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interview with Galcid

interview with Galcid

Galcid アンビエントを作り、そして語る

取材・文:小林拓音    写真:小原泰広   Apr 28,2021 UP

美しいメロディをつくるというよりも、まぬけなメロディをいかにきれいに美しくやるか。

■そして「Galcid's Ambient Works 2」も出ました。

レナ:今回、カセットテープは JetSet Records と waltz で取り扱ってもらっています(註:4月27日現在、waltz では予約段階でソールドアウト)。

■アンビエント・シリーズはカセットで、みたいなこだわりがあるんでしょうか?

レナ:レーベルは変わりましたが、そもそも1作目のとき、カセットで出さないかというオファーだったんです(〈Detroit Underground〉)。その1作目を聴いたスペインのレーベル(〈Sofa Tunes〉)がすごく気に入ってくれて、うちからカセットで出さないかと言ってくれて。

■なるほど、そういう経緯でしたか。このレーベルは知らなかったんですが、どうして急にスペインのレーベルになったんだろうと。Galcidのアンビエント路線、ぼくはかなり良い方向だと思っています。

レナ:アンビエントはすごく開眼させてくれますね。自分の色づけや音楽の幅を持たせてくれる。

■でもやっぱりノイズを入れずにはいられないところはニヤッとさせられました。そこは久師さんですか?

レナ:ふたりともですね。どうしても汚しにいってしまいたくなるというか。その辺はやっぱり中学生なんですよね(笑)。宅録の延長というか、音質の悪さを追求したくなる。

■1曲目はとくに、良い音の濁り具合だなと思いました。

レナ:宅録でカセットテープでやっちゃったみたいな、そういう音にしたかった。それを実際にカセットで聴いたらどうなるか、わからないですけど(笑)。あとメランコリーというか、退廃的な匂いを入れたいというのもありました。1曲目はとても暗くて。暗くないですか? モールス信号でメッセージも入れています。ぜひ解読してください(笑)。

■暗さはそれほど感じませんでしたけど、美しい風景のようなものは浮かび上がりました。

レナ:私としては、デヴィッド・リンチが好きなので、ああいう滲んだ色というか、緑がかった映像のイメージがありました。写実的なかっちりしたものよりも、リンチだったり『ブレードランナー』だったり、ああいう青緑の雰囲気を醸し出したいというのは無意識的にあったと思います。

■好きなアンビエントのアーティスト、あるいは作品はなんですか?

レナ:ベタすぎですが、やっぱりブライアン・イーノとエイフェックス・ツインが好きなんですよね。

■おおお。イーノだと、どれがいちばん好きですか?

レナ:『Thursday Afternoon』ですね。『Music For Airports』も好きですけど、やっぱり『Thursday Afternoon』かな。

■85年の、ワン・トラックのやつですね。どの辺が?

レナ:まどろみというか、あれもやっぱり独特のカラーを感じて。いま私、「アルコール・インクアート」というのをやっているんですよ。アルコール・インクアートってご存じですか? 

■知りませんでした。

レナ:インクをアルコールに垂らすと、ぶわーっと混ざっていって、色がどんどんまだらになるんです。そういうアートがあって。(スマホで動画を見せる)私はそれを利用して音を使い「周波数アート」と命名してやっています。

■名前からしてヤバそうですね。

レナ:(スマホで動画を見せながら)色に音を当てるんです、こうやって模様を描いていく。ブライアン・イーノの音って、まさにこういう世界なんですよ。音色がゆっくり混ざっていく感じ。抽象画を描くプロセスを見ているイメージで、すごく想像力を与えてくれる。

■『Thursday Afternoon』って、もともと「ヴィデオ・ペインティング」としてはじまった作品なんですよ。たしかインスタレーションのサウンドトラックのような位置づけで。ヴィデオ版も出ています。だから、レナさんのその受けとり方はまさにどんぴしゃというか。

レナ:そうだったんですね! 映像は観ていないですけど、音でそれを感じたんです。音ですごく色を感じて。しかも一色ではなくて、動いて、ちがう色が出てきて、それが流れていくという。アート作品のプロセスを観ているような。音楽って一般的には譜面というプロセスがあるけれど、それをキャンバスのうえでやっているような雰囲気がすごく好きですね。でもなんで『Thursday Afternoon』なんだろう。木曜日にやったのかな(笑)。

■きっと共感覚をお持ちなんでしょうね。しかし、イーノ作品で『Thursday Afternoon』がいちばんというのはおもしろいですね。

レナ:「Bloom」というアプリがありましたよね。あれもすごく好きなんですけど、それにも通じているんですよね。時代順に聴いたわけじゃなかったので、最初『Thursday Afternoon』も「Bloom」でやったのかな? って思ったくらいです。

■『Reflection』は聴きました? アプリでも出ていて、再生するたびにちがう音が鳴るんです。(アプリを立ち上げ)春夏秋冬でムードが変わるようにも設計されている。

レナ:いいですね! 「Bloom」で止まってました(笑)。いろんな意味でブライアン・イーノは先輩なんですよ(笑)。創始者でもありますし、考え方や、医療関係だったり教育関係だったり、音楽と活動の仕方にかんしても。人としてすごく興味があります。

取材・文:小林拓音(2021年4月28日)

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