのアルバムを聴いたところでね。とにかく、とても折衷的な内容だし——自分にはいまだにこう、いちリスナーとして耳を傾けるのがかなりむずかしい作品、っていうのかな? あれを制作したときの状態にまだ近過ぎるっていう。

ジェイソン:うん、うん。思うに……だからまあ、あれははっきりと突き立てたどでかい二本指(*人差し指と中指を立てて手の甲を相手に向ける「裏ピース」の仕草は、イギリスでは「F**k You」の意味)だったわけだし、でも俺たちはまだこうしてここにいて——。

アンドリュー:クフッフッフッ!

ジェイソン:活動を続けてるっていう。本当に最高だよ、いまだに面白くなる一方だからね。

あのアルバムはSMのなかでもっともパンクな作品だとあなたは言っていましたが、あのころは何に対して怒り、絶望していたのでしょうか?

ジェイソン:何もかもに対して、だったと思うけど? だからだよ、俺は夢中でリリックを書きまくったし、アンドリューも猛烈なペースでトラック部を仕上げていった。とにかくふたりとも、ああやって自己表現ができること、そのためのプラットフォームがあることを心から楽しんでたんだと思う。

アンドリュー:だね。

ジェイソン:もちろん怒りのこもった作品ではあるよ。ただし、それは——俺たちには、例えばアナーコ・パンク・バンド(*英ポストパンクの潮流から生じた、商業性や音楽的な洗練を無視したアナーキックで教条主義的なバンド。代表格にCRASSがいる)か何かみたいなご立派な権限・義務だのはなかったし、とにかく「おぇぇぇ〜〜っ!」(と、吐くジェスチャー)とブチまけたっていうか。

アンドリュー:(苦笑)

ジェイソン:だから、ギグに来る人びとの数がどんどん増えていって、「ヤバくね?」って思ったよ、「何これ、マジかよ?」みたいな。アッハッハッハッ!

アンドリュー:それに俺たちは確実に、音楽パートと歌の話術とのあいだに大きな隔たりがある、そういうものを作ろうとしてたよな。

ジェイソン:うんうん。

アンドリュー:つまり……いやだから、90年代にだって素晴らしい音楽はたくさんあったさ。でもそのどれもがこう、自分たちの属する「ジャンル」に大きく傾いていた、みたいな? だから、「ヒップホップをやるんならとことんヒップホップ」とか、「自分はトリップホップ一直線」云々。そんな風にひとつのスタイルに特化しジャンルに貢献しようとする、強い意志みたいなものがあったっていうか。

ジェイソン:うんうん。

アンドリュー:で、俺はその姿勢が本当に苦手で。例えばエレクトロニカなアルバムを作ろうと思い立って、トラックを3つくらい作った段階で、ふとそれとは違うことをやりたい、フォーキィな曲を作りたい、なんて思っちゃうんだ(苦笑)。

ジェイソン:なるほど。

アンドリュー:ある意味俺は、一ヶ所に留まり続けるのがまったく得意じゃない奴だっていう。そんなわけで、これ(SM)なら本当にうまくいくんだ、っていうのも、ジェイソンはそうやってあっちこっちに飛んでもまったく気にしなかったし——っていうか、彼はそれを狙ってる、みたいな。自分たちはさまざまな音楽が好きだって点を反映したものを作りたいと思っていたからね、ありとあらゆる類いの音楽を聴きながら育ってきたわけだし。

ジェイソン:その通り! 思うに——アンドリューがどんなことを「やらかして」きたとしても(笑)それでOK、という。いやまあ俺たちだって当初、ごく短い期間、そうだなあ、6、7ヶ月くらいの間かな? 自分たちのセットアップについてあれこれ話し合ったことはあったよ。だけどそれ以降はもう(笑)、「とにかくこのままやっていこう!」って感じで。マジに何でもありだったし、俺も「これなら自分も何かやれる」と思った。とにかく、彼のやることには独特な感触があったし——その感触はいまも健在だけど——、それって、歌い手としての俺にとってどこかしら、とても魅力的だったんだ。

また、その怒りや絶望は、いま現在のあなたのなかにもあると思いますが、しかし音楽制作に向かう考え方のうえで変わったところもあるでしょう。その変わったところとはなんでしょうか?

アンドリュー:あれ以降、俺たちもいろんな場所でレコーディングをやってきたわけで、おかげで音楽作りという経験に異なる見地をもたらされるのはたしかだ。

ジェイソン:だよね。

アンドリュー:昔に較べたら、ヴァリエーションは増えてるかもしれない。だけど、それにしたって一種の錯覚っていうのかな? 昔の作品はミニマルに響くかもしれないけど、実は質感もしっかり備わった作りだし。

ジェイソン:ああ。かなりテクスチャーを加えてある。だからじゃないかと思うよ、常に違う風に聞こえるのは。聴くたび様々に変化するんだけど、その変わり方は微妙。派手に「どうだ!」って風な変化じゃないんだよね。

アンドリュー:ああ。

ジェイソン:でも……わからないなぁ。そこらへんの変化を客観的に説明しようとするのって、むずかしいよ(笑)。アンドリュー:だね。

ジェイソン:俺としてはとにかく——これに対する自分の対応の仕方、つまり俺にとってのSMってのは、毎朝俺んちの玄関に配達される4パイントのミルク壜、みたいな。朝起きたら、ドアを開けて、ミルク壜を手に家に引っ込む。だから何であれ、そのときの自分の気分次第ってこと。

アンドリュー:なるほど。ミルク壜のフタを勢いよく開けちまいたくなるときもある、と。

ジェイソン:そう。ライヴでステージに上がるたびに思うよ、「ああ、これをやれるなんて本当にありがたい! 俺はこれから90分間、思いっきり不平を垂れ流すことができるんだ」って。

アンドリュー:(笑)

慈善団体〈War Child〉への支援やライヴ入場料の配慮といった新しい試みもしていますね。それは自分たちの音楽が少しでもこの社会の役に立てばということだと思いますが、こういう実践や経験は、SMの作品にも反映していると思いますか?

ジェイソン:……どういう意味で?

あなたたちがチャリティや寄付に協力するのは、人間としての自然な感覚だと思います。ですが、SMは音楽/言葉を通じて例えば「ホームレスの人びとにお金をあげよう」みたいに人々に指図しませんよね。むしろ、行動で実践しているというか。

アンドリュー:たぶん俺たち、具体的なメッセージを含む歌を作ることはないんじゃないかな。

ジェイソン:うん、ノー。それはない。実際に行動することと、それとは違うんじゃないかな。

坂本:なるほど。それについて語ったり唱道したりするよりも、むしろ実践の形でやっていきたい、と。

ジェイソン:んー……。

アンドリュー:いやだから、いまの俺たちにはチャリティに協力するだけの余裕がある。

ジェイソン:そうそう。

アンドリュー:だったら、自分に余裕があって可能なら、(ファンや人びとに対して)少しでもいいから「お返し」しはじめなくちゃいけないんじゃないかな。

ジェイソン:その通りだと思う。自分たちにやれる限りのことをね。チケット代5ポンドの枠にしても、実際にそれで助かった人たちがいるとわかったし、だから俺たちはあのシステムを継続してる。〈War Child〉にも協力してるし、あのチャリティは戦渦によって家を失った世界各地の子供たちを援助しようとしているわけで……そうだね、「これなら自分にもやれる」と思うことだったら、できるだけ助けよう、そういうことだよ。

坂本:はい。

アンドリュー:まあ、もしかしたら俺たちも、もっと大規模にやれるのかもしれないよ? だけどそれって、ちょっとした矛盾が生じる物事なわけで——。

ジェイソン:だね、その通り。

アンドリュー:俺たち、ボノみたいな野郎になる気はないしさ。

坂本:(笑)

アンドリュー:(笑)わかるだろ? だから、あんな風に派手にやる気はないにせよ、それと同時に、「自分たちも何かしなくちゃいけない」って感じるジレンマだよ。

ジェイソン:俺もそう思う。

坂本:そうですね。ミュージシャン/バンドのなかには、アンドリューが言った「お返し」を充分にやっていない、と思える人たちもいるわけで。

ジェイソン:だけど、多くの連中にとって、それをやるのは楽じゃないと思う。俺たちはなんとかやれてるよ——だけど、俺たちがプレイするのと同じ規模の会場を回っていて、メンバーが5、6人もいるバンドの多くは、なかなかチケットが売れない状況にある。全般的にそうなってるんだ、観客側もみんな金が無いから、ライヴのチケットの売上が落ちてるっていう。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:キツいよなぁ! だから、やりたくても寄付をやれないバンドがいるって事情は、俺たちにもよくわかるよ。

かつてジェイソンはソーシャルメディア上でノエル・ギャラガーや複数のバンド(*ブロッサムズ、アイドルズ他)を相手にけなしあいを繰り広げましたが、そうしたご自身の攻撃性は自分自身を傷つけることにもなった、それって果たしてどうなのかと自問自答した——“The Good Life”にはその気持ちが歌われているそうですが、この曲をアルバムの冒頭にもってきたのはなぜでしょう? 

ジェイソン:そうだな、あの歌が描いているのは、三つの事柄がいかに互いに連動・作用し合っているか、といったことで。ひとつに、他の人びとを批判するのは何ら悪いことじゃない、という考え方がある。というかある意味、批判は不可欠だと俺は思うくらいだよ。ところがそれと同時に、同じ標的ばかり狙っていると——あるいは同じ語り口ばかり使っていると、やがてその批判は対象について以上に、批判者について多くを語るようになってしまうと思う。そのふたつに伴い、「そうなってしまうことについて、自分はどう感じるか?」っていう、俺の内面の自問自答が生じる——歌のなかではグウェンドリン・クリスティーが、そのせいで俺はどれだけ内心悲惨な思いを味わっているかを語っているわけ。それら矛盾する発想に加えてコーラス部では、自分の周囲の何もかもが崩壊してるとしても、「いい人生を送ったって大丈夫だよ」と言ってるっていう(苦笑)。だから、世のなかの大半の人間が嫌な気分を味わっているときでも、自分は気持ちよく朝を迎えたっていいんだ、みたいな。たまにあるよな、自分の国であれ海外のどこかで起こった事件であれ、他のみんなと同じトラウマをくぐることを誰もが求められるときって? そんなわけで、その三つすべては同時進行してるってことを歌っている曲だし、そうであっても間違っちゃいない、という。

それは、長らく活動してきたSMを、その手法をリセットしたいということでもあるのかなと?

ジェイソン:んー、思うに……俺とアンドリューにとってはもちろん、「自分たちは進歩を重ねてる」と感じるのは大事なことだ。で、おそらくその一部には、俺たちが個人としてどう感じるか、ってところも含まれるんじゃないかと。アンドリュー:うん、うん……進歩し続けること、それはとても重要。コンテンツを発表するにしても、代わり映えのないものを常にリリースし続ける連中もいるしね。まあ、それは受け手側にとっても無難で安心できるものなんだろうけど。

坂本:実際のところ、SMにはマンネリズムの危機みたいなことはあったのでしょうか? クリエイティヴな袋小路に落ち込んでしまい、「変化しなくちゃいけない」と感じたことは?

アンドリュー:いやー、全然。音楽面においては、それはなかったと思う。ブレイクを取った今回のアルバム(『The Demise of Planet X』)を除くと、俺たちは1、2年に1枚は作ってきた。ずっと汽車ポッポみたいな勢いだったよな?

ジェイソン:シュッシュッポッポー!(と、汽笛を真似ておどける)」

アンドリュー:アッハッハッ!

ジェイソン:だけど、例えば『Spare Ribs』を作ったときですら、別に「やばい、俺たちも路線を切り替えなきゃ!」と考えたわけじゃないし、単に「別の層を追加するって案、いままでに考えたことある?」みたいな話で。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:俺たちは——っていうか俺は最初のうち、そのアイディアに全然乗り気じゃなかった。とにかく「俺以外の誰かに、自分たちのトラックで歌わせる? それってどうかなぁ?」と思ったし。

アンドリュー:わかる。

ジェイソン:それくらい、俺たちは作品と密に繫がってた。だけど実際にゲストを迎えたら本当にうまくいったわけで。だから、俺が学んだのもそこだった——アンドリュー、お前がこの意見に賛成するかどうかはわからないけど——この業界で勝負してたら、自分がどんなことをやっても絶対にどこかから、「前作アルバムからあまり変わっていない」云々の非難の声が上がるもんだ、っていう。

坂本:ファン心理はむずかしいです。人は思い出を大事にしがちですし、「昔のSMの方がよかった」なんて声も出てくる。あなたたちに同じ場所に留まって変わらず同じことをやっていて欲しい、と思う人々もいるでしょうね。

アンドリュー:そう、その通り。とはいえ——幸いなことに俺たちのファン層も、いわば「ラガー・ビールをかっ食らう野郎ども(lager lads)」からかなり成長してきたわけで(笑)。

ジェイソン:ハッハッハッハッ! あいつら、lager louts(*80年代末にイギリスで増え社会現象化した、ラガー好きな若い暴徒)っぽいよな?

アンドリュー:まあ、彼らを「ファン」と呼ぶ連中もいるよね……ついこのあいだも人とこの話をしたばかりなんだけど、人びとはこっちに期待してるわけだよ——以前、誰かから言われたっけな、「お前ら、もう何で“これ”(と、頭に貼り付いた何かを振り落とそうとするように、後頭部を右手で荒々しくさするジェスチャー。昔ジェイソンがよくやったステージ・アクション)をやらなくなっちまったんだ?!」って」(*このジェスチャーは以下の映像を参照ください。)

坂本:(爆笑)

ジェイソン:ブハハハッ! ったく……(苦笑)。

アンドリュー:で、俺は「だったら、お前は何で俺たちを観にきたわけ?」と思った。「お前にとっちゃそれだけ? それっきりのことかよ?」と。音楽に負けないくらい大声でくっちゃべり、ビールをがぶ飲みし、ああしろこうしろと言ってくる。冗談じゃない、こっちのやってることはもっと深いよ。とにかくまあ……もうちょっとオーディエンス層が絞り込まれて、かつ多様性が増してくれたのは、俺たちにとって素晴らしいことだよ。それはつまりこれからも、もっとギグをやれるってことだから……(笑)。

ジェイソン:ハッハッハッハッ!

[[SplitPage]]

とはいえ——幸いなことに俺たちのファン層も、いわば「ラガー・ビールをかっ食らう野郎ども(lager lads)」からかなり成長してきたわけで(笑)。(アンドリュー)

新作の話に戻ります。「巨大な不安のもとで生きる人生──集団的トラウマによって形づくられた生」というテーマは、いかにして出てきたのでしょう? その契機となった出来事などありましたら教えてください。

ジェイソン:ああ、ファッキン山ほどある。2023年以来、世界はすっかり変わっちまったわけだろ? ロシアによるウクライナ侵攻(2022年2月24日)、あれがきっかけになったと思う。そして10月7日事件(2023年のハマスによるイスラエル攻撃事件)があり……そこで起こったこと、そして現在も続いている事柄のすべて。そしてもちろん、トランプの二度目の権力掌握があった。アメリカが内破を起こしたってことだし——アメリカってのは世界最強・最大級の勢力を誇る超大国であり、「自由世界の指導者」と目されてきたわけで。だからいまや何もかもがこう……マジに……剣呑な状況になってきてるっていう。ドイツとポーランドが戦争の危機を語る云々——。

アンドリュー:狂ってる。

ジェイソン:うん、クレイジーなゴミだらけ。だから俎上に載せる事柄はいくらでもあるわけ。で……俺にとっちゃ、いまや国際政治は国内政治と同じ、っていうか。とにかく自分自身には、ウェストミンスター(*英国会議事堂のあるエリア)で起こってる政党政治、イギリス国内の二党政治と同じくらい身にしみて感じられるっていう。

アンドリュー:たしかに。

『The Demise of Planet X(惑星Xの崩壊)』というタイトルにはSF風の表現が入っていますが、いま自分たちが生きているこの社会が悪い冗談のように思えることがあります。トランプの存在もそうですし、日本では山から大勢のクマが人間の生活圏に侵入し、多くの被害者を出して、いま社会問題になっています。

ジェイソン:……クマがもっと、都会にまで降りて来てるの?

坂本:そうなんです。

ジェイソン:それって何ごと? どうして?

坂本:妙ですよね。地球温暖化の影響等もあるのでしょうか、私にも原因はわかりませんが……。

ジェイソン:ひぇー、どえらい話だな!

坂本:はい、怪我人や死者が相次いでいます。現実は奇妙になる一方ですし、できれば政治のことなど気にしたくないのに、気にせざる得ない状況が続いています。SMが、そんな世界であっても順調に続き、楽しみを忘れずに、しかし現実を直視しているみたいな芸当を10年以上続けていることは尊敬に値します。自分たちがここまで長く音楽活動できているのは何故だと思いますか?

アンドリュー:フム……。

ジェイソン:そうだな——俺にもわからない! 思うに(軽くため息をつく)……ふたりとも、この仕事をやるのが好きだ、ってのはあるよね。でも、本当に全面的に関わってるから、ほとんどソロ・プロジェクトをやってるようにすら感じる。アンドリューがそこに関してどう思うかはわからないけど、俺からしたらもう、SMで自分の欲求をほぼすべて満たせてるし、存分にやれてるから、ソロとして活動範囲を広げる必要は感じない。自分にはこれがあるんだ、という。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:彼(アンドリュー)が俺にチューンを持ち込んでくるたび、違うバンドをやってる気分になるし(笑)。もちろんそんなことはなくて、どの曲もSM味でコーティングされてるんだけどさ。だから、音楽に備わった多彩さは俺たちのオープン・マインドなところから来てるし、ふたりでコラボし、お互いの意見にちゃんと耳を傾け合ってると思うし——ここまで続けて来られたのも、それだからだと思うけどな、俺は。

アンドリュー:たしかに。

坂本:アンドリューはたまに、「ジェイソンの限界を試してみよう」といういたずらっぽいノリで、妙なループやビートを敢えて彼に提示することもあるのでしょうか?

アンドリュー:うん、っていうか実際、それはかなりしょっちゅうやってる(笑)。ただし、それと同時にやっぱり、「SM向けのトラック」っていうスレッド——それが具体的に何を意味するかは、俺にもわからないけど——は存在するんだよね。まあ、概して言えばかなりポップ調、あるいはかなり鋭角的なトラック、ってことになるのかな。でもまあ、「何かが見つかった」って感じ? 要するに、これはSMにぴったりだ、とピンとくるっていう。

SMの始動において、ウータン・クランの手法論を大きな契機としてあげていましたが、しかしSMの楽曲はブラック・ミュージック的なファンクのノリがないとずっと思っていました。

アンドリュー:うん。

ところが、今回にはそれがありますよね? 具体的には“Bad Santa”、“Shoving the Images”で、ジェイソンのライムに関しては“No Touch”にもラップ的なフロウがあります。こうしたサウンド面での変化についてコメントしてください。

ジェイソン:んー……これまた、アンドリューのやることの多彩さ・幅広さの成果が出たってことだと思う。俺は、アルバムを出すごとに自分たちは前進してると考えてるし——「もっとよくなった(better)」っていう言葉を使うのが適正かどうかわからないけど、以前より枝葉も広がっているし、もっと凝ったものになってきてるよね?

アンドリュー:うん。だからまあ、それは過去3、4作くらいを通じて、俺たちががんばって少しずつ、毎回「もうちょっと、もうちょっと」って風にやってきたことであって」

ジェイソン:ああ。

アンドリュー:それも、この(SMという)コンセプトの進歩の一部だと思う。そのコンセプトにはもっといろいろ加わってきたし、でも、その本来の姿からかけ離れてはいない、という。

ジェイソン:うん、同感。

アンドリューのトラックも、かつてはマーク・フィッシャーから「煉獄ループ(purgatorial loop)」と呼ばれたほど、冷たく容赦ないサウンドでした。

アンドリュー:うん。

ですが、今作の“Don Draper”にはメロディがあり、“Gina Was”にはキャッチーさもあります。こうしたある種のフレンドリーさ/聴きやすさは、年齢を重ねて丸くなったところから来るものなのでしょうか?

アンドリュー:(苦笑)それって、ある意味避けようがないと思う。どんなアーティストにとっても、それは自然な成長の過程の一部だよ。

ジェイソン:そう。でも、それと同時に言えるのは、“Don Draper”にも“Gina Was”にも、どこかしら——んー、どう言ったらいいかな……これは、アンドリューのやることをケナす意味で言うんじゃないから誤解して欲しくないんだけど——どっちも、ひどい響きなんだけど、なのに素晴らしいよな?

アンドリュー:(苦笑)

ジェイソン:ほとんどもう、「全然クールじゃない本質」めいたものがあれらの曲に備わってて、でも、そのおかげでものすごくいい曲になってる、というか。

アンドリュー:(苦笑)ハハハッ……。

ジェイソン:でも、それって独創的だってことだし、俺はまだ、そこを信じてる。いや別に、何もかもがオリジナルである必要はないんだ。そんなことはない。ただ、自分たちのやってることはオリジナルな何かだと俺は信じてるし、独創性を受け入れることの一環として、それは「なじみのないもの」だ、というところがある。要するに、あっという間に解読できるような一般的な暗号じゃないし、つまり、他にやってる人があまりいないってことであって……自分たちのやってることを俺が大好きなのって、そこなんだ。だから、いま君のあげた2曲は、かなりメロディックかもしれない。だけど——言われたように、俺たちも歳をとって円熟しつつある、そのファクターも混じっているとはいえ―それだけじゃなく、才能ってことじゃないの? 純粋に、こういうことをやれる才能。だから批判する連中がいても、こっちはただ笑い飛ばして、「失せろ(F**k Off!)」と無視するだけだよ(笑)。

日本では、映画『さらば青春の光』もザ・ジャムも人気があるし、英国以外では、日本ほどモッズ文化を好きな国はないんじゃないかとさえ思います。「モッズ」を名乗るあなたたちから見て、モッズ・カルチャーのよいところはなんだと思いますか?

ジェイソン:そうだな……正直言って、いいところはそんなにないよ。

アンドリュー:クハハハッ!

ジェイソン:(笑)あんま多くない。あれは副産物であり、時代遅れになってるし……要するに、とっくの昔に終わってしまった時代の副産物だと思う。それでもたまに、あの古いイメージから強いインスピレーションを受けることもある。俺からすればモッズの第一波、とくに60年代初期のモッズは、とても特別な存在に思えるし。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:あれは、どこかしらスペシャルなところがある。それに、そのオリジナルから分派していったモッズ文化のなかでも、ときに「これは好きだ」と思うものはあるし。とにかくまあ、「MODS(moderns/modernists=現代主義者)」ってのは素晴らしい単語だと思う。あれはある意味……俺たちのやってることのなかにしっかり溶け込んでる、自信たっぷりな横柄さとでもいうのかな、それを簡約した言葉に近いっていうか。俺たち自身は、横柄な人間でもなんでもないよ。ただ、SMがうまくいってるのは俺たちも承知だし、たしかな手応えがある。もちろんそのために努力する必要があるし、がんばらなくちゃいけないけど、俺たちにとってこれは確実なものなんだ。だからもしかしたらそこに、モッズっていう概念と結びつくところがあるのかも?

アンドリュー:ああ、その通りだね。俺の頭のなかでは……モッズってのは、薄汚くだらしないロッカーたちだの、そういうあれこれに対する反動として出てきたもの、ってイメージで。

ジェイソン:(笑)うんうん、そうだよな!

アンドリュー:つまり、とにかく他とは違う存在になろうとした人びとってことだし、音楽にしたって、どのバンドもいろいろだった。例えばザ・キンクスは、ザ・ジャムとは違うし……という感じで。

ジェイソン:だよな。

アンドリュー:それでも、モッズの音楽はエネルギーたっぷりだったし、いい音楽もたくさんあるよね。

2023年以来、世界はすっかり変わっちまったわけだろ? ロシアによるウクライナ侵攻(2022年2月24日)、あれがきっかけになったと思う。そして10月7日事件(ハマスによるイスラエル攻撃事件)があり……そこで起こったこと、そして現在も続いている事柄のすべて。そしてもちろん、トランプの二度目の権力掌握があった。クレイジーなゴミだらけ。だから俎上に載せる事柄はいくらでもあるわけ。(ジェイソン)

モッズの話題になったので、前々から訊きたかったことを質問させてください。若きジェイソンが、ポール・ウェラー/ザ・ジャムから影響を受けたという話をどこかで読みましたが、1990年代はどんな音楽を好きでいましたか? あれはとてもヴァラエティに富んだ時代で——

アンドリュー:だね。

90年代前半の英国のトレンドはハウス・ミュージックやジャングルなどダンス・ミュージックで、後半はブリットポップあるいはレディオヘッドの台頭などがあり、かなり混ぜこぜですが。

アンドリュー:うん、だから、何でも隔てなく入れ込むのにいい時代だったってこと。NWAからLFO、マッシヴ・アタックまで、試しに聴いてみるものがいくらでもあって、よりどりみどりだった。

ジェイソン:イエス!

アンドリュー:そんなわけで個人的に、アメリカのハード・ロックのレーベル発の音楽だろうが、イギリスのチャートに入ったヒット曲だろうが、俺はいちいち線引きしなかった。ってのも、俺の周りの誰もが音楽作品を購入してたし、みんなあらゆる類いの音楽にハマってたからさ。

ジェイソン:うんうん。

アンドリュー:あの頃、俺はリンカンシャーにあった〈ヴィエナズ〉って名前のナイトクラブによく行ったんだけど、あそこじゃどんな音楽もかかってて。

ジェイソン:ヴィエナズか! (懐かしそうに)ワ〜オ、あったよなぁ!

アンドリュー:例えば……そうねえ、ゲイ・バイカーズ・オン・アシッドにポップ・ウィル・イート・イットセルフ、そしてソニック・ユースもかかるって具合で、ほんと折衷的な、いろんなタイプの音楽でごった返してた。

ジェイソン:うん。俺もアンドリューと同様だ。だからこう……手を伸ばしてみたいものはいくらでもある、というか。新しい音楽についていくのにも、正直苦労してるくらいだし……それは俺が老けたせいかもしれないよな、一定の年齢に達するといろんなものから断絶していくものだし。とにかく、昔ほど音楽をグッと強くは感じない。若い頃は、人は実にたくさんの物事と繫がってるわけで、いわばこう、異なるスクリーンをいくつも相手にするだけの時間もたっぷりある、っていうか? だから絶えず、こんな具合(と、携帯を次々スクロールするジェスチャー)でいられるけど、歳を取るにつれて、それをやるのにも疲れて飽き飽きしてきちゃうんだ。

アンドリュー:それにいまって、何もかもを一ヶ所に集中させるのもすごく大変だよな。

ジェイソン:たしかに!

アンドリュー:俺たちが若かった頃は「トップ・オブ・ザ・ポップス」(*BBCが毎週放映したチャート番組)に「SNUB TV」(*イギリスでは1989〜91年にBBCが放映したオルタナ/インディ系音楽番組)、「The Tube」(*1982〜87年にかけて英チャンネル4が放映した音楽番組)や「The Word」(*1990〜95年にかけて放映されたチャンネル4の音楽ヴァラエティ番組)等々の歌番組があったし、その番組を観ようと誰もがみんな引き寄せられる、そういうサムシングが存在してた。

ジェイソン:うん。

アンドリュー:だけどいまって相当に細分化してるし、ほとんどもう、俺たちは数が多過ぎる、って状態に近い。それはもう様々な方向に向かって進んじゃってて——もはや誰も、物事に関してお互い認識が一致してないっていう。

ジェイソン:うん、ほんと、そうだよね。

なるほど。「新しい音楽についていくのに四苦八苦」ということで、ちょっと訊きにくいのですが(笑)、2025年に聴いた音楽で、あなたのベストは? 新しい音楽でも、古い音楽であなたが発見したものでも構いません、2025年のあなたたちにとってのベストな音楽体験(アルバム、ライヴetc)は?

アンドリュー:そうだなぁ……。

ジェイソン:俺は断然、カイアス(Kyuss/現QOTSAのジョシュ・ホミーが在籍したバンド)だな、正直言って。

坂本:なんと!

アンドリュー:へえ、そうなんだ。

ジェイソン:ストーナー・ロックをたくさん聴いててさ——。

アンドリュー:フフフッ!

ジェイソン:とくに、カイアスの『Welcome to Sky Valley』(1994)はよく聴いた。

坂本:それは意外ですね。

ジェイソン:あれは——(笑)とにかくトチ狂ってる! ありゃヤバいって! だからもう、「うわー、やられた!」って感じで、だから2025年は「ロック音楽」をがんがん聴いた。ロック全般を、山ほど。デイヴィッド・グレイなんかのアコースティック〜フォーク系の音楽も取り混ぜつつね。

坂本:(笑)えっ、デイヴィッド・グレイ?! マジですか……。

アンドリュー:(笑)

ジェイソン:それから、ディジョン(Dijon)も聴き始めたな。ちょいプリンスっぽいんだけど、彼の音楽はビート等の面でヒップホップにすごく影響されてて、うん、あれはかなりいいアルバムだ。

アンドリュー:なるほど。

ジェイソン:あれこれ寄り道してたから、のめり込むまでにかなり長くかかったけど、でも繰り返し聴き続けたね。でまあ、いまの俺は、「もうこんなにロックばっか聴くのはやめなきゃいかんな」って心境なんだ(笑)、そうじゃなくてもっと他の人たちの音楽にもトライしなくちゃ、とは思いつつ、でも……。

坂本:いやいや、カイアスはいい選択ですよ!

ジェイソン:うん、抜群だ。

アンドリュー:いいチョイスだよな、うん。

ジェイソン:それに彼らって、いわゆる純粋な「ロック」っぽくないだろ? いやまあ、たしかにロックなんだけど、でもそれだけじゃないっていう。

坂本:サイケデリック・ミュージックですらありますからね。

アンドリュー:うん。

ジェイソン:とにかくこう、すごい衝撃があるよな。

アンドリュー、あなたの2025年のベストは?

アンドリュー:ここしばらく、レア気味な音楽をよく聴いたよ。最近ハマってるのが、プーループ(Puuluup)ってバンドで。

ジェイソン:ほう?

アンドリュー:エストニア人の男性ふたり組で、伝統的なエストニア音楽をモダンに解釈してる、ってとこかな。KEXP(*オルタナティヴ・ロックを中心にするシアトルの非商業的ラジオ局)を通じて知っただけなんだけどね。でも、かなり興味深いバンドだから、チェックしてみてよ。

ジェイソン:それって、この間、俺にリンクを送ってくれた連中じゃない?

アンドリュー:あ、送ったっけ、俺?

ジェイソン:うん、たぶん。

アンドリュー:そうかー、あのパフォーマンス(*プーループが10月のUS ツアー中にKEXPで収録し、12月初旬に公開されたライヴ映像のことと思われる。YouTubeで視聴可能はほんの先週の話だけど……まあ、ちょっとしたことだし、俺もすぐ忘れちゃうんだけどね。で、そのまま次の何かに進んでいくっていう。

(了)

★スリーフォード・モッズの『The Demise of Planet X』は1月16日発売。

Dual Experience in Ambient / Jazz - ele-king

 昨秋『アンビエント/ジャズ』出版記念レコード鑑賞会が開催された野口晴哉記念音楽室。そこから新たな企画がスタートすることになった。題して「Dual Experience in Ambient / Jazz」──アンビエントとジャズの間を揺れ動くようなリスニング会になるようで、第1回はシカゴのレーベル〈Internaional Anthem〉を中心に、さまざまな音楽がプレイされる模様。セレクターは『アンビエント/ジャズ』著者の原雅明、ゲスト・セレクターとして音楽喫茶/珈琲専門店、月光茶房の原田正夫を迎える。2月11日(水・祝)は予約して狛江へ行こう。

Dual Experience in Ambient / Jazz
— Supported by Acoustic Revive, Disk Union —

日時|2026年2月11日(水・祝)
会場|野口晴哉記念音楽室
open 16:00 / start 17:00
料金|3,000円(+1ドリンク・オーダー制)
※Limited 20/reservation only(ご予約はDMにて)

Selectors

Masaaki Hara
Masao Harada(月光茶房)

https://x.com/zenseishinsha/status/2011996777432662154

https://www.instagram.com/p/DTjiL2Wkf1a/?igsh=MTZ5YWdvZW1hY2VpMA%3D%3D

「原さん企画のリスニング会を、『アンビエント/ジャズ』というタイトルでシリーズ化したらどうでしょう」という全生新舎 野口晋哉さんの一言に導かれて、野口晴哉記念音楽室にてリスニング会を始めます。拙著『アンビエント/ジャズ』がマイルス・デイヴィスのジャズとブライアン・イーノのアンビエントの間を揺れ動き、その「振幅」からさらなる広がりを辿っていったように、狭義のアンビエントやジャズに留まらず、どこに着地するかも予測できないようなリスニングをお届けできたらと思います。

初回は、ロブ・マズレクの『Alternate Moon Cycles』(バーラウンジでのアンビエント/ジャズの記録)でレーベルをスタートして、トータスの『Touch』のリリースにまで至ったInternaional Anthemとシカゴの音楽の「振幅」を聴いていきます。

ゲストのセレクターとして、音楽喫茶/珈琲専門店 月光茶房の原田正夫さんをお誘いしました。Internaional Anthemのみならず、シカゴのジャズや即興音楽にも造詣の深い原田さんのセレクションは、一リスナーとしてもとても楽しみでなりません。

2回目へと繋がっていくリスニング会でもあります。ぜひご参加ください。

原 雅明

───────

※無断キャンセルはもちろんですが、複数名でのご予約後に、当日になってお連れ様のみキャンセルされるなどの場合も同様に、ご遠慮ください。人数を限っての開催のため、ご配慮願い致します。

※入場時にIDチェックを行います。身分証明書をご持参ください。

─プロフィール─

■原田正夫
1953年東京生まれ。編集プロダクション、情報処理会社勤務を経て1989年に音楽喫茶/珈琲専門店「月光茶房」を開業、現在にいたる。
2010年刊行「ECM catalog」(東京キララ社刊)の執筆・編集に携わる。

■原 雅明
2025年に『アンビエント/ジャズ――マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』(Pヴァイン)を上梓。レーベルringsでは、レイ・ハラカミの再発やInternaional Anthemなどのライセンス・リリースも手掛ける。2026年3月には菊地雅章のエレクトロニック・ミュージック「六大」シリーズ(『地』『水』『火』『風』『空』『識』)を再発予定。

Ken Ishii - ele-king

 これはかつてない切り口のイベントかもしれない。CDというフォーマットがもつ74分の制限が、DJミックスという新たな表現方法を創造した──という観点から実施されるライヴDJセット・シリーズを、LIQUIDROOMのKATAがスタートする。その映えある第一回に登場することになったのが、ケン・イシイだ。2月27日(金)、プレイ時間は20:30~21:44のきっかり74分。新たな試みに注目しよう。

liquidroom presents

I’m Not Just a DJ

featuring Ken Ishii

2026.2.27 Fri.
KATA(LIQUIDROOM 2F)
Open:19:00 Warm up 20:00 Set Time 20:30-21:44
Adv¥4000 + 1Drink Order
UNDER 25 ¥2500 + 1Drink order
100 Limited Tickets

2025年1月16日(金) 20:00 on sale!!!
zaiko:https://liquidroom.zaiko.io/e/notjustdj2026
※ご入場時ドリンク代¥700頂戴します。

info:kata-gallery.net

DJの表現を凝縮した74分の体験を──第一弾は世界を魅了するテクノ・ゴッド、KEN ISHII

クラブ・カルチャーにおいて、DJはひと晩にわたって音楽でその場をコントロールする。それは単なる選曲からそれはダンス・ミュージックを通じた、文字通りのアートフォームとして結実していった。いつしかそれはシンガーやバンドの演奏とならぶ表現として、クラブを飛び出し、フェスへの出演、さらにはミックスCDという「作品」にもなった。

現在、クラブを離れスマートフォンやPCでDJミックスを楽しむにはMixcloudやSoundCloudで世界中の名演が、簡単に、無料で楽しむことはできる。しかし90年代から2000年代前半までミックスCDの文化がDJカルチャー、さらに音楽シーンにおいてひとつの意味を持っていた。特にオフィシャル・リリースされたCDには、さまざまな制約──なによりも74分というCDの収録時間の制約があった。しかし、そのなかでいかに選曲で物語を作り、自己の表現とするのか、それはアーティストの表現となった。ある意味でシンガーやバンドの「ライヴ」アルバムと同様、音楽作品となったのだ。それは国や時間を飛び越えて、現場以外の体験としてDJカルチャーを支えた。

もちろんひと晩をコントロールするDJもすばらしいが、ミックスCDのようにライヴのように楽しむDJプレイもまたその表現の豊かさを証明するものではないだろうか。それは時間帯も一緒で、深夜に限らす学校や会社帰りに DJ を浴びるという楽しみがあってもいいはずだ。本企画はまさに、そうしたひと晩のクラブ体験から飛び出し、DJという表現を楽しむそんな企画である。

その記念すべき第一弾として登場するのは、テクノゴッドとして世界中から敬愛されるレジェンド、Ken Ishii。本企画のために特別に組み上げた スペシャル・ライブDJセット(74分) を披露する。世界のクラブやフェスを彩り続ける Ken Ishii の真髄に触れられる、またとないチャンス。見逃し厳禁。

A 74-minute experience distilling the art of DJ expression —
The inaugural edition features the techno god who captivates the world: KEN ISHII

In club culture, a DJ controls the space through music over the course of an entire night. What began as mere track selection gradually evolved into a literal art form expressed through dance music. In time, this form of expression came to stand alongside singers and bands, breaking free from the club environment to appear at festivals, and ultimately taking shape as a “work” in the form of mix CDs.

Today, even away from the club, DJ mixes can be easily and freely enjoyed on smartphones or PCs via platforms such as Mixcloud and SoundCloud, where outstanding performances from around the world are readily available. However, from the 1990s through the early 2000s, mix CD culture held a distinct and meaningful place within DJ culture and the wider music scene. Officially released CDs, in particular, were bound by various constraints—most notably the 74-minute time limit of the CD format. Within these limitations, the challenge of how to construct a narrative through track selection and turn it into a personal expression became an essential part of the artist’s craft. In this sense, mix CDs became musical works in their own right, much like “live” albums by singers or bands. They supported DJ culture beyond the con.

東京・高円寺のライブハウス「JIROKICHI」50年の歩みを膨大なアーカイブ資料とともに一冊にまとめた記念書籍『次郎吉 to JIROKICHI -高円寺のライブハウスが歩んだ50年-』2月6日発売

コロナ禍を乗り越え、2025年に創業50周年を迎えた東京・高円寺のライブハウス「JIROKICHI」。本書は、1975年の開店から現在までの歩みを、膨大なアーカイブ資料とともに一冊にまとめた記念書籍です。

出演ミュージシャンの貴重なインタビュー、50年分のライブスケジュール、未公開写真、当時のチラシ等、ライブハウスの“リアルな日常”を克明に記録。ジャズ、ブルース、ソウルなど多様なジャンルが交差する「音楽の交差点」としてのJIROKICHIの姿と、その背景にある高円寺という街の変遷も浮かび上がります。

さらに、全50年間のライブスケジュール表紙ギャラリー、壁や柱に刻まれた出演者たちのサイン、周年ポスター&フラッグ、秘蔵写真・エピソードも多数掲載。ビジュアル面でも圧巻の内容です。

各ページからあふれるミュージシャン、スタッフ、観客の情熱は、ライブハウスが単に演奏したり、聴いたりするだけの場所ではないことを伝えてくれます。これからの音楽シーンで活躍したい人たちにも大きなヒントを与えてくれるはずです。

《商品情報》
次郎吉 to JIROKICHI
-高円寺のライブハウスが歩んだ50年-

ISBN:978-4-911484-03-6
価格:本体¥4,500+税
B5判/214頁
Live Music JIROKICHI 編

【Special Interviews】
坂田明/仙波清彦/木村充揮/リクオ/本田珠也/上田正樹/町田康/和泉聡志/吾妻光良/金子隆博/KenKen/鶴谷智生/森崎ベラ/矢代貴充(BLUE GROOVE代表)/三柴理/KOTEZ/森本レオ/the Tiger/RowHoo/山下達郎(45周年パンフレット再掲)

【対談】
永井ホトケ隆×山岸潤史 対談

【その他】
イラストレーター・いしかわともひさ、GEORGE MOMOKO、伝陽一郎のインタビューや、久原大河による描き下ろしJIROKICHI内観図、高円寺カルチャーマップ(和田博巳[はちみつぱい]インタビュー付き)

★出版記念イベント★
『次郎吉 to JIROKICHI -高円寺のライブハウスが歩んだ50年-』出版記念ミニエキシビション&ライブ
2026年2月1日(日)JIROKICHI
出演:三好3吉功郎g バカボン鈴木b 鶴谷智生dr 仙波清彦perc 永井ホトケ隆vo,g吾妻光良vo,g 高瀬順key 大西真b 松本照夫dr
MC:イシカワヒロナリ 金井貴弥(JIROKICHI)
Open 18:30 Start 19:30
予約 ¥3500 当日 ¥4000 +1drink order

★JIROKICHI 50周年 特別展★
Live Music JIROKICHI 50th Anniversary
Special Exhibition
『次郎吉 to JIROKICHI ― 高円寺のライブハウスが歩んだ50年』
2025年12月2日(火)~2026年1月18日(日)
会場:座・高円寺 B2 Galleryアソビバ
10:00-22:00
入場無料

1975年に誕生した高円寺のライブハウス JIROKICHI の歩みを、秘蔵写真や映像、50年分のスケジュールなど貴重な資料とともにたどる特別展。音楽と街、人々の記憶が交差する、50年の物語。

http://jirokichi.net/

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
Rakuten ブックス
◇7net(セブンネットショッピング) *
ヨドバシ・ドット・コム
◇Yahoo!ショッピング *
HMV
TOWER RECORDS
◇紀伊國屋書店 *
MARUZEN JUNKUDO
◇e-hon *
◇Honya Club *

全国実店舗の在庫状況
◇紀伊國屋書店 *
◇三省堂書店 *
丸善/ジュンク堂書店/戸田書店、ほか
◇有隣堂 *
◇くまざわ書店 *
◇TSUTAYA *
大垣書店
◇未来屋書店/アシーネ *

* 発売日以降にリンク先を追加予定。

DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS - ele-king

 DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTSが揃って来日ツアー!
 UKサブカルチャーの最重要人物Don Lettsがメンバーとして名を連ね、「反骨と創造の精神」を軸に活動する英日コレクティヴ、REBEL DREAD  HARDWAREが各地豪華共演者と共に2年振りのジャパンツアー開催。

英国から、すばらしい2トップがやって来る

——野田努

 かしこまって言うことでもないが、いま、我々は救いようのない混乱のなかにいる。雷鳴轟く闇夜に放り出され、立っていることさえ困難な船に乗っている気分だ。何をよすがとすればいい? いまも音楽は灯台の役割を担うことができるのだろうか。危険な場所を指し示し、時代における道標(みちしるべ)たり得るだろうか。
 およそ半世紀前、「パンキー・レゲエ・パーティ」が英国で暮らす白人の若者たちの耳と精神を拡張したことは周知の通りだ。そのきっかけを作ったのがロンドンのドン・レッツというDJであったことも、歴史の教科書を引くまでもなく明らかだ。パンクとレゲエの合流によって促された精神的な連帯は、人種差別や人びとを抑圧するシステムに立ち向かった。そうして、かつてない文化の扉が開いた。ベースが響き、言葉が舞う。ブリストルではダディ・GというDJがその後に続いた。「ワイルド・バンチ」が誕生し、それはやがてダブの重低音を纏った漆黒のグループ、マッシヴ・アタックへと展開する。
 ドン・レッツとダディ・Gがやって来る。2026年は、ちょうどパンク誕生50周年にあたるわけだが、いまなおドン・レッツが第一線で活躍していることは驚異である。50年前、パンクにレゲエを教えたこのDJは、自ら開けた扉から広がるフロア上で、そのプレイリストを更新し続けている。ヒップホップからジャングル、ダブ、インディ・ロック、ダンスホール……腹の底に響く低周波の音……。しかし重要なのはジャンルではない。その音楽が人びとにとってどんな意味があるか、だ。必要とされている夢か、あるいは特効薬か。リズムという底流のなかに出口を見つけるかもしれない。ドン・レッツとダディ・Gは、いまも音楽が前向きなパワーを持っていることを熟知している、その筋の達人たちである。同士たちよ、フロアで会おう。

REBEL DREAD HARDWARE
DISCIPLES OF BASS TOUR '26

DJ
DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)

SOUND OPERATER
SOUND OPERATER
内田直之(※TOKYO ONLY)

チケット発売中 :
https://eplus.jp/rebeldreadhardware/

【東京公演】
日時:4月10日(金) 24:00~5:00
会場:LIQUIDROOM https://www.liquidroom.net/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
内田直之(SOUND OPERATE)

more

【京都公演】
日時:4月11日(土) 21:00~4:00
会場:CLUB METRO https://www.metro.ne.jp/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
Michiharu Shimoda (SILENT POETS)
HATCHUCK (REBEL DREAD HARDWARE)

【博多公演】
日時:4月15日(水) 20:00~2:00
会場:KIETH FLACK https://kiethflack.net/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
+MORE

【名古屋公演】
日時:4月17日(金) 20:00~
会場:Live & Lounge Vio https://liveloungevio.com/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
HAYASSEN / OBRIGARRD

【大阪公演】
日時:4月18日(土) 18:00~23:00
会場:SOCORE FACTORY https://socorefactory.com/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
[LIVE]:おとぼけビ~バ~(Otoboke Beaver)
+MORE

【広島公演】
日時:4月19日(日) 17:00~21:00
会場:広島クラブクアトロ https://www.club-quattro.com/hiroshima/
出演者:DADDY G (MASSIVE ATTACK)
DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
高木完 & K.U.D.O (MAJOR FORCE PRODUCTIONS)

【松山公演】(※DON LETTS ONLY)
日時:4月25日(土) 21:00~3:00
会場:CLUB BIBLOS https://x.gd/gg4BQ
出演者:DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
クボタタケシ / HATCHUCK (REBEL DREAD HARDWARE)

【前橋公演】(※DON LETTS ONLY)
日時:4月26日(日) 15:00~22:00
会場:SPORT BAR UNIT TWO https://unit-two.owst.jp/
出演者:DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)
KING OF OPUS

主催:REBEL DREAD HARDWARE
https://www.rebeldreadhardware.com/

+++


DADDY G (MASSIVE ATTACK)

 DADDY Gは、MASSIVE ATTACKの中心的メンバーであり、WILD BUNCH SOUND SYSTEMの創始者としても知られる。
 SMITH&MIGHTY、TRICKY、PORTISHEAD等に代表されるDUB、REGGAE、FUNK、DISCO、HIP HOPを取り込んだUK ブリストル・サウンドの先駆者としてその名を世に刻んでいます。流れの早いシーンにおいてグローバルに活躍するDADDY G。そのスピリットは、あらゆるジャンルのアーティスト達に多大な影響を与えてきた。MASSIVE ATTACKとして活躍する以前は、DJとしてその名を轟かせ、当時10歳という若さでミックステープを作成、頭角を現し出し、その卓越したセンスで1980年にはブリストルで一番の若手DJとしての地位を確立していた。彼がかける斬新なDISCO、PUNK FUNK、SOUL、DUB、REGGAEには多くのファンが虜になり、そのファンの熱狂ぶりからも、彼のDJセットがどれだけ他のアーティストと一線を期していたことかがうかがう事ができる。
 その選曲やミックスのスキルのみならず、マイクも自由に操るDADDY G。多くのDJが存在する中で、彼がクリエイトするミュージック・ワールドには、唯一無二のとても特別な暖かみと存在感を感じる事が出来る。
 MASSIVE ATTACKとして2026年に新作発表・大規模なツアーが控えており、新たなフェーズを迎える。

DON LETTS (REBEL DREAD HARDWARE)

 ロンドン・ブリクストン生まれ。 ヴィヴィアン・ウエストウッド「SEX」と並び、ロンドンカ ルチャーの中心的存在だったショップ 「アクメ・アトラクションズ」を運営したドン・レッツは、そのアティチュードから、ファッション、そしてショップの壁を重低音で振動させるダブレゲエで注目を集めた。彼が初めてDJを務めたクラブ「ROXY」は、100日間の限定営業であったが、パンクスにレゲエの魅力を伝えたことで伝説となった。その経験から真のDIY精神を学んだ彼は映像作家としても活動。リアルタイムで当時の映像を撮り、 '79年に初のパンク・ドキュメンタリー映画『PUNK ROCK MOVIE』を制作。また、THE CLASH全てのMVを監督したことでも知られている。 ‘80年代半ばにはTHE CLASH を脱退したMICK JONESと「BIG AUDIO DYNAMITE」を結成。‘03年 THE CLASHのドキュメンタリー『WESTWAY TO THE WORLD』でグラミー賞受賞。'05年にパンクの核心にせまった『PUNK:ATTITUDE』を制作。‘21年 世界中で愛されるコンピシリーズ『Late Night Tales』にセレクターとして参加。独自のダブアウトされたセレクションで賞賛を集めた。自身のソロプロジェクトである「REBEL DREAD」名義初のアルバム「Outta Sync」を‘23年リリース。アルバムでは故・TerryHallやHollie Cookなどゲストボーカルが参加。
 BBC RADIO 6 Musicにて毎週土曜日に自身の番組である「Culture Clash Radio」を持つ。STUSSYオリジナル・トライブとしての顔も持ち、カルチャー・アイコンとして現在も世界中のクリエイターから熱いオファーを受ける。

Kotoko Tanaka - ele-king

 そのブルージィな歌声はわたしたちの日常にいつもとはちょっと違うみずみずしい景色を運びこんでくる。東京を拠点に活動するシンガー、Kotoko Tanakaがバンド・セットでツアーに臨むことになった。ギターにRiki Hidaka(betcover!!)、ドラムスに白根賢一(GREAT3TESTSET)を迎えた編成で、3月1日から29日にかけ、福岡、広島、京都、東京を巡回。都市ごとにスペシャル・ゲストも予定されているとのこと(広島公演の主催はSTEREO RECORDS)。詳細は下記より。

P-VINE - ele-king

 設立50周年を迎えた〈Pヴァイン〉から粋な計らい、公式スタッフ・ジャンパーが一般向けにも販売されることになりました(受注生産限定)。ボディ10色×プリント5色の計50ヴァージョン(!)から好きな組み合わせを選択可能、滅多にないチャンスです。詳細は下記をご確認あれ。

Pヴァイン50周年 アニバーサリー記念
公式スタッフジャンパーが発売開始

1975年12月24日に設立されたPヴァインは、このたび50周年を迎えることができました。
そのアニバーサリーを記念して、特別なスタッフ・ジャンパーを制作しました。

今回は、日頃からPヴァインを支えてくださっている皆さまにもお届けできるよう、受注生産限定で販売いたします。
ボディは10色展開、さらにプリントは5色から選択可能。組み合わせは 全50バリエーション。50周年にふさわしい特別仕様です。
フロントにはPヴァインロゴ、バックにはこのジャンパーのためにデザインされた、
ターンテーブル上で回るレコードをモチーフにした記念ロゴを配置しました。
普段はなかなか一般販売されることのない、Pヴァイン公式スタッフジャンパー。
ぜひこの機会にお手に取ってください

50周年記念コーチジャケット
サイズ: S / M / L / XL / XXL
販売価格: 10,780円(税抜9800円)
受注期間:2026年1月14日(水)10:00〜2月8日(日)11:59
発送時期:3月上旬

※オーダー後のキャンセル・変更は不可となります。
※商品発送は3月上旬頃を予定しております。
※配送の日付指定・時間指定は出来ません。
※United Athleのナイロン コーチ ジャケットを使用し、シルクスクリーン印刷でプリントします。

https://anywherestore.p-vine.jp/products/50th-jumper

Isao Tomita - ele-king

 日本のエレクトロニック・ミュージック史に大きな足跡を残す先駆者、冨田勲の幻のアルバムが初CD化される。1972年の『SWITCHED ON HIT & ROCK』がそれで、シンセサイザーによるプレスリーやビートルズ、サイモン&ガーファンクルなどのカヴァー集だ。発売は3月18日。松武秀樹が監修を務めている。
 なお松武は、この冨田のリイシューも含まれる「日本シンセサイザー音楽の曙」なる復刻シリーズ全体を監修してもいて、他にも注目しておきたいタイトルが一気にリイシューされる予定。
 シンセ・グループ、バッハ・リヴォリューションの変名たるザ・エレクトロ・サンタクロースによるクリスマス・アルバム(1976)、矢野誠のディスコ・プロジェクトで高橋幸宏が全面参加したマコト・ハイランド・バンドの『INJECTION』(1979)、そして松武秀樹の2作──『デジタル・ムーン』(1979)と『謎の無限音階』(1978)をカップリングした『デジタル・ムーン+謎の無限音階』の、計4枚が一挙にお目見え、というわけで、これを機に日本のシンセサイザー音楽の遺産に触れてみよう。

冨田勲1972年の幻のシンセ・アルバム初CD化も! 日本の初期シンセサイザー音楽の秘宝4タイトルが松武秀樹の監修により復刻決定!

1971年、映画・テレビ界で既に巨匠としての名声を誇っていた作曲家・冨田勲(とみたいさお)が、日本で初めて米国モーグ社製アナログ・モジュラー・シンセサイザーを個人輸入したことは、日本におけるシンセサイザー音楽の大きな画期となった。その後の『月の光』(1974年)をはじめとする冨田のシンセ・アルバムの世界的成功、1980年代初頭のYMOの大ブレイクに至るまで、70年代を通じて日本の先駆的音楽家たちによる実験的なシンセ・アルバムが数多く制作された。そうしたシンセ黎明期の試行錯誤を記録した作品の中から、未CD化で現在入手困難となっている貴重作を中心に復刻するシリーズ<日本シンセサイザー音楽の曙(あけぼの)>4タイトルが、3月18日にソニーミュージックより発売されることが決定した。全体監修を手がけるのは、日本のシンセサイザー・プログラマーの先駆けであり、現在は一般社団法人・日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ名誉会員を務める松武秀樹(まつたけひでき)。日本のポピュラー音楽のミッシング・リンクを埋める、シンセ・マニアならずとも注目のリイシューシリーズだ。

<日本シンセサイザー音楽の曙>
The Dawn Of Synthesized Music In Japan
2026.3.18 IN STORE
CD4タイトル 各¥3,080(税込)
シリーズ監修:松武秀樹 高品質Blu-spec CD2仕様
特設サイトURL:
https://www.110107.com/Jsynth

① 冨田 勲/スイッチト・オン・ヒット&ロック
ISAO TOMITA / SWITCHED ON HIT & ROCK
(Original : 1972/4/21)MHCL-31261 *初CD化

冨田勲、1972年の幻のシンセ・アルバムが初CD化!
シンセの巨匠・冨田勲がモーグ・シンセサイザー導入直後の1972年に洋楽カヴァーのイージーリスニング・アルバムとして発表した知る人ぞ知る作品で、オリジナル盤は4チャンネル・レコードで発売された。その制作過程で得たノウハウが後の世界的大ヒット作『月の光』(1974年)に結実したという意味で歴史的重要性は極めて高い。
1. イエスタデイ
2. レット・イット・ビー
3. イマジン
4. ヘイ・ジュード
5. 監獄ロック
6. ラブ・ミー・テンダー
7. ポーク・サラダ・アニー
8. この胸のときめきを
9. サウンド・オブ・サイレンス
10. ミセス・ロビンソン
11. コンドルは飛んで行く
12. 明日に架ける橋

② ザ・エレクトロ・サンタクロース/シンセサイザーによる子供のための楽しいクリスマス
THE ELECTRO SANTA CLAUS / THE JOYFUL CHRISTMAS
(Original : 1976/11/25)MHCL-31262 *初CD化

バッハ・リヴォリューションの変名クリスマス企画アルバムが初CD化!
日本最初期のシンセ・グループ、バッハ・リヴォリューションが1976年に変名で発表したクリスマス企画アルバム。バッハ・リヴォリューションのシリアスな作風とはうってかわって、クリスマスの有名曲を暖かくユーモラスなアレンジで聴かせる。
1. ジングル・ベル
2. 赤鼻のトナカイ
3. アデステ・フィデレス
4. 初めてのクリスマス
5. ホワイト・クリスマス
6. サンタが町にやって来る
7. ベツレヘムの小さな町で
8. もろびとこぞりて
9. 聞け天の御使いを
10. ひいらぎの枝で飾れ
11. きよしこの夜

③ マコト・ハイランド・バンド/INJECTION
MAKOTO HIGHLAND BAND / INJECTION
(Original : 1979/5/21)MHCL-31263 *初CD化

矢野誠のテクノ・ディスコ・アルバム、初CD化。高橋幸宏全面参加!
日本を代表するアレンジャー/キーボーディストである矢野誠のプロジェクトによる1979年発表のアルバム。ニューヨークと東京でレコーディングを行い、ジョルジオ・モロダー・スタイルのテクノ・ディスコ・サウンドを全編ほぼノンストップで展開。当時既にYMOに在籍していた高橋幸宏が全曲でドラムを叩く他、仙波清彦(パーカッション)、後藤次利(ベース)が参加。今回のリイシューには、矢野誠×松武秀樹の特別対談を掲載。
1. INJECTION
2. ANESTHESIA
3. WHERE
4. WHAT YOU ARE~ON AND ON AND ON AND ON AND ON ~WHAT YOU ARE
5. DANCIN' (EGYPTIAN REGGAE~DANCIN'~KOROBUCHKA)
6. LONELY
7. WANNA WANNA WANNA WANNA WANNA WANNA WANNA WANNA
8. I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN

④ 松武秀樹/デジタル・ムーン+謎の無限音階
HIDEKI MATSUTAKE / DIGITAL MOON + THE INFINITE SPACE OCTAVE
(Original : 1979/11/21/1978/7/21)MHCL-31264 *2026年リマスタリング

松武秀樹がYMO参加前後に制作したアルバムをリマスター再発!
YMOとの共同作業の合間に制作した映画『007』シリーズ主題曲カヴァー集『デジタル・ムーン』(1979年)と、人間の聴覚の錯覚を利用した無限音階トリックを駆使した音響実験ミニアルバム『謎の無限音階』(1978年)をカップリングした作品。
1. ジェームズ・ボンドのテーマ
2. 007は二度死ぬ
3. 黄金銃をもつ男
4. ロシアより愛をこめて
5. ダイヤモンドは永遠に
6. ムーンレイカー
7. 死ぬのは奴らだ
8. 女王陛下の007
9. 私を愛したスパイ
10. ゴールドフィンガー
11. 宇宙への出発[たびだち](上昇音階)
12. 宇宙からの帰還(下降音階)
13. ワープ航法 Part 1(連続上昇音)
14. ワープ航法 Part 2(連続下降音)
1~10『デジタル・ムーン』 11~14『謎の無限音階』

aus - ele-king

 音が呼んでいる。音と音が呼び合っている。静かに。やさしく。深く。心を鎮めるように。水流のように。

 アウス(aus)の『Eau』(FLAU)を聴いて、まず感じたのは、そんな「静けさ」の感覚だった。音楽が何かを語りかけてくるというより、こちらが耳を澄まさなければ何も起こらない。その距離感が、この作品を特別なものにしているように思う。穏やかで透明度の高いアンビエント作品という言葉は決して誇張ではないが、それ以上に、『Eau』は「音に身を預ける姿勢」が求められるアルバムなのだ。

 東京出身の作曲家/プロデューサー、Yasuhiko Fukuzonoによるソロ・プロジェクト、アウスの作品群を振り返ってみても、本作のサウンドデザインは明らかに異質である。ただし、それは実験性を誇示する方向ではない。むしろ構えがなく、音が淡々とそこに置かれている。そのため、難解さに身構える必要はないが、漫然と聴き流していると、何も掴めないまま終わってしまう危うさもある。『Eau』は、自然体で聴ける一方、注意深く耳を傾けるほどに、表情がゆっくりと浮かび上がってくるタイプの作品だ。

 何より印象的なのは、この作品の「聴きやすさ」が、単なる簡素化や情報量の削減によって成立していない点である。音は徹底して整理され、余分な要素は排されているが、その内側では微細な変化が途切れることなく起こっている。初めて聴いたときには、ただ穏やかに流れていくだけのように感じられた音が、繰り返し聴くうちに、配置や響きの変化として少しずつ輪郭を持ちはじめる。このアルバムは、即効性のある快楽よりも、時間をかけた聴取によって信頼関係を築いていくような作品だ。

 本作でアウスが箏をサウンドの核に据えている点も、個人的には強く惹かれた部分である。エレクトロニカを基盤に、緻密な音響設計で評価されてきたアーティストが、ここまで自然に日本の伝統楽器を溶け込ませていることに、驚きと同時に納得もあった。箏は旋律楽器として前に出るのではなく、音色や余韻、共鳴といった要素が丁寧に扱われ、電子音やピアノと境界線を失っていく。その結果、『Eau』には、どこか日本的でありながら、日本的と断言できない、不思議な中間領域の音風景が広がっている。

 箏奏者・奥野楽(Eden Okuno)の演奏は、このアルバムの質感を決定づける重要な要素だ。柔らかなタッチと倍音を多く含んだ響きは、明確な主張をすることなく、音が立ち上がり、空間に広がり、消えていくプロセスそのものを支えている。持続音のシンセサイザーや控えめなピアノと重なり合うことで、音は常に流動的で、角の取れた状態を保ち続ける。

 『Eau』の音の運び方は、即興性を強調するものでも、厳密な構造を誇示するものでもない。むしろ、作為が感じられない状態をどれだけ精密につくれるか、という点に重心が置かれているように思える。音が「鳴っている」ことよりも、「そこに在る」ことが重視されており、聴いているうちに、音楽を追うという意識そのものが薄れていく。気づけば、同じ空間に音とともに存在している。そんな感覚に近い。

 アルバム・タイトルの「Eau(フランス語で「水」を意味する)」が示す通り、本作のサウンドは形を持たず、水のように透明で軽やかだ。自然音楽やヒーリング・ミュージックのようなわかりやすい情景描写は前面に出てこない。音はただ現れ、変化し、消えていく。その連なりを追っているうちに、時間感覚が次第に緩み、音と音の間の余白さえも心地よく感じられてくる。この「何も起こらなさ」に身を委ねられるかどうかが、『Eau』を楽しめるかどうかの分かれ目だろう。

 冒頭の“Tsuyu”では、箏の単音が慎重に置かれ、その減衰と残響が空間に滲んでいく。旋律を追うというより、音が残していく気配を感じ取るような聴き方が自然と促される。“Uki”ではミニマルな反復が前面に出て、音の流れに身を預ける感覚が強まる。“Variation I”の反復は強調されすぎることなく、時間が静かに折り重なっていく印象を残す。“Orientation”では音の配置が立体化し、ヘッドフォンで聴くと奥行きの感覚が心地よく広がる。

 中盤以降はさらに音数が絞られ、静けさが前面に出てくる。“Variation II”では輪郭が溶け、“Tsuzure”では箏の断片、ドローン、水音などが重なり合い、穏やかなテクスチャーを形成する。“Shite”ではやや感情的な反復が現れるが、全体のトーンは崩れない。“Minawa”と“Soko”ではピアノと環境音、箏が重なり、環境音楽やエレクトロニカ的な側面がより明確になる。終曲“Strand”で音が薄れていく流れは、終止感というより、ただ音が去っていく様子を見送るような感覚に近い。

 『Eau』は、日本の環境音楽や空間音楽の系譜とも接続されている。例えば、諸井誠の『和楽器による空間音楽』や、吉村弘の箏作品に見られる、音を空間の一部として捉える感覚は、本作の音の置き方や時間感覚と確かに共鳴している。また、芦川聡や廣瀬豊の美学、さらには武満徹や坂本龍一が追求してきた音と沈黙、アコースティックと電子音の関係性も、前面に出ることなく背景として滲んでいる。ただし、それらは引用として提示されるのではなく、あくまで無意識の層で作用しているように思える。

 そのため『Eau』は、日本的な文脈を背負いながらも、特定の文化性や歴史性を強く主張しない。場所や時代を限定しない抽象性が保たれており、聴き手の生活環境や心理状態によって、受け取られ方が変わる余地が大きい。その「曖昧さ」こそが、この作品を繰り返し聴きたくさせる理由なのだろう。過度な抽象性に寄りかからず、「音そのものの心地よさ」を丁寧に保っている点も、本作の美点である。集中して聴くこともできるし、生活の中にそっと置いておくこともできる。そのどちらも拒まない柔軟さが、『Eau』を日常の時間と無理なく共存させている。

 アンビエント・ミュージックの「聴きやすさ」と「奥行き」を、ここまで自然に両立させた作品は、そう多くない。『Eau』は、とても穏やかで、耳に負担をかけない作品である。音の質感や余韻に意識を向けることができる人にとって、長く付き合える一作になるだろう。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847