「F」と一致するもの

BYSAKUU 05 - ele-king

 え、コーネリアスが新曲を発表? これは、「一杯のお茶により人と人をつなぐ」プロジェクト、BYSAKUUのシリーズ最新作として発売される、コーネリアスの音源入りカセット+茶葉一包み(3g)+Tシャツのセット。コーネリアスは「Music for Tea Time」と題して、 “Take Me to the Green World(お茶を淹れる時間を楽しむための音楽)” 、 “In the Mist(お茶を味わうための音楽)” の2曲を提供。デザインがバウハウスのパロディになっているところも、ファンにはちょっと嬉しいです。発売は1月20日。詳しくはこちらまで→【https://jinnan.house/blogs/news/bysakuu05

東金B¥PASS - ele-king

 ヒップホップ/ラップ・ミュージックが大衆音楽の中心を占めるようになってひさしい。国内外問わずものすごいスピードで新人が登場し、中堅・ヴェテランたちも活躍をつづけている。日本ではかつての KOHH ほどの求心力を持った存在はいまだ見受けられないように思えるが、逆にいえばまさに百花繚乱、全国各地で多くのチャレンジャーたちが頭角をあらわしている。千葉を拠点とするデュオ、東金B¥PASS (とうがねバイパス)も看過すべきではない存在のひと組だ。
 ラッパーの DF¥ とビートメイカーの sostone からなる彼らが活動をはじめたのは2015年ころ。2017年にはファースト・アルバム『DA THING』を送り出している。ストリート出身らしく、当時はスケートボードばかりの生活を送っていたという。
 レーベルのサイトに公開されているインタヴューを読むと、しかし、今回のセカンド・アルバムは、車を乗りまわす日常生活が創作の源泉になっているようだ。
 試しに検索窓に「東金バイパス」と打ちこんでみる。マップを開き写真を眺めると、どこまでもつづきそうな平野を覆うアスファルトの脇に、かつ丼チェーン店やラーメン屋、ファミレスなどが映りこんでいる。とにかく駐車場が多い。JR東金線と交差するように走る、国道126号。自動車がないとどうにも立ちいかない景色が広がっている。ある意味、日本の田舎を代表する風景ともいえよう。ここが彼らの音楽が生み出されることになった「ホーム」なのだ。

 運転中に夢を見ると大変なことになるからだろう、かわりにドリーミーな感覚を請け負ってくれる2曲目 “Raders” について DF¥ は、「車から見る景色がある」「DRIVE SONGではない」が「ドライブしてる時に湧き出たもの」と説明している。「lights 監視カメラ action」と監視社会にたいする風刺を盛りこんだこの曲には、「俺は希望しか持てない非力」なるキラーなフレーズが登場する。ともすれば閉塞的なイメージでとらえられかねない無限の道路の風景から、ペシミズムとは真逆のことばが出てくるところに東金B¥PASS の魅力がある。
 その姿勢は「残酷な世界からlog out」や「必至に未来に戻る感覚」といったラインを含む “Elevation” にも共有されている。昨年の tofubeats を思わせる、悲観主義との決別だ。この曲がアルバムのクライマックスなのは、CB$ (東金B¥PASS のふたりが所属するコレクティヴ。「田舎最高」を掲げる)の発起人たるラッパー MIKRIS をフィーチャーしているからというだけではない。プロデューサーには RAMZA が起用されている。彼は Campanella などのトラックを手がける名古屋の俊英で、通常ヒップホップとは異なる場所にあると思われているアイディアを持ちこむ才に長けた、個人的にもイチオシのビートメイカーだ。ここでは sostone と共同で、パーカッションの鳴りが独特の音響をつくりあげている。

 ジャジーなサンプルがシネマティックな雰囲気を醸す “Empty cans” を筆頭に、どの曲も基本的にはワン・ループで、分類するならブーンバップということになるだろう。リリックは一見コラージュ風で抽象的だが、ストーリーがあるように感じられなくもない。いずれにせよ、ハスリングやブリンブリンの類からは距離をとった詩作だ。
 これまた催眠的な反復が印象的な “Innocense” では「田舎の野良犬は肝が座ってる」というパンチラインが繰り出される。どこまでも広がる道路の街をホームとする、彼らの本質が凝縮された一節だ。すなわち、 資本力のあるメジャーの業界戦略とも、顔の見えないSNS上でのウケ狙いとも、あるいは素朴なヤンキー賛美とも異なる、地に足のついたサウンドのみが持つことを許される強度が、東金B¥PASS の音楽には具わっているということ。

Hijokaidan - ele-king

 昨年から再発を続けている〈Alchemy Records〉だが、ついにあの名盤がリリースされる……非常階段が1982年にリリースした『蔵六の奇病』はジャパノイズの最重要作の1枚として知られているが、日野日出志の同名の漫画のイラストをあしらったジャケットもまた、あまりにもインパクトが強かった。『蔵六の奇病』を小学生のときに読んだ世代にとって、あれはもう、誰にも言えない秘密の暗号のようなものだったのである。
 その歴史的なアルバムが3/15(水)に再発リリースされる。また、今回特別ボーナストラックとして、限定14枚のみ販売されたEP「A Tribute To Icchie」も封入。これは、1984年に死去したイッチーこと市口章氏の追悼盤としてリリースされた超レア盤で、初の再発となる。

 ちなみに、現在diskunion ROCK in TOKYOにて、非常階段のリーダー、JOJO広重が主宰する〈Alchemy Records〉のリイシュー企画「Alchemy Records Essential Collections」のポップアップ・ショップが開催されている。
 この開催を記念し、今回のリイシュー企画の第一弾を飾ったS.O.B階段のTシャツをディスクユニオン各店とP-VINE OFFICIAL SHOP限定で発売。1月22日(日)には、湯浅学氏を招いての、JOJO広重トークイベント+サイン会も開催する。

非常階段
蔵六の奇病

LP+7インチ
P-VINE
価格:5,450円(税込 5,995円)

【LPトラックリスト】
Side A
1. マントヒヒ(大阪) April 26, 1981
2. 磔磔(京都) April 19, 1981
3. 創造道場(大阪) November 3rd, 1980
4. 新宿ロフト(東京) August 28, 1981

Side B
1. 慶応大学日吉315教室(神奈川) June 27, 1981
2. 同志社大学至誠館24教室(京都) November 27, 1981

【7インチトラックリスト】
Side A
1. A.A Tribute To Icchie
Side B
1. B.A Tribute To Icchie

【イベント情報】
【Alchemy Records ポップアップ・ショップ】
期間:1/17(火)~2/5(日)
場所:diskunion ROCK in TOKYO https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo
特典:期間中「Alchemy Records Essential Collections」の対象商品を購入で、「Alchemy Records ロゴ缶バッジ」をプレゼント

【JOJO広重トークイベント+サイン会】
日時:1/22(日) 15:00~
場所:diskunion ROCK in TOKYO https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo
出演者:JOJO広重、湯浅学、大久保 潤(ele-king books)

【P-VINE OFFICIAL SHOPでのご予約はこちら】
https://anywherestore.p-vine.jp/products/sobt-001
※受注受付期間:1/17(火)~2/5(日)

高橋幸宏 音楽の歴史 - ele-king

 高橋幸宏は1952年6月6日、東京で生まれた。父は会社経営をしており、自宅は200坪の敷地に建ち(もともとは天皇の運転手が建てた家だそうだ)、軽井沢には別荘を持っていた。
 後に音楽プロデューサーとなる兄に感化され、早くから音楽に親しみ、小学生のときにはドラムを始めている。このドラムという楽器を選んだ理由にはドラムの練習ができるほど広い家に住む子がなかなかいないからだったと後年明かしている。
 中学生のときにはユーミンが参加することもあったバンドを組み、高校生のときにはもうセッション・ミュージシャンの仕事を始めていたのだから早熟と言うほかないだろう。ドラムのうまい高校生がいるという噂を聞きつけて大学生だった細野晴臣が会いに来たのも高橋幸宏の高校時代のこと。大学に入るとガロに一時在籍するなど、すでにプロのミュージシャンとしての道も歩き始めていた。
 そんな高橋幸宏の転機となったのは、旧知の加藤和彦にサディスティック・ミカ・バンドへ勧誘されたことだろう。1972年のことだ。ここから、アーティストとしての高橋幸宏の人生が本格的にスタートした。
 本稿ではサディスティック・ミカ・バンド以降、波乱の、そして充実したアーティスト活動を辿り、そのときどきに残した名作を紹介していきたい。決して “ライディーン” だけの人ではなかったことがよくわかるはずだ。

サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(1974)

 サディスティック・ミカ・バンドの2作目。英国で発売されたファースト・アルバムを聴いた英国人プロデューサーのクリス・トーマスがバンドに興味を持ち、プロデュースを申し入れた。当時ピンク・フロイドとの仕事で有名だったが、トーマスはそれまでビートルズやプロコム・ハルム、ロキシー・ミュージックといった高橋幸宏のルーツとなるアーティストを手がけていただけに、まさに運命の出会いでもあった。このアルバムでは高橋幸宏の楽曲は採用されていないが、やがてサディステック・ミカ・バンドでドラマーとしてだけではなく、作曲者としての才能も開花していくことになる。同バンドは1975年に英国でロキシー・ミュージックのツアーの前座を務め、観客として観に来ていた後のジャパンのスティーヴ・ジャンセンが高橋幸宏のドラミングに大きく影響されたというのは有名な逸話。日本のロックの歴史に残る名盤でもある。

 サディスティック・ミカ・バンドが1975年に解散したあとは、高橋幸宏はフュージョン・バンドのサディスティックスに在籍しつつ、セッション・ミュージシャンとしての活動を続けるが、1978年に細野晴臣からイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)に勧誘される。と同時に、坂本龍一をコ・プロデューサーとして初のソロ・アルバムも制作。

高橋ユキヒロ『サラヴァ!』(1978)

 直後のYMOやそれ以前のバンドのキャリアとはまたちがう、フレンチ・ポップやボサノヴァなど落ち着いた世界を提示したソロとしてのデビュー・アルバム。同時期にソロ・デビューを果たした坂本龍一のオーケストレーション、アレンジが耳を惹く。とても26歳の若者の作品とは思えないが、本人としてはヴォーカルの一部に不満を持っていたとのことで、2018年にヴォーカルのみを新録した『サラヴァ! サラヴァ!』を発表している。40年の時を経たシンガーとしての円熟が際立ったが、この若さあふれるオリジナルもやはりいい。

イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979)

 YMOのセカンド・アルバム。本作の収録の “ライディーン” は当時シングルで大ヒットしたにとどまらず、21世紀に至るまでCM曲、パチンコのBGM、携帯電話の着信音、はたまたプロ野球での応援曲などさまざまなシーンで流れる日本の風景の音となった。その “ライディーン” だけでなく、YMOのニューウェイヴ化を加速したアルバム・タイトル曲もYMOの歴史にとって重要な作品となった。

イエロー・マジック・オーケストラ『BGM』(1981)

 大ヒットして時代のアイコンとして消費されることに疲れたYMOが素となって脱ポップを行った一枚。TR-808とプロフェット5をメインの楽器とし、それまでのわかりやすいテクノポップとは一線を画すアルバムに。そんななかで高橋幸宏単独作の “バレエ” 、細野晴臣との共作曲 “キュー” にはデカダンなロマンティシズムが滲む高橋幸宏らしい楽曲に。神経症となっていた苦しみも見せる “カムフラージュ” も重要な作品だろう。

高橋幸宏『ニウ・ロマンティック』(1981)

  “ロマン神経症” という副題(邦題)もついたソロとしては3作目のアルバム。本作とYMOの『BGM』、鈴木慶一とのユニットのザ・ビートニクスの『出口主義』と1981年に発表された高橋幸宏の関連3作はどれも傑作で、この時期の創作に対する巨大なモチベーションには畏怖するほかはない。収録曲の “ドリップ・ドライ・アイズ” はもともとサンディーへの提供曲だが、ここでセルフ・カヴァー。デニス・ボヴェルは同曲を聴いて世界最高のダブ・ポップ・ソングだと驚愕したと後にインタビューで話している。

 YMO散開後、改めてソロ・アーティストとして歩んでいった高橋幸宏。その作品からはYMO時代のわかりやすい過激さや先進性は見えにくくなっていったが、そのぶん楽曲のよさが浮き彫りにもなっていった。

高橋幸宏『EGO』(1988)

 YMO散開後5年という節目の年にリリースされた9枚目のソロ・アルバム。親しい知己の死やさまざまな重圧を感じながら制作されたこのアルバムでは、冒頭のサイケデリックなビートルズ・カヴァー “トゥモロー・ネヴァー・ノウズ” や鈴木慶一作詞の “レフト・バンク” など重い曲の印象が強いが、高橋幸宏がキャリアを通して定期的に作っていったエレクトロ・ファンク曲の “エロティック” や80年代末シンセ・ポップのお手本のような “ルック・オブ・ラヴ” など隠れた名曲も配置されたバランスのよい中期の重要作。細野晴臣、坂本龍一、クリス・モズデルといったYMO人脈の恒常的な参加もここで一区切りつくことになる。

高橋幸宏『Heart of Hurt』(1993)

 高橋幸宏のソロとしてのキャリアを総括するセルフ・カヴァー・アルバム。デビュー作の “サラヴァ!” からJ-POPの最前線で奮闘した近作まで、アコースティックな響きで再構築。 “蜉蝣” には大貫妙子が、 “ドリップ・ドライ・アイズ” にはサンディーがゲスト・ヴォーカルで参加している。高橋幸宏の楽曲のよさとヴォーカリストとしての魅力を再確認するには最適の1枚。

高橋幸宏『ザ・ディアレスト・フール』(1999)

 1997年に立ち上げた自身のレーベル、コンシピオからの1枚。1990年代を通して続いたJ-POP的な立ち位置からはずれ、テクノや打ち込みの音楽への回帰が鮮明になってくる。収録曲の約半数が鈴木慶一とのザ・ビートニクスとしての共作だが、他の曲ではスティーヴ・ジャンセン、砂原良徳、元ストーン・ローゼズのギタリスト、アジズ・イブラヒムなども参加。21世紀の高橋幸宏の音楽の予告アルバムのような趣きもある。

 21世紀に入ると、高橋幸宏はソロ・アーティストとしての活動と並行して、ザ・ビートニクス、サディスティック・ミカ・バンド、YMO(さまざまな名義で)といったかつてのバンドの再始動とともに、若いアーティストたちとの新バンドの結成も行った。

スケッチ・ショウ『Loop Hole』(2003)

 細野晴臣とのユニットのセカンド・アルバム。デビュー作の『オーディオ・スポンジ』(2002)がエレクトロニカとポップ・ソングの折衷のアルバムで、それはそれで魅力があったのだが、エレクトロニカ、電子音楽に舵を振り切った本作がやはり映える。前作に続き坂本龍一が参加して後のYMOの再再結成へと繋がっていく一枚。小山田圭吾も参加して重要な役割を果たしている。

高橋幸宏『ブルー・ムーン・ブルー』(2006)

 スケッチ・ショウなどの課外活動が多かったため、6年半ぶりのリリースとなったひさしぶりのソロ・アルバム。21世紀以降のエレクトロニカ、電子音楽路線と、高橋幸宏ならではのロマンティックな作風が自然と融合した21世紀の高橋幸宏を代表する1枚となった。ブライアン・イーノ&ジョン・ケイルのカヴァー “レイ・マイ・ラヴ” のほか、80年代の名曲の再構築 “スティル・ウォーキング・トゥ・ザ・ビート” 、メルツのアルベルト・クンゼやハー・スペース・ホリディのマーク・ビアンキをゲストに迎えての曲など聴きどころが多い。

pupa 『Dreaming Pupa』(2010)

 高野寛、原田知世、高田漣、堀江博久、ゴンドウトモヒコとのバンドの2作目。まだどこか手探りの感があったファースト・アルバムにくらべて、多くのライヴをこなした後だけにそれぞれの個性が有機的に絡み合い、バンドとしてのその後が楽しみだったが高橋幸宏の死去によって活動が途絶えたまま本作がラスト・アルバムに。

高橋幸宏『Life Anew』(2013)

 ソロとしてのラスト・アルバムということになるが、実態としてはジェームズ・イハ、高桑圭、堀江博久、ゴンドウトモヒコとの新バンド、イン・フェイズのアルバムとなっている。高橋幸宏のルーツである60〜70年代のロック・サウンドに回帰した1枚。本作の制作前に自身の音楽ルーツを紹介する半自伝本『心に訊く音楽、心に効く音楽』(PHP新書)を上梓しており、この時期の高橋幸宏のモードがそちらに振れたということだろう。以降、ソロでの活動もその路線を踏襲していくことになった。

METAFIVE『Meta』(2016)

 ソロとは一線を画した最後のバンド活動がMETAFIVEだった。テイ・トウワ、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井というそれぞれソロとしてのキャリアを確立していたアーティストたちによる、いわばエレクトロニック・スーパー・バンド、スーパー・セッション。以前から親交を重ねてきた間柄だけにこのファースト・アルバムからバンドとしての一体感は完成しており、ライヴ活動も盛んに行った。エレクトロ・ファンクの冒頭曲 “Don’t Move” から怒涛。

ザ・ビートニクス『Exitentialist A Xie Xie』(2018)

 1981年から断続的に活動してきた鈴木慶一とのユニットの最後のアルバム。pupaやMETAFIVEが幻となってしまったその先を見たかったという思いを抱かせるのに対して、本作は、本人たちにそのつもりはなかったはずだが、いま聴くと長年の活動を見事に完結させた作品とも思える。ニール・ヤングのカヴァー作品など同世代のふたりのルーツであるオールド・スクールのロック作品からユニットのデビュー作からここまでのさまざまな音楽的変遷がそこここに現れている。アルバムのラスト曲 “シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA” は赤塚不二夫原作のアニメ “おそ松さん” の主題歌で、TRIOに影響を受けた明るく楽しいニューウェイヴ・ダンス・ポップ。ライヴではコミカルなフリ付きで演奏された。2018年の高橋幸宏の誕生パーティではDJがかけたこの曲に合わせて高橋幸宏と鈴木慶一がフリ付きで踊り、一般のファンも大勢いた会場内が熱く盛り上がったことをいまでも思い出す。

 ここに挙げたアルバム以外にも、高橋幸宏作品はどれもおもしろい。J-POPの本道をいくような作品も、椎名誠映画のサントラや山本耀司のショーのためのインストゥルメンタル・アルバムにも意外な魅力がある。プロデューサーとして手がけた多くの名作も忘れがたい。いつか機会があればそれらも紹介したい。
 幸宏さん、たくさんの素敵な音楽をありがとうございました!

Josh Johnson - ele-king

 これまでジェフ・パーカーやマカヤ・マクレイヴン、マーク・ド・クライヴ=ロウといった才能たちを支えてきたサックス奏者にしてキーボード奏者、シカゴ出身で現在はLAを拠点とするジョシュ・ジョンソンのデビュー作『Freedom Exercise』がCD化されることになった。
 もともとは2020年にリリースされていたアルバムで、やはりシカゴの感覚というか、西海岸ともロンドンとも異なる独特の雰囲気が特徴の作品だ。ときにシンセも交えたクールな演奏をぜひこの機に。

ジェフ・パーカーやマカヤ・マクレイヴンといった、現在のジャズ・シーンを代表する様々なミュージシャンを支えてきた、シカゴ出身、LAを拠点に活動するサックス/キーボード奏者、ジョシュ・ジョンソン。名盤と評されたデビュー・アルバム『Freedom Exercise』がボーナストラックを加え、待望のCDリリースが決定!

ジョシュ・ジョンソンのデビュー・アルバムはもう2年以上前のリリースになるが、今以て瑞々しく美しい。ハービー・ハンコックとウェイン・ショーターから学ぶためにシカゴを離れてLAに移住した彼が、その地でジャズ/非ジャズを問わず様々な音楽家と交わり、学び、経験したことの全てがこのアルバムに表れている。「音楽的雑食性」を愛する友人であるグレゴリー・ユールマン、アンナ・バタース、アーロン・スティールと作り上げた本作は、レコードでも丁寧にリプレスされている。ジェフ・パーカーの『The New Breed』や『Suite for Max Brown』も、マカヤ・マクレイヴンの『Universal Beings』も、ジョシュ・ジョンソンがいなければ生まれなかった。そう言っても決して過言ではないほど、その存在は大きい。真に流動的な音楽を探求したこのアルバムが、何よりもその価値を教えてくれる。(原雅明 ringsプロデューサー)

ミュージシャン:
Josh Johnson (sax,key)

Featuring:
Gregory Uhlmann
Anna Butterss
Aaron Steele

Produced by:
Josh Johnson
Paul Bryan

Mastered by:
Dave Cooley

[リリース情報]
アーティスト名:Josh Johnson (ジョシュ・ジョンソン)
アルバム名:Freedom Exercise(フリーダム・エクササイズ)
リリース日:2023年03月22日(水)
フォーマット:CD
レーベル:rings
解説:原 雅明
品番:RINC98
価格:2,500円+税

[トラックリスト]
01. Nerf Day
02. 856
03. Western Ave
04. Bowed
05. Eclipsing
06. New July
07. False Choice
08. Punk
09. Simple Song
10. Return Recoil
11. Western Ave Mix (Extended Play) [Japan Bonus Track]

販売リンク:
https://rings.lnk.to/FdjWuuJX
オフィシャルURL:
https://www.ringstokyo.com/items/Josh-Johnson

R.I.P. Yukihiro Takahashi - ele-king

 高橋幸宏が亡くなった。今はただただ悲しい。寂しい。もちろん私はいちファン、いちリスナーでしかない。氏と交流のあった方の悲しみは、もっともっと深いだろう。坂本龍一のあのグレーのツイートのように。
 しかしわれわれファンも皆、深い喪失感に襲われているはずだ。あの高橋幸宏がこの世から旅立った。これから高橋幸宏のいない世界なのだ。悲しくてやりきれない。なぜだろう。答えは簡単だ。ある意味、高橋幸宏こそテクノポップだった。もちろんYMOは3人揃ってこそYMOだが、テクノポップとしてのYMOを象徴したのは高橋幸宏だったのではないかと私は思うのだ。彼のドラムはYMOの脈動だし、彼のヴォーカルはYMOのトレードマークだったし、彼のスタイリングはYMOの美意識だった。
 脈動。トレードマーク。美意識。ここから導きだされることは簡単だ。憧れだ。端的にいおう。皆、あなたのようになりたかった(でも誰もなれない。当たり前だ)。スタイリッシュでクール、ユーモアと優しさ。鋭さとセンチメリズム。そしてヨーロッパ的な美学。すべてが憧れだった。その高橋幸宏が消えた。旅立った。こうなりたかった「大人」が消えたのだ。悲しいに決まっている。
 それにしても「追悼、高橋幸宏」と書いたときの非現実感が凄まじい。それが現実であることの残酷さ、辛さを噛み締めつつ書いていこう。故人の才能と功績を思う存分讃えよう。それが追悼だ。魂を悼むのだ。

 最初に書いたように高橋幸宏は、日本のエレクトロニック・ミュージックを象徴するアーティストだ。テクノからエレクトロニカまで、彼が日本のポップ・ミュージックに海外のエレクトロニック・ミュージックの新しい潮流を導入した功績はあまりに大きい。80年代のソロ・ワークは、日本における最良のニューウェイヴだったことを思いだそう。
 もちろんリンゴ・スター直系のドラマーとして実力はいうまでもないし、ジョージ・ハリスン的な歌唱方法を、より硬質にしたヴォーカリストとしての魅力も言うまでもない。あえて言えば彼はビートルズのダークホースをひとりで体現した日本人ミュージシャンだったのだ。
 
 ここまで書けば分かる。彼はエレクトロニック・ミュージックに留まらず、70年代以降の日本のポップ・ミュージックを代表するような稀有な存在なのである。
 加藤和彦、細野晴臣、坂本龍一、鈴木慶一、スティーブ・ジャンセン、高野寛、東京スカパラダイスオーケストラ、砂原良徳、小山田圭吾、原田知世、LEO今井、ラブサイケデリコなど、錚々たる面々の、個性の異なる優れた音楽家たちとつながってきた。そう、高橋幸宏は音楽家と音楽家、ひいては音楽と人を繋ぐ人だった。
 だからバンドの数も多い。関わった自身のバンド名をあげるだけでも目眩がする。サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックス、YMO、ビートニクス、パルス、スケッチショウ、ヒューマン・オーディオ・スポンジ、HASYMO、ピューパ、イン・フェーズ、メタファイヴ……。そのどれもが日本のポップ・ミュージックの豊穣さを体現するバンドばかりだ。この目も眩むようなリストのなかで私がとくに愛するのは再生YMO『テクノドン』(1993)、ビートニクス『M.R.I』(2001)、スケッチショウ『LOOPHOLE』(2003)、ピューパ『floating pupa』(2008)だ。 
 もちろんミュージシャン/ドラマーとしての客演は星の数ほどあり、私などよりマニアの方が詳しいだろう。個人的に印象深い参加アルバムと言えば加藤和彦のヨーロッパ三部作(『パパ・ヘミングウェイ』『うたかたのオペラ』『ベル・エキセントリック』)だろうか。
 また高橋幸宏のドラミングといえば、スネアの鋭い音が魅力だが、個人的にはハイハットの細かな刻みも大好きだった。彼のドラミングの鋭さを知りたい方はまずはイエロー・マジック・オーケストラのグリークシアターの1979年のライヴ映像を観てほしい。録音としては『GijónYMO - Yellow Magic Orchestra Live In Gijón 19/6 08』(2008)、『LondonYMO - Yellow Magic Orchestra Live In London 15/6 08』(2008)、『No Nukes 2012』(2015)など、00年代以降のYMOのライヴ録音を熟成されたドラミングを満喫できる。
 何よりソロ・ワークを忘れてはならない。私が彼のアルバムでもっとも愛するのは『ニウロマンティック』(1981)と『Ray Of Hope』(1998)と『ブルー・ムーン・ブルー』(2006)である。この3枚を聴いても分かるように高橋幸宏のソロ・アルバムは時代をサウンドのモードを象徴してきた。80年代のニューウェイヴ(シンセ・ポップ)、90年代のフォーキーなポップ・ミュージック、00年代のエレクトロニカ、10年代のルーツ・バック的なロック・バンド編成の再解釈と時代を超えてさまざまなスタイルの音楽を奏でてきた。その上でいえば、80年代のYMO以降、「テクノ」を忘れずに追求してきたのも彼だった。その総決算がメタファイヴの2枚だったように思う(彼のソロ・ワークに必ずテクノ・トラックが入っていたことを思い出そう)。
 コラボレーション/ゲスト参加では、ドイツのフォークトロニカ・ユニット、ラリ・プナ『Our Inventions』(2010)の収録曲“Out There”が忘れ難いように、彼は00年代エレクトロニカを積極的に紹介した功労者でもある。ちなみに最後のレコーディングは、2022年8月にリリースされた大貫妙子の“ふたりの星をさがそう”(網守将平・編曲)のセルフカヴァーだったという(網守将平のツイートによる)。
 プロデュース・ワークも数多くあるが、意外なところでユニコーンのEBIが1991年にリリースしたアルバム『MUSEE』を思い出す人も多いのではないか。プロデュースをムーンライダーズの面々と分け合っており、幸宏サイトではスティーブ・ジャンセンも参加しているという隠れ(?)名盤である。

 この多彩な音楽遍歴の過程において、高橋幸宏の周りには、いつも多く音楽家が集まり、新しい音楽を奏でていた。しかし中心にいるはずの彼は少し離れた場所から、集まった音楽家たちを見つめ、穏やかな微笑をたたえている、そんな印象がある。
 その鋭いドラミングとは相反するような微笑。微笑の向こうに、いいようのない孤独さがあるようにも思えた。それこそ高橋幸宏のロマンティシズムとセンチメンタリズムの結晶のようなものだったのかもしれない。
 でもそこに生を否定するものは何ひとつなかった。師であるはずの加藤和彦が亡くなったときも、私の知る限りではメディアで受けたインタヴューはひとつだけで、その死について語ることはなかったはず。彼は生きることで死者への追悼としたのだと思う。
 だからわれわれもそうしなければならない。最後の彼の曲はメタファイヴの“シー・ユー・アゲイン”だった。また、会おう。最後に残したツイートは、みんなありがとうだった。

 訃報を知って私はスケッチショウの『LOOPHOLE』の最後に収録された“ステラ”を聴いた。星屑、スターダストになってしまった人たちへの優しいレクイエムのような美しいフォークトロニカだ。
 ベタベタした悲しみは高橋幸宏には似合わない。青空のしたで少しだけ泣くような気高いロマンティシズムこそ高橋幸宏だ。でも、今はこの曲を聴いて乾いた瞳を濡らすことを許してほしい。あなたの存在を感じることができなくなったから。でも、ボク、大丈夫!といえるときは必ずくる。なぜって?あなたの音楽はここにあるから。明日も明後日もその次も。『サラヴァ!』ではじまって、“シー・ユー・アゲイン”で終わる粋な音楽人生のすべてがあるのだから。

 “ドリップ・ドライ・アイズ”、“元気ならうれしいね”、“シー・ユー・アゲイン”、“ステラ”、“今日の空”を心の中で再生しながら(今はまだ聴けない。いや、本当のことをいえば“ステラ”だけは一度聴いた)、この文章を書き上げました。どうか安らかに。その魂に平穏を。

audiot909 & Vinny Blackberry - ele-king

 南アフリカ生まれのダンス・ミュージック、アマピアノはこの2年でいろんなところに拡散し、世界中で愛されているダンスの一種となった。そしてここ日本にも、アマピアノに感化されたDJがいる。もともとハウスDJだったaudiot909がアマピアノに衝撃を受け、「Japanese Amapiano」を発信しはじめたのは2020年のこと。そんな彼がラッパーのVinny Blackberryをプロデュース。去る1月6日にデビュー・シングル「Willy Nilly」をリリースした。カッコいいので、ぜひ聴いてみて。


audiot909 & Vinny Blackberry
Willy Nilly

https://linkco.re/GUvPu8Se

■audiot909
元々ハウスDJだったが2020年正月に南アフリカ発のダンスミュージックAmapianoに出会ったことにより元々行なっていたトラックメイクを本格的に再開。 日本人によるAmapianoの制作は可能か否かの命題に真っ向から取り組み、2020年12月にリリースされた「This is Japanese Amapiano EP」(USI KUVO)はタイトル通り日本人で初めてEP単位でリリースされた作品となり話題になる。 
2022年にリリースされたラッパーのあっこゴリラをフィーチャーしたシングルRAT-TAT-TATはSpotifyの公式プレイリスト+81 Connect、Tokyo Rising、Electropolisなど複数のプレイリストに組まれるなど自主リリースながら異例のヒットを飛ばす。並行して執筆や対談、現地のプロデューサーへのインタビュー、J-WAVE 81.3 FM SONAR MUSICへのラジオ出演など様々なメディアにてAmapianoの魅力を発信し続けている。

Cornelius - ele-king

 コーネリアスが、2月22日に「変わる消える」のアナログ12インチ・シングル盤をリリースする。同曲は、mei eharaをヴォーカリストに迎え、現在配信中の楽曲だが、今回は小山田圭吾本人のヴォーカル・ヴァージョン。また2011年にsalyuxsalyuに提供した楽曲「続きを」のセルフ・カヴァーも収録。両曲とも初発表のヴァージョンとなる。あわせて現在配信中のバージョンもカップリングとして収録、待望のアナログ盤リリースとなる。

Cornelius
変わる消える

収録曲
Side A
1 変わる消える
2 続きを
Side B
1 変わる消える (feat. mei ehara)
2 変わる消える (feat. mei ehara) [John Carroll Kirby Remix] 
   Lyrics by Shintaro Sakamoto / Music by Keigo Oyamada

2月22日発売
WPJL-10178
¥2,400(税抜)/ ¥2,640(税込)
アナログ12インチ・シングル
https://cornelius.lnk.to/changeandvanish

Tomoyoshi Date - ele-king

 2022年、夏。日本ではブライアン・イーノの存在感が強まっていた。ゴージャスで華々しい大興行というわけではない展覧会「AMBIENT KYOTO」が想像以上の盛り上がりを見せたことは、暴力の吹きすさぶ大変な年にあって、落ち着いて物事を考えたいと願う人びとが多くいたことのあらわれだったのかもしれない。
 あるいは土壌が整っていたからとも言える。海外から眺めたとき、横田進吉村弘など、日本はアンビエント大国に映るだろう。伊達伯欣(トモヨシ)もまた、盟友ともいえる畠山地平と並び、00年代後半以降の日本のアンビエントを代表するプロデューサーだ。その新作は、イーノ『Music for Airports』を想起させる。12月19日にリリースされた同作は、日本の人びとがあらためてオリジナルの「アンビエント」に向き合うことになった2022年を締めくくるにふさわしく、そして、年始のどこか虚ろなこのムードにも適した音楽に仕上がっている。

『Music for Airports』を継承しようとする意志は、2011年のセカンド『Otoha』にすでによくあらわれていた。ピアノ以外にもギターやヴィブラフォン、アコーディオンなど多くの楽器がフィーチャーされた賑やかなファースト『Human Being』(2008)から一転、思い切ってピアノの旋律とフィールド・レコーディングとの共存に力点を置いた『Otoha』は、現代において『Music for Airports』の復権と更新を宣言するアルバムだったと言える。いかに『Music for Airports』を継承し、発展させていくか──それが音楽家としての伊達の使命だ。単独名義としては3枚目となる『438Hz As It Is, As You Are』もその系譜に連なる、ピアノが印象的な作品である。端的に、すごくいいアンビエント・アルバムだと思う。
 本作は「古いピアノを438Hzに調律して録音し、レコードのピッチを、その時の気分に合わせて自由に調整する」というコンセプトでつくられている。彼史上もっとも音質にこだわった作品でもあるという。『Music for Airports』同様、曲数は4。デジタル版にはそれぞれの45回転と33回転、計8トラックが収録されている。
 かさかさと微細な具体音がピアノを引き立てる “光”。あたたかな音階にベルがさりげない彩りを添える “熱”。じっさいにフィールド・レコーディングされた水音を交えつつも、あくまでピアノでその穏やかさを表現する “水”。小刻みに震える電子音と鳥たちの鳴き声がコントラストをなす “土”。どの曲も穏やかで、やさしい。
 振り返れば、彼の関わる作品のほとんどは明るく平穏で、日だまりのような安らぎに満ちていた。ダークで重々しかったり、寂寥感を漂わせる類のアンビエントとは真逆のアプローチだ。伊達の朗らかなサウンドは、シューゲイズから影響を受け、ときにサイケデリックな表情を見せる畠山とも異なっている。2007年のデビュー作、すなわち畠山とのオピトープ(Opitope)のアルバムは、そんな両者のよい部分がうまく折衷された作品だった。
 現時点で4枚(うち1枚は坂本龍一との共演盤)を残すメイン・プロジェクト、コリー・フラーとのイルハ(Illuha)もそうだし、ベットウィーン(Between)やメロディア(Melodía)といったユニット、近年のスタン・フヴァール(Stijn Hüwels)Asuna らとのコラボもそうだ。伊達のやさしさはおそらく、医者という職業よりもむしろ、彼の人柄に由来するものなのだろうと思う。それは本作のタイトル、「あるがまま、あなたのままに」ということばにもよくあらわれている。

 近年はクレア・ロウセイウラフェリシア・アトキンソンといった才能が頭角をあらわし高く評価されている。そういった音楽のファンで、すでに20年近くこの国で活躍している伊達の音楽をまだ知らないひとは、ぜひとも彼に注目してほしい。それは、この暗いご時世にひとときのカームダウンを体験させてくれるからという理由だけではない。最初の「アンビエント」がどのような音楽だったのか、思い出させてもくれるから。

Everything But The Girl - ele-king

 トレイシー・ソーンとベン・ワットによるエヴィリシング・バット・ザ・ガール(EBTG)が新しいアルバム『Fuse 』を4月21日にリリースする。これは1999年の『Temperamental』以来の新作で、EBTGにとっての通算11枚目のアルバムとなる。
 先行で発表されたシングル曲“Nothing Left To Lose”は、ハウス・ミュージックの影響下にあった90年代のEBTGの延長にあり、アルバムの内容も、エレクトロニックであり、ソウルであるという。

 以下、レーベルの資料からの抜粋です。

 2021年の春から夏にかけてベン・ワットとトレイシー・ソーンによって書かれ、制作された『Fuse』は、バンドが90年代半ばに初めて開拓した艶やかなエレクトロニック・ソウルを現代的にアレンジしたものとなっている。
サブ・ベース、シャープなビート、ハーフライトのシンセ、空虚な空間からなるワットのきらめくサウンドスケープの中で、ソーンの印象的で豊かな質感の声が再び前面に出ており、これまで同様、現代的、同時代的なサウンドでありながらエイジレスなバンドのサウンドに仕上がっている。
  バンドの再出発とニュー・アルバムについて、トレイシーはこう語っている
 「皮肉なことに、2021年3月にレコーディングをスタートしたとき、このニュー・アルバムの完成されたサウンドについて、あまり関心事がなかったの。もちろん“待望のカムバック”といったプレッシャーは承知していたから、その代わりにあらかじめ方向性を決めないで、思いつきを受け入れる、オープンマインドな遊び心の精神で始めようとしたのね」
  2人は自宅とバース郊外の小さな川沿いのスタジオで、友人でエンジニアのブルーノ・エリンガムと密かにレコーディングを行った。
 希望と絶望、そして鮮明なフラッシュバックが交互に現れるこのアルバムの歌詞は、時にとらえどころがなく、時に詳細に描写され、再出発することの意味をとらえている。
  ベンは次のように語っている。
 「エキサイティングだったね。自然なダイナミズムが生まれたんだ。私たちは短い言葉で話し、少し顔を見合わせ、本能的に共同作曲をした。それは、私たち2人の自己の総和以上のものになった。それだけでEverything But The Girlになったんだ」
  二人のスタジオでの新たなパートナーシップは、新しいアルバム・タイトルにもつながった。
 「プロとして長い間離れていた後、スタジオでは摩擦と自然な火花の両方があった」とトレイシーは言う。「私たちがどんなに控えめにしていても、それは導火線に火がついたようなものだった。そして、それは一種の合体、感情の融合で終わった。とてもリアルで生きている感じがしたわ」

Everything But The Girl
Fuse

Virgin Music
2023年4月21日、配信・輸入盤CD/LPにて発売予定
https://virginmusic.lnk.to/EBTG_NLTL

■バイオグラフィー
 エヴリシング・バット・ザ・ガールは、トレイシー・ソーン、ベン・ワットの2人により、1982年にコール・ポーターの「ナイト・アンド・デイ」の荒々しいジャズ・フォーク・カバーで登場した。その後、80年代を通じて英国でゴールド・アルバムを次々と発表。1992年にワットが難病の自己免疫疾患で死に瀕した後、1994年に彼らの最大のヒット曲である「Missing」が含まれ、ミリオンセラーとなった熱烈なフォークトロニカ『Amplified Heart』で復活を遂げる。その後90年代を通じて多くのヒットを生み出し、96年リリースの『Walking Wounded』がバンド初のプラチナ・セールスを記録するなど、多くのヒット曲を生み出すが、1999年のアルバム『Temperamental』のリリースを最後に2000年に活動を停止する。
 2000代はトレイシー、ベンそれぞれソロ活動を展開。ソロ・アルバムやノン・フィクションの出版、また自身のレーベル、Buzzin’ Flyの成功など、その才能を遺憾無く発揮してきた。
 そして2023年、EVERYTHING BUT THE GIRLとして24年ぶりとなる新作アルバム『FUSE』を4月21日にリリースする。

■ アーティスト日本公式サイト
https://www.virginmusic.jp/everything-but-the-girl/

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921