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interview with Purity Ring

interview with Purity Ring

すべては独学

――ピュリティ・リング、インタヴュー

橋元優歩    通訳:染谷和美   Aug 07,2012 UP

水といえばミーガンだよ。ミーガンはすごく水に惹かれるらしくて、とにかくなにかというと泳ぎに行くんだよね。どこに行っても、まず訊くのが「どこに行けば泳げる?」ってことなんだよ(笑)。

■PVとかはかなり凝ったクオリティですよね。ブルーワーという方の監督で"ベリスピーク"のヴィデオなんかは、おふたりがアイディアなどを出しているんですか?

コリン:あれは、ミーガンと僕とがある程度のアイディアを提示して、それを何人かの監督からプレゼンしてもらって、選んだものなんだ。ブルーワーさんはいちばんこっちの言うことを変えてしまった人なんだよね。唯一のこされていたのが、もともとの僕らの案のなかのヴァイヴというか雰囲気だけって感じで、あとはまったくかけ離れたものにしてしまってあって。でもそこが逆にいいと思って、彼にきめたんだ。

■あの暗くて模糊とした水底の造形もよかったですし、気味の悪いものがまとわりついてくる感じも、あなたがたの音楽を視覚的にうまく延長していたと思います。アーティスト写真にも水を用いたものがありますよね。こうしたあいまいな、水なんかの表象を好んで用いるのはなぜなんでしょう?

コリン:ほかにどこに水をつかってたっけ?

■いや、このアー写とか......(アーティスト資料などに用いられている写真を示す)

コリン:あはは、ほんとだ! そのとおりだよ。......ええと、"ベリスピーク"はたぶん僕らの音楽のなかでもいちばんダークなもののひとつで、攻撃的な響きのものだったなと思う。その意味で、ああいう暗い水底の雰囲気はしっくりきていたかもしれないよね。なにかつかみどころのない暗さ。でも、水といえばミーガンだよ。ミーガンはすごく水に惹かれるらしくて、とにかくなにかというと泳ぎに行くんだよね。どこに行っても、まず訊くのが「どこに行けば泳げる?」ってことなんだよ(笑)。セイリングも好きだよね。とにかく水にとりつかれているらしい(笑)。

■ははは、奇妙ですね! あなたはクラムス・カジノをフェイヴァリットに挙げておられたと思うんですが、クラムス・カジノにも少し似たような感覚があると思うんですね。スクリューとは言わないまでも、アッパーなテンションやテンポを生まないことにはなにか理由があるんですか?

コリン:ええと、先に言っておくと、クラムス・カジノはすごい人だと思うし、音楽も大好きなんだけど、でもじつはそう影響を受けたというほどにはよく知らないんだ。でも、たしかにそうだね。彼のほうが、抑えがきいているという意味ではずっと上だし、うまくやっているとは思うけど。僕らの音楽はときとして跳ね上がるし、わりと昂揚したりするって自分では思ってるんだ。こうして人と話していると、自分がこうしたいって思って作ったものとぜんぜんちがう印象を持たれていたりして、おもしろいものだよね。

■あなたのダークでドリーミーなエレクトロニクスは、ウィッチハウスとか、もっとひろくヒプナゴジック・ポップと呼ばれるような現代的な流れをいくつも巻き込みながら、新しい世代のR&Bにも接近していると思います。こうした流れのひとつひとつは、わりと無意識に目指されたものなんですか? 意識的に追っているものはあるのでしょうか。

コリン:どうなんだろう、ちがうもの、あたらしいものをつくりたいという気持ちはつねにあるんだけどね。いまあるものの最後になって終わりたくない、って。でもなにかの流れを意識的にとらえて組み立てているかっていえば、それはなんとも言えないな。エレクトロニック系の音楽は、ドラムがあってベースがあって......っていう型にはまらないで、とても自由につくっていけるものだから、どんどん新しいことをやるのが大事だとは思ってる。機材が提供してくれるサウンドのパレットが無限にあるわけだから。でも異なったもの同士を組み合わせるっていうような部分は、たぶん無意識にやってるかな。とくに、アタマのふたつ、はじめて書いた曲のふたつなんかは、何にも考えないで作ったと思うよ。できちゃった、って感じの曲なんだ。あらためて聴いてみれば、ああ、これはここから来てたんだなっていう説明はつくと思うんだけどね。でもいまの僕にそのへんを分析することはできないかな。

■大きな影響として90年代のR&Bについても言及されていますが、そのころって、まだすごく幼いですよね? リアルな記憶とかはあるんでしょうか?

コリン:ちょうど僕は90年生まれだよ。だから、99年は10歳だ。99年までが90年代だからね! 姉が4人いるんだけど、10歳くらいのころは、ラジオなんかをいちばん聴いてた時期で、姉たちといっしょに、ポップスからR&Bから、とにかくそのときはやっているものをガンガン耳にしてたんだ。僕自身はそんなに興味があったわけじゃなくて、いつもいっしょにいたから聴かされてたって感じだね。もうちょっと大きくなって自分で音楽を選ぶようになっていくと、メイン・ストリームから外れるものも聴くようになるんだけどね。でもいまこうして音楽をつくるようになってみると、あのラジオを聴いてたころの影響っていうのがどんどんにじみ出てくるものなんだなって思うよ。当時聴いていたときの、そのままのフィーリングがよみがえってくる感じがあるよ。

■ああ、「にじみ出てくる」ねえ。なるほど。ところで、ピュリティ・リングを聴いて「踊れるグライムス」って評した人がいるんですけど、カナダからみたグライムスの活躍ていうのはどんなふうに見えているんでしょう? カナダのシーンに与えた影響はありますか。

コリン:えっ、本当~(笑)。僕は逆にグライムスのほうが踊れると思うなあ。

■あははっ。

コリン:僕らのほうがスローだし、スペーシーで、すき間も多いし。リズムも一定だしね。クレアは友だちだよ。地元モントリオールの仲間だし、共通の友だちも多いんだ。彼女はやっぱり、その後カナダのアーティストが世界に出ていくきっかけになってくれたような人だなって思うよ。モントリオールの、僕らみたいな音楽をやっているアーティストたちが注目されたのも、彼女からはじまっている。けっこうそれはクールなことだよね。

■シングルが〈ファット・ポッサム〉から出ていたりするのはどういうきっかけなんですか? ユース・ラグーンなんかもいますけど、どちらかというとガレージ・ロックなんかの印象のつよいレーベルですよね。

コリン:当時べつになんの契約もない状態だったから、自費でシングルでも出そうかって思ってたところに〈ファット・ポッサム〉から連絡があったんだ。だから渡りに船で契約したんだけど、たしかに僕らはあのレーベルのなかでは浮いてたよね。〈4AD〉のほうが合ってるって僕でも思うよ(笑)。でもあの段階では〈4AD〉なんてとても。彼らが僕らに気づいてくれるのは、そのずっとあとのことになるね。

■ピュリティ・リングって名前はどんな意味でつけたんですか? ふたりでそう名乗るのは意味深にも思われますが。

コリン:いや......とくに意味はないんだ(笑)。でも響きはいいし、覚えやすいし、何年か前からバンドかなにかをやるならこの名前にしようって思ってたよ。ちょうどミーガンといっしょにやることになったから、じゃあそれを、って感じで。なんとなく、つくりたいと思う音楽の雰囲気にも合ってたしね。

■あれれ、そうなんですか。じゃあ最後に、先に帰ってしまった相棒にひとことお願いします。

コリン:いやあ、とくにないよ、ノー・コメント(笑)。だけどおもしろいね。僕がいま話してたことがぜんぶ日本語になるわけだから、あとから見たって写真くらいしかわからないんだね、僕は。

文:橋元優歩(2012年8月07日)

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