「UR」と一致するもの

Rave Culture - ele-king

 『レイヴ・カルチャー──エクスタシー文化とアシッド・ハウスの物語』、長らく入手困難状態にありましたが重版しました。重版の奥付(いちばん最後のページ)にはQRコードがあり、読み込むと特典の野田努の解説(久保憲司とともに、日本人ライターとしては当時のUKレイヴを経験している数少ないひとり)が読めます(7月31日以降)。
 同書は、当時のイギリスの社会背景のなか、アシッド・ハウスとMDMAを引き金に誕生し、やがて英国を揺るがすほど猛威をふるったこのサブカルチャーのありのままの歴史が読める本で、マシュー・コリンという信用できる真面目なジャーナリストが書いた名著です。
 また、同時に、これまた長らく入手困難状態にあった『ハウス・ディフィニティヴ』も重版しました。ハウス・ミュージックは、ぼくたちにとってつねに故郷です。一家に一冊。よろしくお願いします。

レイヴ・カルチャー──エクスタシー文化とアシッド・ハウスの物語
マシュー・コリン(著)坂本麻里子(訳)
四六判並製/448ページ
ISBN: 978-4-910511-02-3
本体 2,700円+税

https://www.ele-king.net/books/008314/

HOUSE definitive 増補改訂版
西村公輝(監修)猪股恭哉+三田格(協力)
A5判並製/オールカラー/304ページ
ISBN: 978-4-910511-48-1
本体 2,700円+税

https://www.ele-king.net/books/009195/

Marihiko Hara, Miru Shinoda & Simon Fisher Turner - ele-king

 ガザの人びとから提供された音源をもとに、新たな音楽をつくること──ピアノを中心とした作品で知られる原摩利彦と、近年は松永拓馬らのプロデュースも手がけるyahyelの篠田ミルが、ガザで暮らす人びとの声を世界に伝えるための共同プロジェクト「THEY ARE HERE」をスタートさせている。趣旨に賛同したUKのヴェテラン音楽家、サイモン・フィッシャー・ターナーも加わり、昨日7月23日に2作品「To the sea」と「Reminder」がバンドキャンプにて公開されている。いずれもフィールド・レコーディングやサンプリングを駆使した、サウンド・ドキュメントと呼ぶべき楽曲で、利益は音源や写真の提供者に送られるとのこと。原摩利彦による下記のステートメントをぜひご一読ください。

原 摩利彦、篠田ミル、サイモン・フィッシャー・ターナーによる
THEY ARE HERE

パレスチナ・ガザとの交信から生まれたサウンド・ドキュメント・プロジェクト

音楽家・原 摩利彦が発起人としてスタートした「THEY ARE HERE」は、ガザ地区の人々との実際の交流を起点に、彼ら、彼女らから提供されたフィールド音源をもとに構成された、サウンド・ドキュメント・プロジェクトです。紛争のあらゆる暴力性や情報封鎖から、人間と文化の存在をないことにされてしまっているガザ地区の人々の「私たちの声を世界に伝えて欲しい」という願いに応えるように、音楽家たちがそれぞれの手法で、その存在を可視化していきます。
7月23日(水)より、共同発起人である篠田ミル、プロジェクトに賛同したと共に制作された音楽作品群をBandcampにて公開します。

●EP1_To-the-sea

“To-the-sea”は、原 摩利彦による、パレスチナ・ガザの音源を使った最初の作品集。
海で子どもたちと遊ぶ母親の美しい思い出のフィールドレコーディングや現地に伝わる歌、詩人であり革命家アブドゥ・ラ ヒーム・マフムード(1913-1948)の詩の朗読などが収録されている。
家を破壊され毎日攻撃される恐怖とともに生きる中「自分たちの存在や声が少しでもこの世界に伝わりますように」と願って送られてきた音源には、テント内で録音されているために時折子どもたちの声も聞こえる。
フィールドレコーディングを使った音楽の新たな展開。
https://they-are-here.bandcamp.com/album/to-the-sea

●EP2_Reminder

篠田ミルによる“Reminder”シリーズは、現地からの映像・オーディオデータを編集、ループすることによって構成される楽曲群。
スティーブ・ライヒの"It's Gonna Rain"をインスピレーション源*に、反復の中に浮かび上がるサウンドスケープをもって、パレスチナへの思いを再起させる。
"Reminder Ⅰ"ではガザの海辺で戯れるKefahさん一家の声と波音が繰り返され、異なるペースで反復される電子音と共に海辺の輝きや波打 ち際を描き出す。この動画内の一幕が本作のジャケットになっている。また"Reminder Ⅱ"では、"Airplane 3h56am"と題されたSaedaさんのオーディオファイルが反復され、ドローン監視下のガザのサウンドスケープが線描される。
サイモン・フィッシャー・ターナーは20年前にガザのカフェで録音し
たフィールドレコーディングやパレスチナの古いレコードをサンプリング。第2子を妊娠中に夫を爆撃によって失い、2歳の子どもを育てながら出産したOlaさんの子どもとの優しい対話を収録した「Give Us A Quiet Night」も収録されている。
*“It‘s gonna rain”は、キューバ危機直後の黒人牧師の演説録音を素材としており、社会的意図が感じられる作品
https://they-are-here.bandcamp.com/album/reminder


●THEY ARE HERE ステートメント
2024年8月よりパレスチナ・ガザ地区の人たちとSNSを通じて知り合い、寄付を続けてきました。交流を重ねていくうちに次第に仲良くなり、今では自分にとってとても大切な存在です。ある人は「私たちの声を世界に伝えて欲しい」と言いました。そして同時に「私たち家族に何かが起こったら、あなたが私のことを許してくれますように」とも。
あるとき、彼女/彼らより提供してもらった音源で音楽を作ることを思いつきました。この方式を取ると、音源提供料として支払うことができ、寄付する側とされる側の関係とは違う関係を築けることができると考えたのです。私がこれまで行ってきたフィールドレコーディングを使った作曲の手法を用いて、彼女/彼らから発せられる声や身の回りの音とともに音楽を作り、この世に刻むことで、人間の存在とその文化が確かに存在していることを示します。
毎日、世界中で小さな子どもを含む多くの民間人が、武力により命を奪われています。人間の命、尊厳を奪うことは、いかなる状況であれ正当化できないと考えます。みんな、必ず誰かの子どもであり大切な人です。すべての人々が満足に食事ができますように。安心して静かな夜に眠れますように。やりたいことに挑戦する自由と希望がありますように。
作品を販売した利益は、音源や写真の提供者へ送ります。
原 摩利彦(THEY ARE HERE 発起人、音楽家)

HP:https://www.they-are-here.org/jp-about
Instagram:https://www.instagram.com/they_are_here_project?igsh=MWpoZ2R2b2k1MmQxcg==

Cornelius - ele-king

 グッド・ニュースです。昨晩、コーネリアスが配信にて発表した新曲 “Glow Within” がすばらしい。いや、楽曲自体もコーネリアスらしい創意工夫のある瑞々しいサウンドなのだが、この曲が生まれた背景にはとくべつな物語がある。知的障害がある人たちのアート(https://glowwithin.heralbony.jp/)からひとつの楽曲が生まれたその経緯は、ブルータスのインタヴュー(https://brutus.jp/heralbony-cornelius/)に詳しい。いずれにしてもこれは、小山田圭吾がオリンピック騒動を直視し、それを乗り越えての、すばらしい着地点のひとつではないだろうか。みんな聴こう。
 なお、本日(24日)から8月11日(月)まで、HERALBONY LABORATORY GINZA(東京)にて今回のプロジェクトを記念した展覧会『Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-』が開催される。

デジタル・シングル「Glow Within」
7月23日(水)配信開始
配信URL:https://cornelius.lnk.to/GlowWithin
配信元:ワーナーミュージック・ジャパン

■Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-

【HERALBONY LABORATORY GINZA (東京)】
会期:2025年7月24日(木)〜8月11日(月)
時間:11:00〜19:00
場所:HERALBONY LABORATORY GINZA GALLERY(東京都中央区銀座2丁目5-16 銀富ビル1F)
定休日:火曜(祝日の場合は水曜)

【HERALBONY ISAI PARK(岩手)】
会期:2025年8月30日(土)〜9月26日(金)
時間:10:00〜19:00
場所:HERALBONY ISAI PARK(岩手県盛岡市菜園1丁目10-1 パルクアベニュー川徳 1階)
休館日:カワトク休館日に準ずる
※会期中、作品の入替えあり

展覧会の見どころ
Corneliusが耳を傾け、丁寧に紡いだ楽曲「Glow Within」を、映像とともに会場で体験できる空間に。繰り返される音の奥にある“声”に耳を澄ます空間です。加えて、起用された13名の作家たちの創作風景や、息づかいを体感できる展示構成に。日々のルーティンの中に宿る創造の源を、より近くで感じていただける機会となっています。

HARU NEMURI - ele-king

 まるで8年前のUKIPが台頭したときの英国を見ているような現在、あのとき真っ先に噛みついたのはスリーフォード・モッズだったが、ここ日本ではラッパー/シンガー・ソングライターの春ねむりが立ち上がった。
 去る参院選の東京選挙区で初当選を果たし注目を集めた参政党のさや。選挙期間中にそのヘイトスピーチに怒りを感じていた春ねむりは、彼女の当選を受け「爆速」で今回の新曲 “IGMF” を書きあげたという。SoundCloudで公開された同曲は、「私を皆さんの、皆さんのお母さんにしてください」というさやのスピーチのサンプルからはじまる。

https://soundcloud.com/mcharunonemuri/igmf

 ちなみに、春ねむりは、いま話題のニーキャップのファンでもあるそうです。

少年ナイフ - ele-king

 去る7月12日(ナイフの日)、新代田FEVERで毎年恒例の少年ナイフの夏公演が行われた。ここ2年くらいでライヴの動員も増えたようで、今回はソールドアウトだった。
 バンドは、毎年春と秋におよそ2ヶ月ずつアメリカとUK~ヨーロッパを回るツアー生活を長年にわたって送ってきている。重いキックやフロアタムが心地よいドラマーのりささんは、2015年の加入時には20歳だった。オリジナル・メンバーながら結婚を機に脱退し、以後は時折ゲスト参加する程度だったあつこさんも2015年より本格的に復帰した。数々のメンバーチェンジのあったバンドだが、現在のメンバーで10年。いまだにズッコケる場面もちらほらありつつ、初々しさと安定感が奇跡的なバランスで両立した、いまの少年ナイフならではのライヴだった。

 今回のセットリストの注目ポイントといえば、なんといってもめったに聴くことのできない最初期の曲がいくつも演奏されたことだ。元メンバーのリツコも大阪公演を観に行って、「私も生で聴くのは初めて」と言っていたが、そんなレアな曲の数々が披露された。
 それというのも、1982年にリリースされたものの、数十本しか流通しなかった幻のカセット・アルバム『みんなたのしく少年ナイフ』がこのたびCDとヴァイナルでリイシューされたためだ。
 筆者は30年以上少年ナイフを聴いているが、それでも主観的には新参という感覚が拭えないでいる。その理由のひとつがこのテープを持っていなかったことだった。それがこうして聴くことができるのだから、こんな嬉しいことはない。

 公式サイトの年表によれば少年ナイフは1981年12月に結成(ちなみにラフィン・ノーズも同年同月に同じ大阪で結成されている)。翌年3月には初ライヴが行われ、8月に本作がリリースされたという。短期間にこれだけのオリジナル曲をほぼ完成形として作り上げているあたり、初期衝動の迸りだけではないクリエイティヴィティを早くも感じさせる。

 本作は自主制作で、ディ・オーヴァンというニューウェイヴ・バンドのレーベル〈XAレコーズ〉との共同リリースのような形だったようだ。
 ディ・オーヴァンというのは大阪で80年代前半に活動していたテクノポップ/ポストパンクバンドで、当時は高校生。関西パンク史などでも言及されることの少ないバンドだったが、昨年アメリカの〈General Speech〉レーベルよりアルバム『Öwanism』(110曲入り)『美川憲一』(200曲入り)がリイシューされ、いよいよ再評価されようとしている。
 〈XA〉はそのオーヴァンが自身の作品を中心に発表していたレーベルで、80年代前半の短い期間にカセット作品を大量にリリースしていた。これまたいまでは顧みられることが少ないレーベルだが(というか、『みんなたのしく少年ナイフ』をリリースしたことで一番知られているかもしれない)、局地的な影響力はあったようだ。アシッド・マザーズ・テンプルの河端一も、〈XA〉の作品をレコード店で発見したことで刺激され、自分も大量の作品作りを始めたと言っている
 収録曲は全14トラック。ただし2曲はSE的なものなので、実質的な楽曲は12曲と考えていい。本作にしか収録されていないのは「サボテン」「わたしは現実主義者よ!」「惑星(プラネット)X」の3曲のみ。残りは後に〈ゼロ・レコーズ〉からの『BURNING FARM』『山のアッちゃん。』『PRETTY LITTLE BAKA GUY』『712』などでも採録されているので、本作はデモバージョンに近いものと思えばいいかもしれない。

 そんな本作を一聴してまず気づくのは、いわゆるラモーンズ・スタイルのパンク・ナンバーがないということ、そして食べ物と猫の歌がないことだ。いずれも、いまでは少年ナイフの定番スタイルなのだが、最初期には必ずしもそういうわけではなかったのだ。
 1曲目の“バナナリーフ”から“オウムのポリネシア”“人食いパパイヤ”など、その後の録音盤と比べると、フランジャーなどを使ったギターはより80年代ニューウェイヴ的なサウンド。そして南国的なエキゾチックな歌詞が多いのもこの時期の特徴だ。
 5曲目“Burning Farm”はイントロにアフリカ音楽らしきものが入っており、そこにナイフの演奏がフェイドインしていく。ディレイをかけた効果音が、後年レコードに収録された録音よりも深くエフェクトのかかった形で入っている。この曲に限らず、その後の作品と比べてエコーやディレイなどのダブ処理が派手にかけられているのがおもしろい。
 “オウムのポリネシア”“パラレルウーマン”“サマータイムブギ”など、メロディアスなベースラインにリードされる形でスカなどで聞かれるような裏打ちのカッティングギターが乗った曲も多い。こういった要素はUKニューウェイヴ由来のものだろう。
 “パラレルウーマン”“惑星(プラネット)X”“ミラクルズ”といったSF的な歌詞も目立つ。なかでも“パラレルウーマン”はスーパーヒロインに憧れるような歌詞かと思いきや蛭子能収のマンガのような不条理な展開を見せる(「オフィス・オートメーション地獄だよ」と、当時まだOLだったなおこさんの鬱憤が爆発しているような面もある)。

 「でもこんな強い日差しのなかで、いったい何ができるのでしょう Sleeping in my bed Sleeping in my bed」と歌われる(いまの季節にぴったりの)“サマータイムブギ”のような、肩をいからせたパンクを脱臼させるような力の抜けた曲などは少年ナイフならではのもの。
 そしていまの作風につながる歌詞といえば“亀の子束子のテーマ”だろう。その後も、なぜそれを歌にしようと思った? と思わせる身近なアイテムをモチーフにした曲は数多く登場することになる(輪ゴムとかペーパークリップとか)。
 そもそも「少年ナイフ」というバンド名は、直子の手元にあったカッターのブランド名から取られている。もし手元にあったのが違うものだったら「肥後守」とかになっていたのかもしれない。

 本作の翌年にリリースされた8インチEP「Burning Farm」がカルヴィン・ジョンソンの目に止まり85年には〈Kレーベル〉より米国リリース。おそらくそれを手にしたのがカート・コバーンやサーストン・ムーアだったということだろう。以後、海外での活動はどんどん増えていく。
 最新のライヴと比べると本作はなんとも素朴であり、思えば遠くへ来たものだ。その一方で、自由な発想は現在まで通底してもいる。少年ナイフ結成当時、なおこさんはレインコーツやスリッツを好んで聴いていたという。楽器が上手くなくてもバンドはできる。パンク/ニューウェイヴの蒔いた種がこうして大阪に届き、40年以上経ってもなお力強く花開き続けていることをとても心強く思う。

Music for Black Pigeons - ele-king

 この春公開され一部の音楽ファンたちから注目を集めた映画『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン』。〈ECM〉のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロを追ったこのドキュメンタリー(9月には共作が発売される高田みどりも出演)がDVD化されることになった。10月1日に〈du CINEMA〉より発売。
 近年はジャズ的なムードをもったアンビエントや、あるいはアンビエント的にも聴けるジャズなど、ジャズとアンビエントのあわいで興味深い音楽が多く出てきている。そうした流れとリンクする側面もある作品なので、ぜひチェックを。

『ジャズな映画 名作100ガイド』にも掲載された話題のジャズ・ドキュメンタリー映画『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――』が、待望のDVDで登場!

2025.10.1 DVD発売

デンマークの実験的ドキュメンタリー映画監督、ヨルゲン・レスとアンドレアス・コーフォードが、ジャズ・ギタリストのヤコブ・ブロを追って、彼と共演してきた世代や国籍を超えた音楽家たちの生き様と交流を描いた作品。“ただひたすらテープを回す”という伝統的なジャズの手法で撮影されたレコーディング風景や、ジャズ・プレーヤーたちの日常に加え、彼ら自身が演奏することの感覚や音楽の意味について語ったポートレートが記録されている。14 年間にも及ぶ長い音楽探求の旅のなかで、まさしくジャズが生まれている現場を映し出している。

この映画は、デンマーク出身のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロの、14年間に渡る音楽と旅のドキュメントであり、「ジャズとは、音楽とは何だろう?」という問いに答えるミュージシャンたちに寄り添り、その音と言葉を丁寧に美しく捉えていく。正解はなく、正しい道筋は自分で見出さないとならないが、それはとても魅力的で、一人ひとりを輝かせる。ミュージシャンであれ、リスナーであれ、この映画から鼓舞されるものは必ずあるはずだ。 (原 雅明ringsプロデューサー)

予告編
https://youtu.be/WL1P7Sv6AJM

【作品概要】
ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――(原題:Music for Black Pigeons)
監督:ヨルゲン・レス、アンドレアス・コーフォード/字幕:バルーチャ・ハシム/2022年/デンマーク制作/92分/出演:ヤコブ・ブロ、リー・コニッツ、ポール・モチアン、ビル・フリゼール、高田みどり、マーク・ターナー、ジョー・ロヴァーノ、ジョーイ・バロン、トーマス・モーガン、マンフレート・アイヒャー、他
Format: DVD
Release Date: 2025.10.1
Label: du CINEMA

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009077319
https://www.musicforblackpigeons.com/
https://www.oto-tsu.jp/features/archives/18333

【関連作品情報】
Jakob Bro & Midori Takada / あなたに出会うまで – Until I Met You
デンマーク出身、新たなECMの看板ギタリストとして活躍するヤコブ・ブロが、世界的に活躍する打楽器奏者で、日本のアンビエント/ミニマルミュージックの代表作『Through The Looking Glass』(’83)などで知られる高田みどりとコラボした初の作品が、国内盤CDでリリース!映画『Music for Black Pigeons』での共演シーンでも話題になった2人の、無限に広がる音世界。

10/4, 5 EACH STORY 来日予定

DJ Marfox - ele-king

 早いもので、リスボンのレーベル〈Príncipe(プリンシペ)〉が15周年を迎える。それを記念したコンピもリリースされているが、このたびなんとレーベル主宰者、DJマルフォックスの来日ツアーが決定した。8月15日は京都West HarlemでDJ ntankによるパーティ《MAVE》に、8月16日は渋谷WWW&WWWβでE.O.Uとmelting botによるパーティ《南でloopな》に出演。これは熱い夏がやってきますぜ……
 なお、DJマルフォックスの2019年のインタヴューはこちらを。

DJ Marfox Japan Tour 2025 -15 years of Príncipe-

8/15 FRI 22:00 at West Harlem Kyoto
8/16 SAT 23:00 at WWW &WWWβ Tokyo

artwork: Márcio Matos
tour promoted by WWW / melting bot

灼熱のアフロ・ダンス!リスボン・ゲットーで育まれたアフロディアスポラによる100%リアル・コンテンポラリーな先鋭電子レーベルPríncipe、シーンのゴットファーザーDJ Marfoxが本年レーベル15周年を祝した初のロングセットで来日ツアー公演を京都と東京で開催。京都はntank主宰のMAVEでWest Harlemにて、東京はE.O.U & melting bot主宰loopなの昨年に続く南バイブス第2弾でWWWにて開催。追加ラインナップは後日発表。

DJ Marfox Interview @eleking
“声なき人びと、見向きもされない人びと、その顔が俺だ” https://www.ele-king.net/interviews/006925/
Príncipe 特集@RA “リスボンのゲットー・サウンド” https://ra.co/features/2070

MAVE feat.DJ Marfox -15 years of Príncipe-
2025/08/15 FRI 22:00 at West Harlem Kyoto
ADV/U23 ¥2,000 / DOOR ¥2,500 (+1D)
TICKET https://t.livepocket.jp/e/ao_c

DJ Marfox -15 years of Príncipe- [PT/Lisbon]
ntank
+TBA

MAVE
2020年West Harlemにて京都拠点のDJ ntankにより、一貫した身体的グルーヴをオルタナティブな文脈でジャンルレスに紡ぐエネルギッシュパーティーとして始動。これまで国内外問わずバラエティ豊かなゲストを招聘。近年ではCassius Select, DJ Nigga Fox, Livity Sound, TSVIやPeladaといったDJ・Producerを迎えている。
https://www.instagram.com/_ntank
https://www.instagram.com/mave.jp


南でloopな w/ DJ Marfox -15 years of Príncipe-
2025/08/16 SAT 23:00 at WWW & WWWβ Tokyo
Early Bird/U25 ¥2,500 / ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500 (+1D)
TICKET https://t.livepocket.jp/e/20250816www

WWW:
DJ Marfox -15 years of Príncipe- [PT/Lisbon]
E.O.U
Foodman

VJ: eijin

WWWβ:
+TBA

20歳未満入場不可・要顔写真付きID
Over 20 only Photo ID required to enter

PLAYLIST:
https://open.spotify.com/playlist/4M4sLXzKcGj6ulR0bE0cqm?si=2f226360aabd4ecc&pt=97eb8b7c99ec7d96b9fec62bc15cbe4a
https://soundcloud.com/meltingbot/sets/loop-w-dj-marfox-15-years-of-principe

loopな
2024年よりE.O.Uとmelting botによりWWWβにて始動、あらゆるジャンルの超越後の現代における”ミニマル”を方向性としたレギュラーのキュレーション・パーティ兼E.O.U主宰レーベルhaloのリリース・プロジェクト。 VJ・アートワークはeijinが担当。昨年夏に開催されたサウス・バイブスの南でloopなに続き、今回はリスボンからDJ Mafoxを招聘、東京公演ではリスボン・ゲットーのコンテンポラリーな先鋭電子レーベルPríncipeの15年周年記念としてその歴史を紐解く3時間のロングセットを予定。
https://haloooo.bandcamp.com/music
https://www.instagram.com/eoumuse
https://www.instagram.com/meltingbot

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●DJ Marfox [Príncipe/PT]

プロデューサー兼DJのMarfoxは、リスボンにおいて都市部、郊外、そしてゲットーの伝説的存在であり、電子音楽の新たな方向性を追求する世界的なネットワークにおいて著名な人物となる。ダンスミュージックにおける文化の様々な分野から、先駆的な作品と音楽に対する称賛を受けており、過去10年間にわたりLit City Trax、Boomkat Records、Warp Records、Príncipeなどのレーベルから作品をリリースしてきました。特にPríncipeに関しては、その創設者の一人として確固たる地位を築く。

また、Fever Ray、Elza Soares、tUnE-yArDs、BADSISTA、Panda Bearなどのアーティストのためのリミックスを手がけ、最近では新たなプロジェクトに挑戦。2019年ヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館でアーティストNatascha Sadr Haghighianのインスタレーションのためのオリジナル音楽を提供等、過去数年間、ヨーロッパとイギリスでDJセットを精力的に行い、ブラジル、ウガンダ、アンゴラ、ロシアを訪問し、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、東アジアでのツアーも実施している。

2023年には、自身のオリジナルクルーDJs Di Guettoのコンピレーションのダブル・ヴァイナルLPエディションをPríncipeからリリース。Resident Advisorは「17年経ってもこんなに新鮮に聞こえることは、この音楽がどれだけ重要かを証明している」と言及、外部の者が触れることのできない音楽の系譜とスタイルを持つ、強固なコミュニティであり伝統であると記録した。

https://www.instagram.com/djmarfox

●Príncipe [PT/Lisbon]

プリンシペはポルトガルのリスボンを拠点とするレコード・レーベル。この街、その郊外、プロジェクト、スラムから生まれる100%リアルなコンテンポラリー・ダンス・ミュージックをリリースすることに専念している。独自の詩学と文化的アイデンティティを持った新しいサウンド、形態、構造であり、ハウス、テクノ、クドゥーロ、バティーダ、キゾンバ、フナナー、タラチーニャ、あるいはその他の新しい美学的発展など、この街で生み出される素晴らしい作品が、クラブ、携帯電話、家の外で聴けないままであることがないようにしたい。すべてのアートワークはマーシオ・マトスが考案し、実行した。全てのレコードは、一枚一枚手作業でステンシルされ、手描きされている。すべてのサウンド・マスタリングは、ポルトガルのベテラン天才サウンド・エンジニア、トー・ピニェイロ・ダ・シルヴァの自宅スタジオで、哲学に基づき行われている。

https://principediscos.wordpress.com
https://www.instagram.com/principediscos_verdadeiro

●V/A - Não Estragou Nada [Príncipe 2025]

https://principediscos.bandcamp.com/album/n-o-estragou-nada

1. Farucox - Para de Espirrar 02:54
2. Bubas Produções - Samba no Pé (Dedicação ao Lilocox) 04:15
3. Lilocox - Camones 04:32
4. DJ Bboy - Latona 03:20
5. DJ Nervoso - Veronica 04:11
6. Niagara - Madstell 05:02
7. LawBeatz - Sem Ti 03:47
8. DJ Danifox - Rua do Abismo 04:07
9. E8 Prod - Daylight 02:28
10. Mixbwé - Beat 2 02:36
11. Puto Anderson - Khamba 03:13
12. Mano Jio - Party na Jungle 03:12
13. DJ Nigga Fox - Na Casa da Mana 04:02
14. DJ Bebedera - Fodência The Scratch 01:51
15. DJ Firmeza - Beats das Piriguetes 02:49
16. DJ Cirofox - My Pain 03:10
17. Dadifox - Sambaa 02:49
18. A.k.Adrix - Glitch [IIIII] 01:57
19. DJ N.K. - Bo Ta Rebola (feat. Dama Kriola & Dama Pink) 03:22
20. DJ Marfox - Batimento 04:40
21. DJ Maboku - Capeta Lisboeta 03:02
22. PML Beatz - Reflexos Desiguais 03:41
23. Diiony G - Carrega 03:33
24. DJ Lycox - Anubis 03:46
25. XEXA - Ondas 03:03
26. Nídia - Toma Bailarina 04:55
27. DJ Narciso - Lixo 03:01
28. DJ Doraemon - G.A.Z. 03:15
29. Lokowat - Up Up 03:12
30. Puto Márcio - Orgia Mental 02:51
31. PT Musik - Tears 02:08
32. K30 - Vento no Tarraxo 03:39
33. DJ Helviofox - Melodic Vibration (feat. E8 Prod) 04:11
34. Nuno Beats - Micasibi 02:48
35. Deejay Poco - Última Hora 02:24
36. DJ NinOo - Som di Paz (feat. Vanyfox) 02:52
37. Deejay Veiga - Jarda 03:31

最も新しい学校: Príncipeは1つの屋根の下にいくつかの活動の合流点であるハウスをオープンする。このイベントを記録するために、私たちは過去と現在の未発表曲を、時には10年以上もハードディスクの中に隠しておくことにした。文脈の欠如、感性の変化、あるアーティストの良質な音源の過多など、このトラックリストが未発表のままになっている理由はいくつかある。「Não Estragou Nada "は、ファミリーの拡張されたヴィジョンを提供し、この音楽の包括的なステートメントを、ほとんど最も生々しい表現で、フィルターにかけず、喜びを表現している。私たちは、アーカイブの豊かさを考えると、特定の新曲を制作する必要はないと感じた。アーカイブがゼロから進化し始めた2010年以降、DJ Marfoxまでの数年間を網羅した、管理されたタイムマシン。このコンピレーションに参加していない著名なアーティストの中には、現在音楽以外の道を歩んでおり、自らの意志で不在にしている者もいる。祝福と感謝を。若手からベテランまで、ハウスの他のすべての人たち。それをハウス・ミュージックと呼びたいのなら、そうすればいい。春になると、すべてのものが花開くようだ。

DJ Python & mad miran - ele-king

 不定期ながらいつも刺戟的なパーティを開催しているブランド〈C.E〉より、最新情報です。3月に来日した人気者、ニューヨークのDJパイソンが早くも再来日。オランダのマッド・ミランとともに長月の一夜を彩ります。9月6日、表参道はVENTにて。
 なお、9月発売予定の紙エレキング最新号には、前回来日時に収録したDJパイソンのインタヴューが掲載されます。そちらもお楽しみに。

[8/29追記]
 パーティ会場限定でTシャツの販売が決定! フライヤーのデザインが分解~再構築され、フロントとバックに配されています。これはかっこいいぞ。


C.E presents
DJ Python
mad miran

C.Eのパーティが9月6日土曜日にVENTで開催。

洋服ブランドC.E(シーイー)が、2025年9月6日土曜日、表参道に位置するVENTを会場にパーティを開催します。

Skate Thing (スケートシング)がデザイナー、Toby Feltwell(トビー フェルトウェル)がディレクターを務めるC.Eは、2011年のブランド発足以来、不定期ながら国内外のミュージシャンやDJを招聘しパーティを開催してきました。

9月6日に開催となる本パーティでは、アメリカはニューヨークよりDJ Python、そしてオランダからmad miranをゲストに迎えます。

C.E presents
DJ Python
mad miran

開催日時:2025年9月6日土曜日午後11時
会場:VENT
http://vent-tokyo.net/

料金:Door 3,500 Yen
Advance Tickets 2,000 Yen
http://ra.co/events/2216407

Over 20’s Only. Photo I.D. Required.
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため顔写真付きの公的身分証明書をご持参願います

■DJ Python
ニューヨークはクイーンズを拠点とするDJ兼ミュージシャンのブライアン ピネイロによるプロジェクトにおいて最も知られるエイリアス。
NYのクラブ、Nowadaysにおける長年のレジデンシーや、Anthony Naples(アンソニー ネイプルス)とJenny Slattery(ジェニー スラッタリー)のレーベルInciensoを通じて、ブルックリン/クイーンズのシーンの柱となっている。
近年、DJ Pythonはディープハウスのダイナミクスとラテンリズムを融合させた革新的な音楽スタイルによって、世界中のレコードショップ、ミックスシリーズ、クラブで注目を集めている。
2020年にリリースしたアルバム『Mas Amable』(Incienso)はResident AdvisorやBoomkatのアルバム・オブ・ザ・イヤーに選出された。
その後、EP『Club Sentimientos Vol. 2』や、DominoのアーティストEla Minusとのコラボレーション、Nick LeónとのスプリットEPなどをリリースし、さらにKelman DuranとFlorentinoのグループSangre Nuevaなども手がけている。
2023年には、アンビエント・ポップの先駆者Ana Roxanneとチームアップし、『Natural Wonder Beauty Concept』名義で、ムーディーでIDMの影響を受けたポップソングとユニークなインストゥルメンタルを収めたアルバムをMexican Summerから発表。同アルバムは、再び年間ベストアルバムリストに名を連ね、ヨーロッパ、イギリス、北米を巡るライブツアーが行われた。

2024年にはBBC Radio 1の「Essential Mix」に初登場し、未発表のトラックやAir、Alex G、Nina Simone、Autechreなどのエディットを含むミックスを披露した。同ミックスはResident AdvisorやMixmagから「Best Of」の評価を受け、Mixmagは「xxxx」と絶賛をした。
2025年3月にはEP「I Was Put On This Earth」をXL Recordingsよりリリース。
soundcloud.com/worldwideunlimited
ra.co/dj/djpython
www.instagram.com/dj__python

■mad miran
オランダのアンダーグラウンドが生んだDJ。
Garage NoordやDe School、Nitsa、Blitzなどのクラブだけではなく、DekmantelをはじめPrimaveraやSolstice、Love Internationalといった音楽フェスティバルにも出演。
soundcloud.com/madmiran
ra.co/dj/madmiran
www.instagram.com/madmiran

FEBB - ele-king

 昨年リリース10周年を迎えたFEBB AS YOUNG MASONの『THE SEASON』。同作のアートワークを用いたスケートデッキ・セットが完全受注生産で販売されることになった。Fla$hBackSのMVも手がけていたDiaspora skateboardsとのコラボ企画です。
 また、同デッキの展示も実施される。7月19日(土)から7月27日(日)まで、Diaspora skateboardsの旗艦店「PURRBS」にて。詳しくは下記をチェック!

FEBB 『THE SEASON』とDiaspora skateboardsのコラボによるスケートデッキ3本セット(シリアルナンバー入り)が完全受注生産で発売決定!また7/19(土)より駒沢「PURRBS」にて『THE SEASON』のポップアップも開催!

 2014年1月29日にリリースされ、2024年1月29日にリリース10周年を迎えたFEBB AS YOUNG MASONの1stアルバム『THE SEASON』の10周年記念企画の最後を飾るのは『THE SEASON』のジャケット・アートワークを使用したスケートデッキ・セット。
 FEBBと関係が深く、Fla$hBackSのMV制作も行ったスケートレーベル / ビデオプロダクションのDiaspora skateboardsとのコラボレーションでの制作となり、NYのレジェンドGUESSデザインの『THE SEASON』の印象的なジャケットを3本のデッキに落とし込んだシリアルナンバー入りのスペシャルセット。完全受注生産での販売となります。3本セット売りのみでの販売になり1本ずつの購入は出来ません。

 また7月19日(土)から7月27日(日)までの期間、Diaspora skateboardsの旗艦店「PURRBS」にてデッキの展示を行ないます。是非実物を手に取ってご覧になってください。展示期間中はFEBB 『THE SEASON』のLP/カセットテープ/CDの販売なども「PURRBS」にて行ないます。

アイテム:Diaspora skateboards | FEBB "THE SEASON" Deck(3pcs Set / シリアルナンバー入り)
販売価格:50,000円(税抜)
受注締切:2025年7月31日(木)正午
発送予定:2025年10月下旬頃予定
*ご予約ページ
https://anywherestore.p-vine.jp/products/febb-skateboard

※オーダー後のキャンセル・変更は不可となります。
※商品発送は10月下旬頃を予定しております。
※配送の日付指定・時間指定は出来ません。
※配送は日本国内のみとなります。
※おひとり様2セットまでの購入とさせていただきます。
※お支払いはクレジットのみとなります。
※デッキは北米産カナディアンメープル使用。 数多くの有名ブランドと同様の高品質な工場でのプレス。
キック:ミディアム / コンケーブ:ミディアム
※サイズ(Width x Length x WB)
8.0” x 31.5” x 14 (Left)
8.125” x 31.5” x 14 (Center)
8.25” x 31.5” x 14 (Right)

<PURRBS>
〒154-0012
東京都世田谷区駒沢2-16-1 染小ビル 101
TEL: 03-6413-8729
STORE HOURS: 12:00-19:00
REGULAR HOLIDAY: Wednesday
https://www.instagram.com/purrbs.store/

interview with LEO - ele-king

 日本の箏(こと)。そう聞いてどんな音楽を連想するだろうか。お正月の定番。平安貴族っぽい。素朴にエキゾティック。なんとなく堅苦しそう。もしくは「失われた日本」……とか?
 この伝統楽器と幼いころに出会い、早くも19歳でデビュー。2017年の『玲央 1st』以降すでに5枚のアルバムを送り出している箏奏者のLEOは、しかしそうした型にはまったイメージを粉砕する。相棒のもつ可能性をとことん探求し、大胆にエレクトロニック・ミュージックなどと融合させてみせるのが彼だ。
 純邦楽にとどまらず、ハイカルチャー/ポピュラー・ミュージックの区別なく西洋音楽を吸収してきた彼のひとつの到達点は、ジョン・ケイジ坂本龍一スティーヴ・ライシュらの作品を箏で演奏した『In a Landscape』(2021年)かもしれない。ことエレクトロニック・ミュージックとの接点という意味では、前作『GRID//OFF』(2023年)も見すごせなかろう。LEOはそこでリディム・イズ・リディム “Strings of Life” をカヴァーしたり、2010年代に実験的な電子音楽の分野で頭角をあらわしてきたアーティスト、網守将平と共同作業したりしている。彼のなかでエレクトロニック・ミュージックが小さくはない位置を占めていることがありありと感じられるアルバムなのだ。
 そんなLEOが、従前とは異なる意気込みで制作に挑んだのが最新作『microcosm』である。本人いわく、これまでのアルバムには、LEOというメディアをとおして箏の魅力を伝えるような側面があったという。ひるがえって今回は、箏(や電子音)をとおしてLEOという音楽家をアウトプットするような表現に到達しているそうだ。
 エレクトロニック・ミュージックだけではない。ドラマーの大井一彌を招いた先行シングル “Vanishing Metro” によくあらわれているように、ここにはプログ・ロックやジャズがもつ演奏することそれ自体の醍醐味もあるし、U-zhaanによるタブラやLAUSBUBによるヴォーカル、フランチェスコ・トリスターノのピアノなどもいい感じでアルバムに花を添えている。つまるところ、箏に限らず音楽そのものが好きなのだと主張する彼の作家性が、いよいよ全面開花した作品がこの『microcosm』なのだ。
 箏と聞くといろんな先入見が邪魔をしてしまうかもしれないけれど、とにもかくにもまずは聴いてみてほしい。間違いなく唸ることになるだろうから。

ジョン・ケージや坂本龍一さんの作品群には、人為的でないものを許すような感覚があって、そういう哲学的な部分が伝統的な邦楽を学んだときに教わった精神性と共通するように思えて。

最初に素朴な質問ですが、箏とはどういう特徴のある楽器なのですか?

LEO:ほかの弦楽器と見た目はぜんぜん違いますけれども、箱に弦が張ってあるという点で、構造としてはギターやヴァイオリンと似た楽器です。大きな箱に弦が張りめぐらされているという点では、ピアノやその前身のハープシコードもそうですね。構造自体はありふれていて、それらのなかでもとくにシンプルなかたちなのが箏です。とくに日本の箏はそうで、張られた弦の張力をいじることによって音高を変えます。可動式のコマみたいなもの、「柱」と書いて「じ」と読むんですが、それを動かしてピッチを決めて、あとは弾くだけという、かなりシンプルな楽器ですね。
 お箏自体は中国にも韓国にもあるんですけれど、中国のお箏も韓国のお箏も時代を経るにつれて進化していって、たとえばもともとは弦に絹糸を使っていたのがいまはスティール弦になっていて、発音のよさや余韻の長さ、音量の大きさを確保して、ホールでの演奏に対応したり、弦の本数も中国の場合はどんどん増やしていって新しい音楽に対応してきました。でも日本の箏はまったく進化していなくて、ほぼ昔からのままでつづいています。だからとっても素朴で、よく雅な音がするって言いますけれども、奏者の中身が透けて見えてしまうような楽器がお箏なのかな、と思います。

箏と出会ったのはインターナショナル・スクール時代だったそうですね。当時はご自身のアイデンティティの問題もあったそうですが、まずはやはりその音の響きに惹かれたのですよね。

LEO:そうですね。幼少期はわりとシャイで内向的な性格だったんですけど、お箏はそんなに派手なわけでもなく、音数もすごく多いわけでもなく、ちょっと静かな感じで。音の鳴っていないところにも意識を持っていくような音楽っていうのが自分には合っていました。あと、箏の古典の曲ってどれも暗い音階なんです。都節(みやこぶし)音階というんですが、その暗い感じも好きで。ただ、箏自体がよくて箏をはじめたわけではなく、授業でたまたま出会ったのが箏だったんです。だから、たとえば今回のアルバムも、ぼくが違う楽器の奏者だったとしても、似たことをやっていたと思います。もちろん伝統から離れて自分のやりたいことをやるというところにたどりつくまでには紆余曲折ありましたけれども。箏も好きではあるんですが、音楽全般が好きなんですね。

音楽全般がお好きとのことで、学校で習ったり教えてもらったりした音楽とはべつに、自発的に音楽を聴くようになったのはいつごろなのですか?

LEO:母が洋楽が好きで、マイケル・ジャクソンのファン・クラブにも入ってて、車ではいつも音楽がかかっていました。あとはNE-YOとか、スティーヴィー・ワンダーとか。あと祖父がビートルズが好きで、それもよく聴かされていましたし、ぼくが小学生のときに初めて自分の小遣いで買ったCDは当時のはやりのJ-POPでした。だから、箏をはじめたのは9歳ですが、ふだん聴いている音楽とはまったく結びついていませんでしたね。当時はやっていたのがブルーノ・マーズとかテイラー・スウィフト、マルーン5とかで、そういうのは箏では弾けないから自分でギターを練習したり、ベース、ドラム、キーボードもひととおり触って、友だちとバンドを組んでカヴァーしたり学園祭で弾いたり。そういうことをしていくなかで音楽が好きになっていきましたね。
 自分で最初にハマったのはスクリレックスでした。スクリレックスはエレクトロニック・ミュージックですが、それとほぼ同時に、なぜか坂本龍一にもハマりだして。坂本さんからはいまでもずっと影響を受けつづけています。そこからクラシック音楽も真剣に聴くようになりました。ジャズも、スナーキー・パピーがきっかけで掘るようになって。

坂本龍一は幅が広いですが、どのあたりのものからお好きになったんですか?

LEO:最初は『/05』とか『BTTB』とか。ピアノで弾いてるものが入口でした。そのころ同時進行で、藝大でアカデミックに箏を学ぶ準備もしていたので、いわゆる現代音楽も勉強していくなかで、坂本さんの『out of noise』と『async』に出会い、そこからノイズや環境音に対してもすごい興味が湧いてきました。そうして「ジョン・ケージも面白いじゃん」とか、自分の箏の師匠(沢井一恵)がジョン・ケージとつながっていることに気づいたり。そういう順番でしたね。

わりとリアルタイムというか、ゼロ年代以降の坂本さんに惹かれていったという。

LEO:20歳ぐらいになってから、YMOは聴きましたね。そこからスクリレックスとはまた別軸で、エレクトロニック・ミュージックにもハマっていくんですけれども。

前作『GRID//OFF』(2023年)でカヴァーされていた坂本さんの曲が『async』の曲(“Andata”)だったので、意外と言うと変ですが、わりと直近の坂本さんに惹かれていたのかなと思いまして。

LEO:『In A Landscape』(2021年/“1919” を収録)のときはそうでした。『GRID//OFF』でもそうですが、カヴァーするレパートリーを選ぶときは、箏のよさが伝わる楽曲を選ぶようにしています。ジョン・ケージや坂本さんの作品群には、人為的でないものを許すような感覚があって、そういう哲学的な部分が伝統的な邦楽を学んだときに教わった精神性と共通するように思えて、カヴァーしてきました。
 ただ今回の新作は、箏っぽさであったり、この楽器の魅力を届けないといけないというような思いから解放されて、いま自分が聴いている音楽や好きなアーティストに声をかけてつくっていきました。たとえば自分の前にお箏が置いてあると、それをどう弾くかについてぼくは一から十まで手ほどきを受けてきているわけですから、どう触ればいいかわかるわけです。でも、今回のようなアーティストたちといっしょに音楽をつくっていくとき、「いま目の前に箱状の楽器があるぞ、さてどうやって音を出そう?」みたいに無になって。ビートありきの音楽ですので、伝統の奏法もまったく関係なく、一からこの楽器をどう弾くかを見つめ直して、「ミュートしてみよう」とか「ハーモニクスしてみよう」とか「こういう音を重ねてみよう」とか、「ライヴではできないけれども、レコーディングだから、小さい音しか鳴らない奏法を活かしてみよう」とか、まっさらの状態から考えました。すごくラフな、フリーな感覚で制作に臨みましたね。

聴いていて思ったのですが、もしかして箏を叩いたりもしています?

LEO:してます、してます。

やはり。今回のアルバムもまさにそうですが、そもそも箏奏者ないし音楽家として、いわゆる純邦楽の道というか、古典的な奏法や伝統の方向に進まなかったのはなぜですか?

LEO:食べていけないので(笑)。もちろんそれだけじゃないんですけど、10代でデビューしたころはそういう伝統的な路線からスタートして、でもほどなくして食べていけないことに気がついて。ただ、まだ自分のやりたい音楽というのも固まらない状態で早くにデビューしすぎたのもありました。

クラシック音楽に「現代音楽」というくくりがありますけど、いまほんとうに現代性を感じるのはTikTokで流れてくるような音楽です。

デビューされたのは何歳ですか?

LEO:19歳です。藝大に行きながらCDを出したりしていました。当時から今回の新作のような音楽は好きだったんですが、仮に当時のぼくが今回の新作のアイディアを思いついていたとしても、実行する技術がぜんぜんありませんでした。箏の演奏の技術もそうですし、アンサンブルとかも。そもそもぼくが受けてきた箏の訓練っていうのはクリックと合わせて弾くことには向いていないですし、自分で作曲もしていますけども、コードや音楽理論について勉強したわけでもないですので、当時の知識では成しえなかったと思います。いろいろ仕事をして知識もだんだん増えていって、さらにミュージシャンの友だちもできていって、ようやくいま、これができるようになったという感じです。心技体がようやく一致してここまで来た、みたいなイメージです。

先ほどエレクトロニックに目覚めたきっかけがスクリレックスだったというお話を伺いましたが、その後エレクトロニック・ミュージックはどういう方面を好んでお聴きになっていたんですか?

LEO:坂本さんはもちろんなんですが、ティグラン・ハマシアンも電子音使っていて最近好きですね。あと、いわゆるポスト・クラシカルに入ると思うんですが、ハニャ・ラニ(Hania Rani)という女性のピアニストで、エレクトロニクスを入れつつ歌ったりする方がいて。オーラヴル・アルナルズ(Ólafur Arnalds)もめっちゃ聴いてます。箏で近しいことができそうだなと思いましたね。
 ぼくの場合、箏に飽きて、ものたりないからエレクトロニクスを入れているのではなくて、箏の音を支えるというかちょっと拡張するというか、自然な必然性を感じてエレクトロニクスを使っています。箏はどうしても音が小さいですし、それに現代のようにいろんなエンタメがあふれていて消費スピードも速いなかで、大げさに言いますけど、ポーンと箏を弾いて、次の音まで5秒待ってまたポーンと弾くような音楽というのは、なかなか聴いてもらえないと思うんです。もとからその魅力を知っているひとじゃないと。たまたまインスタでぼくの音楽に気づいてくれたひとがいても、ポーンと鳴って、次の音が鳴るまでに3秒も待てないというか。そういう感覚はぼく自身にもあるし。そういうのが現代の音楽で。クラシック音楽に「現代音楽」というくくりがありますけど、いまほんとうに現代性を感じるのはTikTokで流れてくるような音楽ですし。もちろん、TikTokでバズる曲をつくりたいとかではないんですが、そこに面白い表現はいっぱいあって、そういうものもオープンにとりいれていきたいと思っています。だから、エレクトロニクスを入れることもぼくにとっては普通なことなんです。現代に箏を弾くのであればそれが自然ですし。もちろん箏の音を潰したいわけはないんですけれども。

エレクトロニック・ミュージックがお好きなのは前作『GRID//OFF』からも伝わってきました。あのアルバムではデリック・メイをカヴァーされていましたよね。エレクトロニック・ミュージックのなかでもデリック・メイの音楽はダンス・ミュージックですが、ほかの曲をやるときと違った点ってありましたか?

LEO:ぼくはとにかくクリックに合わせて弾くこと、縦線をグリッドと合わせて弾くのが超苦手で。ちょっと前まではタイミングを合わせること自体すごい大変だったんですけど(笑)。あとはフレーズをたゆたいながら歌うとかもできないので、ある意味鍵盤で弾いてるような感覚で弾いたりとかはあるのかな。でもどうなんですかね、今回のアルバムでもたぶんグリッド音とかテクノっぽい曲調でつくっていますけども。

新作の1曲目 “Cotton Candy” もダンサブルなビートが入っていましたね。

LEO:そんなに意識はしていないんです。普段聴いてる音楽をたまたま目の前にある楽器で弾いたらこうなった、という感じで。それは前回のアルバムも含めてこれまでいろんな経験をしてきたから、ようやく無意識下でもできるようになったのかもしれないですけど、曲によって弾き方を変えることはやってはいます。音色もそうですね。ただ、あまりジャンルを区別して考えると壁をつくる気もするので、グリッドで曲をつくった場合でも、たとえばU-zhaanさんと弾いたときに得たインスピレイションを持ってこられるような柔軟さが欲しい、というか。アルバムをつくりながらたくさんの経験をして、いろんな音楽の知識を吸収して、成長しながらつくっているので、まったく異なるジャンルの音楽いっぱい入ってますけれども、ぜんぶぼくのなかでは線でつながってるようなイメージですね。

ご自身でトラックもつくられるんですか。

LEO:そうですね、DAWで。このアルバムをつくりはじめてからすごい勢いで勉強しました。今回の4、5、8、10曲目はソロの曲なんですけど、自分で録った後に編集しています。それまでは楽譜上でしか作曲をしてなかったんですけど、DAWを使いはじめるようになってからまったく違うアプローチがとれるようになって。たとえば4曲目 “moments within” と8曲目 “moments between” は楽器が違うだけでまったく同じ内容なんですけれども、一定のテンポでおなじフレーズを何回も繰り返しているトラックと、おなじフレーズだけどテンポがだんだん速くなっていくトラックと、そのぜんぜん違うテンポで進んでいるものが最終的に辻褄が合う、みたいな感じでつくったフェーズ・ミュージックなんです。それって楽譜には書けないし、一拍ずつずれていくのではなく徐々にずれていくんですが、それをどう辻褄を合わせるかっていうのはDAWで試行錯誤しました。DAWを操れなかったら自分では書けないようなタイプの曲です。5曲目 “Night Scape” も、ほぼなにも決めずにスタジオに入って即興で録ったものを、あとで家で組み替えたりエフェクトを足したりしてPC上でつくった曲です。このアルバム制作中に学んだことを自分なりにアウトプットしてみたような感じですかね。

プロデューサー的なこともやられてるということですよね。

LEO:そうですね。ほかの曲でも、トラックはこうしたほうがいいみたいなことは提案させていただいたりはしました。これまでは奏者として箏を弾くことでしか音楽に携わっていなかったのが、ミックスまで介入できるようになって、よりほんとうに自分の声みたいなものを届けられるようになった感覚があります。

これまでのアルバムたちは、ぼくというメディアを通すことで箏という楽器自体を広げているような。でも今回のアルバムは、ぼくという人間を、箏というメディアをとおして、そして箏だけじゃなくてパソコンとかいろんなメディアを使いながら表現したアルバム。

今回、最後の曲でフランチェスコ・トリスターノと共作・共演されていますが、トリスターノと出会ったのは、もしかして彼がデリック・メイと共作したアルバムがきっかけですか?

LEO:前回デリック・メイをカヴァーしたのは、たしかにトリスターノからの影響があるんですけれども、もともとずっとトリスターノのファンで。彼を知ったのは坂本龍一さんとの『GLENN GOULD GATHERING』でした。演奏も好きですし、テクノをやりながらバッハみたいなのを弾くという音楽家としてのあり方もめっちゃ好きです。ずっとファンで遠い存在だったんですけれども、今回お声がけしたらいっしょにやってもいいよって言ってくれて。こんな機会滅多にないと思うので、すごく悩みながら曲をつくって録りましたね。

9曲目 “音の頃 feat. LAUSBUB” でヴォーカルが入ってくるのは意外性がありました。ヴォーカルを入れようと思ったのはどういう理由から?

LEO:このアルバムのコンセプトとかが決まる前に、たまたまLAUSBUBの曲を車で聴いて。めっちゃいいなと思って、今回のアルバムがどうとか関係なくコラボしてみたいと思って連絡をして、結局その後いろいろ考えていくうちに今回のアルバムはコラボレーションのアルバムにすることに固まったんですけど、いちばん最初に決まったコラボですね。いきなり歌が入っちゃったとか思いながら、でも歌はやりたいなと思ってもいたので。コラボレーション・アルバムという性質上、どうしても曲ごとに個別に進行していきますし、それぞれのアーティストたちと共同制作していくから、曲ができるまでなにができるかわからないんですよね。なので、どんなアルバムになるかは7曲くらい完成するまではぜんぜん見えませんでした。

今回も、これまでいっしょにやられてきた網守将平さんが参加しています。網守さんとはとくに親しい感じでしょうか。

LEO:コラボレーションのアルバムにしたいというのが見えてきたときに、網守さんと飲みに行って。「今度LAUSBUBとやるんですけど、レコーディングのプロデュースみたいな感じで参加していただけませんか」ってお願いして。あと、「それとはまたべつにドラムの方ともやりたいんです」みたいにお伝えして、大井(一彌)さんを紹介していただいたんです(2曲目 “Vanishing Metro” と7曲目 “GRID // ON” に参加)。網守さんは最終的には2曲に携わっていただいていますが、最初に相談に乗っていただきながらアルバムをつくっていった感じですね。

具体的なところは7曲ぐらい完成するまで見えなかったというお話でしたが、最初のほうのお話に出たように、箏を使いつつエレクトロニック・ミュージックをやるというイメージは当初からあったわけですよね。

LEO:ありましたね。エレクトロニクスのアルバムにしようとまでは考えてなかったんですが、たぶんあまりにも自然なことすぎて、考えるまでもなくこうなったみたいな感じですかね(笑)。たとえば、ドラムと生のお箏の音とではさすがに噛み合わないので、コンデンサーで音圧をピシッと揃えつつEQをいじるとか、箏の音圧を上げるためのなにかが絶対に必要なんです。だから、当たり前にそうなるだろうなあとは思っていました。ただ想定していたより知識が必要でしたので、制作しながら勉強して、結果的につくりはじめる前よりも自由にエレクトロニクスを扱えるようになりました。

若い頃からおぼろげに描いていたものの集大成になったと思いますか?

LEO:集大成というのとはちょっと違っていて。

逆に、やっとファースト・アルバムができたというような感じですか?

LEO:そのほうが近いですね。もちろん、これまでのアルバムもとっても気に入っている作品ではありますが、これまでのアルバムたちは、極端に言うと、箏っていう楽器があって、それを弾いているぼくというメディアがあって、ぼくというメディアを通すことで箏という楽器自体を広げているような考えで。それはそれで今後もつづけていきたい。でも今回のアルバムは、ぼくという人間を、箏というメディアをとおして、そして箏だけじゃなくてパソコンとかいろんなメディアを使いながら表現したアルバムという感じなんです。そういう意味では1枚目になるかもしれないですね。

LEOさんの作家性が確立した1枚みたいな。

LEO:そうですね。以前の技量じゃここまでのものはできなかった。紆余曲折を経てきたこと自体がよかったことで、ここに来てひとつ新しい世界を開けたような感じはあります。

ちなみに、活動名として名前をシンプルに「LEO」にしたのはどういった理由からでしょうか? ほかにもおなじ名前の方がいたり、検索しづらかったり……

LEO:これはね、ぼくはデビューがすごく早くて19歳だったんですが、お話をいただいたのが18のときだったんですね。高校生で、音楽業界のこともまだ右も左もわからず、当時は師匠の沢井一惠先生にもいろいろディレクションしていただいていました。その師匠の案が「LEO」でした。たぶん、純邦楽、伝統的な文脈のリスナー層に向けて、現代的なインパクトのある名前に、という意図があったのではないかと思います。たしかに、検索しづらいんですけど。

なるほど。最後に、また最初の話に戻りますが、『In A Landscape』のライナーノーツで松山晋也さんがLEOさんにインタヴューされていて、インターナショナル・スクールで箏をはじめた背景としてご自身がハーフだったこともあり、日本人らしさを伝えるためのツールとしても箏があった、という経緯が語られていました。そうした日本への葛藤みたいなものは、いまでも抱えていますか?

LEO:ああ、それはまったく抱えてないですね。

もうなくなりましたか?

LEO:はい。当時、家ではずっと日本語を喋っていて、英語がうまく話せなかったんです。でもインターナショナル・スクールでは授業もぜんぶ英語で、言語の壁のせいでコミュニケーションが苦手になっていて。だから、音楽というコミュニケーション・ツールがすごく刺さった。そこでさらに箏という楽器のキャラクターが自分とも噛み合った。その後、藝大に行ったり、ありがたいことに注目も浴びたり、箏をいろんなところで紹介する機会も増えて、責任みたいなものも感じるようになって。師匠の沢井一恵先生だけじゃなくて、いろんな方からもお話を聞きますし、同級生のほかの和楽器をやっているひとたちとか、いろんなひとを見て、いろんなことを考えました。そうするなかで、葛藤も、逆に責任も、徐々に吹っ切れていって。だから、そういうことをもう考えなくなってつくったのが今回のアルバムです。もっと自由なスタンスで、自由に音楽をやるほうが、表現は楽しいなと思っています。なのでいまは葛藤はないです。

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