「CE」と一致するもの

Merzbow - ele-king

 ノイズ・ミュージックとVaporwaveの近似性については兼ねてから考えていたことだ。かつて秋田昌美が提唱した「スカム・カルチャー」という定義は、インターネットの下層に蓄積する消費社会の残滓に美学を見出したナードたちが、それを冗談半分にこねくり回すことで成立した初期Vaporwaveの意匠にも通ずる側面があるように思える。80~90年代のノイズ・ミュージック、そしてゼロ年代のVaporwave……。思想もスタイルも対極に位置していた両者がインターネット上で時代を超えて交わるとき、もはや縦の音楽史としてはあり得なかった文脈を経て、今年、Merzbowの『Pulse Demon』は再発を果たすこととなる。

 Merzbowといえば、80年代から現在に至るまで勢力的に活動を繰り広げているミュージシャンとして有名である。去年〈スローダウンRECORDS〉からリリースされたduenn、Nyantoraとのコラボレーションアルバム『3RENSA』、そのリミックス・プロジェクト『3RENSA_fb01』『3RENSA_fb02』『3RENSA_fb03』『3RENSA_fb04』が各所で大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。そんな彼が1996年にリリースしたジャパノイズの金字塔『Pulse Demon』は、まさにMerzbowの代表作といっても差し支えないだろう。しかし、なぜいま、20年以上の時を経て『Pulse Demon』が再発に至ったのだろうか。

 この作品の再発を手掛けたのは、インダストリアルやノイズ・ミュージックに熱心なリスナーには耳馴染みのないであろう〈Bludhoney Records〉というアメリカのレーベルだ。それもそのはず。じつはレーベルのルーツを辿ってみると、意外にも行き着く先はVaporwaveである。レーベルのカタログナンバー1を飾る、OSCOB / Digital Sexの『OVERGROWTH』は、『ローリング・ストーン』でも取り上げられたVaporwaveの傑作、2814の『新しい日の誕生』をリリースしたことでも知られる〈Dream Catalogue〉のリイシューである。もともと〈Bludhoney Records〉はVaporwaveの美学に則ったカセットテープ・レーベルとして始動したのだ。

 〈Bludhoney Records〉は、日々先進的なエレクトロニック・ミュージックをリリースしているが、このレーベルのカタログに、Merzbowの『Pulse Demon』が加わったとしても、それは全く不思議なことではない。ここ近年、Vaporwaveシーン全体において、サンプリングを主体とした80年代から90年代の懐古趣味的な従来のスタイルからの脱却を図ろうとする動きが見て取れる。この数年で、ノスタルジアを標榜としたVaporwaveのベクトルは、夢想的な世界からフューチャー・リアリスティックな未来都市へと一気に移り変わってしまった。その鬱屈とした退廃的な未来都市のモチーフは、『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』といったSF作品の世界を彷彿とさせる。Vaporwave特有のスクリューという技法が生み出した重厚なダブのようなビートは、のちに90年代のハードコアテクノと結びついたHardvapourというタームへと昇華し、サンプリングソースを執拗に引き伸ばすことで発生した無限にも続いていくような陶酔的アンビエンスは、陰鬱な都市の夜に響くかのような重厚なドローン、ダーク・アンビエントスタイルのアーティストを数多く輩出することに繋がった。Vaporwaveシーンは今、もっと先鋭的で刺激的なサウンドに飢えているのだ。そんな流れの中で、〈Bludhoney Records〉は、ASTROの名義やC.C.C.C.での活動でも知られる長谷川洋を迎えたスプリットアルバム『Saturnus Cursus』をリリースしている。

 ところで、1988年にドイツのユニット、Softwareがリリースした『Digital-Dance』は、YouTubeに無許可で転載された音源が「Vaporwaveっぽい」という理由から〈100% ELECTRONICA〉を主宰するESPRIT 空想ことGeorge Clantonの耳に止まり、リイシューを果たす結果となった。インターネットによって、あらゆる時代の音楽にアクセスできる現代、時系列に沿った縦の音楽史を語ることに、もはや意味などあるのだろうか。並列の点と点の偶発的な交わりこそが、新たな潮流を生み出すのだろう。それは偶然の連なりであり、必然でもある。『Pulse Demon』で繰り広げられる、曲間の切れ目なく押し寄せる冷徹なメタルパーカッションと、スペイシーなEMSヴィンテージ・シンセの衝突、まるで慟哭のような生命力に満ちたハーシュのうねりは、2018年のいま、時代がもっとも求める音色なのであろう。歪に捻じ曲げられた文脈を経て、パッケージも新たにカラーヴァイナル、カセットテープで再発がなされる本作。個人的にはCDとして手元に欲しかった作品でもあるが、〈Relapse Records〉のマスタリングによるあの暴力的な音圧が、アナログな音域でどのように鳴り響くのか楽しみである。

interview with BES & ISSUGI - ele-king


BES & ISSUGI
VIRIDIAN SHOOT

WDsounds/Pヴァイン

Hip Hop

Amazon

 近いところにある交わってないストーリーが出会う。まざりあうことで純度を増していくHIP HOP。プラスがプラスになるコンビネーションが作り出すシンプルな強さがこの作品の柱を作っている。気持ちよくただただ乗って欲しい。
 「HIP HOP?」と自分に問うことへの答えと、「HIP HOP?」と他者に問われたときの答えは違う。BESとISSUGIがリリースしたアルバム『VIRIDIAN SHOOT』は絶対的に「HIP HOP」として存在する。初めてこの作品を聴いたときに強烈に感じさせられた「HIP HOP」を理解するひとつの手がかりを言葉にしたくてふたりに話を聞いた。

地元の先輩のDJがレッドマンの“IT’S LIKE THAT”ってあるじゃないですか? それに山本リンダをブレンドしてたんですよ(笑)。
──BES
かなりどぎつい味になりそうですね(笑)。
──ISSUGI

お互いの出身地と育った場所を聞かせてください。

ISSUGI(以下、I):俺は練馬です。学校は荻窪だったんだけど、基本的に練馬からそんなに離れた所に住んだことないですね。

BES(以下、B):俺は18位から渋谷で遊びはじめて。地元にはいて、地元は東京の青梅ってとこなんですけど。20くらいまで地元にいて、何もないんでそこから出たくて。地元から出て。そのときもう、池袋BEDで「URBAN CHAMPION」(池袋BEDでいまも続いているパーティ)はMOTAIとかとやってたんですけど。はじめたばっかのときは青梅で。地元でやってても面白くなくて。音楽やる奴がほとんどいなかったんですよ。ラッパーっていっても違う感じだなって思ってて。そのときもうEISHIN(SWANKY SWIPE のメンバー)と組んでたんですよ。中野にはしょっちゅう遊びに行ってました。

 SWANKY SWIPEはBES、EISHIIN、DJ PORCHE、YODELからなるグループで2000年代にHIP HOPをHIP HOPそのものとして新たな次元に持って行ったグループのひとつだ。アルバム『BUNKS MARMALADE』を是非聴いて見て欲しい。リリース当時さまざまな場所で話題になっていた記憶は鮮明に焼き付いている。90年代にヘッズにトラウマを残したBOOT CAMP CLIKと近い存在と言っても過言ではないだろう。SWANKY SWIPEのBESとEISHINの出会いは意外だけれどしっくりくる。

EISHINと組みはじめたのは?

B:18、9からですね。EISHINはわからないですけどおれは向こうがラップやってるのは知ってたんで。新宿にCISCOがまだあったときに、たまたまばったり会ってですね。その前にも何回か連絡してたんですけど、電話切られちゃったりして(笑)。俺は中学からEISHINのこと知ってたんですよ。お互いスキーやってて、スキーの大会で知り合ってるんですよ。「サイプレス・ヒル聴いてる?」 「聴いてる、聴いてる」とか言って。

I:面白い。

青梅に住んでたときの思い出の曲ってありますか?

B:そのとき、地元の先輩のDJがレッドマンの“IT’S LIKE THAT”ってあるじゃないですか? それに山本リンダをブレンドしてたんですよ(笑)。

I:かなりどぎつい味になりそうですね(笑)。

B:そうそう。俺爆笑してて、ひとりで(笑)。「だっだだだだだだ」って山本リンダが入ってくる。クラブでそういう時間があったんですよ(笑)。その人は青梅から絶対に出ない人なんですけど。福生で基本イベントやってるのが多くて、アメ車の輸入やってる先輩がいて、その人達がYOU THE ROCKとかを呼んでイベントやってたんですよ。そこで自分がセキュリティとかやってて。19とかっすかね。そのパーティは人も凄かったですね。

I:その時代知らなかったです。ふたりとも別々でソロでやってたんですね?

B:いや、EISHINはグループ組んでたんだけど。結局グループがなくなっちゃって、相手がいないってなってて。そんで、地元の奴ごしに、八王子に会いに行って、そこで会うのが後のDJ PORCHEなんですけどね。それで、八王子でイベント出てました。「URBAN CHAMPION」の前ですね。お客さん5人しかいなかったり、見よう見まねでフリースタイル・バトルやって無茶苦茶になって笑っちゃったりとか(笑)。春木屋って店があって、スタジオとライヴハウスがくっついた3階あるところなんですけど。春木屋はもうないんですけどね。。15年以上前ですね。

I:面白そうですね。

その頃はISSUGIとはまだ会ってないですか?

I:俺はまだですね。BEDに遊びに行くようになって「URBAN CHAMPION」とか「ELEVATION」ってイベントがあって、それで知ったって感じですね。仙人掌とかメシアTHEフライが先に知ってました。SWANKY SWIPEって人達がいるって、聞いてて。それで、場所がBEDだったんですぐにライヴを見て。

その時の印象は?

I:ライヴ見て、衝撃受けました。何話したかは覚えてないんですけど、「ライヴやばかったす。」って感じのことを言って、普通に握手しようとしたら。このタイプの握手の人だったんすよ。(4段階式の握手の手振りをする。)わかります?「ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!」みたいな。周りにあんまりそういう人がいなかったんですよね。

B:MSこうだったじゃないですか? 俺たちはこうで。パチンってやるのをやってたんですよね。最近みんなこうじゃないですか?(色々な握手を手振りする)

たしかに。その頃って握手の仕方違いましたね。

B:ありましたよね。俺たちはこうパチンで。鳴らすのをずっとやってて。

I:いままで見たこと聴いたことないラップだなって思ったのを覚えてます。

そのときに一緒に曲を作るイメージはありました?

B:なかったよね。

I:その頃はBEDで会うっていう感じでしたね。毎月何回か何かのイベントでBEDで。

B:ライヴなくても会ってたりしてたね。

 BESもISSUGIも出演してなくても、クラブにいる印象がある。MONJUのメンバーである仙人掌はBES、SWANKY SWIPE双方のアルバムに参加しているのもあって、出会った当初から共に曲を作っている印象を持ってる人は少なくないだろう。初の共演は2012年になる。

「BES ILL LOUNGE」(MIXED BY DJ ONE-LAW)ので初めて一緒に曲やってるので合ってますか?

B:たぶん。

I:はい。そのなかの“COFFEE & SUGAR”が最初だと思います。バトルに一緒に出たりはしてたんですけど、曲作りはそこまでなかったですね。

B:ないっす!

それより前に曲作ってるんじゃないか? って思ってしまいます。

B:やってないですね。やるとしたら仙人掌でしたからね。

SWANKY SWIPEもBESの1stも参加してますもんね。“COFFEE & SUGAR”はどういう経緯で作ることになったんですか?

I:GUINESS君(ラッパー/『BES ILL LOUNGE』をリリースしたレーベル、SNAKESLOWを当時運営)が振ってくれたんでしたっけ?

B:うん。GUINESS君からだと思うよ。

I:それで、ビートを聴いてもらって、すぐに、面白いと思ってすぐ作ったすね。

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俺が、USのラッパーのトラックにラップのせてっていうシリーズを作りたいなと思ってて。たまたま、、あれ? 俺から声かけたんだっけ?
──BES
はい。「ビートジャックしたミックステープ」を作ろうって誘いの連絡をもらいました。
──ISSUGI


BES & ISSUGI
VIRIDIAN SHOOT

WDsounds/Pヴァイン

Hip Hop

Amazon

そういうエピソード聞くのすごく好きです。そこからまた時間が5年くらい空いて今作『VIRIDIAN SHOOT』ですが、どういう経緯で作ったんですか?

B:俺が、USのラッパーのトラックにラップのせてっていうシリーズを作りたいなと思ってて。たまたま、、あれ? 俺から声かけたんだっけ?

I:はい。「ビートジャックしたミックステープ」を作ろうって誘いの連絡をもらいました。

時期的には16FLIP vs BES(BESのアルバム『THE KISS OF LIFE』を16FLIPが全てREMIXしたもの。アルバム本編には収録されていなISSUGIのRAPも収録。)よりあとですか?

I:それより前の可能性があるんですよね。「『THE KISS OF LIFE』のリミックスやってよ?」って言われる前に、ジャック系の作品を作ろうっていうのでこっちのプロジェクトは動いていて。

その時点でレコーディングはじめてましたか?

I:はい。そうなんですよ。3~4曲くらいは録ってたんですよ。DOPEY君(東京のRGFのトラックメーカー。アルバム『SMILE』をリリースし、現在、制作動画と配信のプロジェクト「WORKS」をゲストを招き展開中)のとこで。

全部DOPEYのところでレコーディングはしてるんですか?

I:最初はDOPEY君のところでなんですけど、分かれてるんすよね。3つの時代に。DOPEY君/ODORI STUDIO/KOJOE君のところ。

レコーディング時期も分かれてるんですか?

I:各4ヶ月、3ヶ月は空いてますね。

レコーディングしてる日数はどれくらいなんですか?

I:今回スタジオ入ってる回数は少なくて5回とかだと思うんですよ。1日にふたりで3曲くらいRECORDINGしてたんですよね。

期間が空いてるとはいえ、かなりハイペースでのレコーディングですよね。意図的にですか?

I:俺的には単純に一緒にいると勝手に曲ができ上がってくようなイメージでしたね。パッパッパって。

B:どっちかが書けたら先に録ってっていう流れ。合わせてリリック書いたりふたりで構成作って、できたらそれでOK。

I:自分でも驚くほどでしたね。こんなに楽に曲できちゃって。だって、何もない状態でスタジオ行って、「今日何やりますか?」ってはじまってるのに、帰るときには3曲くらいでき上がってて。やべーできた! って。

ふたりで作ってる印象を強く感じました。

I:どっちかの聴くとそれによってスラスラと書けるというか。俺のなかで最初はビートジャックのミックスCDを作ってる感じで作ってたので、普段のアルバムよりちょっとゲーム的というか、煮詰め過ぎないスピーディな質感が出せたと思ってます。BESとレコーディングしてったものを、持っていってディール組んでお金ゲットしてっていう。BESの誘ってくれたゲームに参加させてもらうみたいな意味でも楽しめたというか。

B:ありがとうす。

楽しんでる感じ伝わります。エグさももちろんあるけど、音に乗ってる楽しさというか、気持ち良さを感じました。どのようにこの作品のアイデアは生まれたんですか?

B:『BES ILL LOUNGE』で海外のトラック、ビートジャックしたらCDでだったら出せるってわかったから、自分の好きな曲のトラック使ってやりたいって思って。それ作れたら最高だと思って、そのときに話ししてたレーベルが「お金の話しましょうか?」って言ってたんだけど、「できました」って持ってったら、「流通しかできません」って言われて。「お金の話しようっていってたじゃん」って。それでどうしようってなって。

I:そっからはバトンタッチっていうか、自分がそのバトンを持ってやるぞっていう。

そこからアカペラをトラックにのせていく?

I:5曲くらいはトラックに合わせて書いたんですけど、他はアカペラをトラックにのせて行きました。

どういう流れで制作してたんですか?

I:基本的には自分が集めたオリジナルのビートにアカペラを乗せ変えて曲を作って、BES君に「気に入らない(ビートとアカペラがあってない)のがあったら言ってください」って送ったら。これで全部ばっちりってなって。

作り方自体がかなり面白いですよね。

B:そうなんすよ。

I:いままで自分でもないっていうか。

B:俺もないっす。

 ビートジャックからオリジナルにBESからISSUGIにバトンが行き来する。海外のミックステープでオリジナルのものが既存のインストにブレンドされたものは普通に存在してる。その逆の作り方で作られたアルバムはこの作品以外に存在するのだろうか? ビートジャックして作られた「オリジナル」のものを聴けることはあるのだろうか?

I:はめこんで作る作業が面白かったですね。この雰囲気にあうビートはこれでとかで。やってみて合わなかったのもあるし。元々フックががっちりできたものは、このフックに合うトラックをはめるっていう作業だったり。“NO PAIN, MO GAIN”がもろそういう曲で、フックのハマりを失いたくないなと思って、探して元のフックにバッチリ合うビートが見つかって完成したときは嬉しかったですね。

トラックは新たに探したというよりは自分がもっているストックを使ったんですか?

I:はい。GWOP (GWOP SULLIVAN)のビートは自分のソロのときにALL GWOPプロデュースで出したいなと思って、十何曲くらい持っていて。やりたいと思ってたんですが、自分のなかで先の先の先くらいのプランで考えていて。すぐ制作に入れない感じだったんですよね。でもビートってずっと持ってると自分にとって古くなるというか、ビートってそういうのあると思うんですよね。だからBES ISSUGIを作ってるときにコレだと思ってそこにGWOPのビートを全部つぎ込みたいと思って。作りました。

GWOPに対する印象をそれぞれ聞かせてください。

B:渋いっすよね。

I:俺も渋いと思いました。渋いんだけど年齢もそんなにいってないと思うんですよ。自分より年齢下なんじゃないかな。若くて渋いところわかっちゃってるビート作るやつだと思ってて。だから90sの焼き直しと全然違うフィーリングというか、鳴り含めてアップデートされているんですよね。あとはドラムに勢いがあってドラムの跳ね方がヤバいことになってますね。GWOPのビート、ドラムとベースの出方がウーファーから風が吹いてきそうなんですよ。そういうところが好きです。

新たに録った曲もあるじゃないですか? どこでこのアルバムを完成だと決めましたか?

I:いちばん最後にRECが終わったのが“WE SHINE”で、それが終わったときにこの曲で揃ったかなと思ったんですけど、自分的に“WE SHINE”をアルバム最後の曲にしたくなかったのでBONUS 2曲いれて、そこまでの流れで1枚聴いて欲しいと思ってました。アルバム作ってて これがHIP HOPっしょって気持ちもあったし、HIP HOP好きなやつが聴いてぶち上がるアルバムにしたいという思いもありましたね。

 絶対的な「HIP HOP」に作品で聴き、ライヴで首を振りまくって騒いで欲しい──

〈VIRIDIAN SHOOT LIVE TOUR〉
4/28 北見UNDERSTAND
4/29 旭川BROOKLYN
5/5 池袋BED
6/2 京都OCTAVE
6/3 岐阜
6/30 水戸MURZ
7/14 福島

「BES & ISSUGI『VIRIDIAN SHOOT』
& Mr.PUG『DOPEorNOPE』DOUBLE RELEASE PARTY
supported by CARHARTT WIP」

日程:2018年5月5日(土・祝)
会場:池袋BED
OPEN 22:00
DOOR / ¥3,000 1D
ADVANCE TICKET / ¥2,500 1D + BONUS CD
RELEASE LIVE:
BES & ISSUGI
Mr.PUG
(feat 仙人掌,MICHINO,Eujin KAWI)
LIVE:
弗猫建物
BEAT LIVE:
CRAM
ENDRUN
DJ:
BUDAMUNK
DOPEY
JUCO
GQ
TRASMUNDO DJs
YODEL & CHANGYUU

チケット取扱店:
DISK UNION
JAZZY SPORT
TRASMUNDO
7INC TREE LIMITED STORE

Nanaco + Riki Hidaka - ele-king

 昨年、リキ・ヒダカのライヴを見たとき、彼は歌うのではなく、ステージの上でひとりでドローンを演奏した。いわゆるインディ・ロック系のオムニバスのライヴのだったので、そりゃあもちろん、スマホをいじっている客もいた。が、そこにいたほとんどのオーディエンスは、リキ・ヒダカの演奏に集中した。リキ・ヒダカもまた、オーディエンスの耳を話さなかった。アンビエント系とかその手のイベントならまだしも、経験的に言えば、ライヴハウスでロックのファンを前にこれができるミュージシャンは多くはない。
 リキ・ヒダカは素晴らしいボヘミアンだ。広島のStereo Recordsからリリースされている彼のアルバムは、静かな波紋を呼んで、本当にゆっくりと広まっている。そのひとつはジム・オルーク、石橋英子とのライヴ・ツアーだが、いまもうひとつ、意外なコラボレーション作品のリリースが発表された。年々再評価を高めている80年代を駆け抜けた伝説のシンガー、佐藤奈々子との共作『Golden Remedy』がそれだ。
 世代もジャンルも異なるこのふたり、いったい何がどうしてコラボレーションすることになったのか謎ではあるが、間違いなく注目作でしょう! 

Nanaco + Riki Hidaka『Golden Remedy』
2018年6月20日リリース
PCD-25259 定価:2,500円+税

伝説のシンガー、佐藤奈々子の5年ぶりニュー・アルバムは、今もっともアートなサウンドを紡ぐ大注目ギタリスト、Riki Hidakaとのあまりに美しきコラボレーション!
唯一無二のウィスパー・ヴォーカルと吸い込まれるほど夢幻的なギター・サウンドが織りなす妖艶なるポップ・ワールド──。カメラ=万年筆とコラボした前作に続き、またしても若き天才との化学反応が生んだ恍惚の傑作が誕生!

<トラックリスト>
1. Old Lady Lake
2. 王女の愛 (Love of Princess)
3. Frankincense Myrrh Gold
4. I Will Marry You
5. 美しい旅人 (Beautiful Traveller)
6. Secret Rose
7. 未来の砂漠でギターを弾く君と私 (The Desert)
8. 魔法使い (Wizard)
9. 白鳥 (Swan)

<参加ミュージシャン>
オカモトレイジ (OKAMOTO’S):dr
野宮真貴:cho
ジェシー・パリス・スミス:keys, cho
Babi:cho
佐藤優介 (カメラ=万年筆):p
佐藤望 (カメラ=万年筆):chorus arrangement
ほか

◆プロフィール


佐藤奈々子 (Nanaco)
歌手・写真家
1977年 佐野元春氏との共作アルバム『ファニー・ウォーキン』でデビュー。4枚のソロアルバム他をリリース。
1980年以降、カメラマンとなり、広告、雑誌などで活躍し、5年間パリで暮らす。
1996年 アルバム『Love is a drug』をイギリス、アメリカ、日本でリリース。タイトル曲のシングルは、日本人アーティストではじめて、NMEの"single of the week" に選ばれる。
1998年 イギリスBella Unionより、Simon Raymondeプロデュースによるアルバム『Luminous love in 23』をリリース。
2000年 R.E.Mを手がけたMark Binghamのプロデュースにより『sisters on the riverbed』をリリース。
2013年 カメラ=万年筆とのコラボレーション・アルバム『old angel』(diskunion)リリース
2016年 前田司郎監督の映画「ふきげんな過去」の主題歌を歌唱+作詞。近年はライブ活動も行なうようになり、さまざまなミュージシャンとのセッションやライブツアーも行なっている。写真家としては、広告、雑誌、またCoccoや細野晴臣といったミュージシャンのCDジャケットなどの撮影を多数手がけている。ピチカート・ファイヴに楽曲提供した「Twiggy Twiggy」は世界的なヒットとなった。


Riki Hidaka
1991年LA出身。東京育ち。2014年よりNY在住。ギター奏者。
『NU GAZER』(‘11)、『POETRACKS』(‘11)、『LUCKY PURPLE MYSTERY CIRCLE』(‘17)など、自主制作による限定リリースを含む多数のソロ作品をリリースするほか、QN、THE OTOGIBANASHI’S、GIVVNなどの作品にギタリストとして参加。また、アートワークやフィルム制作、ショーの音楽など、様々な分野で活動している。ライヴも精力的に行い、17~18年に行われたジム・オルーク、石橋英子との二度に亘るスリーマン・ツアーは話題を呼んだ。


Oneohtrix Point Never - ele-king

 先日ニュー・アルバム『Age Of』のリリースがアナウンスされたOPNだが、ついにその詳細が発表されることとなった。同時に新曲“Black Snow”もフルで公開されている。

 公開されたクレジットを確認してまず驚くのは、多くのゲストが参加している点だ。これはOPN名義のオリジナル・アルバムとしては初めてのことである。ダニエル・ロパティンはこれまでもじつにさまざまなアーティストとコラボを繰り返してきたけれど、どうやら『Age Of』にはその経験が直接的に反映されているようだ。

〔新作には〕僕がここ数年、他のアーティストたちのために働いて経験したことに対する直感的で忠実な反応が詰まっているんだ。『Garden of Delete』の後に注目されるようになって、“グロテスク・ポップ”を作った後に、実際にポップ・ミュージックを作るようにもなった。音楽的な労働、つまり、音楽を収獲するということ、つまりは、誰かの音楽的なゴールのために働くということについて考えるようになった。また僕自身についてや、僕の作曲家として、またプロデューサーとしてのアイデンティティについてもね。 (オフィシャル・インタヴューより)

 そのような経験はロパティンにシュルレアリスムを想起させるものだったらしい。オフィシャル・インタヴューにおいて彼は「自分が欲しい音と、他人が欲しいと思うような音との両方を混ぜ合わせたシュールレアリスム的な音の組み合わせは、まるで誰かに切り裂かれたクレイジーな彫刻のようなものになった」と語っている。そのように「労働」と「シュルレアリスム」というふたつの観点を発見した彼は、新作『Age Of』に関して次のように宣言している。

僕はこのアルバムを「ブルーカラー・シュルレアリズム(労働階級のシュルレアリズム)」と呼ぼうと思ってる。 (オフィシャル・インタヴューより)

 じっさいに招かれているゲストたちも興味深い。クレジットにはローレル・ヘイローラシャド・ベッカーの作品への参加で知られるパーカッショニストのイーライ・ケスラーや、昨年『Hopelessness』でハドソン・モホークとともにOPNにもプロダクションを担当させていたアノーニなどに加え、なんとジェイムス・ブレイクの名までもが記載されている。
 なかでも4曲で参加しているアノーニの存在は、このアルバムの成り立ちそのものに関わっているようだ。環境問題をめぐる会話でアノーニを怒らせてしまったロパティンは、それをきっかけに環境について考えるようになり、それこそが本作の始まりとなったのだという。

僕らは欲張りで地球から多くを取り過ぎることになる。自分たちのことしか考えないからね。アノーニの気持ちを傷つけてしまったことからはじまって、もうそうしたくないと思った。そしてなぜ自分が無感覚だったのかということについても考えた。もう少し気遣えるようになりたいし、コンピュータードリームの一端になりたくないんだ。このアルバムはちょっとした警告ようなものなんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 そして、もっとも驚きを与えるだろうゲストのジェイムス・ブレイクについてロパティンは、「彼とは気が合うんだ。付き合いは長くはないよ。お互いに存在は知っていたけどほとんど話したこともなかった」と振り返っている。OPNは一昨年、ハドソン・モホークとジェイムス・ブレイクとの論争を仲裁しているが、その前年あたりから交流が始まったのだろうか。ともあれ、ブレイクは3曲でプレイヤーとしてキイボードを担当するとともに、アルバム全体のミックスを手がけてもいる。ロパティンは、今回のアルバムのミキサーにはエンジニアではなく自身でも音楽を演奏する人がふさわしいと考え、ブレイク本人に依頼することになったのだそうだ。

彼〔ジェイムス・ブレイク〕は、自分が作ったジェイ・Zの曲をSpotifyで聞いた時、これは正しいミックスじゃないと言ってSpotifyから曲を落とさせて、彼が思った通りの、より良いものと入れ替えさせたって話があるんだ。とてもクールだよね。それに強い。インスパイアされたよ。それで彼にアプローチしてみたんだ。そしたら「いつスタートする?」ってすぐ返事が来て、とてもいいエネルギーを感じた。 (オフィシャル・インタヴューより)

 他方、ブレイクのキイボーディストとしての腕前についてロパティンは、「デレク・ベイリーのような即興演奏者やフリージャズピアニストのようだ」と語っている。「音楽とは何かということに気づかせてくれる。つまり音楽とはアイディアではなく、人から出てくる直感のようなものなんだ」。
 クレジットを眺めていてさらに驚くのは、本作にはなんとロパティン本人の歌までもがフィーチャーされているということだ。「ただ歌が好きなんだ。歌が声を必要とする」と彼は言う。「何を言っているかわかりづらくても、何かしらの意味を発しているというだけで奇跡的だと思うんだ」。前作『Garden Of Delete』では音声合成ソフトのChipspeechが導入されていたが、本作ではオートチューンが用いられている。

僕とアノーニの声を使ってオートチューンやエフェクトをかけてる。声が別のものになるってのがいいんだ。モンスターとか生物が好きだからね。SFとかへの愛情の現れでもあるね。声がリッチで興味深くなる。音の鳴り方自体が物事を説明できてしまうほどパワフルになる。その一方で何も伝わらなかったとしてもオブジェになるというようなパワーもある。声の持つ色々な側面が好きなんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 サウンド面で言えば、チェンバロのサンプリングが使用されているのも新作の大きな特徴のひとつだろう。先月部分的に公開された新曲にはルネサンス音楽~バロック音楽の要素が表れ出ていたが、それもチェンバロの響きから誘導されたものと思われる。

チェンバロは面白い楽器だ。音楽的なマシーンってのがいい。僕にとってチェンバロは、色々な開発が進んでいた時代に、物事を発展させて世の中を変えようとしていた中で生まれたもので、工業的な強みを持った、バイオリンのような弦楽器の複雑なバージョンだ。開発された当時は、例えばシンセサイザーの音を最初に聴いた時のような衝撃があっただろうね。 (オフィシャル・インタヴューより)

 コンセプト面もおもしろい。本作にはふたりの哲学者が影響を与えている。ひとりはミハイル・バフチン。彼がラブレーの『ガルガンチュワとパンタグリュエル』について論じた文章(おそらく『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』)を読んだことが、このアルバムを作るきっかけのひとつとなったらしい。

彼〔バフチン〕が本の中で言っていてとても好きな部分があって、それは「歴史は嘘だ」というようなことなんだ。つまり我々が認識している歴史は、混沌とした複雑な世界を注意深く整えて残したもので、真実は街の市場で起こっているということ。人々が笑いあったり、悪いジョークを言っていたりする中にね。それを読んだ時に、すぐにこのアルバムのことが思い浮かんで、その昔の16世紀の時代に同じことを思っていた友達がいたということに気づいて嬉しかったんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 もうひとりはニック・ランドだ。今回公開された新曲“Black Snow”のリリックは、ランドの主宰する研究機関Cybernetic Culture Research Unit(CCRU)が2015年に出版した本(おそらく『Ccru: Writings 1997-2003』)からインスパイアされているのだという(ランドについては、コード9のインタヴューを参照)。

 ……とまあ、このように、今回のOPNの新作は、さまざまな面でじつに興味深い作品に仕上がっているようである。リリースは5月25日。カンヌ映画祭でのサウンドトラック賞の受賞や坂本龍一のリミックス・アルバムへの参加を経て、ダニエル・ロパティンは次にどこへ向かおうとしているのか? 混沌とした現代を象徴することになりそうなこの新作を、しっかりと迎える準備を整えておこう。

最新にして圧倒的傑作『AGE OF』から
自ら監督した新曲“BLACK SNOW”のミュージック・ビデオを解禁!
ジェイムス・ブレイク、アノーニらのアルバム参加も明らかに!

アルバム発表と同時に待望の来日公演も発表され、謎めいたトレーラー映像も話題となっているワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、最新アルバム『Age Of』から、初のフル公開曲となる新曲“Black Snow”を解禁! ミュージック・ビデオはOPNことダニエル・ロパティン自らが監督を務めている。さらにジェイムス・ブレイク、アノーニらのアルバム参加も明らかとなった。

ONEOHTRIX POINT NEVER - BLACK SNOW
https://opn.lnk.to/BlackSnow-video

本楽曲の歌詞は、イギリス出身の哲学者・著述家であるニック・ランド、そして彼が設立に携わり、90年代に活動した「サイバネティック文化研究ユニット(Cybernetic Culture Research Unit)」にインスパイアされており、我々人間が、いかに混乱に向かうことを運命づけられているかということを突きつける。奇異さとポップネスを絶妙なバランスで同居させ、内臓を貫くようなハーモニーがもたらす心地良さも、異端なミニマリズムが生む緊張感も、すべてが美しいメロディーの海原へと溶け込んでいく。

また今回の発表に合わせて、アルバムの全クレジットが公開され、OPN名義の作品としては初めて、他のアーティストがゲスト参加していることが明かされた。ジェイムス・ブレイクがアルバム全体のミックスを担当している他、3曲でキーボードを演奏、さらにアノーニがヴォーカルで参加している(*OPNはアノーニの最新アルバム『Hopelessness』でハドソン・モホークと共にプロデューサーを務めている)。他にも、ローレル・ヘイローやラシャド・ベッカー、日野浩志郎らとのコラボレーションでも知られる気鋭パーカッショニスト、イーライ・ケスラー、ケレラやブラッド・オレンジ、ファーザー・ジョン・ミスティ作品への参加でも知られるシンガーにしてチェリストのケルシー・ルー、ノイズ・アーティストのプルリエントらが参加。ミックスを依頼したジェイムス・ブレイクについて、ダニエル・ロパティンは次のように語っている。

ジェイムスとうまく仕事ができたのは、ミキシングに必要なのは技術的なことじゃなくて、良いアレンジだという点で同意していたことにあると思う。正しいサウンドが並び合っていればミックスも簡単だ。でも間違った音が並んでクレイジーな場合は、技術に頼らざるを得なくなってくる。スタジオでの判断基準はすべてどうアレンジするべきか、だった。音楽的な視点でのミックス作業で、それこそ僕が必要としているものだった。とても彼が助けてくれたことに満足してるよ。ジェイムスはノッてくるとキーボードも演奏してた。

大型会場パークアベニュー・アーモリー(Park Avenue Armory)で二日間開催予定だったニューヨーク公演が即完したことを受け、ニューヨークでの追加公演、ロンドン公演、そしてデンマーク(ハートランド・フェスティバル)、スペイン(プリマヴェーラ・サウンド)でのフェスティバル出演を経て、9月に一夜限りの東京公演(Shibuya O-EAST)の開催も決定! 売り切れ必至のチケットは、各プレイガイドにて現在絶賛発売中。

公演日:2018年9月12日(WED)
会場:O-EAST

OPEN 19:00 / START 19:30
前売 ¥6,000(税込/別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可

一般発売日:4月21日(SAT)
チケット取扱い:
イープラス [https://eplus.jp]
チケットぴあ 0570-02-9999 [https://t.pia.jp/]
ローソンチケット (Lコード:72937) 0570-084-003 [https://l-tike.com/opn/]
BEATINK [www.beatink.com]

企画・制作:BEATINK 03-5768-1277 [www.beatink.com]

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9577

OPN最新アルバム『Age Of』は、日本先行で5月25日(金)リリース! 気鋭デザイナー、デヴィッド・ラドニックがデザインを手がけたアートワークには、アメリカ現代美術シーンで最も影響力があるヴィジョナリー・アーティストと称されるジム・ショーの作品がフィーチャーされている。国内盤には、ボーナストラックとして、ボイジャー探査機の打ち上げ40年を記念して制作された映像作品「This is A Message From Earth」に提供した“Trance 1”のフル・ヴァージョンが初CD化音源として追加収録され、解説書と歌詞対訳を封入。SF小説家の樋口恭介が歌詞の翻訳監修を手がけている。またスペシャル・フォーマットとして数量限定のオリジナルTシャツ付セットの販売も決定。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Age Of

release date:
2018/05/25 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-570 定価:¥2,200+税

国内盤CD+Tシャツ BRC-570T
定価:¥5,500+税

【ご予約はこちら】
beatink:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9576

amazon:
国内盤CD https://amzn.asia/6pMQsTW
国内盤CD+Tシャツ
S: https://amzn.asia/0DFUVLD
M: https://amzn.asia/4egJ96i
L: https://amzn.asia/g0YdP88
XL: https://amzn.asia/i0QP1Gc

tower records:
国内盤CD https://tower.jp/item/4714438

iTunes : https://apple.co/2vWSkbh
Apple Music :https://apple.co/2KgvnCD

【Tracklisting】
01 Age Of
02 Babylon
03 Manifold
04 The Station
05 Toys 2
06 Black Snow
07 myriad.industries
08 Warning
09 We'll Take It
10 Same
11 RayCats
12 Still Stuff That Doesn't Happen
13 Last Known Image of a Song
14 Trance 1 (Bonus Track for Japan)


ALBUM CREDITS

Written, performed and produced by Oneohtrix Point Never
Additional production by James Blake

Mixed by James Blake
Assisted by Gabriel Schuman, Joshua Smith and Evan Sutton

Mix on Raycats and Still Stuff That Doesn’t Happen by Gabriel Schuman

Additional production and mix on Toys 2 by Evan Sutton

Engineered by Gabriel Schuman and Evan Sutton
Assisted by Brandon Peralta

Mastered by Greg Calbi at Sterling Sound

Oneohtrix Point Never - Lead voice on Babylon, The Station, Black Snow, Still Stuff That Doesn’t Happen
Prurient - Voice on Babylon, Warning and Same
Kelsey Lu - Keyboards on Manifold and Last Known Image Of A Song
Anohni - Voice on Black Snow, We’ll Take It, Same and Still Stuff That Doesn’t Happen
Eli Keszler - Drums on Black Snow, Warning, Raycats and Still Stuff That Doesn’t Happen
James Blake - Keyboards on We’ll Take It, Still Stuff That Doesn’t Happen and Same
Shaun Trujillo - Words on Black Snow, The Station and Still Stuff That Doesn’t Happen

Black Snow lyrics inspired by The Cybernetic Culture Research Unit, published by Time Spiral Press (2015)
Age Of contains a sample of Blow The Wind by Jocelyn Pook
myriad.industries contains a sample of Echospace by Gil Trythall
Manifold contains a spoken word sample from Overture (Aararat the Border Crossing) by Tayfun Erdem and a keyboard sample from Reharmonization by Julian Bradley

Album art and design by David Rudnick & Oneohtrix Point Never

Cover image
Jim Shaw
The Great Whatsit, 2017
acrylic on muslin
53 x 48 inches (134.6 x 121.9 cm)
Courtesy of the artist and Metro Pictures, New York

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Black Snow

iTunes : https://apple.co/2vWSkbh
Apple Music : https://apple.co/2KgvnCD
Spotify : https://spoti.fi/2HZc1kL

Brett Naucke - ele-king

 現代的電子音楽シーンにおいて注目すべきレーベルのひとつ〈ウモール・レックス〉からリリースされたカセット作品『エグゼキュータブル・ドリームタイム』(2016)でも知られるシカゴのモダン・シンセシスト、ブレット・ナウケの新作が、〈エディションズ・メゴ〉傘下にして、元エメラルズのジョン・エリオットが運営する〈スペクトラム・スプールス〉からリリースされた。マスタリングを手掛けたのはベルリンのD&M。ちなみに〈スペクトラム・スプールス〉からは2014年の『シード』以来、2作目のアルバムである。

 ブレット・ナウケの活動歴は(意外と)長い。彼は2007年に自身のカセット・テープ・レーベル〈カトリック・テープ〉をスタートさせ、2010年にマイケル・ポラードのレーベル〈アーバー〉からソロ作品『サザン・カリフォルニア』をリリースしている。
 以降、ブレット・ナウケ自身のアルバムや音源のリリースのみならず、そのレーベル運営によって幾多のアーティストや音源を送り出してきた。いわば00年代末期から10年代にかけてアメリカのモダン・シンセサイザー・ミュージック・シーンを支えてきた人物のひとりといっても過言ではない。

 それにしてもブレット・ナウケのモジュラーシンセを駆使する電子音楽家の音を聴いていると、不思議と「音楽」から遠く離れていく感覚になる。正確には音楽から記憶の層へと遡行するような感覚に陥るのだ。これはいったいどういうことか。
 むろん、ブレット・ナウケの音楽が「音楽的ではない」というわけではない。むしろこの種の電子音楽の中ではニューエイジやアンビエントの要素が適度にミックスされ、とても聴きやすく「音楽的」といえなくもないくらいだ。とはいえ現代において無数に存在するこの種のニューエイジ・リヴァイヴァルなアンビエント・電子音楽作品とはどこか違う気がする。

https://hausumountain.bandcamp.com/album/multiple-hallucinations

 そう、彼の電子音は不思議な官能性がある。まるで「記憶=ノスタルジア」のように。これは興味深い音楽現象である。電子音楽の「モノ=現在性」と「記憶=ノスタルジア」の結晶とでもいうような。
 この新作『ザ・マンション』も同様である。一聴するとシンセに細やかな環境音などがレイヤーされ、天国的ともいえるマテリアルなアンビエント作品に仕上がってはいる。だがその電子音のモノ性のむこうに、感情を淡く揺さぶる記憶の層は煌めいているのだ。モジュラー使いとして知られているブレット・ナウケならではのノイズ音響を生成している「だけではない」点も面白いのだ。

 アルバムには全7曲が収録されているが、中でも冒頭の“The Vanishing”は、そのような「モノ」と「記憶」の層が交錯するような音楽性を象徴するトラックである。電子音のアルペジオ、微かに騒めくノイズ、聖歌隊のような声など複数の音響が複雑に折り重なりつつも、しかし全体として「大袈裟な物語」を描くことはなく、「記憶=ノスタルジア」を遡行するようなミュジーク・コンクレートとなっているのだ。
 続く“Youth Organ”、“Sisters”も同様だが、特に“Born Last Summer”は、シンセサイザーの魅惑と環境音などのマテリアルな質感とノスタルジックな抽象性が同居するトラックに仕上がっている。以降、“The Clocks In The Mansion”、“A Mirror In The Mansion”、“No Ceiling In The Mansion”の3トラックは、まるで記憶の層をコンポジションするような音響空間を生成している。

 それもそのはずで、本作はどうやらブレット・ナウケの子供時代の記憶をイメージしているアルバムなのだ。タイトルの「マンション」も、それに関連しているのだろう。加えて曲名に散りばめられた「オルガン」(Youth Organ)、「妹」(Sisters)、「時計」(The Clocks In The Mansion)、「鏡」(A Mirror In The Mansion)といったワードもまたその家の記憶に関連付けられているのかもしれない。
 つまり本作は、記憶の音響であり、記憶のアンビエントでもあるわけだ。「記憶」と「電子音」が生成・交錯をしていくことで、ある種のオブジェクト感覚が生まれた。たとえば「写真」のように。つまり記憶の定着化である。音響によって生まれる記憶のイマージュ、その結晶。
 マテリアルな魅惑と、記憶(ノスタルジア)への誘惑と横溢。本アルバムに横溢する電子音質感に、そのような物質と記憶がもたらす官能性のようなものを強く感じてしまうのである。

SILENT POETS - ele-king

 12年ぶりの新作『dawn』がいろんなジャンルのいろんな世代にまたがって好評のサイレント・ポエツですが、なんともスペシャルなライヴ公演が決定しました。出演者のメンツを見ていただければわかると思います。これはすごい! まさに必見。6月24日、渋谷wwwです。

NEW ALBUM "dawn" RELEASE PARTY -SILENT POETS SPECIAL DUB BAND LIVE SHOW-
2018年6月24日(日)
Shibuya WWW
出  演:SILENT POETS SPECIAL DUB BAND
feat. 5lack, NIPPS, こだま和文, 武田カオリ, asuka ando, 山崎円城 (F.I.B Journal)

Special Dub Band Set:
Guitar : 小島大介 (Port of Notes)
Bass : Seiji Bigbird (LITTLE TEMPO)
Keyboards : YOSSY (YOSSY LITTLE NOISE WEAVER)
Drum&Prc : 小谷和也 (PALMECHO)
Trumpet : 坂口修一郎 (Double Famous)
Trombone : icchie (YOSSY LITTLE NOISE WEAVER)
Sax : 春野高広 (LITTLE TEMPO / ex SILENT POETS)
Violin : グレート栄田 / 越川歩
Cello : 徳澤青弦
Electronics : 下田法晴 (SILENT POETS)
Mix : Dub Master X

VJ : Kimgym

時  間:open18:00 / start19:00
料  金:前売¥4,000 / 当日¥4,500(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット
 先行予約:4/21(土)10:00 ~ 5/6(日)23:59  e+: https://eplus.jp/silentpoets/
 一般発売:5/12(土)10:00~ 
e+ : https://eplus.jp/silentpoets/
ローソンチケット【Lコード:73248】 https://l-tike.com/order/?gLcode=73248
チケットぴあ【Pコード:115-835】 https://t.pia.jp/
WWW店頭
問い合せ:Shibuya WWW 03-5458-7685
主催・企画制作:ANOTHER TRIP
協力:Shibuya WWW

IDM definitive 1958 - 2018 - ele-king

 なぜ1950年代から……?
 このタイトルを目にした方がたの多くは、まずそこに戸惑いを覚えることだろう。でも、まさにそこにこそこの本の秘密がある。
 IDMすなわちインテリジェント・ダンス・ミュージックという言葉は90年代に作られたものだ。それはハウス・ミュージックより後に生まれた概念であり、ダンスを出自としながらそこに留まらないことを希求する、ひとつのオルタナティヴな態度でもある。とはいえ、その言葉に含まれる「インテリジェント」という部分がどうしても「それ以外のダンス・ミュージックには知性がない」というニュアンスを帯びてしまうため、その呼称を忌避する者も多い。それゆえUKや欧州では当時からエレクトロニカという言葉も用いられ続けてきたわけだが、不思議なことに合衆国ではその語はプロディジーやケミカル・ブラザーズのような音楽を指すために使われることとなった。このような奇妙なねじれ、このような言葉の揺らぎそのものに、IDM/エレクトロニカという音楽の持つ特質、すなわちそれを他とわかつ決定的な指標が潜んでいるのではないか? であるなら、その前史を振り返ってみることもまた有意義なことなのではないか?
 とまあ、堅苦しい言い方になってしまったけれど、本書はディスクガイドである。IDM/エレクトロニカとはいったいなんなのか――それについてどう考えるにせよ、その中心にエイフェックスがいることは間違いない。近年では、彼を筆頭とする90年代のIDM/エレクトロニカから大いに影響を受けたラナーク・アートファックスのような新世代が台頭してきている。あるいはそこに〈CPU〉やブレインウォルツェラ、バイセップダニエル・エイヴリーなどの名をつけ加えてもいい。昨年『ピッチフォーク』が「The 50 Best IDM Albums of All Time」という特集を組んだことも話題となった。いま、90年代前半に起こった音楽的旋回がさまざまな形で参照され、新たな意味を帯びはじめている。
 そのような今日だからこそ、この『IDM definitive 1958 - 2018』はあなたに音楽の新たな聴き方を提供する。エイフェックスを起点として過去と未来とその双方に向けて放たれた無数の矢、選び抜かれた800枚以上のタイトルがいま、あなたに聴かれることを待っている。

IDM definitive 1958 – 2018

監修・文:三田格
協力・文:デンシノオト
文:野田努、松村正人、木津毅、小林拓音

contents

Chapter 1
Musique concrète / Synthesizer Music (1958~1965)

Chapter 2
Sound Effects (1966~1971)

Chapter 3
Improvisation / Composition (1972~1979)

Chapter 4
New Wave / Industrial (1980~1989)

Chapter 5
Braindance (1990~1993)

Chapter 6
Glitch Electronica (1994~1999)

Chapter 7
Indietronica & Folktronica (2000~2006)

Chapter 8
Life and Death of Rave Culture (2007~2013)

Chapter 9
Now (2014~2018)

078 KOBE 2018 - ele-king

 GWの4月28日、神戸のクロスカルチャー・フェスティバル「078」にて、デトロイト・テクノ・シーンのカリスマ、URがライヴ出演します。今回はマイク・バンクスとマーク・フラッシュのふたりによるDepth Charge名義でのライヴ、シンプルなテクノ・セットのなかで往年の名曲が聴けると思われます。「078」は無料の野外フェスです。こんな機会、なかなかないです。行ける方はぜひ行きましょう。(ほかにもKyoto Jazz Sextet+菊地成孔のライヴもあります)
 なお、4月30日には渋谷のCONTACTでもライヴ公演があります。神戸まで行けない方はこちらをどうぞ。

078 KOBE 2018 - MUSIC

 「若者に選ばれ、誰もが活躍するまち」神戸を実現するため、未来に向け魅力と活力あふれる都市として発展する神戸を発信するため、2017年から始まった市民参加型のクロスカルチャー・フェスティバル。
「078」は、神戸市のエリア・コードです。
 2年目となる2018年は、MUSIC X FILM X INTERACTIVE X FOOD X FASHION X KIDS X ANIMATIONの7つのサブジェクトが融合し、交差し、スケールアップして開催されます。MUSIC部門では、日本に最初にJAZZが降り立った街 "KOBE"として、国際色豊かな
ラインナップが揃っています。特筆すべきは、これまで15年に渡り、数々の楽曲制作を行い、KOBEを日本のホームタウンと呼ぶ"Underground Resistance"が、Mad MikeとMark Flashによる"Depth Charge"として来日。日本JAZZの聖地に、Hi-Tech JAZZを
響渡せます。また、今回は、完全なフリー・コンサートということもあり、DetroitTechnoファンには、初期DEMFを彷彿させるのではないでしょうか?

2018/4/27 - 29
*MUSIC部門は、4/28-29。UR出演は、4/28。
11:00 - 21:00
会場:神戸メリケンパーク内、特設野外ステージ
Time Table:
4/28(土)
12:00~12:30 THE APPLES
13:00~13:30 ハロルド
14:00~14:30 The Songbards
15:00~15:30 SODA!
16:00~16:30 Young Juvenile Youth
17:00~17:30 The fin.
18:00~19:00 Kyoto Jazz Sextet feat. Navasha Daya & 菊地成孔
19:00~20:45 UNDERGROUND RESISTANCE as Depth Charge
20:45~21:00 セッション

4/29(日)
11:00~11:20 バーバリアン
11:30~13:00 Japan × Asia Friendshipプロジェクト
13:10~13:30 神戸タータン × 神戸松蔭女子学院大学ファッションショー
14:00~14:30 黒猫チェルシー
15:00~15:30 THE NEATBEATS
16:00~16:30 レッツゴーSUN弾き(うじきつよし[子供ばんど] / 鈴木賢司[シンプリー
レッド] / 佐藤タイジ[シアターブルック])
17:00~17:30 ザ50回転ズ
18:00~18:30 THE TOMBOYS
19:00~19:40 WEAVER
20:10~20:40 KJPR ELECTRIC BAND

Underground Resistance (Detroit. USA)
1989年、Jeff MillsとMike Banksの2人によって、デトロイトで結成されたテクノ・グループ。彼らの融合は、Hip Hop、Jazz、Punk Rock、Funkを本質に、攻撃的な電子音を掛け合わせることで、独自のスタイルを構築し、90年代以降のエレクロニック・ミュージック・シーンに多大な影響を与え、彼らをリスペクトするミュージシャンは世界中、推挙に暇がない。

Depth Charge (デプス・チャージ)
過去29年に及ぶUnderground Resistanceとしての活動をすべて網羅したユニットを作ろうというテーマのもとに生まれたの が、今回出演するDepth Charge (デプス・チャージ)。リーダーであるMad Mike Banksと、初期からのメンバーであるMark Flashの2人による、Keyboards、Drum Machine、Turntables、Percussionsを駆使したパフォーマンスで、過去のURクラシック スから未発表曲までを縦横無尽に演奏する、これぞURというユニットである。一昨年の来日時には、1回のフェスティバ ルのみの公演であったが、いよいよ、彼らが日本のホームタウンと呼ぶ「KOBE」に凱旋を果たす。

078 KOBE 2018 公式ページ:
https://078kobe.jp/
078 KOBE 2018 - MUSIC ページ:
https://078kobe.jp/events_category/music/


■東京公演
日程:4/30
会場:CONTACT
17:00 Open / 23:00 Close
Time Table:
17:00 - DJ WADA
19:00 - Ken ISHII
20:30 - 22:30 Depth Charge
https://www.contacttokyo.com/schedule/underground-resistance-as-depth-charge
-live-in-tokyo/

R.I.P. Cecil Taylor - ele-king

 セシル・テイラーが亡くなった。

 4月5日にブルックリンの自宅でピアニストにして詩人は息を引き取る。89歳だった。最高気温は7度くらいだろう。寒くて雨がちだったこの日、家族のほかに彼を見送ったのは、サキソフォン奏者のエヴァン・パーカーと〈Cadence〉レーベルの主宰者ロバート・ラッシュだという(『ガーディアン』紙電子版)。巨漢のパーカーが共演したライヴは数え切れないし、ラッシュは最後のアルバムを作った人だ。1956年に出された最初の作品『Jazz Advance』から62年の時間が流れたのである。

 少し暖かくなったニューヨークの街では今ごろ、彼の音楽に励まされた人たちが記憶を紡ぐ催しを準備していることだろう。私もここでその試みに加わりたいと思う。

 3年前に彼がオーネット・コールマンの葬儀で演奏した音を聴きながら、これを書いている。2015年6月27日、場所はマンハッタンの西ハーレムにあるリバーサイド教会である。シャルトルの大聖堂を模したゴシック教会の高いドームに響くのは金属的なハイトーンだ。これが倍音を含んでちょっとハープシコードみたいに聞こえる。年を追うごとに南方に向かい、カーニヴァル的になっていったオーネットを送るセシルのピアノは、対照的に大都会の森厳な杜で鳴っているのである。ある種の「同志的」な共感が伝わってくるのと同時に、大きく距離をとった天空の眼を思わせる。骨に響き、脳幹を貫くすばらしい演奏だった。そう感じるのは、決して同じ時代を生きた者たちだけではないだろう。

 1929年のクイーンズ生まれ。この地区でニューヨーク万博が開かれたのは10歳の時である。セシルは根っからのニューヨーク人なのである。モンクやローチ、それにロリンズもそうだった。音楽は「街の気流」だ。どれほど孤独な音楽実験も、「自然」を志向するサウンドも、人びとの間で生まれる。実はモンクが産声を上げた1917年から1930年のロリンズまで13年間しかない。意外なのはロリンズの方がセシルより1歳若いこと。そしてオーネットはテキサス州フォートワースで生を享けたが、ロリンズと同い年だということだ。マイルスはセシルの3つ年上なだけ。何が言いたいのかって? つまりバップからフリーまで、すべてがこの街の蒸気と暗がりの中で一気に群がり起こったのである。

 訃報を伝える内外のどんな記事も「フリージャズの先覚者」という。オーネットの時もそうだった。そんな見出しを眼にすると「ああ、人はそうやって棺桶に蓋をされるのか」と思う。「棺桶」にもいろいろある。藝術の棺桶、ジャズの棺桶、フリーの棺桶、現代音楽の棺桶。そして立派な墓が立つ。20世紀の殿堂という墓穴に入れられて、それで一丁上がりである。

 セシルは、移民の缶詰のようなクイーンズ区の北東部で黒人ミドルクラス家庭の一人っ子として生まれた。「イミグラントでいないのは日本人くらいかな」と友人はいう。6歳でピアノを始め、後にボストンのニューイングランド音楽院に学んでいる。ボストンは批評家のナット・ヘントフが多民族エリアの縁でジャズに酔い痴れた街である。これはバイオグラフィーじゃない。エリントン、ミンガス、マイルスと続く自意識が絡み合うその足跡だ。そして「主流派のジャズクラブから追放された彼は」と『ガーディアン』紙でローラ・スネイプスは書いている。皿洗いやクリーニング屋(!)でどうにか喰いつないだという。民族混淆の下水道のような新宿2丁目の洗濯屋稼業で凌いだ身としては、実になんとも汚水が眼に染みてしょうがないのである。

 『Jazz Advance』の“You’d be so nice to come home to”には、セシルの自意識が辿ったこういう泥道が伺える。「ニューヨークの溜め息」ヘレン・メリルが歌うメロディーを弾くピアノはギクシャクと路地を曲がりくねって即興に突入していくのである。こういう捻れを振り払うように『Conquistador!』や『Unit Structures』の構造的土石流が押し寄せただろう。私には1980年代のFMPに残された稠密な集団即興が今でも耳に轟いている。

 オーネットへの葬送曲が、セシル・テイラー自身によるセシルへの挽歌のように聞こえないか。カテドラルの空間を昇っていくその何本もの音の線が、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタが秘めた爆発的な繊細さを思わせるのである。そこから洩れてくる声は弔いの儀式にふさわしくない。「すべての棺桶をこじ開けろ」と私に囁くのである。


Daniel Avery
Song For Alpha

Phantasy Sound / ホステス

TechnoArtificial Intelligence

Amazon Tower HMV iTunes

 化けた。そう言うべきだろう。
 タイトルとは裏腹にアシッドきらめくダンス・レコードだった2013年の前作『Drone Logic』から一転、ダニエル・エイヴリーのセカンド・アルバム『Song For Alpha』は、全篇にわたって幽遠なアンビエント・タッチのシンセを導入している。このアルバムを覆っているのは、かつて「リスニング・テクノ」や「アンビエント・テクノ」と名指されていた類のサウンドである。前作にその要素がなかったわけではないが、本作ではそれが大々的に展開されている。
 この変化に関してエイヴリー本人は、「DJ以外の活動も含めて、自分のアーティストとしての全体の活動の影響を、スタジオのなかに取り入れたものなんだ」とオフィシャル・インタヴューで語っている。以前は何よりもまずクラブでプレイされることに曲作りの基準があった、と彼は言う。しかし『Song For Alpha』はそれとは異なる方位を見据えている。

自分にとってテクノというのは、ヒプノティックな、逃避できる音楽だと思っているんだ。DJとしてのゴールというのは、自分にとって、フロア全体でみんなが手をあげて楽しむというような状況よりも、目を閉じてそのセットにはまっているような状況を作り出すことなんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 目を閉じてそのセットにはまっているような状況――つまり彼はフロアだけでなくベッドルームのことも考えるようになったということだろう。とはいえ、その変化は必ずしもダンスの放棄を意味するわけではない。なんといっても彼は、アンディ・ウェザオールやエロル・アルカンから祝福を受け、『Fabriclive』や『DJ-Kicks』といった名ミックス・シリーズに抜擢されるほどのDJである。とうぜん本作にも“Sensation”や“Quick Eternity”といった機能的なトラックは搭載されている。しかし、それらはあくまで全体に緩急をつけるためのいちアクセントにすぎないように聴こえる。ためしに目を閉じてこのアルバムが奏でるサウンドに耳をすましてみてほしい。きっと思いもよらないさまざまな情景が浮かび上がってくるはずだ。ノスタルジックなシンセだけではない。打撃音や金属音など、『Song For Alpha』で鳴らされている細やかなノイズの数々は、私たちリスナーを想像の彼方へと運び去っていく。

 これはまさに、かつて〈Warp〉が「アーティフィシャル・インテリジェンス」シリーズで試みていたことではないか――そう考えると、本作が90年代前半のテクノ黄金期の諸作を彷彿させる音色/音響で埋め尽くされていることにも納得がいく。『Song For Alpha』を聴いていると、デトロイト・テクノやそこから影響を受けたリロードやB12、あるいはプラスティックマンなどのサウンドを思い浮かべずにはいられない。“Citizen // Nowhere”なんて『Incunabula』~『Amber』の頃のオウテカのようだ。つまりこのアルバムは、その企図としても結果としても、いまという時代のなかで「アーティフィシャル・インテリジェンス」を標榜・実践しているのである。

デトロイトのテクノはもちろんだけど、だけど同じくらい〈WARP〉なんかの1990年代のテクノ・サウンドからも影響もうけているよ。あとは同時にエレクトロニック・ミュージックだけではなく、ブライアン・イーノとかウィリアム・バジンスキーとか、アンビエントや実験音楽なんかにももちろん影響はうけているよね。自分にとって、それぞれ同等の価値がある音楽なんだ。テクノだけではなく、そういう音楽からの影響も同レベルだと言えると思うんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 バジンスキからの影響は、冒頭の“First Light”やインタールードの“TBW17”、“Embers”などのビートレスなトラックに表れ出ている。とはいえ、どれほどウェイトレスなシンセが全体を覆い尽くしていようとも、本作はいわゆるアンビエントのアルバムではない。たとえば、リッチー・ホウティンを思わせる“Clear”や“Diminuendo”、“Glitter”などのミニマルなキックやハットは、どう考えてもダンスを希求している。ようするに、そのようなふたつの志向の交錯にこそ本作の肝があるということだ。
 機能性と想像性の共存という点において、本作にもっとも大きな影響を与えているのは、やはり、エイフェックス・トゥインである。“Stereo L”や“Slow Fade”のアシッドの使い方はプラスティックマン的であると同時にどこかAFXを想起させるし、“Projector”のハットなんてまるで『Selected Ambient Works 85-92』のようだ。じっさい、エイヴリーはオールタイム・フェイヴァリットにエイフェックスの『85-92』を挙げている。「あのアルバムはずっと聴いているんだ。本当にパーフェクトなアルバムなんだ」と彼は語る。

初期のエイフェックス・ツインの感覚がまさにそうなんだけど、あとは〈WARP〉のやっていたエレクトロニック・ミュージックなんかは、マシン・ミュージックでもあるんだけど、同時に人間味を感じる音楽だったと思うんだ。それにすごく影響を受けていて、機械が作る音楽なんだけど魂があるような、そういった音楽にこそ自分としては“繋がり”を感じることができるんだ。 (オフィシャル・インタヴューより)

 このような『Drone Logic』から『Song For Alpha』への変化は、90年代初頭に起こったテクノの旋回――ダンサブルなアシッド・ハウスから想像力豊かな「アーティフィシャル・インテリジェンス」へ――をそのままなぞっているかのようである。しかし、ではなぜエイヴリーは、いまこのような転身を遂げなければばらなかったのだろうか。

 時代が要請した。
 結局はそういうことになるのだろう。
 近年は、多角化する以前の〈Warp〉のサウンドを継承しようと試みる〈Central Processing Unit〉が頭角を現してきたり、エイフェックスなど90年代初頭のサウンドを取り入れたバイセップが高い評価を受けたりする時代である。ダニエル・エイヴリーのこの『Song For Alpha』もまた、そのような時代の無意識を的確に捉えた作品だと言うことができる。
 いったい「アーティフィシャル・インテリジェンス」とはなんだったのか。あるいは、いったいエイフェックス・トゥインとはなんだったのか――ダニエル・エイヴリーのこの新作は、いま改めてそれを考える機運が高まっていることを仄めかしているのである。

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