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interview with GORO GOLO

interview with GORO GOLO

音が鳴れば、肉は揺れる

――GORO GOLO(スガナミユウ)、インタヴュー

天野龍太郎    Jan 08,2014 UP

〈ロフト飲み会〉はそれこそ昔、細野晴臣さんも中華街(ライヴ)で言ってたんだけど、「音楽は添え物ですので、好きに食べて飲んでいってください」っていう。そんなものでいいんじゃないかとも思うし。そこで機能できる音楽って素敵だと思うんですよ。

なるほど。話は変わりますが、スガナミさんの音楽前夜社としての活動も含めて、GORO GOLOはシーンの引っかき回し役になってると感じるんですよね。〈ステゴロ〉もそうなんですが。

スガナミ:なるほど、たしかにね。考えることがちょっと人とちがうのかな。普通にイヴェントやろうってときに、たぶんみんなメンツとかから決めると思うんですよ。対バンや自分がやりたい人で決めると思うんだけど、俺はイヴェントの趣旨から考えるところがあって。「飲み放題、飲み会にしたらいいんじゃないか……?」みたいな。

〈ロフト飲み会〉(毎月1回、〈新宿LOFT〉で行われるイヴェント。ドリンクチャージ1000円のみで飲み放題、毎回ジャポニカソングサンバンチが「余興」として演奏する)ですね。

スガナミ:〈ステゴロ〉だったら、「UMB(アルティメット・エムシー・バトル)みたいなことできないかなあ」とか。ライヴ・ハウスの可能性を探っている感じはあるんだけど。シーンに対しては、たまたまやってる人がいないということでもあるんだけどね(笑)。

そうですね。僕も実際にバンドをやっていて、オーガナイザー的な人はあまり多くないと感じます。

スガナミ:そうなんだよね。もちろん演者さんの並びは大事だと思うし、サーキットのイヴェントも面白いと思うんだけど。でも音楽自体や場所/スペースの本質に迫るようなものをやりたい。そういう方が自分も出たいと思うし。音楽をやっていくことに対してルーティンになっちゃうのが嫌だっていうのがあるんだよね。あとは「このバンドはこういう形だったら絶対もっとよく見せられるなあ」というのもある。たとえば、〈ステゴロ〉に出演しているのはとくにハードコアとかパンクのバンドで、もともと曲が短くて興奮するバンドたちなんだけど、なうなるとやっぱり、それを楽しむ人たちしか観にこなくなっちゃう。いまだったらダンス・ミュージックとかの方が先鋭的だし興奮するところがたくさんあると思うんだけど、もう一回(パンクやハードコアに)光を当てるとしたら、矢継ぎ早に戦う方が興奮するんじゃない? と(笑)。そのジャンルに対しての火の点け方だね。〈ロフト飲み会〉はそれこそ昔、細野晴臣さんも中華街(ライヴ)で言ってたんだけど、「音楽は添え物ですので、好きに食べて飲んでいってください」っていう。そんなものでいいんじゃないかとも思うし。そこで機能できる音楽って素敵だと思うんですよ。

スガナミさんの活動は非常に幅広いのですが、そのなかでGORO GOLOってどういう位置にあるんですか?

スガナミ:音楽人生のなかで初めてちゃんとやったバンドだし、自分のでがっちりステージに立ってるのはGORO GOLOしかないから……生きがいというか(笑)。生きている感じがする場所ではあるんだよね。ジャポニカ(ソングサンバンチ)とかMAHOΩ(共に音楽前夜社のバンド。MAHOΩは2013年に解散)とかは、もうちょっと俯瞰的というか、見え方として丸腰じゃないというか。GORO GOLOはやっぱりそれとはちがって、本当に……さらけ出す感じというか。本質的……「本質的」っていう感じでもないなあ……うーん……。

「核」みたいな?

スガナミ:「核」みたいな。うんうん。「心臓」みたいな。

アルバムの話に戻るのですが、ファーストも今回のセカンドも、ジャケットに男女がいますよね。

スガナミ:ああ、たしかに。

これは?

スガナミ:これはモーリス(アルバム・デザインを担当したYOUR SONG IS GOODの吉澤成友)さんの意図。たぶん。ファーストのジャケットもモーリスさんが描いてくれてて。

ファーストのアルバム・タイトルには「roman」と入ってるじゃないですか? GORO GOLOの曲にはどこかしら男女のロマンス的なところがあるって思うんです。それほど直接的に出てこないんですけど。

スガナミ:たとえば“GOD SAVE THE DAINCING QUEEN”はダンス規制法に関するものなんだけど、「踊ってるあの娘を眺めてただけなのに」というふうに、対象として「あの娘」って使うことはある。でも「女の子と踊ろうよ」っていうのはあんまりない(笑)。

あはは。

スガナミ:なんかね、そこはないんだけど(笑)。でも“セックス・マシーン”じゃないけどさ、どこかちょっと卑猥な方がいいと思ってて。ソウルとかってさ、ちょっと下世話っていうか。

スガナミさんのライヴ中のジェスチャーも……セクシャルなものがありますよね(笑)。

スガナミ:「セクシャル」っていうか、汚れてる(笑)。本能的であるべきだなって思うんだよね。行儀よくてもあんまり響かないなあと思って。

こうやってもう一回出てきたんだけど、ルーズ、っていう感じがすごく自分たちらしいなあと思って。でも「ルーザー(loser)」ってつけちゃうほど、まだ負けてないというか(笑)。で、「Golden」をつける(笑)。

『Golden Rookie, Goes Loose』というアルバム・タイトルがいいですよね。「黄金のルーキーがルーズになった」。

スガナミ:ははは! まさしく俺たちのことなんだけど(笑)。もともと「GORO GOLO」ってバンド名には意味がないんですよ。今回その頭文字取って、なにか意味をつけようっていう話をジャポニカの千秋としてて。ふたりで大喜利みたいにして話しているときに、「『Golden Rookie, Goes Loose』っていいじゃないっすか」って千秋が言って。「それすげーいいね」っていって、そうなったんです。あともう一案として、「Golden Rock, Golden Love」っていうのもあったんだけど(笑)。ははははは!

ははは!

スガナミ:あまりにダサすぎるって(笑)。「これは5枚目のアルバムだろう」と(笑)。アルバム・タイトルの意味合い的にはやっぱり……。俺らが21(歳)の頃ってさ、こういうエッセンスとしてソウルとかファンクとかジャズが入った音楽をやっている若い人ってあんまりいなかったから、ルーキーっぽい扱いをされてて。で、こうやってもう一回出てきたんだけど、ルーズ、っていう感じがすごく自分たちらしいなあと思って。でも「ルーザー(loser)」ってつけちゃうほど、まだ負けてないというか(笑)。で、「Golden」をつける(笑)。

活動休止から立ち上がって、セカンド・アルバムを制作して、GORO GOLOは今後もどんどん続けるんですか?

スガナミ:そうですね、やりますね。今年中にもう1作品ぐらい作りたいなあと思っていて。また曲作りをはじめて。

へー、すごい!

スガナミ:やー、ちょっと頑張って、老体に鞭打って(笑)。ははは!

「老体」だなんてまだそんな……。

スガナミ:いや、いま、32(歳)だからね。

全然じゃないですか。

スガナミ:いやいやいや。だって、天野くんはいま何歳?

24歳です。

スガナミ:24かー。若いなー。いちばんいいときに世の中に出てくなー。はははは!

でも、スガナミさんがGORO GOLOでファーストを出されたときは、21歳とかじゃないですか?

スガナミ:うんうん。でも俺たちはその後すぐ地下に潜るから。

スガナミさん、昔ちょっと引きこもっていたということをおっしゃってましたよね。

スガナミ:うんうん。

音楽前夜社の初期の活動は宅録とかで。

スガナミ:そのときはちょっと引きこもりから脱しはじめてるんだけど。それ以前は五厘(刈り)にして、布切れを着て公園を散歩するっていう毎日(笑)。

はははは!

スガナミ:ほとんど修行僧のような毎日。で、ポエトリー・リーディングしてるっていう謎の時期があって。その頃もすごくいいんだけど。その頃の作品も出したいなあと思ってる。そこからまた音楽前夜社とかをやるようになって、フィジカルが高まるっていう感じかな。


オール・ジャンル、濃いヤツらだけでやる。これは本当に面白いと思います。どうなるかわかんないんだけど(笑)!

最後に1月19日のイヴェント〈音楽前夜社本公演〉についてお聞かせください。

スガナミ:音楽前夜社がはじまってから、〈音楽前夜社本公演〉ってイヴェントを何度かやっているんです。今回、今年の1月19日に下北沢の〈Basement Bar〉と〈THREE〉を併用して、お昼から18組のミュージシャンが出ます。俺がこの2年間ライヴ・ハウスで出会った人たち、自分が好きな人たちに18組も出ていただいて。いま観るべき18組が揃ってくれたので、ほんとオススメです(笑)! すごいメンバーだと俺は思っているんですけど。

すごいですよ! 年代もジャンルも関係なく並んでいるという。

スガナミ:リリースの近いバンドも多いです。

僕ら(失敗しない生き方)がこの3日後(1月22日)にリリースですね。

スガナミ:Hi,how are you?も2月の頭とか(2月5日に『? LDK』をリリース)。DIEGOも出すし(昨年12月に『ヒッピーヤンキーミシシッピー』をリリース)。いま、とくに自分より若い人たちの世代がすごく好きで聴かせてもらってるんです。出演者には天野くんみたいな20代前半から中盤のバンドが多くて。脳性麻痺号やSUPER DUMBとか、年上の人たちとも交わってほしいなあなんて思いながら。A PAGE OF PUNKやodd eyesも出るし、天野くんたちにはぜひハードコアのバンドも観てほしいという思いがある。

そうですね。ぜひ!

スガナミ:オール・ジャンル、濃いヤツらだけでやる。これは本当に面白いと思います。どうなるかわかんないんだけど(笑)!

取材:天野龍太郎(2014年1月08日)

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Profile

天野龍太郎天野龍太郎
1989年生まれ。東京都出身。音楽についての編集、ライティング。

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