ケヴィン・マーティン──UKのエレクトロニック・ミュージック・シーンにおけるレフトフィールド、大いなるアウトサーダー。テクノ・アニマル(ゴストラッドにも多大な影響を与えている)、あるいはエクスペリメンタル・オーディオ・リサーチ(ソニック・ブームとケヴィン・シールズによる電子音楽/アンビエント/ドローン・プロジェクト)などでの活動をはじめ、最近では〈ハイパーダブ〉からのキング・ミダス・サウンドの作品がお馴染みだが、彼にとってもっとも知られたソロ・プロジェクトと言えば、ザ・バグだろう。
エイフェックス・ツインの〈リフレックス〉から2003年に出した『Pressure』は、ダブ、レゲエ、ブレイクコアが渾然一体となった作品で、2004年に同レーベルからの12インチ、ウォーリアー・クイーンをフィーチャーした「Aktion Pak」は、いま聴いても最高の輝きをほこっている。また、UKグライムやダンスホールのMCたちをごっそりフィーチャーした、2008年のアルバム『London Zoo』は、その年のベスト・アルバムの1枚だった。
ザ・バグの魅力を手短に言えば、パンク時代のドン・レッツやジョー・ストラマ-、そして90年代初頭のマッシヴ・アタックへと連綿と繋がっている、ジャマイカ音楽にインスパイアされたUKサウンドシステム文化の再解釈にあると言えるだろう。ダブがあり、ラップがあり、そしてメッセージはポリティカルだ。いまでは『London Zoo』は、やがて暗く荒れ狂うロンドンを予見した興味深い作品としても聴ける。
さて、ケヴィン・マーティンのザ・バグ名義の新作『エンジェル&デビル(Angels & Devils)』が8月16日にリリースされる。
客演には、デス・グリップス、ゴンジャスフィ、そして前々から話題になっていたグルーパー、そして、とんでもないアルバムを発表したばかりのインガ・コープランド、そして、例によって、ウォーリアー・クイーンやフロウダンなどといった路上で鍛えられた凄腕のMCたちがいる。
アルバムには、言葉としても、サウンドとしても、さまざまな暗喩が仕掛けられているが、『エンジェル&デビル』が6年の歳月を経て発表するに相応しい力作であることは間違いない。
まずは、アルバムのリリースに先駆けて、デス・グリップスが初めて外部のアーティストとコラボレーションした“Fuck A Bitch”、そして〈ワープ・レコーズ〉の神秘主義者ゴンジャスフィが激しく陶酔する“Save Me”を聴いていただこう。

THE BUG
Angels & Devils
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1995年にオーストリアの電子音響レーベル、〈ミゴ〉から12インチ「インストゥルメント」でデビュー。ギターをコンピューターで加工し、再/脱構築した綿密なスタジオ・ワークで注目を集める。1997年のデビュー・アルバム『ホテル・パラレル(Hotel Paral.lel)』(ミゴ)以降も順調にリリースを重ね、2001年のサード・アルバム『エンドレス・サマー』(MEGO)は、ジム・オルークの〈モイカイ〉からのシングル「プレイズ」(99年)をさらに発展させたサウンドで各方面から絶賛された。コンピューターで加工したアコースティック・ギターの音色と、温もりのあるグリッチ・ノイズを絶妙のバランスで編集/ブレンドして叙情感溢れるサウンドスケープを完成させている。ほかにデヴィッド・シルヴィアンとの仕事のほか、ジム・オルーク、ピタことピーター・レーバーグとのトリオ、フェノバーグや、キース・ロウのエレクトロアコースティック・プロジェクト、MIMEOへの参加などのコラボレーションなども評価されている。今年2014年、新作『ベーチュ』を〈エディションズ・メゴ〉からリリースした。
たくさんのことが変わった、が、まだ法律は変わっていない。多くのメディアでも大々的に報じられた〈NOON〉裁判の無罪判決には、僕はひとまずほっとしたというところだ。でないと先には進めないだろう。ひとつはっきりと言えるのは、風営法にただ中指を立てる時期はもう終わったということだ。ダンス文化推進議連による風営法改正案は今月中に国会に提出されるということだが、ここからは地道かつアクチュアルな展開が求められてくるだろう。「法律に詳しいひとたちがすることだから……」ではなく、ともに考えることを僕たちは経験してきたはずで、いまこそその続きが求められている。それに昨年末の紙『ele-king』における座談会でもまさに議題となったが、法律が改正されたからといってクラブ・カルチャーが絶対に盛り上がる保証なんてない。しかし、だからこそ新しいアイデアのチャンスだし、そこで楽しめることもあるはずである。
