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GABI

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デンシノオト   Jun 29,2015 UP

 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン主宰の〈ソフトウェア〉からリリースされた声楽家/作曲家ガビ(ガブリエル・ハーベスト)『シンパシー』は、ダニエル・ロパティン自らがプロデュースを手がけた問題作である。エンジニアはティム・ヘッカーやベン・フロストとの仕事でも知られるポール・コーリー。

 ガビは、電化ハープ奏者のジーナ・パーキンスやターンテーブリストのマリナ・ローゼンフェルドらに師事したニューヨーク実験/即興音楽シーンの土壌を受け継ぐアーティストだが、作曲家としても素晴らしい。重力から解放されたかのような旋律は、彼女の澄んだ声との相乗効果もあり、耳を浄化してくれる。また、編曲も見事で、自身の声を中心に、ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノ、トロンボーン、ギター、打楽器をレイヤーすることで、美しいカーテンのようなサウンドを生みしている。ジュリア・ホルターやジュリアナ・バーウィックに近い音楽性ともいえるが、その作・編曲の手腕はオーセンティックでモダン。20世紀音楽のエッセンスを吸収しているように思えた。

 プロデュースを手がけたダニエル・ロパティンが、どこまで曲などに介入したのかはわからないが、「ア、ア、ア、ア」と刻まれるヴォイスなどはOPNのサウンドを想起するし、冷たい弦にはシンセ/ドローン的な人工性が宿っているようにも聴こえる。
 とはいえ、そのような「読み」は深読みのしすぎだろう。本作は『アール・プラス・セブン』(2013)的な世界観を展開してはいない。むしろ彼女の20世紀的なモダニズムを全面的に信頼しているように思える。ここに本作の重要性がある。なぜなら現代のエクスペリメンタル・ミュージックは、未来派やダダ、シュールリアリズムなど、20世紀初頭のモダニズムへと回帰しているからだ。ダーシャ・ラッシュ『スリープステップ』(2014)などを思い出してみよう。

 機械・工業化する社会への反映として生まれた未来派やダダ、シュールリアリズムなどの芸術運動が、情報と工学と人間の問題が交錯するインターネット以降の現代社会において、切実な問題として回帰=アップデートされたのは当然の帰結といえる。
そう考えると現代のダダイスト、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー=ダニエル・ロパティンが、彼女の音楽を送りだしたのもわかってくる。そう、「新しい」モダニズムを生きる彼女への「シンパシー=共鳴」なのだ。

デンシノオト