今年もあと残り1週間、年末の慌ただしいなかいきなりで恐縮ですが、このオンライン版を楽しんでくれている方で、エレキングの存続を希望し、税込み1650円を支払う余裕のある方は1年に2冊刊行している紙エレキングをドネーションだと思って買って欲しいと、せつに思う次第であります。12月27日に刊行される年末号の内容は、すでに告知している通りです。Phewさん表紙のvol.30を手にとって、2022年の年間ベストのリスト(年間30枚、ジャンル別、個人チャートなど)を楽しんでください。そして、今回の特集「エレクトロニック・ミュージックの新局面」に注目してもらえたら幸いです。
早いもので、紙エレキングもいつの間にか30冊目です。ゼロ年代に雑誌の時代が終わってブログの時代がはじまり、2009年にスタートしたweb版エレキングも気が付いたら13年。ele-king booksをはじめたのがちょうど10年前とか、我ながら本当によくやっているなと思うのですが、これというのもいろんな人たちのサポートがあってのことです。web版でアルバムのレヴューを書き続けているライターおよび訳者諸氏にはとくに感謝したいと思います。あなたたち無しでエレキングは成り立たないのですから。
音楽メディアというのは、簡単に言えば音楽好きのコミュニティであって、音楽を紹介しつつ、最終的には、その音楽が何を語りかけているのか、音楽と自分(リスナー)との関係を真剣に考える場であり、メディアというのは、音楽に関するできれば最良の文章(最終的な決定稿ではないが、それを書いた時点での物語)を届けるための拠点のようなものです。なんども書いてますが、我こそはという方はライター募集(info@ele-king.net)に応募しましょう。
紙エレキングのvol.30で書き忘れましたが、2022年に発表された音楽の歌詞のなかで印象に残っているのは、ホット・チップのアレックス・テイラーによる以下のラインでした。「音楽はかつて逃避場だった。しかしいまのぼくには逃げ場がない。まるで世界に追い詰められた感じがする」
彼の疲労感に共感も無くはないのですが、幸いなことにぼくにはいまでも音楽は逃避場です。と同時に自分の人生に深く関わっているものだということが、年を取れば取るほどしみじみと感じたりします。今年のクリスマスはサン・ラーの大好きなアルバム、『ナッシング・イズ....』と『マジック・シティ』、そしてパワフルなコズミック・ジャズ・ファンクの『アストロ・ブラック』を聴いて気持ちを上げました。いまから宣伝しておきますが、来年の1月末に待望のサン・ラー評伝、『宇宙こそ帰る場所──新訳サン・ラー伝』(ジョン・F・スウェッド著/鈴木孝弥訳)が刊行されます。これは20世紀のジャズ史/黒人史とも読める大著で、アフロ・フューチャリズムが生まれた歴史的な背景について詳述されている本です。ご期待ください。
でもまずは、紙エレキングを、どうか、なにとぞよろしくお願い申し上げます。発売は明日27日です。(野田努)






