「AY」と一致するもの

Aphex Twin - ele-king

 先日ロンドンで話題となったエイフェックス・ツインのポップアップ・ショップが、東京は原宿にも出現します。12月1日(土)と12月2日(日)の2日間のみの限定オープンです。強烈なテディベアを筆頭に、さまざまなグッズが販売される模様。ロンドンでは即完売となった商品も多かったそうですので、このチャンスを逃すわけにはいきませんね。詳細は下記をば。

ロンドンに続き、エイフェックス・ツインのポップアップストアが東京・原宿にて2日間限定オープン!

11月22日(木)、エイフェックス・ツイン自身の公式SNSから動画がポストされ、ロンドンと東京での新たなオフィシャル・グッズの発売が発表された。その2日後にスタートしたロンドンのストア/通販では即完商品が続出。それに続き、今週12月1日(土)と12月2日(日)の2日間限定で、東京・原宿にエイフェックス・ツイン・ポップアップストアがオープンする。

今年、傑作の呼び声高い最新作「Collapse EP」をリリースし、シルバー・スリーヴ付の豪華パッケージ盤や、“T69 collapse”のMVも大きな話題となったエイフェックス・ツイン。彼の代表曲のMVから飛び出てきたようなグッズの数々やクラシックロゴTなど、レア化必至のグッズが勢揃い!

APHEX TWIN POP-UP STORE

開催日程:12/1 (土) - 12/2 (日)
12/1 (土) 12:00-20:00
12/2 (日) 12:00-18:00

場所:JOINT HARAJUKU (東京都渋谷区神宮前4-29-9 2F)
詳細・お問い合わせ:www.beatink.com

APHEX TWIN RETAIL ITEMS


『Donkey Rhubarb』テディベア
全高25cmのクマのぬいぐるみ
色:タンジェリン/ライム/レモン
オリジナルボックス入り
販売価格:¥5,000(一体)


『Windowlicker』傘
外側にエイフェックス・ツイン・ロゴ、内側に顔がプリントされたジャンプ傘。取手にはロゴが刻印され、木の柄を採用。
販売価格:¥8,000


『Come To Daddy』Tシャツ/ロンパース
サイズ展開:S、M、L、XL、キッズサイズ、ロンパース
販売価格:¥4,000


『CIRKLON3 [ Колхозная mix ]』パーカー
サイズ展開:M、L、XL
販売価格:¥6,000


『On』ビーチタオル
エイフェックス・ツインのロゴが織り込まれたビーチタオル
サイズ:70 × 140cm
販売価格:¥6,000


『Ventolin』アンチポリューションマスク
エイフェックス・ツインのロゴがプリントされたマスク。ロゴの入った黒いケース入り。 Cambridge Mask Co.製。ガス、臭気、M2.5、PM0.3、ホコリ、煙、病原体、ウイルス、バクテリアを防ぐ。
販売価格:¥9,000


『T69 Collapse』アートプリント
世界限定500枚。ポスターケース入り(額縁はつきません)。
サイズ:A2
販売価格:¥4,000


また今回のオフィシャル・グッズ発売に合わせて、公式には長らく配信されていなかった“Windowlicker” “Come To Daddy” “Donkey Rhubarb” “Ventolin” “On”のミュージック・ビデオがエイフェックス・ツインのYouTubeチャンネルにて公開されている。

Windwlicker (Director's Cut)
Directed by Chris Cunningham
https://youtu.be/5ZT3gTu4Sjw

Come To Daddy (Director's Cut)
Directed by Chris Cunningham
https://youtu.be/TZ827lkktYs

Donkey Rhubarb
Directed by David Slade
https://youtu.be/G0qV2t7JCAQ

Ventolin
Directed by Steven Doughton with Gavin Wilson
https://youtu.be/KFeUBOJgaLU

On
Directed by Jarvis Cocker
https://youtu.be/38RMZ9H7Cg8



初回限定盤CD


通常盤CD

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Collapse EP
release date: 2018.09.14 FRI ON SALE


期間限定「崩壊(Collapse)」ジャケットタイトル


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Selected Ambient Works Volume II
BRC-554 ¥2,400+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2978


abel: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: ...I Care Because You Do
BRC-555 ¥2,000+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=7693


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Richard D. James Album
BRC-556 ¥2,000+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=8245


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Drukqs
BRC-557 ¥2,400+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9088


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Syro
BRC-444 ¥2,300+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2989


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Computer Controlled Acoustic Instruments Pt2 EP
BRE-50 ¥1,600+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2992


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: AFX
title: Orphaned Deejay Selek 2006-08
BRE-51 ¥2,400+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2944


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: Aphex Twin
title: Cheetah EP
BRE-52 ¥1,800+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2994

Paul Frick - ele-king

 ミヒャエル・エンデが時間泥棒をテーマに『モモ』という童話を書いたのが1973年。オイルショックを経た戦後ドイツの労働争議が最初のピークを迎えるのが1984年。このように並べてみると、その間に挟まれているクワフトワークの”The Robot”が(前作に収録されたマネキン人形から歩を進めた発想だったとしても)どこか単純作業や長時間労働に対するカリカチュアとして「聞かれた」可能性も低くないと思えてくる(経済成長が激化したインドでも労働者をロボットに見立てたS・シャンカー監督『ロボット』で同じく”The Robot”が使われていた→https://www.youtube.com/watch?v=NEfMZbbpsAY)。実際の単純労働はトルコ移民が担い、『Man-Machine』には自分たちがドイツ人であることから逃げ、戦後長らく「ヨーロッパ人」と名乗りたがっていた風潮に対してドイツ人としてのアイデンティティを再確認するために(デザインはロシア構成主義だけど)戦前のドイツに見られた「SF的発想」に回帰するという意図があった(”Neon Lights”はフリッツ・ラング監督『メトロポリス』がモチーフ)。さらに言えばDAFは明らかにナチスの労働組合であるドイッチェ・アルバイツフロントの頭文字を「独米友好」とモジることで二重にパロディ化し、パレ・シャンブルグも西ドイツの首相官邸を名残ることで「ヨーロッパ人」と名乗ることの欺瞞に違和感を示した面もあったのだろう(ここから小沢一郎によってパクられる「普通の国」という再軍備のキーワードまではあと少しだったというか)。

 いずれにしろ、3年前にドイツの小学生たちが演奏する”The Robot”がユーチューブでけっこうな話題になったように、ドイツでは一般レベルでも”The Robot”が定番化していることはたしかで、現在のドイツでこの感覚をもっとも受け継いでいたのがブラント・ブラウア・フリックということになるだろう。最初はクラフトワークをジャズっぽく演奏していた3人組で、3人ともクラシックの素養が高く、彼らはこれまではアコースティック・テクノ・トリオと称されることが多かった。水曜日のカンパネラにも中期のクラフトワークを思わせる”クラーケン“を提供していたBBFは、しかし、このところコーチェラにも出演するなどすっかりポップ・ソングの旗手と化してしまい、”Iron Man”でデビューした当時の面影は薄れかけていたものが、メンバーのひとり、ポール・フリックが〈アポロ〉からリリースしたセカンド・ソロ・アルバム『2番目の植物園(?)』はグリッチとジャズをまたいで合間からクラフトワークも垣間見える地味な意欲作となった(自分ではこれがファースト・ソロ・アルバムだと言っている)。作品の中心にあったのは「日常性」、あるいはその「詩情」というありふれたもので、特に興味を引くものではない(録音の時期から考えてもメルケルの引退声明によってカタリーナ・シュルツェがドイツの政界に君臨するかもしれないといった動きが本格化する前の「日常」だろうし)。

 カチャカチャと小さなものが壊れるように細かく叩き込まれるパーカッションやベルなど微細なビートが楽しい曲が多く、音の素材はフィールド録音や切り刻まれたブレイクビーツなどかなり多岐にわたるらしい。それらはつまり、2000年前後にドイツで特に隆盛を誇ったエレクトロニカの方法論を意識的に踏襲したものといえ、妙な近過去ノスタルジーに彩られているとも言える。移民問題がドイツに重くのしかかる直前のドイツであり(注)、もしかするとその時期が無意識の参照点になっているのかもしれない。ポール・フリックは録音中、資本主義にも社会主義にも馴染めない人々を描写した小説家ウーベ・ヨーンゾンがナチズムの台頭から2次大戦までを描いた『Anniversaries』にも多大な影響を受けたそうで(未訳)、”Karamasow(カラマーゾフ)“と題された曲では、そうしたある種の歴史絵巻のような感覚が無常観に満ちた曲として表されてもいる(プチ『ロング・シーズン』ぽい)。そうした寄る辺なさはBBFの近作とは異なって、本当にどの曲も頼りなく、宙に漂うがごとく、である。そうした感覚はジャーマン・トランスのマーミオンも曲の題材にしていた“Schöneberg”(ベルリンの地名)でようやく安堵感へとたどり着き、焼き物を題材にしたらしきエンディングの“Gotzkowsky Ecke Turm”で幕を閉じてくれる。この弱々しさが、小学生たちの演奏する”The Robot”とともに、むしろ、外交でことごとく失敗を重ね、EUでさえ維持が難しくなってきたドイツのいまを表しているのではないだろうか。
 ああ、マッチョだったドイツが懐かしい。

注:ドイツがヨーロッパ中に移民を受け入れるよう先導してきたのはナチス時代に亡命を図ったドイツ人を受け入れてくれた周辺国に対する恩返しの意味もある。

即興的最前線 - ele-king

 これはじつに興味深いイベントです。その名も「即興的最前線」。池田若菜、岡田拓郎、加藤綾子、時里充、野川菜つみ、山田光らの異才たちが「即興」をテーマに思い思いのパフォーマンスを繰り広げます。10年代の即興音楽の流れについては細田成嗣による入魂の記事「即興音楽の新しい波」を参照していただきたいですが、何を隠そう、今回のイベントはまさに彼の企画によるものなのです! 熱いステートメントも届いております。入場無料とのことなので、ぜひ会場まで足を運んで「即興」のいまを目撃しましょう。

即興的最前線
次世代の素描、あるいはイディオムの狭間に循環の機序を聴く

日時:11月24日(土)12:00~18:00
会場:EFAG East Factory Art Gallery/東葛西(東京)
住所:〒134-0084東京都江戸川区東葛西1-11-6
料金:無料(入退場自由)
出演:池田若菜、岡田拓郎、加藤綾子、時里充、野川菜つみ、山田光
企画:細田成嗣

12:00~15:00 ソロおよびデュオ
15:00~16:00 集団即興
16:00~16:30 休憩
16:30~18:00 トークセッション

出演者プロフィール:

池田若菜 / Wakana Ikeda
桐朋学園大フルート専攻卒。古楽と現代音楽について学ぶ。後にロックバンド「吉田ヨウヘイgroup」に加入/脱退。ロック、ポップスの中でフルート演奏の可能性を探る。現在は作曲作品を扱う室内楽グループ「Suidobashi Chamber Ensemble」を主宰するほか、ヨーロッパツアーなど海外でも精力的に演奏活動を行う。また、2018年3月より新たなバンド「THE RATEL」を始動。

岡田拓郎 / Takuro Okada
1991年生まれ。福生育ち。東京を拠点にギター、ペダルスティール、マンドリン、エレクトロニクスなどを扱うマルチ楽器奏者/作曲家。2012年にバンド「森は生きている」を結成。2枚のアルバムを残し15年に解散。17年にソロ・アルバム『ノスタルジア』、18年に『The Beach EP』をリリース。映画音楽、実験音楽などでも活動。

加藤綾子 / Ayako Kato
洗足学園音楽大学音楽学部弦楽器コース、および同大学院器楽研究科弦楽器コースをそれぞれ首席で卒業(修了)。同大学院グランプリ特別演奏会にてグランプリ(最優秀賞)及び審査員特別賞を受賞。市川市文化振興財団・即興オーディションにて『優秀賞』を受賞。ヴァイオリンを有馬玲子、佐近協子、瀬戸瑤子、沼田園子、安永徹、川田知子の各氏に、室内楽を沼田園子、安永徹、須田祥子の各氏に師事。

時里充 / Mitsuru Tokisato
画面やカメラに関する実験と観察を行い、認知や計量化といったデジタル性に関する作品を制作発表。展覧会に、「エマージェンシーズ!022『視点ユニット』」(東京/2014)、「見た目カウント」(東京/2016)、「見た目カウント トレーニング#2」(東京/2017)。小林椋とのバンド「正直」や、Tokisato Miztsuru(Miztとのユニット)などでライブ活動を行う。

野川菜つみ / Natsumi Nogawa
神奈川県横浜市出身。木、水、石、木の実などの自然物や様々な素材の音具、マリンバ等の音盤打楽器、エレクトロニクス、フィールドレコーディング等を主に用いた演奏・音楽制作を行う。 桐朋学園大学音楽学部打楽器専攻にてマリンバを安倍圭子、加藤訓子、中村友子、打楽器を塚田吉幸、各氏に師事。卒業後、同大学研究科を修了。現在、東京藝術大学大学院音楽研究科音楽音響創造領域に在籍中。

山田光 / Hikaru Yamada
サックスの内部/外部奏法を追求する即興演奏家にしてサンプリング・ポップ・ユニット「ライブラリアンズ」を率いるトラックメイカー。2010年から2年間ロシアのサンクトペテルブルグで活動、現地のフリー・ジャズ・シーンで多数のミュージシャンと共演を重ねる。帰国後の2012年からは都内の即興音楽シーンで活躍する傍ら、入江陽、毛玉、POWER、さとうもか、前野健太らの楽曲にも参加。

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「アポリア」の跳躍

 「即興演奏家は音楽創造における最古の方法を用いている」とデレク・ベイリーが述べたように、即興それ自体は先端的でも前衛的でもなくむしろ遥かに原初的な営みであり、だからそれをテーマに最前線を見出そうとすることは正しくないように思えるかもしれない。だが二〇世紀半ばを端緒とする即興それ自体に対する自覚——その契機には録音再生技術による記号化されざる音響の反復聴取という経験があっただろう——から紡がれてきた複数の系譜を考えるとき、そこでは「音に何ができるか」とでも言うべき問いに応えようとするいくつもの実践が歴史的に積み重ねられてきたということもたしかである。そしてまた少なくとも現在を眺めわたすならば、それらの複数の系譜が即興というテーマを介して交差し合う先端部のひとつとして、テン年代に台頭してきた東京の新しい世代の即興演奏家たちの試みを捉えることもできる。

 ここで留意しなければならないのは即興という用語がすでに辞書的な意味——現在に集中し、心に浮かぶ想いもしくは構想にそのまま従って、それを外に現実化してゆくこと——をのみ担っているわけではないということだ。そこには構想を現実化するための自由や制度的なるものに対する批判、あるいは未知なるものとの出会いといった様々な含みがまとわりついており、そしてかつては「即興すること」がそのままそれらの含みと互いに手と手を取り合いながら歩みゆくかのようにも思われていた。だがいまやこれら複数の要素を素朴に一括りにして即興に賭けることはできなくなっている。とりわけ即興の原理として抽出された「意想外であること」が、歴史的/個人的な記憶によって不可能である、すなわち「即興は原理的に非即興的たらざるを得ない」とされたテン年代以降、字義通りの即興に関わることはある種の反動であるかのようにさえ見做されてきた。あるいは「即興」を原理的に遂行するためには非即興的なものに、さらには非音楽的なものに賭けなければならないとされてきた。だが本当にそうだろうか?

 「即興」は原理的に矛盾を抱えている。しかしながらそれでもなお、いたるところで即興は実践されている。原理的矛盾など意に介することなく刺激的な演奏が繰り広げられ、ときには新鮮な響きを届けてくれる。わたしたちは思考のアポリアに突き当たるまえに、意識的にせよ無意識的にせよそれを軽々と飛び越えていく具体的な実践にまずは少なくない驚きとともに触れるべきだろう。彼ら/彼女らはどのように「アポリア」を跳躍しているのか。無論その跳躍の仕方は様々だ。「即興音楽」といえども一塊のものとしてあるのではなく、とりわけ都市部では交わることの少ない複数の流れが並走している。それぞれの文脈の最前線における個々別々のアプローチがもたらす跳躍、そしてそれらの実践が滲み交わるところにアンサンブルと言い得るものが生まれるのだとしたら、それもまた原理的不能とはまるで異なる姿をしたひとつの跳躍の実践であることだろう。わたしたちはおそらく「即興」の原理をあらためて設定し直すこと、あるいは原理には還元し得ない別の価値を聴き取ることへと、感覚と思考の配置編成を組み換えながら向かわなければならない。

細田成嗣(ライター/音楽批評)

Kankyō Ongaku - ele-king

 相変わらず再評価が活発ですね。なかでもこれは決定打になりそうな予感がひしひし。シアトルのレーベル〈Light In The Attic〉が、日本産アンビエントをテーマとしたコンピレイション『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』をリリースします。編纂者は、昨今のニューエイジ・リヴァイヴァルとジャポネズリに火を点けたヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーラン。彼は昨年、自身のレーベル〈Empire Of Signs〉から吉村弘の代表作『Music For Nine Post Cards』をリイシューしていますが(『表徴の帝国』をレーベル名にした真意を尋ねたい)、今回のコンピにはその吉村をはじめ、久石譲や土取利行、清水靖晃、イノヤマランド、YMO、細野晴臣、さらにLP盤には高橋鮎生、坂本龍一と、錚々たる面子が居並んでおります。これを聴けば、いまあらためて日本の音楽が評価されているのはいったいどういう観点からなのか、その糸口がつかめるかもしれません(ドーランによるエッセイを含む詳細なライナーノーツも付属とのこと)。発売は来年2月15日。

Various Artists
Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990

Light In The Attic
LITA 167
3LP / 2CD / Digital
Available February 15

https://lightintheattic.net/releases/4088-kankyo-ongaku-japanese-ambient-environmental-new-age-music-1980-1990

[Tracklist]

01. Satoshi Ashikawa / Still Space
02. Yoshio Ojima / Glass Chattering
03. Hideki Matsutake / Nemureru Yoru (Karaoke Version)
04. Joe Hisaishi / Islander
05. Yoshiaki Ochi / Ear Dreamin'
06. Masashi Kitamura + Phonogenix / Variation III
07. Interior / Park
08. Yoichiro Yoshikawa / Nube
09. Yoshio Suzuki / Meet Me In The Sheep Meadow
10. Toshi Tsuchitori / Ishiura (abridged)
11. Shiho Yabuki / Tomoshibi (abridged)
12. Toshifumi Hinata / Chaconne
13. Yasuaki Shimizu / Seiko 3
14. Inoyama Land / Apple Star
15. Hiroshi Yoshimura / Blink
16. Fumio Miyashita / See The Light (abridged)
17. Akira Ito / Praying For Mother / Earth Part 1
18. Jun Fukamachi / Breathing New Life
19. Takashi Toyoda / Snow
20. Yellow Magic Orchestra / Loom
21. Takashi Kokubo / A Dream Sails Out To Sea - Scene 3
22. Masahiro Sugaya / Umi No Sunatsubu
23. Haruomi Hosono / Original BGM
24. Ayuo Takahashi / Nagareru (LP Only)
25. Ryuichi Sakamoto / Dolphins (LP Only)

God Said Give 'Em Drum Machines - ele-king

 これは興味深い。Resident Advisorの伝えるところによれば、デトロイト・テクノにかんする新たなドキュメンタリーの制作が開始されるようなのだけれど、どうもそれが「いかに音楽ビジネスがクリエイターを裏切ってきたか」という切り口のものらしいのである。『God Said Give 'Em Drum Machines: The Story Of Detroit Techno』と題されたそれは、ホアン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソン、デリック・メイのビルヴィレ3を筆頭に、エディ・フォークスやブレイク・バクスター、サントニオ・エコルズらのキャリアを追いながら、ついつい見過ごされがちなダークな側面、巨大産業となったエレクトロニック・ダンス・ミュージックの暗部を探るものになるのだという。現在、制作者のジェニファー・ワシントンとクリスティアン・ヒルがクラウドファンディングを実施している。プロジェクトの詳細と彼らへのサポートは、こちらから。

HP: godsaidgiveemdrummachines.com

Eli Keszler - ele-king

 ニューヨークのドラム奏者/サウンド・アーティストであるイーライ・ケスラーは、2017年にローレル・ヘイローのアルバム『Dust』に全面参加し(実質上のコラボレーターともいえる)、2018年に『Age Of』をリリースしたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのワールド・ツアーにドラマーとして参加したことで、その名を広く知らしめることになった。
 むろんイーライはそれ以前もドラム奏者/サウンド・アーティストとして充実した活動をおこなってきた。2006年以降、自身のレーベル〈R.E.L Records〉から精力的に多くのアルバムをリリースし、2011年にはベルリンの実験音楽レーベルの〈Pan〉から『Cold Pin』を、2012年に『Catching Net』を発表する。両作ともドラム演奏とインスタレーション的なコンセプトを音盤化したエクスペリメンタルな音響作品だ。この2作で彼にとって演奏/インスタレーションという極の融合を示してみせた。そして2016年には香港のフリー・ミュージック/実験音楽レーベル〈Empty Editions〉のリリース第1作として『Last Signs Of Speed』をリリースする。
 ソロ作品のリリースのほかに、コラボレーション作品の発表も盛んにおこなっており、2012年にイタリアはヴェニスのフリー・ジャズ・レーベル〈8mm Records〉からベテラン・サックス奏者のジョー・マクフィーとの『Ithaca』を、同年、アメリカ合衆国はバーリントンを拠点とするエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈NNA Tapes〉から電子音響/音楽家キース・フラートン・ウィットマンとの『Eli Keszler / Keith Fullerton Whitman』を、2014年にロンドンのフリー・ミュージック・レーベル〈Dancing Wayang〉からオーレン・アンバーチとの『Alps』などをリリースしている。私見ではこういったコラボレーションの成果が(あくまで音楽的方法論であって、人脈的なものではない)、ヘイローの傑作『Dust』に結実したのではないかと考えている。
 いずれにせよ、イーライのドラム演奏とサウンド・インスタレーションを融合させていく作品は観客/聴き手/アーティストに大きなインパクトを与えた。じっさい音源リリース以外でも作品展示(自身の演奏も含む)やアート作品の発表なども多くおこなっている。それは彼のサイトでも確認できる。

 本作『Stadium』は『Last Signs Of Speed』以来、2年ぶりとなるイーライのソロ・アルバムである。今回は電子音楽家フェリシア・アトキンソンとアート・ディレクター/デザイナーのバルトロメ・サンソンによって運営される注目のエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル/ブック・レーベル〈Shelter Press〉からのリリースだ。
 このアルバムの制作中にイーライはサウス・ブルックリンからマンハッタンへ拠点を移したようで、それに伴う意識の変化や、近年のツアー生活にともなう風景の変化が、楽曲の隅々にまで影響・反映しているようにも感じられる。トラックは意識の変容にように滑らかに変化し、光景/記憶の再生のように生成していく。私見では現時点におけるイーライの最高傑作ではないかと思う。音響の構成や構築度がこれまでの段違いにオリジナリティを獲得しているからである。

 ドラム、パーカッションのグルーヴのみならず、それらのテクスチャーをも精密に抽出し、細やかにスライスし、細やかな粒子のように電子音などとレイヤーさせる手法と手腕によって、ジャズ的/フリー・ミュージックな演奏イディオムをサウンド・アートやインスタレーション、エレクトロニクス音楽の中に分解していく。いわば音と音の関係性が複雑な音響空間の中で、音、音楽、演奏の関係性が、その都度「結び直されていく」かのごとき独自の音響と聴取感が生まれているわけだ。
 1曲め“Measurement Doesn't Change The System At All”や5曲め“Simple Act Of Inverting The Episode”のグリッチするような細やかでハイブリッドなドラミングと柔らかい電子音/サウンドのレイヤー、2曲め“Lotus Awnings”、4曲め“Flying Floor For U.S. Airways”などのズレとタメが多層的にコンポジションされる非常に現代的なリズム構造など、どの曲もハっとするような聴きどころに満ちており、一瞬たりとも聴き逃せない。
 中でも注目したいのが3曲め“We Live In Pathetic Temporal Urgency”だ。この曲は音響とアンビエンスとリズムの時間軸が伸縮するような構造と構成になっており、どこか意識と身体に浸透するようなサウンドを生成している。意識と風景。サウンドとミュージック。マテリアルとアブストラクト。それらの関係が別の地点から結び直されていくような感覚を覚えた。アルバムを代表する曲ではないかと思う。
 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(ダニエル・ロパティン)はイーライのドラミング/サウンドを「バクテリアのよう」と彼らしい表現で語っているようだが、確かに、サウンドの中に粒子のように浸透する彼のサウンドと演奏は、微生物のような蠢きを持っているように思える。ドラム演奏の粒子化。そこから生まれる伸縮する時間軸を持った音響空間。知覚を拡張するという意味において、彼の音楽と演奏はそれ自体がアートであり、一種のインスタレーションでもある。

 となればフィジカル盤もまたそんな彼による最新のアートフォームといえよう。アートワークはレーベル主宰のひとりでもあるバルトロメ・サンソン。タイポグラフィと写真を効果的に活用したクールな出来栄えである。アナログ盤とCDのデザインを大きく変更している点も興味深い。アナログはタイポグラフィを効果的に使ったミニマルな仕上がりであり、CDはプラスチックケースに特殊印刷でタイポグラフィを印刷、盤面に写真をトリミングして印刷した仕様である。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの『Age Of』のCDデザインと同様に、CDだからこそ可能なアートワークといえよう。

 モノマネとは契約しない。〈Stones Throw〉で働いていた当時、若きフライング・ロータスはピーナッツ・バター・ウルフからそう告げられたのだという。それが転機となったにちがいない。J・ディラの影響下にあった彼は以降、大胆にノイズを取り入れるなど自らの手でオリジナリティを確立することでビート・ミュージックを刷新、ヒップホップに大いなる変革をもたらしたのだった。衝撃をもって迎え入れられた2作目『Los Angeles』から早10年。今年は彼の設立した〈Brainfeeder〉もまた10周年を迎える。首魁たるフライローの巧みな舵取りのもと、ヒップホップはもちろん、ジャズやテクノなど隣接する諸ジャンルにまで少なからぬ影響を与えた同レーベルは、いまやあのジョージ・クリントンを擁する存在にまで成長を遂げている。

 では、彼と彼らが成し遂げたこととはいったいなんだったのか? 『別冊ele-king』最新号では、フライング・ロータスと〈Brainfeeder〉を大特集、さまざまなコラムやインタヴューをとおしてその功績を振り返っている。ケンドリック・ラマーとのコラボも記憶に新しいフライロー、ジョージ・クリントン、サンダーキャットのビッグ3を筆頭に、ドリアン・コンセプトとジェイムスズーによる対談やジョージア・アン・マルドロウのインタヴューも掲載。また、映画監督としてのフライローにも着目し、渡辺信一郎・佐藤大・山岡晃の3人に『KUSO』の魅力について語りあってもらった。

 さらに同号では、彼と彼らが拠点にするロスアンジェルスという場所にも光を当てている。フライローも〈Brainfeeder〉もけっして突然変異のごとくぽっと湧き出てきたのではない。彼らのまえには〈Stones Throw〉やロウ・エンド・セオリーというムーヴメントが耕した豊饒なる大地が横たわっていたのであり、フライローも〈Brainfeeder〉もそれと並走するかたちで新たな歴史を紡いでいったのだ。いわば「先輩」にあたる彼らについては、じっさいに現地の様子を知る大前至やバルーチャ・ハシム廣太郎が丁寧に解説してくれている。また、TREKKIE TRAX のふたりには、若い世代から見たLAの音楽シーンについて語ってもらった。

 とまあこのように、SONICMANIA でのステージを目の当たりにした直後だったせいか、ずいぶんと熱のこもった特集になっているので、ぜひとも手にとっていただければ幸いである。

【寄稿者】
天野龍太郎、大前至、小川充、小熊俊哉、河村祐介、木津毅、小林拓音、小渕晃、野田努、原雅明、バルーチャ・ハシム廣太郎、三田格、吉田雅史

contents

Flying Lotus

preface ジャズにクソを投げろ!――フライング・ロータスに捧げる (吉田雅史)
interview フライング・ロータス (三田格/染谷和美/小原泰広)
column 音楽の細分化に抗って――フライング・ロータス小史 (原雅明)
Flying Lotus Selected Discography (小林拓音、三田格、吉田雅史)
column ドーナツの輪をめぐる旅――フライング・ロータスとJ・ディラ (吉田雅史/大前至)
column 崩壊したLAの心象風景――フライング・ロータスの映画『KUSO』が描きだすもの (三田格)
interview 渡辺信一郎×佐藤大×山岡晃 健康なクソをめぐる特別座談会 (小林拓音)

Brainfeeder 10th Anniversary

column ブレインフィーダーはどこから来て、どこへと向かうのか――レーベル前史とこれまでの歩み (三田格)
my favorite 私の好きなブレインフィーダー (大前至、小熊俊哉、河村祐介、天野龍太郎、吉田雅史、小川充、木津毅、小林拓音、三田格、野田努)
interview ジョージ・クリントン (野田努/染谷和美/小原泰広)
interview サンダーキャット (小川充/萩原麻里/小原泰広)
column ブレインフィーダーに影響を与えた音楽――ジャズ/フュージョンを中心に (小川充)
interview ドリアン・コンセプト×ジェイムスズー (小林拓音/川原真理子/小原泰広)
interview ジョージア・アン・マルドロウ (吉田雅史/バルーチャ・ハシム廣太郎)
Brainfeeder Selected Discography (小川充、小林拓音、野田努、三田格)

LA Beat

interview TREKKIE TRAX (Masayoshi Iimori & Seimei) (小林拓音/小原泰広)
correlation chart LAビート・シーン人物相関図 (吉田雅史)
column 世界を変えたムーヴメント――ロウ・エンド・セオリー盛衰記 (バルーチャ・ハシム廣太郎)
column LAビート・シーンの立役者――ストーンズ・スロウの物語 (大前至)
Stones Throw Selected Discography (大前至)
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FUTURE TERROR 2018-2019 - ele-king

 今年も残すところあと7週間。いよいよ2018年の終わりが迫ってきました。ちらほらと年末年始のパーティ情報が出はじめていますが、なかでも強力なのがこちら。12月31日に代官山 Unit / Unice / Saloon にて開催される《FUTURE TERROR》のニューイヤー・パーティに、なんとドレクシアの元メンバー、DJスティングレイことシェラード・イングラムが出演します。これまでも世界じゅうの尖った才能たちを招いてきた同イベントですが、今回も気合いじゅうぶんです。さらに大阪からは Synth Sisters が参加、Wata Igarashi によるライヴや実験的なベース・ミュージックを追求する Lynne など、ほかにも見どころ満載。もちろんレジデントの DJ Nobu、Haruka、Kurusu も出演します。
 なお、スティングレイは大阪と札幌もまわることが決定しており、12月30日には Compufunk Records にて、年明け後の1月2日には Precious Hall にてプレイします。これは最高の年末年始が送れそうです。

FUTURE TERROR 2018-2019
早割チケット販売開始

DJ NOBU 主催のテクノ/ハウス・パーティー《FUTURE TERROR》のニューイヤー・バージョンが大晦日の晩、代官山 UNIT / Unice / Saloon にて開催決定。早割チケットを 11/12(月)18:00より販売開始。

今回《FUTURE TERROR》レジデントの DJ Nobu、Haruka、Kurusu に加え、デトロイトの至宝 DJ Stingray、大阪からサイケデリカル・ドローン・ユニット Synth Sisters、テクノ・ミュージックのティープサイドを探求し続ける Wata Igarashi の Live set、《FUTURE TERROR》初登場となるエクスペリメンタル・べース・ミュージック・アクト Lynne の出演が決定しています。

枚数/期間限定の大変お得な早割チケットを下記サイト上にて11/12(月)午後6時から販売します。
https://jp.residentadvisor.net/events/1182469
次回発表は12月初旬の予定です。どうぞご期待下さい。

FUTURE TERROR 2018-2019
日時: 2018.12.31 - 2019.01.01
会場: UNIT / Unice / Saloon (東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 ZaHOUSE)
料金: Early Bird Ticket (早割) ¥2,500 (11月12日18 時よりRAイベント・ページにて販売/枚数・期間限定)

Line up:
DJ Stingray, DJ Nobu, Synth Sisters -Live-, Wata Igarashi -Live-,
Lynne, Haruka, Kurusu 他多数出演予定

more info coming soon...

Notice: You must over 20 with photo ID.
※ 20歳未満の方の入場はお断りします。
※ 全てのお客様のご入場時に写真付身分証明書の確認を行わせていただきます。

■補足情報
なお、DJ Stingray は年末年始にかけて東京・大阪・札幌の計3都市を回るツアーを行います。大阪と札幌の公演日程は下記の通りです。

2018.12.30
"MIDI_sai feat. DJ Stingray"
at Compufunk Records

大阪市中央区北浜東1-29 北浜ビル2号館 2F
TEL: 06-6314-6541
VENUE HP: https://www.compufunk.com
INFO: info@midisai.com

2019.01.02
"Method"
at Precious Hall

札幌市中央区南2条西3丁目13-2 パレードビルB2F
TEL: 011-200-0090
VENUE HP: https://www.precioushall.com

■DJ Stingray Biography


photo: George Nebieridze

DJ Stingray はテクノの世界で20年以上に渡り強力な存在感を保持してきた存在だ。デトロイトに育ち、同級生でありDJパートナーであった Kenny Dixon Jr. と Urban Tribe を1991年に結成し、今ではクラシックとなった“Covert Action”が〈Retroactive〉の『Equinox』コンピレーションに収録され、この街の豊かなテクノ・ソウルの歴史に名を残す。数年後にはロンドンの〈Mo' Wax〉からデビュー・アルバム『The Collapse of Modern Culture』を発表し、そこには同郷の Anthony 'Shake' Shakir、Moodymann、Carl Craig といった友人たちとのコラボレーションが多数含まれていた。彼の最も輝かしい功績は Drexciya のライヴ・メンバーとしての活躍かもしれない。Stingray は、Drexciya の James Stinson による命名である。マスクを被ってのパフォーマンスで世界中を巡ってデトロイトの精神をレプレゼントし続け、数十枚に及ぶリリースを続けてきた彼は、レーベル〈Micron Audio Detroit〉のオーナーとしての顔も持ち、世界中のフレッシュな才能を世に送り出している。

https://jp.residentadvisor.net/dj/djstingray
https://www.discogs.com/ja/artist/724414-DJ-Stingray-2


■DJ NOBU Biography


photo: Cedric Diradourian

DJ NOBU は一つのスタイルに踏みとどまらず、幅広い世界の音楽を引き出し、彼にしか作りえない唯一無二のサウンド・スペースを現出させる、卓越した実力を持つDJである。NOBU のDJを知る人にとって彼はちょっとしたカルト・フィギュア(熱狂的人気の対象)であり、その二十年余りに渡る経験は、厚い信頼を得ているパーティー《Future Terror》や、主宰レーベル〈Bitta〉、いくつかの音源やミックスのリリースとなって世に出ている。ここ数年にわたる活動の中で、ゆっくりと確実に、NOBU は日本のシーンの中心的存在から、フレキシブルでありなおかつ進化を続ける、世界で最も有望なセレクターというあらたなる評価を獲得するに至った。

https://octopus-agents.com/dj-nobu
https://jp.residentadvisor.net/dj/djnobu
https://www.facebook.com/pages/DJ-NOBU-OFFICIAL/236488399758952/
https://futureterror.net/

Lori Scacco - ele-king

 ロリ・スカッコの音楽を聴くと、いつも「波紋」のようなサウンドだと感じる。水滴と波紋。その水面での折り重なり。いわば「丸と円」のレイヤーのような音楽。もしくは「輪」のような音のアンサンブル。それはカタチや現象の問題だけではなくて、どこか人と人との関係性、つまり「縁」を表しているのではないか。
 じっさい2004年にスコット・ヘレン(プレフューズ73)が運営し、あのサヴァス・アンド・サヴァラスのアルバムなどもリリースしていたレーベル〈Eastern Developments〉から発表された彼女のソロ・ファースト・アルバムも『Circles』というアルバム名だった。このアルバムを制作する前、ロリ・スカッコはバンド、シーリー(Seely)の解散を経験していたわけだし、それなりに人間関係の大きな変化の只中にいたのだろう。
 ちなみにシーリーは、1996年にトータスのジョン・マッケンタイア・プロデュースのファースト・アルバム『Julie Only』を〈Too Pure〉からリリースしたバンドである。シューゲイザーからステレオラブまでのエッセンスを持ちながらミニマル/ドリーミーなポップを展開し、熱心なリスナーも多かったと記憶している。ロリはこのシーリーのピアニスト/ギタリストだった。シーリーは2000年にアルバム『Winter Birds』をスコット・ヘレンとの共同プロデュースでリリースし、そして解散してしまったが、その解散から4年の月日をかけて彼女はソロ・アルバム『Circles』をリリースしたわけだ。
 そしてその音楽性はバンド時代から大きく変わった。ギターやピアノ、弦楽器などにエレクトロニクスが控えめにレイヤーされた「アコースティック・エレクトロニカ」とでも形容したい作品に仕上がっていたのだ。日曜の朝とか晴れた日の夕暮れ時を思わせる穏やかで美しいクラシカルなアルバムである。永遠に耳を澄ましていたいような心地良さがあった。もちろん聴き込んでいくと、音と音の重なりは和声感も含めて、実に繊細に織り上げられていることに気が付く。まさに「サークル」の名に相応しい作品である。このアルバムは熱心な聴き手に深く愛され、リリースから10年後に日本盤CDが〈PLANCHA〉からリイシューされ、新しいリスナーからも歓迎された。
 『Circles』リリース以降のロリ・スカッコは、ダンス、映画、ビデオ・アートの音楽制作を行いつつ、サヴァス・アンド・サヴァラスのメンバーのスペインのアーティスト Eva Puyuelo Muns とのストームス(Storms)としても活動し、2010年にはアルバム『Lay Your Sea Coat Aside』をリリースした。そして2014年にはデジタル・リリースのソロ・シングル「Colores (Para Lole Pt.2)」を発表。加えて先にも書いたように〈PLANCHA〉から『Circles』がリイシューされた(ボーナス・トラックを追加収録)。

 新作『Desire Loop』は、14年ぶりのセカンド・ソロ・アルバムである。リリースは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするアンビエント・レーベル〈Mysteries Of The Deep〉から。〈Mysteries Of The Deep〉は、ニューヨーク・ブルックリンのエクスペリメンタル・バンド、バーズ・オブ・プリティのメンバー、グラント・アーロンによって運営されており、Certain Creatures、William Selman などの作品をリリースしている。
 本作も生楽器主体の『Circles』から一転し、シンセサイザーをメインに据えたアンビエント/トライバルな電子音楽に仕上がっていた。この変化には一聴して驚いてしまったが、しかし何度も聴き込んでいくと、どんどん耳に馴染んでくる。『Circles』と同じように波紋のような音がレイヤーされていく構造になっているからか、聴くほどに耳と身体に浸透するような音楽なのだ。音と音が泡のように生成しては変化し、持続やリズムをカタチづくっていく。あの見事なコンポジションは、形式を変えても健在であった。いや、深化というべきかもしれない。
 シンセ中心のサウンドのムードは、どこか現行のアンビエントやニューエイジ・シーンともリンクできる音楽性だが、浮遊感に満ちた和声感覚と音のレイヤー感覚などから、やはりロリ・スカッコという「作曲家」の個性が強く出ている電子音楽にも思えた。

 とはいえ、あざとい作為は感じられない。ごく自然にミニマルな音とミニマルな音が重なり、そこにコードやリズムが必然性を持って生まれていた。1曲め“Coloring Book”には、本作の特徴が良く出ている。やや硬めの電子音の持続から音が分岐するようにいくつかのループが生まれ、やがて糸がほぐれるように変化したかと思えば、それらはループを形成し、トライバルなビートが鳴り始めもする。持続と反復。その中断と非連続性の美しさ。まるで確かに水の波紋のように、一種の自然現象のように、電子音たちが踊っている。続く2曲め“Strange Cities”はニューエイジなムードのシーケンスから幕を開け、それらが電子音の層へと溶けるように変化を遂げていく。この最初の2曲に象徴的なのだが、ロリ・スカッコの作曲は音の反復を持続の中に「溶かす」。電子音という生成変化が可能な音響だからこそ実現する反復と非反復の融解とでもいうべきか。
 アルバム中、重要な曲は5曲め“Back To Electric”ではないか。トライバルなリズムが鳴らされていくのだが、もう1階層、別のリズム/ビートがレイヤーされており、そこに規則的な電子音と民族音楽がグリッチしたような旋律が鳴る。聴いていくと時空間が「ゆがんで」いくようなサイケデリック感覚を味わうことができた。続く6曲め“Tiger Song”は細やかなノイズと、どこか日本的な旋律に反復的なビートが重なる印象的な曲だ。7曲め“Red Then Blue”もノイズのレイヤーからミニマルな反復が生成し、ゆるやかに聴き手の知覚を変化させるような見事なトラックである。アルバム・ラストの8曲め“Other Flowers”では、それまでサイケデリックに歪む時空間が、次第に知覚の中で整えられていく。まさに「花」のような端正な電子音楽である。

 こうして14年ぶりとなるロリ・スカッコの新作アルバムを聴いてみると、やはりこの歳月は必要だったのだと痛感する。反復と非反復の往復。知覚の遠近法を変えてしまう音のゆがみ。それらを曲として成立させること。作曲と即興のあいだにある音と音の自然な生成の追求。そのための時間。何より音楽それじたいが聴き手に対しても長い時間をかけて浸透するような時を内包しているのだ。それは自分の音楽を作り続けた人だからこそ獲得することができる「時の流れ」の結晶ではないか。そんな感覚を『Desire Loop』の隅々から聴き取ることができた。

 かつてはアトランタで建築を学ぶ学生であった彼女だが現在はニューヨーク在住という。いまのアメリカの政治や社会状況には憤りを感じているというが、音楽にそのような感情は直接には反映されていないように思えた。しかし、彼女の音楽に耳を澄ましていると見えてくるのは、脆さや弱さ、そして美や強さに向かい合いつつ、極めて誠実に音楽=世界と向かい合っている音楽家/作曲家の姿だ。この酷い世界を音楽によって肯定すること。音と人の関係性を、その弱さを脆さと共に感じ取ること。そんな意志が音の粒子に舞っているのだ。

 本作は繰り返し聴取することで、どんどんその魅力が増してくるようなアルバムだ。ぜひとも「電子音楽家としてのロリ・スカッコ」が鳴らす音の波に耽溺してほしい。世界の事象が溶け合っていくような見事な作品である。


Kojo Funds - ele-king

 UKガラージ、グライムからアフロビーツまで、現在のUKの音楽のいくつかは「垂直のゲットー」とも呼ばれるロンドン郊外の団地から生まれてきた。グライムが生まれた2000年代初頭、MCはそれぞれの郵便番号でエリアをレペゼンした。郵便番号が表す1区画が彼らが守っていたエリアであり、またそれぞれクルーの境界でもあったという。一方で、同時期の投資と民間主導の都市再開発はオリンピックを契機にさらに加速していった。“公共”住宅が“高級”住宅へと建て替えられ、もともと住んでいた家族はより不便なエリアに追い立てられたり、予算が切り詰められたことでユースセンターが閉鎖されたりしているという。例えば、Dizzee Rascal や Wiley がしのぎを削った Deja Vu FM がもともとあった団地も、いまや警備員の配備された高級住宅地であるという。

 こうした背景から楽しみを失い、行き場を失ったロンドンの若者のギャング化が問題となっている。ナイフによる殺傷事件の増加はギャング・カルチャーと結びつけられ、ひいてはギャングスタ・ラップやグライムが槍玉に上げられることもある(*)。

 音楽の中で彼らがレペゼンしているのは、郵便番号ではなく、仲間やグループ、そして彼らが住む団地一棟である(**)。彼らは団地やアパートメント周辺で撮ったMVをYouTubeで公開し、自らのエリアを誇示する。「ハイパーローカル」と形容されるような極度の地元傾向、そしてその「ギャング」傾向は、ギャングスタ・ラップの競争的で暴力的な一面ではある。一方で、ストリートのハスラーとして名を馳せてきたロンドンのラッパーのスタイルは、若者から羨望の眼差しを受けている。ギャング・カルチャーの槍玉に音楽が上がることの是非もあるが、彼らの音楽が絶大な影響力を持っているということでもある。

 そんなUKラップのニューカマーとして注目を集めているうちのひとりが、Kojo Funds である。2016年に Kojo Funds がロンドンのMC、Abra Cadabra とのコラボ曲“Dun Talkin”をヒットさせ、「ラップする」のではなくパトワ交じりのスタイルで「歌い上げる」スタイルのパイオニアとなった。そして翌年には Mabel のラヴ・ソング “Finders Keepers”での客演で、YouTube再生回数3000万回の大ヒットを記録した。そして、遂に彼のデビュー・アルバム『Golden Boy』がリリースされた。

 アルバムはハードなギャングスタ・ラップをベースに、時折ソフトな曲やラヴ・ソングがくるような展開になっている。出だしは“Golden Boy”。自分を大きく見せようとする「ギャングスタ」の嘘について歌った“0%”、そして彼のヒット曲“Warning”へ流れる。彼の歌い方からは、肩に力が入ったような「怒り」ではなく、むしろ勝者としての余裕が感じられる。

フィールドに出ても、何も言わない
充電器みたいにプラグする
まるで Kolo と Yoyo
警察が俺の仲間を追ってる
やつらは言う、Kojo は悪魔だ
続編は見たくないって
俺の Nigga はディーゼルみたく Furious
“Warning”

 続いての“Million”から2曲は、昨年の“Finders Keeper”で見せたソフトで粋な一面が表れる。Raye を迎え、アコースティック・ギターが印象的な“Check”では、ラヴ・ソング・デュエットを披露している。落ち着きながらも、Kojo Funds のメロディックな暗喩の才能が開花する“Stallin'”。そして、Bugzy Malone を迎えたガラージ・チューン“Who am I?”はこのアルバムのハイライトだ。

俺のビジネスは失速しない
ひとつは足元のなかには
駅では会話するな
ひとつはドレッドの中に



失速しない、大金を手に入れた Nigga
太陽が昇るまでストリートで金をゲットする
Yeh Kojo Funds、俺が支配者
俺の兄弟が重りを測る
それでやつらがカットするんだ
“Stallin'”

 後半はポップスへトライした“High Grade”や、Giggs を迎えた“PNG”、エモーショナルな歌を披露する“Thug Ambition”など、幅広い音楽性へと拓けていく。そして、最大のヒット曲“Dun Talkin”でアルバムは締めくくられる。

 アルバムを通して彼自身のアフロ・カリブ、そしてギャングスタ・ラップのルーツを存分に発揮している。そして、ダンスホール、レゲエ、ガラージやトランス、ポップスまでミックスし「アフロビーツ」を開拓し続けている。

(*) Resident Advisor ニュース「「ドリルやグライムよりナイフ犯罪が問題」ロンドンの音楽コミュニティが議会に訴える」 https://jp.residentadvisor.net/news/41626
(**) Dan Hancox による著『Inner City Pressure』から。

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