「Nothing」と一致するもの

GABI - ele-king

 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン主宰の〈ソフトウェア〉からリリースされた声楽家/作曲家ガビ(ガブリエル・ハーベスト)『シンパシー』は、ダニエル・ロパティン自らがプロデュースを手がけた問題作である。エンジニアはティム・ヘッカーやベン・フロストとの仕事でも知られるポール・コーリー。

 ガビは、電化ハープ奏者のジーナ・パーキンスやターンテーブリストのマリナ・ローゼンフェルドらに師事したニューヨーク実験/即興音楽シーンの土壌を受け継ぐアーティストだが、作曲家としても素晴らしい。重力から解放されたかのような旋律は、彼女の澄んだ声との相乗効果もあり、耳を浄化してくれる。また、編曲も見事で、自身の声を中心に、ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノ、トロンボーン、ギター、打楽器をレイヤーすることで、美しいカーテンのようなサウンドを生みしている。ジュリア・ホルターやジュリアナ・バーウィックに近い音楽性ともいえるが、その作・編曲の手腕はオーセンティックでモダン。20世紀音楽のエッセンスを吸収しているように思えた。

 プロデュースを手がけたダニエル・ロパティンが、どこまで曲などに介入したのかはわからないが、「ア、ア、ア、ア」と刻まれるヴォイスなどはOPNのサウンドを想起するし、冷たい弦にはシンセ/ドローン的な人工性が宿っているようにも聴こえる。
 とはいえ、そのような「読み」は深読みのしすぎだろう。本作は『アール・プラス・セブン』(2013)的な世界観を展開してはいない。むしろ彼女の20世紀的なモダニズムを全面的に信頼しているように思える。ここに本作の重要性がある。なぜなら現代のエクスペリメンタル・ミュージックは、未来派やダダ、シュールリアリズムなど、20世紀初頭のモダニズムへと回帰しているからだ。ダーシャ・ラッシュ『スリープステップ』(2014)などを思い出してみよう。

 機械・工業化する社会への反映として生まれた未来派やダダ、シュールリアリズムなどの芸術運動が、情報と工学と人間の問題が交錯するインターネット以降の現代社会において、切実な問題として回帰=アップデートされたのは当然の帰結といえる。
そう考えると現代のダダイスト、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー=ダニエル・ロパティンが、彼女の音楽を送りだしたのもわかってくる。そう、「新しい」モダニズムを生きる彼女への「シンパシー=共鳴」なのだ。

〈ATP〉が次の時代に見つめるもの - ele-king

 オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)といえば、2000年代のインディ・ミュージックを語る上で避けて通ることのできないフェスである。2001年のモグワイを皮切りとして、各時代の曲がり角に立つアーティストたちにキュレーターを務めさせてきたこの催しは、時を経るごとに、ただ音楽の祭典であるという以上の意味合いを強めるかに見える。それは、ポスト - ロックの地平に、ノイズ、サイケデリック、エレクトロニカ、フォーク、ヒップホップ……その他さまざまなエクスペリメンタリズムを合流させ、先の15年の音楽史においてもひとつの揺るぎないパラダイムを築いたといえるだろう。
 さて、そのATPのレーベル〈ATPレコーディングス〉から、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト、グリム・グリムのデビュー・アルバムがリリースされることが発表された。日本人アーティストのリリースとしては初となるそうだが、名だたるバンドの作品をリリースし新たな音を世に問うてきたATPが、次の時代に何を見ようとしているのか、その視線の先に注目したい。
 というわけで、8月に国内盤がリリースされるデビュー・アルバム『ヘイジー・アイズ・メイビー』の無料試聴のお知らせです。

世界中で数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)のレーベルからリリースされる初の日本人ソロアーティスト、グリム・グリムのデビュー・アルバムが6/22~6/29と期間限定で全曲試聴開始!

8月5日には日本盤の発売も決まり、元Canのダモ鈴木やTOY、Faust、Veronica Fallsのメンバーなどグリム・グリムを指示する各アーティストや著名人から声が集まっている。日本盤ボーナス・トラックにはともにロンドンを拠点に活動している盟友BO NINGENをバックバンドにフィーチャリングし、カトリック教会の聖堂でレコーディングされた楽曲を収録。

世界で活躍する孤高の天才が世に放つアシッド・フォークの傑作、ぜひ聴いてみてください!

■全曲視聴サイト
https://www.loudandquiet.com/2015/06/exclusive-stream-the-debut-lp-from-grimm-grimm/

■最新ミュージック・ビデオ「Tell The Truth」
https://youtu.be/LN90PyBs2aU

■コメント

狂騒のお茶会から飛行船で一人飛び立つ。それは宇宙船だった。
砕けた鏡を集めて作った自家製の万華鏡。それが歌だった。
不条理のループを越えて届けられた、時代の声。
コウヘイ・マツダ(BO NINGEN)

憂愁で美しいハーモニーに、エキセントリックで掴みどころのないエレメントが絶妙に溶け混ざった楽曲達。例えていうなら、突然恋に落ちて動けなくなった感覚に似ているわね。 
ジェラルディン・スウェイン(Faust)

Koichi Yamanohaによって創られる普遍的な音楽を他のアーティストと比べたり、過去に発生したムーヴメントでカテゴライズしたり比べるのは難しい。
奴は右足を過去に、左足を未来に突っ込んでいる。
ジェイムズ・ホーア (Veronica Falls)

彼の音楽には、魔法にかかったみたいに惹きつけられる力がある。呪われたオルゴールを開けて、そのメロディーを一度聞いたら二度と忘れられないだろう。
トム・ドゥーガル (TOY)

グリム・グリムを聴きながら
夢は永遠に続き 宇宙の中にとけ込んで行きます。
ダモ鈴木(ex- Can)

つい口ずさんでしまう普遍的な名曲の数々。Hazy Eyes Maybeは聴き終わると、もう一度はじめから聴きたくなるアルバム。
サイモン・フィン(Simon Finn )

「狂気に満ちた夢。怯えながらも、わたしはその夢に惹かれ続けている。Grimm
Grimmの無垢なメロディーを唱えるたびにわたしはその狂気に満ちた夢に引き込まれていく。」 
多屋 澄礼(Twee Grrrls Club)

永遠に響き渡る、アシッドで洗われたその至福
英NME紙

グリム・グリムは独りの男が、心の風車を静かに廻して奏でた音
英Q Magazine

カンタベリーのトラッド・フォークに、ダークで 不確かな無重力感がミックスされた奇跡のサウンド。
英国LOUD AND QUIET紙

■Grimm Grimm / Hazy Eyes Maybe
グリム・グリム / ヘイジー・アイズ・メイビー

発売日 : 2015年8月5日(水)
定価 : ¥2,300 + 税
品番 : PCD- 93925
解説:岡村詩野 / 歌詞対訳:Kayoko Haruyama
<収録曲>
1.Kazega Fuitara Sayonara (MV有)
2.Tell The Truth (MV有)
3.Driving Overflow
4.Teleportation
5.Last Word Is Mine
6.Hazy Eyes Maybe (MV有)
7.Robert Downey Syndrome
8.Walk Into The Cold Water With You
9.Knowing
10.Youth From Muswell Hill (MV有)
+ 日本盤ボーナス・トラック

■Grimm Grimmプロフィール
グリム・グリムは2010年に解散したイギリスのロックバンド、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト。日本詩、英詩両方の曲があり、美しくも憂愁あふれる楽曲を主体に、透明感ある歌声にテープ・ディレイがかかったアコースティック・ギター、アナログ・シンセサイザーがサイケデリックでドリーミーな独特な世界感へ広がりをみせる。14年夏にはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ等が設立したピックポケット・レコーズから7inchシングル「Kazega Fuitara Sayonara / Tell The Truth」をリリース。そしてデビューアルバムとなる今作はDIY精神溢れる姿勢により数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティー(ATP)が運営するATPレコーディングスからリリースされる。


Helm - ele-king

 UKエクスペリメンタル界の貴公子、ルーク・ヤンガーによる何気に通算6枚めのフル・アルバムは、ふたたび古巣の〈パン〉から。キナ臭い政権下に迫りくるオリンピックの不協和音にバッチリ符号してしまうアルバム・タイトルの偶然も重なり、現在の日本全体を覆う不穏なサウンドトラックとしても聴いてしまえるのは恐ろしい。

 『オリンピック・メス』は、ヘルムのトレード・マークである多種多様なフィールド・レコーディングとアコースティック・サウンドをソースとするサンプリング・ループ、モジュラー・シンセによって丁寧に構築された作品で、その奇妙なサウンドの質感が渾然一体となって浮かび上がる不穏な世界を、これまでになく音楽的ダイナミズムに富んだかたちで仕上げられている。〈エッセティック・ハウス(Ascetic House)〉からカセット音源としてリリースされた前作は恥ずかしながら未聴なのでたしかなことは言えぬが、これまでの〈PAN〉や〈KYE〉からのアルバムを鑑みれば、その12インチで聴ける具象性と抽象性の絶妙なバランス、そして見事なまでにギリギリ非音楽にならない──それゆえに広がる世界には、4次元空間的感覚とでも呼ぶべきものがあった。まるで人間が存在しない、個としての意思が定点から主観で捉える世界ではない、意思が境界を越えて拡散してゆくような……。そこには、ヘルムのレコードのデザインをいくつか手掛けてもいるグラハム・ランキン(元シャドウ・リング)の音楽にどこか通じる感覚があったわけだが、本作には完全にルーク・ヤンガーの意思や感情、それを通してこの世界を捉える聴者の個と呼ぶべき感覚が存在する。まぁ自分で何を言ってるんだかわけがわからないけども、要はこのアルバムはヘルム史上もっともポップでエモーショナルであるわけだ。

 某メディアでは〈コンパクト〉のポップ・アンビエント・シリーズやルー・リードの『メタル・マシン・ミュージック』すら引き合いに出されているがわからなくもない。ルークいわく、近年のアイス・エイジ(Ice Age)とのツアーや彼を取り囲む人々の交流に感化され、ループ・ベースであった自身の音楽によりリズムを意識したとのこと。劇的な変化、という表現は的確でないにしても、音だけ聴かされたらヘルムって思わないかも。

 蛇足だが、ヒートシック(Heatsick)ことスティーヴン・ワーウィックとルークがかつて組んでいた恐ろしいアヴァン・ハーシュノイズ・ユニット、バーズ・オブ・ディレイ(Birds of Delay)はどうやら未完らしく、今後どういったかたちになるかわからないがケリをつけたいとのこと。こちらも楽しみだ。


Matmos - ele-king

 木津毅と言えばマトモス、マトモスと言えば木津毅。ユーモアの込められたミュジーク・コンクレートの発想で1枚のIDMポップを作り上げたのは、ハーバートよりもマトモスが先だよ。先にやればいいってものじゃないけれど、実際、マトモスの片割れはハーバートのレーベルから作品出しているし、その音の採取において政治性をヒモづけてもいる。ゲイ・カルチャーの表現においても、一芸に秀でている。ビョークも一時期マトモスとはべったりだった。
 そんなマトモスが久しぶりに来日する! 四国の高知にも行くそうだし、関東では秩父でやるというから、これは観光もできるし、楽しそうだ。梅雨が明けていることを祈る。

 1年間の沈黙の後、満を持して行われる今回の「東京BOREDOM」は、ビョークのリミックスを手がけた事でも知られる実験的電子音楽デュオ”Matmos"と、ゲームパッド、ジョイスティックによる自作コントローラーでノイズとストロボライトを操る、アメリカ、ボルチモアのノイジシャン“Jeff Carey”を招いてのスペシャル版。
 舞台となるのは、埼玉県は秩父市のライヴハウスLadderLadder。その周辺の古着屋なども使っての観光地ヴァージョン。
 他の出演も、PHEW、切腹ピストルズ、YOLZ IN THE SKY、SuiseiNoboAz、ドラびでお等と超個性的な上に、当日は、秩父最大の夏祭り「秩父川瀬祭り」も行われているとのことなので、ライヴハウスの中と外両方でお祭り気分を堪能出来そう。
 また7/18には、「東京BOREDOM #11東京」と題して、今回のMATMOSのツアーの中打ちと、秩父のボアダムへ繋ぐ意味でのオールナイト・パーティが行われる。MATMOS来日ツアーのチケット(及び半券)を持参された方はチャージフリーで入場出来るとのこと。

7/20(月祝) 東京BOREDOM#11<秩父>
@秩父LadderLadder&STUDIO JOY&anbai works(古着屋)
11:30/12:30 ¥2500/¥3000(+1drink)

MATMOS (U.S.A)
JEFF CAREY (U.S.A) ×ドラびでお
PHEW
切腹ピストルズ
in the sun
GROUNDCOVER.
SuiseiNoboAz
ビイドロ
YOLZ IN THE SKY
HAVE A NICE DAY!
Bossston Cruizing Mania
GOMESS
mmm
マヒトゥー・ザ・ピーポー(GEZAN)
とうめいロボ
原嶋卓哉
DOTAMA【術ノ穴】
エンヤサン【術ノ穴】
ヒロネちゃん【術ノ穴】
ifax!【BLACKSHEEP】

<DJ>
DJ MEMAI
DJ:COGEE【BLACKSHEEP】
DJ:SUNGA【BLACKSHEEP】
kussy(fragment)【術ノ穴】

<VJ>
eetee
GENOME
…and more!!!!!

<DECO>
COLORgung【BLACKSHEEP】
<LASER>
NxOxT【BLACKSHEEP】

7/18(土All night) 東京BOREDOM#11<東京>
@下北沢THREE
23:30/24:00
charge:¥2000(+1drink)/女性¥1500(+1drink)
MATMOSツアーチケット持参:2drink\1000のみ

transkam
worst taste&specialmagic
HALBACH
otori
HIKO×bonstar
ニーハオ!
galcid+齋藤久師
GuruConnect (skillkills)
※スペシャルゲスト有り!

<FOOD>
SPICE ADDICTS
eetee

<VJ>
IROHA
GENOME

Matmos & Jeff Carey Japan Tour 2015 スケジュール

7.17 落合 Soup
7.18 西麻布 Super Deluxe
7.19 東高円寺 二万電圧
7.20 秩父 ladderladder
7.23 心斎橋 CONPASS
7.24 京都 METRO
7.25 高知 DAHLIA

 

東京BOREDOM
オフィシャルサイト
https://tokyoboredom.tumblr.com
Facebookページ
https://www.facebook.com/tokyoboredom

Matmos & Jeff Carey Japan Tour 2015
オフィシャルサイト
https://matmos2015.multipletap.com
Facebookページ
https://www.facebook.com/matmos2015


Booty Tune presents DJ PAYPAL Japan Tour 2k15 - ele-king

 シカゴのジュークは、瞬く間に世界的な音楽になった。UK、日本、そしてUSからベルリンへ。とくに DJラシャド以降は、「DJラシャド以降」という言い方が通用するほど、シーンは世界規模で拡張しているのだ。その中心には、シカゴのTEKLIFE がある。
 いや、しかし、DJ Paypalというネーミングが最高ですね。Paypalこそまさしく悪魔的なシステムです。深夜酔っぱらって、いつの間にかレコードやCDを買っていたなんてことはザラです。現代消費社会の象徴です。それをDJネームにするとは……なんて不遜な人でしょうか。
 しかも、この人のDJは、そうとうにポップなようです。
 これは期待するかありません。7月19日(東京)〜20日(大阪)です。みんなでこの謎のDJを冷やかしつつ、彼のハッピー・ジュークを楽しみましょう。

 世界を沸かす覆面ジューク DJ、ついに来日!
 ついに謎のジューク DJ が来日を果たす!  ジューク好きの間で密かに話題になりはじめた 2012年の活動開始から、この3年でまたたく間にシーンの中心に躍り出た、正体不明の覆面トラックメーカーDJ Paypal。その人を食ったDJ ネームゆえ、出演時はいつもTシャツを頭から被り、その素顔を見せることは決してない。最近、ネット決済会社の本家 Paypal から名称の未許可使用のクレームを受け、フェイスブックでも強制的に名前を変えさせられるほど、知名度も アップ中。
 大ネタを惜しげもなく使いまくる、老若男女問わず踊らせるアッパーかつポップなディスコ・スタイルは、北欧の Slick Shoota とともに現行パーティ・ジュー クのひとつの到達点と言える。自身のレーベル〈MallMusic〉からリリースされたファースト・シングル「Why」に収録された“Over”がクラブ・ヒット。さらに、新世代ベースを牽引するレーベル〈LuckyMe〉からもシングルをリリー スし、Machinedrum、Ikonikaらの著名アーティストたちのサポートを受けながら、UKベースやドラムンベースなど、ジューク・シーンに留まらない幅広い活躍を見せ続けている。2014 年からは現在のジューク・シーンの中心とも言える、シカゴ最大派閥の TEKLIFE クルーにも所属。UK の老舗レーベル〈Hyperdub〉の10周年コンピレーションにもその名を連ねた。
 今回の来日公演は Booty Tune が主宰となり、東京の大阪の 2 箇所で公演。日本勢の出演者陣もジューク・シーンをはじめ、タイトな顔ぶれがそろう。会場は、 日本フットワーク・ダンス・シーンの総本山「Battle Train Tokyo」の恵比寿KATA と大阪 Circus。全日本のジューク・ファンが待ち望んだ、ヨーロッパ最強のジューク・アーティストの来日公演。アッパーでハッピーなジュークに乗っ て、Let Me See Yo Footwork!!!

【東京】
Still Pimpin' feat.DJ Paypal
会場:KATA + Time Out Cafe & Diner [LIQUIDROOM 2F]
日程:7 月 19 日(日/祝前日)22:00~
出演:DJ Paypal (TEKLIFE, LuckyMe/Berlin, Germany)、D.J.Kuroki Kouichi、Guchon、TEDDMAN、D.J.APRIL(Booty Tune)、Dx (Soi Productions)、SUBMERSE、Boogie Mann (SHINKARON)、食品まつり aka Foodman、Kent Alexander(PPP/Бh○§†)、Frankie Dollar & Datwun (House Not House)、Dubstronica(GORGE.IN)、 Samurai08、コレ兄(珍盤亭)料金:Door Only ¥2,500 (With Flyer ¥2,000)

【大阪】
SOMETHINN vol.12
会場:CIRCUS
日程:7 月 20 日(月/祝日)19:00~
出演:DJ Paypal (TEKLIFE, LuckyMe /Berlin, Germany)、D.J.Fulltono (Booty Tune)、Keita Kawakami (Dress Down)、Hiroki Yamamura(Booty Tune)、AZUpubschool (Maltine Records / Sequel One Records)etc...
料金:TBA

■DJ Paypal(TEKLIFE, LuckyMe / Berlin, Germany)
アメリカ出身、ベルリン在住、本名不詳の謎の覆面トラックメーカー。DJ Spinn と故 DJ Rashad によって結成された世界的クルー「TEKLIFE」のメンバー。2012 年頃から徐々に頭角を現し始め、その後 Machinedrum、Jimmy Edger、Ikonika、Daedelus らからの熱烈なサポートを受け、そのキッチュな 名前に違わぬプロップスと実績を積み上げてきた。イーブンキック主体のサン プリングジュークを得意とし、アッパーかつポップなトラックメイキングで、 Juke/Footwork の枠を超え、多くの DJ に愛されている。これまでも前出の アーティストのほか、同じ TEKLIFE の盟友、DJ Earl や DJ Taye、DJ Rashad らのほか、Nick Hook や Sophie などともコラボ、リミックスワーク などを手がけている。
※20 歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。(You must be 20 and over with photo ID.)


New Order - ele-king

 

 シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ、石野卓球、この3つに多大な影響を与えたポストパンクのUKのバンドは? 答:ニュー・オーダー。毎週月曜日の朝になると頭のなかでかかっている曲は? 答え:ブルー・マンデー。女(男)と別れる度に聴く曲は? 答:リグレット。

 ピーター・フック抜きのニュー・オーダーのライヴの評判がやたら良かったし、オールドファンにはまさかの〈ミュート〉レーベル移籍の第一弾です。ここは期待しちゃいましょう。ニュー・オーダーの10年ぶりのオリジナル・アルバムが9月23日にリリースされることが決まりました。アルバムのタイトルは『ミュージック・コンプリート』です。
 メンバーは、バーナード・サムナー、ジリアン・ギルバート、スティーヴン・モリスの3人+新ベーシストのトム・チャップマン、フィル・カニンガム。全11曲のうちの2をトム・ローランズがプロデュース、うち1曲を共作しています。アートワークはもちろんピーター・サヴィル。
 2000年代に入ってからの2枚のアルバムが、どちらかと言えばロック色が強かったものの、最近のジェイミーXXのアルバムのように、ダンス・ミュージックがポップ・カルチャーとなっている現状において、マンチェスターの大物がどのような作品を出してくるのか、注目したいと思います。

 続報を待て!

(※なんと、ele-king booksからはバーナード・サムナーの自伝『Chapter and Verse - New Order, Joy Division and Me』の翻訳本を新作と同時期に刊行する予定です)

Quantic presents The Western Transient - ele-king

 ここ数年来のクァンティックことウィル・ホランドはラテンというイメージだった。ラテンといっても幅広いが、2007年にイギリスからコロンビアへ移住してからは、コロンビアの伝統音楽であるクンビアに傾倒した作品が目立ち、それがコンボ・バルバロやオンダトロピカなどのバンドに表れていた。そんなクァンティックが、今度はアメリカに移住したのが2014年初頭のこと。現在はニューヨークを拠点に活動しているが、彼は根っからのボヘミアンであり、いつかまた見知らぬ土地へ旅立つのかもしれない。いずれにせよ、その土地や人々に根付く音楽に影響を受けるのは、クァンティックのいままでの活動を見れば想像がつく。

 アメリカといえばジャズだが、新しいバンドのウェスタン・トランシエントを率いての新作『A New Constellation』は、それを反映してジャズの影響が色濃い。ジャズといっても今流行の新世代ジャズとかではなく、たとえば“Latitude”を聴けばわかるように、1960年代後半から70年代初頭のソウル・ジャズやジャズ・ファンクなど、アーシーで土臭いものだ。また、レコーディングはロサンゼルスで、現地のミュージシャンたち(ビルド・アン・アーク、フライング・ロータス、カマシ・ワシントン、ケンドリック・ラマー、ブレイケストラらのセッション参加メンバーから構成される)との演奏ということもあり、温かでリラックスした雰囲気が漂う。同じ生音でもUK時代のクァンティック・ソウル・オーケストラが、ディープ・ファンクやレア・グルーヴといった英国のクラブ・サウンドの流れに属していたのに対し、本作でのレイドバック感はやはりUS西海岸の空気を孕んだものと言えよう。

 本作を制作するにあたってのインスピレーションとして、デヴィッド・アクセルロッドやカル・ジェイダー、スティーヴ・キューンの初期昨品などをクァンティックは挙げている。“The Orchard”や“A New Constellation”などはモロにアクセルロッド・マナーの作品と言え、そうした空気感を出すためにアナログ楽器や録音機材にも拘った。当時のレコーディング状況に近い設定で、全てワンテイクで録音したというところに、クァンティックの音楽に対する姿勢が表れている。“Nordeste”はブラジル北東部の主にバイーア音楽を指す言葉だが、その代表的アーティストであるアイアートやエルメート・パスコアルを彷彿とさせるナンバーだ(ちなみにアイアートは、キューンがゲイリー・マクファーランドと制作した1971年の傑作アルバムにも参加した)。この曲や“Jumble Sale”“Requiescence”に顕著だが、ジャズのなかにラテンやアフロ・キューバンの要素を持ち込み、コロンビア時代の音楽的ルーツがアメリカ音楽と融合したことによって出来上がった作品であることがわかる。

 ほかにガレージ・ロック的なテイストの“Bicycle Ride”、スティールパンの入ったカリビアン・ディスコ調の“Creation(East L.A.)”とバラエティに富むアルバムだが、いろいろなものから影響を受けつつも、根っ子の部分で自身の確固とした音楽基盤と繋がっている、そんなクァンティックのアルバムだ。

思いきって行った北欧、
思いきり買った雑貨たち、
思いがけずつくったお店。
北欧雑貨の店“ Fika”をオープンした著者がおくる
買いつけの旅のすすめ。

愛しい「ひとつ」を見つけるために──
“買い物”を“買いつけ”に変える
具体的なアドバイスがたっぷり!

好きなことならいまからはじめましょう。
会社に勤めながらショップを建ててしまった
著者だからこその
愉快な失敗&体験談!

北欧雑貨“買い付け”旅行のススメ!素人でも、
英語が話せなくても、なんとかなる!
北欧旅行も買い付けもほとんど初心者、英会話も得意じゃない。
でも北欧雑貨を集めたい、お店を開いてみたい─。
これは会社勤めの普通の女子が、あるとき思い立って出かけてみた“北欧買付旅行”の道中記。
持ち物や服装から情報集めまで、著者自身のたくさんの失敗から書き起こす、あなたのための買い付けデビュー・ガイドです。

□ 北欧雑貨が好き
□ 北欧旅行をしてみたい
□ お店が開けたらいいなあ?

2 つチェックがつけば、あなたも“買い付け人”の素質じゅうぶん!
「店主になりたい」という漠然とした夢が、はじめて同然の北欧買い付け旅行に結びつき、会社勤めをしながらも気づけば自宅兼店舗まで建築、
ついには北欧雑貨の店“Fika”をオープンするにいたった著者による、“初心者さん限定”買い付け旅行指南。

*北欧との出会い *素人の素人による「買い付け」準備記録 *調べられる範囲での情報収集
  *「買い付け」の必需品 *買い付けファッションABC ! * 1 度めの北欧渡航“失敗”記録
*北欧の基本情報、代表的なメーカー紹介

詳細な記録と失敗談に学べ!
蚤の市、アンティークショップ、フリマ。まずは首都にしぼることを推奨/地図のつくりかた/ダンボール1 枚だけはトランクに入れておいて!
/服より緩衝剤/ホテル選びの失敗/店員さんの計算はあてにならない!/割れ物は割れます/交通機関のつかいかた

吉田ヨウヘイgroup - ele-king

「向こうからやってくる
あいつとは知り合いだっけ?
ああれ、分からない?
薄いブルーのシャツきてるよ」 “話を聞いたんだ”

 休みの日近所をブラつくと、特性のない男が向こうからやってくる。私はこのへんは休日ともなると人通りが多くてわずらわしいけれども、それも昼をまわってからで、いまはそうでもない。左手に区立の幼稚園と福祉施設がいっしょになった建物があり、反対側に古着屋が軒を並べるあいだの二車線ほどの道はゆるくカーブを描くが、歩道はふたりのひとがようやくすれちがえるほどしかない。私とその男はゆきかこうとしたとき、男はあっと声をあげた。
「先日はどうもありがとうございました! こんなところにもいらっしゃるんですね! やっぱり編集の仕事には日々のフィールドワークが大切なんですね!」
「いや、近所なんです」
 私はすわ、原理主義的な宗教かと警戒したが、勧誘でもひとちがいでもなさそうのは彼が私の仕事をごぞんじなのでわかる。そのとき私はとある雑誌の編集部につとめていて、ひとに会う機会がことのほか多く、もうしわけないが印象のうすい方はおぼえないこともある。私たちは数分のあいだ、穏当な話題を選び安全運転の会話をつづけ、やがて彼は「買い物にきたんですけど、ちょっとはやかったみたいです」といくらかふてくされ、ついで「もうちょっとこのへんをみてまわりますんでっ!」といって立ち去ったが、最後まで私はその男がだれなのか思い出せなかった。

 数日後、先日おこなった中途採用の面接の資料を総務担当者に返却としようと整理していたとき、履歴書のひとつに貼付した写真のなかで先日の彼が微笑んでいた。私は呆然とし、ついで「おまえなんて知らなーい」とザ・スターリン“虫”のフレーズを、ミチロウとデュオで心中で絶叫したのである。

 ことほどさように、吉田ヨウヘイの書く歌詞は記憶をよびさます。日常のひとこまをきりとったことばはなんの変哲もないが、凪いだ風情の光景は一点のゆらぎをもち、そこに共振する聴き手のうちにさざ波を立てる。もちろん歌唱も関係している。ブックレットをひっぱりだし歌詞だけつらつら眺めてもダメなんだな。独特のメロディラインに沿ったことばは促音を影のようにしたがえ、ときに急迫させる。たとえば“ユー・エフ・オー”、歌い出しの「そこで見たのは(中略)空を二つ」の文頭の「そ」が「そっ」に聞こえる音の乗せ方は譜面に記せない休符となり、歌は一瞬宙吊りになる。この曲はreddamのメイン・ヴォーカルの曲だが、男女混声の対比も『paradise lost, it begins』は見事である。若干のメンバーチェンジをへた本作では、TAMTAMのKuroがトランペットとコーラスで客演しており、コーラスは厚く彩りゆたかに前作よりその比重を増し、かけあうことでモノローグを対話劇に組みかえるが、シアトリカルといい演劇的と訳す、音楽に付される形容詞のほとんどが舞台の上の付帯的なで要素を指すようには吉田ヨウヘイgroupのそれは機能しない。ためらいと反問をふくむことばが歌になるとき、話者が分裂する、そのようになりたつ関係性を私は演劇的とさっきもうしあげたのである。

 関係の深まりは音にもあらわれている。ジョン・フルシアンテやエイドリアン・ブリューの亡霊(どっちも死んでないが)を背負った西田修大のギターはファンキーな刻みからブルージーなタメまで自在で、ついソロに耳をそばだててしまうが、西田修大の旨味はバッキングにあり、それは吉田ヨウヘイのもう一本のギターとのからみ、リズムとのからみ、管とのからみ、ようはアンサンブルのなかできわだってくる。というか、おそらくライヴと曲づくりとときの経過がバンドを成熟させたのだろう、管楽器やコーラスの入れ方など、バンド合奏ではお客さんになりがちなパートがこのアルバムでは前作以上にしっかり有機的に働いている。バスーンがなくなるとヘンリー・カウっぽさがなくなるのではと危惧したのだが、思えば彼らはさほどヘンリー・カウっぽくもなかった。それならば、ダーティ・プロジェクターズだが、それももうひきあいに出すこともないだろう。彼らは彼らそのものの声をもち、もちつづけるだろう。変わらないということではない。『Smart Citizen』と『paradise lost, it begins』をひきくらべて、あるいはそう思われる方もいるかもしれない。作品の視座と構成にはたしかに共通するものはあるにはちがいないが、延長線上にあることは退行を意味しない。それは私たちの日々が死ぬまで途切れないように途切れない。

My Morning Jacket - ele-king

 ブッシュ・シュニアの弟が出るとか出ないとか、アメリカが来年のことでソワソワしはじめているなと思っていたら、もはやアメリカを代表するロック・バンドのひとつと言っていいだろうマイ・モーニング・ジャケットが新作のシングルで「デカい決断はきみ自身でしないと」と主張していて、ついにやってくるオバマ時代の終わりにちょっとこじつけそうになってしまった。もちろんバンドにそんなつもりはないだろう。が、ともかくその曲、“ビッグ・ディシジョンズ”のブリッジにはMMJの最良の部分が抽出されていて、その10小節を聴くためだけに何度もリピートしてしまう。「やれ! やるんだ! きみが本当にほんとに、本気ならな! 後悔したくなかったら、我慢なんてするな!」……高らかに鳴らされるギターとともに上空へとよく伸びるジム・ジェームスの歌。このバンドはつまるところいつだって、人生は素晴らしいし、きみには何だってできると聴き手を励ましつづけてきた。そう書くと能天気に聞こえるだろうか? だが、バンドはそのことを少しも恥じていないとばかりに、相変わらず力を振り絞って演奏している。

 7枚めとなる『ザ・ウォーターフォール』でMMJは、あれこれやり過ぎてやや散漫な印象を残した前々作『イーヴル・アージス』、実験的でダークだった前作『サーキタル』から引き返し、ボナルー・フェスティヴァルで堂々たるライヴ・バンドとして君臨する彼ららしい音とともに再始動している。オープニング、“ビリーヴ(ノーバディ・ノウズ)”でエレキ・ギターがドライヴすれば、ジムが「その日は来た! 僕の心は開かれている! マイ、オー、マイ! 信じろ、信じろ、信じろ、信じろおおおおおお!!」と吠える。それが生きていることだと証明せんとばかりにドラムは叩きつけられ、ジャムは渦を巻く。
 とはいえ、もはや彼らがただの豪快なジャム・バンドでないことはファンはよく知っていることだ。つづく“コンパウンド・フラクチャー”では洒脱なシンセ・ファンクが聴けるし、その次の“ライク・ア・リヴァー”はアシッド・フォークだ。『Z』以降顕著なエレクトロニカやヒップホップへのジェームスの興味はここでも隠し味になっている。ハード・ロック魂はやや抑えられ、そのぶんサイケ度はグッと上がる。ジャケットの赤い滝を見ればいい。サイケデリックであるということは、その幻の向こうに何か理想を見ることではないかと、そのことを探索することではないか……という気分になってくる。少なくとも、ピンク・フロイドとレッド・ツェッペリンがケンタッキー州の熊に襲われたような、このバンドのパワフルなロック・チューンを聴いているあいだは。

 先のソロにもよく表れていたが、ジム・ジェームスのシンガーとしての幅もグッと増した。オルタナ・カントリー的な小品“ゲット・ザ・ポイント”の穏やかな歌もいいが、白眉はねじれたギターのメロディが悩ましい“シン・ライン”。陶酔的なコーラスとともにファルセットのジムの声は少しかすれ、弱さをふとこぼしてみせる。「これは愛することと時間を無駄にすること、その間の薄いラインなんだ」……それはフライングVをかき鳴らした無敵状態の彼の口からは出ない愛の言葉だ。それでもである、「誰もきみを愛していないよ……僕以外は」なんていう包容力を、このひとは捨て去ることはない。ただただレイドバックしていく終曲“オンリー・メモリーズ・リメイン”では彼のソウル・シンガーとしての一面も見せながら、甘い歌でこう告げる。「僕たちのこの世の身体は朽ちていくけれど、僕たちが分け合う愛は生き続けるんだ」。僕は、それがたとえ幻覚だとしてもその歌に溶けていく欲求に抗えない。

 もう一度、例のブリッジを聴きたいがために“ビッグ・ディシジョンズ”を再生する。コーラスはこうだ――「きみは優しくて誠実だけど、恐怖に縛られているんだ」。僕には、それが遠いアメリカに住むひとたちだけに向けた歌だとは、どうしても思えないのである。

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