「PAN」と一致するもの

水谷:そろそろVGA(VINYL GOES AROUND)でコンピレーションでも作ろうという話になったのって去年(2023年)の秋くらいでしたね。

山崎:VGAはレアグルーヴのイメージが強いという事もあって、いろいろ案を出しあった結果、「アンビエント・ブームへのレアグルーヴからの回答」というコンセプトができて取りかからせて頂きました。

水谷:一概には言えないのですが直球の70年代ソウルが今の時代にフィットしないような感覚があり、また思った以上にスピリチュアル・ジャズが盛り上がっている背景もあったので、その辺にカテゴライズされているものを中心に静かな楽曲をアンビエント的な解釈でコンパイルするのは面白いかもねというのが当初の話でした。そもそもアンビエントの定義とは何なのでしょうか?

山崎:ブライアン・イーノが提唱した「環境に溶け込む、興味深くかつ無視できる音楽」というのが定説ですが、境界線は曖昧ですね。90年代に流行したヒップホップやR&B、アシッドジャズのルーツにはレアグルーヴ的なサウンドがあったのに対し、テクノやハウスのルーツにはアンビエントやニュー・ウェイヴ、プログレッシヴ・ロックがあって、当時のレコード店にはテクノと同じ棚にアンビエント系も並んだりしていました。僕はそのあたりからアンビエントに興味を持ち始めました。

水谷:近年のアンビエント・ブームはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

山崎: 今の世界的なアンビエント・ブームは80年代の日本の環境音楽やニューエイジが中心となっています。日本ではハウス系の文脈からバレアリックやイタロ/コズミック系に流れた人たちが2010年以降に開拓していったように思いますが、しかし90年代は、クラブミュージック界隈では誰もこの辺に興味を持っていなかったように思います。時代とともに価値観が逆転した感じですね。

水谷:今回のコンピレーションはその流れとも少し外れているように思いましたが、具体的にはどのような意図で選曲をしていったのですか?

山崎:まずコンピレーションの意義みたいなものを考えてイメージを膨らませました。僕が20代の頃(80〜90年代)によく聴いていたのは主に70年代のソウルやファンク、ジャズのいわゆるレアグルーヴ系のコンピレーションで、当時は知らなかった曲の発見に加えて、収録曲の完成度が高くてリスニング体験がとても豊かでした。でも2000年代を過ぎたあたりから発掘ネタも出尽くしてきて、様々なコンピレーションが重箱の隅を突くようになりどんどんクオリティーも下がっていきました。

水谷:レアグルーヴの視点でいうと欧米の主要な楽曲の発掘は2000年代で枯渇したように思われます。2000年代中盤に差し掛かると収録ネタのターゲットは辺境系にいきました。購買層もどんどんマニアックな人たちになっていき、それはコア層にとっては新鮮でしたが、いま、2024年に振り返ってみても一般的なスタンダードにならなかった曲が多かった気がします。

山崎:一方、同時期にレアグルーヴ系以外でよく聴いていたコンピレーションは、1994年にリリースされた『Café Del Mar』や1996年にリリースされた『Ocean Of Sound』で、前者は当時、イビザ島のカフェをテーマにしていてそこでレギュラーDJをしていたホセ・パディーヤが選曲をしているもの。後者はブライアン・イーノが設立したレーベル、Obscureからもアルバムをリリースするアンビエント/エクスペリメンタル・シーンのパイオニア、 デヴィッド・トゥープによるものなのですが、どちらもジャンルの深掘りというよりは、ジャンルも年代も広い範囲で捉えられていて、テーマにそって演出された選曲が斬新でした。

 それで散々アンビエント系のコンピレーションが出ている今、若いアナログ購入者層に向けるべきなのは、レアな曲を中心にセレクトするのではなく、定番もおさえた上でサブスクのプレイリストでは感じることのできないアナログの体験ができるようなコンピレーションではないか思いまして、また80年代アンビエント発掘系のMUSIC FROM MEMORYや、LITAの『環境音楽』とも違った方向性にしたかったので、『Café Del Mar』や『Ocean Of Sound』を意識し、テーマを決めて様々なカテゴリーから選曲する方向へとシフトしました。テーマは夜の部屋から望む月です。

水谷:どうして月なのでしょうか?

山崎:単純な理由なのですが去年、たまたまストロベリー・ムーン(毎年6月に見られる赤い満月のこと)に遭遇したんですね。海の水平線上に、これまで見たことのないくらい赤くて異様な感じで妖艶な光を放っていました。その時に撮った写真をジャケットにしたいという思いがありまして、実際に使わせていただきました。

水谷:このジャケットは秀逸ですね。なんとも言えない存在感を感じます。それとこの三角の帯、『ORIGAMI』もいい感じになりましたね。

山崎:この帯は水谷さんと一緒に考案させていただきましたが、通常の縦の帯はジャケットのアートワークの大事な部分を隠してしまうこともある。この帯はそんな時にいいですね。

水谷:ただ日本盤の帯って良くできていて、縦にドーンっとカタカナが入っている感じは外国人も好きですし、あの存在感が購買意欲に直結する感じもあります。なので『ORIGAMI』は今後もケースバイケースで使っていきたいなと考えています。

山崎:では曲を追っていきたいと思います。

水谷:1曲目はP-VINEのアーティスト、yanacoですね。最近はマイアミのシンガーソングライター、カミラ・カベロにサンプリングされたり、配信サービスのチャート常連になっている新進気鋭の日本人アーティストです。

山崎:この「Arriving」は最初に聴いたとき、ピアノのフレーズが綺麗で心に染みる感じがアルバムの導入にふさわしいと思い、すぐに1曲目にさせてもらおうと決めました。

水谷:yanacoはデモテープをP-VINEに送ってきてくれたアーティストの一人なのですが、アンビエント作品のデモテープって今、とても多いんですよ。語弊を恐れずに言うとアンビエントっぽい曲って簡単に作れてしまう。そういう事情もあってなのか、たくさんアンビエントのデモが送られてくるのですが、yanacoには他のアーティストとは明らかな違いを感じたんです。その違い何だったのか明確にはわからないのですが、アンビエントって冷たい曲が多い中、yanacoには不思議な温かみを感じたのも理由の一つで、彼が唯一リリースに繋がったアーティストです。

山崎:直感に触れてくるような親しみのある感じはとても良いですね。適度な緊張感を保っているので自然体で聴けます。今回、ジャンル特有の難解さはあえて避けましたのでフィットしました。
続いて2曲目にはフランスの黒人ピアニスト、Chassolの「Wersailles (Planeur)」です。

水谷:ピアノの流れが続きますが、遠い景観をイメージするようなゆったりしたyanacoの曲から疾走感のあるこの曲への繋がりがまるで映画のシーンが変わるようですね。

山崎:実際、この曲は『わたしは最悪。』という2021年のフランス映画で使われていて、主人公の女性が明け方に街を彷徨するシーンにマッチしていました。この映画では他にもArmad JamalやCymandeが使用されていて監督に同世代感を感じました。調べたらそのヨアキム・トリアー監督は1974年生まれでした。

水谷:ピアノがエモくていいですね。情景が浮かびます。Chassolはどういうアーティストなのでしょうか?

山崎:2015年に恵比寿のリキッドルームでモントルー・ジャズ・フェスティバルが開催されてそこでLIVEを初めて観ました。映像を使ったライブをする人なのですが、鳥のさえずりや人の会話の映像に演奏をかぶせていき、ピアノやドラムと映像がどんどんシンクロしいていってそれが少しずつ音楽に変わっていく。今まで観たことがない貴重な体験でした。その後、すっかりChassolのファンになってレコードを買うようになりました。良い曲が多いので今回、候補曲を絞るのが難しかったです。
次の3曲目はBrian Bennett & Alan Hawkshaw の「Alto Glide」です。

水谷:これはUK老舗のKPMというライブラリー音源ですね。やっぱりヨーロッパな感じがします。いつもUSの真っ黒な曲ばっかり聴いていても疲れちゃいますから、たまにはこういう洒落た曲を聴きたくなるので、僕も昔はフランスのEditions Montparnasse 2000とかをよく集めました。この「Alto Glide」は跳ねた感じのビートと浮遊感のあるシンセサイザーが気持ち良いですね。片割れのBrian Bennett の『Voyage』というライブラリー・アルバムを知っていますが、そこに収録の「Solstice」も、 ドープでゆったりとしたシンセ・ファンクでいい曲です。

山崎:KPMのライブラリー音源はイタリア系よりも70年代臭すぎず洗練された曲が多いです。John Cameronの「Half Forgotten Daydreams」とかKeith Mansfield「Morning Broadway」などは有名なレア・グルーヴ・クラシックでもあります。

水谷:今回、100%アンビエントにこだわっていないとは思いますが、これはビートが強いのでアンビエントとは言えない感じですね。

山崎:すでに3曲目でアンビエント色から外れてしまうというのもどうかとは思いましたが、緩急をつけることで曲それぞれが生きてくる感じを前半から作りたかったです。そして次につなげる橋渡し的な役割でもありました。

水谷:で、次がSven WunderのLP未収録の7インチ・オンリーの曲「Harmonica and....」ですね。

山崎:Sven Wunderは近年、人気が急上昇しています。この曲は彼の楽曲の中でも人気の高い曲で、7インチは最近では2万円くらいまで上がっています。また先日も、タイラー・ザ・クリエイターのアパレル・ブランドle FLEURのPV挿入曲としても使われていました。今回のコンピレーションの中ではある意味いちばん華やかな曲ですね。

水谷:しっかりとした音ですよね。こういうビートに豪華なストリングスが入るとDavid Axelrodを思い出しますが、その現代版と言ってもいいかもしれません。

山崎:David Axelrodは当時の最高峰のレコーディング環境とスタジオ・ミュージシャンを使っていますからね。で、あのサウンドをあの時代にやっていた。僕らにとってはもう神のような存在ですが、Sven Wunderもそこに追走していてかなり頑張っていると思います。

水谷:次はテキサスのアンビエント作家、Dittoです。ここで初めて80年代ニューエイジ・サウンド的なシンセサイザーの音色がでてきました。

山崎:なぜテキサスでこういう音楽をやっていたのかが謎な人です。これはビートがしっかり入っているので選曲しました。僕はWally Badarouが昔から好きで、この人はアンビエント的な曲を手がける黒人キーボーディストなのですが、アフリカンなビートにDX-7などの80年代シンセサイザーが特徴で、クラブ・クラシックな曲が多くあります。このDittoの「Pop」はシンセの音色と変拍子のリズムがWally Badarouにも通じる感じがしました。でも本人は白人でイーノやクラスターに影響を受けているらしいです。

水谷:次の曲は日本人ですね。

山崎:新津章夫さんはまさに80年代の日本のニューエイジ音楽家です。最近、ギター中心の一人多重録音で作られたアルバム『I/O(イ・オ)』(1978)がアナログで再発されました。自宅の物置をスタジオに改造して音楽制作をされていたらしいですが、工夫を凝らした作風で評価が高いです。この曲は1981年に発表された曲ですが、ゆっくり弾いたギターの再生スピードを上げてメロディーを奏でているところが特徴的で、この手法はホルガー・シュウカイもペルシアン・ラヴで使っています。

水谷:確かにペルシアン・ラヴに通じる曲ですね。

山崎:このような職人気質なニューエイジ/環境音楽家が80年代の日本にはたくさんいて今、それが世界で再評価されています。この辺の作家はYMOの影響下にある人も少なくないと思います。YMOが海外での評価が高かったことから日本の環境音楽シーンも海外を視野に入れて制作をされていたのではないでしょうか。今、ここにきてそれが実を結んだというのはいいですね。

水谷:次はLemon Quartetの「Hyper for Love」ですね。ここでアンビエント系からジャズに戻りました。どういうグループなのですか?

山崎:オハイオの現行ジャズ・グループですね。アルバムを2020年代に2枚リリースしています。全体的にECMにも通じるような作風で、最近のアンビエント系のファンから人気が高いです。今、ECMの中古レコードって以前に比べて高くなっているんですよ。

水谷:そうなんですね。昔は1000円以内で買えるイメージでしたが。

山崎:ECMはアンビエントとは呼ばれないですが、設立当初(アンビエントという定義ができる前)から「The Most Beautiful Sound Next To Silence (沈黙の次に美しい音)」というサウンド・コンセプトを示してきたレーベルなので、今また評価が上がっているのはアンビエント人気の延長にあると思います。

水谷:これを聴いて思うのはやはりスピリチュアル・ジャズとは違ってピアノが軽いですよね。スピリチュアル・ジャズのピアノは美しさと同時に重みがある。これはジャズなのにアンビエントとしても聴けるのはこの軽さが理由だと思います。このサウンドは今の時代を表しているように感じますね。

山崎:今回のコンピレーションで示したかったのはアンビエントをテーマにしながらもアンビエントではないジャンルの横断なので、この曲の良い意味で軽めな表現はコンセプトに合いました。

水谷:続いてはGigi Masin の「Clouds」です。よくできた曲ですね。古くからサンプリング・ネタとしても多くの人から使われています。

山崎:この曲は2016年に我が社で12インチをカットしていますがその時の世の中の反響はどうだったのですか?

水谷:日本ではちょっとしたGigi Masinブームが起こっていましたね。レコードも売れましたし、舐達麻の「FLOATIN’」でもその後サンプリングもされました。

山崎:この曲は美しいピアノが印象的ですが、バックのシンセサイザーのループが秀逸ですね。

水谷:このループ感がサンプリングネタになりやすい所以だと思いますが、アンビエントでも僕らのようなジャンルの人が聴ける重要な部分はこのループ感という気がします。ここにグルーヴを見出すことができる。

山崎:おっしゃる通りですね。ビートが無くても感じられるグルーヴの一つに、同じフレーズの反復があると思います。今回の選曲はこのグルーヴ感を重視しています。これがレアグルーヴからの回答なのかなと。

水谷:次はJohanna Billingの「This Is How We Walk On The Moon」ですね。アーサー・ラッセルのカバー曲です。アーサー・ラッセルって僕が最初にアンビエントを意識した人ですね。アンビエントからディスコ/ガラージ系、ニュー・ウェーブなど多方面で活動されていましたが、いろいろな層から高い評価をされるクロスオーバーな人の象徴のようなイメージです。

山崎:90年代はアーサー・ラッセルからのサンプリングって、ハウスでは結構ありますが、調べるとヒップホップでもカニエ・ウエストが2016年にサンプリングしているのである意味レアグルーヴな人だと思います。

水谷:このJohanna Billingという方はどのようなアーティストなのでしょうか?

山崎:スウェーデンで活動する女性のメディア・アーティストで、映像で多くの作品を発表しています。この「This Is How We Walk On The Moon」も彼女が2007年に発表した同名のショート・ムーヴィー(邦題『私たちの月面の歩き方』)のサウンドトラックで、当時は恵比寿映像際というアート・フェスでも出展されていたみたいですね。この作品は観ていないですが、彼女は主に即興とドキュメンタリーを掛け合わせたような作風らしいです。

水谷:チェロの感じはアーサー・ラッセルっぽいですが、パーカッシヴなトラックとしばらく歌が出てこないアレンジがいいですね。

山崎:原曲がいい曲っていうのもあるかもしれませんが、アート系の作家による音楽にしてはすごく良くできているアレンジだと思います。あとこの曲は歌詞がいいんですよ。翻訳を見たらとてもポジティブな内容で感銘を受けました。それもあって本作のタイトルはここから引用させていただきました。

水谷:続いてはWeldon Irvineの「Morning Sunrise」です。今、めちゃくちゃ人気のある曲ですが、僕たちがこんなことを言ってはいけないですが、「え?なんで?」って感じもありますよね。

山崎:1998年リリースの未発表アルバムに収録されていました。このアルバムは僕もリアルタイムで買いましたが、どちらかというと失敗したなと思った買い物でしたね。当時の周囲の評判もすごく悪かった。それが後にこの曲が跳ねるとは思いもしなかったです。

水谷:これもサンプリングされて人気が上がった曲ですね。Weldon Irvineの歌モノの代表曲といえば僕らの時代は「I Love You」っていう印象が強いのですが、今はどちらかといえばこの「Morning Sunrise」の方が代表的になっている気がします。

山崎:コンピレーションの終盤に夜明けをテーマにした曲を持って来れたのはちょうど良かったですし、他にソウルフルな楽曲が無かったのでうまくバランスが取れました。またあらためて聴くとやっぱりいい曲だなとも思いました。

水谷:そしてLPの最後はセキトオ・シゲオさんの「The Word II」。これもマック・デマルコによる引用で今や大人気の楽曲ですね。

山崎:そうですね。さすがに有名曲すぎるとも思いましたが、僕たちの界隈を外れたところでは意外と知らない人も多いので収録させていただきました。このオリジナルのレコードはエレクトーンの教則的なシリーズですね。日本人でもなかなかディグしないであろう曲をカナダ人のマック・デマルコが引用するなんて最初はびっくりしましたが、ネットの力はすごいというか、YouTubeの出現によって日本の古い音楽が世界に広まった代表的な事例の一つではないでしょうか。

水谷:LP収録曲をひと通り説明いたしましたがCDには井上鑑さんの「湖のピアノ」が追加収録されています。

山崎:この曲が収録されていたアルバム、『カルサヴィーナ』はもともとカセット・ブックのシリーズでリリースされています。井上鑑さんは多作すぎてすべてを聴いているわけではないですが、アンビエントを手掛けている作品は珍しいと思います。

水谷:日本で高い人気を誇る作編曲家だけあって音が鋭く響きわたりますね。

山崎:背景に鳴っているフィールド・レコーディングのような音とピアノにかかっているエコーやリヴァーブも効果的で美しいです。

水谷:吉村弘さんを筆頭に今、流行っているアンビエントって先ほどのDittoのようなサウンドなのかなって思うのですが、井上鑑さんのこの曲はそれとは全く別の音楽に感じます。アンビエントの中でもカテゴリーの枝分かれってあるのですか?

山崎:Dittoはシンセサイザー・ミュージックだと思います。井上鑑さんのこの曲は現代音楽よりでしょうか。この辺をひっくるめてニューエイジ・ミュージックと言うのだと思いますが、ニューエイジって瞑想のための音楽や音楽療法に使われるものだったりする宗教的イメージが強いので、先にも書きましたが昔は一般的には人気のある音楽ではなかったです。ただ現代からあらためて振り返ると、80年代のこの辺のサウンドって90年代以降に生まれたIDM系やダウンテンポに近いサウンドをそれよりも先に具体化していたように思います。ここに因果関係があるのかどうかは全くわからないですが、再評価されているのはそういうことではないかと勝手に思っています。

水谷:あとは80年代ディグの延長ですよね。このムーブメントは80年代ディグの最終地点かもしれません。

山崎:たしかに巷ではそろそろ90年代ディグに入ってきてますからね。

水谷:さて、今回、あらためてこの『How We Walk On The Moon』を通して聴きましたが、バランスよく上手くまとまっているんじゃないでしょうか。

山崎:そう言って頂けて安心しました。最後に伝えたいのですが、今回のLPはとても音がいいです。プレスは我が社の『VINYL GOES AROUND PRESSING』(VGAP)なので、非常に手前味噌で恐縮ですが、選曲を考えている間ずっとデジタル音源でこれらの曲を聴いていたんですよ。それでテスト・プレスが上がってきて初めてレコードに針を落とした時に、久しぶりにアナログというものの素晴らしさを感じました。あの感動は忘れられないですね。暖かみがあって奥行きがあって、解像度はデジタルの方が良いはずなのですが、すぐそこで楽器を鳴らしているようなリアルさも感じまして。で、やっぱりレコードって良い音なんだなぁとあらためて思いました。

水谷:うちの宣伝になってしまうようで申し訳ないですが、実際にVGAPのプレスの音は外からの評判もとてもいいんですよ。非常にありがたいお話ですが。

山崎:一般受注も開始しましたし、国内のレコード生産が今まで以上に活発になるといいですね。

VINYL GOES AROUND Presents
V.A. / ハウ・ウィー・ウォーク・オン・ザ・ムーン
V.A. – How We Walk on the Moon

CD:発売中
LP : PLP-7443 / Release: 2024年8月7日

LP収録曲
SIDE A
1. yanaco - Arriving
2. Chassol - Wersailles (Planeur)
3. Brian Bennett & Alan Hawkshaw - Alto Glide
4. Sven Wunder - Harmonica and…
5. Ditto – Pop
6. 新津章夫 – リヨン

SIDE B
1. Lemon Quartet - Hyper for Love
2. Gigi Masin – Clouds
3. Johanna Billing - This Is How We Walk On The Moon (It's Clearing Up Again, Radio Edit)
4. Weldon Irvine - Morning Sunrise
5. Shigeo Sekito – The Word Ⅱ

https://vgap.jp

interview with xiexie - ele-king

 オルタナティヴ・ロック・バンド、xiexie(シエシエ)が1stアルバム『wellwell』をリリースする。
 2020年1月に東京で結成。2021年2月に1stデジタルEP「XIEXIE」でデビュー。以降、EPとシングルを続々とリリースし、ライヴ・シーンで存在感を示してきた。活動期間は4年を超えるが、今回が初めてのフル・アルバムとなる。
 USインディ、ドリーム・ポップ、サイケといったフレーズで説明されることの多いこのバンドは、日本のみならず、アジア諸外国で評価が高まっている特異な存在だ。
 なかでも台湾でのあるエピソードはちょっと、興奮なしには語れない。まるでバンドをはじめたばかりの少年少女が思い描く夢物語。映画や漫画のような光景を実現してしまったのだ。

 2023年秋、台湾の音楽フェス「浪人祭」に出演することになったxiexie。この時点でのxiexieは現地のオーディエンスにとってまったくの無名と言っていい「外国のバンド」だ。
 開演時刻を迎えても会場はガラガラ。しかし演奏を続けるうち、目を輝かせたオーディエンスが続々と引き寄せられてくる。
 ステージ間の移動中、たまたま耳に入ったxiexieのサウンドに心を掴まれた人びとが集まってきたのだ。彼らが惹かれたのはネーム・ヴァリューでも物珍しさでも奇抜なパフォーマンスでもない。純粋にその音楽をもっと聴きたいという思いが足を運ばせた。その夜は結局、超満員のオーディエンスからの大歓声を浴びながら終演を迎え、翌々日の同地でのワンマンはソールドアウト。
 「音楽が大衆に見つかるときはこうあってほしい」と界隈の人間が願う理想そのもののような体験を得て帰国した。

 台湾の落日飛車/Sunset Rollercoaster(サンセットローラーコースター)をはじめとして、韓国やタイなどのアジアの国と地域には、USインディやその周辺ジャンルの影響を感じさせるバンドが数多く存在し、またそうしたバンドが支持される土壌が豊かにある。xiexieの台湾での反響はそうした背景からくるものといえるだろう。ただ、音楽性の近い他のバンド同様、xiexieにはxiexie独自の持ち味、特異性がある。今回のインタヴューでは、メンバーたちとの対話を通してその特異性の一端の言語化を試みる。
 その過程で、バンドの成り立ち、メンバーそれぞれの音楽的ルーツ、最新アルバムの聴きどころ、今後の展望など、包括的に話を聞いた。

作ってる側としてはドリーム・ポップと思ってないんですよ。そう思われるのが不服ってわけじゃないんですけど、なんでドリーミーとか言われるんだろう? って不思議ではあって。(幸田)

バンド結成の経緯はどういったものだったんでしょうか。

飛田興一:僕がこのバンドの発起人です。ビッグ・シーフリアル・エステートが好きで、それくらいの時期のUSインディ的なサウンドのバンドをやりたいなっていうコンセプトでメンバーを集めました。

幸田大和:僕はもともと飛田さんと別のバンドを組んでたんですけど、その頃はいまとぜんぜん違う音楽性でした。

「USインディ」以外だと、「ドリーム・ポップ」もxiexieの音楽を表現するうえでよく使われるフレーズです。

幸田:僕がバンドのメイン・コンポーザーなんですけど、作ってる側としてはドリーム・ポップと思ってないんですよ。そう思われるのが不服ってわけじゃないんですけど、なんでドリーミーとか言われるんだろう? って不思議ではあって。

皆さんの自認としてはオルタナ(オルタナティヴ・ロック)?

Meari:そうですね。

飛田:こういう音楽性ではあるんですけど、似たような音楽が好きな人たちのなかでちょっと浮いてるかもと思うこともあって。僕個人としてはですけどね、こう、アングラなコミュニティに居心地のよさを感じるわけではないんですよね。割と陽気な方で。

開輝之:陽気(笑)。

飛田:だから売れなくていいとはまったく思ってなくて、xiexieとしても「どうすればこういう音楽をオーヴァーグラウンドに持っていけるか?」って意識は共有してます。
 そもそも、USインディ的だと言われるような音楽性ってポップでキャッチーだと思ってるんですよね。

Meari:本当にね。

開:それはあるよね。

抽象的な話になってしまうんですが、かつてのUSインディ系のバンドと、近年のそういった傾向のバンドとを比較して、思うことがあります。ダンス・ミュージック的というか、ファンクネスが感じられることが増えたように思うんです。

Meari:あー、そうかもしれない。

もともと私は踊りたいほうというか、踊るのが好きですね。(Meari)

チャートにおけるいわゆるブラック・ミュージックの存在感が一段強まって以降の世代というのも関係するのか。断定的なことは何も言えないのですが、その点でいうとxiexieはなかでもかなり “踊れる” タイプのUSインディ・サウンドだなと。

Meari:実際、私がギター置いてタンバリン振って踊る曲ありますよ。今回のアルバムに入ってる “City” って曲です。もともと私は踊りたいほうというか、踊るのが好きですね。

開:言われてみると確かにって思いましたね。意識してたわけではないけど。

飛田:僕もブラック・ミュージック寄りだけど、幸田くんなんてもともとモロにそっち側の人じゃない?

幸田:カッティングしかしてなかった時期あります。カッティングで右に出るものはいねえぜと。

ナイル(・ロジャース)よりも。

幸田:ああもう全然。俺(のほうが上)ですね(笑)。

飛田:個人的には、ブラック・ミュージック寄りな音楽で自分にできることは前のバンドでやりきった感じがあって。そういう要素を持ちつつ、それだけじゃないことをやりたくてはじめたのがこのバンド。
 それで言うと、xiexieをはじめるときに開くんを誘おうと思ったのは、ブラック・ミュージック寄りな音楽と縦のノリの音楽、どっちをやっても説得力があるんですよね。
 彼を尊敬しているところなんですけど、どっちをやってもグルーヴのクオリティが変わらない人ってなかなかいないと僕は感じてるので、彼とリズム隊をやりたいなと思ったんです。

開:そうだったんだ。いま初めて聞きました(笑)。

いろんな要素を内包しているのもあり、皆さんとしては「オルタナ」くらい抽象度の高い括りが居心地いい、というところなんでしょうか。

幸田:オルタナティヴ・ダンス・ロック・ポップ・バンドでいいんじゃない?

Meari:ダンスとポップ入れたくないなあ……。

幸田:オルタナティヴ・ロック・バンドでいきます。

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ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを知って、いろいろ聴き漁るようになりました。ジャズとか〈モータウン〉とか。(開)

ここからは最新アルバム『wellwell』について1曲ずつ伺っていきます。まずはM1 “please me” から。

幸田:このリフが聴こえてきたら「あの曲だ!」ってわっと反応が来るような曲が欲しかったのと、「アルバムの1曲目」としてどんな曲がいいかというのを考えて作った曲です。
 そもそも、これまでxiexieにはリフからはじまる曲がなかったんですよね。

飛田:うちらのなかではかなりエッジィな曲だよね。

幸田:今回のアルバムはかなりライヴを意識して作ってるんですけど、なかでもアンセム的なものになるといいなと思って書いたものです。

飛田:xiexieでは僕がミックスをやってるのでちょっとエンジニア的な話もしちゃうんですけど、ドラム・ソロのところにMeariの声が重なって入ってて。

Meari:うにゃうにゃうにゃ~って。

飛田:そこが聴きどころです。

あの声があることで浮遊感が一層増した感があります。

Meari:2曲目は “UMA”。シングルですね。

開:僕はこれけっこうベースライン気に入ってる。

飛田:何パターンか弾いたなかで、これがいちばん少年たちが弾きたくなるような音だったんですよね。

開:レコーディングのときにそう言われて確かにと思って。それで好きになりました(笑)。

開さんもルーツとしてはファンク寄りなんでしょうか?

開:いや、そういうわけではないですね。最初の頃聴いていたのはギター・ポップ、ネオアコ辺り。初期のカーディガンズ、シンバルズ、アドバンテージ・ルーシーとか。上京してからレッド・ツェッペリンとかサンタナとか、60~70年代ハード・ロックを聴くようになったんですけど。
 そのあとヴェルヴェット・アンダーグラウンドを知って、いろいろ聴き漁るようになりました。ジャズとか〈モータウン〉とか。

いわゆるブラック・ミュージックを聴くようになるまでにいろいろと下地があったんですね。

開:そうですね。そこからはもう雑食です。

飛田:僕が彼と初めて会ったときはボサノヴァのバンドやってました。

Meari:飛田さんだってもともとはV系でしょ。

そうなんですね!

飛田:少年の頃、BUCK-TICKやSOFT BALLETから入ってヴィジュアル系を聴いてましたね。そこからテクノに行って、ジャズを演奏していた時期もあります。でも、いちばんコアになってるのはアシッド・ジャズ、なかでもイギリスの人たちが解釈したものが肌に合うんです。
マザー・アース、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、コーデュロイ。インコグニートやジャミロクワイももちろん好きです。

『wellwell』でそういったファンクネスが感じられる曲というとどの辺りでしょうか。

幸田:今回はアルバム全体かなりファンク要素が強いです。なかでも “Nile” はかなりファンクっぽい曲ですね。僕が歌わされた曲です。

Meari:歌わされたって(笑)。

幸田:ただxiexieはがっつりのファンクをやるバンドではないので、バランスを調整するのに苦労しました。

開:ベースもかなりファンキー。今回は1枚目のEPでやったことを土台にかなり幅広くやれた。

幸田:1枚目の頃にも僕の手元にはファンキーな曲があったんですけど、アルバムに入れなかったんです。いまならいいかと思って。そしたら歌わされた。

飛田:幸田くんの活躍する曲でいうと、今作でわたくしがいちばん好きな曲が “calm sea”。彼が初めてデモを弾いたときに、改めて「いや~いい曲書くな」と。

幸田:デモ時点ではxiexieにしてはポップで、作り方難しいなと思ってたんですけど、飛田さんが作ったトラックがよかったんでいい感じにまとめられたなと。もともとあったBメロを抜いたのもよかった。

洋楽的な構成になってポップさが抑えられたと。幸田さんのルーツとしてはやはりファンクネスを感じるようなジャンル?

幸田:ええと、僕はもともと父親が銀座でジャズ・バーをやってて。

Meari:そうなんだ。

メンバーも知らなかったんだ……。

Meari:案外あんまり家族のこととか話さないかも。

幸田:子どもの頃から聴いてたんで、やっぱりジャズに馴染みはあります。父親はその後、田町でラーメン屋さんをはじめるんですけど。

Meari:そうなんだ(笑)!?

幸田:そうなのそうなの。で、ラーメン屋さんでもジャズかけてましたね。

いい店……。

幸田:その影響で僕は久保田利伸とかいいなあと思うような子どもで。ギターは中学を卒業する頃にはじめたんですけど、エレキじゃなくアコースティック・ギターが好きだったんです。
 xiexieの前に飛田さんとバンドやってた頃もアコギにしか興味なかったです。いろいろ聴くようになったのは本格的に曲を作るようになってからですね。曲を作るうえで必要を感じて新しいものを聴いて取り入れるような感じで。女性ヴォーカルの音楽を意識的に聴くようになったのもxiexieをはじめてから。

飛田:今回のアルバムでアコギ期の幸田くんを感じられるのが “my time” です。僕は最初にデモを聴いたとき「幸田ってこういう奴だったなあ」ってなんかうれしくなっちゃったんですよね。

幸田:自分としてもこれはやりたいことをやったというか、「イメージ通りやれた」って感じです。

飛田:アコギとガットギターと、ピアノも幸田くんが弾いてるんですよ。

Meari:ヴォーカルはいままででいちばん低くて、ギリギリ出ないくらいの音域。キーを上げるか悩んだんですけど、いろいろ試してみてこれがいちばんいいキーだなって思ったので挑戦してみました。こういうこと、1stのEPの頃にはできなかったなって思います。声の変化もあるし、マインド的にも。

いちばんコアになってるのはアシッド・ジャズ、なかでもイギリスの人たちが解釈したものが肌に合うんです。マザー・アース、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、コーデュロイ。インコグニートやジャミロクワイももちろん好きです。(飛田)

Meariさんの持ち味が全面に出た曲というとやはり踊りながら歌うという “City” でしょうか。

Meari:“City”はバンドの初期の頃からある曲で、ライヴで必ずやってるって言ってもいいくらい。

開:お客さんからの人気も高いよね。

Meari:私はダンスありきの音楽が好きで。音楽を聴きはじめたのも、最初はミュージカル・ソングだったんです。子どもの頃からショー的なものに触れてた影響は大きいです。マドンナとか、歌いながらダンスする人に夢中になってました。

ショー的なものが身近だったのはどういった背景で?

Meari:母がシンガーなんです。ミュージカルに出たり、テクノ・ポップを歌ったりしていた人で。
 あと父親がドラマーで、バンド・サウンドも子どもの頃から浴びてました。小さいうちからライヴ・ハウスによく行ってて。(ローリング・)ストーンズ、ビートルズ、ラモーンズ、ブロンディなんかが馴染み深いです。

なるほど、どちらの影響も現在に結実していますね。ところで “City” ですが、初期からあるけれど音源化は今回初めてなんですね。

飛田:お客さんからはずっと音源化してくれって声があったんですけど、3人はしたくなかったんだよね。

開:したくないというか、ライヴでやってこそのグルーヴだから。うーんって。

Meari:ライヴの場の熱量でやっている曲というか、タンバリン振って踊りながら歌ってるムードを音源に落とし込むってなったときに、どうしてもイメージが湧かなかった。

それが今回音源化に至ったのはどういった経緯で?

飛田:またエンジニア方面の話になるんですけど、僕がずっと欲しかったWARM AUDIOっていうメーカーのプリアンプをたまたま開くんが持ってるってことを知って、「それがあれば “City” 録れるんじゃないか?」となって、やってみたらメンバーも受け入れてくれたんです。

開:これなら出せるなって。

Meari:ね。

現状打破のきっかけが機材というのが非常にリアルな制作の裏側ですね。ちなみに、他にも今回のアルバムに昔からある曲が収録されていたり?

幸田:昔からあるのとはちょっと違いますけど、“alien II” って曲は1stに収録されてる “alien” って曲の続編ですね。

連作なんですね。

飛田:THE 虎舞竜の「ロード」みたいな感じでね。

幸田:alienシリーズではほとんど同じリフをヴァージョン違いみたいな感じで使っていくつもりで、歌詞にはストーリーを持たせてて。全8部作を考えてます。今後バンドの公式ファンクラブを発足するつもりなんですけど、会員限定でalien 3.5とか、オフィシャルにリリースされてる曲の合間のスピンオフ的な曲も聴けるようにしていく予定です。

飛田:我々にとってかなり大事な曲です。決してシングルにするような曲ではないんですけどね。

幸田:これがあるから心がチューニングできるなっていう曲ですね。いろいろとこれまでにない作風にチャレンジしても、alienシリーズを作るとxiexieに戻ってこられるというか。

開:元来こういう感じのサウンドをやりたかったんだよなっていうのが再確認できるんだよね。

うれしかったのが、本当に音楽だけで人が集まってくれたんですよね。ネーム・ヴァリューはほぼゼロの状態だし、人目を引くような奇抜な見た目ってわけでもないですし、本当に純粋に音楽だけ。それが大きかったと思います。(飛田)

ここまでお話を伺ってきて改めて、USインディの系譜にある同時代のバンドのなかでも特に強いファンクネスやダンスの要素がxiexie独自の味になっているのかなという印象を受けました。
 また、ドリーム・ポップやシューゲイズなどのジャンルを自覚的に踏襲しようとしているわけではないというスタンスも、作るもののおもしろさに繋がっているように思います。

飛田:そんな気がします。でも振り返ると、1st EPの頃はもっとこう、違ったよね。

Meari:そうだね。

飛田:1st EPの頃は「オルタナ・バンドってこうだ!」っていうのにこだわってたんですよ。よりオルタナらしくしようって思って作ってた。オルタナのマナーに則ってというか。
 もっとメロディアスにしたい気もするけど、いやここは最初から最後まで暗くいこう、なんなら単調すぎるくらいでいい、なんて。「これしかできないんだろうなこいつら」と思われるようなもののほうがいいだろうと。

ある種こう、ナメられないためのカマしみたいなところがあったんですね。そういう頑なさが今作では和らいだ?

飛田:そうですねえ。ファンクっぽい曲が増えました。幸田くんがヴォーカルをとるっていうのもいまだからできたよね。

開:今作はベースもかなりファンキー。1枚目ではこういうことできなかったなというのは僕も思います。

Meari:今回なんでやろうって思ったんだろうね?

自己分析してみるとどんな要因が考えられるでしょうか?

飛田:でもやっぱり、台湾で音楽を評価されたことなのかなと思います。それで憑き物が落ちたというか。

アジアのバンドを追っている人にとっては有名人ですが、台湾には落日飛車/Sunset Rollercoaster(サンセットローラーコースター)がいて、他にも打倒三明治(だとうサンドイッチ)など、xiexieと親和性の高いバンドが支持を得ていますよね。

飛田:そうですね。我々自身、もともとそういったシーン事情を知っていたわけではないんですけど。xiexieの活動を続けていくなかで、似た感じのバンドがけっこういるってわかって、それから聴くようになりましたね。

韓国にもHYUKOH(ヒョゴ)やSE SO NEON(セソニョン)がいて、アジア諸外国にはインディ系の音楽の土壌が豊かな場所が少なくないといえます。

飛田:そういえば台湾に行ったとき、現地でお客さんが評価してくれたポイントがこう、アカデミックだったんですよね。「あなたのゴーストノートが最高!」とか、高校生くらいの子に言ってもらったりして。

評価を得やすい場所で順当に評価されたというか。自分たちの作るものが大勢の人に響くのを目の当たりにしたのが今、皆さんにとてもいい変化をもたらしているんですね。

飛田:幸田くんもね、台湾のギタリストたちがペダルボードを覗きに来たりして。

幸田:ベリンガー(プロがあまり使用しない安価なブランド)とか、知り合いのおじさんが自主的に作ってるやつとか使ってるんで、参考にはならなかったと思うんですけどね。

飛田:うれしかったのが、本当に音楽だけで人が集まってくれたんですよね。ネーム・ヴァリューはほぼゼロの状態だし、人目を引くような奇抜な見た目ってわけでもないですし、本当に純粋に音楽だけ。それが大きかったと思います。
 それを経て、いまはもっとリアルに自分たちがやりたいことをやろうってモードになってますね。

[xiexieツアー情報]

xiexie wellwell Tour Tokyo
2024年8月2日(金)
東京・青山・月見ル君想フ
Guest Act : Living Rita
open:18:00 / start:18:30
料金:adv. ¥3,850+1D
Ticket:https://eplus.jp/sf/detail/4105580001-P0030001P021001?P1=1221

xiexie wellwell Tour Kyoto
2024 8月10日(土)
京都・UrBANGUILD(アバンギルド)
Guest Act : Summer Whales
open:17:30 / start:18:00
チケット料金:adv. ¥3,850+1D
Ticket:https://eplus.jp/sf/detail/4106330001?P6=001&P1=0402&P59=1

xiexie wellwell Tour Nagoya
2024 8月12日(月・祝)
名古屋・KDハポン
open:17:30 / start:18:00
チケット料金:adv ¥3,850+1D
Ticket:https://t.livepocket.jp/e/u5wp_

Brian Eno - ele-king

 観るたびに内容が変わる映画、二度とおなじ上映を体験することができない映画──ゲイリー・ハストウィット監督によるドキュメンタリー映画『ENO』にはブライアン・イーノのジェネレイティヴ思想が貫かれている。50年におよぶキャリアをたどる同作のサウンドトラックには、74年のセカンド『Taking Tiger Mountain』収録曲から22年の最新オリジナル・アルバム『FOREVERANDEVERNOMORE』収録曲まで、さまざまな時代の楽曲が収録されているのだけれど、注目しておきたい曲のひとつに “Stiff” がある。91年にリリース予定だったもののお蔵入りとなってしまった幻のアルバム『My Squelchy Life』(15年に公式発売)に収められていた、なんともポップで軽快な1曲だ。昨日、そのMVが初めて公開されている。ここに含まれるイーノの映像は90年代初頭に撮影されたもので、今回の映画制作の過程で発掘されたものだという。
 なお同サウンドトラックには弟ロジャーと演奏した “By This River” のライヴ音源など、未発表曲も収録されている。チェックしておこう。

BRIAN ENO
ブライアン・イーノのジェネレイティブ・ドキュメンタリー映画『ENO』
公式サウンドトラックから、未公開のビンテージ映像が使用された
新作ミュージック・ビデオ「Stiff」が本日公開。
公式サウンドトラックのレコード/CDも発売中!

本日、今まで世に出たことのないイーノの映像を盛り込んだ新しいミュージック・ビデオ「Stiff」が公開された。

Brian Eno - Stiff
https://youtu.be/z-dnmHpUdFw

「Stiff」はヴィンテージ版イーノだ。不遜な歌詞、ユーモア、そしてユニークなサウンドを持つこの曲は、元々は非常に捉えどころのないアルバム『My Squelchy Life』に収録されていた。1991年にリリースされる予定だったこのアルバムは、スケジュールの遅れなどでリリースされず、2015年にやっと日の目を見ることになる。なおこのビデオのディレクターは日本人ジュン・ハナモト・ハーンが手がけている。

『My Squelchy Life』に収録された音源の一部は最終的に『Nerve Net』に発展したが、何故か「Stiff」は収録されないことになった。ビデオに収録されているイーノの映像は、90年代初頭に撮影されたもので、ゲイリー・ハストウィットが『ENO』の映画制作でようやく再発見したものだ。この曲は映画と公式サウンドトラック・アルバムの両方に収録されている。

OSTには新曲「All I Remember」(LISTEN / WATCH) が収録されている。ドキュメンタリーのエンディング曲でもあるこの曲は、このために特別に書き下ろされたもので、イーノが初期に影響を受けたものや経験について言及した、瞑想的で内省的なヴォーカル・トラックである。この他、アルバムには2曲の未発表曲、「Lighthouse #429」(LISTEN / WATCH)と「By This River(Live at The Acropolis) (LISTEN / WATCH)」も収録されている。前者は、イーノがSonos Radioで公開しているラジオ番組「The Lighthouse」から抜粋。「By This River (Live at The Acropolis)」は、2021年8月にアテネのアクロポリスでブライアンと弟のロジャー・イーノによって演奏されたファンに人気の曲である。

どの時代においても明確なビジョンを提示してきたミュージシャン、アーティスト、そして活動家であるイーノについての決定的なドキュメンタリー『ENO』は、二度と同じ上映にならない、画期的なジェネレイティブ映画である。米英の各地にて先週金曜日から公開されていて、詳細のスケジュールはこちらで確認できる:https://www.hustwit.com/events

この画期的な映画と連携するOSTは、イーノの豊かなキャリアに触れる音の旅に連れ出してくれる。フィジカル・アルバムに収録されている17曲は、『Taking Tiger Mountain』のような初期のソロ作品から、デヴィッド・バーン、ジョン・ケイル、クラスター、そして最近ではフレッド・アゲイン.. とのコラボレーションから最新アルバム『FOREVERANDEVERNOMORE』までを収録。

過去50年にわたるイーノの作品を完全に網羅するには、アルバム長尺のアンビエント作品や様々なコラボレーション、〈All Saints〉、〈Warp〉、〈Opal〉の時代も含め、非常に大規模なボックス・セットが必要となる。このサウンドトラックは、そんなアーティストの並外れたキャリアを、タイムリーに思い出させてくれる役割を担っている。

2024年ゲイリー・ハストウィット監督によるジェネレイティブ映画『ENO』のオフィシャル・サウンドトラックは、Universal Music RecordingsからレコードとCDでリリース中。2LPのリサイクル・ブラック盤と2LPのピンク&ホワイト盤(d2cのみ)、そして73分のCDには、エレガントなポートレートのイラスト入り16ページ・ブックレットが付いている。

アルバムのDolby Atmos特別編集版はApple Music、Amazon Music でストリーミング中。
https://brianeno.lnk.to/EnoOSTAtmos

彼の作品がいかに機知に富み、色彩豊かであるかを物語っている ──THE TIMES ****

イーノによる50年のエッセンスを1枚のCD/2枚組LPに収めようという魅力的な試み ──RECORD COLLECTOR - *****

イーノは過去半世紀の音楽界で最も重要な人物の一人であり、彼の影響は今後何世紀にもわたって続くだろう。このアルバムは、長年にわたって作ってきた彼の素晴らしい音楽と、彼がなぜこれほどまでに重要な存在なのかを少しだけ教えてくれる ──SPILL MAGAZINE - 4.5 stars

ゲイリー・ハストウィットの同名ドキュメンタリーのサウンドトラックは、ブライアン・イーノの多才な才能を思い出させてくれる......長く多様なキャリアを一枚にまとめるのは当然不可能ではあるが、イーノの音楽的戦略を知る上で必要不可欠となる作品 ──Electronic Sound

Tracklist:
Brian Eno - All I Remember *Previously Unreleased*
Brian Eno with Daniel Lanois and Roger Eno - The Secret Place
Brian Eno & Fred Again - Cmon
Brian Eno & Cluster - Ho Renomo
Brian Eno - Sky Saw
Brian Eno & John Cale - Spinning Away
Brian Eno & Tom Rogerson - Motion In Field
Brian Eno - There Were Bells
Brian Eno - Third Uncle
Brian Eno & David Byrne - Everything That Happens
Brian Eno - Stiff
Brian Eno with Leo Abrahams and Jon Hopkins - Emerald & Lime
Brian Eno - Hardly Me
Brian Eno & David Byrne - Regiment
Brian Eno - Fractal Zoom
Brian Eno - Lighthouse #429 *Previously Unreleased*
Brian Eno & Roger Eno - By This River (Live At The Acropolis) *Previously Unreleased*

https://www.universal-music.co.jp/brian-eno/

Overmono - ele-king

 10月に来日公演が決定しているオーヴァーモノ。昨日、新曲 “Gem Lingo (ovr now)” がリリースされています。彼らが2月にフレッド・アゲイン‥&リル・ヨッティとともにNYのラジオ「The Lot Radio」に出演した際に初公開されていた曲で、相変わらずカッコいいです。これを聴きながら3か月後を楽しみに待っておきましょう。

OVERMONO
時代の寵児、オーヴァーモノ、待望の単独公演は10月!
来日への期待高まる中、新曲「Gem Lingo (ovr now)」を公開!

UKベースやブレイクビーツ、テクノの最前線に立つテセラことエド・ラッセルとトラスことトム・ラッセルの兄弟による時代の寵児、オーヴァーモノ。昨年待望のデビューアルバム『Good Lies』を〈XL Recordings〉よりリリースし、フジロックフェスティバル '23のレッドマーキー・ステージでのライブセットでも会場を最高潮に沸かせ、東京と大阪にて単独公演が決定したこのデュオ。今、最も勢いに乗っているアーティストと言っても過言ではない彼らが、〈Paul Institute〉をジェイ・ポールと創設したラスヴェン(Ruthven)をフィーチャーした新曲「Gem Lingo (ovr now) feat. Ruthven」をリリースした。

Overmono - Gem Lingo (ovr now) feat. Ruthven
配信リンク >>> https://overmono.x-l.co/gemlingo

フレッド・アゲイン...とリル・ヨッティとのコラボ・シングル「stayinit」のリリースを記念したオーヴァーモノの@TheLotRadioのセット@TheLotRadio setで初めてプレイされて以来、このニューシングル「Gem Lingo (ovr now) feat. Ruthven」はファンを虜にした。YouTubeや SoundCloudにアップされたこの曲の再生回数は30万回を超えた。オーヴァーモノはこの夏をアクティブに活動を続けている。先月のパリ・ファッション・ウィークでは、人気デザイナーのマシュー・ウィリアムズとともに、1017 ALYX 9SMのローンチをキュレーションし、昨年のGivenchyの秋冬ショー2023 Givenchy Fall/Winter show以来2度目のコラボレーションを果たした。

彼らは大阪、東京の他にも、ブルックリン、トロント、ロンドンで最大のヘッドライン公演を行う「2024 Pure Devotion World Tour」の一環として、Pure Devotion BristolとマンチェスターのWarehouse Projectという2つのオール・デイ・イベントを発表し、即完売させた。その一方で、世界中のトップ・フェスティバルでのパフォーマンスも続けている。大絶賛を浴びたデビュー・アルバム『Good Lies』から1年、オーヴァーモノは期待を打ち砕き続け、エレクトロニック・ミュージックの景観を再構築し続け、「UKの次なる大物ダンス・デュオ」という地位を確固たるものにしている。

【OVERMONO Japan Tour 2024】

2024.10.16 (WED)
梅田 CLUB QUATTRO
OPEN : 18:00 / START : 19:00
お問い合わせ:SMASH WEST (TEL:06-6535-5569)

2024.10.18 (FRI)
渋谷 Spotify O-EAST
OPEN : 18:00 / START : 19:00
お問い合わせ:SMASH (TEL:03-3444-6751)

【TICKETS】
前売 ¥7,800(税込/オールスタンディング) ※別途1ドリンク代 ※未就学児童入場不可
●イープラス [https://eplus.jp/overmono/]
●チケットぴあ [https://w.pia.jp/t/overmono/]
●ローソンチケット [https://l-tike.com/overmono/]

主催 SMASH
SMASH INFO:https://www.smash-jpn.com/

label: XL Recordings / Beat Records
artist: Overmono
title: Good Lies
release date: Now On Sale

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13234

tracklist
01. Feelings Plain
02. Arla Fearn
03. Good Lies
04. Walk Thru Water
05. Cold Blooded
06. Skulled
07. Sugarrushhh
08. Calon
09. Is U
10. Vermonly
11. So U Kno
12. Calling Out
13. Dampha *Bonus Track For Japan

Lusine - ele-king

 近年ではロレイン・ジェイムズがフェイヴァリットにあげていたことを憶えているだろうか。そうした新しい世代にも影響を与えているエレクトロニカのヴェテラン、〈Ghostly International〉からリリースを重ねるルシーンの来日公演がアナウンスされた。2013年以来とのことなので、じつに11年ぶり。今回はドラマーを従えての公演で、迫力あるパフォーマンスが期待できそうだ。8/30(金)@CIRCUS Tokyo、8/31(土)@落合Soup、9/1(日)@CIRCUS Osakaの3公演、詳しくは下記をご確認あれ(なお落合Soup公演はソロでのパフォーマンスです)。

LUSINE JAPAN TOUR 2024 | エレクトロニカの重鎮11年ぶりにして、初のサポート・ドラマーを率いての来日決定!

昨年6年ぶりのニュー・アルバム『Long Light』をリリースしたエレクトロニカの重鎮LUSINEの、2013年の『EMAF TOKYO 2013』以来となる、およそ11年ぶりの来日公演が決定致しました。

今回はサポート・ドラマーのTrent Moormanを率いての初来日。エレクトロニクスとライヴ・ドラミングを組みわせてダイナミックなパフォーマンスが展開されます。(落合Soup公演はドラマー無しのソロ・エレクトロニック・セットです)
貴重な機会を是非お観逃しなく!

Ghostly International 25th Anniversary in Japan vol.2
LUSINE JAPAN TOUR 2024

LUSINE 東京公演①
feat. live drumming
日程:8/30(金)
会場:CIRCUS Tokyo
時間:OPEN 19:00 / START 20:00
料金:ADV ¥4,800 / DOOR ¥5,300 *別途1ドリンク代金700円必要

出演:
LUSINE (feat. live drumming)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


LUSINE 東京公演②
solo set

日程:8/31(土)
会場:Ochiai Soup
時間:OPEN 18:30 START 19:00
料金:ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000

出演:
LUSINE (solo set)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


LUSINE 大阪公演
feat. live drumming

日程:9/1(日)
会場:CIRCUS Osaka
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000 *別途1ドリンク代金700円必要

出演:
LUSINE (feat. live drumming)
and more…

前売りチケットのご購入はこちらから:
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/shop/?p=3165


Lusine - Full Performance (Live on KEXP)

LUSINE:
テキサス出身のJeff McIlwainによるソロ・プロジェクト。L’usineやLusine Iclなどの名義でも活動を続してきた。デトロイト・テクノと初期IDMの影響を受けて制作を始め、メランコリックでメロディックなダウンビート・テクノとでも呼ぶべき独自のサウンドを生みだしたエレクトロニック・ミュージック界の才人のひとり。1998年よりカリフォルニア芸術大学で20世紀エレクトロニック・ミュージックとサウンド・デザイン、映画を専行、そこでShad Scottと出会い、1999年にL’usine名義でファースト・アルバム『L’usine』をIsophlux Recordsよりリリース。新人アーティストの作品としては異例なほど高い支持を受ける。2002年には、URB誌恒例のNext 100にも選出され、アメリカのエレクトロニック・ミュージックの今後を担う重要アーティストと位置づけられた。その後2002年後半からシアトルに移り現在に至るまで拠点にしている。様々なレーベルを股にかけ活動し、『A Pseudo Steady State』、『Coalition 2000』(U-Cover)、『Condensed』、『Language Barrier』(Hymen)、『Serial Hodgepodge』、『Podgelism』、『A Certain Distance』、『The Waiting Room』、『Sensorimotor』(Ghostly International)などのアルバム、数々の12インチ・シングル、EPなどをリリース。また、Funckarma、 Marumari、Lawrence、School of Seven Bells、Tycho、Max Cooper、Loraine Jamesなどのリミックス、McIlwainは、Mute、!K7、Kompakt、Asthmatic Kitty、Shitkatapultなど様々なコンピレーション、さらにはフィルム・プロジェクトのスコア制作など、多岐にわたる活動を展開。シアトルに移ってからはエレクトロニック・ミュージックの優良レーベルGhostly Internationalを母体にリリースをしており、
2023年にはおよそ6年ぶりとなるアルバム『Long Light』をGhostlyから発表。2017年の『Sensorimotor』で確立したインテリジェント且つエレガントなスタイルをさらにアップデートしたサウンドをみせた。また、Loraine Jamesなど、エレクトロニック・ミュージックの新世代からもリスペクトされている存在だ。

Meitei - ele-king

 首を長くして待っていたみなさんに朗報です。冥丁が無事快復を遂げたようで、本人の急病により延期となっていた最新作『古風III』を引っ提げてのツアー日程が、あらためてアナウンスされている。8月2日から9月22日にかけ、新たに京都も加えた全国11都市での開催(札幌、前橋、東京、名古屋、大阪、和歌山、京都、岡山、福岡、別府、熊本。ただし東京および和歌山公演はすでに完売。詳細は下記より)。同ツアーでは「静」と「動」にフォーカスした2つのセットが披露されるという。各会場によっても変わるそうなので、冥丁の最新パフォーマンスをあなた自身の目で確かめておきたい。

 『古風III』をめぐる冥丁のインタヴューはこちらから。

冥丁 『古風』 完結編 TOUR 〜瑪瑙〜 [明・暮 二演目展開制]

日本の古い文化をモチーフにした唯一無二のオリジナリティーで脚光を浴びるアーティスト・冥丁の『古風』編三部作の最終章となるアルバム『古風 Ⅲ』の発売を記念した国内ツアーが全国11都市で開催!

冥丁の急病のため、開催延期となっておりました『冥丁「古風」完結編TOUR〜瑪瑙〜』ですが、冥丁本人の体調も回復し、延期日程が決定致しました!
 


「失日本」(LOST JAPANESE MOOD) = “失われつつある日本の雰囲気”をテーマに、時とともに忘れ去られる日本の古い文化や心象風景をノスタルジックな音の情景に再構築した作品群が高い評価を得ている冥丁が、『古風』編三部作の完結を記念し、札幌、前橋、東京、名古屋、大阪、和歌山、京都、岡山、福岡、別府、熊本の全国11都市で国内ツアーを開催致します。
 
本ツアーでは『古風』編3部作の動のエネルギーを展開する『明』(あけ)、静のエネルギーを展開する『暮』(くれ)と題した2種類の特別セットをご用意し、各地会場の雰囲気によってセットを変えてお届け致します。さらにヴァージョンアップしたライブセットをご期待ください。さらに、東京、京都公演には冥丁のライブでは初となるオーディオ・ヴィジュアルセットを披露します。(*東京、和歌山公演はすでに完売。)
ぜひこの機会をお見逃しなく!

[ツアー日程]
8/2(金)熊本・tsukimi
8/3(土)福岡・UNION SODA
8/4(日)別府・竹瓦温泉
8/24(土)大阪・CIRCUS Osaka
8/25(日)和歌山・あしべ屋妹背別荘 <完売>
8/26(月)名古屋・新栄シャングリラ
8/30(金) 東京・OPRCT<完売>
8/31(土)前橋・臨江閣 別館
9/7(土)札幌・PROVO
9/16(月・祝)岡山・東山ビル ニカイ
9/29(日)京都・京都文化博物館別館ホール

[全公演詳細 HP]
https://www.inpartmaint.com/site/38738/

[Tour Poster Design]
Ricks Ang (KITCHEN. LABEL)

interview with salute - ele-king

 レイヴ・リヴァイヴァル、ダンス・ミュージックの復権は止まらない。パンデミックによる自制、あるいは社会的抑制からの開放。サルートのアルバム『True Magic』はこの動きと重なる一枚であり、ひとりの音楽家が正面突破を図り境界を越えようとする試みである。彼のキャリアを簡単になぞると、ナイジェリアから移住した両親のもとにオーストリア・ウィーンで生を受け、18歳でUKのブライトンに移り住み、後に現在の拠点であるマンチェスターに移住。UKに移住した動機は兄やゲームをきっかけとしてダンス・ミュージックと出会い自ら制作をはじめたからという根っからのプロデューサー気質。UKに移ってからは、様々な人たちと出会いつつ、ダンス・ミュージック、クラブ・ミュージックのセンスに磨きをかけていった。いくつかのEPを発表した後に最初に大きく注目されることになったのが2018年~’19年にかけてリリースされたミックステープ『Condition』。それまではオルタナティヴなR&Bやダブステップといったスタイルでトラックメイキングをおこなっていて、いわゆる4つ打ち成分は控えめだったが、『Condition』で大きくUKガラージやハウスを取り込みダンスフロアに大きく接近。初期作品ですでに感じられた郷愁的なメロディとクラブで磨かれたビート・メイキングにシーンのフォーカスが集まるのはあっという間だった。そんなタイミングで訪れたパンデミック。勢いにブレーキがかかると思いきや、チャーリー・XCXやリナ・サワヤマのプロデュースもおこなう傍ら、ジェニファー・コネリーによる80年代のテクニクスCM曲 “愛のモノローグ” をサンプリングした “Jennifer”、“Want U There”、そしてパンデミックにおけるアンセムのひとつとなった “Joy” など立て続けにフロアヒットを発表。加えて2022年に公開されたメルボルンでの Boiler Room で一気に人気が爆発、そして〈Ninja Tune〉と契約、発表されたのが『True Magic』というわけである。トラックリストを見てわかるとおり、ほとんどの曲がコラボレーションである。リナ・サワヤマやディスクロージャーといった大物アーティストが名を連ねるほか、日本からは個性際立つ才能であるなかむらみなみ、マンチェスターの人気ドラム&ベース・デュオのピリ&トミーのピリ、ブルックリンのオルタナティヴ・シンガーソング・ライターのエンプレス・オブ、“Joy” のヴォーカルでもありムラ・マサともコラボするレイラ、ジョイ・オービソンサンファやヴィーガン作品にフィーチャーされたレア・センなど、バラエティー豊かな存在が本作を支え、アルバムのポップさを次のレベルに押し上げている。
 インタヴューは、RDCこと Rainbow Disco Club で来日したタイミングで対面でおこない、RDCの感想からアルバムについて、そしてパンデミックがもたらしたもの、最近のDJでプレイしているフレンチ・ハウスについてなど、様々な方向から彼に迫ってみた。

いままでダンス・ミュージックにあまり触れたことがない人や、ハウス・ミュージックを聴いたことがないティーンも気軽に聴けるような、ダンス・ミュージックに興味を持ってもらえるようなアルバムにしたかったんだ。

初めまして。お会いすることができて嬉しいです。今回の来日で3回目ですよね。Rainbow Disco Club(以下RDC)でのプレイはいかがでしたか?

S:初日のトリでプレイできてとても光栄に思っているよ! 日本のオーディエンスはとてもエネルギーにあふれていて、私もよいセットでプレイすることができたんだ。

RDCのオーディエンスは様々なパーティを楽しんできた人が多いので、そのようなオーディエンスについて貴方からポジティヴな答えが返ってきて、私個人としても嬉しいです。

S:個人的にも、RDCは最も好きなフェスになったよ。というのも、みんな酔っ払って楽しむフェスももちろん好きだけど、RDCは音楽をじっくり聴く、いい音楽を味わいたいオーディエンスが多いところは素晴らしいね! 音楽をプライオリティのトップとしている点はRDCの評価すべきポイントだと思う。加えて、制作面やサウンド・エンジニアリング、照明も含めたすべてがパーフェクトじゃないかな。音をじっくり聴く、大きすぎない規模であるということも私は気に入っているよ。

当日出演したアーティストで、気になった日本人のDJがいれば教えて下さい。

S:今回は残念ながらタイミングが合わず聴けなかったんだけど、以前来日した際、大阪で私の前にプレイした SAMO が素晴らしかった。彼女は音楽のセンスもナイスで、速いものからスロウなものまで、いろいろなスタイルの曲を二時間のセットで組み立てていたんだけど、まるで旅に連れて行かれるような体験だった。曲の組み合わせ、流れ、パーフェクトだった。日本のDJは一般的にレベルやクオリティがとても高いと思うよ。今回のRDCで聴けたDJでは、DJノブとDJマスダによるB2Bのセレクト、あれは本当にアメージング!

ここからアルバムについて質問をしていきます。まず、〈Ninja Tune〉と契約することになった経緯はどのようなものでしょうか? レーベル側からコンタクトがあったのですか?

S:そうなんだ。彼らからコンタクトがあったんだけど、じつは以前から、私のDJを何度か聴きに来てくれていたらしくて。〈Ninja Tune〉はもちろん大好きなレーベルで、12~3歳の頃からずっと聴いていたんだ。というのも『SSX』ってゲームがとても好きでそのサウンドトラックを〈Ninja Tune〉のアーティストが手掛けていて(編注:ザ・ケミスツか)、それまでレーベルのことは全く知らなくて、それでこの曲を作っているのは誰なんだろう? と調べていって〈Ninja Tune〉にたどりついたって流れ。そこから〈Ninja Tune〉のアーティストはずっと追いかけていて、例えばヤング・ファーザーズはすごく好きなバンドのひとつ。つまり、自分にとって憧れのレーベルなんだ。このアルバムを〈Ninja Tune〉からリリースできたことはとても光栄なことだと思っているよ。

『SSX』ってゲームがとても好きでそのサウンドトラックを〈Ninja Tune〉のアーティストが手掛けていて、この曲を作っているのは誰なんだろう? と調べていって〈Ninja Tune〉にたどりついたって流れ。そこから〈Ninja Tune〉のアーティストはずっと追いかけていて。

アルバムを全曲聴いて思ったのは、これは凄い作品が出てきたぞ、というのが第一印象でした。ポップでエモーショナル、かつにじみ出るグルーヴもある、という私の意見です。あなたが感じている『True Magic』の手応えはどのようなものですか?

S:このアルバムを作っているときに念頭にあったのは、ポップなものにしたい、ポップ・ミュージックとダンス・ミュージックのクロスオーヴァーなものを作りたいということ。そして、ダンス・ミュージックを作るという視点、ポップ・ミュージックを作るという視点、どちらか片方からのアプローチではなくバランスを保ちながら、ダンス・ミュージックへの入口、として聴いてもらいたいという思いが強かった。例えば、いままでダンス・ミュージックにあまり触れたことがない人や、ハウス・ミュージックを聴いたことがないティーンも気軽に聴けるような、ダンス・ミュージックに興味を持ってもらえるようなアルバムにしたかったんだ。でも、最初はどのような音楽性のアルバムにするか、っていうアイデアは白紙で、実際に作る際のはっきりしたプランはなかった。ただ、強いポップなダンス・ミュージックを作りたいという思いは漠然とあって。でき上がったアルバムを実際に聴いた友だちからは、とてもエキサイティングなアルバムだって言ってもらっているよ。

やはりそうだったんですね! 私も同意見です!

S:ありがとう!

ほとんどの曲がカルマ・キッド(Karma Kid)との共同プロデュースとなっていますが、どのような流れで楽曲制作をおこなっていったのでしょうか? 声とトラックのバランスが絶妙だと感じました。

S:カルマ・キッドは17歳ぐらいから付き合いのある個人的な親友。僕のやりたいこと、自分らしさをいちばん解ってくれているのが彼なんだ。僕のとりとめもない思いつきを整えてアルバムにまとめてくれて、この曲はインディっぽくやろうとか、もっとポップにしよう、ダンスぽいサウンドにしようというようなアイデアを形にできるプロデューサーなのが彼。付き合いも長いからコミュニケーションも円滑でとてもクリア。こうしないとダメとか、これは違うとか、そういったネガティヴなことは言わず、僕のやりたいことを尊重してくれて、その上でアドヴァイスをする、そのような彼の姿勢が『True Magic』を作るうえでとても大きな役割を果たしてくれたと思っている。
 特にヴォーカルに関しては、ポップなマインドを持った人たちに歌ってほしい、ポップなアーティストに歌ってほしい、ということがとても重要だったから、それをいろいろな方法で取り入れて形にできたのは良かったよ。この部分はとくに彼カルマ・キッドの力が大きく、正直、彼は天才! って思ってる。

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フレンチ・ハウスは10歳ぐらいの頃から YouTube で聴いてて、例えばダフト・パンクの “Around The World” とか “One More Time” は何度も何度も繰り返して聴いた大好きな曲。彼らはソウルやファンクとかロックをサンプリングしているけれど、僕も同じようなメソッドでサンプリングをしたいとずっと考えていた。

ヴォーカリストについても質問させてください。リナ・サワヤマとはとても仲がよいようですね。どのような経緯で本作に参加することになったのでしょうか?

S:10年ぐらい前から彼女とは付き合いがあって、彼女の曲のプロダクションを担当したこともあるし(アルバム『Sawayama』収録曲 “Snakeskin”)、彼女のファースト・アルバムの追加プロダクションを手掛けた経緯もあるんだ。彼女がビッグ・スターになっていく過程をずっと見てきたけど、素晴らしい魅力的な声の持ち主だよね。『True Magic』は友だちを集めて作りたかったところもあって、自分の音楽的な方向性、志向を世界に紹介するためのエキサイティングなポップ・スター、ということで彼女にはぜひとも歌ってほしかった。実現できてもちろん嬉しいし、とても特別なことだと思っているんだ。この曲 “Saving Flowers” は、『True Magic』のなかで二番目に書いた曲で、つまりかなり初期に書いた曲なんだけど、歌入れ前のインストの段階でスケールの大きなサウンドができ上がったから、この壮大なサウンドにふさわしい、僕の人生のスケール以上の規模で歌っている彼女がヴォーカリストとして浮かんだので彼女にオファーしたんだ。おかげでとても良い曲ができたよ。

今回のコラボレーションで驚いたことのひとつに、なかむらみなみとの “go!” があります。以前来日した際に彼女と Itoa のコラボ曲 “oh no” をプレイしていましたね。“Go!” の歌詞は彼女にすべて任せた形ですか?

S:彼女の声は特別だと以前から思っていて、インスタで連絡したんだ。この “Go!” のトラックができ上がったとき、エネルギーに溢れた声がふさわしいと考えていて、さっきも話したけど、ポップでソウルフルな力がある声の持ち主に歌ってほしい、という考えでヴォーカリストを選んだのだけれど、そのような才能が並ぶなかでも彼女の声はとても目立つんだ。なかむらみなみのような個性的なアーティストには好きなようにやってもらったほうがうまくいく、そう考えて。トラックを彼女に送って、ヴォーカルを入れて戻してきたわけだけど、まず感じたのは、期待以上のものが来たぞ、ってこと!

アルバム全体の歌詞についてですが、別れや喪失について歌われたリリックを多く感じました。あなたからテーマを提示して各アーティストが仕上げていくような流れで書かれたのでしょうか?

S:とくにテーマを決めてお願いをしたわけではなく、でき上がった詞がたまたまこのような内容になった、って感じかな。なにかはっきりした明確なイメージがあったわけではなかったけど、これまで経験した別れが反映されているのかな、といまは思う。意図したものではないけれど、エネルギーとかソウルとか心が動かされること、そういったことがテーマのように『True Magic』に現れているんじゃないかな。いちばん端的に示しているのがアルバム・カヴァーにも使われている車。映像や絵としてのインパクトがあって、そして車に乗って旅をするときのエモーションやエネルギーも込められていて、これらがテーマに含まれていると思う。

リナ・サワヤマとの “saving flower” ではカシオペアの “朝焼け” がサンプリングされています。あなたにとって大切な曲のようですが、このサンプリングにはどのような意味が込められているのでしょうか?

S:日本の80年代後半から90年代前半にかけてのフュージョンがとても好きで、日本の音楽シーンにとっても特別な時代だと思っているんだ。Tスクエアやカシオペアなどをよく聴いてて、日本に来たときは日本のフュージョン作品のレコードを買い漁ったりしていた。彼らのサウンドは、とてもドラマチックで艶っぽくて、こういった音楽性や音のパレットというものは少なからずダンス・ミュージックに取り込まれている、と個人的には考えている。
 “朝焼け” だけど、この曲のギターを聴いたとき、自分のなかでクリエイティブなアイデアが湧き出てきた。強烈なギターのサウンドをサンプリングできたことは本当に素晴らしいことで、おかげで『True Magic』のメインのひとつとなる曲に仕上がったよ。

ハウスやテクノを文化として認めた功績はとても大きいことだけど、私たちはそれがどこからやってきたのか、源流であるオリジナルを忘れがちなところがあると思う。

『True Magic』の収録曲にもエッセンスが色濃いですが、ダフト・パンクやフレンチ・ハウスからの影響を公言しています。フレンチ・ハウスの魅力とは何でしょうか?

S:フレンチ・ハウスはすごくヒプノティックな部分があるシンプルなスタイルだと思う。基本的には短い音楽の断片をループさせた、わかりやすくシンプルゆえに踊りやすいんじゃないかな。フレンチ・ハウスは10歳ぐらいの頃から YouTube で聴いてて、例えばダフト・パンクの “Around The World” とか “One More Time” は何度も何度も繰り返して聴いた大好きな曲。彼らはソウルやファンクとかロックをサンプリングしているけれど、僕も同じようなメソッドでサンプリングをしたいとずっと考えていた。僕はジャズをサンプリング・ソースとしてよく使っているんだけど、アプローチの方法としては彼らと同じだと自負しているよ。様々な音楽性をサンプリングで色鮮やかに組み合わせていきたい、というところがフレンチ・ハウスから僕が影響を受けている部分だと思うな。
もちろん、UKガラージからはとても強く影響を受けていて、『True Magic』がUKガラージとフレンチ・ハウスのコラボレーションといえるアルバムになったことは、とても自然な流れだったかな。

現在のような成功を手にするまでに、困難な状況もあったと思いますが、どのように乗り越えてきたのでしょうか?

S:実際のところ、なぜ、自分のキャリアが変化したのか、パンデミックのときに考えたことがあって。パンデミックが自分に与えた影響はかなり大きかった。あの時期、ショウも何もできず、外に出ることすらできなかった。自分とPCだけがある、音楽にとても集中した時間だった。あのような困難な状況で、音楽から自分が何を欲しているのか、音楽を使って自分が何をしたいのか。とてもじっくり考えた。
 まっさらな状態から、自分のやりたいこと、音楽で表現したいことを本当にじっくり考えた時間だった。それまで作った音楽はもちろん気に入っているし、作ったことを後悔しているわけではないけれど、ハッピーだったときに作った音楽がほとんどで、ハッピーじゃない状況で音楽を作る経験は初めてだったから、僕にとってそれはとても大きなことだったんだ。自らに嘘をつかず正直であればオーディエンスは音楽を受け入れてくれる。いまはそう考えているよ。

あなたにとってダンス・ミュージックとはどのようなものでしょうか? ある人は人生、ある人は仕事、またある人は喜び、など様々な意見があります。

S:中央ヨーロッパで育ったものとしてダンス・ミュージックはいつもそこにあった大きな存在だったことは確かだね。僕の兄はいつもハウスを聴いていたから生活のなかでもダンス・ミュージックは身近な存在だった。大人になって改めてダンス・ミュージックと向き合ってみると、僕にとっては「逃げ場」だった。例えば、DJをするときはポジティヴなマインドになるし、ハウスをかければ自由な気持ちが湧き上がってくる。一方で、ダンス・ミュージックには人と知り合うための手段という側面があって、コミュニティを形成するための存在でもあると思う。マンチェスターのお気に入りのクラブにいって、人と新しく出会ったり馴染みの友人と楽しんだりとか、そういうことが好きなんだ。すべての音楽にそういった部分はもちろんあるけど、僕にとってのダンス・ミュージックは、素晴らしい気分を味わうための手段、辛いときの逃げ込める場所、そう思っている。

最後の質問になります。先日ベルリンのテクノ・カルチャーが、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。他方で、オリジナルであるデトロイト・テクノに対する言及がないことについて批判も上がっています。これについて、あなたの意見を聴かせていただけますか?

S:その批判には僕も同意見だよ。ハウスやテクノを文化として認めた功績はとても大きいことだけど、私たちはそれがどこからやってきたのか、源流であるオリジナルを忘れがちなところがあると思う。ハウスやテクノは、クィアやブラックが集まって皆でひとつになれる場所を見つけるために生み出した音楽。(編注:ニューヨークやシカゴや)デトロイトのクィア・シーンやブラック・シーンが作ってきた音楽だと僕は考えていて、このふたつをスルーすることにはとても失望したよ、正直。
 ベルリンのテクノ・カルチャーは重要で、ベルリンもデトロイトがなければそこには存在していなかったのに、本当に残念な話だと思う。私たちは、ブラックの人びと、アフリカン・アメリカンの居場所に光を当てることを決して忘れてはいけないんだよ。

Tribute to Augustus Pablo - ele-king

 1999年5月18日に永眠したルーツ・レゲエの偉人、オーガスタス・パブロ。そのご子息であるADDIS PABLO が今週末から日本をツァーする。それに連動してADDIS PABLO PRESENTS “TRIBUTE TO AUGUSTUS PABLO”、「Rockers International 51st year anniversary pop up & photo exhibition & Additional」が7月15日より神泉の JULY TREE(ロゴは坂本慎太郎デザイン)にて開催される。
 Rockers InternationalやADDIS PABLO関連グッズ、音源の販売、カメラマン菊地昇、石田昌隆、仁礼博による往年のオーガスタス・パブロのポートレイト、さらに生前のパブロと親交の深かった石井“EC”志津男(OVERHEAT RECORDSプロデューサー、雑誌『Riddim』発行人)によるパブロゆかりの品々を展示。また、7月15日にはADDIS PABLOのサイン会とDJによるウエルカム・パーティ。7月19日にはADDIS PABLOほか、石井“EC”志津男、石田昌隆をゲストに招きトークショー、およびADDIS PABLOによるミニ・ライヴもあり。
 ちなみに、ただいま絶賛発売中の、早くも売り切れ店が出てきているele-king books刊行の『キング・タビー――ダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男』も会期中に JULY TREEにて販売されます。

■ADDIS PABLO:プロフィール
メロディカ・キーボード奏者でレゲエミュージシャン、作曲家でプロデューサーでもあるAddis Pablo。ルーツレゲエの代名詞の1人でダブの先駆者であるAugustus Pabloの息子である。 早くに夭折した父と過ごした日々の中で父の創作活動過程を目の当たりにしてきた事を基に、2005年に父親の作品を練習し始めてメロディカとキーボードにおいて自身の音楽スタイルを発見し始め、2010年にはそのキャリアをスタートさせた。 2013年からは多数のヨーロッパの主要フェス、日本を含めたアジア、アメリカ、メキシコやプエルトリコをツアーして、2014年にEarl 16などのベテランゲストアーティストを迎えて録音したデビューアルバム“In My Fathers House”をリリース。2022年5月にドロップした2枚目のアルバムLPの “Melodies from the House of Levi”は自身の成長と音楽的成長を示すものになった。 父、Augustus Pabloが創立したRockers International Labelの51周年である今年2024年は、 その歴史の新たな歩みを刻み始める為に父の誕生日である6月21日のロンドンの老舗クラブ Jazz Cafe でのAugustus Pablo Tribute Showを皮切りに アディスは日本でも7月13日のGEZANとの共演によるSUPERNOVA KAWASAKI でのB.O.B. (Blessings On Blessings) vol.2から父A.Pabloと録音、セッション経験がある日本人ラスタミュージシャンを中心メンバーにRockers Far East名義で活動するベテランバンドを従えてのフルバンドショーを中心とするツアーを予定している。 同バンドでのFUJI ROCK出演も決定している。

■展示情報
ADDIS PABLO PRESENTS
TRIBUTE TO AUGUSTUS PABLO
Rockers International 51st year anniversary
pop up & photo exhibition & Additional
会期:7月15日(月)〜7月25日(木)*予定
会場:JULY TREE(ジュライ・トゥリー)
*詳しい営業日等詳細はSNSをご参照下さい。

■イベント情報
2024.7.15(mon)サイン会+DJ
出演:ADDIS PABLO
START:18:00
ENTRANCE FEE:\1,500+1drink

2024.7.19(fri)TALK & MINI LIVE
出演:ADDIS PABLO
TALKゲスト:石井”EC”志津男、石田昌隆
START:19:00
ENTRANCE FEE:\2,000+1drink

お申込み方法:こちらのインスタグラムDMにてお名前と人数をお伝えください。
19日のみ定員20名予定となります。

■ライヴ情報

STANDARD WORKS CO. LTD.
presents
=B.O.B. (Blessings On Blessings) vol.2=
-Tribute to Augustus Pablo - Rockers International 51st year anniversary Japan Tour with ADDIS PABLO
associated with All Di Best Music
7/13(sat)
17:00-22:15
Ticket:
advance / 4,500yen
at door / 5,500yen
別途1ドリンク

-Live Act-
•ADDIS PABLO(from JAMAICA)
with ROCKERS FAR EAST
•GEZAN
Sound Engineer : 内田直之(NAOYUKI UCHIDA)
-Selector-
ITAK SHAGGY TOJO @itaktojo KEN-ROOTS @abyssinia_jah_rising RAS KOUSKE
-Soundsystem-
JAH RISING S.S

-Food-
JAMAICAN FOOD
RICE&PEAS

Live House
SUPERNOVA KAWASAKI
神奈川県川崎市幸区大宮町1-13,
1-13, Omiyacho, Saiwai-ku, Kawasaki-city, Kanagawa
@supernova_kawasaki

招聘:(株)錦コミュニケーションズ @nishikicommunications

〈店舗情報〉
JULY TREE(ジュライ・トゥリー)
住所:153-0042
東京都目黒区青葉台4-7-27 ロイヤルステージ01-1A
・HP: www.julytree.tokyo
・Instagram:@july_tree_tokyo
・Twitter:https://twitter.com/julytree2023
営業日: 基本月火休館13時~18時ではございますが不定期での営業となります。
*営業日等お問い合わせについてはJULY TREE 公式Instagram、Twitterにてお願いいたします。

High Llamas - ele-king

 相変らずショーン・オヘイガンが作る音楽は、誰にも似ていない。
 2003年の『Beat,Maize & Corn』においてショーン本人の言葉で、「じゃがいもの袋は変わったけれど、それでも中に入っているのはじゃがいもだ」とあったが、この変化に対しての冗談めいた意志表明(タイトルを訳すと『甜菜、とうもろこし、そして穀物』となる)は、『Hey Panda』を聴くと予言として機能していたのではないかとさえ思えてくる。いや、もちろん変わり続けてきたのがハイラマズで、90年代の初期ハイラマズから、98年『Cold and Bouncy』、99年『Snowbug』、2000年『Buzzle Bee』あたりのエレクトロニックに影響を受けたサウンドはわかりやすく変化として捉えることができたし、雰囲気はどこか初期に戻りつつも明らかにポップスとしての画角を押し広げた『Beat, Maize & Corn』、2006年『Can Cladders』、2011年『Talahomi Way』は、変化を感じさせる間もなく、驚くほど自然な形でリスナーをラマズの世界に引き込んだ。レコード屋のソフト・ロックのコーナーで偶然発見した『Hawaii』に衝撃を受け、初めてのリアルタイム・ラマズは『Talahomi Way』だった自分も、遡るにあたってエレクトロニックに影響を受けたアルバムに多少のハードルを感じた薄い記憶ならある。でも「これほどまでにハイ・ラマズの音楽に焦点を当て直したものはない」というのは事実だろう。問題作というインフォメーションにも頷ける。

 散々語られている通り、現行 R&B やヒップホップからインスピレーションを得たということも、仮にハイラマズの作品だと知らずに聴いたとして、これはハイラマズだろうということも、一聴してわかる。今作にも参加しているフライヤーズ、レイ・モリス、ボニー“プリンス”ビリーとの仕事や、ロックダウン中に家の中で子供たちが聴いていたというSZAやソランジュ、ノーネーム、スティーヴ・レイシー、エズラ・コレクティヴ等々から影響を受けたそうだ。2000年代に感銘を受けたというJ Dillaへの思いが時を経て伏流水のように湧き上がったロマンもある。
 第一印象は、サブベースやトラップぽいビート、オートチューンに多少の驚きを感じつつも、ラマズらしいストリングスやピアノ、シンセの響きに耳を傾けると鳴らしっぱなしにされているというよりは細かい単位で配置されながら曲が展開されていくことに気付いてくる。たしかに新しい魅力だと感じた。それでいて、全然煽られる瞬間がなくて、むしろ展開に対してとても豊かな時間の流れがアルバム全体に通底している印象を受けた。BPMがゆったりなこともあるが、現行のプロダクションを抑制をよく効かせながら深く取り込みつつ、やはりハイラマズのポップスとして聴かせるショーンの手腕は流石であるということまではわかった。「僕は、毎日巨大なニンジンを食べるパンダのTikTokファンとして、ロックダウンと回復を過ごした。とても幸せだった。」となんとも言えない安堵感を誘うコメントから察するに、ロックダウンの束の間の豊かな時間も反映されていそうと思ってしまうが、深読みだろうか。

 ところで、この機会でハイラマズを久しぶりに聴きなおしてみると、よく覚えていることに自分自身驚いた。アウトロで次の曲のイントロが脳裏に浮かぶあれだ。思っていたよりもよく聴いたのだろう。いまよりも時間の流れがゆっくりだったのかもしれない。ハイラマズ以降そういうアルバムが何枚あるだろうか。わざわざレコードで買った新譜の何枚を2回以上聴いただろうか。問題作は自分自身だった。
 レーベル〈Drag City〉のインスタグラムには、「現代のポップ・ミュージックの魅惑的な錬金術で幕を開けた『Hey Panda』は、定義が時間とともにどのように変化するかを多角的なレベルで反映した素晴らしい曲集です。喜びを広げ、自信をかき立てることを目的としたアルバムで、若くて勇敢な世界へのラヴレターです」とあった。リスナーもまた時間と共に、楽しみながらラマズの変化を感じていけばよいというか、そうするしかないというか、なんとも楽観的で核を突くメッセージを受け取りました。
 いや、アルバムは相変わらずのポップ・センスを充分に湛えていて、これからの季節にぴったりだと思うし、素直に飛び込んでくる作品だとも思います。ただ、偏屈な僕にはありがたい棘が少し残りました。ラスト・トラック“La Masse”は南米の香りが感じられる(個人的にはエドワルド・マテオを想起した)必ず救われるキラーチューンだし、アウトロのらしいコーラスワークからのフェイドアウトは、まだまだハイラマズは続くという暗示を感じます。レコードは買う。

『情熱が人の心を動かす』 - ele-king

Pヴァインのファウンダー、日暮泰文氏が、2024年5月30日(木)75歳にて永眠いたしました。
日暮泰文氏はPヴァインの前身となるブルース・インターアクションズを1975年に設立して以来、ブルースからソウル、ワールド・ミュージック、そしてヒップホップに至るまで、インディー・レーベルとしてのオルタナティヴな観点から様々な音楽をCDやレコード、書物を通じて紹介し、日本におけるブラック・ミュージック愛好の歴史を大きく切り拓いてきた開拓者の一人でした。今回、VGAではその軌跡の一部を紹介しつつ、日暮泰文氏が生き抜いた時代と現代の違いについて対談しました。

山崎:これ全部、日暮さんが書いてるんですかね?

水谷:これは日暮さんの字ですね。

山崎:ガリ版で印刷されていてすごいですね。

水谷:便利なものがないと熱くなるんでしょうね。情熱が感じられますね。

山崎:これはいつ頃のものなのでしょうか?

水谷:ブルース愛好会の発足は1968年ですね。その翌々年の1970年には『ザ・ブルース』(日暮泰文氏が刊行したブルース愛好会の機関誌を発展させた雑誌。その後ブラック・ミュージック専門誌『ブラック・ミュージック・レビュー』へとリニューアルする)の第一号が出るんですよ。まさに我が社のルーツですね。

山崎:1968年だと日本にはまだアメリカのブルースやソウルの情報があまり入ってきていないんじゃないでしょうか?

水谷:様々なブラック・ミュージックが日本でも少しずつ認知されてきたくらいの時代だと思います。先日とある場所にある、日暮さんとそのお仲間の方々が集っていた部屋にお邪魔する機会があったのですが、そこに『JAZZ RECORDS』っていう本(デンマークのジャーナリスト/ジャズ作家のヨルゲン・グルネット・イェプセン編集による、戦後初となるジャズのディスコグラフィー本)がシリーズでずらっと置いてあったんですよ。
それはジャケット写真なんか一切ない、テキストしか書いてないひたすらデータだけが掲載された辞書のような本で、一冊取り出してページをめくってみるとそれにたくさん赤線が引いてありました。

山崎:1960年代ではかなり重要な情報源だったらしいですね。これは当時、日本で入手するのは難しかったのではないでしょうか。

水谷:この本がとても気になったので日暮さんと共にブルース愛好会を立ち上げた鈴木啓志さんにお聞きしたのですが、みんな当時はジャズの本なのに、一部掲載されているブルースをそこから探していたらしいんですね。
で、その後、68年に初めてブルースのディスコグラフィー本が出るんですが(イギリスの作家、マイク・リードビターとニール・スレイヴンによる初の画期的なブルース・ディスコグラフィ『Blues Records 1943-1966』)、それまでは本当にコアなブルースの情報が『JAZZ RECORDS』でしか、なかなか手に入らなかったらしいです。

山崎:当時はブルースもジャズの括りで捉えられている部分もあったんでしょうね。その本はルーツ的なブラック・ミュージック全般って感じだったのかもしれません。

水谷:それとは別の話なのですが、先日、20代くらいの若い人とお話しする機会がありまして、彼はヒップホップを作っていてサンプリングをしていると。で、具体的に何をサンプリングしてトラックメイキングをしているのかを尋ねたんですが、彼は曲名どころかアーティスト名も覚えていないんですよ。一つも覚えていなくて。サブスクで出てきた曲を良いと思ったらひたすらブックマークしてプレイリストに入れているだけだと言っておりました。

山崎:今の時代っぽいですね。最近、DJもサブスクだったりするようで。それってもはやDJ(ディスク・ジョッキー)じゃないですよね。SJ(サブスク・ジョッキー)って呼んだ方がいいんじゃないですか?(笑)でもアナログよりもサブスクの方がとても情報が早く的確に捉えるので我々アナログ・ユーザーからしたらSJを見習いたい部分はあるんですけど。

水谷:確かに。的確なデータをもとにデータ音源をかけている。これはデータ・ジョッキーなので「デー・ジェー」ですね(笑)。
冗談はさておき、話を戻しますが、日暮さんは1948年生まれなので、先ほどのチラシを作ったのは20歳ということになります。かたや、その若者はネット上に無限にある情報の中でサンプリングソースを探すためにディグるけどアーティスト名すら覚えていない。この2つの出来事がちょうど同じ時期だったので、ショックというか考えさせられました。

山崎:僕らの若かりし時代も限られた情報の中で探すってありましたね。80〜90年代初頭はレコード屋さんでは試聴もできなくて最初は買っては失敗しての繰り返し。なかなか良いレコードに巡り合わないからレコード屋の店員に菓子折り持って情報を聞きに行ってましたよ。それくらい良い情報を得ることが難しかったです。でもその分、情報に飢えていましたね。

水谷:先ほど話しました若い人を悪く言うつもりは全くありません。それが今の世の中ですし、その分いろいろなスピードは早くなっていると思うのですが、前述の『JAZZ RECORDS』の赤線を見たときに、タフさと凄まじさを感じました。そしてPヴァインが50年(2025年で50周年)続けてこれた『しぶとさ』の根幹はここにあるんだなと改めて実感しました。

山崎:まだ日本で知られていないブルースを開拓してもっと広めていこうという強い情熱を感じますね。でも、今ってタフさや『情熱』だけではダメだという風潮がある気がします。もっと賢く、要領良くやっている人の方が成功している例が多いというか。先ほどのサンプリングの話で言うと今は、情報過多の中でなんでも選べて機材も進化しているから作るスピードも早いし、簡単。アーティスト名なんていちいち覚えないで、サクサク作って数打ったほうがいいのかもしれません。90年代のアーティストはやっとの思いで探し出した1曲を、サンプラーに取り込んでスタジオでミックスしてってなるのでどうしても時間も手間もかかっていました。

水谷:僕も昔は良かったなんていうつもりもありません。Pヴァインは本格的すぎる「重さ」、「野暮ったさ」みたいなのが社風にあって、周りのお洒落だったり洗練されたイメージの会社とは違って、我が社は古臭いなってコンプレックスではないですが僕も思っていた時期はありました。でも今、振り返ってみると、そういうトレンドに向いていたインディーレーベルは、CD不況を乗り切るのは大変で、時代の変化の波にのまれていったレーベルもありました。

山崎:音楽一本で勝負しているインディーの会社でデータ/サブスク化によって起こってしまった音楽不況を乗り越えて、今も安定して残っているのは、ちゃんと地に足がついているところばかりかもしれません。

水谷:流行りに乗るなとは思っていなくて、時代を読む力っていうのはとても重要だと思います。現に日暮さんも先見の明に長けた人でした。

山崎:そうですね、大事なのは流行に振り回されすぎない強さ、そして決めた道を根気良く進み続ける情熱だと思います。
でも今の時代は情報が多いのでどうしても迷いが出てくるのかもしれません。一つのものを極めようという気にはならないですよ。

水谷:昔の人って得意分野はこれっていうのが明確に見えました。何か一つに絞って極めようとすることで、その本質に触れ豊かな体験をすることができる気がします。

山崎:あとは景気の先行きが読めない中で、仕事や売り上げほしさに多くの情報を追いかけてしまう傾向がある気がします。焦らないで根気よく、一つのものに『情熱』を注ぐことが一番の近道だということを僕らは次世代に伝えなければいけないのかもしれません。

水谷:いまの時代、情報は簡単に手に入るのですが、それが罠だったりもしますから。情報に泳がされないように上手くネットと付き合う事でより豊かなミュージック・ライフが送れるようになる気がします。一方で、我々世代も完全にレコード=物に支配されていて物量の多さに身動きが取れなくなってますので、そこもバランスよく収集していくのが、肝だったりしますね。日暮さんの自宅にもお邪魔しましたが、部屋を見てレコードは言わずもがな、音楽に限らない様々な書籍が棚にきちんと整頓されていて、文化的にとても豊かな生活を送っていたのだなぁと思いました。

山崎:今回もやはり少々説教臭い老害トークになってしまいましたね。でもYONCEの「説教くさいおっさんのルンバ」じゃないですが、オヤジの説教に耐えられない若者が多すぎるのでは?べつに言う事を聞かなくてもいいので、バネにしてもらわないと。『情熱』はストレスからのカウンターで生まれるんですよ。

水谷:そうですね、ミシシッピの綿花畑で黒人労働者がストレス・フルな重労働のなか歌って生まれたのがブルースの起源ですから。あっ、「説教くさいおっさんのルンバ」のPVで説教くさそうな男性を演じてる方は、リアル僕の若い頃の上司(ホント)でした。
なので、僕も見習って頑張ろうと思います(笑)。

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