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interview with Kikuchi Naruyoshi

interview with Kikuchi Naruyoshi

デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンの復活

――菊地成孔、インタヴュー

松村正人    Oct 04,2010 UP

菊地成孔00年代未完全集『闘争のエチカ』(上下巻)
イーストワークス

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 「瓢箪から駒」というか「バタフライ効果」というか、3年前に活動休止したデート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン(以下デート・コース)の突然の復活劇に私の提案が一役買っていたのは、眩暈のする気分だった。70年代のマイルス・バンドのベーシスト、マイケル・ヘンダーソンが往時のマイルス・バンドを再結成し日本に来たがっているという話をあるひとから聞いて高見氏の耳にいれたのは私だったからだ。もう2~3年前の話だから、すっかり忘れてしまって、まあ立ち消えたのだろうと思っていた私は、ゼロ年代全集『闘争のエチカ』を出し、10月9日に日比谷野外音楽堂でのライヴを控えた菊地成孔の口からその話を聞くにおよび、不思議な感慨をおぼえた。
 
 ともあれ話は動き出しており、それはあの10年とはちがうこの10年に波風を立たせないはずはなく、私は3年ぶりの活動再開は休止というにはスパンが短いとも当初思っていたが、いまは考えをかえた。非常にたのしみになった。私は菊地成孔とちがい、運命論はほとんど信じない。決定論から逸れるのがおもしろいと思っている。決定論へのすききらいは別にして、全集に--これはあくまで全集の「構え」をしたものと断ったうえで--闘争のエチカ(倫理)とつけた菊地成孔にはゼロ年代からつづく運命とも公理とも正義とも道徳ともいえるものへの諧謔がありいささかも衰えていない。

「マイケル・ヘンダーソンがあのときのエレクトリック・マイルスのメンバーを招集してライヴして、そのフロント・アクトでデート・コースもリユニオンして一回だけ演りませんか?」と高見くんに訊ねられ、「だったら演る」と答えたのね。

■デート・コースが復活したいきさつを教えてください。

菊地成孔:(プロデューサーの)高見(一樹)くんにだまされたというのが本当のところです(笑)。

■そんなこと書けませんよ。

菊地:いいよ書いて。2年くらい前、アメリカでマイケル・ヘンダーソンがエレクトリック・マイルスのリユニオン・バンドを作った。ついては日本公演がしたいと第一報があったのね。そのとき僕は『オン・ザ・コーナー』のバンドでのリユニオンだともうちょっと細かい話を聞いていたんだけど、「マイケル・ヘンダーソンがあのときのエレクトリック・マイルスのメンバーを招集してライヴして、そのフロント・アクトでデート・コースもリユニオンして一回だけ演りませんか?」と高見くんに訊ねられ、「だったら演る」と答えたのね。リユニオンといっても一度だけだし、旧メンバー集めて演奏して「よかったね」で終わると思って一年くらい交渉を待っていたの。だけど、待てど暮らせど......というか、よくある話なんだけど二転三転して、最終的にその話自体がなくなったはいいが、途中経過で野音を押さえてしまっていた、と。
 マイケル・ヘンダーソンの話は黒人にありがちなブラフで、結局エレクトリック・マイルス・バンドの来日公演というこっちがワクワクするようなものじゃなくドサまわりだとわかってきたんだけど、ギリギリまで粘ったんですよ。じゃないと、デート・コースが単体で活動再開ってことになりかねないから。僕はそれはイヤだといったわけ。というのは、野音がデート・コースが活動を再開するからっていっぱいになるわけないと思っていたから(笑)。もう誰も憶えてないよって。

■「誰も憶えていない」は極論だと思いますが。

菊地:だとしても野音は規模がちがう。マイケル・ヘンダーソンに興味をもったひとが「そういえば昔デート・コースってバンドがあったな」って、久しぶりに見るのも悪くないというかね。だから高見くんには、一所懸命頼んで、最終的には「マイケル・ヘンダーソンひとりでもいいから旅費払って呼べ」っていったの(笑)。「デート・コースにマイケル・ヘンダーソンが入るのでもいいから、単独で活動再開っていうのはやめてくんない」って(笑)。だけど彼はそんなこと聞くひとじゃないから、僕の望みなんかたいがい叶わない。で、自分たちだけで野音やるはめになった(笑)。「だったら」ってこっちも降りる目もあったんだけど、そのころには再開に向けてマイケルの話とは別に気持ちが高まっていったところもあったから、彼の来日がなくなったのはたまらないものはあったけど、「でもまあ、やるか」って感じにはなってきていた。どうせ活動再開を謳うなら、懐かしいメンバー中心ではなく、僕以外は若いメンバーで--マイルスのスタイルですが--再構築しようと考えたんです。アルバムのリリースやライヴの頻度は別にして、まずは野音とボロ・フェスタで(新生)デート・コースをたちあげるのに、全体の計画がシフトしてきたわけ。シンシアにいうと、なにもない状態から「デート・コースをもう一回やるべきだ」というモチベーションが生まれてきたわけではない。

文:松村正人(2010年10月04日)

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