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Quantic presents The Western Transient

ElectronicFunkJazzLatinSoul

Quantic presents The Western Transient

A New Constellation

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小川充   Jun 22,2015 UP

 ここ数年来のクァンティックことウィル・ホランドはラテンというイメージだった。ラテンといっても幅広いが、2007年にイギリスからコロンビアへ移住してからは、コロンビアの伝統音楽であるクンビアに傾倒した作品が目立ち、それがコンボ・バルバロやオンダトロピカなどのバンドに表れていた。そんなクァンティックが、今度はアメリカに移住したのが2014年初頭のこと。現在はニューヨークを拠点に活動しているが、彼は根っからのボヘミアンであり、いつかまた見知らぬ土地へ旅立つのかもしれない。いずれにせよ、その土地や人々に根付く音楽に影響を受けるのは、クァンティックのいままでの活動を見れば想像がつく。

 アメリカといえばジャズだが、新しいバンドのウェスタン・トランシエントを率いての新作『A New Constellation』は、それを反映してジャズの影響が色濃い。ジャズといっても今流行の新世代ジャズとかではなく、たとえば“Latitude”を聴けばわかるように、1960年代後半から70年代初頭のソウル・ジャズやジャズ・ファンクなど、アーシーで土臭いものだ。また、レコーディングはロサンゼルスで、現地のミュージシャンたち(ビルド・アン・アーク、フライング・ロータス、カマシ・ワシントン、ケンドリック・ラマー、ブレイケストラらのセッション参加メンバーから構成される)との演奏ということもあり、温かでリラックスした雰囲気が漂う。同じ生音でもUK時代のクァンティック・ソウル・オーケストラが、ディープ・ファンクやレア・グルーヴといった英国のクラブ・サウンドの流れに属していたのに対し、本作でのレイドバック感はやはりUS西海岸の空気を孕んだものと言えよう。

 本作を制作するにあたってのインスピレーションとして、デヴィッド・アクセルロッドやカル・ジェイダー、スティーヴ・キューンの初期昨品などをクァンティックは挙げている。“The Orchard”や“A New Constellation”などはモロにアクセルロッド・マナーの作品と言え、そうした空気感を出すためにアナログ楽器や録音機材にも拘った。当時のレコーディング状況に近い設定で、全てワンテイクで録音したというところに、クァンティックの音楽に対する姿勢が表れている。“Nordeste”はブラジル北東部の主にバイーア音楽を指す言葉だが、その代表的アーティストであるアイアートやエルメート・パスコアルを彷彿とさせるナンバーだ(ちなみにアイアートは、キューンがゲイリー・マクファーランドと制作した1971年の傑作アルバムにも参加した)。この曲や“Jumble Sale”“Requiescence”に顕著だが、ジャズのなかにラテンやアフロ・キューバンの要素を持ち込み、コロンビア時代の音楽的ルーツがアメリカ音楽と融合したことによって出来上がった作品であることがわかる。

 ほかにガレージ・ロック的なテイストの“Bicycle Ride”、スティールパンの入ったカリビアン・ディスコ調の“Creation(East L.A.)”とバラエティに富むアルバムだが、いろいろなものから影響を受けつつも、根っ子の部分で自身の確固とした音楽基盤と繋がっている、そんなクァンティックのアルバムだ。

小川充