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interview with kuki kodan

interview with kuki kodan

空気を録りましょう

――空気公団(山崎ゆかり)、ロング・インタヴュー

橋元優歩    Photo:TAKAMURADAISUKE   Nov 16,2012 UP

30を越えること

わたしは、空気公団の音楽って、毎日のなかになんとなく流れてて、ふと気づいたらそこにある、みたいになればいいと思ってたんですよ。真正面から流れてるというよりは。


空気公団 - 夜はそのまなざしの先に流れる
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なるほど。芸能の世界だと、女性ってなんだかんだと若さとか容姿の追い風を受けたりする部分もあるじゃないですか。そうじゃなくて、ミュージシャンとして20代を越え30代を越えていくときに、大事になるものとか感じることとかはないですか?

山崎:うーん、あんまり考えたことないかなあ......

もちろんそういう魅力を消費されるようなバンドではないと思うんですけど。

山崎:最初から古くならないような気がしていたし、いつまでもやっていけるかもしれないというふうに思えましたけどね。そういうことをよくメンバーと飲みながら話してました。
 でもだからといっていまも昔と変わらない気持ちかといえば、そんなこともないけど、貫くのがいちばんだって思いますかね。昔言ってたんです。自分たちを砂山だと思って、その砂山を、光が差しているところへ崩れながらでも少しずつ移動させていこうって。移動させるたびにそれはボロボロ崩れていっちゃうんですけどね。自分たちが変化していくっていうんですかね。でもあるとき、もう砂山を移動させる必要はない、「ここに砂山がありますよ」って言いに行けばいいんだって思いました。自分たちが出ていこうというふうに考え方を変えたんです。(移動できる砂山ではなくて)一定の場所にもっとしっかりと作ってしまおう。そういうふうに考えはじめたのは、20代の終わりだったかもしれないですね。

ああ、へえー。

山崎:やっぱり、揺るがされる瞬間ってあるんですよね。でも、もう揺るがないなと思ったんでしょうね。そこから、はじめに言ったような、何十テイクも録っていいものを作ろうっていう考え方じゃなくなったように思います。もっと自由でじゃないかってなってった。

なるほど。揺るがないことで、むしろ自由になるんですね。

山崎:自分を表現したいって思ってるわけではないんですよね。気持ちがあるのってもっと奥なんです。自分をアピールしたいというよりは、自分のなかで見えてるものをもっと外に、って思ってました。

音楽と年齢との関係になにか変化があったりはしないですか?

山崎:べつにないかな。曲を書くぞって思ったときに、歌詞のなかに出てくる男の人の像がふわっと見えてきたりするんですよ。でもその人がいっしょに年をとってるかどうかもよくわからないですね。とってるかもしれないですけど。

空気公団、新しいコミットメントの可能性

昔言ってたんです。自分たちを砂山だと思って、その砂山を、光が差しているところへ崩れながらでも少しずつ移動させていこうって。でもあるとき、もう砂山を移動させる必要はないと思って。「ここに砂山がありますよ」って言いに行けばいいんだって。

ではもうひとつ。山崎さんはソロとしてではなくて、バンドというかたちで活動しているわけじゃないですか。いまって、たとえば家族ですら、とても偶然的な集団として考えられてたりして、人と人がいっしょに集まっていることの意味が昔ほど自明ではないと思うんですね。この10年、ソロやデュオで音楽やる人もとても増えましたし、バンドってものの意味も空洞化してると思うんです。そんななかで、人と関わって音楽をつくっていくことにどんなことを見出していらっしゃるんでしょう?

山崎:自分ひとりが考えてることってほんとに大したことがないんですね。とくに自分で曲を書いて詞を書いてると、アレンジも想像できたりして。自分は人が好きなので、がっちり合わなくても、ちょっとでも交わっている部分の色を大切にしようって思います。
 わたしの場合、自分ひとりで突き詰めたものって、自分の思ってるものじゃなくなる気がする。逆に。

人と人が交差するかもしれないプラットフォームを準備することのほうに意識があったりするんでしょうか。

山崎:人数が多いといろんなところに点が置けるので。

ライヴ盤もお客さんふくめたくさんの人が参加してるし、今回のも劇の方々が入ったりと多くの人で構成されてますよね。そうやって人を集めていくというか、同じ意志を持ってるわけでもない、いろんな人の集まる場所を作っていこうという考え方の根本には、何があるんだろうって思うんです。

山崎:うーん、なんでしょうね。

べつに互いがベタベタしてる関係でもないし。

山崎:3人だけでも欠けているので。3人でやれることは限られてる。だけど、そこのなかには思いが強くあるので、それをわかってくれる人を巻き込んで、もっとおもしろいことができればいいのに、とは思ってますね。上手い下手じゃないですね。窓をいっぱい持たせて、どこの窓から入ってきてもいいよってふうにさせたい。

人が集まると軋轢が生まれると思うんですよ。まあ、必ずしもそうじゃないかもしれませんけど、人が多いほどストレスも生まれるし、やっぱりそのリスクを避けたくて、多くの人はそこからなるべく隔たって自分の自由なスペースを確保したいって思ってると思うんですよね。いまはそれである程度不自由なく暮らせる条件が揃っているんで。でもそうではないところでつくっているのはなぜなのか......

山崎:でもそれなら空気公団の音楽はちょうどいいですよ。ひとりで聴く人が多いから。

ははは。それもそうですね。なんで矛盾するんだろ。そうそう、そうやって多くの人が交わりながらもベタつかずにひとりでうまくやってけるんなら、うちらもそうしたいんですよ。......っていう気持ちがすごいあるんですけど。

野田:さっきからうかがってると、共同体とかコミュニティに対する山崎さんなりの視点っていうのがはっきりあるよね。ヴィジョンとして旧来的でない共同体のかたちが頭に描かれているようにも見えますけど。

そうそう。そんなものがあるのなら社会としても知恵を拝借すべきじゃないですか(笑)。

山崎:「主張したいのは自分だ」っていうのを後ろに置けばいいんじゃないですかね。わかんないけど。CD作りたてのころに、ミックスのエンジニアの人とかによく言われたのが、「『もっと上げてほしい』じゃなくて『もっと下げてほしい』みたいな要望が多いねー」ってことだったんです。「もっと自分の楽器を落としてほしい」とか、下げる方向のことばかりお願いしてたんだけど、「ふつうは上げてくれって言うもんだよ」って。不思議がってましたね。

それは一種、共存を可能にするスタイルだってことなんですかねー。

山崎:うーん、町を表現するというか、そういうときに重要になるのは、そこに流れているメロディをどうやって伝えるか、だと思うんですよね。

取材:橋元優歩(2012年11月16日)

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