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interview with Kikuchi Naruyoshi

interview with Kikuchi Naruyoshi

デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンの復活

――菊地成孔、インタヴュー

松村正人    Oct 04,2010 UP

若手にはデート・コースのチルドレンみたいなヤツがいるんだよね。僕の教えている生徒にはティポグラフィカのライヴにはとうとう行けなかったけど、音源を全部もっていて、「楽譜みせてください」とか「自分で採りました」って子がいっぱいいるわけ。


菊地成孔00年代未完全集『闘争のエチカ』(上下巻)
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■活動休止から3年の期間をどう見るかですね。しかしそれは瓢箪から駒かもしれないですね。

菊地:そうであってほしいけれども。ただエレクトリック・バンド、デート・コースと名乗るかどうかは別として、ここのところフル・アコースティックのバンド活動に傾いていたから、そろそろファンキーなもの、5~6人のスモール・コンボでポリリズムを主題にしたエレクトリック・バンドはやろうとずっと思ってはいたの。

■メンバーは事後的に考えたわけですね。

菊地:そう。旧メンバーで「こいつだけはどうしても」っていうひとには残ってもらって。

■それはどなたですか?

菊地:坪口(昌恭)と大儀見(元)と(津上)研太。それと僕を加えた4人が残る。あとは全員変える。

■新デート・コースのパーソネルを可能な範囲で教えてください。

菊地:千住(宗臣)くんとJ・A・Mとかソイル&ピンプ・セッションズのピアノの丈青くんはわかるだろうけど、ほかは生徒とかアマチュアからハントしたひととか、名前を知られていないひとたち。厳密にいうとニコニコ動画のテクニック系動画マニアの間では有名とか(笑)、そういう名声あるけど、一般的には無名ですね。

■リハーサルはもうはじったんですか?

菊地:明日(取材日は2010年9月15日)が初日。

■期待と不安半々ですね。

菊地:僕にとっては千住くんや丈青くんの方がむしろ未知数ですよ。彼らの場合いろんなツテを頼ったけど、ほかのメンバーは自分で選んだからポテンシャルがだいたいわかる。若手にはデート・コースのチルドレンみたいなヤツがいるんだよね。僕の教えている生徒にはティポグラフィカのライヴにはとうとう行けなかったけど、音源を全部もっていて、「楽譜みせてください」とか「自分で(音を)採りました」って子がいっぱいいるわけ。彼らはそこからデート・コースに進んで......なんというかな、種はまいたというかね。いま20代でデート・コースのライヴにギリギリ間に合ったくらいのプレイヤーがでてきた。そういったひとたちからもらったデモ・テープを聴くと、彼らは最初からデート・コースを聴いて育っているから血肉化されているんですよ。ロックンロールのパイオニアに対する第二世代というか、下の世代が育っていることに気づいたんですよ。

■デート・コース的な言語でしゃべるネイティヴですね。

菊地:そうそう。彼らは若いし、前のデート・コースの最大のネックだったスケジュールや活動資金の問題もクリアできる。さらに彼らはリズムに対するリテラシーが高い。メンバーがあらかじめ曲を全部知っていれば、マイルス・スタイルを採用しても対応可能であり、現にそういったひとたちが複数名いたというのが活動再開の契機でもありましたね。

■ミュージシャンに技術があってもコンセプトを飲みこめないと演奏できないでしょうからね。

菊地:上手いということは結局万能ではないからね。

■菊地さんは教鞭をとられてもいるわけですが、この10年の菊地さんの活動によって、若いリスナー一般のリズムのリテラシーが高まったということですか?

菊地:全体はなにも変わってない。むしろ退化している。というのはいいすぎにしても、ほとんど変わってないですよ。いまいったひとたちは好事家であって、アメリカのどの州にも何人かはザッパが死ぬほど好きなマニアがいる、というような意味です。

■テープを擦り切れるほど聴いてコピーして、ザッパ・バンドに入りたいひとたちですね。

菊地:オーディション待っているひとたちね。じっさいザッパ・バンドってそうやって長い時間かけてまわっているわけでしょ。いまはザッパの時代とちがうから、YouTubeがあって音源も共有ソフトでとれるし、はいりこむ回路はいくらでもある。新生デート・コースのメンバーは東京にいて、デモ・テープをもらった数人の直接コンタクトできる子たちから選んだけど、時間があればオーディションしたかったですよ。

■菊地さんの活動に啓蒙されてリズムのリテラシーが変わったひとは少数であったとしてもいた、ということですね。

菊地:僕がこの10年やってきたことは、ゼロからはじめることだったんです。リテラシーがゼロなのを、友人である優れたミュージシャンたちにやらせてきたのをファースト・インパクトだとすると、それを聴いて育ってひとがでてきて刈りとるセカンド・インパクトが当然うまれるわけ。あらゆる音楽史にとってそれは必然です。僕のゼロ年代にやったことは全部同じで、頭のなかでコンセプトを作り、それをすでにキャリアがある友だちたちにやらせて、結果的にうまくいった、その繰り返し。だから第二世代がでてきたこと自体がすごく新鮮なんですよ。ロックンロールや、レゲエやヒップホップみたいなジャンルではもっと短いスパンでそういった現象が起こるわけで、うちらにもそういったタームに入ったか、と驚いたところもある。それがマイケル・ヘンダーソン不在にも関わらずモチベーションがあがった大きな要因ですよね。

文:松村正人(2010年10月04日)

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