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GREAT 3

GREAT 3

愛の関係

ユニバーサルミュージック

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黒田隆憲   Mar 31,2014 UP

 もう、いったい何度聴いたかわからなくなってしまった。2004年2月のライヴを最後に活動停止状態だったGREAT3。彼らが再び活動を開始し、9年ぶりとなるアルバム『GREAT3』をリリースしてから約1年ぶり/結成20周年となる通算9枚目の本作に、目下のところ筆者は中毒状態だ。
 94年、元ロッテンハッツの3人により結成されたGREAT3のファースト・アルバム『Richmond High』を、初めて聴いたときの衝撃はいまもハッキリと覚えている。60年代ロック、フォーク、AOR、パンクなど、あらゆる音楽スタイルをぶち込み、現在進行形のサウンドとして鳴らす作曲&演奏能力。海外文学からの影響を感じさせつつも、当時20代だった筆者の心にリアルに響く、狂おしいほど切なく切羽詰まった歌詞の世界。一瞬で虜になった。そんな彼らがシーンから姿を消していたこの数年間は、心にぽっかりと穴があいたような気持ちがしたものだが、3人とも充実したソロ活動をおこなっていたから、まさかこうして彼らの新作を心待ちにする日が来るとは夢にも思わなかった。

 白根賢一(ドラム)の自宅スタジオで制作された前作は、「とにかく、いますぐにでも音を出したい」という思いが爆発したような、荒削りなサウンドが印象的だった。本作では、そうした初期衝動を内包しつつも、本来の彼らの特徴である「練りに練った一筋縄ではいかない楽曲」が、まるで生き物のようにひしめき合っている。高桑圭(現Curly Giraffe)に代わって新加入したベーシスト、Janの弾き語り曲“丸い花”で幕を開け、ナイル・ロジャースばりの軽やかなカッティング・ギターと、地を這うようなベースがファンキーな“愛の関係”、90年代UKギター・ロックを彷彿とさせる“穴と月”、ニューオリンズ風のビートがグイグイと高揚感を煽る“5.4.3.2.1”、怒濤のヘヴィ・サイケ・メドレー“マグダラ”、オートチューン(?)でエフェクト処理された片寄明人のヴォーカルが官能的な“モナリザ”、そして、ジルベルト・ジル&ジョル・ジュベンの共演作『ジル&ジョルジ(Gil e Jorge)』を彷彿とさせるようなスリリングなアコギ曲“魂消”と、古今東西の名曲を片っ端からYouTubeでザッピングしているような、変わらぬ守備範囲の広さに圧倒される。しかも、目まぐるしく展開してゆく曲構成や突如鳴らされる奇妙な音色、動物の鳴き声など、一曲ごとに仕組まれたギミックも楽しく、聴き手を最後まで飽きさせないし、全編アナログ・レコーディングというだけあって、曲間にかすかに聞こえるヒスノイズにもワクワクさせられる。メンバー全員、「新譜を聴いて、こんなに楽しい時代は初めてだ」と口を揃えているというが、朋友・長田進(Dr.StrangeLove)を迎え、溢れるアイデアに興奮しながらレコーディングをしている様子が目に浮かぶようだ。

 サウンド的にはダフト・パンク最新作のディスコ路線、MGMTやテーム・インパラに代表される新世代サイケデリアあたりとの共通点を感じさせるが、思い返してみればGREAT3の音楽には、初期の頃からそうした要素は含まれていたわけで、「影響された」と言うよりは「共感し、触発された」と言った方が的確だろう。

 表題曲“愛の関係”で、片寄は歌う。「どうせいつか/死ぬんだろ/崖っぷちで/笑いたい/泣きながら/生き抜いて/出来る事を/やり切って/あとは/天に任そう/これでいいんだ」と。それはまさに、GREAT3が一貫して持ち続けている哲学そのものだ。希望と絶望、歓びと哀しみ、生と死、すべてを丸ごと抱え込んで、「泣き笑い」で突き進んでいく。そんな、どうしようもなく無様でカッコいい彼らが、いままたこうして最高傑作クラスのアルバムを作り上げたことを、心からうれしく思う。

黒田隆憲