「MAN ON MAN」と一致するもの

Various - ele-king

 ときに、人は生きるために踊ることがある。社会に変革をもたらすダンスを。反戦、反差別のメッセージを掲げ、巨大なスピーカーから流れるダンス・ミュージックと共に国家権力や法体制に対抗するサウンドデモは社会運動のひとつとして定着し、いまもなお世界各地でおこなわれている。日本も例外でなく、最近では Mars89、Mari Sakurai、篠田ミルといった東京のパーティー・シーンを率いるDJ陣を中心としたサウンドデモ・Protest Rave が都市部で定期的に開かれ、非道な法改正などに対抗すべく爆音のダンス・ミュージックで街全体を轟かし、人びとの意識を奮い立たせている。
 彼らの強烈なプレイは怒れる民衆の叫びにさも似たり。耳をつんざくサウンドが社会に示すのは、新たなる未来へ生きのびようと奮闘する我々のスタンスでもあるのだ。〈Live From Earth Klub〉と〈Never Sleep〉による共同コンピレーション・アルバム『United Ravers Against Fascism』は、まさにそういった反ファシズムを掲げるサウンドデモ的なスタンスで、ガバというダンス・ミュージックの未来を切り開く革命を起こそうとしているように思えた。

 ダンス・ミュージック・シーンの最先端を走るヨーロッパ発の二大コレクティヴが贈る本作は、HDMIRROR の “Burst Open” をはじめに、昨年渋谷WWWで開催されたネオレイヴパーティー・FREE RAVE にて来日公演をおこなった Von Bikräv が所属する Casual Gabberz の “F Le 17” と、けたたましくも華々しいトラックで幕を開ける。Merzbow 的なジャパノイズの影響を感じる Lizzitsky の淡々とした “Hd is off Anxiety Attack” に並ぶのは、TRANCEMAN2000 としても活動中の Falling Apart が繰り出すダークでアシッドな “Sex With God”。Skander による7分越えの “Paraphobia” のあとには、対照的に Powell の2分にも満たないエクスペリメンタルなショート・トラック “Z-Plane” がやってきて……と、ときおり変化球も飛んでくる現代的な進化系ガバ・サウンドがふんだんに詰め込まれている。

 メッセージ性の強い本作のコンセプトを象徴するのは、重厚な雰囲気を歪みに歪んだキックが切り刻む “Grande Raccordo Anulare” だろう。The Panacea と共にこのトラックを手がけた Gabber Eleganza ことアルベルト・ゲリーニは、2011年に tumblr で同名のアーカイヴ・プロジェクトを開設以降、コレクティヴとしての活動のほかガバのアーキヴィストとしても知られている。DJ、プロデューサーといった楽曲面以外にも、ZINEの出版やアパレルの販売、アート・キュレーションを手掛けたりと各方面でガバの魅力を発信する彼は、次のステップとして2019年にレーベル〈Never Sleep〉を立ち上げた。ガバの新しいプラットフォームとなる〈Never Sleep〉が目指すのは、古き良き時代を懐かしみ楽しむだけでなく、新世代のアーティストと共同しガバのカルチャーを新たに発展させてゆくこと。明確なヴィジョンを持ってガバの美学を追求する彼らは今回、ガバがオランダの労働者階級のユース・サブカルチャーからヨーロッパの中で突出したジャンルへと成長していった90年代において、ナショナリズムやファシズムなどの政治的イデオロギーにも結び付けられていたという複雑な歴史的背景を本作でアーカイヴすることで、今日のシーンに対してポスト・ガバ視点でのアプローチを仕掛けた。

 ダンス・ミュージックのサブジャンルを鋭く捉えたサウンドでシーンのさらなる展望を描く〈Live From Earth Klub〉と手を取り合い、忌避しがたい過去を踏まえいまの時代にガバの再解釈に挑んだ〈Never Sleep〉一行。なかなかに先鋭的なトラックが全体を彩ったのち、参加アーティストの中では大ベテラン枠に位置する Ilsa Gold の “Autre Chien” で王道ともいえるオールドスクール・ガバから、最近 Bladee との共作をリリースした注目株のプロデューサー・Mechatok の “Powder” と、透き通ったアンビエントへとつながるラストの流れは、彼らがかつてのシーンと現在をつなぐ架け橋となる様をもアーカイヴ的に物語っているようにも聴こえる。この屈強で愛すべきダンス・ミュージック、ガバがこれからも生きながらえる明るい未来を目指す勇姿を。

Synchronize - ele-king

 40年ぶりに再発され話題となった、日本のポストパンク・バンドを収録した1980年のコンピレーション『都市通信』、そのなかのひとつシンクロナイズ(後にザ・スカーレッツに改名)が、年明けにスタジオ+ライヴ音源をコンパイルした3枚組を限定リリースする。シングル2枚、カセット2本、未発表ライヴ音源、今回初出となる、ミニコミ「ニュー・ディスク・リポート」の付録ソノシート用に録音された3曲、アルバム「ポーラー・ソング」用に録音された5曲など未発表スタジオ音源を収録。いままでアーカイヴ化されてこなかった時代の貴重な音源であることに間違いない。

Synchronize, The Skarlets
An afterimage- Synchronize to The Skarlets –

仕様:3枚組CD
発売日:2021/1/27
初回限定盤
品番:WC-095~097
定価:¥4545+税
JAN:4571285920957
発売元:いぬん堂

Synchronize ~ The Skarlets
1978年 Synchronize結成。1980年 アルバム「都市通信」に参加。新宿ACBでのイベント「Street Survival宣言」への出演や都内ライヴハウスを中心に活動。1981年にシングル「訪問者」、1983年にシングル「PRIEST」を発表後、The Skarletsに改名。1987年にカセット「Skarlets」、1989年にカセット「Liverpool」を発表した。

CD発売記念ライヴ
2021年2月19日(金)新宿ロフト
AN AFTERIMAGE COLOR
料金:前売り3000円+drink
開場18:00 開演18:50
出演:シンクロナイズ、突然段ボール、モリモトアリオミ、NOISECONCRETE×3CHI5、DJ:肉夜メイジー

Total Info. https://www.synchronize80.xyz/


An afterimage
- Synchronize to The Skarlets -


Disc 1 Synchronize Studio
1. 都市通信
2. 転写
3. Easy Money
4. 訪問者
5. 幼年期
6. 連続線
7. PRIEST
8. MODE
9. Disillusion
10. 愛の見解
11. Please
12. holiday
13. NOBUYA
14. POLAR SONG

Disc 2 Synchronize Live & Demo
1. holiday
2. 都市通信
3. 停止セヨ
4. 時間膜
5. Cool Point
6. Girl’s Campaign
7. 幼年期
8. 連続線
9. Disillusion
10. MODE
11. 紅蓮
12. 愛の見解
13. 失楽園 - the location -
14. Please
15. PRIEST〜Easy Money

Disc 3 The Skarlets Studio & Live
1. Sun Room
2. 告白
3. Clear Screen
4. 反射率
5. Liverpool
6. 精霊代 - Lavender days -
7. 残像
8. 彼方 the far
9. 黄昏まで
10. 精霊代 - Lavender days -
11. 残像
12. 抱擁
13. 少年画報
14. 孔雀

Disc 1
Track 1 to 3 : Unreleased Tape
Recorded at Studio Magnet 12 June 1980.
Track 4,5 from Single「訪問者、幼年期」Plaza Records (7inch:PLAZA-1) 1981
Track 6 : Unreleased Tape 1981
Track 7,8 from Single「PRIEST, MODE」Polar Records (7inch:S-1) 1983
Track 9 : Unreleased Tape 1983
Track 10 to 14 : Unreleased Tape
Recorded at Sound Market 1984

Disc 2
Track 1 : Live Recorded at Shinjuku ACB 14 June 1980
Track 2,3 : Live Recorded at Shinjuku Loft 14 Aug. 1980
Track 4 : Live Recorded at Shinjuku Loft 3 Sep. 1980
Track 5 :Recorded at Rasenkan Feb. 1981
Track 6 :Live Recorded at Hosei University 18 Apr. 1981
Track 7,8 : Live Recorded at Shinjuku ACB 20 June 1981
Track 9 : Live Recorded at Harajuku Crocodile 25 Apr. 1982
Track 10,11 : Live Recorded at Kichijoji Manda-La 20 Feb. 1983
Track 12 : Live Recorded at Yotsuya Fourvalley 6 Apr. 1983
Track 13 : Live Recorded at Yotsuya Fourvalley 18 Nov. 1985
Track 14 : Live Recorded at Yotsuya Fourvalley 27 Jan. 1986
Track 15 : Live Recorded at Shibuya La.mama 7 Jul. 1986

Disc 3
Track 1 to 4 from「Skarlets」(Cassette) 1987
Recorded at ken's home 1987
Track 5 to 8 from「Liverpool」(Cassette) 1989
Recorded at ken's home 1989
Track 9 to 14 : Live Recorded at Fussa Chicken Shack 26 Jan. 1990

Produced by Mikio Shiraishi, Kenji Nomoto
Compiled by Mikio Shiraishi, Kenji Nomoto
Licensed from Sychronize, The Skarlets
Mastered by Kenji Nomoto (2-1 to 2-15, 3-1 to 3-14), Akihiro Shiba (1-1 to 1-14)
Remastered by Akihiro Shiba (2-1 to 2-15, 3-1 to 3-14)
Mastered at ken’s Home, Temas Studio
Remastered at Temas Studio
Photography by Ieki Maekawa
Designed by Shigeo Matsumoto

All Lyrics by Mikio Shiraishi
Music by Mikio Shiraishi (1-1 to 1-3, 1-6, 2-2 to 2-5, 2-8, 2-15 [Easy Money]), Mikio Shiraishi & Kenji Nomoto (1-4, 1-5, 1-7 to 1-14, 2-1, 2-6, 2-7, 2-9 to 2-15 [PRIEST], 3-1 to 3-14)
Vocals [All Songs], Guitar [2-14] : Mikio Shiraishi
Guitars [All Songs] ,Keyboards [3-5, 3-8]: Kenji Nomoto,
Bass : Hitomi Sanekata (1-1 to 1-3, 2-1 to 2-4), Toshiaki Kabe (1-4, 1-5, 2-6 to 2-8), Tetsushi Nishiyama (1-7 to 1-14, 2-9 to 2-15), Toshifumi Sato (3-1 to 3-4), Yukari Hashimoto (3-5 to 3-14)
Drums : Yoshio Kogure (1-1 to 1-6, 2-1 to 2-4, 2-6 to 2-12, 2-15, 3-9 to 3-14)
Programmed by Kentaro Yamaguchi (1-9 to 1-14, 3-1 to 3-8)
Keyboards : Yoko Kawano (1-6, 1-7, 2-12), Kentaro Yamaguchi (1-8 to 1-14, 2-13 to 2-15, 3-1 to 3-14), Hikaru Machida (2-5 to 2-8), Shuichi Ohmomo (2-9 to 2-11)

Thanks to U Inoue, Tadashi Moriya, Syunji Tsutaki

ARTHRALGIA presents KALMANEIT - ele-king

 これは激動の2020年を締めくくるのにふさわしいイベントかも。12/28(月)渋谷 CONTACT にて、「ARTHRALGIA presents KALMANEIT」と題されたパーティが開催される。GONNOと増村和彦によるデュオ、GONNO × MASUMURAYPY山本達久のコンビ、KOPY によるライヴのほかに、Romy Mats、Kotsu、Celter といった気鋭のDJたちが数多く出演。しっかり感染対策しつつ、豪華なラインナップを楽しもう。

オフィシャルHP:
https://www.contacttokyo.com/schedule/arthralgia-presents-kalmaneit/

Brandee Younger & Dezron Douglas - ele-king

 ハープ、来てる。近年メアリー・ラティモアアーニェ・オドワイアーなど、ハーピストたちが良質な音楽を生み出しているが、ジャズの分野におけるその筆頭はブランディ・ヤンガーだろう(昨秋コットンクラブで観た来日公演でもすばらしい演奏を披露してくれた)。
 マカヤ・マクレイヴン『Universal Beings』や、2020年の特筆すべきジャズ・アルバムの1枚、カッサ・オーヴァーオール『I Think I'm Good』にも参加している彼女だが、来年1月21日、ベーシストのデズロン・ダグラスとともに録音したライヴ盤がリリースされる。
 今年3月のロックダウン中に配信されたセッションのハイライトを集めた内容で、アリス・コルトレーン “Gospel Trane” やファラオ・サンダース “The Creator Has A Master Plan”、ジョン・コルトレーン “Wise One” などのカヴァーも収録。ハープで再演される名曲たちの美しき息吹に耳を傾けたい。

Dezron Douglas & Brandee Younger
Force Majeure

ラヴィ・コルトレーンからマカヤ・マクレイヴンまで支持されてきた実力派ベーシスト、デズロン・ダグラスとジャズ、ヒップホップ~R&Bのフィールドを中心に華やかな共演歴を誇る話題の女性ハープ奏者、ブランディ・ヤンガーによる伝説的なロックダウン・ライブストリーム・ブランチ・セッションアルバム。ボーナストラックを加え、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

Official HP : https://www.ringstokyo.com/dezrondouglasbrandeeyoungerfm

マカヤ・マクレイヴンの力作『Universal Beings』のNYセッションにも共に参加した旧知の仲であるベーシストのデズロン・ダグラスとハープ奏者のブランディ・ヤンガーが、2020年3月、リビングルームでライブストリームを開催した。彼らがリビングルームで奏でる美しく自然な音は、多くの友人や家族を励まし、勇気づけた。このアルバム『フォース・マジュール』に収録されているのは、二人による伝説的なロックダウン・ライブストリーム・ブランチ・セッションのハイライトを集めた作品で、日本盤はボーナストラックを加え、ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース。アリス&ジョン・コルトレーン、スタイリスティックス、ジャクソン5、ファラオ・サンダース、ケイト・ブッシュ、スティング、カーペンターズなどの名曲のカバーも含まれている。ニューヨーク、ハーレムの聖域の暖かさを醸し出している、精神的な癒しの音楽である。

ブランディ・ヤンガーのハープとデズロン・ダグラスのダブルベースとのデュオ演奏は、毎週金曜日の朝にリビングルームから配信された。コロナ禍での、このロックダウン・ライヴストリーム・ブランチ・セッションは、ソーシャルメディアで絶大な支持を得た。彼らは人々に親しみのある楽曲を選び、静かな高揚感と歓びを与える演奏をおこなってみせたからだ。このアルバムでその素晴らしいハイライトを楽しむことができる。(原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : Dezron Douglas & Brandee Younger (デズロン・ダグラス&ブランディ・ヤンガー)
タイトル : Force Majeure (フォース・マジュール)
発売日 : 2021/1/20
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings (RINC72)
フォーマット : MQA-CD (日本企画限定盤)

* MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

All music arranged by Brandee Younger & Dezron Douglas;
except "Inshallah" arranged by Dezron Douglas.
Dezron Douglas - double bass, bass guitar, voice
Brandee Younger - harp, voice
Recorded between March and June, 2020, at Dezron & Brandee's apartment in Harlem, New York.
Engineered by Brandee Younger.
Remote Recording Assistance by David Allen.
Edited & Sequenced by Scott McNiece.
Mixed & Mastered by Dave Vettraino.
Cover Art by Esther Sibiude.
Design & Layout by Craig Hansen.

Tracklist :
01. Coffee (intro)
02. Gospel Trane
03. Equinox
04. The Creator Has A Master Plan
05. Sing
06. You Make Me Feel Brand New
07. We'll Be Right Black
08. Never Can Say Goodbye
09. This Woman's Work
10. Nothing Stupid
11. Inshallah
12. Wise One
13. Force Majeure
14. Toilet Paper Romance
15. Flatten The Curve (outro)
16. Body and Soul (Japan Bonus Track)

好評の書評集第二弾!
「科学する心」があなたと世界を変えるかもしれない

本当に読者の役に立つ書評――良い本はしっかりと評価し、ダメな本はしっかりと批判する。そんな「まっとうな書評」が高く評価された山形浩生の書評集、第2弾は「サイエンス・テクノロジー」編。

「科学する心」の尊さ、テクノロジーの楽しさと未来に託す夢。そしてデマやあおりに惑わされない冷静な思考を解く、古びることのない、今の時代に必要な本の数々が紹介されています。その数およそ120冊!

目次

はじめに

第1章 サイエンス
 科学と文明と好奇心――『鏡の中の物理学』
 「わからなさ」を展示する博物館――The Museum of Lost Wonder
 星に願いを:天文台に人々が託した想い――No One will Ever have the Same knowledge again
 「別の宇宙」は本当に「ある」のか? 最先端物理理論の不思議――『隠れていた宇宙』
 若き非主流物理学者の理論と青春――『光速より速い光』
 物理学のたどりついた変な世界――『ワープする宇宙』
 「ありえたかもしれない世界」にぼくは存在するか? 確率的世界観をめぐるあれこれ――『確率的発想法』
 スモールワールド構造の不思議――『複雑な世界、単純な法則』
 分野としてはおもしろそうなのに:特異な人脈の著者が書いた変な本――『人脈づくりの科学』
 トンデモと真の科学のちがいとは――『トンデモ科学の見破りかた』
 真の科学理論検討プロセス!――『怪しい科学の見抜きかた』
 あらゆる勉強に通じるコツ――『ファインマン流物理がわかるコツ』
 あれこれたとえ話を読むより、自分で導出して相対性理論を理解しよう!――『相対性理論の式を導いてみよう、そして、人に話そう』

第2章 科学と歴史
 人々の格差は、しょせんすべては初期条件のせいなのかしら――Guns, Germs and Steel『銃・病原菌・鉄』
 参考文献もちゃんと収録されるようになり、単行本よりずっとよくなった!――『銃・病原菌・鉄』
 『銃・病原菌・鉄』のネタ本のひとつ『疫病と世界史』を山形浩生は実に刺戟的な本だと思う――『疫病と世界史』
 マグル科学の魔術的起源と魔術界の衰退に関する一考察――『磁力と重力の発見』
 魔術と近代物理学との接点とは――『磁力と重力の発見』
 文化を創るのは下々のぼくたちだ――『十六世紀文化革命』
 社会すべてが生み出した近代科学の夜明け――『世界の見方の転換』
 コペルニクスが永遠に奪い去ったもの:地動説がもたらした人間の地位の変化を悼む――Uncentering the Earth: Copernicus And the Revolutions of the Heavenly Spheres
 「星界の報告」新訳。神をも畏れぬ邪説を唱えたトンデモ本。発禁にすべき――『望遠鏡で見た星空の大発見』
 イスラムの現状批判とともに、もっと広い科学と宗教や規範の関係を考えさせられる――『イスラームと科学』
 アメリカとはまったく別の技術の系譜――『ロシア宇宙開発史:気球からヴォストークまで』
 有機化学がイノベーションとハイテクの最前線だった時代――『アニリン―科学小説』

第3章 環境
 脱・恫喝型エコロジストのすすめ:これぞ真の「地球白書」なり――The Skeptical Environmentalist『環境危機をあおってはいけない』
 地球の人々にとってホントに重要な問題とは? 新たな社会的合意形成の試み――Global Crisis, Global Solutions
 温暖化対策は排出削減以外にもあるし、そのほうがずっと効果も高い!――Smart Solutions to Climate Change: Comparing Costs and Benefits
 環境対策は、完璧主義ではなくリスクを考えた現実性を!――『環境リスク学』
 マスコミのあおりにだまされず、科学的な環境対応を!――『環境ホルモン』
 温暖化議論に必要な透明性とは?――『地球温暖化スキャンダル』
 壮大な地球環境制御の可能性――『気候工学入門』
 真剣なエコロジストがたどりついた巨大科学への期待――『地球の論点:現実的な環境主義者のマニフェスト』
 いろいろ事例は豊富ながら、結局なんなのかというのが弱くて総花的――『自然と権力――環境の世界史』
 誇張してあおるだけの温暖化議論でよいのか?――『地球温暖化問題の探究』

第4章 震災復興・原発・エネルギー
 震災復興の歩みから日本産業の将来像を見通す――『東日本大震災と地域産業復興 II』『地域を豊かにする働き方』
 原発反対のために文明否定の必要はあるのか?――『福島の原発事故をめぐって』
 正しく怖がるための放射線リテラシー――『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』
 主張は非常にまっとうながら、哲学はどうなったの?――『放射能問題に立ち向かう哲学』
 頭でしか感じられない怖さの恐怖――『廃墟チェルノブイリ』

第5章 建築
 いろんな表現の向きと具体性のこと――『住宅巡礼』『日本のすまい―内と外』
 真に自然の中に位置づく建築のあり方などについて――『時間の中の建築』
 人間くさく有機的な廃墟の本――『廃墟探訪』
 失われゆく現代建築の見直し――『昭和モダン建築巡礼 西日本編』
 楽しい探訪記ながら明らかにしたかったものは何?――『今和次郎「日本の民家」再訪』
 家の持つ合理性を見抜いた名著――『日本の民家』
 「構想力」の具体的な中身を分析したおもしろい本――『群像としての丹下研究室』
 長すぎるため、どうでもいい些事のてんこ盛りに堕し、徒労感が多い一冊――Le Corbusier: A Life
 言説分析が明らかにしたのはむしろ分析者の勝手な思い込みだった――『未像の大国』
 記憶術が生み出した建築による世界記述と創造――『叡智の建築家』

第6章 都市計画
 街と地域の失われた総合性を求めて――『廃棄の文化誌』
 都市に生きる人たちと、都市を読む人――『恋する惑星』&『檻獄都市』のこと――『檻獄都市』
 土建政治家の構想力とは――『田中角栄と国土建設』
 都市開発とぼくたちの未来像など――『最新東京・首都圏未来地図―超拡大版』
 次世代に遺すインフラ再生問題――『朽ちるインフラ』
 数十年にわたって継続する都市開発を養うには――『ヒルサイドテラスウェストの世界』
 槇文彦も村上龍も、ハウステンボスの怪にはまだかなわない――『記憶の形象』
 電気街からメイド喫茶へ:おたく的空間のあり方とは――『趣都の誕生』
 古代中世の話で9割が終わる都市空間デザイン論というものの現代的意義は?――『都市空間のデザイン』
 日本のバブル永続を想定した古い本。すでに理論は完全に破綻、今更翻訳する意義はあったのか?――『グローバルシティ』
 うーん、いろいろやったのはわかるが、それで?――『モダン東京の歴史社会学』
 その金科玉条の「オーセンチック」って何ですの?――『都市はなぜ魂を失ったか』
 建築と都市が重なる奇妙な空間へ――『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』

第7章 医療・生命
 肥満二段階仮説、あるいはデブの免疫療法に関する一考察――『免疫の意味論』
 死体になったらどうなるの? 決定版:ぼくらの死体完全マニュアル本!――Death to Dust: What Happens to Dead Bodies?
 死体関連のネタ満載。この分野のおもしろさを何とか知らせて認知度をあげようとする著者の熱意が結実――『死体入門』
 医学生がジョークで撮った解剖記念写真集。医学と死体解剖のあり方を考えさせる、二度と作れないだろう傑作――Dissection: Photographs of a Rite of Passage in American Medicine 1880-1930
 現実のドリトル先生にして現代外科医学の開祖――The Knife Man: The Extraordinary Life And Times Of John Hunter, Father Of Modern Surgery
 おおお、エミリー・オスターきたーっっっっ!!――『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』

第8章 遺伝・進化
 歪んだ標的にされた、遺伝とは無関係な知能偏重社会批判の書――『ベルカーブ:アメリカ生活における知能と階級構造』
 人種とスポーツと差別について――Taboo: Why Black Athletes Dominate Sports and Why We Are Afraid to Talk About It
 遺伝子分析とITが交差する新分野の魅力書――『実践バイオインフォマティクス』
 きみは進化のために何ができるか? バカやブスの存在理由について――『喪失と獲得』
 ラスコー展とニコラス・ハンフリー
 進化論の楽しさと威力、そして宗教との共存――Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives
 生得能力と最適な社会制度について考えさせられる本――『心の仕組み』
 人間での遺伝の役割をドグマから救う勇気の書――『人間の本性を考える』
 初歩から最先端の成果までを実に平易に説明、日本の研究水準紹介としても有益。あとは値段さえ……――『自己変革するDNA』
 日本人は昔からあれこれ混血を進めてきました、という本――『ハイブリッド日本』
 日本人の起源を総合的に見直すと?――『日本人はどこから来たのか?』
 すばらしい。創発批判本!――『生命起源論の科学哲学』
 人間の遺伝子分布についての立派な百科事典。ネトウヨどもは本書についてのインチキなデマをやめるように――The History and Geography of Human Genes
 人類進化と分布のとても優秀な一般向け解説書。インチキに使わずきちんと読もう!――The Great Human Diasporas: The History Of Diversity And Evolution
 クローン生物の可能性と現実――『第二の創造:クローン羊ドリーと生命操作の時代』
 ネアンデルタール人の精神世界にまで踏み込む――『ネアンデルタール人の正体』
 すべての人工物の理論と進化について――『システムの科学』『進化と人間行動』

第9章 脳と心
 異分野を浸食する脳科学の魅力がつまった一冊――『脳のなかの幽霊、ふたたび』
 脳科学から倫理と道徳を考える――『脳のなかの倫理』
 心や意識の問題でも、もはや哲学はジリ貧らしいことについて――『MiND』
 Do Your Homework! 思いつきの仮説だけでは、脳も心もわからない――『脳とクオリア:なぜ脳に心が生まれるか』
 意識とは何か? 「人間である」とは?――Conversations on Consciousness: What the Best Minds Think About the Brain, Free Will, And What It Means to Be Human
 妄想全開:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳――『新訳 夢判断』
 インチキだと知って読むと、読むにたえないシロモノではある――『失われた私』
 原資料をもとに、多重人格シビルのウソを徹底的に暴いた本。でも批判的ながら同情的でフェアな視点のため、非常に感動的で悲しい本になっている――Sybil Exposed: The Extraordinary Story Behind the Famous Multiple Personality Case
 え、プラナリアの実験もちがうの?!!――『オオカミ少女はいなかった』
 人を丸め込む手口解説します――悪用厳禁!――『影響力の武器』
 意識の話はむずかしいわ――『ソウルダスト』
 うーん、ヤル気の科学よりいいなあ――『WILLPOWER 意志力の科学』
 文明を築いた「読書脳」――『プルーストとイカ』

第10章 IT
 マイケル・レーマンの偉大……それと藤幡正樹――『FORBIDDEN FRUITS』
 さよなら「ワイアード」――「ワイアード 日本版」
 がんばれ!! 微かに軟らかい症候群――『マイクロソフト・シンドローム――コンピュータはこれでいいのか!?』
 コンピュータはあなたの知性を反映する!――『あなたはコンピュータを理解していますか?』
 プログラミングの傲慢なる美学と世界観――『ハッカーと画家――コンピュータ時代の創造者たち』
 気分(だけ)はジャック・バウアー!――『世界の機密基地―Google Earthで偵察!』
 意味を求める人間と、自走する情報のちょっと悲しい別れ――『インフォメーション―情報技術の人類史』
 バーチャル世界だけで人類は発展できるのだろうか――『ポスト・ヒューマンの誕生』
自分でできる深層学習――『Excelでわかるディープラーニング超入門』

第11章 ものづくり・Maker・テクノロジー
 技術的な感覚のおはなし――『root から/へのメッセージ』が教えてくれるもの
 夢のロボットたち:「ロボコンマガジン」は楽しいぞ――「ロボコンマガジン」
 狂気の自作プラネタリウムの教訓と可能性など。――『プラネタリウムを作りました。』 出来の悪い後輩たちの空き缶衛星物語と、草の根科学支援の方向性について――『上がれ! 空き缶衛星』
 本気で夢を実現しようとする驚異狂喜の積算プロジェクト――『前田建設ファンタジー営業部』
 施工見積から見えてくる空想と現実の接点――『前田建設ファンタジー営業部Part 3「機動戦士ガンダム」の巨大基地を作る!』
 トンネルの先の光明――『重大事故の舞台裏』
 ピタゴラ装置の教育効果――『ピタゴラ装置DVDブック1』
 世界に広がる、ミステリーサークルの輪!――The Field Guide: The art, History and Philosphy of Crop Circle Making
 自分で何でも作ってみよう! 農作物からITまで――『Made By Hand』
 よい子は真似しないように……いやしたほうがいいかな?――『ゼロからトースターを作ってみた』
 アンダーソンは嫌いだが、Makersビジネス重視の視点はおもしろく、実践も伴っていてえらい――『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』
 ものづくりとしての科学的お料理解説書――『Cooking for Geeks: 料理の科学』
 ジブリ『風立ちぬ』に感動したあなたに!――『名作・迷作エンジン図鑑』
 新ジャンルに取り組むアマチュアたちの挑戦とその障害をまとめた、わくわくする本――『バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!』
 量産からバイオまですべてに貫徹するものづくり思想とは――『ハードウェアハッカー』

あとがき

著者
山形浩生(やまがた・ひろお)
1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。
大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。
著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。

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Tunes Of Negation - ele-king

 電子音楽プロデューサーのサム・シャックルトンがベルリンを拠点に率いるグループ、チューンズ・オブ・ニゲーション(Tunes of Negation, 以下TON)の前作、『Reach the Endless Sea』は13世紀のペルシャの神秘主義詩人、ジャラール・ウッディーン・ルーミーから着想を受けている、ということを担当した自分のライナーの結びに書いた。それが全てではないにしろ、シャックルトンが、パーカッショニスト/作曲家タクミ・モトカワ、ヴィブラフォニストのラファエル・マイナートとともに新たなサウンドの地平を目指すプロジェクトが、TOGである。2020年、その2作目となる『Like the Stars Forever and Ever』が一年という短期間で我々のもとに届いた。
 まずは〈Skull Disco〉時代のシャックルトンの円循環的リズムのごとく、自分のライナーから反復させてもうが、イスラム神秘主義、つまりスーフィズムにおいて、無限的な存在である神への消滅を目指すことが主眼におかれている。それを実行する上で非常に重要な役割を果たすのが、高校の世界史の授業でも登場する、自我忘却へと向かうあの旋回するダンスである。音楽を通し、スーフィーたちは無限へと回転する。
 シャックルトンがやってきたダブステップとそれ以降のエレクトロニック・ダンス・シーンを見渡せば、このような非西洋由来の音楽の影響は散見される。シャックルトンとは共作で『Pinch & Shackleton』(2011)という名盤を残しているブリストルのピンチによる “Qawwali”(2006)(カッワーリーはスーフィズムの宗教童謡である。著者が住むロンドンでは、ムスリム系の住民たちは地域の大学や公民館などにあつまってその演奏会などを定期的に開いており、コミュニティの壁がないわけではないが、イギリスでは一般市民たちがその文化に触れる機会は決してゼロではない)、西欧の外側からやってきたトライバル・リズムと重低音のミクスチャーのある種の完成形を見せたクラップ!クラップ!の『Tayi Bebba』(2014)などは大きな例である。
 それらはダンスフロアにおいて、リズムを経由し非日常的な空間を出現させたわけだが、TONはよりコンセプチュアルな方向へと向かい、サウンドの持つ思弁性や崇高なアレンジメントを駆使し、各楽曲のタイトルが持つイメージを聴き手に想起させる。 それはアルバムに先立ち公開された “Your Message Is Peace” のビデオが、VRゴーグルを装着しているような一人称の視点から、ジャケットに描かれているサイケデリックの世界を探索していくように、「外側」の「内側」へと埋没させていく感覚に近いかもしれない(「矛盾」もTONのテーマであると今作のプレスリリースにはある)。
 これまでのシャックルトンのソロ作のように、敷き詰められたビートがあるわけではなく、太鼓がゆっくりと聞き手の意識を揺れ動かしながら空間を分割し、星のようにこぼれる旋律が、ソファにうずくまる身体を飲み込んでいく。埋没するVR的美学の採用という点や、彼と同世代のティム・ヘッカーが濃霧という自然現象が持つ超越性をアンビエントのフォーマットで表現していることを考慮すると、ここにはある種の同時多発的現代性も認めることができるだろう。

 フロアでの昇天というよりは、神秘的な感覚へと向かうTONだが、シャックルトンがこれまでに我々の身体を震わせてきた重低音も、今作では基調的に機能している。前作に引き続きゲストとして参加している、演奏家/ヴォーカリストのヘザー・リーが冒頭部分を飾る “Naked Shall I Return” では、多層化されたコーラスと入れ替わるように登場するサブベースが主導権を握り、ダブが発生させる磁場によって他パートの演奏にグルーヴを生んでいる。
 平均して一曲9分という長尺で構成されている今作は、一曲中だけでもドラマチックな展開がなされているが、アルバムの構成という点においても、異なるナラティヴが登場する。“You Touched Us With Light” では、それまでに生まれたリズムの磁場が消失し、視界の奥で微かになるヴィブラフォンと宙を舞う蝶のようなスネアが弾くポリリズムが、オルガンの旋律とともに奇妙なテクスチャーを生成している。光を経由して我々に接触してくる「You」という二人称は、おそらくは「神」のような超越存在を指しているのだろう。そのような抽象的存在と、触れることはかなわないが、確かに存在している光という「物体」の性質を表現するように、身体に響くという意味でのリズムの具象的な物質性がここでは後退していくかのようである。
 『Like the Stars Forever and Ever』で最後に登場する概念は、終曲のタイトルにも現れているように “Impermanence / Rebirth”、つまり「無常」と「転生」である。前作からの共通概念として今作に引き継がれているのは「無限」だが、今作においてシャックルトンはその対概念ともいえるものに触れているのだ。アルバム最長の15分にも及ぶ再生時間のなかで、これまでとは対照的により静かに進行していく楽曲は、光り輝く前半部とは逆方向の隠を写している。異なる概念たちをそれ相応のサウンドで鳴らしてみせる描写力は、電子音楽作家としてシャックルトンのひとつの到達点だろう。
 2020年はポーランドのマルチ楽器奏者ワクロー・ジンペル(Wacław Zimpel)との共作『Primal Forms』 を、今作と同様に〈Cosmo Rhythmatic〉からもシャックルトンはリリースしている。そちらはユニットであることに主眼が置かれ、より電子的なサウンドとリズムがサックスなどの楽器をシンプルに包握していく過程がスリリングな一枚だが、TONは四人のパフォーマンスにより、さらにアンサンブルな表現形態となっている。この流れでいくと、当然のことながら待たれるのは、この共作過程をへて「転生」したシャックルトンのソロ作品だろう。
 TONにあえて的外れの粗探しをすれば、ここにないのは、これまで我々をフロアで汗だくにさせてきた強靭で最高に滑稽なシャックルトンのダンス・ビートである。前作から引き続き無限と対面することにより、新たなサウンドをそこから引き出し、変化を予期させるタイトルで終わる今作。輝く星々のように無限ではないものとは何か。それは他でもない人間である。2021年、一度粉々に砕け散った世界の再生が期待されるタームにおいて、無限に接近した孤高の作家がその有限な生で何を作るのか。我々はそれを心して待たなければならない。

Burial, Four Tet, Thom Yorke - ele-king

 あの名作「Ego / Mirror」から9年、黄金の3人による新作「Her Revolution / His Rope」。先週木曜日、このニュースが流れてすぐ、一縷望みをかけてロンドンの高橋勇人に連絡しました。しかし、ときすでに遅し。高橋君は取り扱いのレコ店に行った後で、どのお店でも瞬殺完売だったそうです。つーか、限定300枚だからそれはそうだろう。discogsではすでに7000円以上付けられているし。まあ、しかしさすがトム・ヨーク(反グローバル経済/反新自由主義)ですな、ちゃんと国内市場を優先していると。でも、再プレスして海外のファンにも届けてください~。(個人的にはBurial + Four Tetによる“ Moth”って曲がいちばん好きなんですけ、聴いた人の話によると、今回の曲は2曲ともなかなかの名曲だそうで)


12月11日:追記情報
完売したと思われたこの12インチ、今月の中旬に日本のレコード店にも少量入荷される予定とのことです。さらに、2021年には2ndプレスが広域に流通予定だそうで(時期は未定ですが、おそらく冬の間には……)。なお、1stプレスと2ndプレスに仕様の違いはありませんので転売ヤーから買わないようにね。

それから、「Her Revolution」の歌詞がビートさんから公開されました。


our darling revolution
愛すべき僕たちの革命

she is always in us
彼女は常に僕たちと共にある

cracks appearing at the centre
いくつもの亀裂が中心に現れる

while we go spinning
僕たちが廻っている間に

walking offline
オフラインで歩いている間に

as rings up in the sky
空に浮かぶ輪のように

she demanding diamonds
ダイアモンドを求めている彼女

we are breaking her heart
僕たちは彼女の心を傷つけている

cracks appearing at the centre
いくつもの亀裂が中心に現れる

says all this revolution
このような数々の革命には

has such a cost
大きな犠牲が伴うと言われている

(how my wooden heart it feels nothing )
(木製の僕の心が、何も感じないなんて)

Various - ele-king

 86年冬に忌野清志郎がロンドンで『レザーシャープ』をレコーディングしていた時、ベースが途中でブロックヘッズのノーマン・ワット・ロイからマッドネスのマーク・ベッドフォードに交代した。『レザーシャープ』のためにコーディネイターのカズさんが用意したバンドはブロックヘッズにドラムだけトッパー・ヒードン(クラッシュ)という組み合わせで、出所してきたばかりのトッパー・ヒードンが目の前をうろうろするだけで緊張していた僕はさらにマーク・ベッドフォードまで来たかと思い、あわわという感じでスタジオの隅に退散し、なるべく小さくなっていた。マッドネスは解散したばかりで、ラスト・シングルはスクリッティ・ポリッティのカヴァー“Sweetest Girl”。それこそつい半年前にオリジナルよりもヒットしていたばかりだった。

 マーク・ベッドフォードは翌年、レザーシャープスのメンバーとしても来日し、その模様はライヴ盤の『Happy Heads』として残っている(ちなみにトッパー・ヒードンは出国が許可されなかったためドラムスはブロックヘッズのチャーリー・チャールズに交代)。マークは清志郎の女性スタッフたちに受けがよくてステージでも楽屋でも同じように明るく、15歳の時から始めたバンドが解散したばかりとは思えなかった。イギリスに戻ってからはどうするのだろうと思っていたのだけれど、なんのことはない、彼はバターフィールド8とヴォイス・オブ・ビーハイヴという2つののバンドをすぐにもスタートさせ、B~52sやマリ・ウイルスンがリヴァイヴァルさせたビーハイヴ・ファッションをトレードマークとした後者は普通にポップ・バンドとして成功し、ハービー・ハンコックのカヴァー・シングル“Watermelon Man”でデビューしたバターフィールド8も軽妙洒脱なジャズ・ユニットとしていきなりプレスから高評価を得ることとなった(マッドネス解散後にザ・ファームのマネージャー業へと転じたヴォーカルのサッグスとはかなり命運を分けたというか)。ザ・スミスのレトロ志向を真似たのか、エリザベス・テイラーが娼婦役を演じたヴィンテージ映画のタイトルにちなむバターフィールド8は、マーク・ベッドフォードがマッドネス同様2トーン所属にしていたヒグソンズのテリー・エドワーズと組んだデュオで、いまとなってはアシッド・ジャズの先駆だったとされるものの、どちらかといえば過剰にスタンダードを志向し、<ラフ・トレード>や<チェリー・レッド>といった80年代のポップスがよりどころとしていた過去の遺産を再定義しようとするものだった。こうして僕はテリー・エドワーズの存在を知ることとなった。この男が、そして、とにかくよくわからない男だった。

 アルバム1枚で終了してしまったバターフィールド8の後、僕がテリー・エドワーズの名前を再び目にしたのは彼のソロ・デビューEP「Plays The Music Of Jim & William Reid」で、タイトル通り、“Never Understand”などジーザス&メリー・チェインの曲をカヴァーしまくる内容だった。これは受けた。ギターのフィードバック・ノイズをすべてピヨ~ピヨヨ~とホーンで模倣し、なんともアブノーマルなポップに変換していた(リード兄弟も気に入ったみたいで、後に『Munki』でエドワーズがホーンを任されている)。それだけでも充分なのに彼は次の年、セカンド・アルバムからガロン・ドランクの正式メンバーとなる。ガロン・ドランクは絶頂期を迎えていたレイヴ・カルチャーなどものともしないパンカビリーのバンドで、これが異常にカッコよく、来日公演ではオルガンをまるでノイズのように演奏しまくったせいか、スーサイドと比較する声も出たぐらいだった。タイマーズのボビー(ヒルビリー・バップス出身)にも薦めたところ「これはロカビリーじゃないですよ、パンクですよ」と言いながらけっこう気に入っている様子だった。うらぶれたムードを強調し、大量の酒を飲むというネーミングながら、実は彼らはとてもインテリで、一時期はリーダーのジェイムス・ジョンストンとテリー・エドワーズはドイツのファウストも兼任しており、このメンバーで来日もしている。そう、テリー・エドワーズにはその後もエレクトロニック・ミュージックに手を出したり、ノー・ウェイヴの女王リディア・ランチとバンドを結成するなどアヴァンギャルドな側面も多々現れることになる。レゲエ・バンドを組み、単なるポップスのアルバムや映画音楽、後にはブロックヘッズにも再結成のタイミングで加入し、マーク・ベッドフォードとは2010年代に再びジャズのスタンダードを演奏するニア・ジャズ・エクスペリエンスを復活させもする(エイドリアン・シャーウッドが全曲リミックス)。多面的すぎてほんとによくわからない。表現の核がないとも言える。しかし、僕が彼にいつまでもこだわる理由ははっきりしている。彼が96年にシングル・カットした“Margaret Thatcher, We Still Hate You”という曲名に驚かされたからである。「マーガレット・サッチャー、オレたちはまだあなたを憎んでいる」。1分ほど怒鳴り散らしているだけで大した曲ではない。これが、しかし、ブリット・ポップやフレンチ・タッチに浮かれていた時代にはぐさっと来た。アルバム・タイトルが『My Wife Doesn't Understand Me(妻はわかってくれない)』とか『I Didn't Get Where I Am Today(いまは自分を見失っている)』、さらには『Yesterday's Zeitgeist(時代遅れ)と、問題意識がかなり身近なところで完結している人なのに、そういう人が口に出す“サッチャー憎し”はインテリが口に出すそれとはレヴェルが違う怒りに感じられた。竹中平蔵を憎み続ける氷河期世代に通じるものがあるというか。

『Very Terry Edwards』はヒグソンズから始まる彼の経歴を混乱したまま、いや、より混乱させるために3枚組にまとめたコンピレーションで、60歳を記念して60曲入り。セッション・ミュージシャンとして参加してきたラッシュやロビン・ヒッチコック、あるいはフランツ・フェルディナンドやジミ・テナーなど、“そんなことまでやってたの”的な曲が網羅され、Discogsにも載っていない曲の数々がこれでもかと掻き集められている(ジュリアン・コープやPJ・ハーヴィーなど見つけやすい曲はカットしたとのこと)。音楽のジャンルという意味ではなく、一応、テーマとしてCD1は「ビーフハート&ブリストル」、CD2は「スペース・エイジ」、CD3は「フォーエヴァー・パンク」という“感覚”で分けられているという(うむむ……まったくわからなかった)。ザ・フォールやマイルス・デイヴィスのカヴァーEPのことはファンならよく知るところだけれど、グレン・マトロックのバンドに参加していたとか、ヒューマン・リーグまでカヴァーしてるとは知らなかった(前述の“Never Understand”を含むカヴァー曲だけのコンピレーション『Stop Trying To Sell Me Back My Past』も別にリリースされている)。パンク、ジャズ、オーケストラ、スカ、シューゲイザー、ブルース、電子音楽、ファンク、ソウル、クラウトロック……エンディングはピザの配達をやっていた3人組によるスリック・シクスティのトロピカル・トリップ・ホップ。“Margaret Thatcher, We Still Hate You”も収録されている。これはいってみれば作家があちこちに書き散らした文章を1冊にまとめたもので、書き下ろしだとか連載をまとめた類いとはまったく違う。つまり、入門編ではないし、ましてやテリー・エドワーズは一体、何がやりたいのかと一度でも首を傾げたことがない人には無縁の長物だろう(ほんとに長いし)。しかも、「一度でも首を傾げた」人はこれを聞いてさらに首を傾げる回数を増やすだけで、見えてくるのは彼のあがきや、華麗なのか無様なのかよくわからないセッション・ミュージシャンの生き様ぐらいだろう。ずば抜けた才能がない人間は他人の夢に力を貸して生きるしか創作の現場に残ることはできない。ここにあるのは飛び散った自分の断片で、しかし、それを集めたところで自分が再生されるわけでもない。それでもテリー・エドワーズはこれをつくることにしたわけだし、彼の作業を遠くから見守っていたジョン・レイトという音楽関係者がいて、テリー・エドワーズが1回1回のチャンスに全力で取り組んでいた姿を記録したかったのである。エレキングでカール・クレイグやスリーフォード・モッズのことを書いていたジョン・レイトから僕がこの企画のことを聞かされたのは20年近くも前のことだった。その間に40周年も50周年も過ぎて、60周年になっちゃったんだなあ。ジョン、お疲れさまでした。

New Order - ele-king

 いまから20年後の未来では、音楽ファンはこう振り返るでしょう。「ああ、2020年の最悪な年にはニュー・オーダーが“ビー・ア・レベル(Be a Rebel)”を発表したっけ……」。ニュー・オーダーの5年ぶりの新曲、まあ、ずいぶん話題になりました。多くのリスナーのなかにNOには少なからず熱い思いがあるからでしょう。で、その熱い曲のミュージック・ヴィデオが公開されました。これもまた、シュールかつ暗示的な、なかなかの力作です。また、限定アナログ12インチが12月4日(金)に発売されます。こちらには、バーニーとステファンによりリミックス・ヴァージョンが収録されます。

[YouTube] https://youtu.be/JOoyPT6RoF4
[LISTEN & BUY] https://smarturl.it/nobar

■以下はレーベルからの資料より

 ミュージック・ヴィデオはスペインのNYSUが制作し、バンドは次のように述べている。

“マドリードのNYSUには、「レストレス」(最新アルバム『ミュージック・コンプリート』収録)のミュージック・ヴィデオを以前作ってもらったんだけど、彼らの映像に対するイマジネーションには僕らバンドも心底感銘を受けていたんだ。今回「Be a Rebel」で再び彼らとタッグを組んだんだけど、インスピレーションあふれる独特の美的感覚で独創的なヴィデオを作ってくれました”


 コロナ禍の影響により発売が延びていたアナログ12インチは、12月4日(金)に発売が決定した。この12インチには、オリジナルの他、バーナード・サムナー、スティーヴン・モリスのリミックスなど全4曲が収録されている。またバーナード・サムナーのリミックス「Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Mix)」は、adidas Spezialとのコラボレーションで使用された曲のオリジナル・ヴァージョン。

[adidas Spezial CF/ YouTube]
https://bit.ly/3mvGsTg

 「タフな時代だからこそ、この曲をみんなに届けたかったんだ。ライヴはしばらくできないけれども、音楽は今なお私たちみんなで分かち合えるもの。楽しんでもらえると嬉しい……また会える日まで」──バーナード・サムナー

 本来この曲は、今年秋に予定されていた彼らのツアーに先駆けて発売される予定だったが、そのツアーは2021年に延期され、それでも困難な時にこの曲を発売することの意義をバンドが感じて発売に至った。また、今年3月に予定されていたジャパン・ツアーは、コロナ禍の影響により2022年1月に実施される。(https://www.creativeman.co.jp/event/neworder2020/)

「反逆者になろう 破壊者じゃなくて」と歌われるこの高揚感あふれる曲は、このタフな時代においてわれわれ自身を祝い、いま持っているものに感謝しようというメッセージが込められている。その歌詞の対訳は以下の通り。

■「ビー・ア・レベル」(Be a Rebel)歌詞対訳
https://trafficjpn.com/news/nobar/

■ジャパン・ツアー日程
大阪 2022年 1月24日(月) ZEPP OSAKA BAYSIDE
東京 2022年 1月26日(水) ZEPP HANEDA
東京 2022年 1月28日(金) ZEPP HANEDA
制作・招聘:クリエイティブマン 協力:Traffic
https://www.creativeman.co.jp/event/neworder2020/

■商品概要(アナログ12インチ)
NOBAR Insta Square 3.jpg
アーティスト: New Order
タイトル: Be a Rebel
発売日:2020年12月4日(金)

― Tracklist ―
A1. Be a Rebel
A2. Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Mix)
B1. Be a Rebel (Stephen’ s T34 Mix)
B2. Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Instrumental Mix)

[BUY] https://smarturl.it/nobar

■最新オリジナル・アルバム『ミュージック・コンプリート』(2015年)まとめ
https://bit.ly/1FHlnZJ

■ニュー・オーダー バイオグラフィ
https://trafficjpn.com/artists/new-order/

今里(STRUGGLE FOR PRIDE/LPS) - ele-king

敷居を高くしていないとご飯が食べられない人達のお茶碗を、
夜な夜な割っていく作業に従事しています。

1.META FLOWER /DOOM FRIENDS
誠実な人柄が全ての作品に現れていて、動向がとても気になる。LSBOYZのALBUMも最高でした。

2.JUMANJI/DAWN
くそみたいな気分で目が覚めた朝方でも、再生した瞬間にFRESHにしてくれる。

3.YOUNG GUV/RIPE 4 LUV
AOYAMA BOOK CENTERの店員さんが教えてくれた。どうもありがとうございます。

4.HATCHIE/KEEPSAKE
今は亡きBONJEUR RECORDS LUMINE新宿店の店員さんが教えてくれた。どうもありがとうございます。

5.ISAAC/RESUME
こういう気持ちにさせてくれる音楽が身近にあることに、心から感謝しています。

6.MULBE/FAST&SLOW
DO ORIGINOOを聴きながら豊洲を歩いていたら、一瞬どこに居るか解らなくなった。

7.SHOKO&THE AKILLA/SHOKO&THE AKILLA
武道館ライブ楽しみにしてます!

8.HIKARI SAKASHITA/IN CASUAL DAYS
誕生日を過剰にアピールしたら送ってくれた。どうもありがとう。

9.CAMPANELLA/AMULUE
今になって思うと待ち続けてた時間も楽しかったし、
聴いてすぐに報われた。

10.CENJU/CAKEZ
「もしもVINがいたらあんなもんじゃ済まなかった」って笑って帰宅して、
すぐに再生した。
発売には立ち会えなかったけど、当時の我々の空気が全て詰まってる。

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